特許第6876010号(P6876010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876010
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】収容部および流体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20210517BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G01N35/02 A
   G01N37/00 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-14838(P2018-14838)
(22)【出願日】2018年1月31日
(65)【公開番号】特開2019-132693(P2019-132693A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 茂
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−522996(JP,A)
【文献】 特表昭61−501873(JP,A)
【文献】 特表2004−508547(JP,A)
【文献】 特表2008−517632(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/108027(WO,A1)
【文献】 特開2017−042101(JP,A)
【文献】 特開2008−149221(JP,A)
【文献】 米国特許第5882903(US,A)
【文献】 米国特許第4889692(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0122576(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 35/10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転可能にケース内に収容された状態で、シリンジを用いて流体を操作されるための収容部であって、
略円筒状に形成された側壁と、
前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、
前記回転軸の軸方向における同一高さにおいて前記側壁に形成され、前記側壁の外側と前記複数のチャンバーのいずれかとを連通し、直線状に延在する複数の連通孔を含む、1組または2組以上の連通孔群と、
を有し、
1組の前記連通孔群に含まれる前記複数の連通孔の連通方向は、互いに平行であり、
前記複数の連通孔の外側開口部の法線方向から見た形状は、それぞれ実質的に同じである、
収容部。
【請求項2】
1組の前記連通孔群において、互いに隣接する2つの前記連通孔は、前記回転軸を基準として15°以上離れて配置されている、請求項1に記載の収容部。
【請求項3】
2組の前記連通孔群を有し、
前記2組の連通孔群に含まれる前記複数の連通孔は、前記軸方向において同一高さに形成されている、
請求項1または請求項2に記載の収容部。
【請求項4】
前記2組の連通孔群に含まれる前記複数の連通孔の連通方向は、互いに平行である、
請求項3に記載の収容部。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の収容部と、
前記収容部を収容するケースと、
を有し、
前記ケースは、
前記収容部を回転可能に保持するケース本体と、
前記ケース本体の側壁であって前記連通孔の外側開口部に対応する高さに形成され、前記連通孔の外側開口部までシリンジを挿入可能な挿入部と、
を含む、
流体取扱装置。
【請求項6】
前記連通孔の外側開口部の面積と、前記挿入部の内側開口部の面積との差は、5%以下である、請求項5に記載の流体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部および当該収容部を有する流体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、血液、タンパク質、DNAなどの生体物質は、試薬との混合や、加熱、冷却、検出などの工程を行うことで解析される。近年、このような複数の工程を連続して行うためのデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、インサート(収容部)と、インサートを回転可能に収容するカートリッジ本体(ケース)とを有するマルチチャンバ型回転バルブ(流体取扱装置)が記載されている。インサートは、内部に形成された複数のチャンバーを有している。インサートの側壁には、各チャンバーに対応して形成された複数の貫通孔がそれぞれ形成されている。カードリッジ本体の側壁には、貫通孔に対応する高さにシリンジを挿入可能な挿入口が形成されている。なお、各チャンバーには、解析に必要な試薬や検体などの液体が予め充填されている。
【0004】
特許文献1に記載のマルチチャンバ型回転バルブでは、例えば、シリンジを挿入口から第1チャンバーに対応した第1貫通孔に挿入して、第1チャンバーに充填されている検体をシリンジ内に吸引する。次いで、第2チャンバーに対応した第2貫通孔を挿入口に合わせるようにインサートを周方向に回転させ、第2チャンバーに充填されている試薬をシリンジ内に吸引する。これにより、シリンジ内で検体および試薬が混合される。また、検体および試薬の混合液を加熱する場合には、シリンジ内の混合液を加熱用の第3チャンバーに吐出して、マルチチャンバ型回転バルブを加熱装置などで加熱することで混合液を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2012−522996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のマルチチャンバ型回転バルブは、解析毎に交換する必要があるため、樹脂材料を用いた射出成形によって安価に製造されることが多い。複数の貫通孔を有するインサートを射出成形で製造する場合、製造工程を簡略化し、製造コストを低くするために、同一方向にスライド可能な同一形状(例えば円柱状)の複数の金型ピンを用いて複数の貫通孔を形成することがある。このように同一方向にスライド可能な複数の金型ピンを用いて複数の貫通孔を形成されたインサートでは、インサートの外周面の法線に沿って形成された中央の貫通孔の外側開口部は、所望の形状(例えば円形状)に形成される。一方、インサートの外周面の法線に対して斜めに形成されたその他の貫通孔の外側開口部は、周方向に広がった形状(例えば楕円形状)に形成される。
【0007】
開口部が適切に形成された中央の貫通孔については、シリンジの形状と外側開口部の形状が一致するため、液体がインサートに残留しにくい。一方、その他の貫通孔は、シリンジの形状と外側開口部の形状が一致しないため、シリンジと外側開口部の隙間に液体が残留しやすい。このようにして残留した液体は、インサートを回転させたときに、インサートとカートリッジとの間に移動して他の液体などと混ざってしまうおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、シリンジを用いて液体が操作されたときに連通孔に液体が残留しにくい収容部および当該収容部を有する流体取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の収容部は、回転軸を中心として回転可能にケース内に収容された状態で、シリンジを用いて流体を操作されるための収容部であって、略円筒状に形成された側壁と、前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、前記回転軸の軸方向における同一高さにおいて前記側壁に形成され、前記側壁の外側と前記複数のチャンバーのいずれかとを連通し、直線状に延在する複数の連通孔を含む、1組または2組以上の連通孔群と、を有し、1組の前記連通孔群に含まれる前記複数の連通孔の連通方向は、互いに平行であり、前記複数の連通孔の外側開口部の法線方向から見た形状は、それぞれ実質的に同じである。
【0010】
本発明の流体取扱装置は、本発明に係る収容部と、前記収容部を収容するケースと、を有し、前記ケースは、前記収容部を回転可能に保持するケース本体と、前記ケース本体の側壁であって前記連通孔の外側開口部に対応する高さに形成され、前記連通孔の外側開口部までシリンジを挿入可能な挿入部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収容部は、シリンジを用いて液体を操作されたときに連通孔に液体が残留しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1A〜Cは、流体取扱装置の構成を示す図である。
図2図2A、Bは、収容部の構成を示す図である。
図3図3A〜Cは、ケースの構成を示す図である。
図4図4A、Bは、本実施の形態に係る収容部の連通孔を説明するための図である。
図5図5A、Bは、液体の残留を説明するための図である。
図6図6A、Bは、比較例の収容部の連通孔を説明するための図である。
図7図7A、Bは、液体の残留を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態に係る収容部および当該収容部を有する流体取扱装置について、添付した図面を参照して説明する。
【0014】
(流体取扱装置の構成)
図1A〜Cは、流体取扱装置100の構成を示す図である。図1Aは、流体取扱装置100の側面図であり、図1Bは、図1Aに示されるA−A線の断面図であり、図1Cは、図1Bに示されるB−B線の断面図である。
【0015】
図1A〜Cに示されるように、流体取扱装置100は、収容部110と、ケース120とを有する。流体取扱装置100は、ケース120内に収容部110を収容した状態で使用される。流体取扱装置100は、例えば、ケース120に対して収容部110を間欠的に回転させつつ、シリンジを用いて試薬や検体などの液体や気体を操作して、検体中の被検出物質を解析するために使用される。
【0016】
収容部110と、ケース120とは、それぞれ別体として形成され、組み立てることで流体取扱装置100となる。収容部110およびケース120の製造方法は、特に限定されない。収容部110およびケース120は、製造コストの観点から、いずれも樹脂材料を用いた射出成形で製造されることが好ましい。収容部110およびケース120の材料は、解析に使用される耐試薬性を有し、かつ解析時の温度で変形しなければ特に限定されない。収容部110およびケース120の材料の例には、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリカーボネート(PC)が含まれる。
【0017】
図2A、Bは、収容部110の構成を示す図である。図2Aは、収容部110の側面図であり、図2Bは、図2Aに示されるA−A線の断面図である。
【0018】
収容部110は、ケース120に対して回転軸を中心として回転可能に収容される。収容部110は、底部が閉塞された略円筒形状である。回転軸に垂直な方向において、収容部110の外形の形状は、円形である。収容部110は、側壁111と、複数のチャンバー113と、1または2組以上の連通孔群115とを有する。収容部110は、側壁111によりその外形が規定されている。また、収容部110は、内壁112により複数のチャンバー113が区画されているとともに、内壁112により円柱形状の内部穴114が区画されている。
【0019】
チャンバー113は、検体や試薬などの液体や気体(以下、単に「流体」ともいう)を一時的に保管するとともに、流体などを反応させる反応槽としても機能する。チャンバー113の数は、特に限定されない。チャンバー113の数は、解析に必要な工程に応じて適宜設定できる。本実施の形態では、チャンバー113の数は、14個である。各チャンバー113の大きさも特に限定されない。各チャンバー113は、同じ大きさでもよいし、それぞれ異なる大きさでもよい。本実施の形態では、図2Bにおける紙面上側半分の複数のチャンバー113と、紙面上側半分の複数のチャンバー113のそれぞれに対応した紙面下側半分の複数のチャンバー113とのそれぞれは、同じ形状である。すなわち、本実施の形態では、複数のチャンバー113は、回転軸を含む断面を境界に対称となるように形成されている。
【0020】
側壁111には、複数の連通孔116を含む連通孔群115が1組または2組以上形成されている。本実施の形態では、側壁111には、2組の連通孔群115が形成されている。連通孔116の数は、チャンバー113の数と同じ14個である。また、1組の連通孔群115は、7個の連通孔116を有している。本実施の形態では、連通孔116の形状が主たる特徴であるため、その詳細は、後述する。
【0021】
図3A〜Cは、ケース120の構成を示す図である。図3Aは、ケース120の平面図であり、図3Bは、側面図であり、図3Cは、図3Bに示されるA−A線の断面図である。
【0022】
ケース120は、回転軸を中心として収容部110を回転可能に収容する。ケース120は、台座121と、ケース本体122と、挿入部123とを有する。
【0023】
台座121は、ケース本体122を設置するとともに、加熱冷却装置などの外部機器に対する設置部として機能する。台座121の上部には、ケース本体122が固定されている。台座121の中心部分には、台座121の表面と裏面にそれぞれ開口した孔126が形成されている。
【0024】
ケース本体122は、回転軸を中心として収容部110を回転可能に収容する。ケース本体122は、円筒状に形成されている。ケース本体122の内周面の大きさは、収容部110の外周面よりもわずかに大きい。ケース本体122の側壁111には、シリンジを挿入するための挿入部123が配置されている。
【0025】
挿入部123は、筒状に形成されている。挿入部123の内面の形状は、シリンジと略相補的な形状が好ましい。挿入部123は、シリンジの先端が挿入部123の内側開口部124まで挿入できるように構成されている。すなわち、挿入部123の内側開口部124の形状は、シリンジの先端と相補的な形状であり、挿入部123の外側開口部125の形状は、シリンジの外形と相補的な形状である。ケース本体122に対する挿入部123の内側開口部124の高さは、収容部110をケース120に収容したときの連通孔116と同じ高さである。
【0026】
なお、特に図示しないが、収容部110は、各チャンバー113の開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋を有していてもよい。
【0027】
ここで、収容部110に形成された連通孔群115について詳細に説明する。なお、比較のため、比較例の収容部110aおける連通孔群115aについても説明する。図4A、Bは、連通孔群115を説明するための収容部110の部分拡大断面図である。図4Aは、本実施の形態に係る収容部110の連通孔群115を連通孔116の軸方向から見た場合の連通孔116の形状を説明するための収容部110の部分拡大断面図であり、図4Bは、本実施の形態に係る収容部110の連通孔群115を収容部110の側壁111の外周面の法線方向から見た場合の連通孔116の形状を説明するための収容部110の部分拡大断面図である。図5A、Bは、液体の残留を説明するための図である。図5Aは流体取扱装置100を側方から見た場合の部分拡大断面図であり、図5Bは上側から見た場合の部分拡大断面図である。なお、図4A、Bでは、収容部110の内部構造および側壁111のハッチングを省略している。
【0028】
前述したように、本実施の形態に係る収容部110は、2組の連通孔群115を有する。2組の連通孔群115に含まれる複数の連通孔116の連通方向それぞれは、互いに平行である。すなわち、2組の連通孔群115は、回転軸を含む断面を境界として対称となるように形成されている。複数の連通孔116は、連通している側壁111の外側からチャンバー113に向かって直線状に延在する。また、連通孔群115における連通孔116の数は、チャンバー113の数と同じである。本実施の形態では、連通孔群115における連通孔116の数は、7個である。
【0029】
連通孔116の外側開口部117の形状は、特に限定されない。連通孔116の外側開口部117の形状は、使用するシリンジの先端の形状と相補的な形状が好ましい。連通孔116の外側開口部117の形状の例には、円、楕円、矩形が含まれる。本実施の形態では、連通孔116の外側開口部117の形状は、円である。
【0030】
図4Aに示されるように、連通孔116の軸方向に沿って見たときの複数の連通孔116の外側開口部117の形状は、それぞれ同じではない。より具体的には、連通孔116の軸と収容部110の側壁111の法線とが一致する中央の連通孔116の外側開口部117の形状は、円形である。しかし、中央の連通孔116から周方向にずれた連通孔116の外側開口部117の形状は、高さ方向に長い楕円形状である。また、これらの連通孔116は、中央の連通孔116から離れるにつれて、外側開口部117の幅(短軸の長さ)が短くなる。
【0031】
一方、図4Bに示されるように、収容部110の側壁111の外周面の法線方向における複数の連通孔116の外側開口部117の形状は、実質的に同じ形状である。ここで、「実質的に同じ」とは、完全一致のみを示す意味ではなく、製造誤差を含む意味である。
【0032】
本実施の形態に係る流体取扱装置100では、シリンジを用いて液体をチャンバー113に対して出し入れ(操作)する際に、連通孔116の外側開口部117に流体が残留しないように、側壁111の外周面の法線方向における連通孔116の外側開口部117の形状と、挿入部123の内側開口部124の形状とは、ほぼ同じ形状が好ましい。より具体的には、側壁111の外周面の法線方向における連通孔116の外側開口部117の面積と、挿入部123の内側開口部124(図3参照)の面積との差は、5%以下が好ましい。これにより、側壁111の外周面の法線方向における連通孔116の外側開口部117と、挿入部123の内側開口部124との間隙を極力少なくできる。
【0033】
1組の記連通孔群115において、互いに隣接する2つの連通孔116は、回転軸Oを基準として例えば、θ=15°以上離れて配置されている。
【0034】
このような連通孔群115(連通孔116)を射出成形によって形成するためには、各連通孔群115(連通孔116)の形状に対応した金型ピン群(金型ピン)が必要となる。本実施の形態では、連通孔群115を形成するための金型ピン群は、2組である。具体的には、収容部110の回転軸を含む断面を境界として半分の連通孔群115を形成する金型ピン群と、残りの半分の連通孔群115を形成する金型ピン群とが必要である。また、各金型ピンは、各連通孔116に対応した形状である。すなわち、本実施の形態では、金型ピン群の中央に位置する金型ピンの形状は、円柱形状である。一方、金型ピン群の側方に位置する金型ピンの形状は、中央の金型ピンから離れるにつれて、金型ピンの配列方向が短軸となり、金型ピンの配列方向に直交する方向が長軸となる楕円柱形状である。
【0035】
ここで、流体として液体を使用した場合において、液体が残留するか否かについて説明する。図5Aに示されるように、本実施の形態に係る流体取扱装置100では、流体取扱装置100を側方から見た場合、連通孔116の外側開口部117の高さと、挿入部123の内側開口部124の高さとが同じであるため、連通孔116の外側開口部117の上下方向においては液体が残留することはない。また、図5Bに示されるように、流体取扱装置100を上側から見た場合、連通孔116の外側開口部117の幅と、挿入部123の内側開口部124の幅とが同じであるため、連通孔116の外側開口部117の幅方向の両端部に液体が残留することがない。このため、収容部110を間欠的に回転させても、収容部110とケース120との間に液体が流れ込んでしまうことがない。そして、次の工程において、液体を操作しても、液体が混入することがない。
【0036】
図6A、Bは、比較例の連通孔群115aを説明するための収容部110aの部分拡大断面図である。図6Aは、比較例の収容部110aの連通孔群115aを連通孔116aの軸方向から見た場合の連通孔116aの形状を説明するための収容部110aの部分拡大断面図であり、図6Bは、比較例の収容部110aの連通孔群115aを収容部110aの側壁111aの外周面の法線方向から見た場合の連通孔116aの形状を説明するための収容部110aの部分拡大断面図である。図7A、Bは、液体の残留を説明するための図である。図7Aは流体取扱装置100aを側方から見た場合の部分拡大断面図であり、図7Bは上側から見た場合の部分拡大断面図である。なお、図6A、Bでは、内部構造を省略するとともに、側壁111aのハッチングを省略している。
【0037】
図6A、Bに示されるように、比較例の流体取扱装置100aでは、連通孔116aの軸方向に沿って見たときの連通孔116の外側開口部117aの形状は、いずれも円形である。また、収容部110aの回転軸に垂直な断面において、連通孔116aの軸と、収容部110aの側壁111aの法線とが一致する場合を除いて、法線方向における連通孔116aの外側開口部117aの形状は、幅方向に長い楕円形状である。
【0038】
同様に、流体として液体を使用した場合において、液体が残留するか否かについて説明する。図7Aに示されるように、比較例の流体取扱装置100aでは、流体取扱装置100aを側方から見た場合、連通孔116aの外側開口部117aの高さと、挿入部123aの内側開口部124aの高さが同じであるため、連通孔116aの外側開口部117aの上下方向においては液体が残留することはない。しかしながら、図7Bに示されるように、流体取扱装置100aを上側から見た場合、連通孔116aの外側開口部117aの幅は、挿入部123aの内側開口部124aの幅よりも長いため、連通孔116aの外側開口部117aの幅方向の両端部に液体Lが残留してしまう。このため、収容部110aを間欠的に回転させると、収容部110aとケース120aとの間に液体が流れ込んでしまう。そして、次の工程において、液体を操作するときに、残留した液体が新しい液体に混入してしまう。
【0039】
(効果)
以上のように、本発明では、収容部110の側壁111の外周面の法線方向において連通孔116の外側開口部117の形状がいずれも実質的に同じであるため、液体が収容部110に残留しにくい。よって、液体を正確に操作できるため、検出精度を高めることができる。また、本実施形態に係る流体取扱装置は、液体のみならず気体などの解析に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の収容部および流体取扱装置は、例えば、微量な生体試料などの解析に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
100、100a 流体取扱装置
110、110a 収容部
111 側壁
112 内壁
113 チャンバー
114 内部穴
115、115a 連通孔群
116、116a 連通孔
117、117a 連通孔の外側開口部
120、120a ケース
121 台座
122 ケース本体
123、123a 挿入部
124、124a 挿入部の内側開口部
125 挿入部の外側開口部
126 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7