特許第6875990号(P6875990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875990一または複数の空洞を備える金属基板に配置されたカーボンナノチューブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875990
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】一または複数の空洞を備える金属基板に配置されたカーボンナノチューブ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20210517BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20210517BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20210517BHJP
   C01B 32/158 20170101ALI20210517BHJP
   C01B 32/162 20170101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01L23/36 D
   B01J35/02 311A
   B01J37/00 K
   C01B32/158
   C01B32/162
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-538925(P2017-538925)
(86)(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公表番号】特表2017-536707(P2017-536707A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015055177
(87)【国際公開番号】WO2016061004
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年9月13日
(31)【優先権主張番号】62/063,286
(32)【優先日】2014年10月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517127045
【氏名又は名称】インサーマ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NTHERMA CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】517127056
【氏名又は名称】ヌウェン, カティエン, ブイ.
【氏名又は名称原語表記】NGUYEN, Cattien, V.
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヌウェン, カティエン, ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベ, バン ボ
【審査官】 庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−543051(JP,A)
【文献】 特開2010−268008(JP,A)
【文献】 特開平05−198709(JP,A)
【文献】 特開2006−108377(JP,A)
【文献】 特開2010−171200(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/143273(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0071334(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103227157(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
B01J 35/02
B01J 37/00
C01B 32/158
C01B 32/162
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の空洞を含む金属基板であって、
該金属基板の対向する2つの表面上に直接配置されたカーボンナノチューブを含み、
前記金属基板の二乗平均平方根粗さが250nm未満であり、
ニッケル、コバルトおよびこれらの合金のいずれかから構成されている、金属基板。
【請求項2】
一または複数の前記空洞が前記金属基板を破る開口を含む、請求項1に記載の金属基板。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは、前記金属基板に対して垂直に整列されている、請求項1または2に記載の金属基板。
【請求項4】
請求項1に記載の金属基板の製造方法であって、
触媒を含むまたは触媒である前記金属基板を、二乗平均平方根粗さ250nm未満に研磨すること;および
前記金属基板に一または複数の空洞を形成すること;および
前記金属基板の対向する2つの表面上にカーボンナノチューブを堆積させること;
を含む方法。
【請求項5】
デバイス;
ヒートシンク;および
前記デバイスと前記ヒートシンクとの間に配置された、請求項1に記載された金属基板;を含み、
前記金属基板に配置されたカーボンナノチューブは前記デバイスおよび前記ヒートシンクと伝導性接触することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2014年10月13日に出願された米国仮出願第62/063,286号に基づく優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
一または複数の空洞を含む金属基板に配置されたカーボンナノチューブ、その製造方法、およびその使用が提供される。いくつかの実施形態によると、一または複数の空洞を含む金属基板に配置されたカーボンナノチューブを含む装置が提供される。
【背景技術】
【0003】
熱伝導材料は例えば、マイクロ電子デバイス、発光ダイオード(LED)デバイス、パワーエレクトロニクス、および電池に使用され得る。現代のデバイスの複雑さは、集積回路がますます微小サイズに達するにつれて、複数レベルの集積化と放熱がますます重大な問題となることを要求する。ヒートスプレッダとして機能するヒートシンクは、機能デバイスから実装領域の周囲へ熱を移動させるのに使用される。空気の熱伝導率は低いため、機能性デバイスおよびヒートシンクと伝導性接触(conductive contact)する熱伝導材料は、効率的に熱を上記ヒートシンクから上記機能性デバイスに移動させるために必要とされる。
【0004】
熱伝導材料を設計するために、固有な熱伝導率は非常に重要であるが、他のパラメータも最適化する必要がある。熱伝導材料は、機能性デバイスと熱伝導材料間、および熱伝導材料とヒートシンク間の接触面積を最大化するために、機械的に柔軟であるべきである。理想的には、上記熱伝導材料は、機能性デバイスとヒートシンクの両方の表面形状に従う。
【0005】
また、機械的強度と、温度サイクル間の物理的な亀裂に対する耐性は、熱伝導材料に有利な物性である。低熱膨張係数を有する熱伝導材料は、温度サイクル間の著しい物理的変形を避けるために非常に好ましい。熱伝導材料の過度な物理的変形は、結合する機能性デバイスの損傷を引き起こし得る。最後に、機能性デバイスの温度状況における熱安定性は、熱伝導材料の材料と物性の熱化学的劣化を避けるために非常に重要である。
【0006】
よって、物理的な亀裂に耐性がありながら優れた機械的強度を有し、低熱膨張係数と機能性デバイスの作動温度における熱安定性とを有する新規の熱伝導材料が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、1つの態様において、一または複数の空洞(cavity)を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質を提供することにより、これらのおよび他の要求を満たす。
【0008】
別の態様では、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の製造方法を提供する。その方法は、上記金属基板を二乗平均平方根粗さ約100μm未満に研磨することと、上記金属基板に触媒を堆積させることと、上記金属基板に一または複数の空洞を形成することと、上記金属基板に配置された上記触媒にカーボンナノチューブを堆積させることとを含む。
【0009】
さらに別の態様では、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の他の製造方法を提供する。その方法は、上記金属基板を二乗平均平方根粗さ約100μm未満に研磨することと、上記金属基板に一または複数の空洞を形成することと、上記金属基板に触媒を堆積させることと、上記金属基板に配置された上記触媒にカーボンナノチューブを堆積させることとを含む。
【0010】
さらに別の態様では、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の他の製造方法を提供する。その方法は、触媒を含むあるいは触媒である上記金属基板を二乗平均平方根粗さ約100μM未満に研磨することと、一または複数の空洞を上記金属基板に形成することと、上記金属基板にカーボンナノチューブを堆積させることとを含む。
【0011】
さらに別の態様では、デバイスとヒートシンクと熱伝導材料とを含む装置が提供される。一または複数の空洞を備える金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む熱伝導材料は、上記デバイスと上記ヒートシンクとの間に配置され、ここで上記熱伝導材料は上記デバイスおよび上記ヒートシンクと伝導性接触する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、触媒の堆積より前に空洞が金属基板に導入される場合における、一または複数の空洞を含む金属基板上のカーボンナノチューブを製造するための典型的なフローチャートを説明する。
図2図2は、触媒の堆積より後に空洞が金属基板に導入される場合における、一または複数の空洞を含む金属基板上のカーボンナノチューブを製造するための典型的なフローチャートを説明する。
図3図3は、触媒の堆積が必要でない場合における、一または複数の空洞を含む金属基板上のカーボンナノチューブを製造するための典型的なフローチャートを説明する。
図4図4は、厚さtを有する金属基板を説明する。
図5図5は、直径dと、空洞−空洞間距離Dを有する一または複数の空洞を備える金属基板を説明する。
図6図6は、一または複数の空洞を備える金属基板上のカーボンナノチューブの堆積を説明し、ここで上記カーボンナノチューブは、上記金属基板表面に対して垂直に整列し、上記金属基板の空洞がない部分に堆積する。
図7図7は、一または複数の空洞を含む金属基板の両面に堆積した、垂直に整列したカーボンナノチューブの断面を説明し、ここで上記カーボンナノチューブは空洞端の周辺領域においてより低い密度を有する。
図8図8は、デバイスとヒートシンクと熱伝導材料とを含む装置の一実施形態を説明する。示された実施形態では、上記熱伝導材料は、空洞を含む金属基板の両面に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブを含む。上記熱伝導材料は上記デバイスおよび上記ヒートシンクと伝導性接触しており、熱を上記デバイスから上記ヒートシンクへ放散する。
図9図9は、デバイスとヒートシンクと熱伝導材料とを含む装置の別の実施形態を説明する。上記熱伝導材料は、空洞を含む金属基板の両面に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブを含む。上記カーボンナノチューブの密度は空洞端でより低い。上記熱伝導材料は上記デバイスおよび上記ヒートシンクと伝導性接触しており、熱を上記デバイスから上記ヒートシンクへ放散する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<定義>
別段の記載がある場合を除き、ここで使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野における当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。本明細書における用語の定義が複数ある場合は、別段の記載がある場合を除き、本項の定義が優先される。
【0014】
本明細書における「カーボンナノチューブ」は、円筒形構造を有する炭素の同素体を指す。カーボンナノチューブはC5および/またはC7環構造を含むような欠陥を有することがあり、その結果、カーボンナノチューブは非直線状であり得る。またコイル構造を含みうる。またC−C結合配置においてランダムに分布した欠陥サイトを含み得る。カーボンナノチューブは一または複数の同心円筒状の層を含み得る。
【0015】
本明細書における「触媒」または「金属触媒」は、Fe,Ni,Co,Cu,Au等の金属または金属の組み合わせを指し、炭化水素ガスを分解し、化学気相成長法によるカーボンナノチューブの形成を助けるのに使用される。
【0016】
本明細書における「化学気相成長」は、プラズマ化学気相成長または熱化学気相成長を指す。
【0017】
本明細書における「プラズマ化学気相成長」は、プラズマ(例えば、グロー放電)を使用して、炭化水素ガス混合物を、表面上にカーボンナノチューブを堆積させる励起種に変換することを指す。
【0018】
本明細書における「熱化学気相成長」は、表面上にカーボンナノチューブを堆積させるのに使用され得る触媒の存在下における、炭化水素ガスの熱分解を指す。
【0019】
本明細書における「物理気相成長」は、揮発した所望の膜材料が膜材料上で凝縮することにより薄膜が堆積するのに使用される真空蒸着法を指し、陰極アーク蒸着、電子ビーム蒸着、揮発蒸着(evaporative deposition)、パルスレーザ蒸着およびスパッタリングのような手法を含む。
【0020】
本明細書における「熱伝導材料」は、機能性デバイスからヒートシンクへ熱を伝導する材料を指す。
【0021】
本明細書における「機能性デバイス」は、作動中に熱を発生させる何らかのデバイスを指す。機能性デバイスの例には、マイクロエレクトロニクスコンピュータ処理装置、マイクロエレクトロニクスメモリデバイス、発光ダイオード、電池システム、電源装置等が含まれる。
【0022】
本明細書における「ヒートシンク」は、複雑な構造により生じ得る大きい表面積を有し、熱を分散し対流により熱を放散させ得る、金属のブロックを指す。
【0023】
カーボンナノチューブは、優れた電力容量、高熱伝導率、良い機械的強度、および大きな表面積を有し、多くの用途において有利である、並外れた物性を有する比較的新しい材料である。カーボンナノチューブは、ダイアモンドの熱伝導率に次ぐ3000W/mKという優れた熱伝導率を持つ。カーボンナノチューブは機械的に強く、400℃以上の大気条件下において熱的に安定である。カーボンナノチューブは特に垂直に整列したときに、可逆的な機械的柔軟性を有する。したがってカーボンナノチューブは、この固有の柔軟性によって、種々の表面形状に機械的に従うことができる。さらに、カーボンナノチューブは低い熱膨張係数を有し、高温下の拘束状態において柔軟性を保持する。
【0024】
実用的な集積化および/または実装化における制御された方法で、経済的にカーボンナノチューブを提供することは、多くの潜在的なカーボンナノチューブ技術を実施するうえで不可欠である。
【0025】
ここに提供される1つの態様は、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質である。いくつかの実施形態では、一または複数の上記空洞は上記基板を破る開口である。いくつかの実施形態では、一または複数の空洞はランダムな形状である。他の実施形態において、一または複数の空洞は、円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形またはそれらの組み合わせである。
【0026】
いくつかの実施形態において一または複数の空洞は、金属基板においてランダムに分散される。いくつかの実施形態において一または複数の空洞は、金属基板において規則的に分散される。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、金属基板においてパターン化された配列を構成する。
【0027】
いくつかの実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約10μm〜約10cmの幅を有する。他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約1cm〜約10cmの幅を有する。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約1mm〜約10cmの幅を有する。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約100μm〜約10cmの幅を有する。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約10μm〜約100μmの幅を有する。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約10μm〜約1mmの幅を有する。さらに他の実施形態において一または複数の空洞は、凡そ約10μm〜約1cmの幅を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において配列した空洞は、凡そ約10μm〜約10cmの幅で分離される。他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約1cm〜約10cmの幅で分離される。さらに他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約1mm〜約10cmの幅で分離される。さらに他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約100μm〜約10cmの幅で分離される。さらに他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約10μm〜約100μmの幅で分離される。さらに他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約10μm〜約1mmの幅で分離される。さらに他の実施形態において配列した空洞は、凡そ約10μm〜約1cmの幅で分離される。
【0029】
本発明において、空洞間隔と空洞幅の操作上実現可能な全ての組み合わせが想定され得ることに留意すべきである。
【0030】
いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブはランダムに整列する。他の実施形態において、カーボンナノチューブは垂直に整列する。さらに他の実施形態において、カーボンナノチューブの面密度は約2mg/cm〜約1mg/cmである。さらに他の実施形態において、カーボンナノチューブの上記密度は約2mg/cm〜約0.2mg/cmである。
【0031】
いくつかの実施形態において、空洞端(cavity edges)に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度より低い。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約95%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約90%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約95%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約70%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約95%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約50%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約95%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約10%未満である。
【0032】
いくつかの実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約95%未満である。他の実施形態において、空洞端に配置されたカーボンナノチューブの密度は、金属表面に配置されたカーボンナノチューブのバルク密度の約90%未満である。
【0033】
いくつかの実施形態において、垂直に整列したカーボンナノチューブは約50W/mKより大きい熱伝導率を有する。他の実施形態において、垂直に整列したカーボンナノチューブは約70W/mKより大きい熱伝導率を有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、パターン化された配列を含む、垂直に整列したカーボンナノチューブは、約50W/mKより大きい熱伝導率を有する。他の実施形態において、パターン化された配列を含む、垂直に整列したカーボンナノチューブは、約70W/mKより大きい熱伝導率を有する。さらに他の実施形態において、パターン化された配列を含む、垂直に整列したカーボンナノチューブは、約100W/mKより大きい熱伝導率を有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、垂直に整列したカーボンナノチューブの厚さは約100μm〜約500μmである。他の実施形態において、垂直に整列したカーボンナノチューブの厚さは約100μm未満である。
【0036】
いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは金属基板の対向する2つの面に配置される。他の実施形態において、カーボンナノチューブは金属基板の2つの面に配置される。さらに他の実施形態において、カーボンナノチューブは金属基板の3つの面に配置される。さらに他の実施形態において、カーボンナノチューブは金属基板の全ての面に配置される。
【0037】
いくつかの実施形態において、金属基板の厚さは約0.05μM〜約100cmである。他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.05mm〜約5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.1mm〜約2.5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.5mm〜約1.5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約1mm〜約5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.05mm〜約1mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.05mm〜約0.5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約0.5mm〜約1mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約1mm〜約2.5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約2.5mm〜約5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約100μM〜約5mmである。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは約10μM〜約5mmである。
【0038】
いくつかの実施形態において、金属基板の厚さは100μMより大きい。さらに他の実施形態において、金属基板の厚さは100μMより小さい。
【0039】
いくつかの実施形態において金属基板は、鉄、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅、クロム、金およびこれらの組み合わせを含む。他の実施形態において金属基板は、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金またはこれらの組み合わせを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において金属基板は、鉄、ニッケル、コバルト、銅、クロム、アルミニウム、金およびこれらの組み合わせのうちの2以上の合金である。他の実施形態において、金属基板は鉄、ニッケル、コバルト、銅、金およびこれらの組み合わせのうちの2以上の合金である。
【0041】
いくつかの実施形態において、金属基板は耐熱合金(high temperature metal alloy)である。他の実施形態において、金属基板はステンレス鋼である。さらに他の実施形態において、金属基板は、カーボンナノチューブを成長させるための触媒膜が堆積された耐熱合金である。さらに他の実施形態において、金属基板はカーボンナノチューブを成長させるための触媒膜が堆積されたステンレス鋼である。
【0042】
いくつかの実施形態において、金属基板は500℃より高い温度下で熱的に安定である金属または金属の組み合わせである。他の実施形態において、金属基板は600℃より高い温度下で熱的に安定である金属または金属の組み合わせである。さらに他の実施形態において、金属基板は700℃より高い温度下で熱的に安定である金属または金属の組み合わせである。上記実施形態のいくつかにおいて、上記金属の組み合わせはステンレス鋼である。
【0043】
いくつかの実施形態において金属基板は、厚さが約100μM未満であり、二乗平均平方根粗さが約250nm未満である。いくつかの実施形態において金属基板は、厚さが約100μMより大きく、二乗平均平方根粗さが約250nm未満である。さらに他の実施形態において金属基板は、厚さが約100μM未満であり、二乗平均平方根粗さが約250nm未満であり、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金またはこれらの組み合わせを含む。さらに他の実施形態において金属基板は、厚さが約100μMより大きく、二乗平均平方根粗さが約250nm未満であり、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金またはこれらの組み合わせを含む。さらに他の実施形態において金属基板は、厚さが約100μM未満であり、二乗平均平方根粗さが約250nm未満であり、触媒膜を含む。さらに他の実施形態において金属基板は、厚さが約100μMより大きく、二乗平均平方根粗さが約250nm未満であり、触媒膜を含む。上記実施形態のいくつかにおいて、上記二乗平均平方根粗さは約100nm未満である。
【0044】
ここで図1を参照しながら、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の製造方法の実施形態を説明する。100で、厚さ10μm〜100cmの金属基板が提供される。当業者に知られている種々の方法によって達成され得る機械的研磨の後、110で二乗平均平方根粗さが約250nm未満の金属基板を得られ、これは120で空洞の配列を含む金属基板を準備するのに使用される。その後、130で触媒膜の堆積により空洞の配列を含む触媒コートされた金属基板が得られる。最後に、カーボンナノチューブが金属基板上で成長し、140で空洞の配列を備える金属基板に配置された垂直に整列したカーボンナノチューブが得られる。
【0045】
ここで図2を参照しながら、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の製造方法の他の実施形態を説明する。200で、厚さ10μm〜100cmの金属基板が提供される。当業者に知られている種々の方法によって達成され得る機械的研磨の後、210で二乗平均平方根粗さが約250nm未満の金属基板を得られる。その後、220で触媒膜の堆積により触媒コートされた金属基板が得られ、これは230で空洞の配列を製造するのに使用される。最後に、カーボンナノチューブが金属基板上で成長し、240で配列した空洞を備えた金属基板に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブが得られる。
【0046】
ここで図3を参照しながら、一または複数の空洞を含む金属基板の少なくとも1つの面に配置されたカーボンナノチューブを含む物質の製造方法の他の実施形態を説明する。300で、厚さ10μm〜100cmの金属基板が提供される。当業者に知られている種々の方法によって達成され得る機械的研磨の後、310で二乗平均平方根粗さが約250nm未満の金属基板を得られ、これは320で空洞の配列を製造するのに使用される。最後に、カーボンナノチューブが金属基板上で成長し、330で空洞の配列を備えた金属基板に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブが得られる。
【0047】
上記実施形態のいくつかにおいて、上記触媒は金属基板上に層を形成する。
【0048】
上記実施形態のいくつかにおいて、上記触媒を堆積させるのに溶液析出法が使用される。他の実施形態において、溶液析出法は、溶液浸漬、噴霧、インクジェットおよびスクリーン印刷を含む。
【0049】
上記実施形態のいくつかにおいて、上記触媒を堆積させるのに物理蒸着法が使用される。他の実施形態において、物理蒸着法は、イオンビームスパッタ、電子ビーム蒸着、蒸発金属加熱およびパルスレーザ蒸着を含む。
【0050】
ここで、図4を参照しながら、厚さtの金属基板400の実施形態を説明する。上記金属基板は上述した金属のいずれをも含むことができ、上述したいずれの厚さを有することもできる。
【0051】
図5はパターン化された空洞の配列510を含む金属基板500の実施形態を示す。いくつかの実施形態において金属基板500は、2×2の空洞の配列510を含む。他の実施形態において金属基板500は、2×2よりも大きい空洞の配列510を含む。いくつかの実施形態において、空洞510は規則的なパターンである。他の実施形態において、空洞510はランダムなパターンである。上記空洞は、既に上述したいずれかの幾何学形状または幾何学形状の組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、空洞の幅dは既に上述したいずれかの寸法を有する。いくつかの実施形態において、N×Nの空洞の配列510は上述したいずれかの距離の間隔Dを有する。
【0052】
図6は、空洞610を備えた金属基板600上におけるカーボンナノチューブ660の堆積の実施形態を示す。カーボンナノチューブ660は金属基板表面650に対して垂直に整列し、空洞610以外の金属基板650上に堆積する。
【0053】
図7は、空洞710を含む金属基板700の両面に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブ760の実施形態を示し、ここでカーボンナノチューブは、空洞710の端の周囲の領域においてより低い密度を示す。
【0054】
図8は、デバイス810、ヒートシンク830および熱伝導材料820を含む装置の実施形態を示す。熱伝導材料820は、空洞を含む金属基板の両面に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブを含む。熱伝導材料820はデバイス810およびヒートシンク830と伝導性接触しており、熱をデバイス810からヒートシンク830へ伝導する。
【0055】
図9は、デバイス910、ヒートシンク930、熱伝導材料920および固定するクランプ940を含む装置の別の実施形態を示す。熱伝導材料920は空洞を含む金属基板の両面に配置された、垂直に整列したカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブの密度は空洞の端でより低い。熱伝導材料920はデバイス910およびヒートシンク930と伝導性接触しており、熱をデバイス910からヒートシンク930へ伝導する。
【0056】
上記実施形態のいずれかにおいて、上記デバイスは発光ダイオード、超小型チップ、電力チップ、電池または電池パックである。
【0057】
最後に、本発明を実施する別の方法があることに留意すべきである。したがって、本実施形態は例示的であって限定的ではなく、本発明はここに与えられた詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で変更され得る。
【0058】
本明細書で引用した全ての刊行物および特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9