(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面が開口された直方体形状の筐体本体部(50a)と、前記開口を開閉可能に前記筐体本体部に支持される蓋部(50b)と、前記筐体本体部及び前記蓋部の内面に貼られた電波吸収体(55)と、を備え、一面にアンテナ(110)を有し、ミリ波帯の無線信号による通信を行う被試験対象(100)と、平坦なアンテナ面を有し、前記アンテナと空間的に結合される結合用アンテナ(80)とを前記筐体本体部内に設置し、外部からの電磁波の侵入を遮断する電磁波シールドボックス(50)であって、
前記複数の結合用アンテナを、前記アンテナ面が環の中心側を向くよう水平面にある環に沿って配列して保持する結合用アンテナ保持部(70)と、
前記結合用アンテナ保持部を前記水平面と平行な前記筐体本体部の底面(51a)に固定する固定部(59)と、
前記結合用アンテナ上方で該結合用アンテナから離間した位置に、前記一面が前記結合用アンテナを向くように前記被試験対象を水平に保持する被試験対象保持部(63)と、を有し、
前記結合用アンテナ保持部は、前記各結合用アンテナがそれぞれの上方位置の同一の放射点に向けて電波を放射可能となるように前記水平面に対してそれぞれ同一の角度の傾斜を有し、かつ、前記結合用アンテナの前記環の周方向と直交する方向の中心軸を回転軸として、前記各結合用アンテナが所定の角度で回転した姿勢で前記各結合用アンテナを保持することを特徴とする電磁波シールドボックス。
前記結合用アンテナ保持部は、前記被試験対象の前記一面のアンテナ実装領域に対応する領域内に前記放射点が定まるように前記底面上の所定位置に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールドボックス。
前記台座部は、辺の数がn以上の正n角形の板状部材を、前記正n角形の1つの辺と、該辺に対向する対向辺の各々の中間点を結ぶ直線で左右対称に2つに分割したブロック部材で構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁波シールドボックス。
前記被試験対象保持部は、電波透過性を有する透明部材、若しくは、前記被試験対象を保持する保持面の一部に厚さ方向に貫通する開口窓が形成された不透明部材で構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電磁波シールドボックス。
前記結合用アンテナと前記被試験対象の試験信号を供給する給電線(74)とを金属製の接続具(73)を介して電気的に接続する接続部(77)を、前記結合用アンテナの下方で上側から覆う接続部カバー(75)をさらに有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電磁波シールドボックス。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る電磁波シールドボックス、及びこれを用いた無線端末測定装置の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0037】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る無線端末測定装置1は、1以上のアンテナ110を有するDUT100に試験信号を入力し、DUT100から出力される被測定信号に対して送受信特性などの測定(試験)を行うものである。例えば、無線端末測定装置1は、測定部41と、表示部48と、操作部49と、電磁波シールドボックス50と、を備えている。
【0038】
DUT100は、例えばスマートフォンなどの無線端末である。DUT100の通信規格としては、セルラ(LTE、LTE−A、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、1xEV−DO、TD−SCDMA等)、無線LAN(IEEE802.11b/g/a/n/ac/ad等)、Bluetooth(登録商標)、GNSS(GPS、Galileo、GLONASS、BeiDou等)、FM、及びディジタル放送(DVB−H、ISDB−T等)が挙げられる。また、DUT100は、IEEE802.11adや5Gセルラ等に対応したミリ波帯の無線信号を送受信する無線端末であってもよい。
【0039】
図1において、電磁波シールドボックス50は、ボックス内部(内部空間)に、アンテナ110を有するDUT100と、複数の結合用アンテナ80とを、内部空間に対する外部からの電磁波の侵入を遮断(シールド)した状態で収容し、DUT100のアンテナ110と、複数の結合用アンテナ80との空間的結合によるOTA試験環境を提供する。
【0040】
図1に示すように、測定部41は、信号送信部42と、信号受信部43と、解析処理部44と、切替部45と、記憶部46と、試験制御部47とを備えており、DUT100に対して送信電波の出力レベルや受信感度などに関する測定を行うようになっている。
【0041】
信号送信部42は、電磁波シールドボックス50内に収容されたDUT100に、結合用アンテナ80及びDUT100のアンテナ110を介して試験信号を出力するようになっている。
【0042】
信号受信部43は、試験信号が入力されたDUT100から出力される被測定信号を、DUT100のアンテナ110及び結合用アンテナ80を介して受信するようになっている。
【0043】
解析処理部44は、信号受信部43により受信された被測定信号に対して、DUT100の通信規格に対応した解析処理を行うようになっている。解析処理部44が行う解析処理の具体例としては、変調精度(EVM)、送信パワーレベル、送信スペクトラムマスク、エラーベクトル振幅、最小入力感度、最大入力レベル、隣接チャネル漏洩電力、スプリアス放射の測定などが挙げられる。
【0044】
なお、上記の試験信号は、本実施形態の無線端末測定装置1に対してDUT100を呼接続状態とするなどの、DUT100の通信規格に対応した各種制御を行うための制御信号を含むものとする。また、上記の被測定信号は、本実施形態の無線端末測定装置1から出力された試験信号に対するDUT100からの応答信号や、当該試験信号とは無関係にDUT100から出力される送信信号である。
【0045】
切替部45は、信号送信部42から出力される試験信号の出力周波数を通過させる広帯域の方向性結合器であり、例えばウィルキンソン型の分配器で構成される。切替部45は、
図1に示すように、電磁波シールドボックス50内に設けられているUSBボックス65(
図5参照)と同軸ケーブル45aで接続されるとともに、結合用アンテナ80に対する給電等を行う給電線74(
図7参照)に接続される。USBボックス65は、同軸ケーブル45aと電磁波シールドボックス50内に収容されたDUT100をUSB接続するものである。このように、切替部45は、信号送信部42から出力された試験信号を、給電線74を介して結合用アンテナ80に入力するとともに、試験信号をアンテナ110で受信したDUT100からの被測定信号を信号受信部43に入力することが可能となっている。
【0046】
試験制御部47は、例えばCPU、記憶部46を構成するROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、測定部41を構成する上記各部の動作を制御する。
【0047】
なお、信号送信部42、信号受信部43、及び解析処理部44は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することや、あらかじめ記憶部46に記憶された所定のプログラムが試験制御部47により実行されることによりソフトウェア的に構成することが可能である。あるいは、信号送信部42、信号受信部43、及び解析処理部44は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。なお、試験制御部47は、新たなプログラム、あるいはバージョンを変更したプログラムを外部から受けて、記憶部46への追加又は更新を行うこともできる。
【0048】
表示部48は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、試験制御部47からの制御信号に基づいて、測定結果の表示や、測定条件などを設定するためのソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0049】
操作部49は、ユーザによる操作入力を行うためのものであり、例えば表示部48の表示画面の表面に設けられたタッチパネルで構成される。あるいは、操作部49は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。また、操作部49は、リモートコマンドなどによる遠隔制御を行う外部制御装置で構成されてもよい。操作部49による入力操作は、試験制御部47により検知されるようになっている。ユーザは、操作部49を用いて、複数の通信規格の中からDUT100が対応している通信規格を選択できるようになっている。
【0050】
次に、電磁波シールドボックス50の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50の外観構造を示す図であって、
図2(a)は正面側から見た斜視図であり、
図2(b)は裏面側から見た斜視図である。
図2に示すように、電磁波シールドボックス50は、一面が開口する直方体形状を有し、内部空間(
図3、
図4参照)を有する筐体本体部50aと、筐体本体部50aにヒンジ部50cを介して支持され、開口を開閉可能な蓋部50bと、を有している。筐体本体部50aの外側面には、閉じられた蓋部50bを開かないように留める留め具50dが設けられている。筐体本体部50a及び蓋部50bは、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮やこれらの合金などの導電性の金属から成る。
【0051】
図3は、電磁波シールドボックス50の蓋部50bがない状態で上から見たときの構造を示し、
図4は、
図3において、DUT保持部63を取り外して電磁波シールドボックス50を上から見たときの構造を示す図である。また、
図5は、電磁波シールドボックス50の筐体本体部50aと蓋部50bにおけるシールド材56、57の実装態様を説明するための部分断面図である。
【0052】
図3ないし
図5に示すように、電磁波シールドボックス50は、内面、すなわち、筐体本体部50aの底面51a及び側壁面52a、ならびに蓋部50bの内側面52bに電波吸収体55が貼り付けられている。電波吸収体55は、蓋部50bが閉じられた状態で、DUT100のアンテナ110又は結合用アンテナ80で発生する電磁波を吸収し、外部に漏洩するのを防止するものである。
【0053】
また、電磁波シールドボックス50は、
図5に示すように、筐体本体部50aの開口端53aと蓋部50bの開口端53bには、それぞれ、シールド材56、57(57a、57b)が取り付けられている。具体的には、筐体本体部50aの開口端53aには、側壁面52aと対向して板材54aが設けられ、側壁面52aと板材54aとの間の溝部にシールド材56が開口端53aを取り巻くように取り付けられる。一方、蓋部50bの開口端53bには、蓋部50bの外周端にある折り曲げ部に対向する折り曲げ部を有する板材54bが設けられ、両折り曲げ部間の溝部にシールド材57a、57bが開口端53bを取り巻くように取り付けられる。シールド材56、57a、57bは、蓋部50bを開いた状態では
図5(a)に示すように外方に向いた状態になる一方、蓋部50bを閉じたときには、
図5(b)に示すように、筐体本体部50aの開口端53aが蓋部50bの開口端53bで覆われる位置で、両者の間にシールド材56、57a、57bが介挿され、外部からボックス内部への電磁波の侵入が遮断された状態となる。
【0054】
また、電磁波シールドボックス50は、
図4に示すように、筐体本体部50aの底面51aに、それぞれ複数のマウント部材60、及びDUT保持部設置部材61が設けられている。電磁波シールドボックス50はまた、マウント部材60が貫通し、筐体本体部50aの底面51aに対して水平に配置される下部仕切板62を有している。マウント部材60は、樹脂製の円柱形状部材から成り、筐体本体部50aの底面51aの設置禁止エリアを除くエリアに縦横所定の設置間隔で複数配置され、底面51aに対して鉛直方向に立設されている。筐体本体部50aの底面51aには、USBボックス65が設けられている。USBボックス65が設けられるエリアは、マウント部材60、及びDUT保持部設置部材61の設置禁止エリアとされている。
【0055】
マウント部材60は、結合用アンテナ保持モジュール70を、筐体本体部50aの底面51aの所望の位置に固定(マウント)するための固定部59としての機能を有する。マウント部材60は、底面51aに固定される一定長の長さを有する基部60aと、基部60aから他端まで延びる円柱部60bとにより構成される。基部60aは、円柱部60bよりも太い径を有し、円柱部60bとの境界位置に、該円柱部60bより大径の環状端面60cが形成されている。環状端面60cは、結合用アンテナ保持モジュール70を構成する台座部71(
図16参照)を受け止める台座部受止部として機能する。円柱部60bには、上方端部から長さ方向に一定長の深さのタップ穴が形成されている。タップ穴は、後述するつまみねじ85(
図16参照)のねじ山をねじ込み可能な形状に形成されている。
【0056】
DUT保持部設置部材61は、樹脂製の円柱状部材からなり、OTA試験時にDUT100を保持(載置)するDUT保持部63を保持するものである。DUT保持部設置部材61は、筐体本体部50aの内部空間の四隅のうちの上述した設置禁止エリアに相当する一隅を除く箇所と、設置禁止エリアに設けられるUSBボックス65との間に形成される二隅の箇所とに5本設けられている。DUT保持部設置部材61の上端部には、DUT保持部63を水平な状態、かつ水平方向の動きが規制された状態に保つようDUT保持部63を受け入れる切欠き部61aが形成されている。
【0057】
下部仕切板62は、筐体本体部50aの底面51aを覆うように配置され、DUT100のOTA試験時、DUT保持部設置部材61により保持されたDUT100のアンテナ実装領域に相当する面(アンテナ形成面)により反射された試験信号を減衰させる働きをする。
【0058】
図3に示すように、DUT保持部63は、結合用アンテナ保持モジュール70により保持される各結合用アンテナ80の上方で該各結合用アンテナ80から離間した位置に、DUT100のアンテナ110が形成される面(アンテナ形成面)が結合用アンテナ80を向くようにDUT100を水平状態に保持するものである。DUT保持部63は、平坦面を有するトレイ状の部材からなり、平坦面の複数個所に、載置されたDUT100の水平方向の動きを規制する複数の規制部材63aが位置変更可能に取り付けられている。規制部材63aは、例えば、下部にねじが形成されており、DUT保持部63の平坦面に所定ピッチで設けられるねじ孔63bにねじをねじ込ませることで固定可能となっている。DUT保持部63は、本発明における被試験対象保持部を構成する。
【0059】
DUT保持部63は、電波透過性を有する透明部材により構成されていてもよい。また、DUT保持部63は、DUT100を保持する保持面(平坦面)の一部に厚さ方向に貫通する開口窓が形成された不透明部材で構成されるものであってもよい。DUT保持部63は、本発明における試験対象保持部を構成する。
【0060】
また、電磁波シールドボックス50は、
図3及び
図4に示すように、筐体本体部50aの内部空間内に、下部仕切板62の上方位置でマウント部材60によって固定可能な結合用アンテナ保持モジュール70を有している。結合用アンテナ保持モジュール70は、本発明の結合用アンテナ保持部を構成する。
【0061】
図15は、
図4における結合用アンテナ保持モジュール70の構成を斜視図で示したものである。結合用アンテナ保持モジュール70は、複数の結合用アンテナ80を環の中心側を向くように環状に配置して保持するものである。結合用アンテナ保持モジュール70により保持される結合用アンテナ80としては、例えば、円偏波アンテナを用いることができる。
【0062】
ここではまず、円偏波アンテナ20の構成について
図6〜
図14を参照して説明する。
図4〜
図10は、円偏波アンテナ20の基本構造を示している。
【0063】
すなわち、
図6は、円偏波アンテナ20の構成を説明するために示す斜視図である。また、
図7(a),(b)は、円偏波アンテナ20の構成を説明するために示す正面図である。また、
図8は、円偏波アンテナ20の構成を説明するために示す背面図である。また、
図9(a)は、
図7(a)のA−A線拡大断面図である。また、
図9(b)は、
図7(a)の変形例におけるB−B線拡大断面図である。また、
図10は、
図7(a)のC−C線拡大断面図である。
【0064】
本実施形態における円偏波アンテナ20は、基本的には、
図6から
図10に示すように、誘電体基板21と、誘電体基板21の一面21a側に重合される地板導体22と、誘電体基板21の反対面21bに形成された円偏波型のアンテナ素子23と、を有している。
【0065】
さらに、地板導体22を挟んだ誘電体基板21の反対側には、アンテナ素子23に励振信号を給電するための給電部26が形成されている。給電部26は、給電用誘電体基板27と、給電用誘電体基板27の地板導体22と反対側の表面に形成され、地板導体22をアースとするマイクロストリップ線路の給電ライン28と、を有する。
【0066】
上記の誘電体基板21及び給電用誘電体基板27としては、準ミリ波帯で低損失のRO4003(Rogers社)などの材料を用いることができる。
【0067】
この誘電体基板21及び給電用誘電体基板27の材質としては、低損失で誘電率が2〜5程度の材料であれば使用可能であり、例えば、ガラスクロステフロン基板や各種熱硬化樹脂基板が候補となる。例えば、
図9(a)に示す構成では、誘電体基板21及び給電用誘電体基板27の誘電率をいずれも3.62とし、誘電体基板21の高さh1を1.1mm、給電用誘電体基板27の高さh2を0.3mmなどとすることができる。
【0068】
アンテナ素子23は、誘電体基板21の反対面21b側に、例えば、パターン印刷技術によって形成された右巻き矩形スパイラル(
図7(a)参照)又は左巻き矩形スパイラル(
図7(b)参照)の不平衡型のアンテナである。本実施形態においては、前者を右旋円偏波アンテナ、後者を左旋円偏波アンテナと称することもある。)
【0069】
また、円偏波アンテナ20は、アンテナ素子23のスパイラル中心側の側端部(給電点)に一端が接続され、誘電体基板21をその厚さ方向に貫通して地板導体22の穴22aを非導通に通過し、更に給電部26を構成する給電用誘電体基板27を貫通してその表面に他端側を突出させる給電ピン(feed pin)25を有している。
【0070】
なお、給電部26は、上記のマイクロストリップ線路の構成に限定されず、不平衡型の給電線、例えば、同軸ケーブルや、地板導体22をアースとするコプレーナ線路あるいはマイクロストリップ線路等により給電ピン25の他端側から給電される構成であればよい。
図7(a)に示した構成の円偏波アンテナ20は、給電ピン25から給電されることにより、アンテナ素子23から主偏波の回転方向が左回りの円偏波(left hand circular polarization:LHCP)の電波を放射することができる。一方、
図7(b)に示した構成の円偏波アンテナ20は、給電ピン25から給電されることにより、アンテナ素子23から主偏波の回転方向が右回りの円偏波(right hand circular polarization:RHCP)の電波を放射することができる。なお、
図8以降の図面では、特に断りのない限り主偏波がLHCPの構成のみを示す。
【0071】
ただし、これだけの構造のみによる円偏波アンテナでは、誘電体基板21の表面に沿った表面波が励振されるため、その表面波の影響によって円偏波アンテナとして所望の特性が得られない。
【0072】
そこで、本実施形態の円偏波アンテナ20では、誘電体基板21の表面に沿った表面波の励振を抑制するための構造として、上記構造に加えて、
図9(a)、
図10に示しているように、複数の金属ポスト30によって構成されるキャビティ構造を採用している。
【0073】
具体的には、例えば円柱状の複数の金属ポスト30は、それぞれの一端側が地板導体22に接続され、誘電体基板21をその厚さ方向に沿って貫通し、かつそれぞれの他端側が誘電体基板21の反対面21bまで延びて、アンテナ素子23を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する。
【0074】
さらに、本実施形態の円偏波アンテナ20は、上記キャビティ構造に加えて、誘電体基板21の反対面21b側に、複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って順次短絡し、かつ各金属ポスト30との接続位置からアンテナ素子23方向に所定距離延びて設けられる枠状導体32を備えている。
【0075】
そして、本実施形態の円偏波アンテナ20では、このキャビティ構造と、枠状導体32との相乗効果によって、表面波を抑圧することができるようにしている。つまり、本実施形態の円偏波アンテナ20は、上記のキャビティ構造と枠状導体32とを備えることにより、従来の一般的な平面アンテナと比較して、アンテナ側面からの電波の漏れを大幅に抑制することができる。
【0076】
なお、複数の金属ポスト30は、
図9(b)に示すように、誘電体基板21を貫通する複数の穴301を形成し、この複数の穴301の内壁にメッキ加工(スルーホールメッキ)することによって複数の中空状の金属ポスト30′として実現することもできる。
【0077】
この場合、スルーホールメッキによる複数の中空状の金属ポスト30′の下端部は、誘電体基板21の一面21a側にパターン印刷技術によって形成されるランド302を介して地板導体22に接続されるようになされている。
【0078】
上記のように構成された円偏波アンテナ20は、その反対面21bがDUT100のアンテナ110の放射面とDUT100の一面に対向し、アンテナ110と空間的に結合されるようになっている。
【0079】
以下、上記のキャビティ構造と枠状導体32とによる表面波抑圧の効果を説明するために、各部の構造パラメータと、当該構造パラメータを変えて得られた円偏波アンテナ20の特性についてのシミュレーション結果について説明する。
【0080】
まず、各部の構造パラメータとなり得る要素について説明する。
【0081】
この円偏波アンテナ20の使用周波数はK及びKaバンド帯の18〜40GHzであり、アンテナ素子23の方形スパイラルは、基本長をa0とし、該a0並びにその任意倍数の長さの線路を90度の角度ごとに配置して構成する。
【0082】
このような方形スパイラルの典型的な例を
図11(a)に示す。すなわち、この例では、素子幅Wを0.25mm、基本長a0を0.45mmとし、以下、90度の角度ごとに2a0、2a0、3a0、3a0、4a0、4a0の線路長とし、最終線路長を3a0とし、全体で9巻き(nine−turn spiral)の方形スパイラルとしている。
【0083】
また、
図11(b)に示す方形スパイラルは、
図11(a)における基本長a0よりも長くした基本長a0′とし、巻数を減らした場合である。
【0084】
この例では、素子幅Wを0.25mm、基本長a0′を0.7mmとし、以下、90度の角度ごとに2a0′、2a0′、3a0′、3a0′、4a0′の線路長とし、最終線路長を約1.5a0′とし、全体で8巻き(eight−turn spiral)の方形スパイラルとしている。
【0085】
この場合、最終線路長は、円偏波の軸比(axial ratio)や反射特性を最適化するように約1.5a0′に選んである。
【0086】
なお、以下の説明及び実施形態では、円偏波アンテナ20に採用すべきアンテナ素子23として方形スパイラルの例を示している。
【0087】
しかるに、
図12に示すように、円偏波アンテナ20に採用すべきアンテナ素子23としては、方形スパイラルに代えて、円形スパイラルのアンテナ素子23を用いることもできる。
【0088】
この
図12に示す円形スパイラルのアンテナ素子23は、例えば、基準点からの半径初期値SR=0.2mm、素子幅W=0.35mm、スパイラル間隔d=0.2mm、巻き数2.125の円形スパイラルによるアンテナ素子23の場合であり、このような円形スパイラルによるアンテナ素子23を円偏波アンテナ20に用いた場合でも、上述した方形スパイラルのアンテナ素子23を用いた場合とほぼ同等の結果が得られている。
【0089】
また、誘電体基板21の外形はアンテナ素子23のスパイラル中心を中心とする正方形で、
図7(a),(b)に示すように、その一辺の長さをL(以下、外形長と記す)とし、キャビティの外形もこれと同心の正方形としている。
【0090】
また、キャビティは、
図9(a),(b)に示すように、その内寸をLwとしている。さらに、枠状導体32には、キャビティ内壁から内側へ延びる所定幅(以下、リム幅と記す)LRを有するリムが設けられている。
【0091】
また、キャビティを形成する複数の金属ポスト30の直径は、それぞれ、0.3mmであり、各金属ポスト30の間隔は0.9mmである。
【0092】
図13は、複数の金属ポスト30によるキャビティ及び枠状導体32を設けない場合における垂直面(
図6、
図7でyz面)の放射特性についてのシミュレーション結果を示している。
【0093】
図13において、F1、F1′は、外形長L=18mmのときの主偏波(左回り円偏波:LHCP)と交差偏波(右回り円偏波:RHCP)の特性であり、F2、F2′は、外形長L=24mmのときの主偏波と交差偏波の特性である。
【0094】
ここで、円偏波アンテナとして要求される放射特性は、主偏波については0°方向を中心として対称でブロードな単峰特性であり、交差偏波(完全な円偏波であればゼロである)については、広い角度範囲において主偏波より十分低い放射強度となる必要がある。
【0095】
これに対し、
図13の主偏波の特性F1、F2は、共に非対称で利得に大きな暴れがあり、また、交差偏波についてみれば、−60°、−40°の近傍で主偏波と同等又はそれに近い放射レベルになっていることが分かる。
【0096】
このような放射特性の乱れは、前記した表面波の影響によって発生している。
【0097】
図14は、複数の金属ポスト30によって内寸Lw=9mmのキャビティを設け、更にリム幅LR=1.2mmの枠状導体32を設けたときの、外形長L=18mm及びL=24mmにした場合の主偏波の特性F3、F4と交差偏波の特性F3′、F4′についてのシミュレーション結果を示している。
【0098】
この
図14から明らかなように、主偏波の特性F3、F4は、0°方向を中心として対称でブロードな単峰特性となり、交差偏波の特性F3′、F4′についても、広い角度範囲において主偏波F3、F4より十分低い放射強度で緩慢な変化となっており、前記した円偏波アンテナとして要求される所望の特性が得られていることが分かる。
【0099】
また、各部の構造パラメータを変えて行った前記と同様の幾つかの各種の放射特性についてのシミュレーションの結果、枠状導体32が無い場合の放射特性は、誘電体基板21の外形長Lとキャビティ内寸Lwに対する依存性を示し、概略的な傾向を言えば、外形長Lが大きい(L=24,18mm)場合、キャビティ内寸Lwが3〜10mmまで大きくなるにつれて主偏波特性は3峰形から単峰形に近づくことが判明している。
【0100】
また、誘電体基板21の外形長Lが比較的小さい(L=12mm)場合、キャビティ内寸Lwが3〜10mmまで間で大きくなるにつれて主偏波特性は双峰形から単峰形に近づくことが判明している。
【0101】
しかし、いずれの場合でも、交差偏波の暴れが大きく使用角度範囲内いずれかにおいて主偏波成分との差が小さくなり、偏波選択性が低く、上記
図14のような所望の特性には至らないことが判明している。
【0102】
なお、リム幅LRの1.2mmは、誘電体基板21の表面に沿って伝播する表面波の波長のほぼ1/4に相当している。つまり、このリム幅LR=1.2mmの部分は、その先端側からポスト壁側を見たとき、表面波に対してインピーダンスが無限大となるλg/4(λgは管内波長)の長さの伝送路を形成する。
【0103】
したがって、誘電体基板21の表面に沿った電流が流れないことになり、この電流阻止作用によって表面波の励振が抑圧され、放射特性の暴れを防いでいることになる。
【0104】
よって、円偏波アンテナ20を上記した以外の他の周波数帯に適用する場合には、その周波数に応じてリム幅LRを変更設定すればよい。
【0105】
ところで、本実施形態の円偏波アンテナ20は、誘電体基板21に、複数の金属ポスト30によるキャビティと枠状導体32を設けることによって共振器を構成し、この共振器をアンテナ素子23で励振していると考えることができる。
【0106】
本実施形態の円偏波アンテナ20は、共振器を構成しているので、共振周波数が存在し、その共振周波数では円偏波アンテナ20の入力インピーダンスが非常に大きくなり、放射をしなくなる。
【0107】
この場合、共振器の共振周波数は、共振器と円偏波のアンテナ素子23との構造パラメータで決まる。
【0108】
この構造パラメータは、前述したように、キャビティの内寸Lw、リム幅LRのほか、アンテナ素子23の巻数、アンテナ素子23の基本長a0、アンテナ素子23の素子幅Wなどである。
【0109】
したがって、アンテナ利得の周波数特性は、前記共振周波数付近で急激に深い落ち込み(ノッチ)が生じることになる。この共振周波数は、上記の構造パラメータを調整することにより、所望の値に設定することが可能である。
【0110】
次に、上述した円偏波アンテナ20を結合用アンテナ80として用いる結合用アンテナ保持モジュール70の構成について、
図15〜
図24を参照して説明する。
【0111】
図15に示す結合用アンテナ保持モジュール70は、
図16に示す態様で分解可能な台座部71、アンテナ取付台72、接続部カバー75の組立体(モジュール)により構成される。台座部71、アンテナ取付台72、接続部カバー75は、例えば、樹脂製のものである。
図15、
図16に示すように、台座部71は、例えば、正八角形の1つの辺と、該辺に対向する対向辺の各々の中間点を結ぶ直線で左右対称に2つに分割した平面形状を有する板状部材からなる台座部本体71aで構成される。なお、結合用アンテナ保持モジュール70において、台座部71は、正八角形を2つに分割した平面形状に限らず、辺の数がn以上の正n角形の板状部材を、n多角形の1つの辺と、該辺に対向する対向辺の各々の中間点を結ぶ直線で左右対称に2つに分割したブロック部材で構成してもよい。
【0112】
台座部本体71aは、正八角形を二分割する上記直線に沿った側面71bを有し、2つを、互いに側面71bが当接するように向い合せにすることにより、1つの正八角形の平面形状とし得るようになっている。台座部本体71aは、平坦面で構成される上面に、台取付面71c1、71c2が隣接して形成されている。台取付面71c1、71c2には、それぞれ、台座部本体71aを厚さ方向に貫通するマウント挿通孔71d1、71d2が形成されている。マウント挿通孔71d1、71d2は、マウント部材60の設置間隔に対応する間隔で設けられ、マウント部材60を抜き差し可能に挿通できるようになっている。マウント挿通孔71d1、71d2は、本発明における挿通孔を構成する。ここでは台取付面71c1、71c2が同一の高さであり、共通の面にある例を挙げたが、台取付面71c1、71c2は異なる高さの面にあってもよい。
【0113】
台座部本体71aは、台取付面71c1、71c2の内側寄りの領域に、外側寄りも薄い厚さを有する段差面71eが形成されている。段差面71eには、台取付面71c1、71c2にそれぞれ対応する領域ごとにカバー取付孔71f1、71f2が設けられている。
【0114】
アンテナ取付台72は、取付台本体部72aの底面部72bが平面で形成されるとともに、該底面72が、台座部本体71aの1つの台取付面71c1(71c2)に対応する面積を有している。また、アンテナ取付台72は、底面部72bとは反対側の上面に、アンテナ取付面72c1、72c2が形成されている。アンテナ取付面72c1、72c2は、外周側から内部側に向けて下り傾斜する平面によって形成されている。また、アンテナ取付面72c1、72c2には、その四隅にビス穴72dが形成されている。ビス穴72dは、アンテナ取付面72c1、72c2に結合用アンテナ80を取り付けるための取付ビス72eをねじ込み可能に構成されている。
【0115】
アンテナ取付台72は、取付台本体部72aのアンテナ取付面72c1と72c2とで挟まれる位置に、厚さ方向に貫通するねじ挿通孔72fが形成されている。ねじ挿通孔72fは、つまみねじ85をそれぞれマウント挿通孔71d1、71d2を介して
図16の上下方向に抜き差し可能な径を有している。
【0116】
取付台本体部72aはまた、アンテナ取付面72c1と72c2の内方側位置に、給電線74に接続されたコネクタ73がアンテナ取付面72c1と72c2に臨んだ状態で配置されている。給電線74は、無線端末測定装置1と電気的に接続されるようになっている。他方、コネクタ73は、結合用アンテナ80として用いる円偏波アンテナ20の給電部26(
図9参照)に接続される嵌合用コネクタに嵌合する構造を有している。これにより、結合用アンテナ保持モジュール70において、嵌合用コネクタをコネクタ73に嵌合することで、無線端末測定装置1からの給電線74を介した結合用アンテナ80に対する給電が可能になる。
【0117】
接続部カバー75は、金属製のコネクタ73を介して結合用アンテナ80と給電線74とを電気的に接続する接続部77を、結合用アンテナ80の下方で上側から覆うものである。接続部カバー75は、カバー本体部75aと、裏蓋部75bと、取付ビス75c1、75c2とを有している。カバー本体部75aは、台座部71の段差面71eより大きな面積の半円形の板部材で構成され、裏蓋部75bは、段差面71eより小さな面積の半円形板部材で構成されている。接続部カバー75は、カバー本体部75aの裏面に裏蓋部75bを貼り付けた積層構造を有し、カバー本体部75a及び裏蓋部75bをその厚さ方向に貫通する取付用孔75d1、75d2が設けられている。
【0118】
図16に示すように、結合用アンテナ保持モジュール70は、2つのアンテナ取付面72c1、72c2を有するアンテナ取付台72と、2つの台取付面71c1、71c2を有する台座部71との組立体で構成される。アンテナ取付台72は、アンテナ取付面72c1、72c2の少なくとも一方に結合用アンテナ80を取り付け可能であり、台座部71は、台取付面71c1、71c2の少なくとも一方に結合用アンテナ取り付け後のアンテナ取付台72を取り付け可能である。
【0119】
図16に示す構成中、アンテナ取付台72は、一対の結合用アンテナ80をアンテナ取付面72c1、72c2にそれぞれ隣接させ、この状態で、各結合用アンテナ80の4隅に設けられたビス孔に通した取付ビス72eをビス穴72dにねじ込むように操作することにより、当該一対の結合用アンテナ80を取り付けることができる。一対の結合用アンテナ80が取り付けられたアンテナ取付台72の構成を
図17に示している。なお、アンテナ取付台72に取り付ける結合用アンテナ80としては、例えば、各アンテナ取付台72ごとに、右施円偏波アンテナと左施円偏波アンテナを2つ一組として取り付けることが望ましい。また、一組の右施円偏波アンテナ及び左施円偏波アンテナは、例えば、28G帯内の所定の帯域の性質の異なる信号(右施円偏波、左施円偏波)を放射するものである。本実施形態では、4組の右施円偏波アンテナ及び左施円偏波アンテナを用いることで、28G帯内の異なる4つの周波数帯域ごとにぞれぞれの性質の異なる信号を放射可能な構成とすることができる。
【0120】
一対の結合用アンテナ80が取り付けられたアンテナ取付台72は、つまみねじ85を用いて、例えば、
図18に示す態様で、台座部71の例えば台取付面71c2に隣接する台取付面71c1上に配置することができる。また、一対の結合用アンテナ80が取り付けられたアンテナ取付台72は、
図18に示す態様での取付時と同様の手順により、
図19に示すように、2つ一組として、台座部71の台取付面71c1、71c2上に隣接して配置することができる。
【0121】
また、結合用アンテナ保持モジュール70は、
図19に示す態様で4つの結合用アンテナ80が取り付けられた状態で、台座部71に対して
図20に示すような態様で接続部カバー75を取り付けることができる。接続部カバー75は、
図18に示す態様で2つの結合用アンテナ80が取り付けられた状態でも取り付け可能である。接続部カバー75の取り付けに際しては、取付用孔75d1、75d2と台座部71のカバー取付孔71f1、71f2とをそれぞれ位置合わせしたうえで、取付ビス75c1、75c2を取付用孔75d1、75d2を通過させ、台座部71のカバー取付孔71f1、71f2にねじ込むようにすればよい。
【0122】
ここで、電磁波シールドボックス50の底面51aに対する台座部71の配置手順について説明する。
図16に示される台座部71は、
図4に示される電磁波シールドボックス50の底面51aに設けられマウント部材60とつまみねじ85を用いて当該底面51a上に配置することができる。この場合、台座部71を所望の位置に配置するには、所望の配置位置まで台座部71を持っていき、マウント挿通孔71d1、71d2を、該マウント挿通孔71d1、71d2間と同一の離間距離を有する2つのマウント部材60にそれぞれ挿通させる。そのうえで、台座部71を、マウント部材60に形成された環状端面60cに係合して下方への移動が止まるまで降下させればよい。
【0123】
図21を参照して、電磁波シールドボックス50における結合用アンテナ保持モジュール70の分割配置態様について説明する。
図21(a)は、台座部71及びアンテナ取付台72の縦置きの配置例を示し、
図21(b)は台座部71及びアンテナ取付台72の縦置きの配置例を示している。このように、1つの台座部71は、マウント挿通孔71d1、71d2を、それぞれ、一つ置きの各マウント部材60に挿通させることで、当該2つのマウント部材60で規定される位置に縦横所望の向きで配置することができる。
【0124】
次に、
図21に示す分割配置態様で配置された台座部71に対して結合用アンテナ80を取付済みのアンテナ取付台72を取り付ける手順について
図16を参照して説明する。この場合にはまず、アンテナ取付台72を台座部71の上方位置までもっていき、ねじ挿通孔72fと下方の台座部71のマウント挿通孔例えば71d1とが合致するように台座部71に対して位置合わせを行う。次いで、台座部71を、その底面がマウント部材60に形成された環状端面60cに係合して下方への移動が止まるまで降下させる。そのうえで、つまみねじ85をねじ挿通孔72f及びマウント挿通孔71d1に挿通させる。この状態で、つまみねじ85の先端部に形成されたねじが台座部71のマウント挿通孔71d1、71d2に挿通されている各マウント部材60のタップ穴にねじ込むように回転操作する。つまみねじ85は、それ以上回転し難くなるまで回転操作された状態で、台座部71とアンテナ取付台72とを積層方向に締め付け、これにより、台座部71に対するアンテナ取付台72に取り付けが可能となる。
【0125】
本実施形態に係る結合用アンテナ保持モジュール70は、台座部71を1つずつ別の位置に配置する(
図21参照)のみならず、2つの台座部71を向かい合わせて正八角形の平面形状となるよう配置することもできる(
図4、
図15参照)。これにより、本実施形態では、電磁波シールドボックス50を用いたDUT100の試験に際し、例えば、
図26(a)及び
図26(b)に示す結合用アンテナ保持モジュール70の配置態様のいずれかを選択することも可能である。
【0126】
次に、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50における結合用アンテナ保持モジュール70に対する結合用アンテナ80の配置態様について
図22を参照して説明する。
図22(a)は結合用アンテナ保持モジュール70を上から見たときの配置態様を示し、
図22(b)は
図22(a)のD−D線による断面側面から見た配置態様を示している。
図22においては、結合用アンテナ80の配置態様を理解し易くするために、所定の半径rと深さhを有し、かつ、下がり傾斜θで窪む円錐CNを規定している。本実施形態に係る結合用アンテナ保持モジュール70において、2つの台座部71を用いて最大8つまで搭載可能な結合用アンテナ80は、円錐CNの最上面を規定する円の周方向に、該円を8等分した45度ずつの角度で配置されている。各結合用アンテナ80は、四角形のアンテナ面の四辺のうちの一辺が上記円に内接するよう環状に配置されている。また、各結合用アンテナ80は、平坦なアンテナ面が円錐CNの下がり傾斜θと同じ下がり傾斜で円錐CNの内面側に取り付けられている。
【0127】
図22は、特に、8つ環状に配置した場合における結合用アンテナ80の取り付け態様を示しているが、この場合における隣接する結合用アンテナ80の位置関係、及び下がり傾斜θは、アンテナ取付台72に2つ一組で取り付けられる場合でも維持される。
【0128】
アンテナ取付台72に対する結合用アンテナ80の具体的な取り付け態様について、
図23、
図24を参照してさらに詳しく説明する。
図23は、1つの台座部71に2つのアンテナ取付台72を載置して結合用アンテナ保持モジュール70として組み立てたうえで、各アンテナ取付台72にそれぞれ一対、合計4つの結合用アンテナ80を取り付けたときの上側から見た構造を示している。
図23に示すように、4つの結合用アンテナ80は、水平面上で互いに45度ずつ離れた位置ごとに環状に配置されている。つまり、台座部71は、2つの台取付面71c1、71c2に対して、2つのアンテナ取付台72をそれぞれ90度の角度ごとに取り付け可能となっている。
【0129】
図24において、(a)は
図23における結合用アンテナ保持モジュール70のA−A線拡大断面図であり、(b)は
図23における矢視B方向に見た結合用アンテナ保持モジュール70の要部側面図である。
図24(a)に示すように、結合用アンテナ保持モジュール70に環状に配置された各結合用アンテナ80は、それぞれの上方位置の同一の放射点に向けて電波を放射可能となるように、水平面にそれぞれ同一の角度で傾斜されている。
図24(a)の例においては、32度の角度で傾斜している。また、結合用アンテナ保持モジュール70において、各結合用アンテナ80は、これらの環状配置を実現する環の周方向と直交する方向の自アンテナの中心軸C1周りにそれぞれ所定の角度で回転した姿勢で保持されている。
図24(a)の例においては、上記中心軸C1回りに5度回転した姿勢で保持されている。水平面に対する32度の傾斜、中心線回りの5度回転という配置態様は、
図23における他の結合用アンテナ80においても同様である。また、2個の結合用アンテナ保持モジュール70、及び4つのアンテナ取付台72を用いて8つの結合用アンテナ80を環状に取り付ける場合(
図4、
図15参照)における各結合用アンテナ80の取り付け態様も
図23、
図24に示す場合と同様である。
【0130】
次に、本実施形態に係る無線端末測定装置1を用いる無線端末測定方法について、
図25のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
図25に示す測定処理においては、まず、電磁波シールドボックス50内に結合用アンテナ保持モジュール50、及び被試験対象であるDUT100をセットする(ステップS1)。
【0131】
この場合の手順としては、初めに、所望のシステム構成を決定し、必要数の台座部71、アンテナ取付台72及び結合用アンテナ80を用意する。次に、台座部71をマウント部材60を用いて筐体本体部50aの底面51aの所望の位置に取り付け、その上に、アンテナ取付台72を取り付ける。引き続き、アンテナ取付台72に結合用アンテナ80を取り付ける。アンテナ取付台72は、結合用アンテナ80を取り付けてから台座部71に取り付けてもよい。さらに、アンテナ取付台72に取り付けた結合用アンテナ80をコネクタ73により給電線74に接続する。給電線74は、筐体本体部50aの一側面に設けた配線用貫通孔50e(
図2(a)参照)を通って無線端末測定装置1の切替部45に接続されている。
【0132】
結合用アンテナ80の給電線74に対する接続完了後、台座部71に接続部カバー75を取り付ける。次いで、DUT保持部設置部材61にDUT保持部63を取り付け、該DUT保持部63の上面にDUT100をアンテナ形成面が取り付け済みの結合用アンテナ80側と対向するように載置する。DUT保持部63においては、規制部材63aの取り付け位置を適宜変更することで、DUT100の水平方向の位置を調整することができる。これにより、ユーザは、アンテナ形成面の領域内に結合用アンテナ保持モジュール70に保持された各結合用アンテナ80の放射点が定まるようにDUT100の位置調整を行う。
【0133】
さらに、DUT100をUSBボックス65から延びるUSBケーブルとUSB接続し、そのうえで、筐体本体部50aに対して蓋部50bを閉じ、蓋部50bを留め具50dで止める。これにより、電磁波シールドボックス50では、DUT100と、結合用アンテナ保持モジュール70により保持された複数の結合用アンテナ80とが、筐体本体部50aの内部空間に対する外部からの電磁波の侵入を遮断可能に封入され、DUT100の試験準備が整う。
【0134】
試験準備が整った後、ユーザによる所定の試験開始操作に応じて、測定部41の信号送信部42は、結合用アンテナ80(円偏波アンテナ20)及びDUT100のアンテナ110を介してDUT100に試験信号を出力する(信号送信ステップS2)。
【0135】
次に、測定部41の信号受信部43は、試験信号が入力されたDUT100から出力された被測定信号を、DUT100のアンテナ110及び結合用アンテナ80を介して受信する(信号受信ステップS3)。
【0136】
次に、測定部41の解析処理部44は、信号受信ステップS3で受信された被測定信号に対して、DUT100の通信規格に対応した解析処理を行う(解析処理ステップS4)。
【0137】
図25に示す一連の処理中、ステップS1においては、結合用アンテナ保持モジュール70の配置態様として、DUT100のアンテナ110が形成されるアンテナ形成面の位置などに応じて、例えば、
図26(a)、若しくは
図26(b)に示す配置態様を選択することができる。
図26(a)は、それぞれが正八角形を2つの分割した平面形状を有する2つの台座部71を正八角形に組み合わせて一箇所に配置した例を示し、
図27(b)は、上記2つの台座部71を別々の箇所に配置した例を示している。
【0138】
図26(a)に示す結合用アンテナ保持モジュール70Aの配置形態は、一箇所のアンテナ形成面120aを有するDUT100の試験に適合するものである。
図26(a)において、結合用アンテナ保持モジュール70は、
図4、
図15に示す形態を有するものであり、2つの台座部71を用いて8つの結合用アンテナ80を保持している。この結合用アンテナ保持モジュール70は、8つの結合用アンテナ80がDUT100のアンテナ形成面120aを照射可能となる底面51a上の位置に配置されている。
【0139】
図26(b)に示す結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cの配置形態は、離間した2箇所のアンテナ形成面120b、120を有するDUT100の試験に適合するものである。
図26(b)において、それぞれの結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cは、共に
図19、
図20に示す形態のものであり、台座部71上に4つの結合用アンテナ80を保持している。
【0140】
結合用アンテナ保持モジュール70Bは、4つの結合用アンテナ80がDUT100のアンテナ形成面120bを照射可能な底面51a上の位置に配置されている。また、結合用アンテナ保持モジュール70Cは、4つの結合用アンテナ80がDUT100のアンテナ形成面120cを照射可能な底面51a上の位置に配置されている。
【0141】
本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、
図26に示す結合用アンテナ保持モジュール70A、70B、70Cのいずれを配置した場合にも、これらによって保持される各結合用アンテナ80から出射した無線信号及びその反射波に起因する定在波の発生を抑制する効果が見込める(
図27参照)。
【0142】
次に、本実施形態に係る無線端末測定装置1の電磁波シールドボックス50における試験信号の伝搬特性について
図27を参照して説明する。
【0143】
図27は、
図26(a)に示す配置態様で結合用アンテナ保持モジュール70Aを収容した電磁波シールドボックス50内でのDUT100の試験信号の伝搬経路を模式的に示している。
図27において、電磁波シールドボックス50の構造は、
図26(a)におけるE−E線による断面の構造を模したものである。但し、
図27においては、便宜的に、結合用アンテナ保持モジュール70Aの配置位置を、筐体本体部50aの底面51aの中央付近としている。
【0144】
図27において、結合用アンテナ保持モジュール70Aは、8つの結合用アンテナ80が、それぞれの上方位置の同一の放射点に向けて電波を放射可能に水平面にそれぞれ32度の角度で傾斜され、かつ、各結合用アンテナ80の中心軸C1周りに5度回転した姿勢で保持されている(
図24参照)。各結合用アンテナ80は、矩形形状のアンテナ面の中心位置から、該中心位置の垂線に対して左右30度ずつに相当する60度の放射角を有している。そして、正対する結合用アンテナ80A、80Bのそれぞれの中心位置間に当たる領域が測定エリアとされている。
【0145】
各結合用アンテナ80は、上記測定アリア内の一点を放射点(各結合用アンテナ80のアンテナ面中心位置での垂線が交わる点)として放射可能に取り付けられている。各結合用アンテナ80は、アンテナ面の中心から該アンテナ面に垂直な方向に所定の高さ位置が放射点となるように結合用アンテナ保持モジュール70Aにより保持されている。例えば、結合用アンテナ保持モジュール70Aは、上述した32度の傾斜を有する構成とした場合において、アンテナ面の中心から該アンテナ面に垂直な方向に例えば10センチメートル(cm)の高さ位置に放射点が設定されている。このとき、電磁波シールドボックス50内において、DUT保持部63は、DUT100のアンテナ形成面120aが放射点の高さ位置になるようにDUT100を保持している。また、結合用アンテナ保持モジュール70Aは、DUT100のアンテナ形成面におけるアンテナ110の実装領域に対応する領域内に放射点が定まるように、筐体本体部50aの底面51a上の所定位置に固定されている。
【0146】
上記配置条件に従って配置された結合用アンテナ保持モジュール70Aは、
図25のステップS2における試験信号の出力制御により、各結合用アンテナ80から試験信号が出力される。各結合用アンテナ80から出力された試験信号は、DUT100の測定エリア内の一点(放射点)に向けて放射され、DUT100のアンテナ形成面で反射されてその反射方向に向けてさらに放射される。
【0147】
ここで、正対する関係にない各結合用アンテナ80から放射されてDUT100のアンテナ形成面で反射された試験信号は互いに他の結合用アンテナ80の放射(入射経路)をたどることがなく、相互に干渉し合うことはない。
【0148】
一方、正対する結合用アンテナ80A、80Bについては、
図27に示す側面断面による観察に限り、一方の結合用アンテナ80A(80B)から放射された試験信号は、他方の結合用アンテナ80B(80A)の放射経路に沿って反射されるように見える。
【0149】
結合用アンテナ保持モジュール70Aの構造に着目すると、各結合用アンテナ80は、
図24(b)に示すように、自アンテナの中心線C1回りにそれぞれ5度回転した状態に取り付けられている。
【0150】
この構成により、
図27において、正対する各結合用アンテナ80A、80Bから出力された試験信号は、DUT100のアンテナ形成面で各結合用アンテナ80A、80Bの回転角によって決まる方向へと反射され、互いに他の結合用アンテナ80B、80Aの入射経路からずれた経路で放射される。具体的に、
図27の例においては、正対する結合用アンテナ80A、80Bのうち、結合用アンテナ80Aから出射された試験信号は、放射箇所である一点から紙面の裏面側で紙面から徐々に離れる方向に反射されるのに対して、結合用アンテナ80Bから出射された試験信号は、上記一点から紙面の表面側で紙面から徐々に離れる方向に反射される。
【0151】
このように、本実施形態では、結合用アンテナ保持モジュール70Aに保持されている向かい合った結合用アンテナ80はそれぞれ逆方向に5度傾いているため、これらの結合用アンテナ80間で、DUT100やDUT保持部を介した、反射による定在波は存在しない。よって、定在波による試験精度の低下を抑制することが可能となる。
【0152】
図27においては、
図26(a)に示す配置態様を有する結合用アンテナ保持モジュール70Aを用いた場合の電磁波シールドボックス50内でのOTA試験における伝搬経路について述べたが、本実施形態は、
図26(b)に示す配置態様を有する結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cを用いた場合のOTA試験においても、各結合用アンテナ80から出射した試験信号に起因する定在波の抑制効果が見込める。
【0153】
図26(b)に示す配置態様の場合、結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cのいずれにも、正対する結合用アンテナ80は存在しない。この場合、結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cのそれぞれの両端部近傍の結合用アンテナ80同士は、正対に近い配置状態に置かれる。これら各結合用アンテナ80も、
図22〜
図24に示すように、中心軸C1周りに5度回転して取り付けられている。したがって、
図26(b)に示す結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cを有する電磁波シールドボックス50を用いたOTA試験においても、正対する位置に近い各結合用アンテナ80の間で、正対する結合用アンテナ80と同様(
図27参照)、それぞれから出射された試験信号の反射電波同士の干渉の発生を防止する作用を得ることができる。
【0154】
なお、
図26(a)及び
図26(b)のいずれの配置態様においても、DUT100のアンテナ形成面120a、120b、120cごとに複数の結合用アンテナ80からの放射が集中しているため、Mobility試験、及び複数のLTE搬送波を同時に用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)試験が実施できるようになる。また、
図26(a)及び
図26(b)に示す結合用アンテナ保持モジュール70A、70B、70Cは、結合用アンテナ80としてそれぞれ右旋円偏波アンテナ、左旋円偏波アンテナを対で使用する構成とすることで、偏波MIMO(Multiple Input Multiple Output)試験を行うことが可能となる。また、
図26(b)に示す配置態様の結合用アンテナ保持モジュール70B、70Cを実装した電磁波シールドボックス50においては、結合用アンテナモ保持ジュール70B、70の分散配置により、複数個所にアンテナ110を有するDUT100のOTA試験を行うことができる。
【0155】
以上説明したように、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、結合用アンテナ保持の結合用アンテナモ保持ジュール70は、複数の結合用アンテナ80をアンテナ面が環の中心側を向くよう環状に配列して保持するようになっている。特に、結合用アンテナ保持の結合用アンテナモ保持ジュール70は、各結合用アンテナ80がそれぞれの上方位置の同一の放射点に向けて電波を放射可能に水平面にそれぞれ同一の角度で傾斜され、かつ、結合用アンテナ80の中心軸周りに所定の角度で回転した姿勢で当該各結合用アンテナ80を保持している。
【0156】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、正対する位置関係の結合用アンテナ80が配置されている場合でも、互いの同一の放射点の放射を可能としつつも、DUT100からの反射波を両結合用アンテナ80の回転角に応じた互いに干渉し合うことがない方向に反射させることで定在波の発生を抑制できる。このため、定在波に起因する性能試験の精度低下も抑制可能となる。また、DUT100をDUT保持部63に固定するだけで容易にOTA試験を行うことができる。また、複数の結合用アンテナ80からの放射が放射点に集中しているため、Mobility試験、及び複数のLTE搬送波を同時に用いて通信を行うキャリアアグリゲーション試験が実施できる。
【0157】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50においては、結合用アンテナ保持モジュール70は、アンテナ面の中心から該アンテナ面に垂直な方向に所定の高さ位置が放射点となるように各結合用アンテナ80を保持し、DUT保持部63は、アンテナ形成面が放射点に相当する高さ位置となるようにDUT100を保持している。
【0158】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、各結合用アンテナ80の傾斜角度と、予め規定した各結合用アンテナ80の中心から放射点までの高さとに基づいて各結合用アンテナ80の放射点を容易に認識でき、放射点とDUT100のアンテナ形成面の場所を意識した被試験対象のセット作業が容易になる。
【0159】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、結合用アンテナ保持モジュール70は、DUT100の一面のアンテナ実装領域に対応する領域内に放射点が定まるように底面51a上の所定位置に固定されている。
【0160】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、各結合用アンテナ80からDUT100のアンテナ実装領域に対応する領域内に放射点を定めて確実に試験信号を放射することができる。
【0161】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、結合用アンテナ保持モジュール70が、2つのアンテナ取付面72c1、72c2を有するアンテナ取付台72と、2つの台取付面71c1、71c2を有する台座部71との組立体で構成される。アンテナ取付台72は、2つのアンテナ取付面72c1、72c2の少なくとも一方に結合用アンテナ80を取り付け可能であり、台座部71は、2つの台取付面71c1、71c2の少なくとも一方に結合用アンテナ取り付け後のアンテナ取付台72を取り付け可能である。
【0162】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、台座部71の上に取り付けるアンテナ取付台72を1つ又は2つにしたり、2つの台座部71を別々の箇所に取り付けることが可能であり、ユーザが望む構成を選択してDUT100の無駄のない性能試験を実施できる。また、台座部71の分割配置により、複数の結合用アンテナ80を有するDUT100の性能試験を実施できる。
【0163】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、アンテナ取付台72が、2つのアンテナ取付面72c1、72c2が、2つの結合用アンテナ80を環の周方向にそれぞれ45度の角度ごとに取り付け可能に形成され、台座部71は、2つの台取付面71c1、71c2が、2つのアンテナ取付台72を環の周方向にそれぞれ90度の角度ごとに取り付け可能に形成される構成である。
【0164】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、1つの台座部71の上に最大4つの結合用アンテナ80を取り付けることができ、ユーザが望むシステム構成を容易に構築できる。
【0165】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、台座部71が、正八角形の板状部材を、正八角形の1つの辺とその対向辺の各々の中間点を結ぶ直線で左右対称に2つに分割したブロック部材で構成されている。
【0166】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、2つの台座部71を互いに向い合せて正八角形の形状に組み立てることができ、最大8の結合用アンテナ環状に配置することができる。この場合も、互いに正対する位置に配置される結合用アンテナ80ごとに定在波の発生を防ぐことができる。
【0167】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、固定部59が、底面51aに立設され、縦横に所定の設置間隔で設けられる複数のマウント部材60有し、台座部71は、マウント部材60の設置間隔に対応する間隔で設けられ、マウント部材60を抜き差し可能に挿通する2つのマウント挿通孔71d1、71d2を有する。
【0168】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、台座部71の2つのマウント挿通孔71d1、71d2に任意の位置の2つのマウント部材60をそれぞれ挿通させることで、筐体本体部50aの底面51aの当該マウント部材60に対応する位置に台座部71、結合用アンテナ80を配置することができ、配置変更が容易となる。DUT100のアンテナ形成面にあわせて台座部71の位置調整が必要な場合、各結合用アンテナ80からの放射はアンテナ取付台72の鉛直方向に沿って放射線に集中することから、容易に位置調整が可能となる。
【0169】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、DUT保持部63が、電波透過性を有する透明部材、若しくは、DUT100を保持する保持面の一部に厚さ方向に貫通する開口窓が形成された不透明部材で構成される。
【0170】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、各結合用アンテナ80の環状の配置が目視できるため、放射点を容易に認識でき、放射点にDUT100のアンテナ形成面を合わせるためのDUT100のセット作業を容易にしかも正確に行うことができる。
【0171】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、結合用アンテナ80とDUT100の試験信号を供給する給電線74とを金属製のコネクタ73を介して電気的に接続する接続部77を、結合用アンテナ80の下方で上側から覆う接続部カバー75をさらに有している。
【0172】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、接続部カバー75によって、コネクタ73に対する各結合用アンテナ80からのDUT100による反射波の当該コネクタ73に対する放射を規制でき、性能試験の精度低下を抑制できる。
【0173】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、結合用アンテナ80として円偏波アンテナ20が用いられ、アンテナ取付台72は、右旋円偏波及び左旋円偏波の2種類一組の円偏波アンテナ20が取り付けられている。
【0174】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、2種類一組の円偏波アンテナ20から送出された電波を、DUT100のアンテナ110で受信して2つに分離することができる。これにより、右旋円偏波、左旋円偏波の平面スパイラルアンテナを使用した、偏波MIMO(Multiple Input Multiple Output)試験が実行できる。
【0175】
また、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、円偏波アンテナ20が、誘電体基板21と、誘電体基板21の一面21a側に重合される地板導体22と、DUT100の一面21aに対向する誘電体基板21の反対面21bに形成された円偏波型のアンテナ素子23と、それぞれの一端側が地板導体22に接続され、誘電体基板21をその厚さ方向に沿って貫通し、かつそれぞれの他端側が誘電体基板21の反対面まで延びて、アンテナ素子23を囲むように所定間隔で設けられることにより、キャビティを構成する複数の金属ポスト30と、誘電体基板21の反対面側に、複数の金属ポスト30の各他端側をその並び方向に沿って短絡し、かつアンテナ素子23方向に所定幅を有するリムが設けられている枠状導体32と、を具備する円偏波アンテナ20である。この円偏波アンテナ20は、キャビティ及び枠状導体32とで共振器を構成し、共振器とアンテナ素子23との構造パラメータを調整して、共振器の共振周波数を所望の値に設定し、構造パラメータは、キャビティの内寸Lw、枠状導体32のリム幅LR、アンテナ素子23の巻数、アンテナ素子23の基本長a0、アンテナ素子23の素子幅Wの少なくとも一つを含み、かつ、枠状導体23のリム幅LRは、誘電体基板21の表面に沿って伝播する表面波の波長の略1/4の幅である構成を有している。
【0176】
この構成により、本実施形態に係る電磁波シールドボックス50は、DUT100のアンテナ110と円偏波アンテナと20の間における被測定信号の多重反射に起因した振幅誤差を抑制して、DUT100に対する性能試験精度を向上させることができる。