特許第6876022号(P6876022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000002
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000003
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000004
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000005
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000006
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000007
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000008
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000009
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000010
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000011
  • 特許6876022-押しボタン式スイッチ並びに操作盤 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876022
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】押しボタン式スイッチ並びに操作盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20210517BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01H13/04 A
   H01H9/02 B
   H01H13/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-172897(P2018-172897)
(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公開番号】特開2020-47386(P2020-47386A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2018年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390024936
【氏名又は名称】三和電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】鵜木 智之
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3174941(JP,U)
【文献】 特開2016−018633(JP,A)
【文献】 特開2002−184522(JP,A)
【文献】 特開2007−172908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機の操作盤に対し着脱可能に取り付けられる筒状を呈したケース本体と、前記ケース本体の上部に押圧可能かつ自動復帰可能に取り付けられる押しボタン部材と、前記ケース本体の底板に取り付けられるプッシュスイッチと、前記プッシュスイッチに設けたところのスイッチ側端子を有するスイッチ側コネクタとから成る押しボタン式スイッチにおいて、前記プッシュスイッチのスイッチ側コネクタから一体的に設けられたところの内部にスイッチ側端子を収容させた接続用ケース部を設け、この接続用ケース部に挿入され、内部に前記スイッチ側端子を受け入れると共にハーネスを接続させた配線側端子を収容させて成る挿入部とこの挿入部に対し揺動可能に取り付けた可動係止部材とを有する接続側コネクタを設け、この接続側コネクタをロック手段を介してロック及びロック解除可能に前記スイッチ側コネクタに接続されるように成すと共に、前記ロック手段を、前記接続用ケース部の上側に設けられた固定係止突起部と、前記可動係止部材の上部に設けられた可動係止突起部とで構成し、前記可動係止部材はさらに下側に前記挿入部から分離した状態で指押し部を設け、この指押し部と前記可動係止突起部の間に支持部を設けたものとし、もって前記挿入部を前記接続ケース部へ挿入する際には、前記スイッチ側端子と前記配線側端子が互いに接続されると共に、前記可動係止部材が前記支持部を支点に外側に揺動して前記固定係止突起部と前記可動係止突起部との係合を可能にして前記スイッチ側コネクタと前記接続側コネクタをロックでき、前記挿入部を前記接続用ケース部から抜き取る際には、前記可動係止部材の前記支持部の下側に設けた指押し部を押すことによって、前記支持部を介して当該可動係止部材を外側へ揺動させることにより前記固定係止突起部と前記可動係止突起部の係合を解いて前記スイッチ側コネクタに設けた前記接続用ケースと前記接続側コネクタのロック状態を解除できるように成したことを特徴とする、押しボタン式スイッチ。
【請求項2】
前記挿入部の前側部の外側にはガイド溝部が設けられ、このガイド溝部内に前記固定係止突起部が設けられると共に、前記ガイド溝部に前記ロック手段の可動係止部材が設けられ、前記可動係止部材の前記指押し部は、前記ガイド溝部に収容されることなく外側へ突出していることを特徴とする、請求項1に記載の押しボタン式スイッチ。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の押しボタン式スイッチが、前記操作盤を構成する装甲板に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする、操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いた家庭用ゲーム機や業務用ゲーム機などの各種ゲーム機の操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
プッシュスイッチも一種の押しボタン式スイッチであるが、以下の説明では、主として各種ゲーム機の操作盤に用いられるものを押しボタン式スイッチと呼び、この押しボタン式スイッチに用いられるスイッチをプッシュスイッチと呼ぶことにする。従来、このプッシュスイッチの中には、下記した特許文献1〜2に記載されているように、スイッチケースから下方へ2本のスイッチ側端子を垂下させたものが知られている。このような構成のプッシュスイッチは、その構成は特許文献1〜3に記載のものとは形態が異なるが、家庭用テレビゲーム機や業務用テレビゲーム機などの各種ゲーム機の操作盤に用いられる押しボタン式スイッチに多用されている。その理由は、前記操作盤に用いられる押しボタン式スイッチは、乱暴に扱われ、かつ強い力で連打されるため、それなりの押しボタン部の大きさと形状と強度を必要とすることと、操作盤上の狭い面積に複数の押しボタン式スイッチが隣接して設けられており、これらの押しボタン式スイッチのスイッチ側端子にはそれぞれ配線側端子が接続され、この配線側端子に接続した各ハーネスは束ねられて外部に設けた制御回路に向けて導出されるため、ハーネスが互いの配線側端子の接続作業の邪魔にならないようにする必要があったためと思われる。
【0003】
そして、スイッチ側端子に配線側端子を接続するに当たっては、2本のスイッチ側端子に対し、それぞれ2本の配線側端子を用い、両者を現場で一つ一つかしめて接続したり、或は半田付けで接続するなどして手間のかかる接続作業を行っていたのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−18534号公報
【特許文献2】特開2016−18633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いた家庭用テレビゲーム機や業務用テレビゲーム機などの各種のゲーム機の操作盤にあっては、上述したように1個の押しボタン式スイッチに設けられた2本のスイッチ側端子ごとに、2本の配線側端子が準備され、接続作業において各配線側端子を各スイッチ側端子に差し込んでかしめたり、半田付けしたりする等の接続作業が2回必要であるため、この接続作業に時間と手間を要し、製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
そこで、この接続作業が容易となるような構造の押しボタン式スイッチが求められているが、接続作業が容易となっても、この押しボタン式スイッチが上記した各種ゲーム機の操作盤に用いられる場合には、押しボタン部材がかなり強い力で連打され、乱暴に取り扱われることから、その衝撃で接続部分が外れてしまわないように工夫する必要もあった。
【0007】
さらに、操作盤は、梱包時や持ち運び時に嵩張らないようにするために、極力薄型化することも求められているが、従来公知のスイッチ側端子と配線側端子の接続手段では、どうしても高さ方向に長さが長くなるため、操作盤の薄型化にも限界があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、押しボタン式スイッチのスイッチ側端子に対する配線側端子の接続作業を容易として製造コストを下げ、接続後に配線側端子がスイッチ側端子から容易には離脱しないように工夫し、さらに高さ方向の長さも短縮できて操作盤を薄型化できる押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いた各種ゲーム機の操作盤を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る押しボタン式スイッチは、ゲーム機の操作盤に対し着脱可能に取り付けられる筒状を呈したケース本体と、前記ケース本体の上部に押圧可能かつ自動復帰可能に取り付けられる押しボタン部材と、前記ケース本体の底板に取り付けられるプッシュスイッチと、前記プッシュスイッチに設けたところのスイッチ側端子を有するスイッチ側コネクタとから成る押しボタン式スイッチにおいて、前記プッシュスイッチのスイッチ側コネクタから一体的に設けられたところの内部にスイッチ側端子を収容させた接続用ケース部を設け、この接続用ケース部に挿入され、内部に前記スイッチ側端子を受け入れると共にハーネスを接続させた配線側端子を収容させて成る挿入部とこの挿入部に対し揺動可能に取り付けた可動係止部材とを有する接続側コネクタを設け、この接続側コネクタをロック手段を介してロック及びロック解除可能に前記スイッチ側コネクタに接続されるように成すと共に、前記ロック手段を、前記接続用ケース部の上側に設けられた固定係止突起部と、前記可動係止部材の上部に設けられた可動係止突起部とで構成し、前記可動係止部材はさらに下側に前記挿入部から分離した状態で指押し部を設け、この指押し部と前記可動係止突起部の間に支持部を設けたものとし、もって前記挿入部を前記接続ケース部へ挿入する際には、前記スイッチ側端子と前記配線側端子が互いに接続されると共に、前記可動係止部材が前記支持部を支点に外側に揺動して前記固定係止突起部と前記可動係止突起部との係合を可能にして前記スイッチ側コネクタと前記接続側コネクタをロックでき、前記挿入部を前記接続用ケース部から抜き取る際には、前記可動係止部材の前記支持部の下側に設けた指押し部を押すことによって、前記支持部を介して当該可動係止部材を外側へ揺動させることにより前記固定係止突起部と前記可動係止突起部の係合を解いて前記スイッチ側コネクタに設けた前記接続用ケースと前記接続側コネクタのロック状態を解除できるように成したことを特徴とする。
【0010】
次に、本願請求項2に係る押しボタン式スイッチは、前記挿入部の前側部の外側にガイド溝部が設けられ、このガイド溝部内に前記固定係止突起部が設けられると共に、前記ガイド溝部に前記ロック手段の可動係止部材が設けられ、前記可動係止部材の前記指押し部は、前記ガイド溝部に収容されることなく外側へ突出していることを特徴とする。
【0011】
そして、本願請求項3に係る操作盤は、請求項1〜2のいずれか1項に記載の押しボタン式スイッチが、前記操作盤の構成する装甲板に対し着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る押しボタン式スイッチによれば、そのスイッチ側コネクタに配線側コネクタをワンタッチで接続でき、組み立て工数と時間を節約することができた上に、さらに押しボタン式スイッチの高さ寸法を短くでき、その上ロック手段によってスイッチ側端子と配線側端子の接続が容易に離脱してしまわないようにすることができるものである。
【0013】
請求項2に係る押しボタン式スイッチによれば、部品点数を省略できた上で、スイッチ側コネクタのスイッチ側端子に対する配線側コネクタの配線側端子の接続作業をワンタッチで行うことができることから、組み立て工数と組み立て時間を省略することができるものである。
【0014】
請求項3に係る各種ゲーム機の操作盤によれば、配線側コネクタのスイッチ側コネクタに対する接続作業が容易となる上に、操作盤の厚さを薄く小型にすることができることから、梱包時やユーザーの持ち運び時に嵩張らなくて済むものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るプッシュスイッチの一部分解斜視図である。
図2図1のプッシュスイッチにおいてスイッチ側端子に対して配線側端子が挿入された状態の説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線側面図、(c)は(a)の底面図、(d)は(a)のB−B線断面図である。
図3図1のプッシュスイッチにおける配線側端子をスイッチ側端子対して接続解離させる際の説明図であって、(a)は接続前の状態、(b)は接続途中の状態、(c)はロック手段による係合直前の状態をそれぞれ表している。
図4】本発明に係るプッシュスイッチを用いた同じく本発明に係る押しボタン式スイッチの一部分解斜視図である。
図5】本発明に係るプッシュスイッチを用いた同じく本発明に係る押しボタン式スイッチ全体を斜め下方から見た分解斜視図である。
図6】本発明に係るプッシュスイッチを用いた同じく本発明に係る押しボタン式スイッチを正面から見た部分断面図である。
図7】本発明に係るプッシュスイッチを用いたところの、同じく本発明に係る押しボタン式スイッチを側面から見た部分断面図である。
図8】本発明に係るプッシュスイッチを用いたところの、同じく本発明に係る押しボタン式スイッチを取り付けた操作盤の斜視図である。
図9図8に示した操作盤の底面図であり、ハーネスを省略してある。
図10】本発明に係る押しボタン式スイッチを操作盤へ取り付けた状態を説明する部分断面図である。
図11図10に示した押しボタン式スイッチが高さ方向の長さを省略できることを説明するためのもので、(a)は従来公知の押しボタン式スイッチの例を示し、(b)は本発明に係る押しボタン式スイッチの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、家庭用テレビゲーム機の操作盤へ取り付けられる押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いたとくに家庭用テレビゲーム機の操作盤を例に挙げて説明するが、本発明に係る押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いた操作盤は、家庭用テレビゲーム機のものに限定されず、業務用のテレビゲーム機、その他の各種ゲーム機に用いられる押しボタン式スイッチ並びにこの押しボタン式スイッチを用いた操作盤にも適用される。さらに、本発明に係る押しボタン式スイッチに光源(例えば発光ダイオード)と光拡散レンズを加えた照光式押しボタン式スイッチにも用いることができる。
【実施例1】
【0017】
本発明に係るプッシュスイッチ1は、図1図3に示すように、平面略矩形状を呈した合成樹脂製のスイッチ本体部2と、このスイッチ本体部2に設けられたスイッチ側コネクタ3と、このスチッチ側コネクタ3とは別体に設けられ、スイッチ側コネクタに接続される配線側コネクタ4とで構成されている。周知のため内部構造とその説明を省略したスイッチ本体部2の上部側には、図示してないスプリングにより上方へスライド付勢されて押しボタン部2aが設けられ、その上端部両側からはフランジ部2c、2cが突設されると共に、このフランジ部2c、2cの下方に位置させて弾性を付与された係止片2d、2dが揺動可能に設けられている。尚、実施例のものは、押しボタン部2aの上部に突片部2bが突設されているが、これは実施例に係るプッシュスイッチ1が、後述する実施例2の押しボタン式スイッチ10に用いるものであることから、この押しボタン式スイッチ10の押しボタン部材の取付角筒部12aへこの突片部2bを装着させるためのものである。本発明に係るプッシュスイッチ1が他の用途に用いられる場合には、不要となる場合がある。
【0018】
スイッチ側コネクタ3は、スイッチ本体部2から下方に一体に形成されたところの上下方向に平断面略凹形状を呈した挿入穴部3aを設けた合成樹脂製の接続用ケース部3bと、この接続用ケース部3b内にスイッチ本体部2側から所定間隔を空けて垂下されところのピン状を呈した一対のスイッチ側端子3c、3cと、接続用ケース部3bの前側を構成する前側壁部3dの中央部に上下方向に設けたガイド溝部3e内に設けられた固定係止突起部3fと、を有している。接続用ケース部3bの前側壁部3dの下端部は、両側側壁部3g、3g及び後側壁部3hに対して少し長めに形成されており、両側側壁部3g、3gと後側壁部3hの下端部は揃えられて形成されている。さらに、前側壁部3dの両側からは下端部よりスイッチ本体部2に向けて左右方向の外側に広がる第1補強板部3i、3iが設けられ、後側壁部3hの両側からは後方に向けてスイッチ本体部2の底部後端部に向けて広がる一対の第2補強板部3k、3kが設けられている。
【0019】
配線側コネクタ4は、平面から見て略凹形状の挿入穴部3aに対し略凹形状を呈した合成樹脂製の挿入部4aと、この挿入部4a内に前記スイッチ側端子3c、3cに対し同じ間隔で埋め込まれ、その各先端部を挿入部4aの上端面に露出させて成る筒状を呈した一対の配線側端子4b、4bと、この各配線側端子4b、4bに接続されて挿入部4aの外側に導出されたハーネス4c、4cと、挿入部4aの前側に位置して両側に後述する支持部5a、5aを挿入部4a側に接続された状態で、上下方向に渡って揺動可能に設けられたところの同じく合成樹脂製の可動係止部材5を有している。この可動係止部材5は上部に可動係止突起部5bが設けられ、下部側に指押し部5cが設けられると共に、この可動係止突起部5bと指押し部5cとの間の両側に支持部5a、5aが設けられている。さらに可動係止部材5の支持部5a、5aを挟んで上側の可動係止突起部5b側は幅が狭く形成され、下側の指押し部5cの部分は幅が広く形成されている。また、各支持部5a、5aの部分は、配線側コネクタ4の挿入部4aをスイッチ側コネクタ3の接続用ケース部3bの挿入穴部3aへ挿入した際に接続用ケース部3bの後側壁部3hの下端部に当接するストッパー部を兼ねている。
【0020】
したがって、スイッチ側コネクタ3に配線側コネクタ4を接続する場合には、スイッチ本体部2側を一方の手で持ち、配線側コネクタ4の挿入部4a側を他方の手で持って、挿入部4a側の可動係止部材5の側を接続用ケース部3b側の固定係止突起部3fの側に合わせ、先端を接続用ケース部3b側の挿入穴部3aに当てがい、上方へ支持部5a、5aが後側壁部3hの下端部に当たるまで押し込むと、スイッチ側端子3c、3cが配線側端子4b、4bに圧入され、配線側コネクタ4のスイッチ側コネクタ2対する接続がワンタッチで完了することになる。同時に挿入部4aの挿入穴部3aへの挿入時には、可動係止部材5の可動係止突起部5bがガイド溝部3e内に挿入されつつ挿入部4aの前側壁部3dの間に挿入され、可動係止突起部5bが固定係止突起部3fに当たることによって逃げつつ挿入されることになり、可動係止突起部5bが固定係止突起部3fを乗り越えて元位置に戻りつつ固定係止突起部3fと係合することになる。この可動係止部材5と固定係止突起部3fとによりロック手段6が構成され、このロック手段6により、スイッチ側コネクタ3と配線側コネクタ4は互いに接続された状態でロックされることになる。
【0021】
この挿入部4aの接続用ケース部3b側への挿入時には、挿入部4aの先端を後側壁3hの先端にあてがって前側壁部3dの内側へ押し当てた後上方へ押すと、より挿入しやすい効果が期待できる。挿入部4aの挿入穴部3aへの挿入をより容易に行うに当たっては、例えば挿入穴部3aの下端部分の口径を少し広くするか、ガイド傾斜部を設けるという方法もあろう。
【0022】
次に、何らかの理由で配線側コネクタ4をスイッチ側コネクタ3から外す必要が出た場合には、ロック手段6の可動係止部材5の指押し部5cの部分を指で押すと、支持部5a、5aを支点に可動係止突起部5bが外側に揺動して可動係止突起部5bと固定係止突起部3fの間の係合が外れるので、挿入部4aを下方に引っ張ることにより、当該挿入部4aがスイッチ側コネクタ3の挿入穴部3aから外れ、スイッチ側コネクタ3から配線側コネクタ4を取り外すことができるものである。
【実施例2】
【0023】
図4乃至図7は、例えば家庭用テレビゲームの操作盤に用いる本発明に係る押しボタン式スイッチ10の詳細な構成を示す。この押しボタン式スイッチ10のプッシュスイッチ1のスイッチ側コネクタ3と配線側コネクタ4の部分を除いたスイッチ本体部2は、本出願人が出願した特開平2014−18534号公報に示されているように、公知構成のものであるからその詳細な説明は省略する。図面によれば、本発明に係る押しボタン式スイッチ10は、丸筒状を呈したフランジ部11a付のケース本体11と、このケース本体11の底板11bに装着された本発明に係る実施例1のプッシュスイッチ1と、ケース本体11内に上下方向へ摺動可能に収装された筒状の押しボタン部材12と、ケース本体11の底板11bに取り付けられるプッシュスイッチ1と、プッシュスイッチ1に設けたスイッチ側コネクタ3とから成る押ボタン式スイッチ10と、プッシュスイッチ1のスイッチ側コネクタ3に設けた接続用ケース部3bに挿入される挿入部4aを有し、ロック手段6を介してロック及びロック解除可能に接続される接続側コネクタ4を設け、この接続側コネクタ4にハーネス4cを接続させると共に、前記ロック手段6を接続用ケース部3b側に設けた固定係止突起部3fと、挿入部4a側に揺動可能に設けられたところの前記挿入部4aを接続用ケース部3bへ挿入した際に前記固定係止突起部3fと係合する可動係止部材5とで構成されている。
【0024】
押しボタン部材12は、プッシュスイッチ1の押しボタン部2aに付与されている弾力により、上方へスライド付勢されている。押しボタン部材12を押し込むと、押しボタン部2aが共に下降してスイッチ本体部2内に設けられている接点がONされるか、OFFされ、手を放すと押しボタン部2aに作用している弾力により元位置に復帰するものである。押しボタン部材12の押し込み時には、当該押しボタン部材12の下端部12dがケース本体11の底板11bに敷設されたクッション材13に当接して下降が阻止される。ケース本体11には、その両側部に係止長孔11c、11cが設けられ、通常時にはこの係止長孔11c、11cへ押しボタン部材12の側部に弾性を付与されて揺動可能に設けられた一対の係止片12b、12bが、その先端に設けた係止部12c、12cを係止させていることにより、押しボタン部材12は、ケース本体11から上方へ抜け出てくることはない。押しボタン部材12を押し込むと係止部12c、12cの部分が係止長孔11c、11c内をスライドしてその下降を許容する。
【0025】
実施例2に記載の押しボタン式スイッチ10に用いられているプッシュスイッチ1の構成は、実施例1に記載したものと同じであるので、さらなる詳しい説明を省略する。指示記号の同じものは実施例1と同じ部材を示している。
【0026】
次に、プッシュスイッチ1を押しボタン式スイッチ10へ組み込む際には、押しボタン部材12の係止片12c、12cをケース本体11の係止長孔11c、11cから内側へ押し込んで押しボタン部材12をケース本体11から上方へ取り外し、次いで、プッシュスイッチ1の接続用ケース部3bをスイッチ側コネクタ3の側を下側にしてケース本体11内へ上側から挿入させ、その底板11bに設けた矩形状の取付孔11dに接続用ケース部3bをあてがって押し込むと、プッシュスイッチ1に設けた係止片2d、2dが内側に逃げつつスイッチ本体部2が取付孔11dへ押し込まれ、フランジ部2c、2c・・の部分が取付孔11dに突き当たることにより停止し、同時に係止片2d、2dの係止部2e、2eがフランジ部2c、2c・・との間で底板11bを挟み込んで、プッシュスイッチ1のスイッチ本体部2がスイッチ側コネクタ3を下方へ突出させつつケース本体11の取付孔11dに係止固定される。
【0027】
次いで、実施例1に説明したように、スイッチ側コネクタ3に配線側コネクタ4を挿入させると、ワンタッチで配線側コネクタ4をスイッチ側コネクタ3へ接続でき、本発明に係るプッシュスイッチ1を用いた本発明に係る押しボタン式スイッチ10が完成する。
【実施例3】
【0028】
次に、図8乃至図10は、本発明に係るプッシュスイッチ1を用いた押しボタン式スイッチ10を取り付けた家庭用ゲーム機の操作盤15を示す。図面によれば、操作盤15は、USBコネクタ16を有し、このUSBコネクタ16は、不図示のゲーム機本体、又はゲームソフトをインストールしたコンピュータのUSB端子に接続される。テレビゲーム機やパソコンを用いてゲームを楽しむゲーム者は、操作盤15の上面に配置された複合操作スイッチ17や本発明に係る押しボタン式スイッチ10、10・・、さらにはその他の操作スイッチ18、19などを操作することにより、テレビ受像機又はディスプレイに映し出されたゲームの画像を操作してゲームを実行するものである。
【0029】
操作盤15は、ほぼ全体が硬質の合成樹脂製であって、上側の装甲板15aの上面に、揺動及び又は回転可能な操作レバー17aを有する上記複合操作スイッチ17と共に、本発明に係るプッシュスイッチ1を用いた同じく本発明に係る上記押しボタン式スイッチ10、10・・・が、狭い領域に複数個隣接して取り付けられている。
【0030】
実施例3の操作盤15へ実施例2に記載の本発明に係る押しボタン式スイッチ10を組み込む際には、押しボタン式スイッチ10のスイッチ側コネクタ3から、配線側コネクタ4が外されている状態にして、操作盤15の装甲板15aに設けた取付孔15bへ、プッシュスイッチ1のスイッチ側コネクタ3が取り付けられたケース本体11を取付孔15bの上側から挿入して押し込むと、図10に示したように、ケース本体11の係止片11f、11fの係止部11e、11eは内側に逃げつつ挿入され、ケース本体11のフランジ部11aが取付孔15bに当たって挿入が停止される。同時に係止片11f、11fが元位置に戻って係止部11e、11eが装甲板15aをフランジ部11aとの間で挟み込み、図6に示したように、上方への抜け出しを阻止された状態で、装甲板15aへ取り付けられる。
【0031】
次いで、このようにして装甲板15aへ組み込まれた各押しボタン式スイッチ10、10・・に予め組み込まれているスイッチ側コネクタ3,3・・に対し、上記したように配線側コネクタ4、4・・を接続することで、ワンタッチで配線側コネクタ4、4の接続が完了することになるので、従来技術の押しボタン式スイッチに対する配線側端子の接続方法に比べて、操作盤15の製造コストの削減を図ることができるものである。
【0032】
とくに家庭用テレビゲーム機の操作盤は、使用しない時の収納スペースの軽減や持ち運び時の嵩張ありを防止するためなどの理由により、薄型化が求められているが、比較例の図11の(a)と(b)に示したように、本発明に係る押しボタン式スイッチ10は、従来公知構成の配線側コネクタの接続手段と比べて、押しボタン式スイッチの高さ方向の長さを短くすることができることから、操作盤の薄型化にも寄与できるものである。
【0033】
即ち、図11(a)に示したところの、従来公知構成のプッシュスイッチ20を用いた押しボタン式スイッチ21のスイッチ側端子24、24に接続された配線側端子23、23の下端部から操作盤22の装甲板22aの内頂部までの高さをH1とすれば、図11の(b)に示した実施例1のプッシュスイッチ1を用いた実施例2の押しボタン式スイッチ10の操作盤15の装甲板15aまでの高さはH2であり、一見しただけで短くなっているのが明らかである
【0034】
したがって、家庭用テレビゲーム機の操作盤15の厚みを従来の操作盤よりも薄く設計することができる。実施例1のプッシュスイッチ1を用いることで、押しボタン式スイッチ10の小型化が可能になると共に、従来公知構成のプッシュスイッチ20を用いた場合には困難であった操作盤15の薄型化が容易になっている。
【0035】
さらに、図示を省略するが、本発明に係るプッシュスイッチ1は、公知構成の照光式押しボタン式スイッチにも、従来公知構成のプッシュスイッチに変えて用いることができる。
【0036】
(その他の実施の形態)
本発明のプッシュスイッチ1、並びにこのプッシュスイッチ1を用いた押しボタン式スイッチ10、並びに操作盤15は、上述した実施例で説明した具体的な構成及び用途には限定されない。また、上述した各実施例の構成の一部又は全部を等価な構成に置き換えた別の実施形態でも実施可能である。実施例2では、押しボタン式スイッチ10に組み込まれたプッシュスイッチ1を説明しているが、本発明のプッシュスイッチ1は、押し釦式スイッチ以外の例えば照光式押ボタン式スイッチにも実施可能である。
【0037】
また、実施例では、家庭用のテレビゲーム機の操作盤15に用いられる押しボタン式スイッチ10の実施例を説明したが、本発明の押しボタン式スイッチ10は、業務用のテレビゲーム機の操作盤、ゲームソフトをインストールしたパソコン、その他のゲーム機、その他の各種装置の外付け操作盤もしくは組み込み操作盤としても実施可能である。これらの実施形態では、操作盤の形状や構造は、実施例のものとは異なるものとすることが可能であり、そこに用いられる押しボタン式スイッチの数や取付位置にも変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は以上のように構成したので、種々の用途に使用されるプッシュスイッチにおいてスイッチ側コネクタと配線側コネクタに工夫を凝らすことにより、配線側コネクタをスイッチ側コネクタにワンタッチでしかも強固に接続できるプッシュスイッチ、並びにこのプッシュスイッチを用いた押しボタン式スイッチ、並びにこの押しボタン式スイッチを用いたとくに家庭用テレビゲーム機の操作盤や業務用テレビゲーム機やその他のゲーム機の操作盤として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 プッシュスイッチ
2 スイッチ本体部
2a 押しボタン部
3 スイッチ側コネクタ
3a 挿入穴部
3b 接続用ケース部
3f 固定係止突起部
4 配線側コネクタ
5 可動係止部材
5b可動係止突起部
6 ロック手段
10 押しボタン式スイッチ
11 ケース本体
12 押しボタン部材
15 操作盤
15a 装甲板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11