(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876005
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】同軸逆回転切断アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
A61B17/3207
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-567307(P2017-567307)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公表番号】特表2018-519074(P2018-519074A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】IB2016053597
(87)【国際公開番号】WO2017001960
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】62/186,633
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スミス,トーリー
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】エスクデロ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ポンボ,オーガスト
【審査官】
菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/017114(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0204722(US,A1)
【文献】
米国特許第04306570(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内から閉塞物質を切断する逆回転可能な切断アセンブリであって、
遠位端と、反対側の近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延在する管腔とを有する、回転可能なハウジングと、
該ハウジングと同軸に整列させられて、該ハウジングの前記管腔の少なくとも部分内に位置付けられる、回転可能なカッタヘッドと、
前記ハウジング内に位置付けられ、前記カッタヘッドの回転に応答して少なくとも前記ハウジングの回転を駆動するように構成される、逆回転ギアアセンブリとを含み、
前記ハウジングは、第1の方向において前記ハウジングの長手軸について回転するように構成され、
前記カッタヘッドは、前記第1の方向とは反対の第2の方向において前記長手軸について回転するように構成され、
前記ギアアセンブリは、
前記カッタヘッドに連結され、前記第2の方向において前記長手軸について回転するように構成される、第1のクラウンギアと、
該第1のクラウンギアと係合し、該第1のクラウンギアの回転に応答して回転するように構成される、少なくとも1つのスパーギアと、
該少なくとも1つのスパーギアと係合し、前記ハウジングに連結される、第2のクラウンギアとを含み、
該第2のクラウンギアは、前記少なくとも1つのスパーギアの回転に応答して前記第1の方向において前記長手軸について回転し、それにより、前記ハウジングに回転力を付与し、前記ハウジングを前記カッタヘッドの回転の前記第2の方向とは反対の前記第1の方向において前記長手軸について回転させるように、構成される、
逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のクラウンギアは、前記第2のクラウンギアよりも前記ハウジングの前記近位端により近く位置付けられる、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のクラウンギア及び前記第2のクラウンギアの各々は、前記ハウジングの前記管腔の直径よりも少ない直径を有する、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項4】
前記カッタヘッドは、閉塞物質との接触後に該閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成される少なくとも1つの切断エッジを有する、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項5】
前記カッタヘッドは、閉塞物質との接触後に該閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成される切断エッジを有する少なくとも1つの螺旋溝を含む、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの螺旋溝は、前記カッタヘッドの回転に応答して前記ハウジングの前記近位端に向かう方向において前記カッタヘッドの長さに沿って切除した物質を運ぶように構成される、請求項5に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジングの前記遠位端は、閉塞物質との接触後に該閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成される切断面又は切断エッジを有する、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項8】
前記カッタヘッドは、管腔を更に含み、該管腔は、該管腔を通じてガイドワイヤを受け入れるように構成される、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジングは、1.5mm〜8mmの範囲内の外径を有する、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項10】
前記ハウジングは、2mm〜3mmの範囲内の外径を有する、請求項9に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項11】
前記ハウジングは、2.4mmの外径を有する、請求項10に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項12】
前記ハウジングの前記近位端に連結され、当該切断アセンブリをアテローム切除デバイスに連結するように構成される、フェルールを更に含む、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項13】
前記カッタヘッドは、前記カッタヘッドに回転エネルギを伝達して前記カッタヘッドを前記長手軸について回転させるように構成されるアテローム切除デバイスの回転部材に連結されるように構成される、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリ。
【請求項14】
体腔内から閉塞物質を切断し且つ除去するデバイスであって、
遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延在する管腔とを有し、体腔内での軸方向前進のための大きさ及び構成とされる、カテーテル本体と、
該カテーテルの前記管腔の少なくとも部分内に位置付けられ、回転機構に連結される、トルクシャフトと、
前記カテーテル本体の前記遠位端に位置付けられ、前記トルクシャフトから回転エネルギを受け取るために前記トルクシャフトに連結される、請求項1に記載の逆回転可能な切断アセンブリとを含む、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、腔内処置に関し、より具体的には、血管又は他の体腔のような閉塞した管腔から閉塞物質を除去するアテローム切除デバイス(atherectomy device)と共に使用する逆回転する切断アセンブリ(contra-rotating cutting assembly)に関する。
【背景技術】
【0002】
何百万人もの人々が、冠状動脈疾患及び(末梢動脈疾患としても知られている)末梢血管疾患を含む、様々な形態の心臓血管疾患を患って死亡する。冠状動脈疾患及び末梢血管疾患は、(動脈硬化症とも呼ばれる)アテローム性動脈硬化症による動脈の狭窄に起因して生じ得る。アテローム性動脈硬化症は、進行性疾患であり、脂肪、コレステロール、及び他の物質が、動脈壁に蓄積し、プラーク/病変(plaques/lesions)と呼ばれる肉質又は硬質/石灰化構造を形成する。自然の動脈壁内にプラークが形成されると、動脈は狭くなり、柔軟性が低下し、それは血液が動脈を通じて流れるのをより困難にすることがある。末梢動脈において、プラークは、典型的には、局在化されていないが、その長さは、10mm以上(幾つかの場合には最大400mm以上)に亘って、動脈の軸に沿って伸び得る。
【0003】
冠状動脈疾患は、一般的には動脈内のプラーク堆積の結果として、冠状動脈が損傷される或いは罹患するときに発症する。そのようなプラーク堆積は、動脈の狭窄、心臓への血流の減少をもたらし、最終的には、胸痛(アンギナ)、息切れ、又は他の冠状動脈疾患の徴候及び症状を引き起こす。完全な閉塞は、心臓発作及び死を引き起こし得る。末梢血管疾患は、狭くなった動脈が、肢のような心臓及び脳の外側の体の部分への血流を減少させるときに発症する。末梢血管疾患がひとたび発症すると、人の四肢、通常、彼らの足が、要求に応じるのに十分な血流を受け取ることができない。末梢血管疾患の合併症は、癒えることのない活動誘発跛行傷跡、潰瘍、壊疽、組織喪失、又は四肢の感染を含むことがある。希な場合には、治療されないままにされると、切断が必要な場合がある。
【0004】
動脈内から障害物を低減させる或いは除去する血管内清浄処置が知られている。血管専門医は、今では、経皮経管バルーン血管形成術(PTA)及び自己拡張型ニチノールステントのような従来的なアプローチからアテローム切除カテーテル及び薬物溶出型バルーン及びステントを含む新しい進歩に及ぶ、様々な血管内技術から選択することができる。例えば、バルーン血管形成術において、医師は、折り畳まれた血管内バルーンカテーテルを狭くなった動脈内に前進させてよく、バルーンを膨張させて血管壁に対してプラークを柔らかくし(macerate)且つ/或いは変位させて(displace)よい。成功裡の血管形成術は、動脈を再び開いて、改善された血流を可能にするのに役立つ。しばしば、バルーン血管形成術は、動脈の再狭窄(re-narrowing)を最小限にするのを助けるために、動脈内のステント又は足場構造の配置と共に実行される。しかしながら、バルーン血管形成術は、動脈を伸張させ、瘢痕組織形成を誘発し得るのに対し、ステントの配置は、動脈組織を切断し、瘢痕組織形成を誘導することもできる。瘢痕組織形成は、動脈の再狭窄を引き起こすことがある。幾つかの場合には、バルーン血管形成術は、血管壁を裂く(rip)こともできる。
【0005】
アテローム切除術は、アテローム性動脈硬化症のための他の治療法である。アテローム切除術は、動脈壁からプラークを機械的に除去(例えば、減量(debulk))させる血管内デバイスの使用を含み、それにより、動脈壁を伸張させ、切断し、或いは切り裂くリスク、及び再狭窄(restenosis)をもたらす組織損傷を引き起こすリスクを低減させる。幾つかの場合には、アテローム切除術を用いて、瘢痕組織を除去することによって再狭窄を治療してよい。
【0006】
現在のアテローム切除治療は、構造的及び性能的な制約を被っている。例えば、回転するバリ(rotating burrs)を有する幾つかの現在のアテローム切除デバイスは、一般的に、バリが組織を粉砕する(grinds)/サンディングする(sands)ときに放出される粒子を捕捉するように構成されず、それは粒子残留物に由来する下流の血流の減少をもたらすことがある。加えて、これらの回転するバリは溶血を引き起こし、一般的に、血管形成術の補助療法としては限定されている。他のシステムは、動脈をカッタ上に潰れ且つ動脈壁を穿孔させることがある、真空ポンプを介して供給される折畳み可能な/移動可能な切断翼及び真空駆動吸引を備える拡張可能なカッタを含んでよい。他のアテローム切除システムは、横窓偏心カッタ(side-window eccentric cutter)と、カッタから材料を受け取る遠位ノーズコーン(distal nosecone)とを含んでよい。ノーズコーンは限定的な量のプラークを保持し得るに過ぎないので、外科医はカッタを繰り返し抜き取り、ノーズコーンからプラーク及び他の物質を流すことが必要な場合がある。
【0007】
米国特許出願公開第2009/018567A1号は、遠位カッタアセンブリを含み、カテーテル本体に取り付けられる円筒形ハウジングを有する、アテローム切除カテーテルを開示している。ハウジングを様々な方法においてカッタにリンクすることができ、例えば、ハウジング及びカッタの両方が一緒に回転するよう、ハウジングを接続地点を介してカッタに直接的にリンクし或いは取り付けることができ、ハウジングにギアを取り付けて、ハウジングをカッタよりも速く又は遅く回転させることができ、或いはハウジングがカッタと反対方向に回転するのを可能にするように、伝動装置を選択することができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、体腔内、具体的には脈管構造内の障害物又は閉塞物質の除去(removal)及び排除(clearing)を最大限にするように構成された切断アセンブリに関する。本発明の切断アセンブリの構成は、閉塞物質の除去に対する改良された制御を可能にし、より粘着性のある物質の単位の収集を更に保証し、それにより、さもなければ処置中に外れることがあり且つ下流の血管の栓塞を引き起こすことがある物質の追加的な粒子を効果的に捕捉する能力を欠く、現在のアテローム切除デバイスの欠点を克服する。
【0009】
本開示の切断アセンブリは、各々が共通軸に沿って互いに反対方向に回転して逆回転を可能にする、回転可能なカッタヘッド及び別個に回転可能なハウジングを提供することによって、現在のアテローム切除デバイスの欠点を克服することができる。本開示の逆回転可能な切断アセンブリは、閉塞物質を切断し且つ運ぶ別個の手段を提供し、現在のデバイスの欠点に対処する。具体的には、カッタヘッドの反対方向におけるハウジングの回転は、回転するカッタヘッドの幾つかの影響を低減し或いは完全に防止することがある。例えば、ハウジングの回転は、血流内のカッタ誘発渦を打ち消すことがある。加えて、逆回転は、捕捉される物質の量を更に増加させることがある。例えば、反対方向におけるハウジングの回転は、切除された組織粒子の径方向速度成分(例えば、切断中にカッタヘッドによって引き起こされる粒子の飛び散り)を減少させ、それにより、粒子損失のリスクを低減し、塞栓捕捉性能を更に向上させることがある。幾つかの実施形態において、ハウジングは、遠位端に切断エッジを含んでよい。ハウジングが遠位端と閉塞物質との間の接触後にコアリングカッタとして更に機能し、それにより、切断アセンブリの切断有効性を向上させることがあり、アテローム切除デバイスが詰まりを殆ど又は全く伴わずに一回の通過で長い全閉塞を除去する能力を更に増大させることがある。
【0010】
1つの態様において、本発明は、体腔内から閉塞物質を切断する逆回転可能な切断アセンブリを提供する。切断アセンブリは、遠位端と、反対側の近位端と、遠位端と近位端との間に延在する管腔とを有する、回転可能なハウジングを含む。ハウジングは、第1の方向において長手軸について回転するように構成される。切断アセンブリは、ハウジングと同軸に整列させられた、ハウジングの管腔の少なくとも部分内に位置付けられる、回転可能なカッタヘッドを更に含む。カッタヘッドは、第1の方向とは反対の第2の方向において長手軸について回転するように構成される。
【0011】
切断アセンブリは、ハウジング内に位置付けられ、カッタヘッドの回転に応答して少なくともハウジングの回転を駆動するように構成される、反回転ギアアセンブリを更に含む。幾つかの実施形態において、ギアアセンブリは、カッタヘッドに連結され、第2の方向において長手軸について回転するように構成される、第1のクラウンギアと、第1のクラウンギアと係合し、第1のクラウンギアの回転に応答して回転するように構成される、少なくとも1つのスパーギアと、少なくとも1つのスパーギアと係合し、ハウジングに連結される、第2のクラウンギアとを含み、第2のクラウンギアは、少なくとも1つのスパーギアの回転に応答して第1の方向において長手軸について回転し、それにより、ハウジングに回転力を付与し、ハウジングをカッタヘッドの回転の第2の方向とは反対の第1の方向において長手軸について回転させるように、構成される。
【0012】
カッタヘッドは、一般的に、閉塞物質と接触後に閉塞物質を切除し或いは他の方法で剪断するように構成された切断エッジ又は切断面を含む。例えば、幾つかの実施形態において、カッタヘッドは、閉塞物質との接触後に閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成された切断エッジを有する少なくとも1つの螺旋溝を含む。少なくとも1つの螺旋溝は、カッタヘッドの回転に応答してハウジングの近位端に向かう方向においてカッタヘッドの長さに沿って切除した物質を運ぶように構成されてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングの遠位端は、閉塞物質との接触後に閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成された切断面又は切断エッジを含んでよい。従って、ハウジングは、コアリング装置として効果的に機能することがある。
【0013】
切断アセンブリは、様々な体腔内の、具体的には脈管構造内の障害物又は閉塞物質を除去し或いは他の方法で排除するために使用されてよい。従って、切断アセンブリは、異なる大きさの体腔(例えば、小動脈、中動脈、大動脈)に適合するように適切な大きさにされてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングは、1.5mm〜8mmの範囲内の外径を有する。幾つかの実施形態において、ハウジングは、2mm〜3mmの範囲内の外径を有する。更に、幾つかの実施形態において、ハウジングは、2.4mmの外径を有する。
【0014】
切断アセンブリは、ハウジングの近位端に結合され、切断アセンブリをアテローム切除デバイスに連結するように構成される、フェルールを更に含む。更に、カッタヘッドは、カッタヘッドに回転エネルギを伝達してカッタヘッドを長手軸について回転させるように構成されるアテローム切除デバイスの回転部材に連結されるように構成される。
【0015】
他の態様において、本発明は、体腔内から閉塞物質を切断し且つ除去するデバイスを提供する。デバイスは、遠位端と、近位端と、遠位端と近位端との間に延在する管腔とを有する、カテーテル本体を含む。カテーテル本体は、体腔内での軸方向前進のための大きさ及び構成とされる。デバイスは、カテーテルの管腔の少なくとも部分内に位置付けられ、回転機構(例えば、電気、液圧、流体、ガス、又は他のモータ)に連結される、トルクシャフトを更に含む。デバイスは、カテーテル本体の遠位端に位置付けられ、トルクシャフトから回転エネルギを受け取るためにトルクシャフトに連結される、逆回転可能な切断アセンブリを含む。切断アセンブリは、遠位端と、反対側の近位端と、遠位端と近位端との間に延在する管腔とを有する、回転可能なハウジングを含む。ハウジングは、第1の方向において長手軸について回転するように構成される。切断アセンブリは、ハウジングと同軸に整列させられて、ハウジングの管腔の少なくとも部分内に位置付けられる、回転可能なカッタヘッドを更に含む。カッタヘッドは、第1の方向とは反対の第2の方向において長手軸について回転するように構成される。切断アセンブリは、ハウジング内に位置付けられ、トルクシャフト及びカッタヘッドの回転に応答して少なくともハウジングの回転を駆動するように構成される、逆回転ギアアセンブリを更に含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、ギアアセンブリは、第1のクラウンギアと、第2のクラウンギアと、第1のクラウンギアと第2のクラウンギアとの間に位置付けられ且つそれらの両方と係合する少なくとも1つのスパーギアとを含んでよい。第1のクラウンギアは、トルクシャフト及びカッタヘッドのうちの少なくとも一方と連結され、トルクシャフトの回転に応答して第2の方向において長手軸について回転するように構成される。少なくとも1つのスパーギアは、第1のクラウンギアの回転に応答して回転し、それにより、第2のクラウンギアを第1の方向において長手軸について回転させるように構成される。第2のクラウンギアは、ハウジングに連結され、ハウジングに回転力を付与して、ハウジングをカッタヘッドの回転の第2の方向とは反対の第1の方向において長手軸について回転させるように、構成される。
【0017】
前述のように、カッタヘッドは、一般的に、閉塞物質と接触後に閉鎖物質を切除し或いは他の方法で剪断するように構成された切断エッジ又は切断面を含む。例えば、幾つかの実施形態において、カッタヘッドは、閉塞物質と接触後に閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成された切断エッジを有する少なくとも1つの螺旋溝を含む。少なくとも1つの螺旋溝は、切除される物質をカッタヘッドの回転に応答してハウジングの近位端に向かう方向においてカッタヘッドの長さに沿って運ぶように構成されてよい。トルクシャフトは、トルクシャフトの長さに沿ってトルクシャフトの周りに螺旋状に巻かれ、カッタヘッドによってハウジング内に運ばれる物質を排出のためにカテーテル本体に沿って更に近位に運ぶように構成された、外ネジ山を含んでよい。従って、トルクシャフトは、処置中に生成される破片及び物質を手術部位から離れる方向に運ぶオーガ型システム又はアルキメデス型ネジとして更に機能することがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、体腔内、特に脈管構造内の障害物(obstructions)又は閉塞物質(occlusive material)の除去(removal)及び排除(clearing)を最大限にするように構成された切断アセンブリに向けられている。本発明の切断アセンブリの構成は、閉塞物質の除去についての改良された制御を可能にし、より粘着性のある物質の単位の収集を更に保証し、それにより、さもなければ処置中に外れることがあり且つ下流の血管の栓塞を引き起こすことがある物質の追加的な粒子を効果的に捕捉する能力を欠く、現在のアテローム切除デバイス(atherectomy devices)の欠点を克服する。
【0019】
概要として、本発明は、体腔内から閉塞物質を切断する逆回転可能な切断アセンブリ(contra-rotatable cutting assembly)を提供する。切断アセンブリは、遠位端と、反対側の近位端と、遠位端と近位端との間に延びる管腔とを有する、回転可能なハウジングを含む。ハウジングは、第1の方向において長手軸について回転するように構成される。切断アセンブリは、ハウジングと同軸に整列させられて、ハウジングの管腔の少なくとも部分内に位置付けられる、回転可能なカッタヘッドを更に含む。カッタヘッドは、第1の方向とは反対の第2の方向において長手軸について回転するように構成される。切断アセンブリは、ハウジング内に配置され、カッタヘッドの回転に応答して少なくともハウジングの回転を駆動するように構成される、逆回転ギアアセンブリを更に含む。幾つかの実施形態において、ギアアセンブリは、カッタヘッドに連結され且つ第2の方向において長手軸について回転するように構成される第1のクラウンギア(冠歯車)と、第1のクラウンギアと係合し且つ第1のクラウンギアの回転に応答して回転するように構成される少なくとも1つのスパーギア(平歯車)と、少なくとも1つのスパーギアと係合し且つハウジングに連結される第2のクラウンギア(冠歯車)とを含む。第2のクラウンギアは、少なくとも1つのスパーギアの回転に応答して第1の方向において長手軸について回転し、それにより、ハウジングに回転力を与えて、ハウジングをカッタヘッドの回転の第2の方向とは反対の第1の方向において長手軸について回転させるように構成される。
【0020】
カッタヘッドは、一般的に、閉塞物質と接触後に閉塞材料を切除し或いは他の方法で剪断するように構成された切断エッジ(cutting edge)又は切断面を含む。例えば、幾つかの実施形態において、カッタヘッドは、閉塞物質と接触後に閉塞材料を切除し(excise)或いは他の方法で剪断する(shear)ように構成された切断エッジを有する少なくとも1つの螺旋溝(helical flute)を含む。少なくとも1つの螺旋溝は、切除した物質を切断ヘッドの回転に応答してハウジングの近位端に向かう方向にカッタヘッドの長さに沿って運ぶように構成されてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングの遠位端は、閉塞物質と接触後に閉塞物質を切除し或いは剪断するように構成された切断面又は切断エッジを含んでよい。従って、ハウジングは、コアリングデバイス(coring device)として効果的に機能することがある。
【0021】
切断アセンブリは、様々な体腔内、特に脈管構造内の障害物又は閉塞物質を除去し或いは他の方法で除去するために使用されてよい。従って、切断アセンブリは、異なる大きさの体腔(例えば、小動脈、中動脈、大動脈)に適合するように、適切な大きさにされてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングは、1.5mm〜8mmの範囲内の外径を有する。幾つかの実施形態において、ハウジングは、2mm〜3mmの範囲内の外径を有する。更に、幾つかの実施形態において、ハウジングは、2.4mmの外径を有する。
【0022】
従って、本開示の切断アセンブリは、各々が共通の軸に沿って互いに対して反対方向に回転して逆回転を可能にすることができる、回転可能なカッタヘッド及び別個に回転可能なハウジングを提供することによって、現在のアテローム切除デバイスの欠点を克服することができる。本開示の逆回転可能な切断アセンブリは、閉塞材料を切断し且つ搬送する別個の手段を提供し、現在のデバイスの欠点に対処する。具体的には、カッタヘッドの反対方向におけるハウジングの回転は、回転カッタヘッドの幾つかの影響を低減し或いは完全に防止することがある。例えば、ハウジングの回転は、血流内のカッタ誘発渦を打ち消すことがある。加えて、逆回転は、捕捉される物質の量を更に増大させることがある。例えば、反対方向におけるハウジングの回転は、切除される組織粒子の径方向速度成分(例えば、切断中にカッタヘッドによって引き起こされる粒子の飛び散り(flinging))を減少させ、それにより、粒子損失のリスクを少なくさせ、塞栓捕捉性能を更に向上させることがある。幾つかの実施形態において、ハウジングは、ハウジングが遠位端と閉塞物質との接触後にコアリングカッタとして更に機能することにより、切断アセンブリの切断有効性を向上させるように、並びに、アテローム切除デバイスが詰まりを殆ど又は全く伴わずに一回の通過で長い全閉塞を除去する能力を更に向上させるように、遠位端に切断エッジを含んでよい。
【0023】
実施形態は、本開示と一致する逆回転可能な切断アセンブリ100を含むアテローム切除システム10(atherectomy system)
を提案する。本明細書中に記載するのは、例えば、アテローム切除術(atherectomy)を行うためのように、閉塞物質を除去するときに使用する、切断アセンブリの様々な実施形態である。具体的には、本明細書に記載する様々な要素は、それらの各々の全文を本明細書中に参照として援用する、米国特許出願第11/551,191号、第11/551,193号、第11/551,203号、第11/567,715号、第13/652,352号、第13/691,485号、第14/069,303号、及び第14/329,805号のうちのいずれかに記載されるアテローム切除デバイスのうちのいずれかに組み込まれてよい。従って、本明細書に記載する切断アセンブリが連結されてよいアテローム切除デバイス12は、一般的に、ハンドルと、ハンドルとカッタアセンブリとを接続する少なくとも1つのカテーテルとを含んでよい。アテローム切除デバイス12は、トルクシャフトを含んでよく、トルクシャフトは、カテーテルを通じて延びてよく、カテーテルに対してカッタを回転させるように構成されてよい。幾つか場合において、トルクシャフトは、本明細書でより詳細に記載するように、切断された閉塞物質をトルクシャフトに沿って移動させるように構成されたコンベヤ部材を含んでよい。
【0024】
アテローム切除デバイス12は、外部経皮アクセス部位から血管又は他の体腔内のガイドワイヤ16の上を前進させられるような大きさ及び構成にされた、細長いカテーテル本体14を含んでよい。
カテーテル本体は、ガイドワイヤ16の上で前進させられ
てよいが、幾つかの変形において、アテローム切除デバイス12は、ガイドワイヤなしに前進させられてよく、他の変形において、アテローム切除デバイス12は、アテローム切除デバイス12の遠位部分に取り付けられるガイドワイヤを含んでよいことが理解されなければならない。アテローム切除デバイス12は、ハンドル18も含んでよく、ハンドル18は、カテーテル14の近位端(即ち、ユーザに最も近い端)に連結されてよい。ハンドル18は、患者の体の外側にいるユーザによって保持され且つ操作されるような大きさ及び構成にされてよい。アテローム切除デバイス12は、カテーテル14の遠位端にカッタアセンブリ100を更に含んでよい。一般的に、カッタアセンブリ100は、閉塞物質を切断して捕捉し、それにより、血管から閉塞物質を除去するように作用してよく、それは血流に対して血管を開く。
【0025】
本開示と一致する逆回転可能な切断アセンブリ100
が提案される。
切断アセンブリ100は、回転可能なハウジング104内に少なくとも部分的に収容されてよい回転可能な切断ヘッド102を含む。切断アセンブリ100は、切断アセンブリ100の1つ又はそれよりも多くの部分(例えば、ハウジング104)をカテーテル14の遠位端に接合するように構成されたフェルール106(ferrule)を更に含む。
カッタヘッド102は、少なくとも2つの螺旋溝108を含み、それらの螺旋溝108の各々は、材料と接触後に材料を切除し(excise)或いは他の方法で剪断する(shear)ように構成された切断エッジ110を含む。螺旋溝108は、カッタヘッド102が回転するときに、切除される物質をカッタヘッド102の長さに沿ってハウジング104に向かう方向に運ぶような、形状及び/又は大きさにされてよい。カッタヘッド102は、ガイドワイヤ16を受け入れるように構成された管腔又は貫通孔112を更に含む。
【0026】
任意の想定される構成及び/又は設計において、カッタヘッド102は、任意の数の溝108及び/又は切断エッジ110を含んでよいことが留意されなければならない。例えば、螺旋切断溝108の切断エッジ110は、遠位端から見られるとき
に、時計回りの螺旋方向において湾曲
してよいが、他の変形において、切断溝108の切断エッジ110は、遠位端から見られるときに反時計回りの螺旋状の湾曲を有してよいことが理解されなければならない。同様に、
カッタヘッド102は2つの切断溝108を有
してよいが、他の変形において、カッタヘッド102は、任意の適切な数の切断溝(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの切断溝)を含んでよいことが理解されなければならない。
【0027】
更に、切断溝108の幾何学的形状は、すくい角、逃げ角、及び溝角を含む、角度(又は角度の範囲)の組み合せを参照して特徴付けられてよい。すくい角は、切断されるべき物質に対する切断エッジ310の角度を示してよく、他方、逃げ角は、(i)切断エッジ110の最も径方向に離れたエッジから引かれた接線と(ii)切断溝108の外面に沿って引かれた接線との間で測定される角度として定められてよい。一般的に、より小さな逃げ角は、切断中に組織表面とより接線方向の界面を形成することがあり、それは切断エッジが切断中に組織と絡まる或いは他の方法で組織を捕捉する可能性を減少させることがある。より大きな逃げ角は、より積極的な切断をもたらすことがある。
【0028】
ハウジング104は、一般的に、遠位端114と、(フェルール106に連結された)近位端116と、それらの間に延在する管腔とを含む。ハウジング104は、カッタヘッド102の最遠位端がハウジング104から遠位に突出してよいように、その最遠位端114で開口してよい。従って、カッタヘッド102の少なくとも部分が、ハウジング104内に取り囲まれる。より具体的には、カッタヘッド102は、カッタヘッド102及びハウジング104が共通の軸(長手軸A)を共有するように、ハウジングの管腔と同軸に整列させられて、ハウジングの管腔内に位置付けられる。本明細書により詳細に記載されるように、カッタヘッド102及びハウジング104は、対向方向(opposing directions)において長手軸Xについて回転し、それにより、処置中に物質を切断し且つ除去する改良された手段を提供する逆回転をもたらすように、構成される。
【0029】
ハウジング104内に位置付けられ且つ互いに対するカッタヘッド102及びハウジング104の逆回転をもたらすように構成された逆回転ギアアセンブリ118
があってよい。動作中、カッタヘッド102及びハウジング104は、それぞれ、反対方向において長手軸Xについて回転するように構成される。例えば、遠位端から見られると
き、カッタヘッド102は
、反時計回りの方向に回転するように構成されてよく、他方、ハウジング104は
、時計回りの方向に回転し、それにより、逆回転をもたらすように構成されてよい。何故ならば、カッタヘッド102及びハウジング104の両方は、共通の軸Xを共有するからである。
【0030】
ギアアセンブリ118は、一般的に、第1のクラウンギア120と、第2のクラウンギア122と、それらの間に位置付けられる1つ又はそれよりも多くのスパーギア124とを含んでよい。概ね理解されるように、第1及び第2のクラウンギア120,122は、ギアの円形体又はホイールの面に対して直角に突出する歯を有する歯車である。従って、第1のクラウンギア120及び第2のクラウンギア122は、ピッチ円錐角が90度である、一種のベベルギア(傘歯車)である。第1及び第2のクラウンギア120,122は、カッタヘッド102及びハウジング104と同軸に整列させられ(例えば、共通軸Xを共有し)、他方、各スパーギア124は、概ね、第1のクラウンギア及び第2のクラウンギアの歯と係合して、第1のクラウンギア120と第2のクラウンギア122との間で、周(perimeter)に沿って位置付けられる。第1のクラウンギア120は、カッタヘッド102(又はカッタヘッド102を駆動するトルクシャフト)に概ね連結される。従って、第1のクラウンギア120の回転は、カッタヘッド102の回転に対応する。よって、カッタヘッド102の移動後に、第1のクラウンギア120は
、同じ方向に回転するように構成される。第1のクラウンギア120と係合する各スパーギア124は、第1のクラウンギア120の回転に応答して回転するように構成される。スパーギア124は
、第1及び第二のクラウンギア120,122が位置する、共通軸Xに対して概ね垂直である軸について回転するように構成される。第2のクラウンギア122も、スパーギア124と係合する。従って、第2のクラウンギア122は
、第1のクラウンギア120の方向と反対の方向におけるスパーギア124の回転に応答して、軸Xについて回転するように構成される。よって、第1のクラウンギア120が時計回り方向に回転するならば、スパーギア124は、第2のクラウンギア122を反時計回りに回転させ、逆も同様である。第2のクラウンギア122は、ハウジング104に連結され、ハウジング104を対応する方向に回転させるよう、ハウジングに回転力を付与するように構成される。従って、逆回転ギアアセンブリ118は、互いに対するカッタヘッド102及びハウジング104の逆回転を引き起こすように構成される。
【0031】
カッタヘッド102は、カッタヘッド102に回転力を伝達するように構成されたアテローム切除デバイスの回転部材に連結され
てよい。前述したように、切断アセンブリ100は、別個のアドオン型製品(add-on type product)であってよく、
デバイス12のような単一のアテローム切除デバイス上で他の切断アセンブリと交換可能であるように構成されてよい。従って、切断アセンブリ100は、「ボルトオン」型アップグレード(“bolt-n” type upgrade)であってよく、既存のデバイスと互換性があってよい。例えば、切断アセンブリ100は、トルクシャフト128のような回転部材がハウジング104内に受け入れられて、切断ヘッド102に解放可能に連結されるように、カテーテル本体14の遠位端に単に配置されてよい。よって、切断ヘッド102は、閉塞材料の改良された除去のために、カッタヘッド102及びハウジング104を(逆回転ギアアセンブリ118を介して)互いに対して回転させるよう、そこから回転力を受けてよい。よって、アテローム切除デバイスの既存の設計は、変更される必要がない。何故ならば、本開示の切断アセンブリ100は、互換性があるからである。
【0032】
カテーテル14内に位置付けられてよいトルクシャフト128が、モー
タをカッタヘッド102に回転式に接続してよい。具体的には、モータは、トルクシャフト128を回転させてよく、次に、トルクシャフト128は、ハウジング104内のカッタ102を軸Xについて回転させてよい。前述のように、第1のクラウンギア120は、カッタヘッド102及びトルクシャフト128のうちの少なくとも一方に連結される。例えば、第1のクラウンギア120は、シャフト128の回転後、第1のクラウンギア120が対応する方向に回転するように、トルクシャフト128の部分128’に連結されてよい。第1のクラウンギア120は、任意の既知の手段によって(例えば、接着剤、溶接等によって)カッタヘッド102又はトルクシャフト128に物理的に連結されてよい。
スパーギア124は、第1及び第2のクラウンギア120,122の間に位置付けられ、ピン等のような締結具126を介して静止位置に概ね保持されながら、依然として回転を可能にしてよい。従って、第1のクラウンギア120の回転後、スパーギア124は回転し、それにより、第2のクラウンギア122を第1クラウンギア120に対して反対方向に回転させるように、構成されてよい。第2のクラウンギア122は、カッタヘッド102及びシャフト128の移動に応答してハウジング104を相応して回転させるように、ハウジング104の部分に物理的に連結される。従って、シャフト128の回転は、
体腔からの閉塞物質を除去する改良された手段のために、カッタヘッド102及びハウジング104の両方を反転パターンにおいて回転させる。フェルール106は、カテーテル100とハウジング104との間の相対的な回転を可能にするために、カッタアセンブリ100とカテーテル14とを接合してよいことが留意されなければならない。ハウジング104は、カッタと同じ速度で回転するように構成されてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングは、カッタヘッドと異なる速度で回転するように構成されてよい。
【0033】
前述のように、トルクシャフト128は、破片及び切除された物質をカッタヘッド102からハウジング104を通じてカテーテル14に運ぶ手段を含んでよい。例えば
、トルクシャフト128は、アルキメデスネジに概ね似た、シャフトの長さに沿ってシャフトの周りに螺旋状に巻回された外ネジ山130を含んでよい。外ネジ山140は、切断された閉塞物質をカテーテル14に沿って近位に運ぶのに有用なことがある。従って、カッタアセンブリ100が閉塞部室を切断して捕捉するとき(例えば、カッタヘッド102の螺旋溝108が捕捉された閉塞物質を外ネジ山まで運ぶとき)、外ネジ山140は、切断された閉塞材料をカテーテル14に沿って近位方向に運ぶのに有用であり得る。外ネジ山がカッタアセンブリ100から受け取って捕捉する閉塞材料をカッタアセンブリ100からカテーテル本体14に沿ってハンドル18内に更に(近位に)戻すために、外ネジ山はトルクシャフト128と共通して回転してよい。
【0034】
実施形態は、本開示と一致するアテローム切除システム10を用いた体腔200及び体腔からの閉塞材料202の切断及び除去
を提供する。切断アセンブリ100は、改良された血流を可能にするために通路をきれいにする(clear)ために、動脈のような体腔200内から閉塞物質202を切断して除去するように構成される。一般的に理解されるように、切断アセンブリ100は、様々な体腔内の、具体的には、脈管構造内の障害物又は閉塞物質を除去する或いは他の方法で除去するために使用されてよい。従って、切断アセンブリは、異なる大きさの体腔(例えば、小動脈、中動脈、大動脈)に適合するよう、適切な大きさにされてよい。幾つかの実施形態において、ハウジングは、1.5mm〜8mmの範囲内の外径を有する。幾つかの実施形態において、ハウジングは、2mm〜3mmの範囲内の外径を有する。更に、幾つかの実施形態において、ハウジングは、2.4mmの外径を有する。
【0035】
本開示の切断アセンブリは、各々が共通軸に沿って互いに対して反対方向に回転して逆回転を可能にすることができる、回転可能なカッタヘッド及び別個に回転可能なハウジングを提供することによって、現在のアテローム切除デバイスの欠点を克服することができる。本開示の逆回転可能な切断アセンブリは、閉塞物質を切断し且つ運ぶ別個の手段を提供し、現在のデバイスの欠点に対処する。具体的には、カッタヘッドの反対方向におけるハウジングの回転は、回転するカッタヘッドの幾つかの影響を低減させるか或いは完全に防止することがある。例えば、ハウジングの回転は、血流内のカッタ誘発渦を打ち消すことがある。加えて、逆回転は、捕捉される物質の量を更に増加させることがある。例えば、反対方向におけるハウジングの回転は、切除された組織粒子の径方向速度成分(例えば、切断中にカッタヘッドによって引き起こされる粒子の飛び散り)を減少させることあり、それにより、粒子損失のリスクを低減し、塞栓捕捉性能を更に向上させる。幾つかの実施形態では、ハウジングが遠位端と閉塞物質との間の接触後にコアリングカッタとして更に機能し、それにより、切断アセンブリの切断有効性を向上させることがあり、アテローム切除デバイスが詰まりを殆ど又は全く伴わずに一回の通過で長い全閉塞を除去する能力を更に増大させることがあるように、ハウジングは、遠位端に切断エッジを含んでよい。
【0036】
本開示の幾つかの実施形態を本明細書に記載
したが、当業者は、本明細書に記載した機能を遂行し且つ/或いは本明細書に記載した結果及び/又は利点の1つ又はそれよりも多くを得るための様々な他の手段及び/又は構造を直ちに想定し、そのような変形及び/又は修正の各々は、本開示の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載する全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることが意図され、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本開示の教示/複数の教示が使用される特定の用途又は複数の用途に依存することを直ちに理解するであろう。
【0037】
当業者は、日常的であるに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載した開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか或いは確認することができる。従って、前述の実施形態は、単なる一例として提示されていること、並びに、添付の請求項及びその均等物の範囲内で、本開示は具体的に記載され且つ請求される以外の方法で実施されてよいことが理解されるべきである。本開示は、本明細書に記載する各々の個々の構成、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に向けられている。加えて、2つ又はそれよりも多くのそのような構成、システム、物品、キット、及び/又は方法の組み合わせは、そのような構成、システム、物品、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しないならば、本開示の範囲内に含まれる。
【0038】
本明細書で定義され且つ使用されるとき、全ての定義は、辞書の定義、参照により援用される文献中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0039】
本明細書及び請求項において使用されるとき、不定冠詞「a」および「an」は、反対のことが明確に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されなければならない。
【0040】
本明細書及び請求項において使用されるとき、「及び/又は」という語句は、そのように結合される要素の「一方又は両方」、即ち、幾つかの場合には結合的に存在し且つ他の場合には分離的に存在する要素を意味するものと理解されなければならない。他のことが明確に示されていない限り、具体的に特定されるそれらの要素に関連しようが関連しまいが、「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意的に存在してよい。
【0041】
本明細書を通じた「1つの実施形態」又は「(ある)実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の構成、構造、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、この明細書を通じた様々な箇所における「1つの実施形態において/では」又は「(ある)実施形態において/では」という表現の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指していない。更に、特定の構成、構造、又は特徴は、1つ又はそれよりも多くの実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてよい。
【0042】
本明細書で利用される用語及び表現は、限定としてではなく、記述の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用においては、
記載される構成(又はその部分)のあらゆる均等物を排除する意図はなく、様々な変形が請求項の範囲内で可能であることが認識されている。従って、請求項は、全てのそのような均等物をカバーすることが意図されている。
【0043】
(参照による援用)
この開示を通じて、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツのような他の文書の参照及び引用が行われている。全てのそのような文献は、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に援用される。
【0044】
(均等物)
本明細書
に記載されたものに加えて、本発明の様々な修正及びそれらの多くの更なる実施形態は、本明細書で引用される科学文献及び特許文献への言及を含む、この文書の全内容から当業者に明らかになるであろう。本明細書における主題は、様々な実施形態及びそれらの均等物においてこの発明の実施に適合されることができる、重要な情報、例示、及び指針を含む。