(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単一半導体チップ内に形成されているマイクロストラクチャ向上型光吸収を具備する光検知器と電子的プロセッサとの両方を有しているデータ通信用の集積化検知器/プロセッサ回路において、
半導体基板上に形成されており且つデータ通信用に変調された光学ソース信号からのフォトンを吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされているフォトン吸収領域を有している光検知器が設けられており、
前記フォトン吸収領域はその中に複数個の穴を有しており、該穴は前記基板へ向けて延在しており且つ複数の該穴において同一のソース信号を同時的に受け取る形態とされており、
前記フォトン吸収領域と前記複数個の穴の両方の上にオーミックコンタクト層が設けられており、
電子的プロセッサも前記半導体基板上に形成されており且つ前記フォトン吸収領域と動作上関連されていて前記出力電気信号をそれから受け取り且つ処理済出力へ処理し、それにより該光学ソース信号を受け取り且つ該処理済出力を出力する単一の半導体チップを形成しており、
前記フォトン吸収領域及び前記電子的プロセッサは同じ程度の厚さである夫々の厚さを有しており、及び
カソード領域とアノード領域とが前記フォトン吸収領域と逆バイアス回路とに動作上関連されていて、前記逆バイアス回路は前記カソード領域が前記アノード領域よりも一層正の電圧へ駆動されるように前記カソード領域と前記アノード領域との間に電圧を印加する形態とされている、
集積化検知器/プロセッサ回路。
該電子的プロセッサが相補的金属酸化物半導体(CMOS)装置、バイポーラ(Bi)装置、及びBiCMOS装置の内の少なくとも一つを有している応用特定集積回路(ASIC)を有している請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において入射ソース信号を40%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において入射ソース信号を50%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において入射ソース信号を60%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において入射ソース信号を40%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において入射ソース信号を50%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において入射ソース信号を60%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmのソース信号波長の少なくとも20nmの選択した波長スパンに亘って20%未満だけ変化する吸収百分率において該入射ソース信号を吸収する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmのソース信号波長の少なくとも20nmの波長スパンに亘って20%未満だけ変化する吸収百分率において該入射ソース信号を吸収する形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
各穴は該基板の表面に平行な断面を有しており且つ該断面の最大寸法は400nmと2500nmとの間であり、及び各穴は該複数個の穴の最も近い隣接する穴の中心から3500nm未満だけ離隔されている中心を有している請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該光検知器が、前記ソース信号を担持するオプチカルファイバーを受け付け且つ該ファイバーの一端部を前記フォトン吸収領域から選択した距離に維持する形態とされているテーパー付き又は段差付きの穴を有している請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該光検知器が、該ソース信号の複数回の反射を発生させて前記ソース信号が該フォトン吸収領域を複数回横断する形態とされている反射構造を有している請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
前記穴が、該穴の複数のグループにおいて光信号から電気信号への変換において結合共振を発生させてソース信号の吸収を向上させる形態とされている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
更に、一つ又はそれ以上の付加的な光検知器が前記半導体基板上に形成されており且つ夫々の付加的なソース信号を受け取り且つそれらに対応する夫々の出力電気信号を供給する夫々のフォトン吸収領域を有しており、及び一つ又はそれ以上の付加的な電子的プロセッサも前記半導体基板上に形成されており且つ前記付加的な光検知器の該夫々のフォトン吸収領域と動作上関連されていてそれから前記夫々の出力電気信号を受け取り且つ処理する請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該複数個の穴は、前記ソース信号の波長を含む波長範囲において、穴は無いがその他は同じ光検知器と比較してフォトンの吸収を向上させる請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該電子的プロセッサは、相互インピーダンス増幅器、信号処理エレクトロニクス、及びルーチングエレクトロニクスからなるグループから選択される一つ又はそれ以上のタイプを包含している請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該光検知器と関連している容量が、そのアノード領域とカソード領域とを従来のボンドパッドへ動作接続させているその他は同じ光検知器と比較して減少されている請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
該光検知器は、更に、増倍領域を有しており且つ2より大きな利得を有しており800乃至900nmのソース信号波長において10Gb/sより大きなデータ帯域幅において該ソース信号を検知する形態とされているアバランシェフォトダイオードである請求項1記載の集積化検知器/プロセッサ回路。
高度にドープされたP層及びN層が該フォトン吸収領域の側面に位置しており、及び該フォトン吸収領域は0.1−5.0マイクロメートルの範囲内の厚さを有しており且つ意図的にはドープされていないか又は該P及びN領域と比較して軽度にドープされている請求項27記載のシステム。
該光検知器がバイアスされて電子又は正孔の内の少なくとも一方を該ソース信号が該光検知によって受け取られる方向に沿う方向に掃引させる請求項27記載のシステム。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において該入射ソース信号を40%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において該入射ソース信号を50%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmの波長において該入射ソース信号を60%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において該入射ソース信号を40%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において該入射ソース信号を50%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmの波長において該入射ソース信号を60%を超えて吸収し且つそれに対応する出力電気信号を供給する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、800nm乃至900nmのソース信号波長の少なくとも20nmの波長スパンにわたって20%未満だけ変化する吸収百分率において該入射ソース信号を吸収する形態とされている請求項34記載の光検知器。
該フォトン吸収領域は、1400nm乃至1700nmのソース信号波長の少なくとも20nmの波長スパンにわたって20%未満だけ変化する吸収百分率において該入射ソース信号を吸収する形態とされている請求項34記載の光検知器。
各穴が該基板の上部表面に平行な断面を有しており且つ400nmと2500nmとの間の最大寸法を有しており、及び各穴は該複数個の穴の内の最も近くに隣接する穴の中心から3500nm未満だけ離隔されている中心を有している請求項34記載の光検知器。
該光検知器が、前記ソース信号を担持するオプチカルファイバーを受け付け且つ該ファイバーの一端部を前記フォトン吸収領域から選択した距離に維持する形態とされているテーパー付き又は段差付きの穴を有している請求項34記載の光検知器。
該カソード領域及び該アノード領域が集積回路エレクトロニクスへ動作接続されており、且つ該光検知器及び該集積回路エレクトロニクスが単一のシリコンチップに集積化されている請求項52記載の光検知器。
該集積回路エレクトロニクスが、相互インピーダンス増幅器、信号処理エレクトロニクス、及びルーチングエレクトロニクスからなるグループから選択される一つ又はそれ以上のタイプを包含している請求項58記載の光検知器。
該光検知器と関連している容量が、そのアノード領域とカソード領域とを従来のボンドパッドへ動作接続させているその他は同一の光検知器と比較して、減少されている請求項58記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも30%の量子効率で、850nmのソース信号波長において2.5Gb/sよりも大きなデータ帯域幅で前記ソース信号を検知する形態とされている請求項52記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも50%の量子効率で、850nmのソース信号波長において2.5Gb/sよりも大きなデータ帯域幅で前記ソース信号を検知する形態とされている請求項52記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも30%の量子効率で、850nmのソース信号波長において5Gb/s以上のデータ帯域幅で前記ソース信号を検知する形態とされている請求項52記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも50%の量子効率で、850nmのソース信号波長において5Gb/s以上のデータ帯域幅で前記ソース信号を検知する形態とされている請求項52記載の光検知器。
該光検知器は、該ソース信号の一部が該フォトン吸収領域を1回目に通過し、或る表面で反射し、且つ、その後に、該光吸収領域を2回目に通過する形態とされている請求項52記載の光検知器。
該ゲルマニウムを基礎とするフォトン吸収層が、シリコンからなる物質の一つ又はそれ以上の層の上方に、エピタキシャル成長及びエピタキシャル横過剰成長プロセスの内の少なくとも一つによって形成されている請求項69記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも30%の量子効率で、1550nmのソース信号波長において、2Gb/sよりも大きなデータ帯域幅において、前記ソース信号を検知する形態とされている請求項69記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも50%の量子効率で、1550nmのソース信号波長において、2Gb/sよりも大きなデータ帯域幅において、前記ソース信号を検知する形態とされている請求項69記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも30%の量子効率で、1550nmのソース信号波長において、5Gb/sよりも大きなデータ帯域幅において、前記ソース信号を検知する形態とされている請求項69記載の光検知器。
前記光検知器が、少なくとも50%の量子効率で、1550nmのソース信号波長において、5Gb/sよりも大きなデータ帯域幅において、前記ソース信号を検知する形態とされている請求項69記載の光検知器。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好適実施例の幾つかの例の詳細な説明を以下に与える。幾つかの実施例について説明するが、本特許明細書において記載する新たな要旨はここに記載されるいずれか一つの実施例又は幾つかの実施例の組合せに制限されるものではなく、多数の代替物、修正物、及び均等物を包含することを理解すべきである。更に、完全なる理解を与えるために以下の説明においては多数の特定の詳細を記述するが、幾つかの実施例はこれらの詳細の幾つか又は全てが無い状態で実施することが可能である。更に、説明の便宜上、本書に記載する新たな要旨が不必要にぼかされることを回避するために、関連技術において既知である或る技術的物質については詳細に記載していない。本書に記載する特定の実施例の内の一つ又は幾つかの個々の特徴を他の記載する実施例の特徴と結合して使用することが可能であることは明らかである。更に、種々の図面における同様の参照番号及び記号は同様の要素を表している。
【0026】
幾つかの実施例によれば、半導体物質のバンドギャップの近傍における波長において物質のバルク吸収定数又は吸収を改善するためにマイクロストラクチャが使用される。このことは、光センサーの動作光学的波長及び/又は動作スペクトルを拡張することを可能とする。向上されたバルク吸収定数(即ち、係数)は実効吸収定数(即ち、係数)と呼称される。「実効」という用語が使用される理由は、吸収定数即ち係数は固有の物質特性だからである。しかしながら、共振効果、結合型共振効果、遅波効果、プラズモン効果、フィールドエンハンスメント効果、散乱効果、近場及びサブ波長効果、線形及び非線形効果がある場合、実効吸収定数即ち係数はバルク即ち物質吸収定数即ち係数よりも一層大きい場合がある。吸収は吸収係数と吸収長との積に指数的に依存するので、バルク吸収係数を維持することによって、実効吸収長は、量子効率に比例する同一の吸収を達成するためにPD/APDの「I」吸収領域の物理的な長さよりも一層大きなものである場合がある。本書において使用されているように、以下の用語は交換可能に使用されており、即ち、向上された吸収定数、向上された吸収係数、向上された実効吸収定数、向上された実効吸収係数、及び実効吸収定数、及び実効吸収係数、向上された吸収長、実効吸収長、向上された実効吸収長である。向上された吸収即ち実効吸収は、向上された吸収係数及び/又は向上された吸収長のいずれか又は両方に起因する場合がある。
【0027】
幾つかの実施例によれば、向上された吸収は経路長に関して劇的な効果を有する場合がある。一つのバルク吸収例において、その元の振幅の1/eに対して吸収すべきフォトンに対する経路長は100μmであり、一方、この特許明細書において記載される幾つかの実施例に基づく向上された吸収の下では、その経路長はその元の振幅の1/eへ減衰するための光学振幅に対して1μmである。等価的に、経路長を1μmに一定に維持する場合には、向上された吸収係数はバルク吸収係数よりも100倍大きく及び/又は向上された実効吸収長は実際の物理的長さよりも100倍大きい。
【0028】
このことはA=A
0e
−αLの関係から理解されるが、尚Aは入射フォトンフラックスA
0の減衰振幅であり、αは吸収係数であり、Lは吸収が行われる経路長である。従って、Lを100倍一層長いものとする代わりに、実効αがバルク吸収係数等の向上されていない吸収係数よりも100倍一層大きなものであるように実効αを定義することが可能である。例えば、マイクロストラクチャの共振/結合共振/散乱/近場効果が100倍一層長い経路長の均等性を与え、その場合に該共振/散乱/近場マイクロストラクチャは1ミクロンの長さであるに過ぎない。このことの一層簡単な記述は、共振/結合共振構造内のフォトンはその元の振幅の1/eの値に到達する前に50回の往復を行い、従ってその均等線形長さは結合共振構造の長さの100倍であるということである。説明の便宜上、共振/結合共振/線形及び非線形フィールドエンハンスメント/散乱/近場効果をここでは集約的に「共振(resonant)」として言及することとし、そのことは、共振、結合共振、遅波、散乱、近場、プラズモン、非線形及び線形光学場効果を包含することが可能である。
【0029】
本書において使用されているように、「マイクロストラクチャ」及び「マイクロストラクチャ型」という用語は、少なくとも一つの寸法がミクロン尺度、サブミクロン尺度、及び/又はサブ波長尺度及び/又は波長尺度である寸法及び種々の形状の柱体、ボイド、穴及びメサのことを意味している。
【0030】
幾つかの実施例によれば、実効吸収を向上させるための本技術は、シリコン、ゲルマニウム、InPとGaAsとGaNとGaNとInGaAs等のIII―V物質、及びIII−V物質群の任意の組合せを包含する種々の物質へ適用することが可能である。本明細書において使用されるように、III−V物質の「物質群」という用語は、GaAs、InP、GaN、InSb半導体に対して格子整合しているか又はほぼ格子整合(数%以内)している任意の物質として定義される。例えば、InP物質群はInGaAs、InGaAsP、InAlAs、InAsを包含することが可能である。幾つかの実施例によれば、マイクロストラクチャの場合、選択区域成長(SAG),エピタキシャル横方向過剰成長(ELOG)、GeかInGaAsか又はシリコンマイクロストラクチャにおけるその他のIII−V物質の薄いバッファ層が有るか又は無いエピタキシャル成長(EG)等の再成長を格子不整合の有害な影響無しに実施することが可能である。何故ならば、シリコン上の格子不整合物質のフットプリントの寸法が小さいからである(約数ミクロン乃至サブミクロン)。このことは、従来のバッファ層(Ge・オン・Si成長の場合における非晶質Ge等)を使用すること無しにGe及びその他のIII−V物質をシリコンと集積化させることを可能とさせる。複数物質の不均一集積化は、ホモ又はヘテロ構造、結晶性及び微結晶性及び非晶質半導体の組合せ、炭素等の導体、グラフェン、絶縁体、誘電体、固体、気体、ガラス等の液体、又は半電導性とすることが可能なポリマーとすることが可能である。Ge及びIII−V物質は、ミクロン尺度より大きな面積からウエハ尺度をカバーする面積を被覆することが可能なSOG、ELOG,EG方法を使用するバッファ層と共に又は無しでSi上に成長させることも可能である。
【0031】
幾つかの実施例によれば、実効屈折率を低下させるために、埋込酸化物(BOX)、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン・オン・サファイア(SOS)、非晶質半導体等の低密度半導体、ナノワイヤ半導体、ボイド及び穴等の低指数物質が使用される。屈折率は物質の固有の特性である。しかしながら、幾つかの実施例によれば、ボイド、空隙、及び/又は穴(低屈折率物質で充填又は部分的に充填させることが可能)等の構造が光学波長程度の寸法を有している場合には、光学的電磁界が物質屈折率と該構造(低屈折率物質で充填又は部分的に充填させることが可能)とからなる平均屈折率を見ることとなる。この平均は、ここでは、実効屈折率と呼称する。幾つかの実施例によれば、低指数又は低実効指数物質をマイクロストラクチャにおいて使用することは必要ではない。
【0032】
幾つかの実施例によれば、実効吸収を向上させる技術をシリコン、ゲルマニウム、InPやGaAsやGaNやInGaAs等のIII−V物質、及びIII−V物質群の任意の組合せを含む種々の物質へ適用することが可能である。
【0033】
マイクロストラクチャに起因して、容量も実効容量によって表すことが可能であり、それは、(1)一つの半導体の誘電率と、(2)半導体、誘電体、気体、真空、部分的真空、ガラス又はポリマー(ポリイミド、マイラー、又はその他の有機化合物)等の液体、とすることが可能な別の物質の誘電率との並列容量である。本装置の実効容量は、2つ又はそれ以上とすることが可能な並列コンデンサの容量の結合である。幾つかの実施例によれば、マイクロストラクチャを使用する利点は、その実効容量を半導体等の均一物質の容量よりも著しく低下させることが可能であるということである。RC時間(抵抗容量)はフォトダイオード及びアバランシェフォトダイオードの帯域幅を決定する基本的な時間の内の一つである。より低い容量は、装置をして、適切に高いデータレート帯域幅を維持しながら一層大きな面積を有することを可能とし、及び/又はPD/APDの帯域幅を決定する基本的な時間である電子及び/又は正孔の走行時間(transit time)を減少させるために該装置の厚さを減少させることによってデータレート帯域幅を増加させることを可能とする。
【0034】
幾つかの実施例によれば、本光センサーはフォトダイオード(PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)、光電池(PV)又は太陽電池、又はフォトンを電子へ変換させる任意のオプトエレクトロニクス装置とすることが可能である。幾つかの実施例によれば、レーザー及び発光ダイオード等の電子/正孔をフォトンへ変換させるエミッター即ち発光体もマイクロストラクチャを使用して実現することが可能である。
【0035】
幾つかの実施例によれば、向上させた吸収はAPD/PDを、(1)バルク吸収係数が弱い、例えば、QE(量子効率)が30%より大きいか又は50%より大きく且つデータ帯域幅が3Gb/sよりも大きい状態で約1000 1/cm又はそれ以下である場合にAPD/PDの感度を物質バンドギャップに近いエネルギ(又は波長)を有するフォトンへ拡張させ、(2)一層短い吸収長従って一層短い走行時間に起因して高データレート帯域幅(例えば、10Gb/sを越える)で動作させ、(3)向上させた吸収で量子効率を増加させ、(4)アバランシェフォトダイオードに対して低過剰ノイズで優れた増倍特性を有するシリコンで製造させ、(5)Siフォトニクス及びCMOSプロセスと適合性があるものとさせることを可能とする。幾つかの実施例によれば、PD/APDは、信号処理、信号増幅、メモリ、CPU、電気的送信機、光学的導波路、集積化オプティックス、及び特定適用例のためのその他のIC等のASIC(応用特定集積回路)と集積化させることが可能である。このことはCMOSファンドリーを使用する大量生産に有益的である。更に、エレクトロニクスと共に又は無しで集積化されている表面(又は底部)照射型PD/APDはウエハレベルプロービングでテストすることが可能であり、更に、単一モード及びマルチモードの両方を取り扱うことが可能である。単一の光学的及び電気的チップはセラミックマルチチップキャリアーの必要性をバイパスし且つ組立及びパッケージングのコストを著しく減少させる。シリコンベンチは必要とされる場合のレンズ、ファイバー等の光学的部品に対する光学的アライメントに関連して使用することも可能である。
【0036】
幾つかの実施例によれば、シリコンはアバランシェ利得のために使用される。シリコンはアバランシェフォトダイオードに対して過剰ノイズが一層低い。Geをシリコンと統合させることによって、吸収はGe物質内において行われ且つ電子的利得はシリコン内において発生する。光学的波長、例えば1100nm未満、に依存して、シリコンは、マイクロストラクチャの使用と共に、吸収及び電子的利得の両方のために使用することが可能である。
【0037】
幾つかの実施例によれば、半導体におけるフォトンの吸収はマイクロストラクチャを使用して向上される。該マイクロストラクチャは、共振、結合共振、フィールドエンハンスメント、近場及びサブ波長効果、散乱、プラズモン、線形及び非線形光学的場、フォトニック結晶、与えられた物理的長さに対するフォトンの一層大きな吸収となる実効吸収長を効果的に増加させることが可能であり及び/又は該吸収係数を実効係数へ向上させることが可能な線形及び非線形の両方の効果である近場領域においての高コントラストグレーチングにおける吸収モード又は損失モード等の効果を有することが可能である。
【0038】
幾つかの実施例によれば、シリコンフォトダイオード及び/又はアバランシェフォトダイオードのための吸収向上のために使用されるマイクロストラクチャは、長さ及び/又は係数の向上に起因して、量子効率が約50%以上で、幾つかの場合にはQEが70%以上で波長が約850nm(それは現在のデータ通信の好適な波長である)で帯域幅が10Gb/s(又は、等価的に、デジタルコーディングフォーマットに依存して、約6.75GHz)を越えているシリコンPD及びAPDとなる場合がある。
【0039】
シリコン光学的検知器は、物質及び処理技術の成熟性に起因して、非常にロバスト即ち堅牢であり、その表面は表面状態及びキャリアー再結合中心を発生させる場合があるダングリングボンドを取り除くために容易にパッシベーションすることが可能であり、且つ、APD適用例の場合、正孔と電子との間のイオン化比(k係数、シリコンはどのIII−V物質よりも低いk係数を有している)が小さいのでノイズが低く、且つこの様な検知器は信号処理用エレクトロニクス及びSiフォトニクスとの集積化に対してCMOS適合性を有している。
【0040】
幾つかの実施例によれば、光発生されたキャリアーは、高変調帯域幅(10Gb/s帯域幅以上)及び高量子効率のため及び利得が3dBより大きな高電流利得用のAPDのためのP−I−Nダイオード(PD)又はP−I−P−I−Nダイオード(APD)の吸収用「i」(時々「I」と言及される)領域における外部逆バイアスでスイープアウト即ち一掃される。
【0041】
1Gb/sよりも大きな帯域幅を有するマイクロストラクチャ型フォトダイオード及びアバランシェフォトダイオードは通信において使用される。光学信号は、バイナリー(強度)、位相/周波数偏移(コヒーレント、ヘテロダイン通信)、分極(偏光)コーディング(polarization coding)、波長分割多重化等の多波長、及び分極多重化等の技術を使用して光に刻印された情報を有している。該光学信号は、空中及び/又はファイバーを介して走行してマイクロストラクチャフォトダイオード及び/又はアバランシェフォトダイオード上に突き当たり、そこで該光学信号上に刻印されている情報を電気信号として抽出することが可能である。幾つかの場合においては、ヘテロダイン又はホモダインにおけるように、別の一つ又は複数の光学的供給源を混合させることが必要である。
【0042】
図1は、幾つかの実施例に基づいて、本マイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードを使用することが可能な光学データ伝送システムを例示している概略図である。光学データ伝送システム100は、光学的供給源(ソース)110、空気及び/又はオプチカルファイバー等の伝送媒体120、及びマイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードMS−PD/APDから構成されている。幾つかの実施例によれば、光学的供給源110はレーザーとすることが可能である。電気データ112が、直接的変調のためにレーザー110を順方向バイアスしている電源114で光学信号上に刻印される。レーザー110の出力は、ボールレンズ等の結合器122を介してオプチカルファイバー120へ結合させることが可能である。該光学信号はファイバー120(又は空気)を介して伝播し且つファイバー120から例えばレンズ124を介して高速マイクロストラクチャフォトダイオード/アバランシェフォトダイオード130へ結合させることが可能であり、そこで、該光学信号は電気信号へ変換され且つその結果得られるデータ132(データ112と一致する)が回復される。該マイクロストラクチャフォトダイオード/アバランシェフォトダイオードは電源134を使用して逆バイアスされる。
【0043】
幾つかの実施例によれば、波長選択要素を該マイクロストラクチャ型フォトダイオード及びマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオードと集積化させることが可能である。特に、マイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードのアレイを、例えばCMOS、bi−CMOS、バイポーラ装置及び回路を具備している応用特定集積回路を包含することが可能な単一のチップ上に製造させることが可能である。バンドパスフィルター等の波長選択要素は、粗波長分割多重化(CWDM)のために使用することが可能であり、その場合に、例えば、各々が10−40Gb/sの変調データを担持している810,820,830,840,850,860,870,880nmの波長は、単一伝送媒体内において80−320Gb/sの総合データレートを有することが可能である。
【0044】
波長選択要素の例は、高コントラストサブ波長グレーチング、金属膜又は誘電体膜におけるサブ波長穴からなるアレイ、及びブラッグ反射器におけるような交番する屈折率を有している誘電体層、を包含している。該波長選択要素は、空胴共振器を形成するための多数の高コントラストグレーチングを包含しているバンドパスフィルターとすることが可能である。該要素は、グレーチングと、金属膜又は半金属膜上のサブ波長穴アレイ及び/又はブラッグミラー等のその他の波長選択要素との結合とすることも可能である。
【0045】
更に、フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードのマイクロストラクチャは
それ自身、波長選択性及び吸収長向上の両方とすることが可能であるように高コントラストグレーチング等の反射器を形成することが可能である。特に、該フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードのフォトン吸収領域を向上させることが可能である。幾つかの実施例によれば、波長選択性のために共振光学空胴を形成するために、マイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードの上に付加的な高コントラストグレーチングを製造することが可能である。該高コントラストグレーチングの内の一つが該2つの波長選択要素の間で電圧を発生させるように電気的にバイアスさせることが可能である場合には、同調可能なオプチカルファイバーの如く選択された波長を同調させることが可能である。
【0046】
図2は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型フォトダイオード(MS−PD)及びマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)と共に包含されている波長選択要素を示している概略図である。波長選択要素220を使用して、選択波長範囲内の波長のみがMS−PD/APD130上に入射する。幾つかの実施例によれば、その窓は幅を1−20nmとすることが可能である(例えば、820nmの中心波長±5nmで、その場合バンドパスは820nmを中心にした10nmである)。
図2に示した場合は、シリコンMS−PD/APD130と集積化させることが可能なシリコンから構成されている高コントラストグレーチング220である。幾つかの実施例によれば、マイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオード130のマイクロストラクチャ特徴部210は、該フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードの吸収特性を向上させる機能に加えて、それ自身が波長選択器として動作することも可能である。MS−PD/APD130のマイクロストラクチャ210が波長選択器として構成される場合には、高コントラストグレーチング220の付加はバンドパスフィルターとして機能することが可能な共振空胴を形成する。
【0047】
図3は、幾つかの実施例に基づいて、複数個の波長選択要素を具備しているMS−PD/APDを示している概略図である。この場合には、複数個の波長選択要素320及び322が製造され且つMS−PD/APD130内に集積化されている。波長選択要素320及び322は、バンドパスフィルターとして機能するデュアル高コントラストグレーチングである。幾つかの実施例によれば、他のものと相対的に一つの波長選択要素へ或る電圧を印加すると、同調可能なバンドパスフィルターを製造することが可能である。
【0048】
図4(A)乃至(D)は、幾つかの実施例に基づいて、種々のバンドパスフィルター特性を示しているグラフである。
図4(A),(B),(C),(D)におけるプロットは、夫々、中心波長が820,830,840,850nmであり、尚「R」は反射率である。例えば、10nmの帯域幅の場合の中心波長において、反射率は実際上ゼロであって殆どの光が透過され、一方、その帯域幅の外側においては、反射率は殆ど100%であり透過は実際上ゼロである。
【0049】
図5は、幾つかの実施例に基づく、粗波長分割多重化(CWDM)形態を示している概略図である。この場合に、中心波長が820,830,840,850nmで各々が100Gb/s総合データレートに対して25Gb/sの変調データレートを有しているような伝送媒体内を4つの波長が伝播する。各波長選択MS−PD/APDで反射することによりMS−PD/APD530,532,534,546上のバンドパスフィルターによって光学バンドが分離される。各反射の後、その光は反射器550を介して次の波長選択MS−PD/APDへ反射され、全ての光学バンドが指定されたMS−PD/APDによって吸収されるまで、以下同様に行われる。各中心波長は一つのデータチャンネルを担持しており、例えば、820nmは25Gb/sのデータレートにおいてチャンネル1を担持しており、且つ820nmにおけるバンドパスフィルターを有するMS−PD530は820nm信号を光学信号の残部から分離し且つ集積化したCMOSASIC(不図示)によって更なる信号処理を行うために回復されたデータチャンネル1を発生させる。
【0050】
幾つかの実施例によれば、MS−PD/APDエピタキシャル層厚さは、エピタキシャル層厚さ及びCMOS(相補的金属酸化物半導体)プロセスの構造と適合性があり、従ってCMOSASICと集積化させることが可能である。対照的に、1.25Gb/sのデータレートを有する850nmにおいての従来のシリコンフォトダイオードは10μm厚さよりも大きなエピタキシャル層及び53%量子効率を有している。従って従来のシリコンフォトダイオードの比較的厚い層はCMOSプロセスと容易に適合可能なものではない。
【0051】
幾つかの実施例によれば、該光吸収層は非結晶性のものとすることが可能である。特に、それは、例えば、プラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)及び/又はホットワイヤ化学蒸着(HWCVD)によって付着される水素化非晶質Si(a−Si:H)とすることが可能である。その層は、典型的に、0.3−3μm厚さの程度である。該光吸収領域(即ち、pinフォトダイオード構造のi領域)を横断して逆バイアスで電圧を印加して光発生されたキャリアーを一掃して高速データ通信適用例のための高効率及び高帯域幅を可能とさせる。該非結晶性層上の層は透明又は半透明の導電性金属又はインジウムすず酸化物等の導電性酸化物とすることが可能である。該上部層はpin構造を形成するためにドープした非結晶性物質の薄い層とすることが可能である。
【0052】
図6(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づく、マイクロストラクチャ型フォトダイオードの幾つかの基本的な部品を示している概略図である。
図6(A)はマイクロストラクチャをエッチングする前の物質構造600を示しており、且つ
図6(B)はエッチング後のMS−PD660を示している。注意すべきであるが、幾つかの実施例によれば、該マイクロストラクチャは穴622であり、且つ幾つかのその他の実施例においては、該マイクロストラクチャは柱体である。幾つかのその他の実施例において、該マイクロストラクチャは穴と柱体との結合である。「la」層608は、結晶性又は非結晶性N層上に成長させた非結晶性(例えば、水素化非晶質Si(a−Si:H))とすることが可能である。P層610は非結晶性及び高度にドープしたP又は導電性酸化物又は金属とすることも可能である。N層606も金属又は導電性酸化物とすることが可能である。オーミックコンタクト628及び630を使用してP層とN層との間にバイアスを印加させて、水素化キャリアーを一掃する高電界をI層608内に形成させる。基板602は、例えば、非結晶性及び/又は石英等の誘電体、ガラス、セラミック、及び/又は金属等の導体、シリサイド、導電性ポリマーとすることが可能である。幾つかの実施例によれば、「i」層608としても知られる「la」は0.3乃至3μmの厚さ範囲を有することが可能である。
【0053】
図7(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づく底部照射型フォトダイオードの幾つかの基本的な部品を示している概略図である。
図7(A)はマイクロストラクチャをエッチングする前の物質構造700を示しており、且つ
図7(B)はマイクロストラクチャ(穴722等)をエッチングした後の底部照射型MS−PD760を示している。底部照射型PD/APDの場合、「la」即ち「i」領域708はa−Si:H等の非結晶性とすることが可能であり且つ「N」層710も非結晶性とすることが可能であり、一方、「P」層706はBOX/SOI704上で結晶性か又は非結晶性とすることが可能であり且つ結晶性又は非結晶性基板702とすることが可能である。しかしながら、光学損失を最小とさせるために、基板702及びP層706が結晶性であることが望ましい。何故ならば、それは800乃至1100nmの範囲の波長において非晶質シリコンよりも吸収性が少ないからである。「ダブル又はマルチバウンス(bounce)」のPD/APDの場合、吸収領域「la」層708は0.2乃至2μmの厚さ範囲を有することが可能である。何故ならば、光学信号はN金属コンタクト726で反射し且つ「la」吸収層708へ戻るからである。「la」層708の厚さは減少させることが可能であり、従って、走行時間を減少させ且つフォトダイオード又はアバランシェフォトダイオードの帯域幅を増加させることが可能である。
【0054】
図8(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づく、MS−APD構造の幾つかの基本的な部品を示している概略図である。
図8(A)はマイクロストラクチャをエッチングする前の物質構造800を示しており、且つ
図8(B)はエッチング後のMS−APD860を示している。光吸収用の「la」領域808は結晶性又はa−Si:Hなどの非結晶性とすることが可能である。PINシリコン(820,818、及び806)の結晶性アバランシェ利得領域をシリコン基板又はBOX/SOI(埋込酸化物/シリコン・オン・インシュレータ)基板802上に成長させる。Pa上部層810は結晶性又は非結晶性とすることが可能である。PSi層810とオーミックコンタクトを形成するため及び/又はシート抵抗を減少させるために、透明な金属酸化物層826を設けることが可能である。注意すべきことであるが、光学信号は上部表面へ真っ直ぐ(垂直)に来るか、又はそれは
フォトン矢印で示したように角度をもって来る場合がある。マイクロストラクチャ822は穴、柱体、又はこれらの組合せとすることが可能である。
図8(B)に示したものは上部照射型APD860であるが、幾つかの実施例によれば、BOX/SOIを使用して、基板のバルクを除去することが可能であり、且つ該APDは800−1100nmの波長範囲で底部から照射させることが可能である。P層810を介してのPオーミック及びボンド金属828とN基板806を介してのNオーミック及びボンド金属830との間に逆バイアスを印加させる。その逆バイアスは水素化キャリアーを一掃すると共に電子的利得を与える。PD用の典型的なバイアス電圧は1乃至10ボルトの逆バイアスであり、且つAPDの場合には、その範囲はほぼ5乃至50ボルトの逆バイアスである。ここに記載する全てのPIN、PIPIN装置における如く、PとNとは交換可能であり、例えば、フォトダイオード及びアバランシェフォトダイオードに対して、PINはNIPとすることが可能であり且つPIPINはNINIPとすることが可能である。アノード即ちP層はカソードN層に関して負にバイアスされる。
【0055】
図9(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づいて、III−V又はGe物質のSAG前後の選択区域成長(SAG)APD構造の或る側面を示している各概略図である。
図9(A)はエッチングした穴922(又は柱体周りの区域)を有するSiAPD構造を示している。III−V物質又はGeの選択区域成長(SAG)エピタキシャル成長を実施することが可能であり、
図9(B)に示した如く、その場合には、Pa層910及びla層908はa−Si:H等の非結晶性とすることが可能であり、又はそれは結晶性シリコンとすることが可能である。特に、マイクロストラクチャのI区域934はInGaAs又はGeとすることが可能であり、且つP区域932はInGaAsとすることが可能である。幾つかの実施例によれば、アバランシェ利得層(P層920及びI層918)を除去したPD構造で開始して、InGaAs又はGeを具備するSAG PDを製造することが可能である。GaN,ZnSe,InP,GaAs等のその他の物質もSAGにおいて使用することが可能である。幾つかの実施例によれば、非晶質Ge等のその他の非晶質半導体を使用することも可能である。幾つかの実施例によれば、間接遷移を超えるエネルギを有するフォトンの結晶シリコンよりも一層高い吸収係数に起因して非晶質シリコンを使用することが可能である。
【0056】
図10は、幾つかの実施例に基づくPINエピタキシャル層を具備する簡単化したマイクロストラクチャ型シリコンフォトダイオードを示している概略図である。0.2乃至10μmの厚さとすることが可能な埋込酸化物層(BOX)1004へ穴1022がエッチングされている。この構造1060は、シリコンと二酸化シリコンとの間の屈折率において高コントラストを提供しており、そのことは吸収を向上させることが可能である。I層1008は0.5乃至5μmの範囲内の厚さとすることが可能であり、且つP層1010及びN層1006は0.1乃至5μmの範囲内の厚さとすることが可能である。吸収の向上は800乃至900nm又はそれ以上の波長範囲において50%を越えるものとすることが可能である。その向上された吸収は、垂直共振器面発光レーザー等のレーザーを直接的に変調させることによるか、又は光学的変調器がレーザー光を変調させる間接的変調によって発生される光学信号の或る波長範囲に対して最適化させることが可能である。Gb/sでのその変調されたレーザー光が該光学信号である。該光学信号は垂直入射で又は垂直入射に対して或る角度でのいずれかでマイクロストラクチャ型フォトダイオード1060上に入射する。マイクロストラクチャ型フォトダイオード1060の高速動作のためにPオーミックコンタクトのアノード1028とNオーミックコンタクトのカソード1030との間に逆バイアスを印加させる。図示していないものはシリコン表面上の10乃至100nmの厚さのパッシベーション層で、それは、表面再結合において発生するダングリングボンドを減少させるために、例えば、Siのウエット(蒸気)又はドライ酸化、二酸化シリコンの原子層付着、蒸着、によって成長される。
【0057】
図11は、幾つかの実施例に基づくPINエピタキシャル層を具備している簡単化したマイクロストラクチャ型シリコンフォトダイオードを示している概略図である。MS−PD1160は、マイクロストラクチャ型穴1122がBOX層1004へ完全に貫通してエッチングされていないことを除いて、MS−PD1060と同一である。幾つかの実施例によれば、0.01乃至2μmのN層1006を残存させることが可能である。
【0058】
図12(A)−(C)は、幾つかの実施例に基づいて、特定のマイクロストラクチャ型穴パターンのマクスウエル伝播方程式方法の有限差分時間領域(FDTD)を使用するシミュレーションの状況を示している。
図12(A)は六角形穴パターンを示しており、その穴の中心間距離がx方向において495nmでy方向において860nmである。
図12(B)に示してあるように、該穴は2μmの深さまで完全に貫通してエッチングされており、その穴の直径は上部において385nmであり底部において430nmである。
図12(C)は、有限差分時間領域技術を使用したシミュレーションの結果を示しているプロットである。曲線1210,1212,1214は、夫々、吸収率、反射率、及び透過率を示している。この特定の例においては、2μmの厚さのシリコンの場合、805乃至830nmの波長範囲の光の60%を超えるものを吸収させることが可能であることが理解される。穴直径、間隔、エッチング深さを変えることによって、光学信号の特定の波長に対して吸収を最適化させることが可能である。幾つかの実施例によれば、穴直径は200乃至1800nmで変化させることが可能であり、間隔は200乃至3500nmで変化させることが可能であり、且つ深さは0.1乃至2μmで変化させることが可能である。
【0059】
図13は、幾つかの実施例に基づいて、P−I−Nドーピングを有する高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)用のエピタキシャル層構造を示している概略図である。Si1302におけるBOX(埋込酸化物)1304で開始して、尚該酸化物層の厚さは0.1乃至10ミクロン又はそれ以上の範囲であり、薄いGeバッファ層1370をNSi1302の上に成長させることが可能である。Geバッファ層1370を設けるか又は設けずに、その後のN,I,P層1306,1308,1310はGe及び/又はInGaAs,InP,InGaAsP,GaAs,AlGaAs,GaN,InGaN,AlGaN等のIII−V物質群とすることが可能である。N,I,P層1306,1308,1310がSiである場合、Geバッファ層1370は省略することが可能である。該PDの高速動作のために、該N層1306は0.1乃至5ミクロンの範囲とすることが可能であり、該I層1308は0.2乃至3ミクロンの厚さ範囲とすることが可能であり、且つ該P層1310は0.1乃至2ミクロンの範囲とすることが可能である。最後の層、この例においてはP層1310、は薄いInGaAsのキャッピングを具備するInPとP層等の複数の層の結合とすることが可能である。
【0060】
図14は、幾つかの実施例に基づいて、P−I−Nドーピングを有する高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)用のエピタキシャル層構造を示している概略図である。該PINヘテロ構造は、Geバッファ層1470がI層1408とN層1406との間の界面又はその近くにおけるものとすることが可能であり、その場合にI層1408及びP層1410はGe及び/又はIII−V物質群とすることが可能であるということを除いて、
図13のものと同様である。この構造例の利点は、Siのバンドギャップ未満のフォトンエネルギーの場合に、N層1406においてより少ない数の電子・正孔対が発生され、そこで光発生されたキャリアーはI層1408内の高電界領域へ拡散することが可能であり、その結果該PDの高速応答における低速成分となる。該Geバッファ層はヘテロ成長のためには必要ではない場合もある。
【0061】
図15は、幾つかの実施例に基づいて、P−I−Nドーピングを有する高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)用のエピタキシャル層構造を示している概略図である。該PINヘテロ構造は、I領域1508のみがGe及び/又はInGaAs,InSb,InGaAsP,InAs等のIII−V物質群等の一層低いバンドギャップ物質であることを除いて、
図13及び14のものと同様である。P層1510及びN層1506の両方が一層高いバンドギャップ物質から構成されている。幾つかの実施例によれば、P層1510及びN層1506はフォトンエネルギーよりも一層高いバンドギャップエネルギーを有しており、且つI層1508はフォトンエネルギーと等しいか又はそれより低いバンドギャップエネルギーを有している。例えば、N層1506はSiとすることが可能であり、I層1508はInGaAs及び/又はGeとすることが可能であり、且つP層1510はSi及び/又はInPとすることが可能である。Geバッファ層はヘテロ成長のために必要である場合も必要でない場合もある。P領域及びN領域において一層高いバンドギャップ物質を有することの利点は、これらの領域において発生される光キャリアを最小とさせることである。P領域及びN領域において発生される光キャリアは高電界領域へ拡散することが可能であり、その結果短い光学パルスに対してのフォトダイオードの応答における比較的遅い成分となる。したがって、P領域及びN領域において発生される光キャリアを減少させることは「テール効果(tail effect)」、即ちデータを光学的に送信するためのビットストリームにおける如く光学的入力パルス又は1組のパルスに応答してPDの電気的パルス出力の下降時間、を減少させる。P領域及びN領域の高ドーピングも、これらの領域において発生された光キャリアが高電界「I」領域へ拡散する前に再結合することが可能であるように、少数キャリア寿命を減少させる。
【0062】
図16は、幾つかの実施例に基づいて、高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)の製造の幾つかの側面を示している概略図である。
図13に図示した例示的構造が、シリコン層1302内に埋め込まれている酸化物層1304までずーとPIN層1310,1308,1306を貫通してエッチングされている穴1622と共に示されている。ドライ及び/又はウエットエッチを使用することが可能であり、原子層付着によって露出表面へパッシベーション層を付加させることが可能である。この例においては、Geバッファ層1370がN層1306とSi層1302との界面に設けられている。幾つかの実施例によれば、
図14及び15に示した構造に対して同様の製造方法が使用される。
【0063】
図17(A)−(D)は、幾つかの実施例に基づいて、穴配置、間隔、寸法、及びパッシベーション層の例を示している各概略図である。
図17(A)は280nmの間隔でパッシベーション層厚さが50nmである六角形レイアウトを示している。
図17(B)は正方形レイアウトを示している。
図17(C)及び(D)は、夫々、テーパー付き及び垂直の穴形状を示している。これらの図示例はシリコン用であるが、寸法を多少修正すれば、該技術はGe及びIII−V物質群に対しても適用可能である。該穴は円形断面を有することが可能であり、又は、幾つかの実施例によれば、たとえば、楕円、矩形等のその他の形状とすることが可能である。
【0064】
図18は、幾つかの実施例に基づいて、高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)の製造の更なる側面を示している概略図である。マイクロストラクチャ型穴1622をエッチングし、且つPオーミックコンタクト層1828を付着させ且つアニールさせた後の
図13及び16に図示した例示的構造を示してある。
【0065】
図19は、幾つかの実施例に基づいて、高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)の製造の幾つかの更なる側面を示している概略図である。
図13,16,18に図示した例示的構造が示されている。Pオーミックコンタクト1828を付着させ且つアニールさせた後に、メサをエッチングして物質1972を除去してPDの容量を画定させることが可能である。該メサの直径は該PDに対して望ましいRC時間に依存して5ミクロンから100ミクロンを超える範囲とすることが可能である。露出されたP,I,N領域のパッシベーションを実施して、例えば、ダングリングボンドに起因する漏洩電流を最小とさせる。幾つかの実施例によれば、電気的に半絶縁性又は絶縁性の領域を発生させることによってPIN構造の容量を画定させるために、メサエッチングの代わりにプロトン衝撃等のイオン注入を使用することも可能である。
【0066】
図20は、幾つかの実施例に基づいて、高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)の製造の幾つかの更なる側面を示している概略図である。
図13,16,18,19に図示した例示的構造が示されている。メサエッチングの後に、N層1306上にリング又は部分的リング形状のNオーミックコンタクト2030を形成する。P領域1310へ電気的バイアスを印加するためにPオーミックコンタクト1828からボンドパッド(不図示)へのメタリゼーションを接続させるために架橋経路が形成されるようにポリイミド等の物質から絶縁層を形成すること等のPDを完成させるための付加的な処理ステップは図示していない。又、簡単化のための、Nオーミックコンタクト2030をNボンドパッドとの間の接続用金属は図示していない。I層1308内に高電界を形成させるためにP及びNオーミックコンタクト1828と2030とに逆電気バイアスを印加させる。幾つかの実施例によれば、負の1乃至負の10ボルトの電圧を印加させることが可能である。
【0067】
図21は、幾つかの実施例に基づいて、損失性高コントラストマイクロストラクチャ型フォトダイオード(PD)の幾つかの側面を示している概略図である。
図21は、光が吸収層1308内を2度走行するマイクロストラクチャ型PPDを示している。このことは、Si基板1302の一部2174を酸化物層1304まで除去し且つ該酸化物をAu,Ag,Al又はCu等の金属反射器2176でコーティングすることによって達成される。幾つかの実施例によれば、ブロードバンド又は波長選択性のいずれかのためにブラッグ反射器の形態とすることが可能である。幾つかの実施例によれば、特に、粗波長分割多重化、又は波長分割多重化において使用するために更に波長選択性を与えるためにP層1310の上部表面上にブラッグ層を包含させることも可能である。
【0068】
図22(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づいて、特定のマイクロストラクチャ型PDのFDTD方法を使用するシミュレーションの状況を示している。
図22(B)は、
図21に図示した如きダブルバウンス構造に対するフォトンの波長に対してのフォトンの吸収のシミュレーション結果を示しているプロットである。該シミュレーションにおいて使用された例示的な厚さは以下の通りであり、即ち、酸化物1304は2ミクロン、Pシリコン1310は300nm、ISi1308は2ミクロン、及びNシリコン1302は300nmであり、反射器2176は100nm厚さのAuである。
図22(A)に示した如く、六角形マイクロストラクチャ型穴を採用している。
図22(A)に示されている如く、該穴は中心間六角形周期が600nmであり、穴直径が480nmであり、SiO
2パッシベーションが30nmである。これらの寸法は、波長に対する吸収特性の対応するシミュレーションを有するマイクロストラクチャ型穴に対する単なる一つの例である。
図22(B)の曲線2210(吸収)及び2212(反射)から理解することが可能であるように、マイクロストラクチャ型穴の無いSiの場合におけるよりも吸収が著しく一層高いものであることが判明した。例えば、850nm波長の近傍において、吸収は70%よりも一層良い。
【0069】
図23は、幾つかの実施例に基づいて、高コントラストマイクロストラクチャ型PDの或る側面を示している概略図である。下部構造は
図20の構造と類似しており、即ち、Si基板2302、SiO
2層2304、及びSiN層2306である。下部Si層2308を設けることも可能である。この場合、Geは上部I層2309及びP層2310として使用される。P層2310は、GeI層2309上に成長させることが可能なInPから構成することも可能である。InPP層2310の利点は、それが0.9乃至2μmの波長においての吸収性がより低いということである。P層2310はGeI層2309上に成長されるGaAsから構成することも可能である。更に、マイクロストラクチャ穴2322、Pオーミックコンタクト2328、Nオーミックコンタクト2330も示されている。注意すべきことであるが、光はP層2310の上部表面上及び/又はSi基板表面2302上に入射することが可能である。
【0070】
図24は、幾つかの実施例に基づいて、ヘテロエピタキシャルマイクロストラクチャ型PDの状況を示している概略図である。この場合に、I領域は、Ge層2470によって分離されているSi(下部層2408)とInGaAs(上部I層2409)との複合体とすることが可能である。P領域2410はInPである。幾つかの実施例によれば、該I領域は、その全体をバッファGe層2470の薄い層の上に成長させたInGaAsとすることが可能である。更に、Si基板2402、酸化物層2404、N層2408、マイクロストラクチャ穴2422、Pオーミックコンタクト2428、及びNオーミックコンタクト2430も示されている。これは、高コントラストマイクロストラクチャ型PD構造の1例である。それは、更に、
図21における如き金属反射器を組み込むことが可能であり、その場合には、該PD下側の酸化物層へエッチングすることによってSiを除去し且つAu,Ag,Al又はCu金属層を付着させて光をI吸収層へ向けて反射させることが可能である。上述した如くブラッグ反射器を使用することも可能である。光は、この例においては、P層側からやってくる。光はSi基板側から来ることも可能であり、その場合には、I層を二度走行させるために反射器が該P層上に配置される。この様な構成の利点は、I層を単一走行の場合のものから不変のまま維持しながら、吸収領域を二度又はそれ以上走行させることによって吸収が著しく改善されるということを包含している。吸収領域厚さを、例えば、単一走行PDのものの半分へ減少させることによって、PDの速度が増加する。何故ならば、光発生されたキャリアーに対する走行時間は単一走行PDの距離の半分だけ走行することが必要であるに過ぎないからである。高コントラストマイクロストラクチャとは、該マイクロストラクチャ及び一つの表面界面における空間又は大気及びSiO
2及び/又は別の表面界面におけるバルク半導体物質の間の屈折率差のことを意味している。光は結合型固有セル又は共振器セルの複雑な態様で該マイクロストラクチャと相互作用を行い、その場合に、格子内の各六角形又は正方形セルは、発生する場合がある線形及び非線形の光学的フィールド向上に加えて、その隣接するセル又は共振器と結合されている個別的な共振器として考えることが可能である。光学的損失が存在しないか又は殆ど存在しない場合には、その結合型共振器構造は高いQ(共振器の品質係数)を有することが可能であり、即ち、光は、例えば、消失する前に10
4乃至10
6回を越えて該マイクロストラクチャ内において繰り返しバウンス即ち跳ね返ることが可能である。しかしながら、弱い吸収に起因する等の光学的損失が或る場合、Qは低い場合があり且つ光は100回未満、又は20−30回未満だけ該マイクロストラクチャ内で繰り返し跳ね返る場合がある。PD/APDにおけるマイクロストラクチャは低Q高コントラスト構造又は損失性高コントラスト構造であり、各セルのQは隣接するセルに結合されている。
【0071】
図25は、幾つかの実施例に基づいて、発光ダイオード(LED)又は垂直表面発光レーザー(VCSEL)等の光学的発光器に対する高コントラスト構造を示している。光学的発光器2500はヘテロエピタキシャル層構造である。Si層2506をSi基板2502及びBOX/SiO
2層2504上に形成する。バッファGe層2570をSi層2506上に形成することが可能であり、続いて層2510を形成することが可能であり、該層2510はInAs量子ドット2572とし、GaAs及びAlGaAsで被覆させることが可能である。更に、「I」層を約1000nm以下の薄いものとすることが可能であり且つ順方向バイアスさせる簡単なSiPINマイクロストラクチャはフォトン射出体とすることが可能である。
【0072】
図26は、例えば、幾つかの実施例に基づく、高コントラスト1.3ミクロン波長フォトエミッタ(PE)用の基本的な構造を示している。1.3ミクロン波長エミッタ用のアクティブ層は、InAs量子ドット層2570(
図25に図示)又は
図26における2670をGaAsP層2604とN層2606との間に挟み込み、それらをAlGaAsP層2608とN層2602との間に挟み込み、且つPGaAsキャッピング層2610を最終層として使用して形成される。典型的な厚さは文献中に見出すことが可能である。例えば、AY Liu, S Srinivasan, J Norman, AC Gossard, JE Bowers等のシリコンフォトニクス用量子ドットレーザー(Quantum Dot Lasers For Silicon Photonics)、フォトニクスリサーチ3(5)、B1−B9(2015)を参照すると良く、この文献を引用により本書に取り込む。更に、量子ドット及び/又は被覆層の複数の層がある場合がある。該マイクロストラクチャは、利得及び光学的フィールドオーバーラップを最適化させるために、QD層の内の一つ又はそれ以上に定常波ピークが位置されるように構成することが可能である。MS−PD/APDの場合、該マイクロストラクチャの長さは、特定の波長において、整数個の波長が往復して、例えば、その特定の波長においての吸収の向上を最適化させるようなものとさせることが可能である。更に、単一のマイクロストラクチャ、例えば、単一の穴が、マイクロストラクチャの無い同様の構造のものと比較して、PE又はMS−PD/APDのいずれかに対して吸収又はエミッションの向上を有することが可能である。
【0073】
図27は、幾つかの実施例に基づいて、エッチングした穴を具備する高コントラストマイクロストラクチャ型フォトエミッタ(PE)構造の幾つかの基本的な特徴を示している概略図である。その物質構造は
図25に示したPE2500のものと同様である。マイクロストラクチャ穴2722はアクティブ層2510内にエッチングされている。P及びNオーミックコンタクト2728及び2730を使用して、装置2700を順方向にバイアスさせ、即ちNに対してPを正とさせてアクティブ層2510からフォトンを発生させ、該アクティブ層2510は、本例においては、1.3ミクロンの波長においてのInAs量子ドット2572を有している。可視光から赤外光のその他の波長において光を発生させるために、その他のアクティブ層、被覆層を使用することが可能である。光の波長に依存して、光は上部表面から及び/又は酸化物層2504を介して底部表面から射出させることが可能である。マイクロストラクチャ型高コントラストフォトンエミッタの利点は、フォトンが該アクティブ層及び/又はレーザーの場合には利得層と一層長く相互作用を行うことである。何故ならば、該高コントラスト構造は非常に高いQを有することが可能であり、そのQは10
3乃至百万以上の範囲に亘り、というのも、該構造は殆ど光学的損失を有するものではなく且つ該量子ドットが光学的利得を与えるからである。該高コントラスト低損失マイクロストラクチャ型フォトエミッタはLEDとして、VCSELとして、及び/又はレーザー及び/又は高出力LEDとして動作することが可能である。該PEは順方向バイアスされ、Nオーミック即ちN層であるカソード2730に対してPオーミック即ちP層は正電圧にある。
【0074】
図28は、幾つかの実施例に基づいて、PEの幾つかの側面を示している概略図である。PE2800は、基板2502の一部2874が光射出領域下側で酸化物層2504へ除去されていることを除いて、
図27に示したPE2700と同様である。金属及び/又は分散型ブラッグ反射器(DBR)2504等のブラッグからなる反射器を該酸化物層上に形成してアクティブ層内で発生された光をP層2510表面へ反射して戻させる。幾つかの実施例によれば、装置2800はLEDモード及び/又はレーザーモードで動作する。
【0075】
図29は、幾つかの実施例に基づいて、PEの幾つかの側面を示している概略図である。PE2900は、金属とすることが可能であり且つ、所望により、Pオーミックコンタクトとしても動作することが可能な反射器2928を包含している点を除いて、
図28のPE2800と同様である。幾つかの実施例によれば、別体のPオーミックを設けることが可能である。反射器2928は分散型ブラッグ反射器及び/又は部分的に金属及び部分的にDBRとすることも可能である。光は酸化物層2504の下部表面から且つ一部2874が除去されている基板2502を介して射出される。フォトエミッタ即ち光射出器2900は、LED及び/又はVCSELモード等のレーザーモードで動作することが可能である。幾つかの実施例によれば、フォトエミッタ2900はエッジモードで動作することが可能であり、その場合に光はアクティブ層の面に対して垂直ではなく面内において射出され、射出エッジに沿ってDBR又は金属等のミラーが存在する場合も存在しない場合もある。
【0076】
図30は、幾つかの実施例に基づいて、PEの幾つかの側面を示している概略図である。PE3000は
図29のPE2900と同様であるが、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)として構成されている。PE3000は高コントラストマイクロストラクチャ型穴(又は柱体)を具備しておりSi上にヘテロエピタキシャル成長されている。注意すべきことであるが、簡潔性のために非常に基本的な部品のみが示されているに過ぎない。該高コントラスト構造は反射器2928及び3076によって挟み込むことが可能である。P層2510は半導体エピタキシーによって成長されたDBRとすることが可能であり、それに続いてPオーミックメタリゼーション層2928を設けることが可能である。幾つかの実施例によれば、DBRは導電性酸化物又は非導電性酸化物から形成することが可能であり、DBR上にP金属を設けるか及び/又は
図28における如くその側部上に設けることが可能である。酸化物層2504の底部側上のミラー3076は金属及び/又は異なる屈折率の誘電体層のDBRとすることが可能である。図示した如き光出力は底部からのものであるが、上部からのものとすることも可能である。
【0077】
図31は、幾つかの実施例に基づいて、簡単なPINフォトダイオード構造の幾つかの側面を示している概略図である。高電界領域外側の領域において発生された光キャリアーに起因する拡散電流を最小とさせるために、「I」層3108、P及びN層3110及び3106は高度にドープさせ及び/又は縮退的にドープさせて少数キャリアーの寿命を減少させる。N及びPドーピングは1×10
18乃至8×10
21/cm
3以上の範囲とすることが可能である。I層3108は意図的にドープしておらず且つ5×10
16/cm
3未満とすることが可能である。更に、酸化物層3104とSi基板3102とが示されている。前の例におけるように、Geバッファ層を付加するかしないかに拘わらず、Ge及び/又はIII−V物質を成長させることが可能であり且つP及びN層も高度にドープさせるか及び/又は縮退的にドープさせることも可能である。そのドーピングは一様なものであることは必要ではなくグラデーションを有することが可能であり、例えば、エピタキシャル成長期間中に「I」層内へのドーパントの拡散を最小とさせるために「I」層界面近くのP又はN層においてドーピングを減少させる。
【0078】
P及びN層における少数キャリアーの寿命を減少させることによって、これらの層内の光発生されたキャリアーは拡散し及び/又は高電界「I」内に移動する前に再結合することが可能であり、該高電界「I」においては、電子及び/又は正孔が光電流に貢献してフォトダイオード変調型周波数応答の劣化となる場合がある。従って、高電界領域外側で発生されたキャリアーに起因する光電流の寄与を最小とさせることが望ましい。
【0079】
少数キャリアーの寿命を減少させるその他の方法は、P及び/又はN領域における部分的及び/又は完全なビアイオン注入等の欠陥を導入することを包含している。導入されるイオンは不活性イオン及び/又は活性イオンとすることが可能であり、部分的な又は完全な熱アニーリングを行うか又は行わないことが可能である。更に、該マイクロストラクチャ型穴(及び/又は柱体)は部分的なパッシベーションを行うか又は行わないものとすることが可能であり、従って、N及びP層の低電界領域はキャリアーシンクとして作用することが可能であり、一方、「I」層の高電界領域においては、該キャリアーは迅速に一掃される。パッシベーションは「I」層上において目だって選択的とすることが可能である。
【0080】
図32は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD製造の幾つかの側面を示している概略図である。開始物質構造は
図31の構造3100に図示した如きものとすることが可能である。簡単なNIP(N及びPはPINに対しては交換可能である)マイクロストラクチャ型フォトダイオードが示されており、その場合に、穴3222がP層3106の上部へエッチングされている。その目的はN及び「I」層の壁をパッシベーションし且つP層の壁をパッシベーションせずにおいてそれにより、例えば、780乃至980nmの波長を有する光で発生されるP層内の少数キャリアーの寿命を減少させる。パッシベーションされていないP壁上の表面状態は少数キャリアー用の潜在的なシンクとして作用することが可能であり、そこで該キャリアーは再結合される。
【0081】
図33は、幾つかの実施例に基づいて、MS−PD製造の或る側面を示している概略図である。N及び「I」層の穴3222の側壁のパッシベーションが示されており、結果的にパッシベーション層3324が形成されている。該パッシベーションは熱酸化及び/又はSiO
2の原子層付着を使用して実施することが可能である。5−50nm厚さの熱酸化物3324を、例えば、該側壁上に成長させることが可能である。その他の厚さのものを成長させることも可能である。熱酸化の後に、穴のエッチングを継続して行い、例えば、P層3106を貫通してSiO
2層3104へエッチングすることが可能である。全ての処理ステップが示されているわけではなく、例えば、穴のエッチングを継続する期間中に不図示の熱酸化物によってN層を保護することが可能である。
【0082】
図34は、幾つかの実施例に基づいて、MS−PD製造の側面を示している概略図である。パッシベーションの後に、穴3222は区域3422で示した如くに更にエッチングされる。注意すべきことであるが、N及びP層は交換させることが可能であり、従ってこの例において示されている如きNIP構造の代わりに、PIN構造とすることも可能である。穴3222はSiO
2層3104へエッチングさせることが可能であり、及び/又はそれらはP層3106を介して部分的にのみエッチングさせ、薄いP層が残存するようにさせることが可能である。P層3106内の穴3222の側部は、この例においては、パッシベーションされておらず、その表面状態が光によって発生される何らかの少数キャリアーをその潜在的なシンクへと引き込んで再結合させることを可能としている。幾つかの実施例によれば、P層3106もパッシベーションさせ及び/又は部分的にパッシベーションさせることが可能である。層3106も高度にドープさせることが可能であるので、少数キャリアーの寿命は数十ピコ秒以下である可能性がある。
【0083】
図35は、幾つかの実施例に基づいて、MS−PDの或る側面を示している概略図である。マイクロストラクチャ型NIPフォトダイオード3560は、N及び「I」層のパッシベーションされた側壁を具備しているがP層の側壁はパッシベーションされていないマイクロストラクチャ穴3222を有している。N及びP層の夫々へのオーミックコンタクト3528及び3530が付加されてフォトダイオード3560の高速動作のための逆バイアスを与えている。該フォトダイオードのN側上に入射する光は垂直であるか及び/又はN層面に対して垂直からずれたもののいずれかである。
【0084】
図36は、幾つかの実施例に基づいて、MS−PDの或る側面を示している概略図である。マイクロストラクチャ型穴フォトダイオード3660はSiNIP層を有しており、その場合に、パッシベーションは
図35に示したPD3560と同様に側壁上で部分的である。しかしながら、PD3660の場合には、光はSi基板側からオプチカルファイバー3680を介してやってくるが、そこではビア3672がエッチングされているので自己整合プロセスを可能とさせ、その場合に、ファイバー3680は、レンズ3682と共に又は無しで、ビア3672に沿って光のマイクロストラクチャ型フォトダイオード3660内への光学的結合を行うための正しい位置へ案内される。略0.1−10μm厚さの誘電体層3676を穴3222上方のN層3110上に位置決めさせることが可能である。誘電体層3676上にはAg又はAu(又は任意のその他の適宜の金属又は合金で、例えば、Al,Ni,Cr等)等の金属反射器3678及び/又は吸収用「I」層3108へ向けて光を反射させるためにブラッグ反射器(BR)等の誘電体積層体を設けることが可能である。反射防止コーティング3674を設けることも可能である。先の例における如く、Geバッファ層を付加するか又は付加せずにGe及び/又はIII−V物質を成長させることも可能である。
【0085】
図37は、幾つかの実施例に基づいて、少数キャリアーの寿命を減少させるための技術を示している概略図である。この場合には、穴表面をパッシベーションするか又は部分的にパッシベーションする代わりに、表面及びバルクの再結合が使用される。10
20/cm
3より大きな高ドーピングは拡散長を例えば0.1μm(オーガ(Auger)再結合)未満へ減少させることが可能である。更に、層3710及び3706内に欠陥3770及び3772を導入させるためにイオン注入が使用される。半導体内の欠陥はショックリー−リード−ホール(Shockley-Read-Hall)再結合プロセスを介して寿命を減少させることも可能である。例えばXe,Bi、Ti,Cr,Ar,N等のイオンをN及び/又はP層内に注入させることが可能である。装置動作のために長い少数キャリアーの寿命が望ましい場合の既知の構造と逆に、本書に記載する技術は、ショックリー−リード−ホール効果に起因する再結合率を増加させるために、エピタキシャル成長及び/又は金属、非金属及び不活性イオンのイオン注入のいずれかによって欠陥を導入させる。該欠陥に起因して深い及び/又は浅いトラップを形成させることが可能であり、それらは少数キャリアーの寿命を短くさせることが可能である。少数キャリアーの寿命が短いことは、高電界領域「I」層へ通じて光電流に寄与することが可能な拡散電流の寄与を最小とさせるためにP及びN領域において望ましいものである。該「I」領域内へ拡散及び/又は走行するこれらの「遅い」拡散電流は、フォトダイオードの光電流時間応答特性に対しての遅い成分に寄与することによってフォトダイオードの時間応答の劣化を発生させる場合がある。
【0086】
図38(A)乃至(C)は、シミュレーションしたマイクロストラクチャ型フォトダイオードに対する種々のパラメータを示している。
図38(A)は穴中心間の距離「d」を有している六角形穴パターンを示している。
図38(B)は穴中心間の距離「d」を有している正方形穴パターンを示している。
図38(C)はFDTD方法を使用したシミュレーションに対して使用したパラメータの表である。850乃至950nm及び、例えば、980nmの範囲の光学信号の波長に対して六角形状格子の穴における周期が2000nmで直径が1300乃至1500nmの範囲の複数の穴で2−2.5μmの厚さのSiO
2層上の2μm厚さのシリコン層で90%より大きな吸収を達成することが可能であることが判明した。更に、波長は750−1000nmの範囲に亘ることが可能である。穴直径は、サブ波長乃至入射光学信号の波長より大きなものとすることが可能であり、100乃至3000nmの直径の範囲に亘る。Si吸収層の厚さは0.3乃至10μmの範囲とすることが可能である。SiO
2層は0.2乃至10μmの範囲に亘ることが可能である。幾つかの実施例によれば、入射フォトンの吸収を最適化させるために複数の穴直径の混合を使用することも可能である。
【0087】
図39は、波長に対する吸収に対してのFDTDを使用するマイクロストラクチャ型穴フォトダイオードのシミュレーション結果をプロットしたグラフである。フォトダイオード吸収「I」層は2μm厚さであり、穴直径は1000乃至1500nmの範囲にわたるものであった。入射エネルギー波長は850乃至950nmの範囲であった。3つの曲線3910,3912,3914は、夫々、1000nm,1300nm,1500nmの穴直径に対しての吸収のプロットである。このシミュレーションは、1500nmの穴直径の場合、850−870nmの波長範囲にわたって90%より大きな吸収が達成されており、且つ、1300nmの穴直径の場合、2000nmの周期での六角形状格子での穴で875乃至950nmの波長範囲にわたって80%より大きな吸収を達成することが可能であることを示している。2μmSiは2−2.5μmSiO
2層の上にある。理解されるように、何らの特徴無しでの従来のシリコン層のものを越えて吸収を向上させるために、入射波長よりも一層大きな穴直径を有することを使用することが可能である。
【0088】
図40は、幾つかの実施例に基づいて、P−I−P−I−Nエピタキシャル構造を具備するマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(APD)を示している概略図である。
図40の場合には、APD4060の全ての層は、例えば、780乃至1000nmの範囲の光学的通信波長に対してシリコンである。APD4060は可視光波長範囲においても動作可能である。データレートは100Mb/s乃至50Gb/s又はそれ以上の範囲に亘ることが可能である。−4乃至−50ボルトの電圧範囲でP及びNオーミックコンタクト4028及び4030間に逆バイアス電圧を印加させる。アバランシェマイクロストラクチャ型フォトダイオード4060は以下のようなドーピング及び厚さを有することが可能であり、即ち、例えば、P層4010のドーピングは1×10
19/cm
3を越えるもので且つ厚さは0.1−1.0μmであり、I層4008のドーピングは1×10
16/cm
3未満であって且つ厚さは0.5−3μmであり、P層4020のドーピングは1−3×10
17/cm
3であって且つ厚さは0.1−0.5μmであり、I層4018のドーピングは1×10
16/cm
3未満であって且つ厚さは0.3−1μmであり、及びN層4006のドーピングは1×10
19/cm
3であって且つ厚さは0.5−3μmである。幾つかの実施例によれば、上の2つの層4010及び4008はSiの代わりにGeとすることも可能である。穴4002はAPD層を部分的に貫通してエッチングさせるか又は
図40に示されている如くSiO
2層4004へ完全にエッチングさせることが可能である。
【0089】
マイクロストラクチャフォトダイオードの場合における如く、APDの場合に、光学信号は正面側(エピタキシャル層側)から入射するか又は背面側(基板側)から入射することが可能である。更に、基板内にビアがある場合、反射器をSiO
2上に付着させることが可能であり、その結果、APD構造内において光学信号を2回又は多数回バウンス即ち跳ね返させることとなる。幾つかの実施例によれば、PとNとは交換可能であり、その結果N−I−N−I−Pマイクロストラクチャ型APDとなる。
【0090】
図41は、幾つかのその他の実施例に基づいて、P−I−P−INエピタキシャル構造を具備するマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(APD)を示している概略図である。APD4160は、複数の穴4122(又は柱体)が部分的にエッチングされていることを除いて、
図40に図示したAPD4060と同一である。
図41に示した例においては、穴4122はP層4020内に部分的にエッチングされており及び/又はP層4020で停止している。幾つかのその他の実施例によれば、穴4122はI吸収層4008内に部分的にエッチングさせることが可能である。
【0091】
図42は、幾つかの実施例に基づいて、Ge吸収層及びGePキャッピング層を具備しているマイクロストラクチャ型APDを示している概略図である。APD4260は、上の2つの層がSiの代わりにGeであるという点を除いて、
図40に図示したAPD4060と同様又は同一である。APD4260は、PGe層4210が1×10
20/cm
3より大きなドーピングレベルを有することが可能であるという点を除いて、APD4060に対して上述した如き同じドーピング及び厚さ範囲を有することが可能である。埋込酸化物(BOX)シリコン基板上のAPD構造P(Ge)−I(Ge)−P(Si)−I(Si)−N(Si)のエピタキシャル成長の後に、該マイクロストラクチャをエッチングする。該マイクロストラクチャは穴、柱体又はこれら2つの結合とすることが可能である。該エッチングはSiO
2層まで行うことが可能であり、又はSiO
2層4004に到達する前の深さへ部分的にエッチングすることも可能であり、例えば、穴はPSi層4020まで又はその中へエッチングさせることが可能である。マイクロストラクチャを具備しているGe吸収層4208は、100Mb/s乃至50Gb/s又はそれ以上のデータレートにおいて780乃至2000nmの波長で光学信号が動作することを可能とさせるものと期待されている。該光学信号は上部表面(エピタキシャル表面)から又は底部表面(基板表面)から入射することが可能である。ビア及びSiO
2上に付着させた反射器がある場合には、上部表面から入射する光学信号を、2回目及び/又は多数回にわたり吸収I(Ge)層4208へ反射させることが可能である。Siと、空気と、Geとの間には光学的屈折率差があるので、定常波を確立させることが可能であり、且つ定在波又は固有モードとしても既知の定常波のピーク強度において吸収層を有するべく該構造の厚さを最適化させることが可能である。更に、Siがトランスペアレント即ち透明である波長において、光学信号が底部表面からAPD内へ結合することを助けるためにマイクロレンズをSi基板内にエッチングさせることが可能である。底部から入射する光学信号を吸収I(Ge)層4208へ反射させるためにP(Ge)4210上にSiO
2及び反射器を配置させることが可能である。−4乃至−50ボルトの範囲の逆バイアス電圧をP及びNオーミックコンタクト4028と4030との間に印加させる。
【0092】
図43(A)乃至(D)は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型フォトダイオード及びAPDの分極感度を示している。
図43(A)はシミュレーション用に使用した幾何学的形状を示している。これらの穴は寸法及び周期において対称的であり、B又はAのいずれかに沿っての光学信号の電界分極はMS−PD/APDの吸収特性において5%未満の差を示している。吸収は、入射光からその光の透過及び反射を差し引いたものと等しく、且つ量子効率は吸収に直接的に比例する。穴寸法「a」及び「b」が同じでない場合には、MS−PD/APDは分極感度を示す。
図43(B)において、曲線4310は波長に対しての吸収をプロットしており、その場合、「a」及び「b」寸法は両方共1000nmに等しい。該吸収特性は5%未満の差異を示している。
図43(C)はa=1300nmでb=870nmの場合を示している。曲線4320及び4322は、A又はBに沿っての分極が或る場合の吸収値における差異は高々2倍であることを理解することが可能であることを示している。
図43(D)はa=1500nmでb=650nmである場合に対する結果を示している。曲線4330及び4332は、分極配向(polarization orientation)に起因する吸収差も高々2倍であることを示している。「a」、「b」、A及びBの両方における更なる寸法変化がある場合に、分極配向に起因する吸収差は10乃至100倍、又はそれ以上異なる場合がある。分極「不感受性」(分極配向に起因する吸収変化が5%未満の場合)及び分極感受性(分極配向に起因する吸収変化が10倍又はそれ以上の場合)の両方のフォトダイオード及びAPDが有用である。信号が分極多重化されていない場合、例えば、同じ波長を使用する場合、2つのチャンネルを送信することが可能であり、その場合に一つのチャンネルは一つの分極で且つ別のチャンネルは第1のチャンネルに対して直交している。例えば、各チャンネルは同じ波長において特定の分極において25Gb/sで送信することが可能である。受信機端において、該信号をデマルチプレクス、即ち脱多重化、させるために分極感受性光検知器を使用する。総合データレートは850nmの波長において50Gb/sである。レーザーの直接変調において、該レーザーのスペクトルは、例えば、CWモードで動作しているレーザーよりも常に一層幅広である。該スペクトルは高々数ナノメートル(例えば、3nm)だけ広くさせることが可能である。従って、850nmにおいて、レーザーが直接的に変調される場合には、高々±約1.5wnm広げて中心周波数は850nmとすることが可能である。垂直共振器面発光レーザーにおいては、マルチな横モードに起因して、横モードは一層幅広のスペクトルに対して著しく寄与することが可能である。マルチモードシステムにおいては、このことはモード選択損失を減少させるので望ましいことである。
【0093】
図44は、幾つかの実施例によれば、データ処理及び/又はルーチングのために相互インピーダンス及び/又は別のASIC(応用特定集積回路)と集積化されているMS−PD/APDを示している。そのプロセスはCMOS及び/又はBiCMOSとすることが可能である。MS−PD/APD4420は電気的リード4422を介してエレクトロニクス4430(例えば、相互インピーダンス増幅器(TIA)及び/又は別のASIC)へ電気的に接続されていることが示されている。その部品は全て単一のシリコン基板4410上に集積化されている。マイクロストラクチャ型PD/APDをICエレクトロニクスと集積化させることの一つの利点はパッケージングコストの低下であり、その場合に、2個又はそれ以上の個別的な装置の代わりに、単一のチップが使用され、それは又マルチチップセラミック担体を使用すること無しに回路ボード上に直接的に配置させることも可能である。単一チップ上にMS−PD/APDをエレクトロニクスと集積化させることの別の利点は、オーミックコンタクトへ接続されている比較的大きなボンドパッドを省略することに起因して、潜在的に容量が低くなることである。動作波長は、全てのシリコンマイクロストラクチャ型PD/APDに対して800−990nmの範囲である。動作波長はGeマイクロストラクチャ型吸収層を付加した場合には1800nmへ拡張させることが可能である。10,28,56Gb/sのデータレートでの動作は単独で又はアレイで達成させることが可能である。該データレートは、又、プロトコル及びリンク適用例に依存して1,5,20,25,30,40Gb/sとすることも可能である。典型的に、マルチモードファイバー及び/又は複数のファイバにわたっての高データレートは1メートル未満から100メートルを越える長さにわたる距離で使用される。複数のファイバ及びマイクロストラクチャ型PD/APD(MS−PD/APD)のアレイを使用して100乃至400Gb/sの総合データレートを与えることが可能である。例えば、単一シリコンチップ上の相互インピーダンス増幅器(TIA)及び/又はその他の信号処理/ルーチングICエレクトロニクス等のICエレクトロニクスと集積化されている10MS−PD/APDアレイと共に各ファイバーが10Gb/sで動作している10ファイバーチャンネルは100Gb/sの総合データレートを有することが可能である。各チャンネルが56Gb/sである場合には、該10チャンネルは500Gb/sを越える総合データレートを有することが可能である。
【0094】
図45は、幾つかの実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されているMS−PD/APDに対するフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。幾つかの実施例によれば、TIA及び/その他の信号処理集積回路4530はCMOS及び/又はBiCMOSプロセスを使用して製造される。半田バンプ4512及び4514及び/又は同様のバンプ技術を使用してチップ4510をPCB(プリント回路基板)4550へ取り付ける。幾つかの実施例によれば、半田バンプ4512の幾つか又は全てを使用してチップ4510とPCB4550との間の電気的接続を行い、一方、半田バンプ4514は物理的マウンティング及び/又は安定化のために使用される。何故ならば、MS−PD/APD4520とPCB4550との間の直接的な電気的接続は必要ではない場合があるからである。幾つかの実施例によれば、チップ4510を、PCB4550の代わりに、別のチップ又はマルチチップ担体へ取り付ける。チップ4510をPCB4550上に直接的にパッケージングすることは、PCB上に配置させる前にPD及びICエレクトロニクスを最初にマルチチップセラミック担体上にマウントさせるという既知の従来技術と比較して、高々80%だけパッケージングコストを減少させる。更に、オプチカルファイバー4524からMS−PD/APD4520へ光をフォーカスさせるためにシリコンチップ4510上に集積化光学レンズ4522を製造させることが可能である。注意すべきことであるが、この構成においては、光信号はMS−PD/APD4520の基板側から入る。Si上の集積化レンズ4522は、入ってくる光学信号の吸収のためにGeマイクロストラクチャを使用することが可能であり動作波長が1100nmより大きい(例えば、1100nm乃至1800nm)である場合に、使用することが可能である。
【0095】
図46は、幾つかの実施例に基づいて、単一シリコンチップ上にTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されているMS−PD/APDに対するフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。該チップ及びマウント技術は
図45に図示し且つそれについて説明したものと同様か又は同一である。この場合に、チップ4510はビア4626を包含しており、そこではMS−PD/APD4520への光学経路における殆ど又は全てのシリコンは除去されている。光を収集し且つそれをMS−PD/APD4520へ指向させるために集積化誘電体レンズ4622が設けられている。幾つかの実施例によれば、レンズ4622の代わりに光パイプが使用される。ビア4626の側壁は光の収集を助けるために誘電体及び/又は金属でコーティングすることが可能である。光学信号がオプチカルファイバー4524へ反射して戻ることを減少させるためにレンズ4622上に反射防止コーティングを設けることが可能である。更に、ファイバー4524又はチップ4510を傾斜させてファイバー4524へ戻る反射を減少させることが可能である。オプチカルファイバー4524は、1Gb/s未満から60Gb/sを越える範囲のデータレートでレーザー光源からの光学信号を集積化PD/APD及びICエレクトロニクス回路4510へもたらすために使用される。幾つかの実施例によれば、約1,5,10,20,28,50,56Gb/sのデータレートを使用することが可能である。幾つかの実施例によれば、光学信号波長は全シリコンマイクロストラクチャ型PD/APD(MS−PD/APD)に対して800−990nmの範囲にわたる場合があり、且つ吸収層用のマイクロストラクチャ型Geの場合には、該波長は1800nmへ拡張させることが可能である。
【0096】
図47は、幾つかのその他の実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されているMS−PD/APD用のフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。そのチップ及びマウント技術は
図45及び46に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。
図45及び46におけるように、単一のチップ4510は光学的要素と電子的要素との両方を包含している。集積化フレネルレンズ4722と共にMS−PD/APD4520への光学経路におけるSiの殆ど又は全てを除去するためにチップ4510の基板内にビア4626が設けられているので、光学信号はオプチカルファイバー4524から効率的に収集される。収集された光学信号はMS−PD/APD4520上に入射する。幾つかの実施例によれば、フレネルレンズ4722の代わりに、高コントラストグレーチング(HCG)が使用される。幾つかの実施例によれば、HCGはフィルター効果を有することが可能であり、従って特定の光学波長のみをMS−PD/APDへ透過させ、一方その他を反射させることが可能である。この帯域通過特性は単一のファイバーにおいて複数の波長が使用される粗波長分割多重化(CWDM)にとって有用である。
【0097】
図48は、幾つかのその他の実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されているMS−PD/APDに対するフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。該チップ及びマウント技術は、
図45−47に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。ビア4626の壁は、光がMS−PD/APD4520へ入射するための光パイプを提供するために誘電体及び/又は金属でコーティングすることが可能である。次いで、オプチカルファイバー4524をビア4626内へ挿入させることが可能であり、その場合に該ビアはファイバー4524をMS−PD/APD4520に対して整合させるためのガイドを提供し、それによりMS−PD/APDに対するオプチカルファイバーの光学的パッキング及びアライメントを簡単化させて約30%又はそれ以上のコスト低下を生じさせる。幾つかの実施例によれば、ファイバー4524はテーパー付きとさせることも可能であり、及び/又はビア4626がファイバー4524に対するストップを与えるように複数の直径を有することが可能である。例えば、ビア4626にステップ即ち段差を設けてファイバー4524の端部をそのステップ上に当接させることが可能であり、それをシリコンへ取り付けることが可能である。このステップ構成は、又、最適な光収集のためのファイバーとMS−PD/APDとの間の精密な距離を与える。幾つかの実施例によれば、ファイバーからMS−PD/APDへの光学信号の転送を最適化させるために、ビア4626において、特にファイバー4524とMS−PD/APD4520との間の空間において、屈折率整合流体、ゲル及び/又はポリマー及び/又は誘電体バルク又は薄膜を使用することが可能である。
【0098】
上述した如く、基板側から光が入射する場合(底部照射)、MS−PD/APDは該MS−PD/APD内における光学信号の二重及び/又は多重のバウンス即ち跳ね返りを使用することが可能である。このことは、高い量子効率を達成すると共に吸収層を一層薄くさせることを可能とさせる。一層薄い吸収層は一層高速の走行時間とすることを可能とさせ、それによりMS−PD/APDが一層高いデータレートで動作することを可能とさせる。
【0099】
図49は、幾つかのその他の実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されたMS−PD/APD用のフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。該チップ及びマウント技術は
図45−48に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。この例においては、ボールレンズ4922がビア4626内に位置されていて、オプチカルファイバー4524からの光を効率的にMS−PD/APD4520へ結合させる。ボールレンズ4922はMS−PD/APD4520に対しての該レンズのアライメントのためにビア4626内に位置することが可能である。
【0100】
図50は、幾つかのその他の実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されたMS−PD/APD用のフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。該チップ及びマウント技術は
図45−49に図示し且つそれについて説明したものと同様であるか又は同一である。この例においては、ボールレンズ5022がビア4626内に位置しており、該ビアにおいてはシリコンの殆ど又は全てがエッチング除去されているので光は殆どが空中及び/又は流体、ゲル、ポリマー、固体等の屈折率整合物質内を走行する。更に、ビア4626は、オプチカルファイバー4626のボールレンズ5022に対しての且つ更にMS−PD/APD4520に対してのアライメントに対するガイド及び/又はストップとして作用する。
【0101】
図51は、幾つかの実施例に基づいて、単一シリコンチップ上のTIA及び/又は別の信号処理ICと集積化されているMS−PD/APDに対するフリップチップ配置の幾つかの側面を示している概略図である。該チップ及びマウント技術は
図45−50に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるが、MS−PD/APD5120及びTIA及び/又はその他の信号処理集積回路5130がシリコンチップ5110の上部表面上又はその近くにマウントされている点が異なる。金属性導体導管5132及び5134はAl,Cu,Mo,W,Ni,TiN等から構成することが可能である。導管5132はMS−PD/APD5120をICエレクトロニクス5130へ接続させている。導管5134はICエレクトロニクス5130を、半田バンプ等のバンプ技術を使用してPCB4550(又はチップ担体)へのトレースへ接続させており、そのことは、該チップのPCB及び/又はチップ担体への良好なアライメントを可能とさせる。幾つかの実施例によれば、ICエレクトロニクスをPCB上のトレース及び/又はチップ担体へ接続させるために、ワイヤボンディングを使用するその他の方法を使用することも可能である。ファイバー4524はMS−PD/APD5120の直ぐ近くに位置され、且つその構成は、ファイバー4524の先端部上のボールレンズ、及び/又はファイバーとMS−PD/APDとの間のボールレンズを包含することが可能である。
図45−50に関して説明した如くに、グレーチング、フレネルレンズ等のその他の光をフォーカスさせる要素を使用することも可能である。幾つかの実施例によれば、上述したMS−PD/APD構造に示した如く埋込二酸化シリコン(BOX,埋込酸化物)等の屈折率の不連続が存在するか及び/又はバルク物質の屈折率に対しての該マイクロストラクチャの実効屈折率における変化が存在している場合には、エピタキシャル表面から照射する光(上部照射型)もMS−PD/APD5120内において光学信号の二重及び/又は多重のバウンス即ち跳ね返りを有する場合がある。MS−PD/APD内の光学信号の二重及び/又は多重のバウンスは、量子効率を著しく犠牲にすること無しに一層薄い吸収層及び短い走行時間を可能とさせ、それによりMS−PD/APDの一層高いデータレート動作を可能とさせる。光の二重又は多重のバウンスとは、MS−PD/APDのパスにおいて吸収されず且つ該MS−PD/APD構造から出る光のことを意味しており、これらのフォトンはMS−PD/APD構造に向けて反射されて戻される。複数の穴及び柱体からなるマイクロストラクチャ内において、光は共振及び/又は結合共振状態となる場合があり、そのことは向上された実効吸収係数及び/又は向上された実効吸収長とさせることが可能である。
【0102】
図52は、単一Siチップ上にTIA及び/又はその他の信号処理及びルーチングエレクトロニクス等のICエレクトロニクスと集積化された複数のMS−PD/APDからなるアレイを示している概略図である。アレイは、例えば、TIA及び/または信号処理、ルーチング、格納用のASIC等のICエレクトロニクスと集積化された2個乃至10個を超える数のMS−PD/APDを包含することが可能である。図示例においては、単一のSiチップ5210上にマウントされている4個のMS−PD/APD5220,5222,5224,5226が示されている。これらのMS−PD/APD5220,5222,5224,5226はICエレクトロニクス5230,5232,5234,5236へ夫々接続されている。しかしながら、幾つかの実施例によれば、複数のMS−PD/APDがSiチップ上の単一のICエレクトロニクス装置へ接続されているか、または複数のICエレクトロニクス装置が単一のMS−PD/APDへ接続されている。アレイ内の複数のMS−PD/APDは同一のものとすることが可能であり、例えば、マイクロストラクチャの穴直径及び周期は同一の波長、例えば850−870nm、に対して最適化される。その他の実施例によれば、アレイ内の各MS−PD/APDは周波数の異なる帯域に対して最適化させることが可能である。例えば、アレイ内に4個のMS−PD/APDが存在している場合、各MS−PD/APDの穴直径及び周期を最適化させることによって、該4個のMS−PD/APDは、夫々、850−870nm、875−895nm、900−920nm、920−950nm(又はその任意の組合せ)において最適化させることが可能である。例えば、Molin et al.、次世代WDMシステム用の850−950nm広帯域OM4マルチモードファイバー(850-950nm wideband OM4 multimode fiber for next generation WDM systems)、OFC(2015)、を参照すると良く、それを引用により本書に取り込む。1,5,10,16,20,25,28,32,40,56及びそれよりも大きなもの及びそれらの間の全ての範囲のデータレートは、光学的データリンク用の標準及びプロトコル及び適用例に依存して可能である。オプチカルファイバー5240,5242,5244,5246は別々のファイバーとすることが可能であり、又は並列フィバーリボンとして設けることが可能である。オプチカルファイバー5240,5242,5244,5246は各々が単一帯域の波長及び/又は100Gb/s乃至1Tb/s又はそれ以上の総合データレートを与えるためにWDM及びCWDM用の複数帯域の波長を担持することが可能である。例えば、各々が10Gb/sである10個のファイバーチャンネルを有する10個のMS−PD/APDからなるアレイは100Gb/sの総合データレートを与える。各々が25−28G/bsにある4個のファイバーチャンネルを有する4MS−PD/APDアレイは100Gb/sの総合データレートを与え、各々が56Gb/sにある2個のファイバーチャンネルを有する2MS−PD/APDアレイは100+Gb/sの総合データレートを与える。各ファイバーチャンネルが複数の波長帯域、例えば850−870nm及び875−895nm、を担持することが可能であり且つ各波長帯域が25−28Gb/sにおいて送信することが可能である場合には、4ファイバーアレイは実効的に200Gb/sを超える総合データレートを有することが可能である。
【0103】
図53は、幾つかの実施例に基づく、高データレートMS−PD用のエピタキシャル構造を示している概略図である。図示した構造は10Gb/sよりも一層大きなものとすることが可能である。穴5322がSiO
2BOX層5304までエッチングするか、又は該穴をP層5306までエッチングして及び/又は、例えば、P層5306内へ部分的にエッチングさせることが可能である。ドーピング及び厚さは次の通りであり、即ち、Si基板5302は150μmの厚さであり、BOX層5304は2−4μmの厚さであり、P+層5306は0.2−1μmの厚さであってドーピングは1×10
20/cm
3を越えており、I層5308は1.5−2μmの厚さであって意図的にはドーピングされておらず(5×10
16/cm
3未満)、且つN+層5310は0.2−0.5μmの厚さであってドーピングは1×10
19/cm
3を越えるものである。N及びP層5310及び5308の高ドーピングは少数キャリアー寿命を短縮させてPDの応答を遅くさせる場合がある拡散電流を最小とさせる。幾つかの実施例によれば、1×10
20及び1×10
21/cm
3を越える程度の高いドーピングは、少数キャリアー寿命がピコ秒程度であり且つ直列抵抗が減少されるように使用される。
【0104】
図54は、幾つかの実施例に基づく、高データレートMS−PD用のエピタキシャル構造を示している概略図である。この構造及びドーピングは
図53に図示しかつそれについて説明したものと同様であるか又は同一であるが、穴5422がP層5306の上部までで及び/又はP層5306内へ丁度入りかけるまでエッチングされていることが異なっている。
【0105】
図55は、幾つかの実施例に基づく、高データレートMS−PD用のエピタキシャル構造を示している概略図である。この構造及びドーピングは
図53及び54に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一であるが、穴5522がP層5306内の少なくとも中間までエッチングされている点が異なっている。
【0106】
図56は、幾つかの実施例に基づいて、MD−PDに対するメサ寸法、穴直径、穴周期距離、及び格子パターンを示している表である。これらの例においては、該格子は六角形又は正方形とすることが可能である。該穴は円形、楕円、多角形とすることが可能である。該穴は、2000nmの周期で1300nmの直径、2000nmの周期で1500nmの直径、1000nmの周期で700nmの直径、900nmの周期で630nmの直径である。動作波長は800−990nmで且つその物質はSiである。厚さが3−100nmの範囲の薄いパッシベーション層SiO
2を包含させることが可能である。該メサ寸法は、部分的にはMS−PD(ボンドパッド及びコンタクト金属を除く)の容量を決定し、該MS−PDのデータレートに依存して、5μm、10μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、及び80μmである。低容量及び短い走行時間は一層高いデータレートのMS−PDとさせる。
【0107】
図57(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づく、六角形及び正方形の格子穴パターンを示している概略図である。
図57(A)は六角形格子パターンを示しており、且つ
図57(B)は正方形パターンを示しており、「d」は各場合における周期である。幾つかの実施例によれば、これらのレイアウトは
図56に示したMS−PDに対する例示的パラメータに対して使用される。
【0108】
図58は、幾つかの実施例に基づく、シリコンMS−PD用のエピタキシャル層構造を示している概略図である。この構造の厚さ及びドーピングは以下の通りであり、即ち、Si基板5802は150μmであり、BOX(埋込酸化物)層5804は2−4μmの厚さであり、SiP層5806は0.2−0.5μmの厚さでドーピングは2×10
20/cm
3を越えており、SiI層5808は約1.5−2μmの厚さで且つ意図的にはドーピングされておらず(5×10
16/cm
3未満のバックグラウンドドーピングを有している)、SiN層5810は約0.2μmの厚さで且つ2×10
20/cm
3を越えてドーピングされている。該P及びN層の高ドーピングは、例えば、1×10
19/cm
3を越えるものとすることが可能である。幾つかの実施例によれば、SiGeB,SiGeC,SiGeBC等の物質から構成されており厚さが5nm乃至50nmであるエッチストップ層を、マイクロストラクチャ型穴及び/又はメサのエッチング期間中に処理を助けるために、PSi5806とISi5808との間の界面に包含させることが可能である。高度にPドープされているSiGeBが使用される場合、構造はN−I−Pとすることが望ましい。P及びN領域の高ドーピングは、シート抵抗を減少させることに加えて、小数キャリアー寿命も減少させ、従ってP及びN領域において吸収されたフォトンは光電流に対しての寄与は最小とされる。P及びN領域における減少された小数キャリアー寿命は光発生されたキャリアーの高電界「I」領域への拡散を減少させ、尚該領域においては、少数キャリアーはアノード及びカソードへ掃引されて光電流に寄与する。
【0109】
図59は、幾つかの実施例に基づく、MS−PDの或る側面を示している概略図である。厚さ及びドーピングを含むその物質構造は、
図58に図示し且つそれについて説明したものと同様であるか又は同一である。
図59の場合には、層5910及び5906におけるP及びNドーピングが交換されてP−I−N配置となっている。注意すべきことであるが、
図58又は59のいずれかにおいて、その配置はP−I−N又はN−I−Pとすることが可能である。穴5922はSiO
25804へエッチングされており、且つP及びNオーミックコンタクト5928及び5930が、夫々、P及びN層5910及び5906に対して形成されている。メサをエッチングして感光区域を画定し且つPIN構造の容量を画定している。メサ直径は、MS−PDが設計されている(
図56に関して説明した如く)データレートに依存して10μm乃至80μmの範囲である。20−40Gb/sの場合、該メサの直径は、典型的に、20−40μmである。0.2μmの厚さで2×10
20/cm
3を越えるドーピングP層5910は、約50Ω未満のシート抵抗を有することが可能である。0.2μmの厚さで2×10
20/cm
3を越えるドーピングのN層5906は約35Ω未満のシート抵抗を与えることが可能である。該P及びN層の高ドーピングも、例えば、1×10
19/cm
3とすることも可能である。一層薄いP及びN層は一層高い百分率の光学パワーが該「I」層内となり且つ該P及びN層内において一層低い百分率となることを可能とし、それによりMS−PDの量子効率を最大とさせる。説明の便宜上、パッシベーション、ポリイミドブリッジ、ボンドパッド及びその他の処理ステップは図示していない。逆バイアス電圧がP及びNコンタクト間に印加されて該「I」層内に高電界領域を形成する。電圧は、典型的に、約2−6Vの範囲である。図示した場合には、照射は上から垂直に又は垂直からずれた角度においてである。波長は800−990nmの範囲であるが、780nm等のその他の波長を使用することも可能である。公称波長は850nmであるが、810−830,830−850,850,880,930−960,960−990などの波長を包含することも可能である。
【0110】
図60は、幾つかの実施例に基づく、MS−PDの或る側面を示している概略図である。物質構造の厚さ及びドーピングを含む該MS−PDは
図58及び60に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。この場合に、穴6022がN層5906まで及び/又はその中にエッチングされているが、
図59におけるようにSiO
2層5804までずーとエッチングされるものではない。従って、該N層における吸収は向上されておらず、その結果該「I」層における光学パワーの百分率を一層高いものとする場合がある。このことは該MS−PDの量子効率を改善する傾向となる。SiO
2層5804は必要な場合と必要ではない場合とがある。
【0111】
図61は、幾つかの実施例に基づく、MS−PDの或る側面を示している概略図である。該MS−PDは、物質構造の厚さ及びドーピングを包含して、
図58−61に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。この場合に、該SiMS−PDは基板側から照射される(本書においては、背面照射型又は底部照射型とも呼称される)。ビア6170がエッチングされてシリコン基板を除去し、且つSiO
2層5804まで又は殆ど該SiO
2層まで又は該SiO
2層内へ又は該SiO
2層を貫通してエッチングされる。Si基板5802を除去して800−990nmの波長範囲における光学損失を最小とさせる。P層5910表面上に反射器6132を製造し、それは該反射器6132がPINダイオードを短絡させないようにポリイミド、固体二酸化炭素、又はスピン・オン・ガラス(SOG)等の充填プロセス(filler process)を包含することが可能である。注意すべきことであるが、反射器6132は正確に平面状であることは必要ではなく、穴を有する領域において凹状とさせることが可能であり、そのことは光波のトラッピングを向上させる場合がある。反射器6132は誘電体、ブラッグ反射器、導電性透明金属酸化物、銀、金又はその任意の組合せ等の金属又は合金とすることが可能である。インジウム錫酸化物(ITO)を、ブラッグ反射器を形成するために非導電性誘電体と共に、使用することも可能である。金属及び/又は導電性酸化物は、更に、P層5910のシート抵抗を減少させることが可能であり、それにより寄生抵抗を減少させ且つMS−PDの変調型周波数応答(データレート)を改善させる。幾つかの実施例によれば、「I」層5808は反射器を具備する背面照射の場合に一層薄くさせることが可能である。何故ならば、光は量子効率を劣化させること無しに「I」層を介して少なくとも2回及び多分それ以上の回数走行することが可能であり、しかも同時にMS−PDの変調型周波数(データレート)応答を改善させるからである。その理由は、一層薄い「I」層の場合に、光発生されたキャリアーの走行時間は一層短いからである。フォトダイオードの周波数応答は、その容量及び抵抗(RC時間)及び走行時間(transit time)によって決定される。例えば或る高データレートに対して100又はそれ以上のファクターより一層大きな高い向上された実効吸収長において光学的走行時間が重要となる場合がある。
【0112】
図62は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD用のGe・オン・SiPINエピタキシャル層構造を示している。厚さとドーピングとを含む物質構造は、
図58−62に図示し且つそれらに基づいて説明したものと同様であるか又は同一である。この場合には、2×10
19/cm
3を越えるドーピングを有するNSi層6202は0.2−2μmの厚さを有することが可能である。Ge「I」層6208も設けられており、それは意図的にはドーピングされておらず、ドーピングは2×10
16/cm
3未満であり且つ厚さは0.5−2μmである。ドーピングが2×10
20/cm
3を越える上部GeP層6210は0.1−0.2μmの厚さで形成される。幾つかの実施例によれば、Si上のGeの良好な結晶成長を開始させるためにNSi層6206と「I」Ge層6208との間の界面において薄いGeバッファ層(不図示)を使用することが可能である。P及びNの高ドーピングも少数キャリアー寿命を減少させ、それにより全体的な光電流に対して寄与する場合がある光電界「I」領域内へ掃引される場合がある光発生されたキャリアーの拡散を最小とさせる。
【0113】
図63は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・SiMS−PDを示している。物質構造の厚さとドーピングとを含んで、該MS−PDは
図58−62に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。穴6322がSiO
2層5804までエッチングされており、又は該穴はNSi層6208までエッチングさせることが可能であり、その場合には、SiO
2層5804は必要である場合と必要ではない場合とがあり、且つ該MS−PDは上部即ち正面(エピタキシャル表面)から照射される。1100乃至1800nmの波長範囲におけるフォトンの吸収は該Si領域よりも殆どが該Ge領域においてである。PGe層6210を薄く維持することによって、該フォトンの大きな百分率がGe「I」層6208において吸収され、それにより量子効率を増加させる。GeとSiとの間の高い屈折率差は、該穴をSiN層6206の上部までエッチングさせるに過ぎないことを必要とする場合がある。しかしながら、本例においては、穴6322はSiO
2層5804までエッチングされている。NSi層6206は、本例においては、最大で2μmの厚さとすることが可能であり、且つ50Ω未満のシート抵抗を与えるために1×10
19/cm
3の範囲のドーピングとすることが可能である。850nm動作の場合、又は800−990nmの範囲における波長の場合、薄いNSi層は該IGe領域において吸収されるフォトンの百分率を増加させることが可能である。ドーピングが2×10
20/cm
3を越える0.2μm厚さのNSi層は50Ω未満のシート抵抗を与え且つ少数キャリアー寿命を減少させる。2μmの厚いNSi層も800−990nm又は800−1800nmの波長範囲に対して使用することが可能である。何故ならば、800−990nmの範囲における波長に対しては、Geは2μmの長さにわたり該フォトンの90%を越えるものを吸収するからである。従って、該フォトンの5%未満が該NSi層に到達する。850nmの波長において、1%未満が該NSi層へ到達し、且つ990nmにおいては3%未満がそれに到達する。
【0114】
或る場合には、800−990nmの波長範囲に対して、マイクロストラクチャ型穴は吸収を向上させるために支配的に使用することができない場合があり、寧ろGe層内に部分的に又は完全にエッチングされた穴での容量を減少させるために使用される場合がある。更に、穴が必要ではない場合があり且つバルクGeが使用される場合がある。幾つかの実施例によれば、マイクロストラクチャは反射を減少させるためにも使用することが可能である。
【0115】
図64は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・SiMS−PDを示している。物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、該MS−PDは
図58−63に図示し且つそれらについて説明したものと同様のものであるか又は同一のものである。この場合には、穴6422がSi層6206までエッチングされている。Geに対する屈折率は約4であり且つSiに対する屈折率は約3.45である。この屈折率における差異は該Ge領域において十分に向上された吸収を与える場合がある。この場合に、SiO
2層5804は必要でない場合があり且つ該MS−PDはBOX層5804無しでSiウエハ上に成長させる場合がある。1100−1800nmの波長範囲に対して、Siは許容可能に低い光学損失を有しており且つ該吸収の殆どは該Ge領域においてのものである。上部照射型MS−PDの場合、該PGe層は薄くさせることが可能であり、従って該フォトンのバルクは該IGe領域において吸収され、そのことは量子効率を増加させる。該P層のシート抵抗を更に減少させるためにPGe層6210と関連してITO(インジウム錫酸化物)を使用する場合がある。
【0116】
図65は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・SiMS−PDを示している。該MS−PDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図58−64に関して図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一である。この場合には、該MS−PDは背面即ち底部照射型である。この構造は0.2μmの薄いNSi層を使用して800−1800nmの波長範囲に対して非常に良好である。800nmにおける波長を有するフォトンの3%未満がNSi層6206において吸収される。更に、1μmのGeの単一パス即ち通過において、990nmフォトンの85%を越えるものが吸収される。ダブルパス即ち二重通過においては、990nmフォトンの95%を越えるものが吸収される。GeIがNSi上に成長されている背面照射型MS−PDにおいては、該PGe層上の反射器6532と共に、該フォトンの二重及び/又は多重の通過が一層薄いI吸収層6208を可能とさせ、そのことは光発生された電子及び正孔の走行時間を減少させる。40Gb/s又はそれ以上の一層高い帯域幅を有するフォトダイオードを得ることが可能である。穴6322はSiO
2層5804へエッチングさせることが可能であり、又はSi層6206へエッチングさせることが可能である(
図64に示した如く)。マイクロストラクチャ型穴アレイの場合、向上された吸収は1100−1800nmの波長において発生することが可能である。例えば、1550nmにおいて、1μm厚さのバルクGeを介してのダブルパス即ち二重通過で、9%未満が吸収され、一方、該Ge層内にマイクロストラクチャ型穴がある場合には、30%より大きな吸収を達成することが可能であり、且つ、幾つかの場合においては、50%より大きな吸収を達成することが可能である。或る場合には、GeI層を具備するMS−PDにおける吸収は、1μm厚さのGeにおける二重通過に対して又は2μm厚さのGeMS−PDにおける単一通過に対して、1550nmにおいて70%より大きなものを達成することが可能である。
【0117】
該MS−PDは次の層を有することが可能であり、即ち、Ge(又はSiGe)P層6210は約0.1μmの厚さで2×10
20/cm
3を越えるものへドーピングさせることが可能であり、GeI(吸収層)6208は0.5−2.0μmの厚さで意図的にドーピングしないものとすることが可能であり(5×10
16/cm
3未満)、且つ、最後に、SiN層6206は0.2−0.5μmの厚さで2×10
19/cm
3を越えるものへドーピングさせることが可能である。更に、Si基板を除去するためのビアエッチング期間中、該SiO
2層は不変のままとさせるか、部分的にエッチングさせるか、又は該SiO
2を除去するために完全にエッチングさせることが可能である。
【0118】
図66は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・SiPDを示している概略図である。該PDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含めて、
図58−65に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。
図66はフリップチップとして配置されたものを示しているが、該PGe層に起因して僅かに劣化するが正面照射型配置とすることも可能である。該PDは、マイクロストラクチャ型穴アレイが無い場合の
図64に示したMS−PDと類似している。800−1300nmにおける動作のために図示した如きエピタキシャル構造を具備するGe・オン・Siフォトダイオードは、特に1300nm波長領域に対してのダブルバウンス即ち二重跳ね返りを利用しており尚且つ高いデータレート動作を維持している。該PDはSiGeBiCMOSと集積化させることが可能である。幾つかの実施例によれば、該SiO
2層が省略される。半田バンプ技術で、該PDは、例えば
図44−52に示した如く、その他の実施例に対して上述したと如くに、PCB上に直接マウントさせたフリップチップとさせることが可能である。幾つかの実施例によれば、該PDは次の層を有することが可能であり、即ち、約0.1μmの厚さで2×10
20/cm
3を越えてドープされているGe(又はSiGe)P層6210、0.5−2.0μmの厚さで意図的にはドーピングしていない(5×10
16/cm
3未満)GeI(吸収層)6208、及び最後に0.2−0.5μmの厚さで2×10
19/cm
3を越えてドーピングされているSiN層6206である。更に、Si基板を除去するためのビア6670のエッチング期間中に、SiO
2層5804は不変のままとさせるか(
図65に示した如く)、部分的にエッチングするか、又はSiO
2を除去するために完全にエッチング(
図66に示した如く)させることが可能である。該SiO
2層が完全にエッチング除去される場合には、反射を最小とするために反射防止層(不図示)を該SiN層へ付与することが可能である。
【0119】
図67は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・SiPDを示している概略図である。該PDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図58−66に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。この場合には、装置PIN接合容量を減少させるためにボイド6722が形成されている。ボイド6722は、或る量だけ容量を減少させるために十分な量の物質を除去するために、該Ge層内に部分的にエッチングさせることが可能である。該容量減少は、ボイドが無い同様のGe・オン・SiPDと同じデータレート帯域幅を維持しながら一層大きな面積のPDとすることを可能とする。その一層大きな面積のPDは、フォトダイオードに対するオプチカルファイバー及び/又は光源のミスアライメント即ち不整合において一層大きな公差を可能とさせる。データレート帯域幅はRC時間と走行時間とによって決定される。この構造の説明してきた全ての構造との統合は、半田バンプ技術と共にPCBへ直接取り付けることが可能なTIA等のエレクトロニクスで可能である。幾つかの実施例によれば、この構造に対する動作波長は800−1300nmの範囲であり且つデータレートは40Gb/sを越えるものである。
【0120】
注意すべきことであるが、BOX構造を使用することは必要ではない。本PDは次のような層を有することが可能であり、即ち、約0.1μmの厚さで2×10
20/cm
3を越えてドーピングされているGeP層6210、0.5−1.0μmの厚さで意図的にはドーピングしていない(5×10
16/cm
3未満)GeI(吸収層)6208、及び最後に0.2−0.5μmの厚さで2×10
19/cm
3を越えてドーピングされているSiN層6206、及び2−4μmの埋込酸化物層5804である。
【0121】
図68は、幾つかの実施例に基づく、マイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)の或る側面を示している概略図である。該MS−APDは次の層を有することが可能であり、即ち、約0.1−0.2μmの厚さで2×10
19/cm
3を越えてPドーピングされているSiP層6810、0.5−2.0μmの厚さで意図的にはドーピングされていない(5×10
15/cm
3未満)SiI(吸収層)6808、0.2−0.5μmの厚さで2×10
19/cm
3を越えてnドーピングされているSiN層6806、及びSi基板6802上の2−4μmの厚さの埋込酸化物層6804、である。該MS−APD装置は2つの付加的な層、即ち電荷層及び増倍層、を有している。電荷層6820は吸収I層6808の直下である。SiP電荷層6820は約1.8×10
17/cm
3へドーピングされており且つ約0.1μmの厚さを有している。該電荷層の直下は該MS−APDの増倍層6818である。SiI層6818は意図的にはドーピングされておらず(1×10
16/cm未満)且つ約0.5μmの厚さを有している。ビア6870がシリコン基板内を該SiO
2層までエッチングされており(反射を最小とさせるために反射防止コーティングを適用することが可能)、且つ800−990nmの範囲の波長を有する光が該ビアを介して適用される。該MS−APDの上部表面上の反射器6832は吸収用「I」層6808を介してのフォトンの二重/多重通過を与える。一つの利点は一層薄い吸収層であり、それは一層短い走行時間とさせる。従って、該MS−APDのデータレート帯域幅は向上される。マイクロストラクチャ型穴アレイ6822はSiO
2層6804まで及び/又は殆ど該SiO
2層までエッチングされる。P及びNコンタクト6828及び6830は半田バンプが付与されるべき同一の表面上に示されており、従って、該MS−APDはセラミックマルチチップ担体上及び/又はプリント回路基板上に直接フリップチップマウントさせることが可能である。説明の便宜上、最も基本的な処理ステップのみが示されている。パッシベーション、ボンドパッド、ポリイミド/スピン・オン・ガラス平坦化、反射防止コーティング、等の付加的なステップ又は要素は図示していない。更に、ビア6870のエッチング期間中、Si基板を除去した後に、該SiO
2層はMS−APD又はMS−PDのいずれかの構造のために部分的にエッチング除去するか又は完全にエッチング除去することが可能である。反射器6832が無い場合には、光学信号は上部表面から入射することも可能である。
【0122】
図69は、幾つかの実施例に基づく、マイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)の或る側面を示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68に図示し且つそれについて説明したものと同様である。マイクロストラクチャ型穴アレイ6922は、該APD構造の電荷層6820、増倍層6818、及び/又はN層6806までエッチングされる。穴6922は該SiO
2層までずーとエッチングされるものではない。光が該SiO
2までシリコン基板が除去されているビア6970を介して照射される。光がNSi層6806上に直接入射するように該SiO
2層もエッチングすることが可能である。このことは全ての底部照射型MS−PD及びMS−APD装置に対して適用可能であり、その場合には反射防止コーティングを直接Siへ適用することが可能である。800−990nmの範囲の波長の場合、約0.2μmの薄いNSi層6806が吸収用「I」層6808から離れた領域における吸収を減少させるために好適である。光は上部/正面から入手することも可能であり、その場合には反射器6832は除去される。この様な場合には、ビアを省略する場合があり且つ該Si「I」層は30%を越える量子効率のために1.5−2μmへ増加させる場合がある。幾つかの場合においては、量子効率は50%を超えるものであり、幾つかの場合には、70%を超えるものであり、且つ幾つかの場合には、80%を超えるものである。該アバランシェの増倍係数即ち利得は2を越えるものとすることが可能である。幾つかの場合には、その利得は5を超えるものである。幾つかの場合には、それは10を超えるものである。更なる幾つかの場合には、それは15を超えるものであり、且つ更に幾つかのその他の場合には、該利得は20を超えるものである。データレート帯域幅は10Gb/sを超えることが可能である。幾つかの場合には、該帯域幅は15Gb/sを超えるものであり、且つ幾つかの場合には、30Gb/sを超えるものである。更に、該SiO
2層は完全に又は部分的に除去することが可能であり、及び/又はそれはMS−PD及びMS−APDのためにSiで充填されているか又はされていないボイドを有することが可能であり、且つ背面/底部照射用に使用されるビアを形成するためのSi基板の除去期間中にSiGeB,SiGeC又はSiGeBC等のエッチストップ層を使用することが可能である。
【0123】
図70は、幾つかの実施例に基づき、該SiO
2層が無いMS−APDを示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68−69に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。エッチストップ層7034はSiGe又はSiGeC又はSiGeB(該SiGeは約1%のGeを有しており且つ1×10
20/cm
3を越えてボロンで高度にドープされている)で、且つ厚さは0.1乃至2μmの範囲である。SiGeBCはSi基板6802上、及び/又はNSi層6806等のSiエピタキシャル層上に成長させることが可能である。幾つかの実施例によれば、該MS−APDは次のような厚さ及びドーピングレベルを有しており、即ち、SiN層6806は0.2乃至1μmの範囲の厚さ及びドーピングレベルを有しており、SiN層6806は0.2乃至1μmの範囲の厚さ及び2×10
19/cm
3を越えるものから2×10
20/cm
3を越えるものの範囲のドーピングを有しており、SiI増倍層6818は意図的にはドーピングされておらず(1×10
16/cm
3未満)且つ約0.5μmの厚さを有しており、SiP電荷層6820は約1.8×10
17/cm
3にドーピングされており且つ約0.1μmの厚さを有しており、SiI吸収層6808は意図的にはドーピングされたおらず(5×10
15/cm
3未満)且つ0.5−1.0μmの厚さを有しており、且つSiPキャッピング層6810は2×10
20/cm
3を越えてドーピングされており且つ約0.1μmの厚さを有している。幾つかの実施例によれば、複数のエッチストップ層を使用することが可能である。例えば、SiI増倍層6818とSiN層6806との界面に別のエッチストップ層を形成することが可能である。該エッチストップ層の厚さは1nm乃至100nmの範囲に亘ることが可能であり、且つ隣接する層の電気的特性と一致させるためにP又はNへドーピングさせるか又は意図的にドーピングしないものとすることが可能である。光学信号の波長は800乃至990nmの範囲にわたることが可能であり且つ背面側から照射される場合には、SiO
2/Ag等の誘電体から反射器を形成することが可能である。幾つかの実施例によれば、反射器6832は、SiO
2とHfO
2、又はAg,Au及び/又はPtと共にITO等の屈折率が異なる2つの誘電体からなるブラッグ反射器である。反射器6832は吸収されなかった信号フォトンを吸収用SiI領域6808を介して二重及び/又は多重回通過させるべく反射させるために使用される。更に、該装置は正面照射型とすることが可能であり、その場合には反射器6832は省略され且つ吸収用SiI層6808は量子効率を最適化させるために1.5−2μmへ厚くされる。幾つかの実施例によれば、該正面/上部照射型MS−APDにビアを包含させることも可能である。同様に、或るMS−PDは、該SiP電荷層及びSiI増倍層を省略して、この構造を使用することも可能である。正面及び背面照射型MS−PDが有益的である場合がある。何故ならば、Si基板の除去は屈折率コントラストを改善し且つ該マイクロストラクチャにおいて改善された吸収係数を有しており、そのことは量子効率を改善させるからである。
【0124】
該P及びN層の高ドーピングは、シート抵抗を減少させると共に該P及びN層内の少数キャリアーの寿命を減少させて、MS−PD/APDのデータレート応答(周波数応答とも呼称される)において劣化を発生される場合がある高電界SiI吸収層内への少数キャリアーの拡散を減少させる。該マイクロストラクチャ型穴アレイは、該SiGeC及び/又はSiGeBストップ層まで及び/又は穴エッチング期間中及び/又はビアエッチング期間中のいずれかで該ストップ層を超えてエッチングさせることが可能である。該エッチストップ層も該穴エッチングの後又は該ビアエッチング期間中に完全に又は部分的に除去することも可能である。この様に、SiGeC,SiGeBC又はSiGeB層は背面照射型MS−PD/APD用の光学系路中には無い。注意すべきことであるが、Geが約1%(例えば、Si
0.99Ge
0.01)であるSiGeBにおいては、そのバンドギャップはほぼSiのものと同じである。更に、
図69における如く、該マイクロストラクチャ型穴アレイは、該吸収用SiI層に対応する深さへ及び/又は該SiI吸収層より大きく且つ部分的にアバランシェ領域内へ入る深さへエッチングさせることが可能である。
【0125】
図71は、幾つかの実施例に基づき、Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)を示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68−70に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。GeI吸収層7108は意図的にはドーピングされておらず(5×10
15/cm
3未満)且つ0.5−2.0μmの厚さを有している。上部GePキャッピング層7110は2×10
20/cm
3を越えてドーピングされており且つ約0.1μmの厚さを有している。マイクロストラクチャ型穴アレイ7122は、SiP電荷層6820まで又は該SiP層直前までエッチングされている。代替的に、穴7122はSiP電荷層6820内へ及び/又はSi増倍層6818内へエッチングさせることが可能である。ビア6970がエッチングされて光学経路からSi基板を除去している。該SiO
2層は不変のままとするか、部分的にエッチングさせるか又は完全に貫通してエッチングさせることが可能であり、又はSiO
2の無いNSi基板を使用することが可能である。SiN層6806が露出される場合には、反射を最小とさせるために反射防止層(不図示)を付与することが可能である。波長範囲は、例えば、800−1800nm,1300−1600nm,810−880nm,930−990nmとすることが可能である。穴寸法及び周期は或る波長範囲に対して最適化させることが可能である。PGe又はSiGe層7110上に反射器6832を形成することが可能である。該反射器6832は誘電体及び金属、ITO(インジウム錫酸化物又は同様の透明導電性酸化物)及び金属、ブラッグ反射器のような全誘電体、又はそれらの任意の組合せから構成することが可能である。反射器6832は、1回目の通過で吸収されなかったフォトンを2回又は多数回の通過のために吸収用GeI層7108へ向かって反射させて戻す。単一通過でのフォトダイオードと比較して一層薄いGeI吸収層7108を使用することが可能である。該一層薄いGeI層は一層短い走行時間とさせ、従って一層高いデータレートとさせる。Ge・オン・Siの成長はGeバッファ層を使用する場合があり、それはGeの高品質結晶成長を開始させるために成長される。例えば、Kang et al.の1.3AEm光検知用のエピタキシャル的に成長されたGe/Siアバランシェフォトダイオード(Epitaxially-grown Ge/Si avalanche photodiodes for 1.3Em light detection)、Vol.16、No.13/オプティックスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)9365(2008)(以後、「Kang et al」と呼称する)を参照すると良く、尚それを引用により本書に取り込む。1200−1750nmの波長範囲の場合、Siはこれらの波長においては殆ど透明であるからビア7270は必要ではない。更に、反射器6832が無い場合には、光学信号は上部表面から入射することが可能であり且つGe「I」層7108は厚さを約2ミクロンへ増加させることが可能である。
【0126】
図72は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)を示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68−71に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。この場合には、マイクロストラクチャ穴アレイ7222がSiO
2層6804までエッチングされている。幾つかの実施例によれば、穴7222はSiO
2層6804の十分の数μm内までエッチングされ且つビア7270は該SiO
2層までエッチングされる。該SiO
2層は該ビアエッチング期間中に不変のままであるか、部分的にエッチングされるか、又は完全に貫通してエッチングさせることが可能である。背面側から入射する光は800−1800nmの範囲の波長を有している。例えば630−780nmなどのその他の波長を使用することも可能である。該Si層内において幾らかの光発生されたキャリアーが存在する場合があるが、光発生されたキャリアーのバルクはGeI層7108においてであり、とりわけ800−1800nmの波長範囲においてであって、特に1100−1800nmの波長範囲においてである。該エピタキシャル構造は
図71に示したものに類似しており、というのも、該GeP層上の反射器6832が光をGeI吸収層へ向けて反射して戻すからである。該SiO
2層の除去は該マイクロストラクチャ型半導体穴間に高い反射指数コントラストを可能とさせ、そのことは該マイクロストラクチャ型穴アレイと空気の光収集特性を改善させることを可能とする。又、SiO
2−空気界面及びSiO
2−半導体界面において発生する場合がある反射が取り除かれている。正面照射型MS−APDの場合、反射器6832は除去され且つGeI吸収層7108が1−2μmの範囲へ厚くされる。該ビア及びSiO
2の除去は正面側照射型MS−APDのために行うことが可能である。該アバランシェ層、P電荷及びI増倍、を除去することによって、該MS−APDはMS−PDとなる。
【0127】
図73は、幾つかの実施例に基づく、エッチストップ層を具備するGe・オン・Siマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)を示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68−72に図示し且つそれらについて説明したものと同様である。SiGe,SiGeC,SiGeB,SiGeBC等のエッチストップ層7334をSiウエハ上に成長させる。注意すべきことであるが、Si基板(ウエハ)6802は、既に、NSiエピタキシャル層、その後のAPD層、その他のバッファ層、スペーサ層、又はその他のエッチストップ層等の夫々の層(不図示)をその上に有している場合があり、それらは良好な結晶成長及び処理再現性を促進させるものである。基本的なAPD層は、厚さが0.2乃至0.5μmの範囲でドーピングが2×10
19/cm
3をこえるものから2×10
20/cm
3を越えるものの範囲であるSiN層6806、意図的にはドーピングされておらず且つ厚さが約0.5μmであるSiI増倍層6818、約1.8×10
17/cm
3へドーピングされており且つ厚さが約0.1μmであるSiP電荷層6820、意図的にはドーピングされておらず且つ厚さが0.5−1.0μmであるGeI吸収層7108、及びドーピングが2×10
20/cm
3を越えており且つ厚さが約0.1μmであるGe又はSiGePキャッピング層7110である。マイクロストラクチャ型穴アレイは特定の波長範囲に対して最適化されている穴直径及び周期でエッチングされている。特定の班長範囲は次のものを包含しており、即ち、800−860,860−880,880−920,920−990,990−1100,1100−1350,1350−1450,1450−1550,1550−1650,1650−1800nmである。穴及びメサのパッシベーションは説明の便宜上割愛してあるが、Kang et alの中にそれらの例が示されている。文献においてはその他のパッシベーション方法が存在している。光はビア7370を介して背面側から入射し、その場合は該エッチストップ層を除去することが可能である。光は正面側から入射することも可能であるが、吸収GeI層7108の厚さは約1−2μmの範囲に増加される。正面側照射型MS−APD/PDの場合、例えば、半導体マイクロストラクチャと空気との間の反射指数コントラストを増加させるために該ビアを実現させることも可能である。平坦化層、ブリッジ層、ボンドパッド、及び充填物等のその他の層も説明の便宜上図示していない。
【0128】
図74は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型アバランシェフォトダイオード(MS−APD)を示している概略図である。該MS−APDは、物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図68−73に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるが、Pコンタクト層における光キャリアーの吸収を減少させるために該GeP層がSiGe又はSiGeCのP層7410で置換されている点が異なっている。SiGe及び/又はSiGeCはGeよりも一層大きなバンドギャップを有しており、従って同じ厚さの場合に吸収係数はGeにおける場合よりも一層小さい。例えば、Kolodzey et al.の「Si基板上に成長させたSiGeC合金の光学的及び電子的特性(Optical and electronic properties of SiGeC alloys grown on Si substrates)」、ジャーナルオブクリスタルグロス(Journal of Crystal Growth)157、386−391(1995)(以後「Kolodzey et al」と呼称する)を参照すると良く、尚それを引用により本書に取り込む。例えば、Kolodzey et alから、SiGe
0.88C
0.12の場合、バンドギャップは、Siが1.11eVであり且つGeが0.66eVであるのと比較して、1.3eV(直接)である。SiGe合金はSiとGeとの間のバンドギャップを与え、従ってGeに対してのSiの何らかの付加はバンドギャップを増加させ且つ該P層における吸収を減少させる。幾つかの実施例によれば、このP層置換技術はここに示し且つ記載した全てのMS−PD/APD構造に対して適用される。特に、GeP層はSiGeP及び/又はSiGeCP層で置換される。幾つかの更なる実施例によれば、ここに示し且つ記載した全てのMS−PD/APDにおいて、該SiP及びN層も完全に又は部分的にSiGeC P及びSiGeC Nで置換させることが可能であり、そのことは該MS−PD/APDのP及びN領域における光学信号の吸収を減少させる。幾つかの場合には、本発明における光学フォトンの吸収を減少させるために、Siである該APDの増倍領域もSiGeC Iで置換させることが可能である。或る波長1200−1750nmにおいては、Siは殆ど透明であり、ビア7370及びエッチストップ層7334のいずれか一方又は両方が必要ではない。この場合には、NSi基板を使用してその背面を研磨し且つ反射防止コーティングを行う。
【0129】
図75は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD用の別のSiNIPエピタキシャル層構造を示している概略図である。穴7522が約2.3μmの深さまでエッチングされており且つSiP層7506の前及び/又は後の十分の数ミクロンで終端することが可能である。ドーピング及び厚さはほぼ次の通りであり、即ち、SiP基板7502、1×10
19/cm
3を越えるものとすることも可能であるが2×10
20/cm
3を越えるPドーピングで0.2μm(又は0.1−1μmの範囲)のSiP層7506、意図的にはドーピングされておらずバックグラウンドドーピングが5×10
16/cm
3未満であり且つ幾つかの場合には5×10
15/cm
3未満であって厚さが約2又は1−2.5μmの範囲内であるSiI層7508、ドーピングが2×10
19/cm
3を越えており且つ厚さが約0.3μm又は0.2−0.5μmの範囲内であるNSi層7510である。Nコンタクト7528はSiN層7150上にある。Pコンタクトは、コンタクト7530における如くSiP基板の上部表面上とすることが可能であり、及び/又はコンタクト7532における如く該基板の底部/背面側上とすることが可能である。PIN接合区域、従って容量、を画定するためにメサエッチングが使用される。メサはP層7506まで及び/又はP基板7502までエッチングされ且つPコンタクト7530はSiP層7506上及び/又はSiP基板7502背面側7532上にデポジット即ち付着させることが可能である。幾つかの実施例によれば、その他の電気的分離を使用することも可能であり、例えば、PIN区域を画定するための陽子衝撃(proton bombardment)又はPN接合ドーピング又はトレンチドーピング等のその他のドーピング技術である。この構造において、光は約800−990nmの範囲の波長で正面側から入射する。周期が2000nmで穴直径が1300nm、及び周期が2000nmで穴直径が1500nmを六角形及び/又は正方形格子パターンのいずれかで使用することが可能である。幾つかの実施例によれば、穴直径の範囲は約600nm乃至1500nmであり且つ周期の範囲は約900乃至2500nmである。
【0130】
図76(A)−(C)は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD用の埋込酸化物上のSiN−I−Pエピタキシャル層を示している各概略図である。
図76(A)において、穴7622がSiP層7606へエッチングされており、該SiP層内へ部分的に及び/又はSiO
2層7604へエッチングされている。ドーピング及び厚さはほぼ次の通りであり、即ち、基板7602内のSiBOX(埋込酸化物)7604、Pドーピングが2×10
20/cm
3を越えている1μm(又は0.1−1μmの範囲)のSiP層7606、意図的にはドーピングしておらず且つバックグラウンドドーピングが5×10
16/cm
3未満であり且つ幾つかの場合には5×10
15/cm
3未満であって厚さが2μm又は0.5−2.5μmの範囲であるSiI層7608、及びドーピングが2×10
19/cm
3を越えており且つ厚さが例えば0.3μm又は0.2−0.5μmの範囲であるNSi層7610である。N及びPコンタクト7628及び7630は正面側上とすることが可能であり、その場合に、PコンタクトはP層7606に対するメサエッチングの後に形成される。SiGeB又はSiGeC等のエッチストップ層をP層7606とI層7608との間の界面において使用することが可能である。光が背面側から入射し且つ光がI層7608を介して複数回の通過をすることが可能であるように上部表面SiN層7610上に反射器が配置される場合には、I層7608は薄くすることが可能であり、例えば0.5−1μmとすることが可能である。PとNとは交換可能であり、且つ該マイクロストラクチャ型フォトダイオード(MS−PD)は、例えば、PINとすることが可能である。SiGeBがエッチストップ層として使用される場合には、該SiGeBは高度にP型であり且つ該NIP構造が好適である。該エッチストップ層は、例えば、0.05乃至1μmの厚さとすることが可能であり且つ該SiP層を全体的に又は部分的に置換させることが可能である。適切に装置又はエピタキシャル層を修正して、光は正面側から及び/又は背面側から入射することが可能である。波長範囲は約800−990nmである。
【0131】
図76(B)においては、
図76(A)におけるPSi層7606は、Pドーピングが2×10
20/cm
3を越えており且つ厚さが0.5μm又は0.2−1μmの範囲であるSi
0.99Ge
0.01B層7616で置換されている。その他の全ての層は
図76(A)における通りである。マイクロストラクチャ型穴7622がエッチングされ且つ該SiGeB層において停止するか及び/又は該SiGeB層を貫通して通過し且つ該SiO
2層において停止するか及び/又は該SiO
2層内に入ることが可能である。該SiO
2層において停止するか又は該SiO
2層内で停止するか又はそれを貫通するビア7670をエッチングすることが可能である。SiN層及びSiGeBP層の夫々の上にN及びPオーミックコンタクト7628及び7630が形成されている。光は上部表面(エピ表面)から及び/又は底部表面(基板表面)からのいずれかから入射することが可能であり、及び該I吸収層を介して複数回通過させるために誘電体スペーサ層と共に上部か又は底部のいずれかの上に反射器を配置させることが可能である。波長は800乃至1000nmの範囲である。説明の便宜上図示していないものは、パッシベーション層、ポリイミドブリッジ層、メサ、ボンドメタル等のその他の要素である。
【0132】
図76(C)においては、約0.1μmの厚さで且つドーピングが1×10
20/cm
3より大きいPSi層7626がSiO
27604上の第1層として付加されており、その上にPドーピングが1×10
20/cm
3より大きく且つ厚さが約0.3μmのSi
0.99Ge
0.01B層7616が成長される。
図76(A)及び(B)における如く、光はビアがエッチングされている上部及び/又は底部表面から入射することが可能である。N及びPオーミックコンタクトが該N及びP層の上に夫々配置されている。マイクロストラクチャ型穴アレイ7622がSiO
2層7604を貫通してエッチングされ及び/又はP層7626内に部分的にエッチングされる。光が底部から入射する場合には、ビア7670をシリコン基板7602内へ及びSiO
2層7604内へエッチングし、尚SiO
2層7604は部分的に又は完全にエッチングさせることが可能である。1−10ボルトの逆バイアス電圧を該P及びNコンタクトの間に印加させる。
【0133】
幾つかの適用例においては、光はMS−PD/APDの上部及び底部から同時的に入射することが可能である。該光は、同一の又は異なる波長、データレート、極性、及びコヒーレント光学通信用の振幅を有することが可能である。光が上部と底部の両方から入射することの利点はビームスプリッターを使用することの必要性が無く且つ光学パワー損失において3dB節約することが可能であるということである。
【0134】
図77は、幾つかの実施例に基づく、SiNIPエピタキシャル層とPSi基板上のSiGeBエッチストップ層とを具備しているMS−PDを示している概略図である。エッチストップ層7716はSi
0.99Ge
0.01B又はSiGeにおいて約1%Geから構成することが可能であり、その場合に、そのバンドギャップは実質的にSiと同じであり且つBドーピングは1×10
20/cm
3を越えるものである。この高度のPドーピングはSiP層7706を部分的に又は全体的に置換させる場合がある。これらの層及び厚さは次の通りとすることが可能であり、即ち、SiP基板7702、厚さが0.1−2μmのSiGeB層7716、Pドーピングが2×10
20/cm
3を越えている0.2μm(又は0.1−1μmの範囲)のSiP層7706、意図的にはドーピングされておらずバックグラウンドドーピングが5×10
16/cm
3であり且つ幾つかの場合には5×10
15/cm
3未満であって厚さが2μm又は0.5−2.5μmの範囲内であるSiI層7708、及びドーピングが2×10
19/cm
3を越えており且つ厚さが0.3μm又は0.2−0.5μmの範囲内であるNSi層7710である。N及びPコンタクト7728及び7730は両方共正面側とすることが可能である。該Pコンタクトは、又、コンタクト7732におけるように該PSiの背面側上とすることも可能である。マイクロストラクチャ型穴アレイ7722はSiGeBのエッチストップ層7716へエッチングさせることが可能である。該SiP内へ及び/又は該SiGeB層へメサをエッチングさせて該NIP区域、従ってNIP容量を画定する。Pコンタクト7730はPSi層7706又はPSiGeB層7716の上に配置させることが可能である。Nコンタクト7728がSiN層7710上に配置される。該Si基板を除去するために、該Si及びSiGeBに対するものとは異なるエッチングプロセスを使用して、該SiGeB層まで及び/又は部分的に該SiGeB層内へビア7770をエッチングさせることが可能である。SiGeB層7716もエッチング除去することが可能であり、その場合には、ビア7770はSiP層7706まで延在される。更に、SiP層7706は部分的に又は全体的に該SiGeB層で置換させることが可能である。そのような場合には、少なくとも0.2乃至0.3μmのSiGeB層が残存することが望ましい。光は正面及び/又は背面側から入射することが可能である。誘電体が半導体と接触しており厚さが0.5−4μmの誘電体金属反射器を設けることが可能であり、その場合に、該誘電体はSOG、ポリイミド、SiO
2、フッ化カルシウム、又は窒化シリコンとすることが可能であり、それに続いて、正面か又は背面側のいずれかの上にAg,Au,Al,Ni等の金属又は合金を設ける。例えば、該誘電体金属反射器が背面側に配置される場合には、正面側からの光を該吸収用I層を介して多数回反射させることが可能であり、且つ逆に、該反射器が正面側に配置される場合には、背面側からの光は該吸収用I層を介して多数回反射させることが可能である。反射器がある場合には、一層薄いI層を使用することが可能であり、それは、例えば、1μmであるか又は反射器が無いMS−PDの厚さの約半分であって、そのことは該MS−PDに対して一層高いデータレートとさせることが可能である。該MS−PDの場合に800−990nmの波長範囲を使用することが可能である。幾つかの場合において、該反射器は、単純に、ブラッグミラー等の金属とすることが可能である。更に、光が正面の表面からのみ入射するものであって2回及び/又は多数回の反射が実現されない場合には、ビア7770は必要ではない場合がある。
【0135】
図78は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD用のSiGeBエピタキシャル層上のGe・オン・SiNIPを示している概略図である。マイクロストラクチャ型穴アレイ7822がGe層7810及び7808において且つSiP層7806内へ又はそこまでエッチングされている。エッチストップ層7816はSi
0.99Ge
0.01B又は約1%のGeのSiGeから構成されており、その場合にバンドギャップはSiと実質的に同じであり且つBドーピングは1×10
20/cm
3は越えている。この高度のBドーピングはSiP層7806を部分的に又は全体的に置換させる場合がある。これらの層及び厚さは次の通りとすることが可能であり、即ち、SiP基板7802、SiGeB層7816は0.1−2μmの厚さであり、SiP層7806は0.2μm(又は0.1−1μmの範囲)でありPドーピングは1×10
19/cm
3であり、GeI層7808は意図的にドーピングされておらずバックグランドドーピングが5×10
16/cm
3未満であって且つ幾つかの場合においては5×10
15/cm
3未満であり厚さが2μm又は0.5−2.5μmの範囲であり、且つNGe層7810はドーピングが2×10
19/cm
3を越えるものであって厚さが0.2μm又は0.2−0.5μmの範囲内である。N及びPコンタクト7828及び7830の両方を正面側とすることが可能である。該Pコンタクトは、コンタクト7832における如く、PSi基板上の背面側とすることも可能である。数nmのGeバッファー層をSi層とGe層との間に成長させることが可能であり、且つその場合のGeバッファー層の成長条件は該GeI層の成長条件とは異なっている。ビア7870をSi基板7802内にエッチングして該SiをSiGeB層7816まで除去することが可能である。異なるエッチ条件で、SiGeB層7816を部分的に及び/又は全体的にエッチングすることが可能である。光は正面側又は背面側のいずれかから入射することが可能であり、反射器がある場合には、フォトンはI吸収層を介して複数回の通過を行い且つ本装置は一層高いデータレート動作のために一層薄い層を使用することが可能である。何故ならば、電子及び正孔の光発生されたキャリアーの走行時間は一層短いからである。波長範囲は800乃至1800nmである。穴直径及びアレイ周期は約30−100nmに亘る或る波長範囲に対して最適化させることが可能である。光学信号が正面/上部表面から入射する場合にはビア7870は必要ではない場合がある。更に、光学信号が1200−1750の範囲内の波長を有している場合には、これらの波長においてシリコンは殆どトランスペアレント即ち透明であるか又は発生する光学損失は非常に低いので底部照射の場合にはビアが必要ではない場合がある。
【0136】
図79は、幾つかの実施例に基づく、MS−PD用のGe・オン・Siエピタキシャル構造を示している概略図である。その物質構造は次の通りであり、即ち、SiN基板7902(又は代替的にPSi基板上のNIP構造)、Nドーピングが2×10
19/cm
3を越えている0.2μm(又は0.1−1μmの範囲)のSiN層7906、意図的にはドーピングされておらずバックグランドドーピングが5×10
16/cm
3未満であり且つ幾つかの場合には5×10
15/cm
3未満であって厚さが2μm又は厚さ範囲が0.5−2.5μmであるGeI層7908、及びドーピングが2×10
20/cm
3であり且つ厚さが0.2μm又は0.2−0.5μmの範囲内であるPGe層7910である。P及びNコンタクト7928及び7930は両方共正面側とすることが可能である。マイクロストラクチャ型穴アレイ7922をNSi層7906までエッチングするか、部分的にその中へエッチングするか、又はそれを貫通してエッチングする。メサエッチングがPIN区域及び容量を画定する。Nコンタクト7930及び7932を該NSi基板の正面側表面上又は背面側表面上のいずれかに該メサエッチングの後に付着させる。パッシベーションは図示されていないが、Kang et al.を使用して、非晶質Siを露出されたGe表面の側壁上に付着させることが可能であり且つ高温でアニールさせることが可能であり、及び/又はSiGeを露出されたGeの側壁上に付着させ且つアニールして漏洩電流を減少させることが可能である。該MS−PD及びMS−APDにおけるメサ直径は、データレートに依存して、5μm乃至100μmの範囲とすることが可能である。幾つかの実施例によれば、該メサ直径範囲は30Gb/sのデータレートの場合に20−40μmである。更に、高結晶品質を確保するために、NSi7906とIGe7908との間にバッファGe層を使用することが可能である。例えば、Kang et al.を参照すると良い。正面側から光が入射する場合には、波長は800−1800nmの範囲とすることが可能である。好適な範囲においては、該波長は1450−1600nmとすることが可能であり、且つ別の好適な範囲においては、例えば、1250−1600nmとすることが可能である。該MS−PD/APDはデータ通信波長及び遠隔通信波長の両方をカバーすることが可能である。
【0137】
図80は、幾つかの実施例に基づく、別のGe・オン・Siエピタキシャル構造を示している概略図である。該MS−PDは、その物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図79に図示し且つそれについて説明したものと同様又は同一であるが、それは0.2乃至4μmの厚さの埋込酸化物層8004を具備するSiBOXウエハ上に成長されることが異なっている。マイクロストラクチャ型穴アレイ8022をNSi層7906までエッチングし且つNSi層7906内へ又はそれまで又はSiO
2層8004までエッチングさせることが可能である。メサエッチングがPIN容量を画定し且つ該MS−PD/MS−APD用のメサ直径は該MS−PD/APDのデータレート帯域幅に依存して5−100μmの範囲である。20−50μmのメサ直径が20−35Gb/sのデータレート帯域幅に対して好適である。光は前部表面又は後部表面から入射することが可能である。1100nmを越える波長において、Siの光学損失は非常に低く且つ該Si基板は、例えば、レンズ又はグレーチングをエッチングするために使用することが可能である。SiO
2を全体的に又は部分的に除去するためにビア8070をエッチングすることが可能である。ビア8070は、光及び/又はファイバーを、例えば、該MS−PDへ案内するために使用することが可能である。ビア8070内に反射器8070を付着させることが可能であり、その場合に、正面側からの光が該反射器で跳ね返り且つIGe吸収領域7908を複数回横断するように該SiO
2は完全には除去しないか又は全く除去することはない。反射器が正面側か又は背面側のいずれかにある場合、IGe7908は一層薄く、例えば1μmとすることが可能であり、そのことは電子正孔走行時間を減少させ且つ該MS−PD/MS−APDのデータレート帯域幅を増加させる。波長は800−1800nmの範囲とすることが可能であり、それはデータ通信及び遠隔通信波長範囲の両方をカバーしている。連続的なNSi層7906の場合、例えば該SiO
2層が完全にエッチングされている場合には、該NSiの底部表面へ反射防止コーティングを付与することが可能である。
【0138】
図81は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・Siエピタキシャル構造を示している概略図である。該MS−PDは、その物質構造の厚さ及びドーピングを含んで、
図79−80に図示し且つそれらについて説明したものと同様であるか又は同一であるが、ビア8170がSiO
2BOX層8004へエッチングされており且つ2−4μmの厚さ又は0.2−6μmの範囲の該SiO
2を部分的にエッチングするか、完全にエッチングするか、又はエッチングしないものとすることが可能であることが異なっている。更に、Ag,Au,Cr,Al等の物質からなる反射器8172を形成することが可能である。該反射器8172は、又、ブロードバンド、ナローバンド、又はパスバンドブラッグ反射器とすることが可能である。注意すべきことであるが、反射器8172が誘電体である場合には、それは、該SiO
2層をエッチング除去して、NSi層7906上に直接的に付着させることも可能である。IGe層7908を介しての1回目の通過で吸収されなかった正面側から入射する光は、該IGe吸収層を介して複数回通過するために該IGe層へ反射して戻すことが可能である。該IGe層は一層薄く、例えば1μm、することが可能であり、そのことは該IGe層においての電子及び正孔に対する走行時間を一層短いものとさせる。このことは該MS−PD/MS−APDのデータレート帯域幅を増加させる。
【0139】
図82A−82Cは、
図79に図示した構造に類似したGe・オン・Siマイクロストラクチャ型フォトダイオードに関しての有限差分時間領域(FDTD)を使用してのシミュレーションに関するものである。
図82Aは、シミュレーションを行ったGe・オン・Siマイクロストラクチャ型フォトダイオードを示している概略図である。その穴パターンは正方形格子パターンである。穴周期と穴直径との2つの組合せについてシミュレーションを行っており、即ち2500nmの穴周期と1500nmの直径、及び2300nmの穴周期と1300nmの直径である。
図82B及び82Cにおいて、水平軸はμmでの波長であり且つ垂直軸は吸収であってそれは量子効率に直接的に関係している。各場合において、穴の正方形格子パターンをシミュレーションしている。
図82Bにおいて、800nm乃至1000nmの範囲の波長を有する光学信号に対して、曲線8210は2300nmの穴周期及び1300nmの直径に対しての吸収のプロットであり、且つ曲線8212は2500nmの穴周期及び1500nmの直径に対しての吸収のプロットである。
図82Cにおいて、1000nm乃至1800nmの範囲の波長を有する光学信号に対して、曲線8220は2300nmの穴周期及び1300nmの直径に対しての吸収のプロットであり且つ曲線8222は2500nmの穴周期及び1500nmの直径に対しての吸収のプロットである。0.8乃至0.98μmの波長範囲に対して0.4(フォトンの40%を吸収)を越えるものから高々0.9(フォトンの90%を吸収)を越えるものまでの吸収が判別された。0.5より大きな吸収は1.55μmに対して見られ且つGeの約2μmの吸収層に対して1.8μmへ延在している。これはマイクロストラクチャの無い2μm厚さの同等のGe層よりも著しく一層大きく、特に1550nm及びそれより一層長い波長においてそうである。
【0140】
図83A−83Cは、
図80における構造に類似したGe・オン・Siマイクロストラクチャ型フォトダイオードに関して有限差分時間領域(FDTD)を使用したシミュレーションに関するものである。
図83Aは、上部表面から入射する光でシミュレーションを行ったGe・オン・Siマイクロストラクチャ型フォトダイオードを示している概略図である。
図83B及び83Cのグラフにおいて、水平軸はμmでの波長であり且つ垂直軸は吸収であって、それは2500nmの周期及び1500nmの直径(曲線8312及び8322)と2300nmの周期及び1300nmの直径(曲線8310及び8322)を有する複数の穴の正方形格子に対する量子効率に直接的に関係している。0.7より大きな吸収(フォトンの70%を吸収)が1.55μmに対して見られ且つGeの約2μmの吸収層に対して0.5吸収(フォトンの50%を吸収)よりも良い状態で1.8μmへ延在している。このことは、例えば、1650nm及びそれより長い波長において2μm厚さを有するInPと格子整合された同等のInGaAs層よりも著しく一層大きい。
【0141】
図84A及び84Bは、Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型フォトダイオードに関して有限差分時間領域(FDTD)を使用したシミュレーションの結果を示している。シミュレーションした構造は
図82Aに示されている。
図84A及び84Bにおいて、グラフの水平軸はμm単位での波長であり且つ垂直軸は吸収であって、それは該穴アレイに対しての正方形及び六角形の両方の格子に対する量子効率に直接関係している。
図84Aは、2300nmの周期及び1300nmの穴直径を有する正方形格子(曲線8410)及び六角形格子(曲線8412)の両方を示している。0.9(フォトンの90%を吸収)より大きな吸収が、50nm波長スパンにわたって吸収が10%未満だけ変化している領域と共に1.55μm波長に対して示されている。
図84Bは、2500nmの周期で1500nmの直径に対しての正方形(曲線8420)及び六角形(曲線8422)の格子の両方を示しており、それは1.55μmにおいて0.7の吸収を示している。全体的に、六角形格子は正方形格子よりも一層良好なフォトン吸収を示している。或る波長範囲においての吸収を改良又は最適化させるために周期及び穴直径、穴形状及び格子のその他の組合せを使用することが可能である。
【0142】
図85は、幾つかの実施例に基づく、縮尺通りではないが、マイクロストラクチャ型フォトダイオードチップの概略平面図を示している。チップ8560の近似的な寸法は350μm×300μm×150μmである。メサエッジ8562によって画定されるメサは30μmの直径を有している。該メサはNIP又はPIN接合容量を画定する。該メサの上部には上部表面8510が見えており(例えば、NIPMS−PD/APDを取るN層)、マイクロストラクチャ型穴8522も見えている。該メサの外側エッジ近くにはNオーミックコンタクトリング8528(NIPMS−PDを取る)がある。該メサの外側にはPオーミックコンタクトリング8530がある。Nボンドパッド8580がブリッジ相互接続8582によってNオーミックコンタクト8528へ電気的に接続されている。同様に、Pボンドパッド8590が相互接続8592によってPオーミックコンタクトへ接続されている。幾つかの実施例によれば、ブリッジ相互接続8582と区域8506(P層表面である場合がある)との間の不所望の短絡は、それらの間に付着されたポリイミド等の絶縁体を使用して防止されている。注意すべきことであるが、上述した説明は、N及びP層及びコンタクトが逆にされる場合に、PIN配置型MS−PD/APDに対しても適用可能である。
【0143】
幾つかの実施例によれば、BOXSiウエハ上のNIPMS−PD構造の基本的な製造ステップの簡単な処理フローは、(1)マスクし且つSiO
2層への穴アレイ8522をエッチングし、(2)マスクし且つN層8510上にNオーミックコンタクト金属リング8528を付着させ、(3)マスクし且つ接合容量を画定するメサをエッチングし、P層8506へエッチングし、(4)マスクし且つSiO
2へPメサをエッチングし、(5)マスクし且つP層8506上にPオーミックコンタクト金属8530を付着させ、(6)ボンドパッド8580によってNオーミックリング8528へのコンタクト用のポリイミドブリッジをマスクし、(7)マスクし且つ夫々Pオーミック及びNオーミックの両方に対してのボンドパッド8590及び8580を付着させる、ことからなる場合がある。接合及びボンドパッド容量は並列であり、従って、加法型であるので、該ボンドパッドは約100×100μm
2でNオーミックリング8528とコンタクトしている。RC時定数は全接合、パッド、フリンジ容量によって決定される。上記したプロセスから削除したものは、パッシベーション、アニール、キュア、反射防止、薄層化(thinning)、背面側メタリゼーション、ダイシング等である。NIP/PINメサ直径は10乃至100μmの範囲とすることが可能であり、MS−PD/APDは従来のPD/APDと比較してメサにおける半導体物質はより少ないので、容量はより少なく、従って従来のPD/APDと比較して同じデータレート帯域幅に対して一層大きな面積のメサ(又は等価的に一層大きな感光性面積)を有することが可能であり、従ってMS−PD/APD内への光学信号のアライメントは一層大きな誤差余裕を有しており、そのことはパッケージングにおいて一層コストを低下させることとなる。
図56及び
図57から、正方形穴格子で2000nmの周期及び1300nmの直径の穴の場合、その容量は、穴が無いが同じ直径のメサでI層の厚さで、フリンジ容量を無視した場合の同等の構造のものよりも約30%一層少ない。周期が2000nmで穴直径が1300nmである六角形格子穴の場合、該MS−PDの面積は穴が無いPDの場合よりも約35%一層大きい場合がある。その他の格子、周期、及び穴直径、吸収向上のためではないが容量減少のための穴、は容量を減少させるため、及び/又は、例えば、MS−PD/APD構造における吸収を増加させるか又は最適化させるために使用することも可能である。幾つかの実施例によれば、複数の周期及び/又は複数の穴直径を使用することも可能である。更に、非周期的に離隔させた穴を使用することも可能である。
【0144】
図86は、単一チップ上に相互インピーダンス増幅器及び/又はその他のエレクトロニクスと共に集積化させたMS−PD/APDを示している概略平面図である。単一シリコンチップ8600上に、MS−PD/APD8660が相互接続線8692を使用してTIA又はその他のエレクトロニクス8690へ接続して示されている。
図85は、更なる信号処理及び送信のために電気信号を他の電子部品へ送信するためにボンドパッドを必要とするスタンドアローンMS−PD/APDを示しているが、
図86は、単一チップに集積化されたMS−PD/APD及びエレクトロニクスを示している。ボンドパッドは不所望の容量を付加し、且つこの容量は、接合容量と共に、MS−PDのデータレート帯域幅を計算するために使用される。例えば、20GHz(又は約30Gb/s)の帯域幅を有するRC時間は約0.16pFの容量と50Ωの負荷抵抗とである。2μmI層を有する30μm直径のSiPINPDは、I層が逆バイアス電圧によって完全に空乏化された状態で37フェムトファラッド(fF)の接合容量を有している。このことは、2μmのポリイミドの上に90μm×90μmのボンドパッドを可能とさせて約0.2pFの全容量を与える。該MS−PD/APDをTIA及び/又はエレクトロニクスと集積化させるとすると、ボンドパッドは最早使用されることは無く且つ該MS−PD/APDから該TIA及び/又はエレクトロニクスへの送信線の容量を無視すると、該MS−PD/APD容量は0.16pFとなることが可能であり、そのことは、MS−PDの場合、スタンドアローン装置に対する直径において30μmであるのと比較して、直径において約60μmの装置となる。この面積における増加は、MS−PD/APDに対する光学ビームのアライメント誤差における余裕を一層大きなものとさせ且つパッケージングにおけるコストを一層低下させることとなる。寄生容量を含むと、MS−PDの直径はスタンドアローンMS―PDの30μmよりも著しく一層大きく、且つ、例えば、40μmよりも大きい場合があり、且つ幾つかの場合においては、直径において50μmよりも一層大きい場合がある。
【0145】
注意すべきことであるが、本特許明細書に記載されるように、光の波長とほぼ同じ(多かれ少なかれ)直径を有するマイクロストラクチャ型穴アレイ(又は柱体)は、マイクロストラクチャ型穴アレイ(又は柱体)を有することの無い同様の物質のものよりも、フォトンの吸収を向上させる。例えば、SiPINPDが数十Gb/sで動作するためには、I層の厚さは必ず約2μmの程度でなければならず、そうでない場合には、光発生されたキャリアである電子及び正孔の走行時間が数十Gb/sのデータレート帯域幅を達成し尚且つ850nm、或る場合には880nm、そして或る場合には980nmの公称波長において約20%を越える、幾つかの場合には40%を超える十分な量子効率を有するためには長過ぎるものとなる。このことは、単一の周期及び直径で、及び/又は複数の周期及び直径でのいずれかによって、マイクロストラクチャ型穴アレイ(又は柱体)を使用する本書に記載した技術で可能とされる。該穴及び/又は複数の穴(柱体及び/又は複数の柱体)は周期的及び/又は非周期的なものとすることが可能であり、且つ該マイクロストラクチャが吸収及び/又はエミッション(emission)を向上させるためには円形以外の断面形状を有することが可能である。該マイクロストラクチャ型穴アレイ(又は柱体)が存在しない場合には、該2μm又はそれ未満の厚さのSi層は900nmフォトンの約5%を吸収し、一方、マイクロストラクチャ型穴アレイ又は柱体が存在する場合には、20%を超えて吸収させることが可能であり、幾つかの場合においては、30%を越えるものである。更に幾つかのその他の場合においては、900nm波長のフォトンにおいて40%、50%、及び80%を越えることが可能である。
【0146】
このことはGe・オン・Siの場合でも同じであり、この特許明細書を使用することによって、例えば、1550nm、且つ幾つかの場合においては1600nm及び幾つかの場合においては1700−1800nmの波長において数十Gb/sデータレート帯域幅を達成することが可能である。
【0147】
既知のナノワイヤーフォトダイオードにおいては、数十Gb/sの高データレート帯域幅に対する約2μm又はそれ未満の薄い層が同等のバルク層のものを越えるというような吸収の向上は存在しない。例えば、バンドギャップよりも大きな波長における2μm長さのInPナノワイヤーと2μmバルクInPとはほぼ同等であり、InPナノワイヤーの利点は反射を減少させることのみにある。
【0148】
図87は、何らマイクロストラクチャが存在しない単純なエピタキシャル構造を示している。
図87の構造は、800−880nmの波長範囲を有する入射フォトンの吸収に関して、穴アレイ等のマイクロストラクチャを有する同様のエピタキシャル構造と比較するために使用される。FDTD(有限差分時間領域)を使用するシミュレーション目的のために、P及びNコンタクト、メサエッチング、パッシベーション、平坦化、及び完全なフォトダイオードを製造するためのその他のプロセス無しで、マイクロストラクチャを有する構造と有さない構造のみが示される。ケース1におけるエピタキシャル構造は、ドーピングされており且つ約150μmへ薄膜化されたシリコン基板P8702上に成長され、その第1層は約0.2μmの厚さでボロンを使用して1×10
20/cm
3を越えてドーピングされているSiP層8706であり、次いで約2μmの厚さで意図的にはドーピングされておらず且つドーピングレベルが5×10
16/cm
3未満であるSiイントリンシック層8708であり、次いで約0.3μmの厚さで燐ドーパントでのドーピングが1×10
19/cm
3を越えているSiN層8710である。
【0149】
図88は、何らマイクロストラクチャが存在しない別の単純なエピタキシャル構造を示している。
図88の構造は、800−880nmの波長範囲での入射フォトンの吸収に関して穴アレイ等のマイクロストラクチャを有する同様のエピタキシャル構造と比較するために使用する。FDTD(有限差分時間領域)を使用するシミュレーション目的のために、P及びNコンタクト、メサエッチング、パッシベーション、平坦化、及び完全なフォトダイオードを製造するためのその他のプロセス無しで、マイクロストラクチャを有する構造と有さない構造のみが示される。ケース2におけるエピタキシャル構造は、2μmの埋込酸化物(BOX)層8804を具備するシリコン基板8802上に成長され、該BOX層上には約0.1μmの厚さでボロンを使用したドーピングが1×10
20/cm
3を越えているSiP層8806であり、次いでPドーピングが1×10
20/cm
3を越えているSiGeB(Si
0.98Ge
0.01B
0.01)層8816であり、次いで約2μmの厚さで意図的にドーピングされておらずドーピングレベルが5×10
16/cm
3未満であるSiイントリンシック層8808であり、次いで約0.3μmの厚さで燐ドーパントで1×10
19/cm
3を越えてドーピングされているSiN層8810である。ケース1及びケース2の両方に対してフォトンは、シミュレーション研究のために、上部表面即ちSiNエピタキシャル層(8710及び8810)を有する表面から入射する。
【0150】
図89は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型穴アレイが該SiPエピタキシャル層までエッチングされていること以外は
図87におけるものと同じエピタキシャル構造を示している。このケース3においては、穴8922は1500nmの直径及び正方形格子アレイにおいて2000nmの周期を有している。800−880nmの波長を有するフォトンが上部表面即ちSiNエピタキシャル層8710上に入射する。該N及びP層/基板は或る適用例においては交換させることが可能であり、その吸収結果はほぼ同じである。
【0151】
図90は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型穴アレイが該BOXSiO
2層へエッチングされていること以外
図88におけるものと同じであるエピタキシャル構造を示している。このケース4においては、穴9022は1500nmの直径及び正方形格子アレイにおいて2000nmの周期を有している。800−880nmの波長を有するフォトンが上部表面即ちSiNエピタキシャル層8810上に入射する。該N及びP層/基板は或る適用例においては交換可能であり且つその吸収結果はほぼ同じである。
【0152】
更に、該穴は該エッチストップ層SiGeB8816までエッチングさせることが可能である。エッチストップ層8816は高度にPドーピングされており且つP層とエッチストップ層とが処理において所望される場合の層構造において使用することが可能であり、このことはフォトダイオード及びアバランシェフォトダイオード構造を包含している。
【0153】
図91A−91Bは、
図87−90に図示した例示的構造に対するシミュレーションの結果を示しているプロットである。
図91Aはケース1−4(夫々、
図87−90)の比較を示しており、その場合に、FDTDシミュレーションを使用して800−900nmにわたって示した波長に対しての各ケースにおける「I」Siイントリンシック層に起因する吸収を計算している。各ケースにおいて、フォトンは上部表面即ちNSiエピタキシャル表面へ入射している(
図87−90における層8710及び8810)。該「I」層以外のその他の層に起因する吸収は包含されていない。曲線9110,9112,9114,9116は、ケース1,2,3,4(
図87,88,89.90に示してある)に対する結果を夫々示している。ケース1及び2においては、マイクロストラクチャは存在しておらず、該I層における吸収は40%未満である。そのことは、入射フォトンの内の40%が吸収されたことを意味している。ケース1においては、それは15%未満であり、且つケース2においては、例えば805nmの或る波長において、それは丁度40%未満とすることが可能であり且つ一層長い波長の880nm及び850nmにおいて20%未満へ減少し且つ885nmにおいては10%未満である。吸収は量子効率に直接比例している。何故ならば、フォトンが吸収され且つ電子及び正孔へ変換されそれらの電子及び正孔が「I」領域を空乏化させるバイアス電圧の下で該「I」領域の外へ掃引される前に再結合しない場合には、これらの光発生されN及びP領域へ夫々掃引された電子及び正孔は光電流に寄与するからである。直径が1500nmで正方形格子における周期が2000nmであるマイクロストラクチャ型穴を包含しているケース3及び4において、或る波長においては100%に近い吸収レベルが見られている。ケース3及び4の両方において、800乃至900nmの波長において吸収は40%よりも大きい。800−850nmの範囲において、それは約70%よりも大きい吸収である。そして、ケース4においては、880乃至900nmにおいてその吸収は70%よりも良い。ケース4での855nmにおいては、吸収は95%を越えており、それは10%未満であるケース2と対比される。マイクロストラクチャの場合における「I」層においての吸収百分率は、穴直径、周期、及び/又は格子を変化させる、例えば正方形格子から六角形格子へ、ことによって或る波長において高吸収のために増加又は最適化させることが可能である。
【0154】
本書に記載する如きマイクロストラクチャを具備するシリコンPINフォトダイオードの場合に、波長が300Kにおける1.11eVのシリコンバンドギャップ、即ち約1117nmに近づく場合に吸収は必ずしも減少するものではないことが判明した。それと比較して、マイクロストラクチャの無いPIN(又はNIP)フォトダイオードの場合、波長が1117nmに近づくにつれて吸収は減少する。このことは、光学損失が減少するにつれてマイクロストラクチャの共振及び/又は結合共振のQ(品質係数)が増加し、従ってフォトンが該マイクロストラクチャ内を行ったり来たりして跳ね返ることによりより多くの時間にわたり滞在し、その結果、波長が1117nmに近づく場合でも50%を超える場合がある吸収となっていることに起因しているものと考えられる。該マイクロストラクチャ内の屈折率差は実効指数で表すことが可能である。例えば、該穴はシリコン物質を取り除き且つ、例えば、空気で置換されるので、穴を具備する該領域の実効指数、即ち実効屈折率は、穴が無い場合の該領域の屈折率未満である。単純な評価は屈折率の平均であるが、例えば、該穴が穴を具備する該領域におけるシリコンの半分を除去する場合には、該穴が空気で充填されるものと仮定すると、その実効屈折率は約(1+3.44)/2=2.22であり、その場合にバルクSiの屈折率は1000nmの波長において約3.44である。従って、穴を具備しており且つ穴を具備していない該領域は、ほぼ1.22の屈折率不連続性、即ち約35%の屈折率変化、を見ることとなる。この屈折率における不連続性は、光学損失が低い場合に1,000,000又はそれ以上に近づく場合があるQを有する高コントラストグレーチングとなる場合がある。このことはマイクロストラクチャ型フォトダイオード及び/又はアバランシェフォトダイオードにおける吸収の向上を説明することが可能である。フォトンが該フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードの走行時間及びRC時間である特性時間に近づく時間の間該マイクロストラクチャ内に滞在する場合には、そのことはPD/APDのデータレート帯域幅に悪影響を与え始める。しかしながら、データレート帯域幅が低い場合には、一層高いQを許容することが可能である。該Q係数は、格納されたエネルギー/サイクル当たりのエネルギー損失に比例するものとして定義される。これは該マイクロストラクチャにおける吸収向上に対する蓋然性のある説明である。該マイクロストラクチャは格子から構成されており、従って各々がその組の共振を有しており且つ密接に結合されている多数の単位セル又はセルから構成されている。単一共振器であるのでその共振はシャープなピークや谷であり且つ周期的な波動関数である単一の共振特性のみを示す従来既知の共振フォトダイオードとは異なり、結合共振セルを具備するマイクロストラクチャは、吸収がゆっくりと変化する、例えば、或る波長範囲、例えば50−100nm、に亘って10%未満だけ変化する波長に対する吸収における領域、及び非周期的な波動関数を有している。該マイクロストラクチャ型PD/APDは複数個の共振の総和を有しており、従って従来既知の共振フォトダイオードと比較してそれほど際立っていないピーク及び谷を有している。非周期的な穴は、又、それ自身が非周期的であり且つ隣接する隣のセルと結合することが可能な共振セルを有することが可能であり、それは吸収及び/又はエミッションを向上させることが可能な結合型共振構造とさせる。
【0155】
概算見積もりとして、該特性時間は約20GHz3dB帯域幅に対して約20psである。20psにおいて、光はシリコン内を約2000μm走行し、そのことは、光が2μmマイクロストラクチャ内で約1000回バウンスすることが可能であり、従って2μm厚さの「I」層は同等の光学長において2000μmの厚さとすることが可能であることを意味しており、従って、本特許明細書において記載するマイクロストラクチャにおいては、光は一層多くのバウンスを行い且つバルク吸収係数を上回わって向上されており且つ近似的に実効吸収=バルク吸収×マイクロストラクチャ内のバウンス数として書くことが可能な実効吸収を与えることが可能である。光が該マイクロストラクチャ内において費やす時間は光学的走行時間と呼称され、それは該MS−PD/APDに対する別の基本的な時間である。これら3つの基本的な時間、即ちRC時間、走行時間、及び光学的走行時間を夫々二乗したものの和は全時間を二乗したものを与える。例えば、T(全時間)
2=T(RC時間)
2+T(走行時間)
2+T(光学的走行時間)
2であり、20GHzの場合には、全時間は20psとなる場合があり、且つ簡単化のために、RC時間、走行時間、及び光学的走行時間は全て同じであると仮定すると、各時間は約11.5psに過ぎない場合がある。光学的走行時間に対する11.5psは約1000μmの等価な光学長へ変換され、即ち、3つの基本的な時間の全てが等しいと仮定した場合に、該光学的走行時間が11.5psよりも長い場合にそれがMS−PDの帯域幅を劣化させることを開始する前に、該向上された実効吸収長は1000μm又はほぼ250のQである場合がある。
【0156】
図91Bは、マイクロストラクチャ型穴アレイが異なる深さにエッチングされた場合の
図90(ケース4)におけるエピタキシャル構造を示している。曲線9120は、穴がSiO
2層8804へエッチングされた場合の800乃至900nmの波長の関数としての「I」Si層における吸収を示している。曲線9122は、SiGeB層8816へエッチングした穴について波長に対する吸収を示している。両方の場合に、光は上部表面即ちSiN表面8810から入射する。ピーク及び谷がシフトしているが、800−900の範囲における殆どの波長において該SiO
2層への全体的なエッチングは、該SiGeB層への穴のエッチングよりも良好である。
【0157】
図92は、幾つかの実施例に基づいて、穴をシリコン内へエッチングした場合のシリコンにおけるマイクロストラクチャ型領域を示している概略図である。その例示的な構造は、SiP基板9202、SiP層9206、SiI層9208及びSiN層9210を包含しており、それら全ての厚さ及びドーピングレベルは図示した如くである。穴9222が約2.3μmの深さへエッチングされており且つ1500nmの直径及び正方形格子において2000nmの周期を有している。概略点線の円9280で示した該穴が存在する領域は、実効屈折率n
1を有しており、それは1000nm波長で300Kにおいて約3.44であるバルクSiの屈折率よりも小さい。これは、該エッチングした領域は空気、真空にあるか、又はシリコンの屈折率よりも低い屈折率を有するポリイミド等の物質で充填されていることを前提としている。該マイクロストラクチャに対して上述した寸法に対して、穴を具備する該領域における実効屈折率は近似的に空気部分0.44×1+Si部分0.56×3.44によって与えられ、それは約2.36である。例えば、上部表面9210に入射するフォトンは、該マイクロストラクチャ内にトラップされ且つ該2つの屈折率不連続部の間でバウンス即ち跳ね返る。一方の不連続部は空気とマイクロストラクチャとの間の界面であり、そこでの屈折率差は約1.36であり、且つ他方の不連続部はマイクロストラクチャとシリコンとの間の界面であって、そこでの屈折率差は約1.07である。この屈折率差は該マイクロストラクチャを損失性高コントラストグレーチングとみなすことを可能としており、そのことは観測される吸収の向上を説明することが可能である。
【0158】
図93は、幾つかの実施例に基づいて、テーパー付き穴を具備するMS−PD構造を示している概略図である。テーパーの付いた漏斗形状の穴9322は実効屈折率n
1において次第に変化しており、それは穴の直径において著しい変化が無いが領域1におけるよりも一層小さい直径で、例えば、実効屈折率n
2を有している領域に対するものよりも一層小さく、その場合に、単にそこでのシリコン物質がより少ないという事実に起因して、領域1における実効屈折率は領域2における実効屈折率よりも一層小さい。領域1において、表面近くの実効屈折率は60%又はそれ以上のボイド(空気又は例えばポリイミド等の低屈折率物質)と40%又はそれ以下のシリコンとすることが可能であり、そのことは該上部表面(この場合にはSiN層)へ垂直に入射するフォトンに対して一層低い反射とさせる。垂直からずれて入射するフォトンにおいては、その反射は更に低いものとなる場合がある。更なる例として、該表面近くにおいて該穴が90%又はそれ以上を占有し且つSiが10%又はそれ以下を占有する場合には、垂直入射フォトンに対してのフレネル反射は1%又はそれ以下である場合がある。該穴の直径は深さに関して次第に減少しているので、領域1における実効屈折率は次第に変化する。図示例は漏斗であるが、それは、例えば、単に2つの別個の穴直径でのステップ即ち段差とするか、又は段差が該表面から遠ざかるに従い各段差直径が一層小さくなる複数個の穴直径での複数の段差とすることが可能である。
【0159】
図94は、幾つかの実施例に基づいて、次第にテーパーが付いた穴を具備しているMS−PD構造を示している概略図である。穴の全長にわたり延在している漸次的漏斗形状を有する穴9422で別の形態が図示されている。その実効屈折率も深さの関数として次第に増加する。幾つかの実施例によれば、穴は複数の直径、周期、及び/又は異なる漏斗形状を有する擬似ランダム又はランダム穴で設けることが可能である。種々の穴パラメータは或る波長帯域において吸収特性を改善するか又は最適化させるために使用することが可能である。幾つかの実施例によれば、穴9422は各段差が異なる直径を有している一連の段差を設けることが可能である。これらの段差は均一の間隔とさせるか及び/又は不均一の間隔とさせることが可能である。それらの間隔は、波長の特定の帯域において吸収特性を改善させるか又は最適化させるために、例えば、フィルター又は結合型共振器等を形成するために、四分の一波長、半波長、又は四分の一波長及び半波長の倍数とすることが可能である。光学的発光体の場合、該穴又は柱体の直径におけるこの様な段差は、例えば、利得媒体との光波のオーバーラップを改善させることが可能である。幾つかの実施例によれば、穴9422の漏斗形状は任意の形状を有することが可能である。例えば、V形状とすることが可能であり且つ空気・穴界面においての及び穴・シリコン界面においての実効屈折率は反射及び吸収特性又はエミッション特性における向上のために最適化させることが可能である。
【0160】
該マイクロストラクチャ型PD/APDと関連する吸収向上に対する別の説明は、該マイクロストラクチャはメタマテリアルであり且つブロードバンド吸収体として振舞うことが可能である。例えば、G. Dayal et al.「ITOを接地面として使用した可視透過性のブロードバンド赤外メタマテリアル吸収体(Broadband infrared metamaterial absorber with visible transparency using ITO as ground plane)」、オプティックスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)、15104 June 2014、N Lie et al.「赤外完全吸収体及びそのプラズモニックセンサーとしての適用(Infrared Perfect Absorber and Its Application As Plasmonic Sensor)」、ナノレター(Nano Lett.)、2010,10,2342-2348、及びL. Meng et al.「近赤外波長における極性感応性完全吸収体(Polarization-sensitive perfect absorbers at nea-infrared wavelengths)」、オプティックスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)、A111 Dec 2012(以後、「Meng et al.」と呼称)を参照すると良く、これら全ての文献は引用により本書に取り込む。
【0161】
例えば、Meng et al.において、複数の溝がクロスバーパターンで交差される場合、吸収は極性独立性である。長尺溝の代わりに、本書において記載するように、Meng et al.におけるAuはシリコン及び/又はゲルマニウム等の半導体で置換されており、且つ穴/溝はボイドであってそれは空気、気体、真空、ポリイミド、及び/又は該穴を部分的に又は完全に被覆する任意の誘電体とすることが可能である。特に、Meng et al.の
図11においては、その構造がクロスバーである場合には、Au基板上に誘電体の正方形アレイが存在している。幾つかの実施例によれば、Auは、半導体及び空気、気体、又は二酸化シリコン、窒化シリコン、フッ化カルシウム、スピン・オン・ガラス、ポリイミド、又はパッシベーション誘電体などの誘電体物質で充填されている穴を具備している誘電体で置換されている。Meng et al.における
図11も波長に対する吸収を示している。
【0162】
高コントラストグレーチングは或るクラスのメタマテリアルと考えることが可能である。このことは、その他の効果と共に、観察された吸収向上を説明することが可能な場合がある。その他の効果は、プラズモン、非線形、サブ波長及び近波長効果、フォトニック結晶、遅波、結合型共振、干渉、フィールド向上、及び損失を伴う共振を包含している。
【0163】
図95は、幾つかの実施例に基づいて、異なる直径のマイクロストラクチャ型穴を具備している物質構造を示している概略図である。穴9522及び9524は異なる直径を有している。周期が近似的に同じである場合には、より小さな直径の穴はより大きな直径の穴よりも除去するシリコン物質は一層少ない。より小さな直径の複数の穴9522からなるアレイの実効屈折率は実効屈折率n
1であり、且つこれらの穴はMS−PD/APDの中心近くにクラスター即ち集めることが可能である。一層大きな直径の複数の穴9524からなるアレイは実効屈折率n
2を有しており、該一層小さな直径の穴の周りにクラスターすることが可能である(例えば、リング形状パターンで)。一層大きな直径の穴9524におけるよりも一層小さな直径の穴9522において除去される物資は一層少ないので、例えば、n
1はn
2よりも一層大きい。光はn
1領域内に案内され、従って光が該穴・シリコン(この例においてはPシリコン)界面と該穴・空気界面との間で行ったり来たりバウンスする場合に、例えば回折に起因して失われる光は最小である。更に、メサエッチングは該Nシリコン層及び領域9530における「I」シリコン層の全部ではないにしても殆どを除去する。メサ9540がエッチングされてこの例に示した如くNIP接合の容量を画定する。或る場合には、該NIP接合容量を画定するためにイオン注入及び/又は拡散を使用することが可能である。そして、或る場合には、該NSi層のみを除去し及び/又は低ドーピング又は反対のドーピングへ変換させることが必要であるに過ぎない。該N及びPは交換可能であり、例えば、MS−PDはPINとし且つMS−APDをNINIP又はPIPINとすることが可能である。
【0164】
図96は、
図95に図示した如く、異なる直径のマイクロストラクチャ型穴を具備する物質構造の平面図を示している。見えるように、より小さな直径の穴9522はより大きな直径の穴9524の中にクラスターしている。その結果得られるこのマイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオード(MS−PD/APD)9600の中心近くにおける領域間での実効屈折率差は、光が一層高い実効屈折率の領域へより一層案内されるというようなオプチカルファイバーと同様の光案内効果を発生させることとなる。エッチング除去された領域9530によって画定されているメサ9540も示されており、それは更に光案内効果を与えることが可能である。メサ9540は、又、NIP接合容量を画定し、且つ単にそのN層、「I」層を介して、又はP層まで完全にエッチングさせることも可能である。図示していないものは、オーミックコンタクト金属、ボンド金属、パッシベーション、平坦化、ポリイミド、及びその他の誘電体等である。該MS−PD/APDの開口数は、幾つかの実施例によれば、クラッディング(一層大きな直径の穴)と比較してコア区域(一層小さな直径の穴)内の穴の直径を調節することによって調節することが可能である。実効屈折率を変更させるためには、穴の密度及び直径が或る領域内のシリコン物質の量を調節するための方法である。
【0165】
幾つかの実施例によれば、一層高い屈折率のコアと一層低い屈折率のクラッディングとを有する案内構造は、例えば、回折に起因する光損失を減少させるか又は最小とさせるために、光学的導波路等の光案内器として効果的に動作することが可能である。例えば、周期が2300nmで穴直径が1500nmである正方形穴格子は近似的な実効屈折率を2.63とすることが可能であり、及び周期が2000nmで穴直径が1500nmである正方形格子は近似的な実効屈折率を2.36とすることが可能である。一層高い屈折率はコア側で且つ一層低い屈折率をクラッディング側とすることが可能である。該コアとクラッディングとの間の約10%の屈折率差は該正方形格子の周期を変えることによって達成することが可能である。その他の組合せとすることも可能である。該クラッディングは六角形格子を有することが可能であり且つ該コアは正方形格子を有することが可能であり、その場合に周期及び直径は同じままでも又は変化するものであっても良い。
【0166】
図97A及び97Bは、
図82Aに示した如き層構造を具備するマイクロストラクチャ上に入射する光に対する吸収を示しているグラフである。六角形及び正方形の格子アレイ内に穴を1500nmの直径で且つ夫々2000及び2500nmの周期でエッチングしている。曲線9712は同一の周期及び穴直径を有する正方形格子に対するものである。その吸収は1.4乃至1.6μmの波長において80%を越えており、且つ1.55μmにおいては六角形格子に対して90%を越えている。曲線9714は、マイクロストラクチャ型穴無しでの吸収であり、10%又はそれ未満の吸収を与えており且つ1.55μmにおいては数%の吸収に過ぎない。更に、六角形格子の場合、吸収は1450nm乃至1600nmの波長範囲に亘り10%未満だけ変化している。
図97Aは、又、データ及び通信帯域、S,C,L,U/XL、を示している。
図82Aにおけるような構造の場合、MS−PD/APDはS乃至U/XLのこれら全ての帯域において使用することが可能である。
【0167】
図97Bにおいて、曲線9720は、周期が2500nmの六角形穴格子であり且つ穴直径が1500nmの場合の波長に対する吸収を示しており、且つ曲線9722は同じ周期及び直径の正方形格子に対するものである。それは最適性がより低いものであるが、1.55μm波長においては、その吸収は90%を越えている。曲線9714も参照のために示されている。
【0168】
吸収と量子効率とは直接的比例関係にあり、且つ最小の反射での約90%の吸収は約90%の量子効率と同等である場合がある。例えば、外部量子効率をQE=(1−R)(1−e
−αx)として定義することが可能であり、尚RはMS−PD/APDの表面からの反射であり、αは吸収係数であり、且つxは吸収長である。吸収は(1−e
−αx)で与えることが可能であり、それは吸収係数がαで長さがxにおいて吸収されるフォトンの量である。1.55μm波長での90%の吸収は吸収係数と吸収長との積へ変換され、αxは約2.3に等しい。バルク吸収係数が使用される場合には、1.55μm波長において460/cmであるから、xは約50μmである。Geの物理的長さ2.2μmと比較して、光は吸収領域を約23回通過したこととなる。等価的に、物理的な吸収長が2.2μmである場合には、向上される実効吸収係数は1.55μm波長において約10455/cmであり、一方1.55μm波長においてのバルク吸収係数が約460/cmであるのと対比される。このことも向上が約23倍であることを示している。
【0169】
該吸収向上は以下の事項のいずれか又は組合せによって発生させることが可能であり、即ち、フィールド向上、干渉、プラズモン、メタマテリアル吸収体、高コントラストグレーチング、波長及びサブ波長特徴寸法、非線形効果、共振効果、損失を伴う高コントラストグレーチング、遅波、結合波、結合型共振、結合モード、及びフォトニック結晶である(例えば、Krauss, J.「フォトニック結晶導波路における低速光(Slow light in photonic crystal waveguides)」、Phys. D: Appln. Phys. 40 2666-2670(2007)を参照すると良く、それを引用により本書に取り込む)。
【0170】
更に、吸収に直接的に比例する量子効率はデータ/遠隔通信波長の範囲に亘って高い。標準的な帯域はS(1460−1530nm)、C(1530−1565nm)、L(1565−1625nm)、及びU/XL(1625−1675nm)である。示していないその他の帯域も高い吸収効率を有することが可能であり、例えばO(1260−1360nm)及びE(1360−1460nm)等である。単一のマイクロストラクチャ型Ge・オン・SiPD/APDは全体的なデータ/遠隔通信波長スペクトルをカバーすることが可能である。例えば、Gasca、「OからLへ:光学的波長帯域の未来(From O to L: The Future of Optical-Wavelength Bands)」、www.broadbandproperties.com,、BROADBANSD PROPERTIES、2008年6月、を参照すると良く、それを引用により本書に取り込む。
【0171】
図98は、
図82Aに示してあり且つ
図97A及び97Bにおいてシミュレーションした構造に対するシミュレーションした吸収を示しているグラフである。曲線9810及び9812は六角形格子及び正方形格子の夫々に対する吸収を示している。各場合において、穴周期は2000nmであり且つ直径は1500nmであった。該構造は850nm波長範囲において良く吸収しており、830乃至1000nmの間では80%より良い吸収であることが理解できる。一つの利点は、単一の装置で、70%より良い吸収及び/又は量子効率で、波長のカバレージは800乃至1700nm及びそれ以上にわたることが可能であることである。この様なGe・オン・SiMS−PD/APDはエレクトロニクスと集積化させることが可能であり、従ってMS−PD/APDと相互インピーダンス増幅器又は信号処理用のその他の集積回路エレクトロニクスとを有する単一チップとすることが可能であり、そのことは組立コストやパッケージングコストを著しく低下させる。
【0172】
図99は、幾つかの実施例に基づいて、800乃至1000nmの波長範囲において動作するためのSiアバランシェフォトダイオード用の別の好適なエピタキシャル構造を示している。特に、図示した構造は、データ通信の多くが行われる850nm±30nm回りで且つ5−40Gb/s又はそれ以上のデータレートに対して非常に良く動作することが判明している。吸収を向上させるためにマイクロストラクチャが使用され、それは向上された吸収係数及び/又は向上される吸収長のいずれかとすることが可能である。NSi基板9902は、装置処理の後に、150μmへ薄くさせることが可能である。エピタキシャル層としては、例えば、厚さが0.1−4μmの範囲で且つ幾つかの場合においては0.3乃至2μの範囲であり且つドーピングが1×10
19/cm
3を越えているNコンタクト層であるNSi層9906と、厚さが0.2乃至1μmの範囲で幾つかの場合には0.5μmであり且つバックグラウンドドーピングが1×10
16/cm
3未満でありアバランシェ層としても知られる増倍即ち利得層であるSiイントリンシック即ち「I」層9918と、厚さが0.02乃至0.3μmで幾つかの場合には0.1μmであり且つドーピングが1−6×10
17/cm
3の範囲であり且ついくつかの場合には1.8×10
17/cm
3である電荷層であるPSi層9920と、厚さが0.3乃至4μmの範囲で幾つかの場合には2μmであり且つバックグラウンドドーピングが1×10
16/cm
3未満である吸収層であるSiイントリンシック「I」層9908と、厚さが0.1乃至2μmで幾つかの場合には0.3μmであり且つドーピングが1×10
20/cm
3より大きくPコンタクト層であるPSi層9910とである。
【0173】
図100は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型APDの幾つかの特徴を示している概略図である。該MS−APDは
図99に図示した物質構造を使用している。マイクロストラクチャ型穴アレイ10022はPSiコンタクト層9920内へ及び「I」Si吸収層9918内へ部分的か又は完全にのいずれかでエッチングされる。光は上部表面即ちPSi層9910から該表面へ垂直に及び/又は該表面に対して垂直からずれて入射する。メサエッチングをNコンタクト層9906まで実施して該装置の容量を画定する。Pオーミックコンタクト10028及びNオーミックコンタクト10030をPSiコンタクト層9910及びNSiコンタクト層9906上に夫々形成させる。10−60ボルトの逆バイアスを該P及びNオーミックコンタクトへ印加させる。Nコンタクト(カソード)と相対的に負電圧がPコンタクト(アノード)へ印加される。簡単化のために示していないものは、パッシベーション層、平坦化層、ブリッジング層、ボンドメタリゼーション層、及びガードリング等の要素である。吸収を向上させたマイクロストラクチャ型フォトダイオードとSiアバランシェ即ち利得層との結合は、該マイクロストラクチャ型SiAPDが5Gb/sより大きく且つ幾つかの場合には10Gb/sよりも大きなデータレートで800−1000nmの波長範囲で特に850nm±30nmにおいて動作することを可能とさせる。その他の場合には、該データレートを増倍係数が2,4,6,8,10又はそれ以上で15−40Gb/sとすることが可能である。Siマイクロストラクチャ型APDの一つの利点は過剰ノイズが低いことであり、それは、例えば、GaAs及び/又はInPをベースとしたAPDよりも一層低い。
【0174】
図101は、幾つかの実施例に基づいて、800乃至1700nmの波長範囲においての動作のためのGe・オン・Siアバランシェフォトダイオード用の別の好適なエピタキシャル構造を示している。特に、図示した該構造は、遠隔通信の多くが行われる1550±200nm回りで5−40Gb/s又はそれ以上のデータレートに対して良好に動作することが判明している。吸収を向上させるためにマイクロストラクチャを使用することが可能であり、それは向上された吸収係数及び/又は向上された吸収長のいずれかとすることが可能である。NSi基板10102は装置処理の後に150μmへ薄くさせることが可能である。該エピタキシャル層は、厚さが0.1−4μmの範囲で幾つかの場合には0.3乃至2μmであって且つドーピングが1×10
19/cm
3より大きなNコンタクト層であるNSi層10106と、厚さが0.2乃至1μmの範囲で幾つかの場合には0.5μmであり且つバックグラウンドドーピングが1×10
16/cm
3未満であるアバランシェ層としても知られている増倍即ち利得層であるSiイントリンシック即ち「I」層10118と、厚さが0.02乃至0.3μmの範囲であり幾つかの場合には0.1μmであり且つドーピングが1−6×10
17/cm
3で幾つかの場合には1.8×10
17/cm
3である電荷層であるPSi層10120と、厚さが0.3乃至4μmの範囲で幾つかの場合には2μmであり且つバックグラウンドドーピングが1×10
16/cm
3未満である吸収層であるGeイントリンシック「I」層10108と、厚さが0.1乃至2μmの範囲で幾つかの場合には0.2μmであり且つドーピングが1×10
20/cm
3より大きなPコンタクト層であるPGe層10110とである。しばしば、SiとGeとの間の界面において、通常のGeエピタキシャル成長の前に、低温Geバッファ層を成長させることが可能である。この点については、例えば、Kang et al.を参照すると良い。
【0175】
図102は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型Ge・オン・SiAPDの幾つかの特徴を示している概略図である。該MS−APDは
図101に図示した物質構造を使用している。マイクロストラクチャ型穴アレイ10222は、
図97Aにおける如き寸法、直径及び六角形格子で、PGeコンタクト層10110内及び部分的に又は完全に「I」Ge吸収層10108内にエッチングされている。光は上部表面即ちPSi層から該表面に対し垂直及び/又は該表面に対して垂直からずれてのいずれかで入射する。Nコンタクト層10106に対するメサエッチングが本装置の容量を画定し、且つPオーミックコンタクト10228及びNオーミックコンタクト10230がPGeコンタクト層及びNSiコンタクト層の上に夫々形成される。10−60ボルトの逆バイアスを該P及びNオーミックコンタクトへ印加させる。簡単化のために図示していないものは、パッシベーション層、平坦化層、ブリッジング層、ボンドメタリゼーション層、及びガードリング等である。吸収が向上されているマイクロストラクチャ型GeフォトダイオードとSiアバランシェ即ち利得層との結合は、マイクロストラクチャ型Ge・オン・SiAPDが、2より大きく且つ幾つかの場合には4より大きく且つ更に幾つかの場合には8−10より大きな増倍係数で5Gb/sより大きく且つ幾つかの場合には10Gb/sより大きく且つ更に幾つかの場合には15−40Gb/sより大きなデータレートで800−1700nmで特に1550nm±200nmの波長範囲において動作することを可能とさせる。Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型APDの一つの利点は過剰ノイズが一層低いことであり、それは、例えば、GaAs及び/又はInPをベースとしたAPDよりも一層低い。
【0176】
図103(A)−(C)は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型シリコン及びゲルマニウム・オン・Siフォトダイオード及びアバランシェフォトダイオードに対する直径、周期、及びその他のパラメータを示している。
図103(A)は、使用した種々のパラメータを示している表である。幾つかの実施例によれば、六角形及び正方形の両方の格子を使用することが可能である。複数の穴のその他の格子及び/又は非格子配置も可能であるが、図示してはいない。10,25,30,40,50,60,80μmのメサ寸法は5乃至80を越えるGb/sのデータレートをサポートするための容量を達成するために使用される。幾つかの実施例によれば、キャリアーを枯渇させるためにイオン注入又は拡散などの接合容量を画定するその他の方法を使用することが可能である。800−1000nmで特に850nm±30nmの波長範囲におけるSiマイクロストラクチャ型PD及びAPDの動作のための穴直径及び周期は、例えば、六角形及び/又は正方形格子のいずれかに対して1300/2000,1500/2000,700/1000,630/900(nm単位での直径/周期)の範囲にわたることが可能である。Ge・オン・Siマイクロストラクチャ型PD及びAPDの場合、800−1700nmで特に1550nm±200nmの波長範囲における動作に対して、六角形又は正方形のいずれかの格子に対する穴直径と周期との組合せの例は、1300nm/2000nm、1500nm/2000nm、1500nm/2500nm、1300nm/2300nmを包含している。その他の穴直径及び周期とすることも可能である。50%よりも良好な、及び、幾つかの場合には、70%又は90%よりも良好な吸収は、800−1000nm及び800−1700nmの波長においてこれらの直径及び周期で達成することが可能である。
図103(B)及び(C)において、「d」は六角形及び正方形の格子パターンに対する周期として示されている。円形状の穴が図示されているが、楕円、矩形、多角形、及び/又はその他の不規則形状等の非円形状の穴も可能である。円形状の穴はFDTDを使用するシミュレーションの簡単化のために選択されているに過ぎない。
【0177】
図104(A)及び(B)は、マイクロストラクチャ型GeP−GeI−SiN・オン・SiN基板フォトダイオードである
図82Aに示した構造に関して波長に対しての吸収についてFDTD(有限差分時間領域)を使用したシミュレーション結果を示しているグラフである。注意すべきことであるが、このシミュレーション結果はマイクロストラクチャ型GePGeISiPSiISiNAPDへ適用することも可能である。該シミュレーションは六角形格子、1500nmの穴直径、2000nmの穴周期を使用しており、その場合に、該穴は該SiN層へエッチングされる。このシミュレーションにおいては、波長は1500nm±10nm(
図104(A)における曲線10410)を且つ1550nm±1nm(
図104(B)における曲線10412)を中心としている。そのシミュレーションメッシュは0.1nmよりも一層細かく、且つ
図104(B)における曲線10412から、吸収は、1549乃至1551nm波長にわたって、0.9(90%吸収)を越える高吸収値及び0.85(85%吸収)を越える低吸収値で、10%未満の変動であることを理解することが可能である。波長に対する吸収におけるこの特性は光学的遠隔通信適用例において重要であり、その場合には、例えば、1550nmを中心とした波長変動の2nm以内の吸収において迅速な変化は存在しない。
図104(A)における曲線10410は、1550nmを中心とする20nmの波長変動をこえる0.8乃至0.99の吸収変動を示している。どの2nmの波長変動にわたっても、その吸収変動は15%未満である。或る場合には、それは5%未満である。粗WDMに対する波長分割多重化(WDM)におけるチャンネル間隔は2nm又はそれより大きいものとすることが可能であり、一方密WDMに対しては、チャンネル間隔は0.8、0.4又はそれ未満とすることが可能であり、従って、例えば、1550nmにおいて、3個又はそれ以上のチャンネルが2nm分光幅内に適合することが可能であり、一方粗WDMに対しては、4nm又はそれ以上が必要とされる。
【0178】
図105(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づいて、正方形格子穴パターンに対する固有モードに関するものである。
図105(A)は正方形格子配置における単一の単位セル10510を示している。
図105(B)は、Si(又はGe)物質におけるマイクロストラクチャ型穴の単位セルにおける種々の2D固有モード(静止モード、定常波モード、共振モード)(マクスウエル方程式を使用するFDTDシミュレーションから)を示している。波は、例えば、空気/半導体界面とGe/Si界面との間を、該マイクロストラクチャ型穴アレイの長さに沿って伝播する。該マイクロストラクチャ型穴がエッチングされている領域によって導波路及び/又は共振器が画定されている。該単位セルにおける半導体及び穴の長さは光学的導波路及び/又は共振器と考えることが可能であり、且つ隣接する単位セルの多くの並列光学的導波路/共振器は結合されて、2Dアレイにおける結合された波、結合されたモード、及び/又は結合された共振器となることが可能である。高コントラストグレーチング(HCG)、フォトニック結晶、遅波効果及び結合された導波路/共振器の固有モード、スーパーモード、フィールド向上、線形及び非線形効果、横モード、導波共振モード(guided resonant modes)、ブロッホ(Bloch)モード、及び結合されたブロッホモードの組合せは吸収である(1−e
―αx)に比例する量子効率に対する式における「αx」積の観察される向上を発生させることが可能であり、尚αはバルク物質吸収係数であり且つxは吸収長である。xが一定である場合には、αを向上させることが可能であり、αが一定である場合には、xを向上させることが可能であり、且つ幾つかの場合には、αとxの両方を向上させることが可能である。
図105(B)は、
図105(A)における正方形格子の単位セル10510の多くの複雑な固有モードを示している。該正方形格子における各セルはこれらの固有モードの内のいずれか一つ又は複数を有することが可能であり且つ隣接するセルの固有モードと結合することが可能であり、これら全てのセルの大量に結合されたモードはスーパーモードと呼ばれる。この大量の結合は、波長に対して「一層滑らかな」吸収特性となる場合があり、尚一層滑らかとは或る波長範囲、例えば20nmで或る場合には50nmで且つ或る場合には100nm又はそれ以上、にわたっての吸収特性においての変動が10%未満であるものとして定義することが可能である。
【0179】
図106は、幾つかの実施例に基づいて、互いにオーバーラップして配置された2個の正方形格子でのマイクロストラクチャ型穴を示している概略図である。点線の正方形10610は穴直径としてD1を有する正方形格子の単位セルを表している。破線の正方形10612は同様の周期であるが穴直径としてD2を有している別の正方形格子を表しており、D1とD2とは等しくない。もしもD1がD2と等しい場合には、それは正方形格子(45度だけ傾斜)である。又は、等価的に、これら2つの正方形格子の周期が同様のものである場合には、2つの異なる穴直径を有する六角形格子として考えることも可能である。該格子パターンは、2つを越えて異なる穴直径を有することも可能であり、例えば、六角形格子において3つの異なる穴直径を有することが可能である。例えば、複数の穴からなる一つの好適なマイクロストラクチャにおいて、D1は1300nm直径とすることが可能であり且つ該正方形格子は2000nmの周期を有することが可能である。マイクロストラクチャアレイにおいて一つを越える穴直径を有することの一つの利点は、波長に対する吸収の曲線が更に平坦化されて、吸収における変動が、Si内に構成されるマイクロストラクチャ型PD/APDに対する波長において800−990nmにわたり、且つ
図101におけるようなGe・オン・Si内に構成されるマイクロストラクチャ型PD/APDに対する1250−1750nmの波長に対して、20%未満とすることが可能であるということである。幾つかの場合において、該変動はこれらの波長範囲に亘っての変動は10%未満であり、且つ幾つかの場合には、5%未満である。又、全体的な吸収又は等価的に該マイクロストラクチャ型PD/APDの量子効率を改善させることが可能である。
【0180】
異なる穴直径を散在させることは吸収に直接比例する量子効率を一層広い範囲の波長、特に、シリコンにおけるマイクロストラクチャ型PD/APDに対して800−990nmで且つGe・オン・Siにおけるマイクロストラクチャ型PD/APDに対して1000−1800nm、にわたって更に平坦化させることを可能とする。幾つかの実施例によれば、その他の穴直径及び周期とすることも可能である。
【0181】
幾つかの実施例によれば、例えば吸収用物質の厚さなどの設計パラメータ内において適切な量子効率を維持するのにバルク吸収係数が不十分である場合に、PD/APDの量子効率を向上させるために使用されるマイクロストラクチャ型穴及び/又は柱体の吸収における改良は、太陽電池、イメージング用センサー、ラディエーション吸収体等のフォトンの吸収を使用するその他の装置へ適用させることが可能である。
【0182】
図107は、幾つかの実施例に基づく、Ge・オン・Siのエピタキシャル構造を示している概略図である。該構造は
図82Aに図示したものと同様であるが、Nドーピングが1×10
19/cm
3を越えている0.2μm(又は0.1−2μmの範囲)のSiN層10706上に成長されたバックグラウンドドーピング(N又はPのいずれかとすることが可能)が1−5×10
16/cm
3で0.1−0.5μm厚さのSiI層10718が付加されており、次いで意図的にはドーピングされておらずバックグラウンドドーピングが5×10
16/cm
3未満で幾つかの場合には5×10
15/cm
3未満であり且つ厚さが2μm又は0.5−2.5μmの範囲であるGeI層10708がそれに続いている。PGe層10710が最上部でドーピングが1×10
19/cm
3を越えており且つ厚さが0.2μm又は0.2−0.5μmの範囲である。これらの層の全てがNSi基板10702上に成長される。マイクロストラクチャ型穴アレイ10722は
図103(A)−(C)に示したパラメータを使用して形成することが可能である。幾つかの実施例によれば、穴直径は1300−1500nmであり且つ周期は六角形又は正方形の格子において2000nmである。その他の実施例によれば、
図106に示したようなレイアウトが使用される。その様な場合には、複数の直径を有する穴は、例えば、
図106に示した如く互いに入れ子構造とさせた周期2000nmの1300nm及び1500nmの正方形格子とすることが可能である。
【0183】
SiI層10718は、GeI層を成長させることを可能とさせるためにGeI層10708内へのドーパント拡散が減少されるか又は最小とされるようにSiにおけるドーパントを低いレベルとさせるために使用される。
【0184】
幾つかの実施例によれば、
図107に示した構造はマイクロストラクチャ型PD用であり且つ、
図101における如く、増倍層と電荷層とを付加したマイクロストラクチャ型APD用とすることも可能である。この構造に対する波長範囲は800−1700nmで、特に約1550nm±200nmとすることが可能である。
【0185】
付加したSi「I」層10718は本装置の容量を減少させることにも寄与する。何故ならば、該「I」層は今や該GeI層と該SiI層との総和だからである。容量における減少はPD/APDの変調帯域幅を増加させることを助ける。該Si「I」層は、幾つかの場合において、その厚さが、例えば0.1乃至3μmの範囲である場合がある。穴10722は、例えば、該Si「I」層までエッチングすることが可能であり、及び/又は幾つかの場合においては該Si「I」層内へエッチングすることが可能である。
【0186】
図108は、幾つかの実施例に基づいて、Ge・オン・Siのマイクロストラクチャ型フォトダイオードの基本的な特徴を示している概略図である。該構造は
図107に図示したものと同様であるか又は同一である。該MS−PDは1300−1700nm及び600−1300nmの波長範囲において良好に動作することが判明している。図示した如く、光は穴アレイがエッチングされている上部表面から入射する。幾らかのマイナーチェンジでもって、底部上のNオーミックコンタクト10832に開口を設け且つSi基板10702の底部を反射防止コーティングでポリッシュした場合には、光は該基板の底部から入射することも可能である。更に、オプチカルファイバーを該マイクロストラクチャ型PDに対してアライメント即ち整合させるためのガイドを与えることが可能であるようにSi基板10702の底部上にビア(不図示)を形成することが可能である。この例においては、穴10722はSiI層10718までエッチングされる。幾つかの実施例によれば、該穴は該SiI層内へ又はそれを通過してエッチングさせるか、又は該SiI層まで貫通してエッチングさせないことが可能である。穴アレイは複数の穴寸法及び複数の周期を有することが可能であり、且つ非周期的なものとさせることが可能である。穴直径は500−1700nmの範囲とすることが可能であり、且つ周期は1000−2500nmの範囲とすることが可能である。幾つかの実施例によれば、穴直径は1300及び1500nmで、正方形又は六角形の格子における周期が2000nmである。更に、1300及び1500nmの穴は、
図106に示した如くに互いに入れ子とされている周期が2000nmの正方形格子内のものとすることが可能である。穴直径及び周期は10−50nmだけ、且つ幾つかの場合においては50−100nmだけ変化する場合がある。図示していないものとしては、パッシベーション層であって、それは該半導体の壁上に2−100nmの厚さを有する場合がある。パッシベーションは漏洩電流を減少させるために露出されているメサの高電界領域において使用することが可能である。−2乃至−12ボルトの逆バイアスがPコンタクト10828とNコンタクト10830(及び/又は10832)との間に印加される。逆バイアスとは、負電圧がN(カソード)コンタクトと相対的なP(アノード)へ印加されることを意味している。負記号を付けて又は付けずに示されている電圧は、カソードと相対的にアノードにおいて負であることを意味している。更に、複数の穴は異なる形状を有することが可能であり、必ずしも全てが円形状であることは必要ではない。
【0187】
光検知器においてナノワイヤーを使用することは既知である。該ナノワイヤーはInPであり且つ該光検知器は14ps応答時間、又は等価的に、ガウス変換に対する周波数領域において、約30GHz3dB変調帯域幅に制限されることを示している。V.J. Logeeswaran et al.「非晶質表面上の交差するInPナノワイヤーで製造された14ps半値全幅高速光導電体(A 14-ps full width at half maximum high-speed photoconductor fabricated with intersecting InP nanowires on an amorphous surface)」、アプライドフィジックス(Appl.Phys.)、A91,1−5(2008)(以後、「Logeeswaran et al.」という)を参照すると良く、これを引用により本書に取り込む。Logeeswaran et al.においては、入射するフォトンは780nmにおいてであり且つ約780nmにおけるInP吸収係数は約35000cm
−1であり且つ吸収の向上も吸収長も必要なものではなかった。同様に、別の既知の技術において、850nmフォトンがナノワイヤー上に入射され且つ約850nmにおけるGaAsの吸収係数は約12000cm
−1であり、その場合も吸収の向上及び/又は長さが必要なものではなかった。M.A. Seyedi et al.「大活性区域で9GHz変調帯域幅での効率的なショットキー状接合GaAsナノワイヤー光検知器(Efficient Schottky-like junction GaAs nanowire photodetector with 9GHz modulation bandwidth with large active area)」、アプライドフィジックスレターズ(APPLIED PHYSICS LETTERS)、105,041105(2014)を参照すると良く、これを引用により本書に取り込む。対照的に、本書に記載する技術によれば、高速フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードがps応答時間及び/又は5Gb/s又はそれ以上にの変調帯域幅で記載されている。850nmにおけるSiにおいて、吸収効率は約700cm
−1であり且つ吸収の向上及び/又は吸収長を使用して40%又はそれより良い量子効率を達成している。同様に、Geに対して約1550nmにおいて、その吸収効率は約459cm
−1であり、それもまた吸収の向上及び/又は吸収長を使用している。
【0188】
例えば、約10−30Gb/sにおける動作のための典型的な高速又は高変調帯域幅PD/APD用の2μm厚さの吸収用「I」層の場合(該「I」層は該PD/APDの変調帯域幅に依存して0.3−3.5μm変化することが可能)、850nmにおけるフォトンの約13%が向上無しで吸収される。例えば、本特許出願において記載するマイクロストラクチャ型穴アレイ(又は柱体)によって約12倍又はそれ以上だけの吸収の向上及び/又は吸収長がある場合には、フォトンの80%を超えるものを2μmの物理的な「I」吸収長において吸収させることが可能である。夫々850及び1550nmのデータ通信波長及び遠隔通信波長においてSi及びGe等の弱い吸収性(約1000cm
−1又はそれ未満)物質を使用する場合にマイクロストラクチャ型穴及び/又は柱体を付加すると、その吸収即ち吸収係数及び/又は吸収長を、該物質が強く吸収性となり(約2000cm
−1又はそれ以上)且つ該マイクロストラクチャ型PD/APDを高速又は高変調帯域幅データ及び遠隔通信適用例及びシステムのために使用することが可能である点まで向上させることが可能であることがここで証明された。
【0189】
幾つかの場合においては、或る光学的データ/遠隔通信のためには単に約40%の吸収で十分であり、且つ単に約3倍の吸収の向上及び/又は吸収長が、例えば、850nmにおいての2μmSi「I」層に対して必要とされるに過ぎず、又は2μmGe「I」層に対しての1550nm波長におけるGeに対する吸収係数又は吸収長の4.5倍の向上係数が必要であるに過ぎない。一層高い向上係数が可能であり、10より大きな係数、且つ幾つかの場合においては20より大きなもの及び幾つかの場合においては40より大きいものとすることが可能である。半導体バルク物質の吸収係数が一層小さくなるに従い、向上係数は一層大きくなり、100又はそれ以上となる。
【0190】
Siナノワイヤーの吸収は、Lu Hu, Gang Chen,ナノレターズ(Nano Lett.)「光電池適用例に対するシリコンナノワイヤーアレイにおける光学的吸収の解析(Analysis of Optical Absorption in Silicon Nanowire Arrays for Photovoltaic Applications)」、Vol.7、No.11,2007(以後、「Hu et al.」と呼称する)において討論されており、それを引用により本書に取り込む。850nmに対応する1.46eVにおいての吸収は薄いSi膜と比較して向上されず、且つ約2.25eVの上即ち約550nm又はそれより短い波長の場合には、吸収は薄いSi膜と比較して向上される。Hu et al.は、更に、「一方、低周波数範囲においては、シリコンの吸光係数(extinction coefficient)は小さいために改良を達成することは不可能である」と付け加えている。
【0191】
同様の結論は別の刊行物においても到達されており、即ち、Chenxi Lin, Michelle L. Provinelli「光電池適用例に対する大きな格子定数を有するシリコンナノワイヤーアレイにおける光吸収の向上(Optical absorption enhancement in silicon nanowire arrays with a large lattice constant for photovoltaic applications)」、Vol. 17, No. 22/オプティクスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)、19371、2009年10月26日(以後、「Lin et al.」と呼称する)があり、それも引用により本書に取り込む。Lin et al.は約1.5eVにおいての吸収の共振向上を示しており、そのことをLin et al.はナノ構造において電磁界強度の増大となるガイド共振モード(guides resonance mode)又は遅ブロッホモード(slow Bloch mode)によるものであるとしている。Lin et al.は「空中からの入射光を2D周期的構造の高Q漏洩モードへの結合」と述べている。高Qモードのシャープな共振はデータ及び/又は遠隔通信適用例に対するフォトダイオードの使用において望ましいものではない。共振フォトダイオードの特性は、例えば、J. D. Schaub et al.「エピタキシャル横方向過剰成長により成長された共振空胴向上型高速Siフォトダイオード(Resonant-Cavity-Enhanced High-Speed Si Photodiode Grown by Epitaxial Lateral Overgrowth)」、IEEEフォトニクステクノロジーレターズ(IEEE POTONICS TECHNOLOGY LETTERS)、VOL. 11, No. 12, 1999年12月(以後、「J.D.Schaub et al.」と呼称する)において討論されており、尚その文献を引用により本書に取り込む。Schaub et al.は約800nm波長において高々40%の量子効率を示している(例えば、Schaub et al.における
図3を参照)。しかしながら、そのシャープな共振は望ましいものではない。何故ならば、温度に起因する送信機の波長におけるドリフト(例えば、或るダイオードレーザーに対して0.3nm/度であり、且つジュール加熱及び環境に起因するレーザー内部温度は、例えば、データセンターにおいて高々80℃又はそれ以上変化する場合がある)は、例えば、量子効率において著しい変化を発生させる場合がある。シャープな共振を有する従前に既知の共振フォトダイオードも量子効率が最高であるピーク共振波長の点で温度に敏感である場合がある。更に、レーザー源は、しばしば、製造上の変動に起因してレーザー波長において変動を有しており、レーザーをフォトダイオードに対して波長において精密に整合させねばならないことは望ましいことではない。共振フォトダイオードの製造における変動は変化する波長における共振ピークとなる場合もある。このことは、該レーザー源と検知器の波長を整合させることの必要性のために注意深いテスト及び温度安定性を維持することが必要であるので、歩留まりを低下させ且つ光学システムのコストを増加させることとなる。
【0192】
最近の文献であるRui Ren, Yong-Xin Guo, Ri-Hong Zhu「太陽エネルギー収穫用楕円シリコンナノワイヤーアレイにおける向上された吸収(Enhanced absorption in elliptical silicon nanowire arrays for solar energy harvesting)」オプチカルエンジニアリング(Optical Engineering)53(2)、027102(2014年2月)も1.5eVにおいての向上が弱いか又は存在しないが一層高いエネルギーにおける吸収の向上が一層強いという同様の結果を示しており、尚その文献を引用により本書の取り込む。
【0193】
Donnelly et al.「光電池適用例用シリコンナノホールアレイのモードに基づく解析(Mode-based analysis of silicon nanohole arrays for photovoltaic applications)」、Vol.22、No.S5、オプティックスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)、A1343 2014年8月25日、(以後「Donnelly et al.」と呼称する)において、ナノホールが光電池適用例について解析されており、尚その文献を引用により本書に取り込む。太陽のスペクトルは非常に広い(数百nm)ので、シャープな共振は光電池適用例においては問題ではないが、一方光学的データ/遠隔通信においては、レーザーのスペクトルは非常に狭く、例えば、分布帰還形レーザ、ファブリー・ペローレーザー、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等のレーザーのタイプ、及びそれが単一モードであるか又はマルチモードであるか、及びそれが外部変調又は直接変調でのCWで動作されるか否かに依存して、1nmよりもかなり小さいものから数nm、即ち0.01未満〜3nmと狭いものである。Donnelly et al.は、又、例えば、その
図4において800nmにおいて20nmの波長スパンに亘って高々75%又はそれ以上だけの吸収における変動と共に850nm波長領域においてシャープな共振を示している。Donnelly et al.の
図5は、種々のナノホール深さでの500nmの最適な周期を示しており、又、例えば、850nm波長においてシャープな共振を示しており、その場合に吸収は10nm波長スパンに亘って約100%乃至20%変化、即ち吸収において約80%の変化する場合がある。共振導波モード(resonance guided mode)に加えて、該文献は基本モード及び吸収向上を発生させることが可能なチャンネリングモードも包含している。
【0194】
量子効率に直接的に比例する吸収におけるリップルが約30%−40%、及び幾つかの場合においては20%以下又は10%以下はデータ通信適用例及び遠隔通信適用例に対して許容可能なものである。幾つかの場合において、約850nmの中心波長、例えば、±5,10,20,50又は100nmに対して、量子効率のリップルは5%以下が望ましい。
【0195】
実験的には、光トラッピング及び向上された吸収はErik Garnett, Peidong Yang「シリコンナノワイヤー太陽電池における光トラッピング(Light Trapping in Silicon Nanowire Solar Cells)」、ナノレター(Nano Lett.)、2010,10,1082−1087(以後、「Garnett et al.」と呼称する)において観察されており、尚該文献を引用により本書に取り込む。Garnett et al.の
図4は、1100nmまでの波長において10%未満で且つ850nm波長において約5%の光透過を示しており、反射を無視することが可能である場合には、吸収は1=T+R+Aの式から約90−95%であり、尚Tは透過で、Rは反射で、Aは吸収であり、全ての光が回収されるものと仮定している。
【0196】
別の最近の文献であり引用により本書に取り込むKatherine T. Fountaine, Christian G. Kendall, Harry A. Atwater「局所化したラジアルモード励起を介しての半導体ナノワイヤーアレイ用の1に近いブロードバンド吸収デザイン(Near-unity broadband absorption design for semiconducting nanowire arrays via localized radial mode excitation)」Vol.22,No.オプティックスエクスプレス(OPTICS EXPRESS)A930,2014年5月5日(以後、「Fountaine et al.」と呼称する)において、異なる直径を有する3μm高さのSi上のGaAsナノワイヤーのシミュレーション結果は、5%の充填率で1に近い吸収を達成することが可能であることを示している。Foutaine et al.の
図4を参照すると良い。該シミュレーションの目的は、高効率光電池装置を達成するために物質の使用を減少させることであり、3μmGaAsナノワイヤーでの5%の充填率は物質の量について平坦状のGaAs層の150nmと等価である。しかしながら、吸収向上の適切な比較は、3μmGaAsナノワイヤーを3μm厚さのGaAsの平坦状の層と比較することである。この場合には、該平坦状GaAs3μm層は、1.42eVのバンドギャップ端部又は873nmに到達するまでは1の吸収を有し、且つそれは急激に降下し、886nmにおいては吸収係数は約241/cmであり、その場合に、例えば強い吸収性である855nmにおいての約5917/cmと比較して弱い吸収性であり、及び3μm厚さの層の約7%が886nmにおいて吸収され、855nmにおいて約83%の吸収であり、且つ827nmにおいて約99%の吸収である。3μmGaAs層をFountaine et al.の
図4と比較すると、何ら吸収の向上は認められない。知覚しうる吸収向上無しでは、バルク層フォトダイオードのものを越えてナノワイヤーフォトダイオードを使用することの利点は無い。この場合には、800−850nmにおけるデータ/遠隔通信用の3μmGaAsナノワイヤーフォトダイオードよりも一層良いものではないとしても、バルク3μmGaAsフォトダイオードはほぼ同程度に良く動作する。
【0197】
本書に記載する技術によれば、例えばSiにおける2μmマイクロストラクチャ型穴(柱体及び/又は柱体と穴とすることも可能)が、例えば、5Gb/s以上の高いデータレートのデータ/遠隔通信のための800−900nm波長において2μmSiバルク層フォトダイオードよりも著しく一層吸収性であるように吸収(係数及び/又は長さ)の向上が提供される。
【0198】
図109(A)及び(B)は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型穴アレイに対してマクスウエルの式を使用したFDTDシミュレーションの結果を示しているグラフである。該穴アレイは、2000nm周期の六角形格子を有しており且つ2μmの「I」厚さのSiNIPの
図92に類似したエピタキシャル構造を有しており且つ穴は該I層を貫通してエッチングされており且つ2つの穴直径(
図106に示した如く)を有している。
図109(A)は、1670及び1500nmの穴直径を使用する曲線10910を含む4つのケースについて波長に対する吸収を示しており、一方、
図109(B)は、1670及び1500nmの穴直径を使用する曲線10910を含む該4つのケースの内の2つのケースについて誇張した尺度での波長に対する吸収を示している。該シミュレーションは、840乃至860nmの波長に亘って10%未満のリップルを示しており、平均吸収は約90%である。更に、835−875nm波長の間の領域は入射フォトンの80%以上の吸収を有することが可能である。1個を越える穴直径及び/又は周期の付加は該波長に対する吸収の曲線におけるリップルを減少させる。異なる共振モード、異なる穴直径及び/又は周期を有している異なる構造の固有モードの結合は、リップルを減少させ且つ一層広い波長範囲に亘っての吸収の向上を改善させ、且つ約2μm厚さのSi物質において850nmにおいて80%よりも大きな量子効率に直接比例する高い吸収効率を達成することに貢献する。幾つかの場合において、850nm±10nmにおいて90%より大きなものを達成することが可能である。幾つかの場合において、850nm±10nmにおいて、70%、60%、50%又は40%より大きな量子効率を達成することが可能である。
【0199】
その他の穴直径も示されており、例えば1330及び1500nm、1500及び1500nm、1670及び1670nmは全て周期が2000nmであり且つリップルは他の場合よりも或る波長範囲において一層良好であり、従って、例えば850nm±10nm等の或る波長範囲に対してマイクロストラクチャ型PD/APDを設計する場合に、周期が2000nmの六角形格子における該1500nm穴寸法は、2μmSi「I」層においてリップルが10%未満で80%より大きな吸収を達成することが可能である。更に、1330nm及び1500nmの穴、及び、前述した如く、周期が2000nmの六角形格子での1500及び1670nm直径の穴もこの性能をほぼ達成することが可能である。従って、900乃至2000nmの周期の範囲で600乃至1700nmの穴寸法の範囲を使用して20nm又はそれ以上のスペクトル範囲での特定の波長範囲を設計することが可能である。その他の直径及び周期を使用することも可能であり、記載した例は、穴直径と周期との或る組合せは、リップルが10%、20%、30%、40%、50%未満で吸収を向上させることが可能であることを示している。
【0200】
該穴直径は波長より大きいものとするか又は波長未満とすることが可能であり、且つ自由空間における該周期は波長よりも一層大きい。サブ波長周期も或る波長以上の周期と関連して使用することが可能である。
【0201】
この例は、20nm及び幾つかの場合には10nm及び幾つかの場合には40nm以上の有用なスペクトル範囲で、5Gb/s、及び幾つかの場合には10Gb/s及び幾つかの場合には20Gb/s、及び幾つかの場合には30−40Gb/s以上を超えるデータレートで、Siにおける操作可能な850nmPD/APDを設計するために、同じ周期で多様な穴直径を使用することが可能であることを示している。例えば880nm波長、980nm波長においての吸収向上を最適化させるために、その他の穴直径及び周期を使用することが可能であり、その場合に、一般的には、波長が一層長くなるに従って穴直径及び/又は周期は対応して一層大きくなる。複数の穴直径及び/又は複数の周期を使用して該マイクロストラクチャ型シリコンPD/APDを一層長い波長へ拡張させることが可能であり、例えば、800から1000nmの波長で向上される吸収は40%以上であり、且つ幾つかの場合においては、50%以上であり、且つ幾つかの場合においては、60%以上であり、且つ幾つかの場合においては、70%以上であり、且つ幾つかの場合においては80%以上であり、且つ或る場合には或る波長において90%以上である。一層長い波長の場合、例えば1550nmでは、該穴及び周期は、例えば、1300nm直径及び1500nm直径で周期が2300及び2500nmとすることが可能であり、その場合には周期が増加している。Ge・オン・Siにおける1550nm波長に対するその他の穴直径/周期は、例えば、2300/3100(nm単位)、2000/3100(nm単位)とすることが可能であり、その場合には直径と周期の両方が増加している。
【0202】
更に、吸収向上のために山形又は「V」形状の穴等のその他の形状を使用することも可能である。その他の形状は、「X」形状、矩形状、三角形状、多角形状、及び/又は所望の吸収向上及びスペクトル幅及び分極感度を達成するための複数の形状の任意の組合せとすることが可能である。
【0203】
図110は、幾つかの実施例に基づいて、異なる穴直径と格子周期とを有するマイクロストラクチャ型フォトダイオード/アバランシェフォトダイオードに対しての波長に対する吸収のプロットを示している。シミュレーションしたMS−PD/APDは正方形格子を有しておりフォトンは上部表面か又は底部表面のいずれかから入射していた。吸収層はGeで約2μmの厚さである。該構造は
図82Aに示したものと同様である。該波長に対する吸収の曲線において、例えば曲線11010で表されている周期が2000nmで穴直径が1500nmのマイクロストラクチャは、1500nmから1650nmへの波長範囲での入射フォトンの良好な吸収特性を示している。該波長に対する吸収の曲線の中で、例えば、曲線11012によって表される周期3000nmで穴直径2250nmのマイクロストラクチャは、例えば、1650から1700nmへの波長範囲で入射フォトンに関して良好な吸収特性を示している。これら2つの穴直径及び格子の組合せは1500から1700nmへの波長範囲に対して60%よりも良い吸収となる場合がある。例えば、50%よりも良い、幾つかの場合においては40%よりも良い、及び幾つかの場合においては30%よりも良い等の良好な吸収特性を達成するために、穴直径/周期のその他の組合せを使用することも可能である。或る波長においては、80%よりも良いものを達成することが可能であり、例えば、1550nm波長±10nm以上である。更に、1669nmも80%吸収効率±波長における数ナノメートルよりも良いものを達成することが可能である。1875nm/2500nmのその他の穴直径/周期も示されており且つ曲線11014で表されている。
【0204】
或る場合においては、穴直径は吸収されるべく該マイクロストラクチャ型PD/APDへ入射する光の波長よりも一層大きいものとすることが可能であり、且つ、幾つかの場合においては、該穴の直径は入射するフォトンの波長とほぼ同じとすることが可能であり、且つ幾つかの場合には、該穴の直径は入射するフォトンの波長よりも小さいものとすることが可能である。同じことが格子の周期についても言うことが出来、その場合に、該周期は検知されるべき光の入射波長よりも一層小さいか、ほぼ同じであるか、及び/又は一層大きいものとすることが可能である。
【0205】
図111A及び111Bは、幾つかの実施例に基づいて、
図82Aに示した構造のFDTD方法を使用したシミュレーションを示しており、その場合に、2つの格子及び2つの異なる穴直径を使用している。
図111Aは穴パターンを示しており、そこでは1500nmの穴直径D1を有する六角形格子が中心において2250nmのD2と4つの角部においてD1とを有する正方形格子とが結合されている。D1穴は水平方向に3μm(d2=3μm)だけ且つ垂直方向に約3.46μmだけ離隔されている。該六角形格子は周期が2μmである(d1=2μm)。
図111Bは波長に対しての吸収のプロットを示している。該2つの格子で2つの異なる穴直径のケース(曲線11110)は、或る幾つかの波長において、吸収が単一格子/穴のマイクロストラクチャ型PD/APDのものよりも一層良好であることを示していることを見ることが可能である。例えば、約1570nm乃至1600nm、即ちデータ/遠隔通信波長のL帯域、において、曲線11110はかなり一層良好な吸収を示している。このことは、例えば、1500nmの穴直径での2μm周期(曲線11112)と2250nmの穴直径での2μm周期(曲線11114)とを有する正方形格子と比較される。この結果は、穴直径と周期との異なる組合せで、吸収応答はより少ない共振及び/又はよりシャープでない共振を有することが可能であり且つ又ある波長範囲において吸収応答を最適に調整することが可能であることを示しているだけである。これは単に一つの例であり、所望の量子効率、分極感度、非感受性、波長選択性及び/又は非選択性、例えば、ブロードバンド、リップル/共振減少等を得るために、格子、周期、穴直径及び形状のその他の組合せをシミュレーションすることが可能である。例えば、直径又は最小直径は100nmから3000nmの範囲にわたることが可能であり、且つ該周期及び/又は複数の周期は150nmから4000nmの範囲にわたることが可能である。更に、穴パターンは格子ではない場合もあり、例えば複数の穴が非周期的に分布されたり、及び/又は複数の穴の間の間隔がチャープされる場合がある。更に、穴のパターンは周期的である必要が無い場合があるが、該パターンは周期的であるか又は非周期的とすることが可能である。複数の穴をランダムに又は擬似ランダムに分布させることが可能であり、且つ穴直径は周期的、非周期的な態様、ランダムな態様、又は擬似ランダムな態様で変化することが可能である。更に、例えば、周期が同じか、殆ど同じか、或る周期において穴の直径未満である場合には、複数の穴は少なくとも一点で接続させることが可能である。穴のアレイは複数の周期を有することが可能であり、且つ少なくとも一つの周期は穴が接触するか及び/又はオーバーラップするようにすることが可能である。
【0206】
本書に記載する技術に従って共振セルを隣接する隣の共振セルとの結合を使用して、吸収応答の平滑化が達成され、そのことは単一の共振器を有するのみであり且つその波長に対する吸収においてシャープな共振動作を示す既存の共振フォトダイオードと対比される。本書に記載する技術に基づく共振セルの集団は、制御されたリップルと波長範囲とを有する一層調節された吸収応答となる。更に、本書に記載する技術は、特定の波長において一層最適なPD/APD性能のために特定の波長において特定の吸収特性を調節するために使用することが可能である。
【0207】
更に、吸収向上プロセスに参画することの無いその他のマイクロストラクチャ/ナノストラクチャを使用して反射を減少させることが可能であり、例えば、数十nm乃至数百nmの範囲の寸法(直径等)の表面上のサブ波長の穴又はピット等であり、その場合に、その深さは数十nm乃至数百nm又はそれ以上の範囲とすることが可能である。
【0208】
図112は、幾つかの実施例に基づいて、同じ周期の2つの六角形格子が結合され且つ互いにインターレースされている別の格子構造を示している概略図である。該パターンは同一又は異なる直径の穴を使用することが可能である。図示した如く、該パターンは2つの異なる直径を有しており、例えば、その周期は2000nmとすることが可能であり、且つD1は1500nmとすることが可能であり且つD2は700nmとすることが可能である。周期及び直径のその他の組合せも可能であり、且つ吸収特性、従って入射フォトン波長に対する量子効率、及び光学的データ/遠隔通信目的に対して吸収特性が許容可能である波長スパンを調節するため、及びその特定の一つ又は複数の光学システムに対するいかなる特定の適用条件を満足させるために使用される。
【0209】
2つの六角形格子の点線によって示した如き単位セルは互いにオーバーラップしており、従ってそれらの固有モードも互いにオーバーラップし、そのことは特定の波長範囲においての吸収特性のリップルを更に減少させることが可能であり且つ該吸収特性におけるリップルが減少される波長範囲を拡張させることも可能である。或る波長範囲内においての吸収特性におけるシャープな変化はフォトダイオード/アバランシェフォトダイオードにおいて望ましいものではない。何故ならば、例えば、入ってくる光学信号波長におけるドリフト及び/又は温度に関してのフォトダイオード吸収特性のドリフトは光学から電気への信号変換において著しい変化をもたらす場合があるからである。5%未満の変化が好適であり、且つ幾つかのその他の場合においては、2nm,4nm,10nm,20nm,40nm,60nm,100nm,又は250nmの或る波長範囲内において10%,20%,30%,40%又は50%未満であることが好適である。
【0210】
図113は、6個の単位セルを有している六角形格子を示しており、各セルはその自身の固有モードを有しており、その場合にいかなるフィールド伝播/分布はその固有モードの拡張である場合がある。各セルの固有モードは隣接セルの固有モードと結合させることが可能であり、それにより複合結合型スーパーモードが形成され、そのことは、単なる視覚化の目的のためだけであるが、複数の振り子からなる2Dアレイのカップリングとして考えることが可能であり、その場合に、各振り子が弱いスプリング(該弱いスプリングは機械的カップリング機構である)を介してその隣接する全ての振り子に接続されているこの大量に結合された2Dアレイの振り子の応答即ち運動は非常に複雑であり且つ単一の振り子の単純な振動運動ではない。該カップリングに加えて、第2の入れ子型の六角形格子を
図112における如くに付加させることが可能である。更に、円形状又は任意の形状で且つ任意の深さのもので且つ任意の直径のものであり該パラメータの内のいずれもが複数の値を有することが可能な穴を該セル内及び/又は隣接するセルの境界に付加させることが可能であり、そのことは該セルの固有モード及び隣接するセルの固有モードとのその結合に影響を与えることが可能である。例えば、説明の便宜上、直径Xの複数の穴を図示した如くに付加させることが可能であり、その場合にXは単一又は複数の値を有することが可能であり且つ該穴はSi又はGe表面において及び該吸収層内に部分的に又は完全にエッチングさせることが可能である。このことは、単に該表面上だけで該吸収層を侵入するものではないものとすることも可能である。幾つかの実施例によれば、該穴は該吸収層内に部分的に又は完全にエッチングさせることが可能である。
【0211】
複雑な定在波即ちスーパー固有モードとなる該セルのカップリングは、吸収応答(量子効率に比例)がシャープな応答特徴を有している従来既知の構造における如き共振応答などの単一共振器のものと比較して、一層滑らかな吸収対波長応答を与えることが可能である。
【0212】
図114は、幾つかの実施例に基づいて、穴アレイとテクスチャー表面とを有するSiNIPマイクロストラクチャ型フォトダイオードを示している。テクスチャー表面11440は上部表面上及び/又は穴11422自身内とすることが可能である。テクスチャ付けは垂直からずれた角度において行うことが可能であり、その場合に基板をドライエッチングビーム(方向)に関して傾斜した状態で回転させる(又は静止)ことが可能であり、且つテクスチャーは、例えば、側壁上に部分的にさせることが可能である。幾つかの実施例によれば、テクスチャー11440は入射照射の反射を減少させる。何故ならば、光学的通信リンクにおいて、光学的供給源へ反射して戻される光学信号は望ましいものではなく且つデータ通信システムの信号対ノイズの劣化を発生させる場合がある。マスキングを行うか又は行うこと無しに半導体表面上でドライエッチを実施するブラックシリコン等のテクスチャー付けはフォトンをトラップし反射を減少させることが可能なナノ構造体の森を発生させることが可能である。テクスチャリングが無い場合には、反射は10%未満であり且ついくつかの場合においては5%未満であり且つ幾つかの場合においては2%未満であり、そのことは、例えば、
図39におけるような波長に対する吸収のプロットにおいてみることが可能であり、その場合に、吸収は或る波長において90−95%よりも大きい。1=T+R+Aの式から、尚Tは透過光であり、Rは反射光であり、Aは吸収光である、A=90−95%の場合には、T+Rは5−10%である。従って、Rは10%以下であり、且つ幾つかの場合には、5%以下である。半導体表面にテクスチャを付加すると、反射を或る波長において1%未満に更に減少させることが可能である。更に、光学信号は垂直からずれた或る角度でマイクロストラクチャ型PD/APD上に入射することが可能であり、且つ光学データ通信チャンネル内へ反射して戻ることを更に減少させることが可能である。
【0213】
図115は、波長に対してのSi及びGeの吸収係数を示したグラフであり、例えば、http://www.silvaco.com/tech_lib_TCAD/simulationstandard/2010/apr_may_jun/a1/a1.htmlの
図6を参照すると良く、それを引用により本書に取り込む。Siの場合は850nmにおいて且つGeの場合には1550nmにおいて、両者は約300/cm未満の吸収係数を有している。この弱い吸収は、例えば10Gb/s帯域幅を超えるデータレートに対して典型的に約2μmの吸収厚さを有している高速フォトダイオード及び/又はアバランシェフォトダイオードに対して不良な量子効率とさせる。このことは、例えば、Siの場合は850nmの波長でGeの場合は1550nmの波長に対して、例えば5Gb/sのデータレートを越える高速のフォトダイオードが現在市販されていない理由の一つである。
【0214】
図116は、幾つかの実施例に基づいて、マイクロストラクチャ型穴アレイに起因するGeの向上された実効吸収係数を示しているグラフである。曲線11610は、Geの2μm厚さの層に対して1.25μmの穴直径で1.65μmの周期を有する六角形格子でのGeに対する向上された吸収係数を示している。比較のために、曲線11612はバルクGe(マイクロストラクチャ型穴無し)の吸収係数を示している。幾つかの実施例によれば、その他のマイクロストラクチャも或る波長帯域に対して最適化させることが可能な向上された実効吸収係数を与えることが可能である。例えば、該マイクロストラクチャは穴又は柱体とすることが可能であり、その間隔は周期的又は非周期的とすることが可能であり、該穴又は柱体は単一又は複数の直径を有することが可能であり、且つその形状は円形状又は非円形状とすることが可能である。先に示した如く、吸収は吸収係数と吸収長との積である。従って、吸収係数をバルク物質の吸収係数(Geの場合は曲線11612)として維持しながら、吸収長を向上された実効吸収長とさせることが可能であり、即ち、物理的吸収長よりも5,10,20又はそれ以上一層長いものとさせることが可能である。
図116から理解される如く、向上された実効吸収係数は、多くの波長範囲において、Geにおけるバルク吸収係数よりも10倍を越えて一層大きい。マイクロストラクチャに起因するGeにおける向上された実効吸収係数は、30%より大きな、40%より大きな、50%より大きな、60%より大きな、70%より大きな、80%より大きな、90%知より大きな量子効率(吸収に直接比例する)で、典型的に、1550nm波長及び一層長い波長においての吸収長が約2μm以下である場合には、高速PD/APDの開発を可能とさせる。この様な物質、吸収長、波長、データレート、及び量子効率の組合せはSiでもGeでも市販されていることが既知ではない。同じことは、例えば、5,10,20Gb/s及びそれより一層早いデータレートに対して吸収長が典型的に約2μm以下である場合の高データレート帯域幅において且つ805nm及びそれより長い波長範囲においての動作のためのSiマイクロストラクチャ型PD/APDについても言うことが可能である。
【0215】
更に、マイクロストラクチャは単一の要素又はセル及び/又は複数の要素又はセルから構成することが可能であり、且つ線形光学フィールド効果、非線形光学フィールド効果、結合モード効果、及び/又は遅波効果の結果である場合がある向上された実効吸収及び/又は向上された実効吸収長を有することが可能である。
【0216】
マイクロストラクチャを使用する吸収係数及び/又は吸収長の向上は、吸収係数が一層弱くなる帯域端部においてIII−V物質、GaAs,InP,GaN等のその他の物質の動作波長を拡張させるために使用することも可能である。例えば、Slawomir S. Piatek、http://www.hamamatsu.com/us/en/community/optical_sensors/tutorials/phsics_of_mppc/indexx.html?utm_source=googleplus&utm_medium=social&utm_campaign=hc-socialにおける
図3を参照すると良く、それは1.6μm波長の近傍におけるInGaAsに対するものであり、又それを引用により本書に取りこむ。幾つかの実施例によれば、マイクロストラクチャは1.6μm近く及びそれより長い動作波長を拡張させるために使用することが可能である。
【0217】
更に、吸収の向上のためのマイクロストラクチャの使用は、例えば非晶質Si等の非晶質物質へ適用することも可能であり且つ又ポリマー、セラミックス、グラフェン、合金及び酸化物等のその他の物質へ適用することも可能である。更に、音響、マイクロ波、UV,X線、及び圧力波等のその他のエネルギー伝播形式を一つの形式のエネルギーから別の形式へ変換させることが可能である。例えば、ピエゾ電気セラミック及び/又は結晶上の略音響波長程度の寸法の構造は、例えば、音響エネルギーから電気的エネルギーへの変換を向上させることが可能である。略音響波長の寸法の構造を使用することは音響吸収を向上させることが可能であり、そのことは、例えば、一層薄いピエゾ電気物質とさせることが可能であり、更にそのことは、例えば、一層高い音響周波数応答を有することを可能とさせる。
【0218】
図117は、幾つかの実施例に基づいて、Siマイクロストラクチャ型PD/APDの向上された吸収を示しているグラフである。シミュレーションしたMS−PD/APDは六角形格子穴アレイと、2000nmの周期と、1500nmの直径と、垂直から、例えば、10,20,40度ずれて入射するフォトンとを有している。
図39は、フォトンが表面に対して垂直に入射する場合の同様の構造に対しての波長に対する向上された吸収のシミュレーションを示している。理解されるように、垂直から10度ずれてたフォトンは850nmの波長においての吸収を著しく変化させるものではなく、該吸収は未だに90%よりも一層大きい。40度において、850nmにおける吸収は未だに90%を越えているが、20度において、吸収は850nmにおいて85%へ減少するようである。全体的に、或る波長においては、マイクロストラクチャに入射するフォトンの入射角度における変化は、例えば、0−40度の角度範囲にわたって10%未満の吸収変化を有することが可能である。或る波長範囲において穴直径、周期、非周期的マイクロストラクチャ、を最適化すると、入射フォトンの入射角度に関しての量子効率(吸収に直接比例する)における変化は10%未満とさせることが可能であり、且つ或る場合には、5%未満、且つ或る場合には、3%未満とさせることが可能である。この特徴はレーザー供給源へ向かって戻される反射光を最小とさせるために重要であり、該レーザー供給源は、オプチカルファイバー及び/又は自由空間及び/又は光学導波路における送信のために電気信号を光学信号へ変換させるために光学変調器が使用される場合に該光学信号を送信するためのデータレートにおいて直接的に又は間接的に変調される。電気信号から光学信号への変換器として発光ダイオード等のレーザーではない供給源を使用することは、該光学供給源へ向かって戻される反射パワーの条件を低下させることとなる。何故ならば、LEDはコヒーレント性がより低く及び/又はインコヒーレントな光学供給源だからであり、且つ同じ波長における反射は電気信号から光学信号への変換器として完全性においての崩壊の発生はより少ない。
【0219】
本特許出願は装置の性質及び動作を説明する上で或る理論に言及しているが、これらの理論は現在の理解に基づくものであって、たとえ将来の進展によりその理論が正しくないものであると証明されたとしても、ここに開示されている装置の実際の動作に影響を与えるものではないことは明らかである。本特許明細書は、又、パラメータの数値範囲に言及しており、この様な範囲からの実質的ではない逸れはここに開示された進歩の精神内のものであることを理解すべきである。
【0220】
装置を図示している図面は縮尺通りのものではなく幾分理想化されており、例えば直線は尖った角部等であり、一方、実際の装置はそれほど直線的ではないか又は滑らかなものではない壁や幾分丸められている角部を有している場合があり且つ蓋然性があることを理解すべきである。実際に、処理パラメータに依存して、マイクロストラクチャにおける穴又は柱体の壁などの壁は不均一で且つ窪みやへこみ等の表面特徴を具備している粗い表面を有している蓋然性があり、そのことは実際に不所望な反射の減少等の効果を奏することに寄与する場合がある。
【0221】
光の検知及び/又は信号処理及びディストリビューション集積回路用の半導体層は、気相エピタキシー、化学蒸着、プラズマエンハンスト化学蒸着、原子層付着、分子ビームエピタキシーなど、及び/又は、例えば、選択的区域エピタキシー、選択的区域エピタキシャルラテラルオーバーエッチ、エピタキシャルラテラル過剰成長、ヘテロエピタキシー、ウエハーボンディング、エピタキシャルリフトオフプロセス、及び成長、ボンディング、リフトオフプロセスの任意の組合せ等の技術を使用してエピタキシャル的に成長させることが可能である。該半導体層に対する好適なプロセスは気相エピタキシー又は化学蒸着である。
【0222】
更に、該マイクロストラクチャ穴は吸収用の高電界「I」領域においてのみとすることが可能であり且つ必ずしも該PD/APDのN及びP領域内へ及び/又はそれを貫通して延在するものではない。該穴はその全長にわたってオーバーラップすることが可能であり及び/又は隣接する穴は該穴の長さに沿って部分的にオーバーラップすることが可能である。
【0223】
P,I及びN領域のドーピングは、しばしば、エピタキシャル成長期間中のドーパントの拡散に一部起因して異なるドーピングレベル領域の間で漸次的な遷移を有している。高ドーピングから低ドーピングへの遷移は、ドーパントタイプ、ドーピングレベル、成長温度及びエピタキシャル付着方法に依存して、1乃至1000nm又はそれ以上の距離にわたって発生する場合がある。PIN構造は、しばしば、P+PP−IN−NN+であり、その場合に、P及びP−及びN及びN−は遷移領域であり且つ非常に狭い遷移領域が望ましい。
【0224】
以上明確性の目的のために幾らか詳細に説明したが、その原理から逸脱すること無しに或る変更及び修正を行うことが可能であることは明らかである。注意すべきことであるが、本書に記載したプロセス及び装置の両方を実施する場合に多くの代替的方法がある。従って、本実施例は例示的なものであって制限的なものではないとして考えるべきであり、且つ本書に記載した業績の内容は本書に記載されている詳細に制限されるべきものではなく、特許請求の範囲及びその均等物内において修正することが可能なものである。