特許第6876028号(P6876028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876028
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】一体型弁を有する真空カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20210517BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61M39/24
【請求項の数】26
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2018-218803(P2018-218803)
(22)【出願日】2018年11月22日
(62)【分割の表示】特願2016-503180(P2016-503180)の分割
【原出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2019-58691(P2019-58691A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】61/801,626
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510221700
【氏名又は名称】スパイラキュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】コナー,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ムサンテ,クリスタル
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ケネス
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0224642(US,A1)
【文献】 特表2010−517680(JP,A)
【文献】 米国特許第5185007(US,A)
【文献】 特表2010−522060(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0228205(US,A1)
【文献】 特開2012−139510(JP,A)
【文献】 特表2011−512202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療のためのシステムであって、前記システムは、
a.真空導管を有する吸引チャンバであって、前記吸引チャンバは、前記真空導管と連通して真空を生成するように構成されている、吸引チャンバと、
b.縦軸に沿って前記吸引チャンバに対して摺動可能にシールするように構成されているピストンアセンブリと、
c.前記吸引チャンバから外への流体の退出を可能にし、前記吸引チャンバの中への流体の進入を阻止するように構成されている第1の一方向弁であって、当該第1の一方向弁が突出部を備え、当該突出部は、再設定ツールが前記突出部に係合し当該突出部を遠位に押すと前記第1の一方向弁が開くように構成されている、第1の一方向弁と、
d.前記吸引チャンバの中への流体の進入を可能にし、前記吸引チャンバから外への流体の退出を阻止するように構成されている第2の一方向弁であって、前記第2の一方向弁は、前記真空導管に取り付けるように構成されているコネクタ内に位置する、第2の一方向弁と
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の一方向弁は、前記ピストンアセンブリ内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の一方向弁は、前記吸引チャンバの剛性側壁内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の一方向弁は、前記吸引チャンバの遠位壁に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の一方向弁は、前記真空導管に沿って一体的に形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コネクタは、前記吸引チャンバと接続するように構成されている近位開口部と、遠位開口部とを有し、前記第2の一方向弁は、前記コネクタの近位開口部と遠位開口部との間に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の一方向弁は、ダックビル弁である、請求項1−6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の一方向弁は、前記真空導管と連通する前記吸引チャンバ内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の一方向弁は、前記真空導管と連通する前記吸引チャンバの外側に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の一方向弁の開口部にわたって位置する弁フラップをさらに備え、前記弁フラップは、空気の通過を可能にするが、液体または固体の通過を阻止するように構成されている、請求項1−9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記弁フラップは、前記第1の一方向弁にわたるスタンドオフにわたって配置され、前記スタンドオフは、前記第1の一方向弁の開口部と連通する1つ以上の間隙を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁フラップは、前記弁フラップが前記スタンドオフの1つ以上の間隙を遮蔽しない、第1の構成と、前記弁フラップが前記1つ以上の間隙を遮蔽する、第2の構成とを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の一方向弁の開口部を囲繞する内壁と、前記内壁を囲繞する外壁とをさらに備え、前記内壁の高さは、前記外壁の高さとほぼ等しい、または前記外壁の高さを上回る、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の構成において、前記弁フラップは、前記外壁に接触せず、前記第2の構成において、前記弁フラップは、前記外壁に接触する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記内壁と前記外壁との間の空間は、チャネルを画定する、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記弁フラップは、シリコーンから成る、請求項10−15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および/または第2の弁にわたって位置するフィルタをさらに備える、請求項1−16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記吸引チャンバの遠位壁に連結されている第1の吸収性パッドをさらに備える、請求項1−17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の吸収性パッドは、開口部を備え、前記開口部が前記真空導管と整合されるように、前記吸引チャンバに連結されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
第2の吸収性パッドをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の吸収性パッドは、開口部を備え、前記開口部が前記第1の吸収性パッドの開口部と整合されるように、前記吸引チャンバに連結されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の吸収性パッドは、前記第1の吸収性パッドの少なくとも一部が、前記第1の吸収性パッドが少なくとも一部の流体を吸収した後に前記吸引チャンバの遠位壁に連結されたままであるように、前記吸引チャンバに連結されている、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2の吸収性パッドのうちの少なくとも1つを前記吸引チャンバの遠位壁に取り付けるように構成されている拘束具をさらに備える、請求項20−22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記拘束具はさらに、前記第1および第2の吸収性パッドをともに接触させて維持するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1および第2の吸収性パッドのうちの少なくとも1つは、超吸収性物質を備える、請求項18−24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1および第2の吸収性パッドのうちの少なくとも1つは、接着剤表面を備える、請求項18−25のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2013年3月15日に出願された「Vacuum Cartridge with Integrated Valve」という題名の米国仮特許出願第61/801,626号に対して優先権を主張する。上記文献は、その全体として参照することによって本明細書において援用される。本出願はまた、2008年2月14日に出願された「Devices and Methods for Treatment of Damaged Tissue」という題名の米国仮特許出願第61/028,835号、および2009年2月17日に出願された米国特許出願12/372,661号(特許第8,177,764号)に関連する。上記文献らは、それぞれ、その全体として参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(背景)
創傷を治療するための準大気圧の使用は、古代文明の時代まで遡り得る。例えば、古代の中国人は、ガラスチャンバを燃焼することによって、減圧環境を生成し、身体から悪くなった体液を引き出す技法である、「吸い玉放血法」を使用していた。現代の研究では、損傷組織への減圧の印加は、いくつかの有益な効果を有し得ることが明らかにされている。1)減圧レベルは、損傷組織縁の後退につながり得、したがって、欠陥サイズを縮小させ得、かつ創傷収縮を促進することによって、治癒を促し得、2)減圧は、損傷組織への機械的刺激を提供し得、これは、創傷床において、成長因子を放出し、治癒を助長し得、3)減圧は、損傷組織空洞内に吸引力を生成し得、これは、壊死性組織を損傷組織空洞から除去し得、かつ細菌量を減少させ得、4)減圧の印加は、損傷組織への血流を増加させ得る、これは、治癒を促し得、かつ5)減圧は、メタロプロテアーゼ酵素を阻害する顆粒を除去し得、これは、組織再建および治癒を向上させ得る。
【0003】
減圧組織療法の多くの利点に照らして、減圧創傷治療システムおよび方法が、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(簡単な要約)
非電動式減圧治療装置を採用することによる創傷の治療を含む、損傷組織の治療のための方法および装置を開示する。ユーザにとっての使用の不快感を最小限にしながら、生成される減圧の維持および制御が、そのような装置によって提供されてもよい。いくつかの実施形態では、減圧治療装置は、吸引器具と、シーラント層と、接触マトリクスと、随意的な延長管類とを備えてもよい。吸引器具は、無音および/または装着型であるように構成され得る、非電動式装置であってもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具は、衣服の下で目立たないよう装着されてもよいように、薄型外形を有してもよい。シーラント層は、吸引器具と損傷組織を含有する封入体との間に流体連通を提供するように、損傷組織を覆う実質的に気密性の封入体を作製してもよい。流体連通は、吸引器具とシーラント層との間の直接接続によって提供されてもよく、または吸引器具および取付ポートを接続する延長管類を通して提供されてもよい。いくつかの実施形態では、シーラント層は、可撓性であってもよいが、他の実施形態では、シーラント層は、半剛性または剛性であってもよい。いくつかの実施例では、半剛性または剛性シーラント層は、シーラント層が折り重なって自らに接着し得る危険性を低減または排除しながら、治療部位へのシーラント層の取扱または貼付を促進してもよい。延長管類は、コネクタまたは継手を使用して、シーラント層および/または吸引器具に連結されてもよい。コネクタは、随意に、延長管類の取付および着脱を促進するように、および/または偶発的な断絶を防止するように、解放可能な係止機構を備えてもよい。例えば、解放可能な係止機構は、管類の取付および/または着脱中に操作され得る、係止機構としての機能を果たす、解放ボタンまたは他のアクチュエータを備えてもよい。他の実施形態では、吸引器具は、シーラント層取付ポートに直接接続されてもよく、吸引器具の直接取付および管類を使用した遠隔取付の両方を可能にするように、延長管類と同じまたは同様のコネクタを伴うコネクタを備えてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、治療装置は、減圧を生成し、任意の吸引された流体または物質を回収するように構成される、可変容積チャンバを備える。チャンバは、可変容積チャンバの可動部分に連結される、一定力のばねを使用して作動されてもよい。可変容積チャンバを増加容積まで拡張または付勢することによって、可変容積チャンバによって封入される空気の容積および損傷組織を含有することによってシールされた封入体は、拡張され、それによって、空気の圧力を低減させてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、減圧治療装置は、薄型または縮小型を伴う治療装置を提供し得る、非円形吸引チャンバ設計を備える。いくつかの実施例では、薄型は、延長管類の使用の有無にかかわらず、創傷近傍の身体上への減圧システムの配置を可能にする。一体型システム構成と連結される、本人間工学的チャンバ設計は、装置の離散装着を可能にし、寿命品質を向上させ得る。一特定の実施例では、吸引器具は、薄型もまた提供しながら、実質的浸出液取扱容量を提供する、卵形断面幾何学形状を伴う可変容積チャンバを備える。これは、治療の間の改良された移動度、自由裁量、可撓性、および/または快適性を可能にする。薄型幾何学形状はまた、遠隔部位ではなく、治療部位にまたはそれに隣接して、吸引器具を置くことによって、減圧療法システムを使用するワークフローを効率化し得、また、延長管類の使用を排除し、治療部位と別個の吸引器具との間の流体連通を維持し得る。
【0007】
シーラント層はまた、シーラント層への吸引器具または延長管類の取付および/または着脱を促進するように、取付ポートを備えてもよい。いくつかの実施例では、取付ポートは、シーラント層および吸引器具に対する種々の相対的構成および/または相対的位置を有してもよい。場合によっては、取付ポートは、関節動作型および/または可撓性であってもよい。例えば、取付ポートは、取付ポートが回転することを可能にし得る、旋回台座を伴って構成されてもよい。関節動作型および/または可撓性取付ポートはまた、吸引器具とシーラント層との間で伝達され得る、捻転または他の力の伝達を低減してもよい。取付ポートは、製造時点でシーラント層と一体的に形成されてもよく、または別々に提供され、使用時点でシーラント層に取り付けられてもよい。後者の実施形態は、シーラント層に対する取付ポートの相対的位置の融通性またはカスタマイズを臨床医に許可してもよい。取付ポート構成はまた、迅速な統合を可能にしながら、取付ポート設計が、吸引器具の移動によって引き起こされ得る、創傷床への捻転力の伝達を低減するため、向上した患者快適性を提供してもよい。さらに、屈曲および/または回転する能力は、取付ポート配向に対するシーラント層の独立した配置を可能にする。取付ポートの可撓性はまた、圧点誘発負傷の危険性を最小限にしてもよい。取付ポートは、真空源のスナップ式取付を可能にしてもよい。包帯接合面への取付ポートノズルの接続は、圧点負傷の可能性を低減するように、小さい設置面積および/または薄型外形を有してもよい。いくつかの実施形態では、取付ポートの旋回台座は、シーラント層に組み込まれる、薄い弾性基礎を有してもよい。旋回台座は、体表面の周囲にシールを形成するように、より剛性のシステム要素との統合を維持しながら、最大シーラント層成形性を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、取付ポートを伴う減圧治療装置は、減圧源をシーラント層に取り付けるため、および創傷と減圧源との間の流体連通を生成するために使用される、1つ以上のステップを削減または排除してもよい。既存の減圧治療システムと違って、取付ポートは、接着剤を伴わずに、および/またはシーラント層を切断せずに、真空源を取り付けるように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、減圧治療装置は、吸引器具の起動および/または皮膚あるいは組織からの吸引器具の解放を促進するように、1つ以上のアクチュエータを伴って構成されてもよい。例えば、吸引器具は、起動機構を備えてもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具は、治療部位で減圧の印加を開始する、ボタンまたは他のアクチュエータを含有する。起動機構には、「起動する」という言葉または緑色等の印が提供されてもよく、あるいは同様の意味を伴う任意の他の言葉または符号化が、その上または近くに提供される。該ボタンを押すことは、弁を開き、創傷床に隣接して形成された封入体と吸引チャンバとの間の流体連通を可能にしてもよく、または摺動シールを解放して移動を可能にしてもよい。より具体的には、起動は、摺動シールより下側および創傷封入体内の空間の複合容積を拡張させるために、一定力のばねを収縮させてもよい。その中で生成された減圧は、ばねの力と実質的に等しい力を摺動シールに及ぼしてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、減圧治療装置はさらに、弁を閉鎖する、および/または創傷を取り囲む延長管類あるいはシーラント層から吸引器具を分断するように構成される、付加的なボタンまたはアクチュエータを備えてもよい。付加的なボタンを押すことは、取付ポートまたは延長管類からの吸引器具の着脱を可能にし、吸引チャンバ内に浸出液を閉じ込める、または吸引チャンバから外への任意の経路を別様に閉鎖する一方向弁を起動してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、治療装置は、減圧を印加する前に、装填されてもよい。装置のいくつかの構成では、装填および起動方法は、単一の連続ステップで行われてもよい。他の構成である間に、装填および起動方法は、明確に別個のステップで行われてもよい。一実施例では、吸引器具内の摺動シールは、吸引器具の遠位端に位置付けられることによって装填されてもよい。摺動シールの位置付けは、例えば、スライダまたはプッシュロッド等の種々の装填機構のうちのいずれかによって行われてもよい。いくつかの実施形態では、摺動シールは、装填した後に減圧チャンバの中で圧力差を生成するように、自動的に後方に摺動し始めてもよい。他の実施形態では、吸引器具は、圧力差の生成を開始するように装填機構とは別に作動させられる、起動機構を備えてもよい。いくつかの構成では、起動機構は、摺動シールの移動を直接阻止または制限してもよい一方で、他の構成は、起動機構は、吸引器具のチャンバの中への流体および/または物質の流入を制限または限定してもよい。一実施例では、解放機構は、減圧チャンバに連結された弁を通した連通または流動を改変するように構成される、別個のボタンまたはレバーを備えてもよい。弁は、例えば、羽根弁または回転弁であってもよい。起動ボタンを押すことは、減圧チャンバの中への流体の流入を可能にするように、羽根弁を持ち上げ、または回転弁のレバーを回してもよい。
【0011】
ある実施形態では、装填機構は、力機構を延長する、または摺動シールをその装填位置へ変位させるように構成される、装填または再設定キーまたはツールを備える。いくつかの実施例では、再設定ツールは、吸引器具の本体の中の開口部の中に位置付けられるように構成され、減圧発生機構を装填するためにレバーまたはプッシュロッドとして使用されてもよい、伸長剛性部材を備える。いくつかの実施形態では、再設定ツールは、再設定ツールのシャフトに埋め込まれたラッチが定位置に係止するまで、吸引器具の遠位端に向かって摺動シールを機械的に押動するために使用することができる。いくつかの実施形態では、再設定ツールは、吸引器具の本体に組み込まれ、また、吸引器具を閉鎖するようにキャップとしての機能を果たしてもよい。いくつかの実施形態では、再設定ツールは、吸引器具を担持して、非装填状態で維持するように構成されてもよい。例えば、再設定ツールは、装填されていない吸引器具の安全な格納を提供するように、吸引器具の本体に解放可能に係止されてもよく、係止された再設定ツールは、格納および/または取付中に装填されていないばね機構が負圧を生成することを防止または制限する。場合によっては、再設定ツールが定位置にないと、例えば、その中に貯蔵されたエネルギーをばねに失わせ得る、吸引チャンバの微小漏出により、格納および/または取扱からの収縮が起こる場合がある。他の実施形態では、再設定ツールは、空乏化、または別様にいくらかの装填を失った、ばねまたは他の力機構の再装填を可能にする。例えば、装置の再装填または再設定は、偶発的な装填解除または検出されていない漏出が、その中に貯蔵されたエネルギーをばねに失わせるときに、あるいは回収チャンバを空にした後に行われてもよい。
【0012】
本明細書に提供されるのは、損傷組織を治療するための組織治療装置である。一実施形態では、本装置は、シール可能創傷カバーと、減圧生成装置とを備える。いくつかの実施形態では、減圧発生装置は、装着式であって、実質的に、ある範囲の回収容積にわたってその外部寸法を維持するように構成されてもよい。加えて、減圧発生装置は、非円形断面形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、減圧発生装置は、非電動式であってもよい。そのような実施形態では、減圧発生装置はさらに、弾性力部材を備えてもよい。例えば、力部材は、一定力のばねであってもよい。弾性力部材が使用される、ある実施形態では、減圧発生装置は、ポテンシャルエネルギーで機械的を装填されるように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、減圧発生装置は、実質的に、非円筒形形状を備えてもよい。そのような実施形態では、装置は、少なくとも2つの吸引チャンバを備えてもよい。いくつかの事例では、これらの複数の吸引チャンバは、独立して動作してもよい。減圧発生装置が1つを上回る吸引チャンバを備える、いくつかの実施形態では、本装置はさらに、吸引チャンバと別個の少なくとも1つの回収チャンバを備えてもよい。
【0013】
また、本明細書に提供されるのは、患者を治療するための装置である。一実施形態では、本装置は、シール可能創傷カバーと、非円形減圧生成装置とを備える。いくつかの実施形態では、シール可能創傷カバーはさらに、カバーと、カバーに垂直に旋回軸の周囲を旋回するように構成され得る、一体型可撓性取付ポートとを備えてもよい。いくつかの事例では、取付ポートは、シール可能創傷カバーを通して、減圧生成装置との流体連通を可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、非円形減圧生成装置はさらに、減圧を生成するように構成され得る、吸引チャンバを備えてもよい。加えて、吸引チャンバはさらに、ある容積範囲を横断して、一定レベルの減圧を自己維持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、減圧生成装置は、ある範囲の回収チャンバ容積にわたって、一定外部構成を維持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引チャンバの容積は、少なくとも50ccであってもよいが、他の実施形態では、吸引チャンバの容積は、少なくとも100ccであってもよい。本明細書に説明される装置のいくつかのさらなる実施形態では、減圧生成装置は、弾性力部材を備えてもよい。そのような実施形態では、減圧生成装置は、弾性力部材を機械的に再設定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、減圧生成装置は、非電動式であってもよい。
【0014】
さらに本明細書に提供されるのは、患者を治療するためのシステムである。一実施形態では、本明細書に提供されるシステムは、シール可能創傷カバーと、非電動式減圧発生アセンブリとを備える。いくつかの実施形態では、シール可能創傷カバーはさらに、シーラント層と、シーラント層を通して通過する内腔とともに構成される、可撓性取付ポートとを備えてもよい。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、少なくとも1つの実質的一定力部材を備えてもよい。他の実施形態では、本システムはさらに、少なくとも2つの実質的一定力部材を備えてもよい。いくつかの事例では、少なくとも1つの力部材は、弾性である。いくつかの実施例では、少なくとも1つの弾性力部材は、一定力のばねである。一定力部材が使用される、ある実施形態では、減圧発生アセンブリはさらに、少なくとも1つの一定力部材を機械的に装填するように構成される、伸長剛性部材を備えてもよい。本明細書に説明される減圧発生アセンブリのさらなる実施形態では、減圧発生アセンブリは、移動軸に沿って、吸引チャンバ内を摺動するように構成され得る、シールアセンブリを備える。そのような実施形態では、減圧発生アセンブリは、吸引チャンバ内容物から独立して、移動軸に沿って固定外側寸法を維持するように構成されてもよい。加えて、減圧発生アセンブリは、吸引チャンバ内容物から独立して、固定外側構成を維持するように構成されてもよい。シールアセンブリが使用される、ある実施形態では、シールアセンブリの非平面近位外周は、湾曲非平面近位外周であってもよい。減圧発生アセンブリは、少なくとも1つの可変力部材を備えてもよく、いくつかのさらなる実施例では、少なくとも1つの可変力部材は、シールアセンブリに作用する少なくとも一部の摩擦を相殺するように構成される。さらなる実施例では、減圧発生アセンブリは、実質的一定力リボンばねまたは可変力リボンばねであり得る、少なくとも1つのリボンばねを備える。
【0015】
システムが減圧発生アセンブリを備える、患者を治療するためのシステムのさらなる実施形態では、減圧発生アセンブリは、第1の寸法と、第1の寸法に垂直の第2の寸法と、第1および第2の寸法に垂直の第3の寸法とを備えてもよい。いくつかの事例では、第1の寸法は、減圧発生アセンブリの最大寸法である。他の事例では、第2の寸法は、第3の寸法より大きい。いくつかの実施形態では、第3の寸法は、わずか約5cmであってもよいが、他の実施形態では、第3の寸法は、わずか約4cm、約3cm、約2cm、または約1cmであってもよい。減圧発生アセンブリが吸引チャンバを備える、いくつかの実施形態では、吸引チャンバは、約500ccまたはそれ未満の容積を有してもよい。他の実施形態では、吸引チャンバは、約250ccまたはそれ未満の容積を有してもよい。さらに他の実施形態では、チャンバは、約100ccまたはそれ未満の容積を有してもよい。いくつかの実施形態では、減圧発生アセンブリは、少なくとも約75mmHgだけ、シール可能創傷カバー下の圧力を低減させるように構成されてもよい。他の実施形態では、減圧発生アセンブリは、少なくとも約100mmHgだけ、圧力を低減させるように構成されてもよい。さらに他の実施形態では、減圧発生アセンブリは、少なくとも約125mmHg圧力を低減させるように構成されてもよい。
【0016】
患者を治療するためのシステが伸長剛性部材を備える、さらなる実施形態では、そのような伸長剛性部材は、解放可能係止機構を備えてもよい。いくつかの事例では、解放可能係止機構は、ラッチと、ラッチに連結された解放ボタンとを備えてもよい。患者を治療するためのシステムがシールアセンブリを備える、ある実施形態では、シールアセンブリは、少なくとも1つの一定力部材に対して押動させるように構成される、少なくとも1つの湾曲表面を備えてもよい。そのような実施形態では、シールアセンブリはさらに、前述の湾曲表面と異なる、少なくとも1つの凸面構造を備えてもよい。別の実施形態では、患者を治療するためのシステムは、シール可能創傷カバーと、非電動式減圧発生アセンブリとを備えてもよく、減圧発生アセンブリはさらに、弁を備える。いくつかの事例では、弁は、減圧発生アセンブリ内に含有される吸引チャンバとの流体連通を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、弁は、回転可能ノブに連結されてもよい。さらに別の実施形態では、患者を治療するためのシステムはさらに、シール可能創傷カバーおよび減圧発生アセンブリに連結されるように構成される、コネクタ管を備えてもよい。
【0017】
さらに本明細書に提供されるのは、患者の治療のためのシステムであって、本システムは、減圧発生アセンブリと、さらに、シーラント層と、シーラント層を通して通過する内腔とともに構成される、可撓性取付ポートとを備える、シール可能創傷カバーとを備える。いくつかの実施形態では、減圧発生アセンブリは、縦軸および縦軸を横断する非円形断面形状と、150ccまたはそれ未満の容積とを伴う、可撤性吸引チャンバを備える。減圧発生アセンブリはさらに、縦軸に沿って、吸引チャンバ内を摺動するように構成される、ピストンアセンブリを備えてもよい。いくつかの事例では、ピストンアセンブリは、縦軸を横断する非円形断面形状と、非平面近位外周とを有してもよい。減圧発生アセンブリはさらに、少なくとも2つの実質的一定力のばねコイルを備えてもよく、これは、ピストンアセンブリに連結され、少なくとも約50mmHgだけ、吸引チャンバ内の圧力を低減させるように構成される。いくつかの実施形態では、減圧発生アセンブリはさらに、ピストンアセンブリを押動させるように構成される、装填または再設定ツールを備えてもよい。いくつかの事例では、再設定ツールは、係止機構を有してもよい。さらに他の実施形態では、減圧発生アセンブリはさらに、シール可能創傷カバーに解放可能に取り付けられ、かつ可撤性減圧チャンバに解放可能に取り付けられるように構成される、コネクタ管を備えてもよい。
【0018】
別の実施形態では、患者を治療するための方法が提供され、本方法は、(a)非電動式の非円形減圧発生装置を創傷カバーから着脱するステップと、(b)減圧を生成することなく、減圧発生装置をポテンシャルエネルギーで装填するステップと、(c)再設定された減圧発生装置を創傷カバーに取り付けるステップと、(d)創傷カバーの下の封入体の中で減圧を生成するように、再設定された減圧発生装置を起動するステップとを含む。
【0019】
さらに本明細書では、患者を治療するための方法が提供され、本方法は、(a)創傷カバーを身体部位に密閉するステップと、(b)伸長長さおよび伸長長さと直角な非円形断面形状を有する、真空生成装置を使用して、身体部位における圧力レベルを低減するステップとを含む。いくつかの実施形態では、真空生成装置は、その外部寸法を変化させることなく、身体部位に対するその配向から独立して、創傷部位で実質的に一定の減圧レベルを維持するように構成されてもよい。そのような実施形態では、本方法はさらに、非円形減圧チャンバの中の移動軸に沿って非円形シールを摺動するステップを含んでもよく、シールおよび吸引チャンバは、移動軸と直角の非円形構成を有する。
【0020】
患者を治療するためのシステムの一変形例は、縦軸に沿って、吸引チャンバ内で摺動するように構成される、ピストンアセンブリと、吸引チャンバと解放可能に連通するコネクタであって、筐体を有する、コネクタと、吸引チャンバと解放可能に連通する、コネクタであって、筐体を有する、コネクタとを有する、縦軸を伴う吸引チャンバを備えてもよい。コネクタは、吸引チャンバと接続するように構成される近位開口部と、遠位開口部とを有してもよく、弁は、コネクタの近位開口部と遠位開口部との間に位置する。弁は、流体が、吸引チャンバ内外に流動することを可能にするように構成されてもよい。随意に、本システムはさらに、流体が吸引チャンバから流動することを可能にするが、その中に流動することを可能にしないように構成される、第2の弁を備えてもよい。第2の弁は、吸引チャンバの遠位肩部に、および/または吸引チャンバの側壁に沿って(例えば、吸引チャンバの側壁の最遠位部分に)、および/または吸引チャンバの遠位側壁に沿って位置してもよい。代替として、または加えて、第2の弁は、流体が、吸引チャンバの縦軸に平行方向に、ピストンアセンブリを横断して流動し得るだけではなく、また、非平行方向にも旋回または別様に流動し得るように、ピストンアセンブリ上に位置してもよい。
【0021】
また、本明細書に開示されるのは、患者の治療のためのシステムであって、これは、真空導管と連通して真空を生成するように構成される、吸引チャンバを備えてもよく、吸引チャンバは、真空導管と、剛性側壁および縦軸と、縦軸に沿って吸引チャンバの剛性側壁に対して摺動可能にシールするように構成される外周縁を伴う摺動シールを有する、ピストンアセンブリと、吸引チャンバから外への流体の退出を可能にし、吸引チャンバの中への流体の進入を阻止するように構成される、第1の一方向弁とを有し、第1の一方向弁は、真空導管に沿って位置しない。いくつかの変形例では、第1の一方向弁は、ピストンアセンブリ内に位置する一方、他の変形例では、第1の一方向弁は、吸引チャンバの剛性側壁内に位置する、または吸引チャンバの遠位肩部に位置してもよい。随意に、本システムはさらに、吸引チャンバの中への流体の進入を可能にし、吸引チャンバから外への流体の退出を阻止するように構成される、第2の一方向弁を備えてもよい。第2の一方向弁は、真空導管に沿って一体的に形成されてもよく、または真空導管に取り付けられるように構成されるコネクタ内に位置してもよい。コネクタは、吸引チャンバと接続するように構成される近位開口部と、遠位開口部とを有してもよく、第2の一方向弁は、コネクタの近位開口部と遠位開口部との間に位置する。第1の一方向弁は、ダックビル弁であってもよい。第2の一方向弁は、真空導管と連通する吸引チャンバ内に位置してもよく、または真空導管と連通する吸引チャンバの外側に位置してもよい。随意に、弁フラップは、第1の一方向弁の開口部にわたって位置してもよく、フラップは、空気の通過を可能にするが、液体または固体の通過を阻止するように構成される。弁フラップは、シリコーンゴムを備えてもよい。弁フラップは、第1の一方向弁にわたるスタンドオフにわたって配置されてもよく、スタンドオフは、第2の弁の開口部と連通する1つ以上の間隙を備えてもよい。弁フラップは、弁フラップがスタンドオフの1つ以上の間隙を遮蔽しない、第1の構成と、弁フラップが1つ以上の間隙を遮蔽する、第2の構成とを備えてもよい。ピストンアセンブリはまた、第1の一方向弁の開口部を囲繞する内壁と、内壁を囲繞する外壁とを有してもよく、内壁の高さは、外壁の高さとほぼ等しい、またはそれを上回る。内壁と外壁との間の空間は、チャネルを画定してもよい。いくつかの変形例では、第1の構成では、弁フラップは、外壁に接触せず、第2の構成では、弁フラップは、外壁に接触する。
【0022】
随意に、本明細書に説明されるシステムのいずれかは、さらに、第1および/または第2の一方向弁にわたって位置する、フィルタを備えてもよい。随意に、本明細書に説明されるシステムのいずれかはさらに、吸引チャンバの遠位壁に取り付けられる、第1の吸収性パッドを備えてもよい。第1の吸収性パッドは、開口部を備えてもよく、開口部が真空導管と整合されるように、吸引チャンバに取り付けられてもよい。いくつかのシステムは、第2の吸収性パッドを備えてもよい。第1および第2の吸収性パッドのうちの少なくとも1つは、超吸収性物質および/または接着剤表面を備える。第2の吸収性パッドは、開口部を備えてもよく、開口部が、第1の吸収性パッドの開口部と整合されるように、吸引チャンバに取り付けられてもよい。第1の吸収性パッドは、吸収性パッドが少なくとも一部の流体を吸収後、第1の吸収性パッドの少なくとも一部が、吸引チャンバの遠位壁に取り付けられたままであるように、吸引チャンバに取り付けられてもよい。いくつかの変形例では、本システムは、第1および第2の吸収性パッドのうちの少なくとも1つを吸引チャンバの遠位壁に取り付けるように構成される、拘束具を備えてもよい。拘束具はさらに、第1および第2のパッドをともに接触させて維持するように構成されてもよい。
【0023】
別の実施形態では、流体回収装置が、入口開口部を伴う回収チャンバと、第1の表面、第2の表面、その間の外側外周、および第1の表面と第2の表面との間にあって、第1の吸収性パッドの内側外周によって境界される、開口を伴う、第1の吸収性パッドであって、入口開口部に少なくとも重複する開口を伴う、回収チャンバに固着され得る、吸収性パッドとを備えるように提供される。回収チャンバは、遠位壁と、剛性側壁とを備えてもよく、入口開口部は、遠位壁内に位置してもよい。開口は、円形または非円形形状を有してもよい。外側外周および内側外周は、同一形状であるが、異なるサイズを有してもよい。開口は、入口開口部の断面表面積より大きくあり得る、断面表面積を備えてもよい。開口は、中心軸を備えてもよく、開口の中心軸を交差する第1の線に沿った外側外周と内側外周との間の第1の距離は、第1の線に直交し、開口の中心軸を交差する第2の線に沿った外側外周と内側外周との間の第2の距離とわずか30%異なってもよい。第1の距離は、第2の距離とわずか10%または20%異なってもよい。吸収性パッドは、ヒドロゲルポリマーから成ってもよい。流体回収装置はさらに、吸収性パッドを回収チャンバに連結する、固着構造を備えてもよい。固着構造は、少なくとも1つのループ構造を備えてもよい。固着構造は、Tタグ構造または保持円盤であり得る、少なくとも1つの保持アンカを備えてもよい。固着構造は、少なくとも2つのループ構造を備えてもよい。固着構造は、図8の構成における2つのループ構造を備えてもよい。固着構造は、回収チャンバに接着性に取付されてもよく、または接着性に取り付けられなくてもよく、機械的締まり嵌めによって、回収チャンバに機械的に取り付けられてもよい。流体回収装置はさらに、第2の吸収性パッドを備えてもよく、固着構造は、第1および第2の吸収性パッドの両方を回収チャンバに連結してもよい。
【0024】
なおも別の実施形態では、流体回収装置が、入口開口部を伴う回収チャンバと、第1の表面、第2の表面、その間の外側外周、および第1の表面と第2の表面との間にあって、第1の吸収性パッドの内側外周によって境界される、開口を伴う、第1の吸収性パッドであって、第1の吸収性パッドに連結される少なくとも1つの伸長部材を伴う固着構造によって、回収チャンバに固着され得る、吸収性パッドとを備え、固着構造は、回収チャンバに連結され得るように提供される。回収チャンバは、遠位壁と、剛性側壁とを備えてもよく、入口開口部は、遠位壁内に位置してもよい。吸収性パッドは、ヒドロゲルポリマーから成ってもよい。伸長部材は、ループ構造を備えてもよい。固着構造は、各伸長部材の端部に保持アンカを備えてもよい。保持アンカは、Tタグ構造または保持円盤であってもよい。固着構造は、少なくとも2つの伸長部材を備えてもよい。少なくとも伸長部材は、図8の構成を備えてもよい。固着構造は、回収チャンバに接着性または非接着性に取り付けられてもよい。固着構造は、回収チャンバと機械的締まり嵌めを形成する。吸収性パッドは、少なくとも1つの伸長部材に接着性に取り付けられなくてもよい。流体回収装置はさらに、第2の吸収性パッドを備えてもよく、固着構造は、第1および第2の吸収性パッドの両方を回収チャンバに連結する。外側外周および内側外周は、同一形状であるが、異なるサイズを有する。開口は、入口開口部の断面表面積より大きくあり得る、断面表面積を備えてもよい。開口は、中心軸を備えてもよく、開口の中心軸を交差する第1の線に沿った外側外周と内側外周との間の第1の距離は、第1の線に直交し、開口の中心軸を交差する第2の線に沿った外側外周と内側外周との間の第2の距離とわずか30%異なってもよい。第1の距離は、第2の距離とわずか10%または20%異なってもよい。開口は、非円形形状を有してもよい。
【0025】
本明細書に説明される実施形態の種々の特徴および利点のより深い理解は、例証的実施例を記載する以下の発明を実施するための形態および付随の図面を参照することによって得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、吸引器具と、延長管と、シーラント層とを備える、減圧治療装置の一実施形態の斜視図である。
図2図2は、装填構成における、図1の吸引器具の一実施形態の切断斜視図である。
図3図3は、空乏化構成における、図2の吸引器具の一実施形態の切断斜視図である。
図4図4は、再設定ツールを伴う、図2および3の実施形態の斜視図である。
図5図5は、吸引器具の一実施形態の斜視図である。
図6図6Aおよび6Bは、図5の実施形態の後方および前方斜視構成要素図である。
図7図7Aは、一掃された回収チャンバを備える、減圧治療装置の別の実施形態を描写し、装置は、装填されていない(すなわち、完全に空乏化されている)。図7Bは、装填(すなわち、完全装填された)構成における、図7Aの装置を描写する。図7Cおよび7Dは、起動され、部分的に拡張(例えば、部分的に空乏化)された状態における、図7Aおよび7Bの装置の上方および側方立面図である。
図8図8Aは、吸引チャンバの上方立面図であって、図8Bは、吸引チャンバの遠位端の断面図である。
図9図9Aは、継手アセンブリの構成要素図であって、図9Bは、図9Aの継手アセンブリの継手の断面図である。
図10図10Aは、継手と吸引チャンバコネクタとの間の接続機構の一実施形態の概略切断図である。図10Bおよび10Cは、図10Aの接続機構の断面図である。
図11図11Aおよび11Bは、それぞれ、ばねアセンブリの一実施形態の後方および前方構成要素図である。
図12図12Aおよび12Bは、それぞれ、ピストンアセンブリおよびばねアセンブリの一実施形態の後方および前方斜視構成要素図である。図12Cは、ピストンアセンブリの前方立面図である。
図13図13は、ばねアセンブリに連結されるピストンアセンブリの一実施形態の横断面図である。
図14図14Aおよび14Bは、一体型弁を伴う、コネクタの一変形例を描写する。図14Aは、コネクタの斜視図であって、図14Bは、図14Aのコネクタの断面図である。図14Cは、第2の弁の種々の場所を図式的に描写する。図14Dは、遠位壁上に位置する弁を伴う、吸引器具の一変形例を描写する。図14Eは、それを横断する弁を有する、摺動シールの一変形例の斜視図を描写する。図14Fは、図14Eの摺動シールの断面図を描写する。図14Gは、それを横断する弁を有する、摺動シールの一変形例の斜視図を描写する。図14Hは、図14Gの摺動シールの断面図を描写する。図14Iは、図14Gおよび14Hの摺動シールを有するピストンアセンブリと併用され得る、再設定ツールを描写する。
図15図15Aおよび15Bは、一方向弁と、弁にわたって配置されるフィルタとを備える、摺動シールの一変形例の斜視遠位図を描写する。図15Cは、図15Aおよび15Bの摺動シールの一部の拡大斜視図を描写する。図15Dは、弁カバーを伴う、図15Aおよび15Bの摺動シールの斜視図を描写する。図15Eは、弁カバーの面図である。図15Fは、弁カバーを伴う、図15Aおよび15Bの摺動シールの側面図である。
図16図16Aは、第1の構成における、弁カバーを伴う摺動シールの一部の概略側面図である。図16Bは、第2の構成における、弁カバーを伴う摺動シールの一部の概略側面図である。
図17図17Aは、本明細書に説明される吸引器具のいずれか内に含まれ得る、吸収性パッドの斜視図である。図17Bは、図17Aの吸収性パッドのための拘束具構造の一変形例の斜視図である。図17Cは、図17Bの拘束具構造の概略描写である。図17Dは、図17Cの拘束具構造内に保持される、図17Aの吸収性パッドの概略斜視図である。図17Eは、図17Cの拘束具構造内に保持される、図17Aの吸収性パッドの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施形態が、本明細書に説明および提示されたが、それらの実施形態は、一例として提供されるにすぎない。変形例、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく、行われてもよい。本明細書に説明される例示的実施形態の種々の代替が、本発明を実践する際に採用されてもよいことに留意されたい。本明細書に説明される実施形態の全てについて、方法のステップは、連続して行われる必要はない。
【0028】
(詳細な説明)
創傷に減圧を提供するための技法の現代の適応が、最近、開発されている。これらの種類の減圧包帯システムのいくつかの市販のモデルが存在する。これらの装置は、創傷の中に配置される接合面層と、創傷の周囲にシールを生成する、閉塞層と、接合面層および創傷と流体連通する接続管類と、別個の浸出液回収キャニスタと、真空源を提供する電気ポンプとを備え得る。しかしながら、電気ポンプは、嵩張り、かつ重く、それによって、特に、長期治療周期の間、患者の移動度を低減させる。これらの電気ポンプは、動作時、騒々しく、かつ人目を引き得る。さらに、接合面層、閉塞層、および接続管類の配置は、労働集約的かつ時間がかかり、医療従事者への患者依存性を増加させ、さらに、より高い医療コストにつながる。これらのシステムは、典型的には、有意な保持および点検を要求し、かつ汚染および感染症の拡散のリスクを運ぶ、非使い捨てポンプおよび系統的構成要素を有する。これらのシステムは、より小さい創傷を治療するために使用されることができるが、大きい創傷を治療するために設計され、通常、より小さい創傷を治療するために使用されない。現在のシステムは、その動作のために、電力に依存するため、さらに、患者移動を電気を有する面積に制約する、または電気が利用不可能である場合、限定されたバッテリ電力に依拠する。
【0029】
本明細書に説明されるのは、低減された空気圧力(すなわち、真空)を損傷組織空洞または他の種類の創傷等の治療部位に印加するように構成される、装置である。いくつかの実施形態では、装置はまた、減圧をそうでなければ損傷されていない組織に印加するために使用されてもよい。一実施形態では、組織治療装置は、シーラント層と、吸引器具とを備えてもよい。シーラント層は、療法を要求する組織の面積の周囲にシールを生成するために使用されてもよい。吸引器具は、シーラント層によって形成されるシールされた封入体と流動的に連通し、損傷組織に隣接する封入体内の圧力を低減させる。いくつかの実施形態では、吸引器具は、非電動式であってもよい。例えば、吸引器具は、すなわち、別個の電力または真空源を要求せずに、減圧を自己生成するように構成されてもよい。減圧自己生成機構を備える、減圧治療装置は、患者に、バッテリ電力が欠乏することを懸念せず、または電気コンセントまたは真空発生器へのアクセスを有する、自由度および移動度を提供してもよい。シーラント層および吸引器具は、閉鎖された減圧システムを形成し、システムの中へのガスの逆流を阻止するために使用されてもよい。
【0030】
減圧は、最初に、シールされた封入体および/または吸引器具内に位置する空気の容積を、封入体のより小さい容積からシールされた封入体と吸引器具との間に共有されるより大きい容積まで拡張することによって、自己生成されてもよい。シールされた封入体内での空気の拡張に応じて、空気分子の密度は、低下され、シールされた封入体内の圧力は、準大気圧レベルまで減少される。
【0031】
一実施形態では、組織治療装置は、創傷床または他の組織欠陥の中またはそれにわたって配置される、接触層マトリクスを備える。いくつかの実施形態では、接触層マトリクスは、減圧を創傷床を通してより均一に分散させるために使用されてもよく、また、治癒を助長する、足場または接触表面を提供してもよい。別の実施形態では、接触層マトリクスで充塞された損傷組織空洞は、次いで、シーラント層下に配置され、接触層および創傷床を含有するシールされた封入体を産生する。封入体の内部への流体連通は、シーラント層の取付ポートによって提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、取付ポートは、入口開口部を伴うカラーと、軟質エラストマー体と、および出口ポートとを備えてもよい。いくつかの実施例では、カラーは、剛性または可撓性物質から成ってもよく、カラーは、垂直角度を含む、シーラント層に対して種々の角度のうちのいずれかに配向されてもよい。取付ポートの出口ポートはまた、可撓性または剛性であってもよく、シーラント層またはカラーに対して種々の角度のいずれかに配向されてもよい。いくつかの実施例では、出口ポートは、カラーの高さに応じて、シーラント層の面に略平行に、またはさらに、シーラント層の平行面の下方に配向されてもよく、他の実施例では、出口ポートは、シーラント層の面の上方に屈曲される、または角度付けられてもよい。取付ポートの種々の構成要素は、直接、相互に接続されてもよく、またはそうでなくてもよく、入口および出口は、相互にに対してある程度の移動の自由度を有してもよい。
【0033】
装置のいくつかの実施形態では、装置は、親水コロイド物質または当業者に公知の任意の他の物質から成る、シーラント層を備えてもよい。親水コロイドシーラント層は、皮膚を保護しながら、湿気を創傷から吸収するために、半多孔性かつ通気性であってもよい。加えて、親水コロイドシーラント層は、典型的には、あまり折曲および皺を伴わずに、より容易な配置を可能にし、潜在的流体漏出経路をシールするために、アクリル接着剤等、他の物質より厚い。
【0034】
本明細書に開示される装置の一実施形態では、取付ポートは、直接、吸引器具の遠位部分に搭載される。他の実施形態では、取付ポートは、延長管を介して、吸引器具に接続される。いくつかの実施形態では、延長管は、絡まりを緩和するように適合されてもよい。吸引器具および延長管類は、類似継手および解放ボタンを有し、偶発的切断を防止してもよい。延長管類が使用される、実施形態では、延長管類の遠位端は、類似継手を用いて、吸引器具の遠位端に接続される。
【0035】
本明細書に開示される装置のいくつかの実施形態は、取付ポートまたは別の構成要素の中に一体型圧力ゲージを備える。取付ポートの中への圧力ゲージの搭載は、創傷に隣接し、シーラント層によって形成される、封入体内の圧力レベルの正確な測定を可能にする。本明細書に説明される圧力ゲージは典型的には、減圧源を創傷に接続する管類内の血塊によって生じる、正しくない圧力読取値を被りにくくあり得る。
【0036】
本明細書に開示される減圧システムのいくつかの実施形態では、吸引器具は、減圧発生ユニットの外部寸法を変更せずに、封入体内の空気の容積を強制的に拡張させることによって、損傷組織に隣接する封入体内の空気圧力を低減させる。他の実施形態では、組織治療装置は、圧力を実質的一定レベルに自己調整してもよい。
【0037】
一実施形態では、吸引器具は、チャンバと、摺動シールと、弁と、起動システムとを備える。吸引カートリッジは、解放ボタンおよび起動ボタンを遠位部分内に備えてもよい。起動ボタンは、「オフ」位置にあるとき、創傷に隣接する封入された面積からチャンバへの流体連通を防止する、摺動羽根弁に接続されてもよい。起動ボタンが押下されると、摺動羽根弁は、「オン」位置に切り替わり、封入体からチャンバへの流体連通を可能にしてもよい。起動ボタンは、「オフ」位置に付勢されるようにばね荷重されてもよいが、いったん押下されると、ばね荷重されたラッチは、「オン」位置に留まるように係合してもよい。解放ボタンは、任意の物品(例えば、延長管類またはシーラント層取付ポート)の吸引器具からの取り外しを可能にし、吸引チャンバと封入された面積との間の流体連通を終了するように適合および構成されてもよい。解放ボタンは、相互係止区画に係合し、ラッチを起動ボタンから引き離してもよい。起動ボタンが「オン」位置にある場合、ばね荷重によって、「オフ」位置に戻るであろう。
【0038】
減圧システムの一実施形態では、吸引チャンバは、その中に同心円状に配置された摺動シールを有する、楕円形の円筒を備える。チャンバは、摺動羽根弁に接続された開口部に隣接して位置するチャンバの遠位端と、摺動シールの現在の位置との間の距離によって画定される、可変有効容積を有する。完全装填状態では、シールは、吸引カートリッジの遠位端に最も近く、チャンバの有効容積は、ゼロまたはほぼゼロである。摺動シールは、チャンバの有効容積が最大である起動状態に向かってシールを付勢するために使用され得る、1つまたは一連のばねに接続されてもよい。ばねは、リボンばねを含む、種々の構成のうちのいずれかを有してもよい。リボンばねは、実質的に一定力のばね、または可変力のばねであってもよい。いくつかの実施例では、ばね種類の組み合わせが使用されてもよい。なおも他の実施例では、単一のリボンは、各端部にコイルを伴って構成され、単一のリボンの中間領域で摺動なシールに取り付けられてもよい。装置の一実施形態では、ばねは、0.5ポンド未満の力を及ぼしてもよい。本発明の他の実施形態では、一定力のばねは、1ポンド未満の力を及ぼしてもよい。減圧システムのいくつかの実施形態では、一定力のばねは、5ポンド未満の力を及ぼしてもよい。本明細書で開示される装置の他の実施形態では、実質的に一定力のばねは、20ポンド未満の力を及ぼしてもよい。他の実施例では、装置の回収容積にわたって及ぼされる1平方インチあたりの力は、約0.1psi〜約15psi、いくつかの実施例では、約0.5から約20psi、他の実施例では、約1.5psi〜5psiの範囲内であってもよい。この圧力は、単一の力部材によって及ぼされてもよく、または2つ以上の力部材からの総合圧力であってもよい。力または圧力は、治療されている創傷の種類、サイズ、場所、または別の好適な特性に基づいて選択されてもよい。
【0039】
組織療法システムのいくつかの実施形態では、吸引カートリッジは、減圧下、吸引チャンバ形状の外部形状を維持するように適合される、剛性ポリマーから加工される。吸引チャンバは、限定ではないが、ポリカーボネート、コポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ABS、ガラス、医療グレードのポリマー、またはそれらの組み合わせ等、任意の好適なポリマーから作製されることができる。
【0040】
減圧システムの他の実施形態では、摺動シールは、その下方の吸引器具の部分と吸引器具の残りとの間に気密分離を生成するように適合される、物質から加工される。物質は、エラストマーまたは非エラストマーであってもよい。摺動シールは、シリコーン、フルオロシリコーン、ニトリル、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ウレタン、ブチル、ポリオレフィン、ポリウレタン、スチレン、ポリテトラフルオロエチレン、任意の他の好適な物質、またはそれらの組み合わせ等の物質から作製されることができる。
【0041】
組織治療システムのいくつかの実施形態では、吸引カートリッジは、摩擦軽減潤滑剤を使用してコーティングされ、吸引チャンバ内の摩擦による摺動シールの移動を低減し、長期間静止位置に存在後、シールが粘着する可能性を低下させてもよい。潤滑コーティング物質は、ポリジメチルシロキサン、ペルフルオロポリエーテル、ミネラルスピリット、合成油、ポリキシレン、任意の他の好適な潤滑ポリマーまたは物質、あるいは任意のそれらの組み合わせであってもよい。
【0042】
本明細書に開示される減圧システムの一実施形態では、吸引器具ばねは、起動に先立って、高ポテンシャルエネルギー拡張状態に配置される。装置の他の実施形態では、起動に先立って、摺動羽根弁は、閉鎖され、チャンバは、完全にシールされる。そのような実施形態では、ばねは、チャンバ内の極端に小容積の空気でも、摺動シールの一定力のばねの後退によって生じるであろう拡張を阻止するため、後退しないように防止される。装置は、いったん創傷床がシーラント層でシールされると、起動される準備が整い、シーラント層は、直接または延長管を介してのいずれかで、吸引カートリッジに接続される。
【0043】
本明細書に開示される組織治療システムが起動されると、流体連通が、吸引チャンバとシールされた創傷封入体との間に確立される。封入体内には、有限量の空気(最初は、大気圧)が存在するため、起動に応じて、一定力のばねが、摺動シールを後退させ、吸引チャンバの有効容積を拡張するであろう。理想気体の法則によって知られるように、空気の容積が断熱的に拡張するにつれて、空気の圧力は、低下し、シールされた創傷封入体を減圧に曝すであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、組織治療システムを使用して、システム内へ漏出される滲出液および空気の存在にかかわらず、実質的に一定レベルの減圧を維持してもよい。摺動シールは、機械的システムであって、シール位置は、実質的に一定力のばねの牽引力、システム内の他の牽引力要素、および/またはチャンバシールにわたる圧力差に基づいて、均衡であるように適合および構成される。システム内の他の牽引力要素は、摩擦力(すなわち、静的および/または動的摩擦力)を含んでもよい。減圧をチャンバ内で大気圧に戻す場合、ばねの引張力は、圧力差による引張力よりも大きくなるであろう。これは、ひいては、ばねを後退させ、チャンバの容積を同時に増加させるであろう。本容積増加は、新しい均衡状態が到達され、圧力差および実質的に一定のばね力が新しい均衡状態に到達するまで、チャンバ内において、大気圧からの圧力低下をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、吸引チャンバの壁は、直線であって、それによって、チャンバ内のシールの実際の位置にかかわらず、減圧のレベルが一定に留まることを保証する。
【0045】
いくつかの実施形態では、吸引器具は、絶対圧力レベルによって、および/または大気圧に対する圧力レベル低減によって、概して特徴付けられ得る、減圧を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、装置は、約0〜約760mmHgの間の減圧レベルを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、シーラント層および治療部位によって形成される封入体の中の生成された減圧の量は、約10mmHgを上回る、約20mmHg、約50mmHg、約80mmHg、約100mmHg、約150mmHg、約200mmHg、約500mmHg、約700mmHg、またはさらに約750mmHgを上回る。装置は、減圧が約0〜約760mmHgの間のいずれかである、絶対減圧をシーラント層の下で生成してもよい。いくつかの実施形態では、シーラント層によって形成される封入体の中の生成された減圧の量は、約700mmHg未満、時には約600mmHg未満、他の時には、約400mmHg未満、または約250mmHg未満、約125mmHg、約75mmHg、約50mmHg、約25mmHg未満、または約10mmHg未満である。いくつかの実施形態では、シーラント層は、概して、治療されている組織の領域の周囲に追従する。組織治療装置は、増進した使用快適性のために可能な最小構成を維持しながら、より大きくてより滲出性の創傷の治療を可能にする、異なる回収チャンバサイズを有してもよい。これは、より小さい減圧源を包帯またはシーラント層に部分的または完全に組み込むことができるため、小さい創傷または治療部位にとって特に有利であってもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具の空洞は、容積が約50cc未満である一方で、他の実施形態では、空洞は、容積が約100ccであってもよい。他の実施形態では、回収チャンバは、容積が約150cc未満である。いくつかの実施形態では、回収チャンバは、容積が約200cc未満である。他の実施形態では、回収チャンバは、容積が約300ccよりも小さい。いくつかの実施形態では、回収チャンバは、容積が約500cc未満である。他の実施形態では、回収チャンバは、容積が約1000cc未満である。他の実施形態では、吸引器具の空洞は、少なくとも約50cc、約100cc、約150cc、約200cc、約300cc、約500cc、あるいは約1000ccまたはそれを上回ってもよい。
【0046】
ある実施形態では、装置は、吸引器具の近位端である開口部内に嵌入し、レバー内に内蔵されるラッチが定位置に係止されるまで、装置の遠位端に向かってばねを押下することによって、一定力のばねをポテンシャルエネルギーによって装填するレバーとしての役割を果たす、伸長剛性部材を備える。いくつかの実施形態では、伸長部材は、吸引器具本体に一体化され、吸引器具のキャップとしての役割を果たす。いくつかの実施形態では、伸長レバーは、ばね内に保存されるエネルギーを損失させ得る、微量の漏出によるばねの後退を防止するため、吸引器具の安全な保管を可能にする。他の実施形態では、偶発的装填解除が生じると、または装置の使用時、非検出漏出が存在すると、ばね機構の再装填を可能にする。
【0047】
いくつかの実施形態では、吸引器具は、吸引力生成ユニットの近位端の噛合開口部内に挿入されるように適合および構成される、伸長剛性部材を備える。伸長剛性部材は、チャンバシールの剛性部分に接触し、したがって、一定力のばねに対して、チャンバの下方にシールを機械的に押動するために使用され、それによって、ポテンシャルエネルギーを一定力のばねに与えることができる。本押動運動は、吸引カートリッジが延長管類または取付ポートから切断され、起動ボタンおよび摺動羽根弁がオフ位置に来ることによって完了する。いったん摺動シールが最大ばね延長近接点に到達すると、伸長剛性部材上のラッチタブは、吸引器具本体内のスロットに係合し、ばねの後退を防止するであろう。本時点では、摺動羽根弁は、解放ボタンを押下することによって閉鎖され、それによって、チャンバをシールするはずである。次いで、伸長部材は、起動の準備のために吸引器具を残して、ラッチタブを押下することによって除去することができる。
【0048】
図1は、吸引器具101と、延長管102と、シーラント層103とを備える、減圧治療装置100の一実施形態を例示する。シーラント層103は、シーラント層103を延長管102および/または直接吸引器具101に接続するように構成される、一体型取付ポート106をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、延長管102または吸引器具101のコネクタは、取付ポート106の軸を中心として回転するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、取付ポート106は、その台座110の周囲を回転する、ならびに/あるいはシーラント層103に向かっておよび/またはそこから離れて屈曲するように構成されてもよい。例えば、取付ポート106は、約360度またはそれを上回って自由に回転する、あるいは、限定ではないが、例えば、約315度、約270度、約225度、約180度、約135度、約90度、または約45度を含む、約360度未満の限定された回転範囲を提供するように構成されてもよい。他の実施形態では、管類コネクタおよび/または取付部のコネクタ接合面は、長手方向内腔軸に対して回転するように構成されてもよい。取付ポート106は、シーラント層の面に略平行な固定配向を有してもよいが、他の構成では、平行面の下方または平行面の上方に角度付けられてもよい。さらに他の実施例では、取付ポート106は、シーラント層103に対して屈曲または枢動するように構成されてもよい。屈曲または枢動の範囲は、約0度〜約45度または約90度、約0度〜135度または約180度、または約−15度または約−30度〜約45度、約90度、約135度、約180度、195度、または約210度であってもよい。ある実施形態では、取付ポート106は、回転および枢動するように構成されてもよい。
【0049】
延長管は、種々の機構のいずれかによって、取付ポートに連結されてもよい。例えば、取付ポートは、延長管の内腔内に挿入され得る、抵抗または干渉継手を備えてもよい。抵抗継手は、延長管の分断を阻止するように構成される、1つ以上のフランジを備えてもよい。他の実施例では、延長管は、取付ポートの内腔または開口部内に挿入されてもよく、取付ポートは、John Guest継手(Middlesex, UK)等の押し込み継手を備えてもよい。他の実施形態では、螺設または機械的相互係止継手を含む、両構成要素上のコネクタが使用されてもよい。コネクタは、構成要素の連結および分断の両方を促進するように構成されてもよい。
【0050】
図1に描写される実施例では、延長管102の一端は、取付ポートのコネクタ接合面111に連結されるように構成される、ポートコネクタ105を備え、他端は、吸引器具101のコネクタ接合面113に連結するように構成される、吸引器具コネクタ107を備えてもよい。描写される実施形態では、取付ポート106のコネクタ接合面111および延長管102の吸引器具コネクタ107は、オス型コネクタを備えてもよい一方、吸引器具101のコネクタ接合面113および延長管102のポートコネクタ105は、メス型コネクタを備えてもよい。上述の特定のオス・メス構成は、例示にすぎず、他の実施形態では、オス・メス構成が反転されてもよく、非指向性であって、任意の方向における延長管102のコネクタを可能にする接合面を含む、任意の他の種類の相補的接合面が使用されてもよい。これらまたは他の相補的構成を使用して、吸引器具101とシーラント層103との直接接続と、延長管102の任意の使用の両方を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、延長管および/または延長管コネクタは、また、複数の延長管が、指定の順番または任意の順番のいずれかにおいて、ともに結合され得るように構成されてもよい。また、延長管は、例えば、管の挟着または他の変形を阻止し得る、螺旋巻線または他の管状支持部等の1つ以上の応力除去または耐捻転構造を備えてもよい。図1では、例えば、延長管102のポートコネクタ105および吸引器具コネクタ107は、それぞれ、張り出し開口部115および117を備え、コネクタ105および107に対して、少なくともある程度の管102のたわみを可能にする一方、張り出し開口部115および117の長さに沿って、屈曲応力を分配し、挟着を阻止する。他の実施形態では、コネクタの応力除去構造は、1つ以上の屈曲可能または変形可能突起(張り出していてもよく、またはそうでなくてもよい)を備えてもよい。
【0051】
また、延長管の1つ以上のコネクタは、係止機構を備え、延長管の分断および/または取付を促進してもよい。いくつかの実施例では、係止機構は、シーラント層および/または吸引器具からの不慮の分断を阻止してもよい。図1に描写される実施例では、延長管102のポートコネクタ105は、ボタン108が押下されるまで、分断を阻止するように構成されるコネクタ解放ボタン108を伴う、係止機構を備える。コネクタ解放ボタン108は、取付ポート106上の相補的構造または表面と相互係止あるいは抵抗嵌合を形成する、可動構造に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ解放ボタン108は、ばね荷重または別様に付勢されてもよく、コネクタ105と取付ポート106との間に付加的シールおよび/または係止力を提供してもよく、またはそうでなくてもよい。他の変形例では、スライダ、レバー、またはノブを含む、他の係止接合面が使用されてもよい。取付ポート106は、1つ以上の把持物質または加工把持表面109を備えてもよい。取付ポート106の外側の把持表面109は、延長管102または吸引器具101上のコネクタの手動接続および切断を促進してもよい。把持表面109は、例えば、1つ以上のフランジあるいは隆起部、および/またはポリスチレンならびにポリブタジエン樹脂を伴う、ゴムもしくはブロックコポリマー、例えば、Kraton Polymers, LLC(Houston, Texas)から市販のKRATON(登録商標)ポリマー等の高牽引力物質を備えてもよい。また、把持物質または構造は、コネクタ105ならびに107および/または吸引器具101上に提供されてもよい。図1では、例えば、吸引器具101は、吸引器具101の本体121に対して縮小幅を有する、前端部品104を備える。前端部品104は、延長管102または取付ポート106から取外したりあるいは引き離す際、吸引器具101の把持を促進してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、吸引器具は、概して、減圧下、その形状を維持するように構成される、剛性ポリマーを備えてもよい。吸引器具は、ポリカーボネート、コポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ABS、ガラス、または当業者に周知の任意の他のポリマー等の任意の好適なポリマーから成ることができる。
【0053】
図2および3は、図1の吸引器具101の一実施形態の詳細図である。コネクタ接合面113は、図1に描写されるように、延長管102の近位端において、コネクタ107に、および/または取付ポート106のコネクタ接合面111に連結され得る、コネクタ200を備えてもよい。吸引器具101は、吸引チャンバ202内に配置される、摺動シール207をさらに備えてもよい。図2は、吸引チャンバ202の遠位端208の近傍の遠位位置にある摺動シール207を描写し、図3は、吸引チャンバ202の近位端209の近傍の近位位置にある摺動シール207を描写する。摺動シール207は、シール搭載部210上に搭載され、チャンバ202の遠位端208と近位端209との間を横断するように構成される一方、実質的気密性シールを維持してもよい。また、吸引チャンバ202は、シール207によって分離されるチャンバ202の一部によって特徴付けられてもよい。例えば、吸引チャンバ202は、チャンバ202の遠位端208とシール207との間に配置される回収チャンバ216と、吸引チャンバ202の近位端209とシール207との間の作業チャンバ218とを備えてもよい。回収チャンバ216は、減圧を発生するように構成され、コネクタ200と流体連通し、シーラント層103下に減圧を提供してもよい。図2および3に描写される特定の実施形態では、創傷から吸引される物質の回収および減圧の発生の両方が、回収チャンバ216内で生じるが、他の実施形態では、回収チャンバおよび減圧発生チャンバは、異なる構造であってもよい。
【0054】
吸引器具101の作業チャンバ218は、1つ以上の力または付勢部材を含有してもよく、また、シール207へのアクセスを提供し、力または付勢部材の装填あるいは再設定を可能にしてもよい。力または付勢部材の一部は、作業チャンバ218の一部に取り付けられる、あるいは固定されてもよい一方、別の部分は、シール207に取り付けられる。図2に描写される特定の実施形態では、力部材は、2つの一定力のばね212を備え、近位端215は、支柱またはピン213を使用して、作業チャンバ218内に搭載される一方、その遠位端217は、シール207に連結されるシール搭載部210に取り付けられる。いくつかの実施形態では、シール207およびシール搭載部210は、一体的に形成されてもよい。摺動シール207は、注入外側被覆、接着剤接合、あるいは機械的接合等の方法によって、もしくは機械的抵抗または相互係止嵌合によって、シール搭載部210上に搭載されてもよい。他の実施形態では、力部材は、シール207に直接連結されてもよい。シール207の機能および構造は、以下に詳述される。
【0055】
回収チャンバ216および作業チャンバ218の容積は、シール207の位置に応じて、変動してもよい。図2では、シール207が、拡張位置および装填構成にあり、回収チャンバ216の有効容積は、約ゼロまたはゼロに近くてもよい。図3では、シール207が、後退位置にあり、回収チャンバ216の有効容積は、シール207、シール搭載部210、および/または付勢部材によって占有される容積にかかわらず、吸引チャンバ202の容積またはほぼ吸引チャンバ202の容積であってもよい。他の実施例では、回収チャンバの容積は、概して、付勢部材によって発生される力と、回収チャンバ216内に発生される減圧から生じる反作用力との均衡に基づいてもよい。作業チャンバ218の容積は、回収チャンバ216の容積に逆相関してもよい。いくつかの事例では、作業チャンバ218の最大容積は、シール207あるいはシール搭載部210による、および/または作業チャンバ218もしくは作業チャンバ218の移動範囲を限定する構造内に配置される他の構造による容積変位から生じ得る、吸引チャンバ202の容積未満であってもよい。
【0056】
シール207へのアクセスは、筐体220の遠位端209を中心として配置される、アクセス開口部224を通して達成されてもよい。摺動シール207が、図2に描写されるような拡張位置から、図3に描写されるような後退位置へと横行するのに伴って、回収チャンバ216の内部容積は、約ゼロから、完全後退位置で提供される約最大容積へと増加し、吸引器具101は、最大有効回収容積を伴う、回収チャンバ216を備える。回収チャンバ216が、シールされた創傷封入体との気密性流体連通状態にあり、良好な創被覆シールが、創傷封入体内で得られると、回収チャンバ216の容積の拡張は、シールされた創傷封入体内の圧力レベルを、一定力のばね212によって摺動シール207に印加される復元力と、摺動シール207にわたる圧力差との間の均衡が到達される点まで低減させるであろう。
【0057】
吸引器具101のいくつかの実施形態は、コネクタ200と回収チャンバ216との間の流体連通を選択的に可能にするように構成され得る、弁201をさらに備えてもよい。弁201は、例えば、回転シリンダ弁または羽根弁を含む、種々の構成のいずれかを有してもよい。また、弁は、多方向弁、二方向弁、または一方向弁であってもよい。弁201の構成は、起動ボタン203または他の種類のアクチュエータ(例えば、ノブ、スイッチ、レバー、またはスライダ)によって、制御されてもよい。いくつかの実施形態では、起動ボタン203は、チャンバ弁201が、回収チャンバ216とコネクタ200との間の流体連通を閉鎖または遮断する、第1の構成と、弁201が、空気および/または滲出液の通過を開放あるいは可能にし、コネクタから回収チャンバ216へ流動させる、第2の位置とを備えてもよい。いくつかのさらなる実施形態では、いくつかの弁は、吸引器具101および/またはシーラント層内への物質の注入を選択的に可能にする付加的構成、ならびに/あるいは回収チャンバから空気および/または物質の除去を選択的に可能にする構成を有してもよい。
【0058】
さらなる実施形態では、ばね機構204は、弁201またはそのアクチュエータを閉鎖あるいは開放位置へと付勢してもよい。例えば、ばね機構204は、弁201を閉鎖位置へと付勢し、コネクタ200と回収チャンバ216との間の流体連通を遮断するように構成されてもよい。弁201が作動され、流体連通を開放する際、ラッチ機構205または他の種類の係止機構を使用して、弁201に係合し、ばね機構204が弁201を閉鎖するのを防止してもよい。また、係止機構は、延長管またはシーラント層の選択的切断あるいは分離を可能にするように構成される、解放機構を備えてもよい。例えば、コネクタ200は、解放ボタン206または他のアクチュエータが押下あるいは操作されるまで、コネクタ200を通して吸引器具101に接続される、任意の構成要素の切断を防止もしくは阻止するように構成されてもよい。解放機構は、例えば、1つ以上の交換可能、または可動抵抗、あるいは相互係止構造を備えてもよい。他の実施形態では、係止および/または解放機構は、延長管あるいはシーラント層の取付ポート上に配置されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、解放ボタン206は、弁201を制御するための機構を備えてもよい。例えば、解放ボタン206は、ラッチ205を弁201から係脱させ、ばね機構204に、コネクタ200と回収チャンバ216との間の流体連通を遮断する閉鎖位置へと弁201を再位置付け可能にするように構成されてもよい。他の実施形態では、解放ボタン206は、流体連通経路内の第2の弁を制御するように構成されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、吸引器具101は、シール207の移動軸に横断または垂直の面に対して非円形断面形状を伴う、吸引チャンバ202を備えてもよい。非円形断面形状は、例えば、ほぼ矩形またはほぼ楕円形状を含むが、それらに限定されなくてもよい。吸引器具101は、第2の横寸法より大きい第1の横寸法を備えてもよく、各横寸法は、摺動シール407の移動軸と直角である。いくつかの実施形態では、第1の横寸法と第2の横寸法との比率は、少なくとも約1.5、ある場合には、少なくとも約2、またある場合には、少なくとも約3、または約5、あるいはそれを上回る。
【0061】
シールされた創傷封入体内で減圧レベルを発生させるための吸引器具101を準備するために、装置が、装填される、すなわち、摺動シール207および実質的に一定力のばね212が、吸引チャンバ202内の遠位または拡張位置に配置されてもよい。吸引器具101の装填は、シール207またはシール搭載部210へのアクセスを提供するように構成される開口部224を通して挿入される、押動機構あるいはツールを使用して行なわれてもよい。図4に描写される装填または再設定ツール400を含む、押動機構の実施例は、以下により詳細に説明される。再設定ツールは、吸引器具が使用された後、吸引器具を装填状態(例えば、完全装填または部分的装填状態)に配置するために使用されてもよいが、再設定ツールはまた、最初の使用に先立って、最初に、吸引器具を装填するために使用されてもよい。いくつかの変形例では、吸引器具は、製造の際に、完全装填状態に配置されてもよく、そこで、再設定ツールは、開口部を通して挿入され、シールまたはシール搭載部に接触する。その最初の使用に先立って、装填された吸引器具は、再設定ツールを除去することによって起動されてもよい。図2に戻ると、摺動シール207は、拡張位置に配置され、また、一定力のばね212は、拡張状態にあり、ポテンシャルエネルギーによって装填されている。いくつかの実施形態では、吸引器具101が装填されると、羽根弁201が閉鎖され、回収チャンバ216をシールする。これらの実施形態では、回収チャンバ216内の小容積の空気が、一定力のばね212の後退によって生じるであろう拡張を阻止するため、一定力のばね212によるシール207の後退は、阻止または防止される。吸引器具101は、係止機構を備え、摺動シール207を完全装填位置に維持してもよい。いくつかの実施形態では、装填機構またはツールはまた、摺動シール207を定位置に保ち、一定力のばね212による後退を阻止するために使用されてもよい。
【0062】
いったん創傷床がシーラント層でシールされ、装填された治療装置が吸引器具に接続されると、装填された治療装置が起動され、創傷床内に減圧を発生させてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療装置のユーザは、起動ボタン203を押下することによって、治療装置を起動してもよい。いくつかの実施例では、起動に先立って、起動ボタン203が、「オフ」位置に付勢されてもよい。起動ボタンを押下または別様に操作することによって、弁201に、回収チャンバ216とシールされた封入体との間の流体連通を開放させる。いったん起動ボタン203が押下されると、相互係止部品上のばね荷重ラッチは、起動ボタン203を「オン」位置に保つように係合してもよい。
【0063】
減圧治療装置が起動されると、流体連通が、シールされた創傷封入体と回収チャンバ216との間に確立される。十分な包帯シールが、シールされた封入体内に得られる場合、初めは大気圧であるシールされた封入体内に、有限量の空気および/または滲出液が存在するはずである。吸引器具101の起動に応じて、装填された一定力のばね212は、次いで、摺動シール207を後退させ、回収チャンバの容積216を拡張させるであろう。摺動シール207の移動は、一定力のばね212の牽引力が摺動シール207を横断する圧力差と等しくなる均衡位置で停止するであろう。
【0064】
回収チャンバが、シールされた創傷封入体あるいはシステム内の他の場所内への潜在的空気の漏出による滲出液および/または空気によって充填されるにつれて、摺動シール207は、図3に描写されるように、一定力のばね212が後退位置に到達するまで、吸引チャンバ202の近位端209に向かって後退するであろう。さらなる後退は、吸引チャンバ202内の制限構造(該当する場合)によって、または減圧回収チャンバ216が、創傷封入体および回収チャンバ216によって共有される結合容積内の増加による大気圧に戻るのにつれた対抗力の減少の結果として、停止されてもよい。次いで、治療装置は、処置部位から除去されてもよく、または吸引器具101は、シーラント層103から切断されてもよい。上述のように、切断は、解放ボタン206を押下または作動させることによって、達成されてもよい。いったん解放ボタン206が押下または作動されると、羽根チャンバ弁201は、その「オフ」位置に係合され、シールされた創傷封入体と回収チャンバ216との間の任意の流体連通を終了あるいは遮断するであろう。また、起動ボタン203を「オン」位置に強制または維持する、相互係止部品上のばね荷重ラッチ205は、引き離される、または別様に操作され、起動ボタン203をその「オフ」位置へと戻すであろう。
【0065】
図4に描写されるように、組織治療システムのいくつかの実施形態は、吸引器具101内に挿入され得る、装填または再設定ツールまたはロッド400を備えてもよい。ロッド400は、筐体220の開口部224を通して押動され、摺動シールを吸引チャンバ202の遠位端208に向かって押動し、一定力のばねをポテンシャルエネルギーによって装填させてもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具101は、再設定ツール400が、一定力のばね212がシール搭載部210に連結される場所またはそこに隣接して、シール搭載部(図2の210)に接触あるいは係合するように構成されてもよい。他の実施形態では、吸引器具101は、再設定ツール400が、シール搭載部210の押動に加え、またはその代わりに、ばね212を直接押動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、いったん摺動シールが完全装填構成に移動されると、再設定ツール400のシャフト403上に位置する係止構造またはラッチ402は、筐体220の相補的構造(例えば、図3のスロット219)に係合してもよい。したがって、再設定ツール400を使用して、シールをその完全装填構成に係止し、一定力のばねが後退し、そのポテンシャルエネルギーを損失するのを阻止してもよい。再設定ツール400はまた、ハンドル412を備え、ツール400の把持および使用を促進してもよい。
【0066】
他の実施例では、装填機構は、再設定ツールを装置から除去せずに、使用されてもよい。これらの実施形態では、シールが後退するにつれて、再設定ツールは、筐体のアクセス開口部から延在するであろう。さらに他の実施例では、実質的に一定力のばねまたは他の付勢部材を解き放ちおよび延在させ、装置を装填するために使用され得る、1つ以上の回転可能ノブを含むが、それに限定されない、線形の押動型機構以外の装填機構が使用されてもよい。ばね力を克服し、装置を装填するために要求される力が過剰となり得る、いくつかの他の実施例では、再設定ツールは、螺設されてもよく、再設定ツール開口部は、ハンドルに連結されるネジ駆動部を伴って構成され、装置を装填および再設定するユーザに機械的利点を提供してもよい。さらに他の実施例では、回転可能ノブを備える実施形態は、摺動式ハンドル、揺動式ハンドル、または取付可能ハンドルを備え、ユーザがノブを回すと、より大きなトルクを提供してもよい。
【0067】
図2および3に戻ると、アクセス開口部224は、挿入の際、再設定ツール400の旋回または角形成を制限または限定するように構成されてもよい。また、筐体220は、ガイド222を備え、挿入の際、再設定ツール400の運動をさらに制限または限定してもよい。再設定ツール400はまた、ガイド構造を備えてもよい。図4は、例えば、ばね212が拡張されるにつれて、一定力のばね212に沿ったシャフト403の追跡を促進し得る隆起部または隆起縁410を伴う、再設定ツール400を描写する。再設定ツール400および/またはシール搭載部210の遠位端は、相補的接合面を伴って構成され、再設定ツール400を使用して力が印加されるにつれて、分断を阻止してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、前述の装填または再設定手順は、吸引器具が、任意の他の構成要素、例えば、延長管類、取付ポート、またはシーラント層から切断されると、行なわれてもよい。吸引器具を装填後、吸引器具は、直接または延長管類を通して、シーラント層に取り付けられ、再設定ツールが除去され、吸引器具上の起動ボタンが押下され、シーラント層によって生成される、シールされた創傷封入体内に減圧を印加する。他の実施形態では、本装填プロセスは、「オフ」位置にある起動ボタンによって完遂される。そのような設計は、上昇圧が不注意に損傷組織に印加されるのを防止し得る。また、回収チャンバと連通する一方向弁が提供され、本装填手順の際、回収チャンバから空気を排出してもよい。依然として、図3および4を参照すると、いくつかの実施形態では、いったん吸引器具101が完全に装填されると、再設定ツール400のシャフト403上のラッチタブ404または他のアクチュエータが、押下あるいは操作され、ラッチ402を相互係止スロット215から係脱することができ、それによって、再設定ツール400を吸引器具101から抜脱可能となる。いくつかの実施形態では、微量の漏出によって一定力のばねが後退するのを防止するため、再設定ツール400が吸引器具内に残され、吸引器具の安全な保管を保証してもよい。いくつかの実施例では、装填手順は、製造時に行なわれてもよい一方、他の実施例では、吸引器具は、非装填状態で提供され、使用時に完全に装填されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、シール搭載部210は、安定化装置211をさらに備え、吸引器具101の主要軸に対する摺動シール207の過度の角度変位を防止または阻止してもよい。安定化装置211は、シール搭載部210からの長手方向延長部または突起を備えてもよい。安定化装置211は、概して、シール207の長手方向移動軸に平行な配向を有してよく、またはそうでなくてもよい。また、安定化装置211は、その全長に沿って、吸引チャンバ202の壁と摺動接触するように構成されてもよく、または吸引チャンバ202の壁と部分的にのみ接触するように構成されてもよい。例えば、安定化装置の一部は、吸引チャンバの壁から湾曲または角度付けられてもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具101の内部は、摩擦軽減潤滑剤または潤滑剤コーティングをさらに備える。他の実施例では、シールおよび/またはシール搭載部は、その外周に沿って可変厚を有する、または吸引チャンバの壁と接触してもよい。いくつかの事例では、増加厚によって、シールの寸法に沿って、シールの安定性を増加させてもよい。いくつかの実施例では、増加厚を伴うシールおよび/またはシール搭載部の一部は、a)外周の一部、およびb)シールおよび/またはシール搭載部の中心移動軸を交差する横寸法に応じて、変動してもよい。可変厚を伴うシールおよび/またはシール搭載部の他の実施例は、以下に詳述される。
【0070】
図1から4に描写される減圧治療装置は、別個の「起動」および「解放」アクチュエータを伴う吸引器具101を備えるが、他の実施形態では、「起動」および「解放」位置を伴う単一アクチュエータが、提供されてもよい。さらに他の実施形態では、アクチュエータは、提供されなくてもよい。後者の実施形態のいくつかでは、吸引器具は、再設定ツールからの力がもはや印加されなくなると、減圧を生成し始めてもよい。他の実施例では、吸引器具は、延長管の連結または分断から弁を開放または閉鎖し得る、起動および/または解放機構とともに構成されてもよい。例えば、吸引器具は、延長管またはコネクタがその中に挿入されると開放する、スリット弁を備えてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、吸引器具は、筐体内に連結または含有され得る、別個のまたは分離可能回収チャンバを備えてもよい。筐体は、回収チャンバと接合し、回収チャンバ内に減圧レベルを自己生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、筐体はさらに、回収チャンバ内に位置するシールまたはシール搭載部に連結するように構成される、少なくとも1つの力部材を備える。いくつかの実施形態では、再設定ツールが使用され、回収チャンバおよび筐体の連結を促進し、および/またはシールを装填してもよい。いくつかの実施形態では、吸引器具の回収チャンバは、筐体から分離され、廃棄されてもよく、新しい回収チャンバが、筐体に連結されてもよい。他の実施形態では、回収チャンバは、筐体から分離され、空にされ、および/または清掃され、次いで、筐体と再連結されてもよい。減圧治療装置の長期使用の際、筐体はまた、筐体または力部材の摩耗および断裂に起因して、交換されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、減圧療法を損傷組織の面積に印加する方法が、提供され、シーラント層を治療されるべき組織の面積の周囲に添着するステップと、シーラント層を用いて、組織の面積の周囲にシールされた封入体を生成するステップと、吸引器具内に含有される往復運動部材を吸引器具の有効回収容積が約ゼロである拡張位置に位置付けることによって、吸引器具を装填または再設定するステップと、シールされた封入体と吸引器具との間に流体連通を生成するステップと、往復運動部材を後退位置に引き戻すことによって、吸引器具を起動し、それによって、シールされた創傷封入体内に元々位置する空気の容積を強制的に拡張し、減圧レベルをシールされた封入体内に生成するステップとを含む。
【0073】
吸引器具2200の別の実施形態は、図5、6A、および6Bに図示される。吸引器具2200は、遠位端2212および近位端2214を有する吸引チャンバ2210と、前方キャップ2220と、後方キャップ2230とを備える。前方キャップ2220および後方キャップ2230は、それぞれ、吸引チャンバ2210の遠位端2212および近位端2214に着脱可能に固着されるように構成されてもよい。吸引チャンバ2210の近位端2212および/または遠位端2214はまた、それぞれ、装置2200の後方キャップ2230および/または前方キャップ2220への連結を促進するように構成され得る、それぞれ、切り欠き2360および2370を備えてもよい。切り欠き2372または開口はまた、ばねアセンブリ2270を吸引チャンバ2210に取り付けるために提供されてもよい。継手筐体2240は、前方キャップ2220に連結され、吸引チャンバ2210と療法システムの別の構成要素(例えば、シーラント層上の延長管または取付ポート)を接続するように構成され得る、継手2242を封入してもよい。吸引チャンバは、減圧下、吸引チャンバ形状の外部形状を維持するように適合される、剛性ポリマーから加工されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引チャンバの全体は、透明であって、それによって、その中に含有される創傷浸出液の量および質の視覚的検査を可能にしてもよい。他の実施形態では、吸引チャンバは、非透明であるが、検査窓を伴う本体を備えてもよい。
【0074】
前述のように、継手筐体2240は、前方キャップ2220から可撤性に取り外されるように構成されてもよい一方、他の実施例では、継手筐体は、前方キャップ2220と一体的に形成される、または別様に、いったん継合されると、取り外されないように構成されてもよい。ピストンアセンブリは、吸引チャンバ2210内に移動可能に位置してもよい。ピストンアセンブリ2260は、吸引器具2200の後方キャップ2230に固着される、ばねアセンブリに連結されてもよい。他の実施形態では、ばねアセンブリ2270はまた、吸引チャンバ2210の近位開口部2216を中心として固着されてもよい。開口部2232は、後方キャップ2230内に提供され、吸引器具2200を装填するように構成される、再設定ツール2290の挿入を可能にしてもよい。いったん吸引器具2200が装填および起動されると、再設定ツール2290は、除去されてもよく、後方キャップ2230上の開口部2232は、後方キャップシール2280によって閉鎖されてもよい。後方キャップシール2280は、吸引チャンバ2210の中への望ましくない汚染物質または他の環境物質(例えば、シャワーの間の水)の進入を防止し得る、任意の種類のシールであってもよい。他の実施例では、後方キャップシールは、テザーによって、後方キャップに取り付けられてもよい。さらに他の実施例では、後方キャップシールは、通路またはスリットとともに構成され、再設定ツールの挿入および/または除去を可能にし、再設定ツールの除去に応じて、再シールする、変形可能物質を備えてもよい。後者の実施形態では、後方キャップシールは、装填の前に除去される、または再設定ツールの除去後、開口部の中に挿入される必要はない。
【0075】
図7Aは、空乏化または非装填構成にある、吸引器具2200の実施形態の斜視図であって、半透明または光学的にクリアな物質から作成される吸引チャンバ2210を備え、近位位置にあるピストンアセンブリ2260と、後方キャップ2230の開口部2232の中に挿入されているが、ピストンアセンブリ2260を未だ変位させていない、再設定ツール2290とを伴う。吸引器具2200を装填するために、再設定ツール2290は、後方キャップ2230の開口部2232を通してさらに挿入され、ピストンアセンブリ2260を吸引チャンバ2210の中に押動させてもよい。特定の構成に応じて、再設定ツールは、ピストンアセンブリが遠位端壁に接触するまで、吸引チャンバの遠位端壁に隣接するまで、ばねが最大限に拡張されるまで、および/または再設定ツールと後方キャップとの間の機械的干渉がさらなる挿入を阻止するまで、押動されてもよい。図7Bは、完全装填構成における、吸引器具2200を描写する。再設定ツール2290は、ピストンアセンブリ2260を遠位位置に押動し、ばね2300を拡張させ、ピストンアセンブリ2260をばねアセンブリ2270に連結し、ポテンシャルエネルギーをばね2300内に生成する。再設定ツール2290の除去に応じて、ばね2300は、近位指向力をピストンアセンブリ2260上に付与可能となり、減圧を吸引チャンバ2210内に生成し、減圧を装置2200に連結されるシールされた創傷封入体に伝送可能となる。吸引器具が、減圧を創傷封入体に印加するにつれて、ピストンアセンブリ2260は、完全装填状態(図7B)におけるその位置から、吸引チャンバ2210を近位に横断して、完全空乏化状態(図7A)におけるその位置に移動する。本プロセスでは、吸引器具は、空乏化の可変状態(例えば、部分的空乏化)にある。図7Cおよび7Dは、起動状態にあって、ばね2300が完全装填構成から部分的に拡張されたポテンシャルエネルギーを有する、図7Aからの装置の上方および側方立面図である。ピストンアセンブリ2260が部分的拡張位置におけるときに分かるように、吸引チャンバ2210は、ピストンアセンブリ2260によって、回収チャンバ2262および作業チャンバ2264に細分化されてもよく、回収チャンバ2262は、ピストンアセンブリ2260と吸引チャンバ2210の遠位端壁2213との間の空間であって、作業チャンバ2264は、吸引チャンバ2210の近位端2214とばね2300を含有するピストンアセンブリ2260との間の空間である。吸引器具が装填(例えば、完全装填または少なくとも部分的装填)構成にあるとき、回収チャンバの容積は、約ゼロ、または時として、約5cc未満であってもよい。いくつかの事例では、装填装置の起動に応じて、回収チャンバは、ばね2300によって付与される力が、回収チャンバ2262内の減圧によって生成される力によって均衡されるまで、最大約3%、時として、約5%、他の場合には、約10%またはさらに約20%、容積が増加してもよい。
【0076】
図8Aは、吸引チャンバ2210の詳細な上方図を提供し、図8Bは、図8Aからの吸引チャンバ2210の遠位部分の断面図を提供する。図5から7Bにおける斜視図に見られ得るように、吸引チャンバ2210は、いくつかの構成では、吸引チャンバ2210の遠位端2212と近位端2214との間にある、ピストンアセンブリの移動軸の横方向面に対して非円形断面形状を備えてもよい。他の実施例では、吸引チャンバの断面形状は、種々の他の種類の幾何学的構成(例えば、円筒形、長方形等)のいずれかを有してもよい。前述のように、吸引チャンバ2210の遠位端壁2213はさらに、吸引チャンバとの連通を可能にするように、遠位開口部を備えてもよい。吸引チャンバ2210の遠位端壁2213はさらに、導管2330または他の延長構造を備えてもよい。導管2330は、遠位端壁2213の遠位開口部2215を介して、吸引チャンバの回収チャンバ2262と流体連通している導管開口部2342を伴う、導管内腔2340を備える。導管2330は、継手筐体2240と関連付けられる1つ以上の構成要素への導管2330の取付を促進し得る、種々の切り欠き2350、溝、またはフランジのうちのいずれかを備えてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、吸引チャンバとの流体連通を開閉するように、ユーザ制御弁が提供されてもよいが、いくつかの実施例では、流体連通は、装置構成要素の連結および/または分断によって、自動的に制御されてもよい。例えば、装置2200の導管2330はまた、主要導管内腔2340の中に位置する、内側導管2380を備えてもよく、内側導管2380は、内側導管内腔2382と、内側導管開口部2384とを備える。図8Bを参照すると、チャンバスリットシール2390は、内側導管開口部2384の周囲に位置してもよい。その基礎構成では、チャンバスリットシール2390は、導管2330を通した流体連通を阻止するように、通常閉鎖構成を伴って構成されてもよい。いくつかの実施例では、チャンバスリットシール2390は、シールを通して構造を挿入し、それを変形させ、シールに形成された開口部の開存性を維持することによって、開放されてもよい。以下でさらに詳細に説明されるように、図8Bのスリットシール2390等の他の実施例では、スリットシール2390は、相補的構造が主要導管内腔2340内に挿入された時に、内側導管2380の台座を覆って、その周囲に、および/またはそれに向かって下方に押されるように構成されてもよい。
【0078】
図9Aは、継手筐体2240と、継手2242と、継手スリットシール2602とを備える、継手アセンブリ2600の上部構成要素図である。前述のように、継手筐体2240は、装置2200の前方キャップ2220に恒久的または着脱可能に連結するように構成されてもよく、あるいは前方キャップと一体的に形成されてもよい。図9Aに示される実施形態では、継手2610は、継手筐体2240の中の開口部2606を通してアクセス可能であり、別の構成要素のコネクタとの相補的嵌合を可能にする、コネクタ区分2604を備える。例えば、コネクタ区分2604は、スナップ嵌合または干渉嵌合によって、延長管のコネクタまたは密閉層の取付ポートに連結されてもよい。図9Aの具体的実施例では、コネクタ区分2604は、管類との抵抗嵌合を提供するために使用され得るが、また、相補的相互嵌合を形成するために相補的コネクタとともに使用され得る、複数のフランジ2608を備える。
【0079】
図26Aおよび26Bを参照すると、継手2242はまた、継手スリットシール2602を伴う、チャンバコネクタ2610を備えてもよい。装置が組み立てられた時に、チャンバコネクタ2610は、装置2200の前方キャップ2220内に位置してもよいが、特定の場所は、特定の実施形態とともに変化してもよい。継手スリットシール2602は、継手2242のチャンバコネクタ2610上の溝2614に係合するように構成される内側外形を伴う、遠位リング2612を備えてもよい。シール2602および/または遠位リング2612の外側外形は、内面主要導管内腔2340に対して密閉するように構成されてもよい。継手スリットシール2602はまた、シール2602を通して変形可能通路を提供する、スリットを備えてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、継手スリットシール2602は、チャンバコネクタ2610と吸引チャンバ2210の導管内腔2340との間に気密性シールを形成するとともに、継手アセンブリ2600を通した流体連通を制御するように構成されてもよい。図9Bは、継手の近位端における継手スリットシール2612に連結される、継手2610の垂直断面図を図示する。
【0080】
図9Aを再び参照すると、継手アセンブリ2600はまた、継手2242と連結される、または一体的に形成される、台座部材2618上に配置され、そこから外向きに突出する、少なくとも1つの弾性タブ2616を備える、相互係止構造を備えてもよい。継手アセンブリ2600が吸引チャンバ2210に連結された時に、タブ2616は、吸引チャンバ2210の導管2330上の相補的陥凹(図8Aおよび8Bの2350)に係合するように構成される。相互係止機構は、吸引チャンバ2210からの継手2242の不慮の分断を阻止または防止してもよい。継手筐体2240はさらに、突出タブ2618のレバー2624に連結される、またはそれと接合面接触する、1つ以上の解放構造またはボタン2622を備えてもよい。ボタン2622の押下は、吸引チャンバ2210上の切り欠き2350からタブ2616を変位させることによって、相互係止機構を解放し、前方キャップ2220および吸引チャンバ導管2330からの継手2242および継手筐体2240の分断を可能にするであろう。解放ボタン2622は、継手2242の手動接続または断絶を促進し得る、1つ以上の型押把持表面2626を備えてもよい。
【0081】
図10Aは、継手2242が導管2330に完全に挿入された時の吸引チャンバ2210および継手アセンブリ2600の継手2242の概略上方切断図である。図示されるように、継手2242の台座部材2618から突出するタブ2616は、吸引チャンバ導管2330の表面上の切り欠き2350との相互嵌合を形成する。図10Bおよび10Cは、継手2242が導管2330の中へ完全に着座される前および後の吸引チャンバ2210の一部分および継手2242の垂直断面図である。図10Bおよび10Cはさらに、内側導管2380上のチャンバスリットシール2390と継手2242の継手スリットシール2602との間の接続機構を図示する。図10Bでは、継手2242が導管2330に挿入された時に、継手スリットシール2602は最初に、シール台座2392上に載置される、チャンバスリットシール2390に接触する。図10Cに図示されるように、さらなる挿入が、チャンバコネクタ2610の縁2628に、チャンバスリットシール2390の周囲2660に沿って力を及ぼさせる。チャンバスリットシール2390の周囲の内側間隙2632および/または外側間隙2634は、チャンバスリットシール2390が、チャンバコネクタ2610の縁2628から離れて変形または圧縮するための空間を提供する。これは、内側導管開口部2384から近位に押しのけられるにつれて、チャンバスリットシール2390の開口部またはスリット2636の拡大をもたらす。いくつかの実施例では、内側および外側間隙2632、2634はまた、それぞれ、内側導管2380または導管内腔2340の表面に対するチャンバスリットシール2390の摩擦抵抗を低減してもよい。継手2242が導管内腔2340にさらに挿入されるにつれて、露出した内側導管2380が、継手スリットシール2602のスリット2603を貫通し、それにより、吸引チャンバ2210から、吸引チャンバ2210の遠位開口部2215を通して、内側導管2380を通して、そして継手2242を通して、流体連通を開放する。図10Aから10Cで描写される実施形態では、係止機構のタブ2616および切り欠き2350は、必要であれば、継手スリットシール2602とチャンバスリットシール2390との間の回転整合を提供するために使用されてもよい。これは、シール2602および2390のスリットが単一線形スリットである場合に有用であってもよい。スリットが複数の半径方向スリットである他の構成では、回転整合は、流体連通の開存性に影響を及ぼしても及ぼさなくてもよい。
【0082】
継手2242が吸引チャンバ導管2330から分断されたときに、継手スリットシール2602からの内側導管2380の抜脱は、密閉創傷への流体通路の閉鎖をもたらし、分断中に創傷の中への空気の進入を制限してもよい。継手2242がさらに分離されるにつれて、チャンバコネクタ2610の縁2628が抜脱され、チャンバスリットシール2380は、閉鎖位置に弾性的に戻って吸引チャンバ2210を密閉することができる。いくつかの実施形態では、チャンバスリットシール2380は、同軸上に載置されたコイルばねの補助を受けて、閉鎖位置に弾性的に戻ることができる。シール2602および2390の両方が閉鎖されるが、継手スリットシール2602の外面は、さらなる分離が起こるまで、導管内腔2340とのシールを継続して形成する。図10Bおよび10Cで見られ得るように、吸引チャンバ2210の導管内腔2340は、その長手方向長さに沿って非均一直径を有し、遠位断片2640に対して縮小直径を有する、近位断片2638を備えてもよい。近位および遠位断片2638と2640との間の直径の移行は、段階的または階段的であってもよい。導管内腔2340は、例えば、断片2638と2640との間に少なくとも1つの階段的移行領域2642を備える。いくつかの実施例では、階段的移行領域は、漸進的移行と比較して、異なる触覚フィードバックを提供してもよい。
【0083】
スリットシールは、流体不浸透性であってもよく、合成エラストマー、シリコーンゴム、または天然ゴム等であるが、それらに限定されない好適な弾性物質のうちのいずれかから加工されてもよい。シール物質は、減圧治療中に吸引チャンバによって回収され得る、創傷浸出液と適合してもよい。シール物質は、放射線、蒸気、酸化エチレンによる処置、または当業者に周知の他の好適な技術によって、滅菌されてもよい。
【0084】
代替として、または加えて、吸引チャンバの遠位導管および/または着脱可能継手または遠位コネクタは、コネクタの筐体内に一方向逆止弁を備えてもよい。例えば、一方向逆止弁は、着脱可能コネクタ内に統合されてもよく、流体が吸引チャンバの中に流動することを可能にするように構成される(但し、チャンバからの流動を可能にしない)。図14Aおよび14Bは、筐体3201および筐体3201内の一方向真空逆止弁3202を伴う、コネクタ3200を備える、一実施形態を描写する。一方向逆止弁3202は、コネクタの近位開口部3206と遠位開口部3204との間に位置してもよく、近位開口部3206は、吸引チャンバの遠位端に着脱可能に接続するように構成される。一方向逆止弁3202は、流体(ガス、液体、および/または懸濁物質)が、吸引チャンバの中に流動することを可能にするが、そこからの流動を可能にしないように配向される。一方向逆止弁3202を横断することが可能にされる流体流動は、図14Bにおける矢印3203によって表される。いくつかの変形例では、一方向逆止弁3202は、ダックビル弁であってもよいが、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、傾斜円盤逆止弁、および同等物を含む、他の一方向弁機構もまた、使用されてもよい。一方向逆止弁3202は、約1mmHg〜約5mmHg、時として、約5mmHg〜約15mmHg、または約15mmHg〜約30mmHgの範囲内の開放圧力とともに選択されてもよく、時として、約10mmHg、または1mmHg未満、または約20mmHgであってもよい。
【0085】
一体型一方向真空弁を伴うコネクタを備える、吸引器具の変形例では、いったん全部品が接続されると、システムが通気機構を含まないとき、排気された後に吸引チャンバを再装填または再設定することは困難であり得る。また、装置が、最初に、包帯に取り付けられ、包帯の下方に存在する空気を除去すると、吸引チャンバを再設定することは困難であり得る。創傷にわたる接触層および包帯の初期適用では、ある量の空気が、多くの場合、包帯の下方または包帯自体内に存在する(例えば、包帯が最初に圧縮されていない発泡体構成要素を有するとき)。最初に、吸引器具を取り付け、起動させた後、有意な量の空気「死空間」が包帯真下から除去され、負圧の開始の間、接触層が圧縮するにつれて、カートリッジの中に引き込まれてもよい。本作用は、浸出液回収のための残りの利用可能な容積を限定し、および/またはカートリッジの負圧送達の持続時間に影響を及ぼし得る。いくつかの事例では、ユーザは、吸引器具が、再設定ツールを再挿入し、摺動シールを遠位に(すなわち、前方に)押圧し、包帯真下から回収された空気を排出することによって、再設定され得るように、着脱可能継手を吸引チャンバから分離してもよい。吸引器具が再装填された後、再設定ツールは、除去され、負圧送達を再開してもよい。吸引器具の再装填は、特に、包帯真下からの空気の除去の間、創傷浸出液が吸引チャンバの中に取り込まれる場合、および/または吸引チャンバ内の吸収性部材が吸引チャンバの遠位ポート(すなわち、真空導管)を遮断する場合、困難であり得る。そのような場合、再装填プロセスの際にも排出される場合、ユーザを非制御様式で回収された浸出液に暴露させ得るため、包帯真下から回収された空気を排出しようと試みることは望ましくあり得ない。
【0086】
いくつかの変形例では、吸引器具はさらに、回収チャンバと流体連通する、付加的または異なる一方向逆止弁を備えてもよく、本一方向弁は、流体(例えば、空気)が、回収チャンバから流出することを可能にするが、その中に流動することを可能にしないように構成されてもよい。例えば、本一方向弁は、空気が、回収チャンバから、作業チャンバの中および/または装置の外側に流動することを可能にしてもよい。本一方向弁は、包帯真下から回収された空気が、コネクタを除去せずに、排出されることを可能にすることによって、前述の課題を緩和するのに役立ち得る。本一方向弁は、吸引チャンバ内に負圧があるとき(例えば、ピストンアセンブリが、近位方向に移動し、吸引チャンバ内に負圧を維持すると)、一方向弁が閉鎖されるが、正圧がチャンバに印加されると(例えば、ピストンアセンブリが遠位方向に移動すると)、一方向弁が開放され、流体(例えば、空気)が吸引チャンバから流動することを可能にし得るように構成されてもよい。例えば、本一方向弁は、アンブレラ弁、フラップ弁、クロススリット弁、ドーム弁、ボール弁、ダックビル弁、またはブローバイシール等、任意の好適な逆止弁であってもよい。いくつかの変形例では、吸引チャンバの遠位導管および/または着脱可能継手または遠位コネクタ内の一方向弁は、このような他の一方向弁と同一種類(例えば、同一逆止弁機構を有する)であってもよいが、他の変形例では、遠位導管と関連付けられた一方向弁は、他の一方向弁と異なる種類(例えば、異なる逆止弁機構を有する)であってもよい。例えば、(遠位導管および/または着脱可能コネクタ内の)一方向弁は、フラップ弁であってもよい一方、他の一方向弁は、ダックビル弁であってもよい。他の実施例では、一方向弁は両方とも、ダックビル弁であってもよい。他の一方向逆止弁は、遠位導管と関連付けられた一方向逆止弁の開放圧力と同一または異なる、開放圧力を有してもよい。他の一方向弁は、遠位導管と関連付けられた一方向逆止弁より低い開放圧力を有してもよい。第2の一方向弁は、約1mmHg〜約5mmHg、時として、約5mmHg〜約15mmHg、または約15mmHg〜約30mmHgの範囲内の開放圧力とともに選択されてもよく、時として、約10mmHg、または1mmHg未満、または5mmHg(例えば、約2mmHgまたは3mmHg)未満、または約20mmHgまたは約50mmHgまたは約100mmHgであってもよい。異なる開放またはクラック圧力を伴う弁は、少なくとも部分的に、吸引器具上のその場所に基づいて選択されてもよい。例えば、吸引チャンバの側壁に沿って位置する一方向弁は、約1mmHg〜約150mmHgまたはそれを上回る、例えば、約2mmHg〜約5mmHg、約5mmHg〜約100mmHg、または約2mmHg、3mmHg、約20mmHg〜約125mmHg、または約50mmHg〜約100mmHgの範囲内の開放またはクラック圧力を有してもよい。弁の開放またはクラック圧力はまた、弁に適用される潤滑剤の種類および量に応じて変動し得る。弁潤滑剤は、弁を通した漏出を低減させるのに役立ち得、シリコーン弁の場合、また、シリコーンが相互に結合しないように防止するのに役立ち得る。いくつかの変形例では、弁潤滑剤は、弁を通した空気流動に影響を及ぼし得る(例えば、干渉する)。例えば、非潤滑弁は、開放またはクラック圧力約3mmHgを有してもよく、同一種類の潤滑弁は、開放圧力約15〜45mmHgを有してもよい(少なくとも部分的に、潤滑剤の量および種類ならびに弁が以前に開放されてからの時間に依存する)。弁の開放またはクラック圧力はまた、弁の寿命の間、変動し得る。例えば、弁がある時間周期にわたって使用されずに着座するにつれて、その開放圧力は、増加し得る。いくつかの変形例では、一方向弁は、再設定ツールが、吸引器具内に挿入され、遠位方向に前進され、吸引チャンバ内のピストンアセンブリを変位させるときのみ開放されてもよい。例えば、一方向弁は、再設定ツールが吸引器具の中に挿入されるときのみ起動され得る、ボタン弁であってもよい。ボタン弁の開放力は、約2ポンドまたはそれ未満であってもよい。随意に、一方向弁の開口部(すなわち、回収チャンバの内部に面する、開口部)は、疎水性フィルタおよび/またはメッシュで被覆され、浸出液が退出しないように防止してもよく、随意に、チャコールフィルタで被覆されてもよい。
【0087】
他の一方向弁は、図14Cに図式的に描写されるように、側方側壁3210、吸引チャンバの遠位側壁3212および/または肩部、および/またはピストンアセンブリの摺動シールに沿って位置してもよい。例えば、本一方向弁は、弁が負圧を生成するピストンアセンブリの能力に干渉しない(例えば、弁がピストンアセンブリの経路を妨害しない)ように、側方側壁3210の遠位部分に位置してもよい。図14Dは、吸引チャンバ3213の遠位壁3216に一方向弁3214を備え得る、吸引器具3211の実施例を描写し、弁3214は、流体が、吸引チャンバから流動することを可能にするが、その中に流動することを可能にしないように構成されてもよい。一方向弁3214を横断することが可能となった流体流動は、図14Dにおける矢印3215によって表される。
【0088】
代替として、または加えて、一方向弁は、ピストンアセンブリの摺動シール内に位置してもよく、これは、再設定ツールが遠位に(すなわち、前方に)前進されると、空気が、吸引チャンバ(例えば、回収チャンバ)の遠位部分から退出することを可能にし得るが、吸引チャンバが負圧下にあるとき、空気が吸引チャンバに進入することを可能にしない。いくつかの変形例では、一方向弁は、摺動シールと一体的に形成(例えば、成形)されてもよいが、他の変形例では、一方向弁は、別個に形成され、続いて、摺動シールと組み立てられてもよい。随意に、潤滑剤(例えば、シリコーン潤滑剤)が、一方向弁に塗布され、一方向弁内のスリットシールが自己シールまたは粘着しないように防止するのに役立ち得る。いくつかの変形例では、フィルタ(例えば、疎水性フィルタ)が、一方向弁にわたって位置してもよく、これは、空気が一方向弁を通して通過することを可能にし得るが、液体および/または固体が一方向弁を通して通過し、回収チャンバから退出する能力を制限し得る。代替として、または加えて、他の種類の障壁が、液体および/または固体が一方向弁を横断して流動しないように制限する一方、空気が通過することを可能にするために使用されてもよい。例えば、カバーフラップ(例えば、ガスおよび液体不浸透性弾性物質または多孔性発泡体から作製される)は、弁にわたって位置(および/または随意のフィルタにわたって位置)してもよく、これは、液体および/または固体が弁(および/またはフィルタ)に接触しないように防止する一方、空気が通過するのを可能にするのに役立ち得る。代替として、または加えて、発泡体層および/または不浸透性膜層が、摺動シールと回収チャンバの内容物との間に配置されてもよい。摺動シールのいくつかの変形例は、2つ以上の一方向弁を備えてもよく、それぞれ、それにわたって位置するフィルタおよび/またはフラップを有してもよい。1つ以上の一方向弁を伴う摺動シールが、一方向弁を備える遠位コネクタを有する吸引器具と併用されるように説明されるが、1つ以上の一方向弁を有する摺動シールが、一方向弁を備える遠位コネクタを有していない吸引器具を含む、本明細書に説明される吸引器具のいずれかにおいて使用されてもよいことを理解されたい。
【0089】
図14Eおよび14Fは、それを横断して位置する一方向弁3220を有する、摺動シール3224の一変形例の斜視および側面図を描写する。一方向弁3220は、流体(例えば、空気)が、吸引チャンバ(例えば、回収チャンバ)の遠位部分から吸引チャンバ(例えば、作業チャンバ)の近位部分に流動することを可能にするが、吸引チャンバの近位部分から遠位部分に流動することを可能にしないように構成されてもよい。一方向弁3220を横断することが可能となった流体流動は、図14Fにおける矢印3221によって表される。図14Gから14Iは、ピストンアセンブリ3234の摺動シール3231内に位置し得る、一方向弁3230の別の変形例を描写する。図14Gは、摺動シール3231の近位側(すなわち、作業または非真空チャンバに面する、摺動シールの側)を描写する。一方向弁3220は、流体(例えば、空気)が、吸引チャンバ(例えば、回収チャンバ)の遠位部分から吸引チャンバ(例えば、作業チャンバ)の近位部分に流動することを可能にするが、吸引チャンバの近位部分から遠位部分に流動することを可能にしないように構成されてもよい。一方向弁3230を横断することが可能となった流体流動は、図14Hにおける矢印3232によって表される。弁3230は、再設定ツール3236が、吸引器具の中に挿入され、それに対して圧接されるときのみ開放されるように構成されてもよい。いくつかの変形例では、一方向弁3230は、再設定ツール3314と係合し、再設定ツールが弁突出部と係合され、遠位に押動されると、一方向弁が開放されるような突出部3238を有してもよい(図14I)。回収チャンバのための単一一方向弁のみが、図14Cから14Fに描写されるが、他の変形例では、回収チャンバのための2つ以上の一方向弁が、提供されてもよい。
【0090】
いくつかの変形例では、摺動シールの遠位側(すなわち、回収または真空チャンバに面する側)は、空気が通過することを可能にするが、液体および/または固体が通過する能力を防止する、あるいは優しく制限するように構成される、フィルタを備えてもよい。これは、一方向弁を通して近位に排出される空気を清掃するのに役立ち得る。図15Aおよび15Bは、摺動シールと一体的に形成される一方向弁3302(例えば、ダックビル弁)を伴う、摺動シール3300の一変形例の遠位側(例えば、回収チャンバまたは真空チャンバに面する側)を描写する。摺動シールを通して通過する導管3311に接続され、第2の一方向弁3302と接続する、摺動シール上の開口部3303があってもよい。摺動シールは、フィルタ3306をその間に保持するように定寸および成形され得る、第2の一方向弁3302の開口部の周囲に半円形または円形リング形状の保持構造または突出部3304を備えてもよい。保持構造3304は、開口部または間隙3305(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、20、または24の間隙等)によって離間される、1つ以上の突出部を備えてもよい。フィルタは、保持構造3304の突出部との機械的係合(例えば、摩擦嵌合、スナップ嵌合、ねじ嵌合)によって、一方向弁にわたって保持されてもよく、代替として、または加えて、一方向弁3302にわたって摺動シール3300との液密シールを提供する、接着剤、併合、および/または任意の他の好適な機構によって、一方向弁にわたって保持されてもよい。図15Aは、フィルタ3306を伴わない摺動シール3300を描写する一方、図15Bは、保持構造3304の半円形突出部によって保持されるフィルタ3306を描写する。フィルタ3306および対応する保持構造3304は、概して、円形として描写されるが、任意の好適な形状またはサイズ、例えば、長方形、三角形、卵形、または楕円形形状等であってもよいことを理解されたい。フィルタは、疎水性フィルタまたはガス浸透性であるが、液体不浸透性フィルタまたはガスおよび液体浸透性フィルタであってもよい。例えば、フィルタは、圧縮された発泡体(「3〜1000」の圧縮された発泡体、100±20ppiの事前フェルト化多孔率を伴うフェルト化発泡体等)から作製されてもよい。いくつかの変形例では、フィルタは、最短細菌断面寸法より小さい細孔サイズを備えてもよい。例えば、細孔は、直径約0.1ミクロン〜約7ミクロン、例えば、約0.3ミクロン、約0.5ミクロン、約1ミクロン、約3ミクロン、約5ミクロン等を有してもよい。細孔はまた、ウイルスおよび/または菌類の胞子を捕捉するように定寸および/または処理されてもよい。
【0091】
空気を排出するために、回収チャンバと流体連通する一方向弁を有する、本明細書に説明される吸引器具のいずれかは、随意に、屈曲可能弁カバーを備えてもよく、またはフラップ(例えば、シャットオフフラップ)が、フィルタにわたって配置されてもよく、これは、回収チャンバ内のフィルタと浸出液との間の障壁(および/または創傷浸出液を保持する吸収性物質)として作用するのに役立ち得る。これは、フィルタが液体および/または固体で詰まらないように防止するのに役立ち得、これは、空気がフィルタを通して通過する能力を妨害し得る。いくつかの変形例では、フラップは、非吸収性物質から作製されてもよい。例えば、フラップは、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、ポリイソプレンゴム、天然ゴム、および/または任意のエラストマー物質等、空気および液体不浸透性物質から作製されてもよい。いくつかの変形例では、フラップは、摺動シールに取り付けられてもよい。フラップは、空気が吸引チャンバからフィルタおよび弁を通して通過することを可能にされる、第1の構成と、吸引チャンバからフィルタおよび弁を通して通過することを可能にされない、第2の構成とを有してもよい。両構成では、フラップは、吸引チャンバ内の浸出液および/または超吸収性物質と摺動シールのフィルタおよび弁との間に非吸収性障壁を形成する。第1の構成では、フラップは、摺動シール内の空隙/開口部が妨害されない位置にあってもよい一方、第2の構成では、フラップは、摺動シール内の空隙/開口部を妨害する異なる位置にあってもよい。
【0092】
摺動シールに連結され、前述の機能を果たし得る、フラップの一実施例は、図15D−15Eに描写される。フラップ3310は、シリコーン(例えば、50 Shore Aシリコーン)、ウレタン、ゴム、エラストマー、熱可塑性エラストマー、または任意のそのような可撓性の防液物質等、ガスおよび液体不浸透性であり得る、可撓性物質から作製されてもよい。フラップ3310の表面は、平滑であってもよく、またはテクスチャ加工されてもよい。摺動シール3300は、フラップ3310における対応する開口部3314内に嵌合し、フラップをフィルタにわたって保持し得る、1つ以上の突出部または返し3312を備えてもよい。代替として、または加えて、フラップ3310は、接着剤、ステープル、締結具等によって、摺動シールに固着されてもよい。いくつかの変形例では、フラップは、摺動シールと一体的に成形されてもよい。摺動シール3300はまた、弁開口部および随意に返しを包囲する内壁3314と、内壁を包囲する外壁3316とを備えてもよい。内壁3314は、その外周の周囲に1つ以上の開口部または間隙3318(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、20、または24の間隙等)を備えてもよい。内壁3314の高さは、外壁3316の高さを上回ってもよい。例えば、内壁3314の高さは、外壁3316の高さを少なくとも0.2インチ上回ってもよい。内壁3314と外壁3316との間の空間は、回収チャンバの内容物とフィルタとの間のバッファとして作用し得る、チャネル3317を形成してもよい。フラップ3310が、返し3312に取り付けられると、フラップにかかる任意の付加的圧力の不在下、フラップは、摺動シールの側面図(図15F)に描写されるように、外壁3316と殆どまたは全く接触せずに、内壁3314上に静置する。これは、摺動シールが前方/遠位に前進されると、空気が、回収チャンバから、内壁の開口部または間隙3318を通して、保持構造3304の開口部または間隙3305を通して、かつフィルタを通して通過し、第2の一方向弁から退出することを可能にする。フラップは、外壁に対する内壁の高さの増加および/または保持構造3304の突出部の高さによって、外壁の上方に高架して保たれてもよい。フラップを第2の一方向弁開口部の上方に高架させることは、摺動シールが、再起動の際、前進されるにつれて、フラップが、不注意に、第2の一方向弁をシャットオフする発生率を低減させるのに役立ち得る。同時に、フラップは、フィルタと回収チャンバの内容物との間に障壁を提供し、回収チャンバ内の液体および/または固体がフィルタおよび/または第2の一方向弁に接触する可能性を低減させるのに役立つように作用し得る。代替として、外壁は、内壁とほぼ同一高さまたはそれより高くてもよい(例えば、テクスチャ加工されたフラップと併用されるとき)。
【0093】
図16A−Bは、使用の間の摺動シールフラップの異なる構成を描写する。図16Aは、フラップ3310が、外壁3316と殆どまたは全く接触せず、内壁3314上に静置する、第1の構成を描写する。摺動シールフラップは、摺動シールが吸引チャンバ内で前方/遠位に前進される間(例えば、吸引器具の再設定の際)、接触に先立って、または回収チャンバの内容物(例えば、創傷浸出液および/または超吸収性物質および/または遠位壁)にわずかのみ接触する際、本第1の構成にあってもよい。本構成では、空気は、フィルタが回収チャンバの内容物に接触する可能性を低減させながら、第2の一方向弁を通して排出され得る。そのような構成はまた、包帯の真下から回収された空気が、着脱可能コネクタを除去せずに、負圧療法の開始時に排出されることを可能にしてもよい。図16Bは、フラップの外周が外壁と液密シールを生成するように、フラップ3310が外壁3316に接触する、第2の構成を描写する。摺動シールフラップは、ピストンアセンブリが、吸引チャンバ内で前方/遠位に前進され(例えば、吸引器具の再設定の際)、十分な圧力を持って、回収チャンバの内容物(例えば、創傷浸出液および/または吸収性物質および/または吸引チャンバの遠位壁)に接触するとき、本第2の構成にあってもよい。例えば、包帯の真下から回収された空気をパージするために、吸引器具の再起動の際、ピストンアセンブリは、回収チャンバ内の吸収性パッドの中に遠位に前進されてもよい。そのようなパッドに対する圧力は、フラップの外周を外壁に向かって偏向させ、シールを形成させ得る。これは、パッドによって吸収され得る任意の液体(例えば、創傷浸出液)および/またはパッド自体および/または任意の起動された超吸収性物質がフィルタおよび/または一方向弁に接触するであろう可能性を低減させるのに役立ち得る。少量の液体および/または超吸収性物質が、外壁とシールする前に、フラップの外周を迂回する場合、外壁と内壁との間のチャネル3317が、液体および/または超吸収性物質のための中間バッファまたは保持領域を提供してもよい。これは、そのような液体および/または物質が、フィルタに接触しないように防止するのに役立ち得る。前述のシャットオフ機構は、単に、前述の摺動シールに取り付けられる一方向弁のためのシャットオフ機構の一実施例である。以下に説明されるシャットオフ機構のいずれかは、加えて、または代替として、摺動シール内に位置する一方向弁と併用されてもよいことを理解されたい。
【0094】
随意に、いくつかの変形例では、吸引器具は、付加的シートを備えてもよく、または物質の層が、一方向弁と関連付けられたフラップとフィルタとの間に提供されてもよい。いくつかの変形例では、付加的シートまたは物質の層は、フラップと摺動シールとの間に位置してもよい。例えば、付加的シートは、フィルタまたは疎水性物質であってもよく、および/または多孔性発泡体層であってもよい。一方向弁と関連付けられたフラップとフィルタとの間のそのような層の含有は、フラップが、望ましくなく、弁開口部にわたって接着しないように防止するのに役立ち得る。例えば、これらの層は、フラップが、摺動シールに不注意に接着しないように防止するのに役立ち得る。そのような特徴は、フラップが、概して、摺動シールの表面と同一平面に搭載され、高架された内壁によって摺動シールの表面から離れていない実施形態では、特に有用であり得る。しかしながら、いくつかの変形例では、スタンドオフが、フラップおよび発泡体が、吸引器具の再起動の際、一方向弁に対して圧縮しないように防ぐための付加的予防として、摺動シールの遠位表面上に位置してもよい。疎水性物質および/または発泡体層および/またはスタンドオフは、弁を通る空気流動がこれらの構造によって妨害されないように、一方向弁開口部と整合されるように構成される、1つ以上の開口を有してもよい。いくつかの変形例では、疎水性物質および/または発泡体層および/またはスタンドオフは、弁を横断する空気流動に干渉しないように位置してもよい。代替として、または加えて、発泡体および/または疎水性シート物質の有無にかかわらず、フィルタおよび/または一方向弁開口部にわたって位置する(例えば、摺動シールに取り付けられる)、複数のシリコーンフラップがあってもよい。
【0095】
前述で描写および説明されるようなフラップは、摺動シールに取り付けられるが、しかしながら、他の実施形態では、フラップは、摺動シールに取り付けられなくてもよい。例えば、フラップは、回収チャンバ内の超吸収性物質(例えば、吸収性パッド)に連結されてもよい。フラップは、摺動シールが前方/遠位に前進されると(例えば、吸引器具の再起動または再設定の際)、摺動シールが、超吸収性物質に接触せずに、フラップに接触するように、接着剤または縛着(例えば、多孔性物質または縫合糸等から作製されるストリップ)を使用して、超吸収性物質の近位部分に連結されてもよい。代替として、または加えて、不浸透性接着剤フィルムが、超吸収性物質に接着されてもよい。
【0096】
フラップは、摺動シールに取り付けられる、可撓性かつ液体不浸透性の物質から作製されるように前述されたが、フラップはまた、他の物質から作製されてもよく、摺動シールに取り付けられてもよく、またはそうでなくてもよい。いくつかの変形例では、フラップは、全く存在しなくてもよい。例えば、吸引器具は、摺動シールと吸引チャンバ内に位置する超吸収性物質との間に配置される、多孔性発泡体物質を備えてもよい。いくつかの変形例では、多孔性発泡体物質は、シートの形態にあって、またはブロックの形態に厚化されてもよく、および/またはフェルト化発泡体であってもよい。発泡体内の細孔は、空気がフィルタを通して弁から通過するのを可能にしてもよい一方、発泡体層の厚さは、創傷浸出液および/または超吸収性物質とフィルタとの間の物理的分離を維持し得る。発泡体は、摺動シールに取り付けられてもよく、または摺動シールに取り付けられなくてもよく、代わりに、随意に、チャンバ壁と接触し、および/または回収チャンバ内の超吸収性物質に取り付けられる、回収チャンバ内に常駐してもよい。発泡体は、任意の浸透性(例えば、約30ppi〜約100ppi、約60ppiまたは約80ppi、100ppiを上回る)および/または厚さ(例えば、約1/16インチ〜約1.5インチ、約1/4インチ、約1/8インチ)を有してもよい。いくつかの変形例では、液体不浸透性物質のシートが、発泡体と摺動シールとの間および/または発泡体と超吸収性物質との間に提供されてもよい。例えば、ポリカーボネートのシート(例えば、約1/32インチ厚)または疎水性フィルタシートが、発泡体フラップと超吸収性物質との間または発泡体フラップと摺動シールとの間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、発泡体層は、接着剤(例えば、感圧式接着剤)および/または任意の好適な機械的取付機構(例えば、ステープル、返し、クラスプ、ケーブル、縛着等)を使用して、摺動シールまたは超吸収性物質に取り付けられてもよい。さらに他の実施形態では、フラップまたは発泡体層の代わりに、厚い突出部またはバンパが、バンパが、摺動シール内のフィルタと回収チャンバ内の浸出液および/または超吸収性物質との間に空間を維持するように、摺動シールに取り付けられる、またはそれと一体的に成形されてもよい。本明細書に説明される一方向弁のいずれかは、摺動シールおよび/または吸引チャンバの側壁および/または遠位壁上のその数および場所にかかわらず、前述のように、フィルタおよび/またはシャットオフフラップおよび/または発泡体層を備えてもよい。
【0097】
本明細書に説明される吸引器具のいずれかは、浸出液が吸収性物質と接触すると、物質によって吸収され、回収チャンバ内に保持および/または隔離されるように、回収チャンバ内に吸収性物質を備える、流体保持アセンブリを備えてもよい。いくつかの変形例では、流体保持アセンブリは、抗菌性物質を含有してもよく、またはそうでなくもよい、超吸収性ポリマー(例えば、ファイバベースのポリマーまたは粒子状ベースのポリマー)等の超吸収性物質を備えてもよい。吸引器具と併用され得る、超吸収性物質の付加的説明は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、2011年7月1日出願の米国特許出願第13/175,744号に提供される。随意に、流体保持アセンブリはまた、吸引チャンバのある部分の中で吸収物質を隔離するために使用され得る、スクリーンまたはメッシュを備えてもよい。スクリーンまたはメッシュはまた、吸収物質が吸引チャンバの周囲で移動する、および/または吸引チャンバから退出することを防止するのに役立ってもよく、いくつかの変形例では、また、吸引チャンバの中に回収された浸出液が遠位ポートまたは入口を通ってチャンバから退出することも防止してもよい。
【0098】
流体保持アセンブリで使用され得る吸収物質は、期待された粘度(または他の液体特性)および/または浸出液の量に従って選択されてもよい。ある吸収物質はまた、所望の吸収能力に基づいて選択されてもよい。物質の吸収能力は、陰圧および/または陽圧条件下で維持されてもよい。吸収物質のいくつかの変形例は、吸湿性であってもよく、蒸気を吸収してもよい。流体吸収物質は、吸引器具によって生成される陰圧が、大幅な妨害なく創傷に伝えられ得るように、空気に対して透過性であってもよい。好適な吸収物質は、天然、剛性、および改質天然ポリマーおよび物質から選択されてもよい。吸収物質は、ナトリウムアクリルベースのポリマー、シリカゲル、架橋ポリマー等の無機または有機物質であってもよい。吸収物質の他の実施例は、ガーゼ、パルプ、スポンジ、発泡体、乾燥ヒドロゲル、および架橋多塩基樹脂を含んでもよい。好適な吸収物質は、Midland, Mich., U.S.A.に位置するDow Chemical Company、およびStockhausen GmbH & Co. KG(D−47805 Krefeld, Federal Republic of Germany)等の種々の商業ベンダから入手可能であってもよい。吸収物質の他の実施例は、でんぷん・アクリロニトリル共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル酸、ポリビニルアルコール(PVA)、およびイソブチレン無水マレイン酸(IMA)、ならびにXTRASORBTMを含む種々の発泡体を含んでもよい。流体保持アセンブリのいくつかの変形例は、(例えば、固有吸収能力の試験によって測定されるような)その乾燥重量の少なくとも100%に等しい水の量を保持することが可能となり得る、超吸収性物質を使用してもよい。前述の実施形態のうちのいくつかでは、超吸収性物質は、Microtek MedicalによるIsolyserTMであってもよい。吸引器具用の流体保持アセンブリとともに使用され得る、吸収物質の他の実施例は、ナトリウムジクロロ−S−トリアジントリオン二水和物を伴うポリアクリル酸ナトリウム、セルロースベースの基質、AQUAKEEP(登録商標)ポリマー製品等を含んでもよい。
【0099】
いくつかの変形例では、流体吸収物質は、第1の非水和状態および第2の水和状態を有してもよく、非水和状態では、吸収物質は、水和状態である時よりも小さい容積を占有してもよい。例えば、吸収物質は、流体を吸収し、非水和構成から水和構成に移行するにつれて、膨張してもよい。いくつかの変形例では、非水和状態の吸収物質は、粉末状であってもよく、水和状態では、吸収物質は、ゲル状であってもよく、あるいは固体または半固体であってもよい。他の変形例では、吸収物質は、流体を吸収するにつれて、肥厚または膨張する、面的なシートまたはパッドであってもよい。流体吸収物質は、多孔質物質(例えば、スポンジ、発泡体、織物等)であってもよく、面的または3次元多孔質母材であってもよい。面的なパッドである吸収物質は、非水和状態での第1の厚さ、および水和状態での第2の厚さを有してもよく、第2の厚さは、第1の厚さよりも大きい。代替として、または加えて、吸収物質は、ペレット、球体、顆粒、クラスタ、粉末、および同等物等の緩い構成要素を含んでもよい。粒径は、非水和状態で、約20μm〜約500μm、例えば、約20μm〜30μm、または約200μm〜300μm、または約350μm〜390μmに及んでもよい。吸収物質はまた、その非水和状態で、織物等の折り畳み織布、あるいは圧縮ポリマーまたはスポンジまたは多孔質部材の形態を成してもよい。膨張水和状態では、吸収物質は、膨張してもよく、拡大ペレットまたはクラスタ、膨張織物またはスポンジまたは多孔質母材であってもよい。場合によっては、水和状態の吸収物質は、固体、半固体、またはゲルであってもよい。吸収物質のいくつかの変形例は、流体を吸収するにつれて分解してもよい。いくつかの実施例では、流体吸収物質は、容積中立物質であってもよく、別個の流体および別個の吸収物質の全容積は、混合された時の流体および吸収物質の容積とほぼ同じである。例えば、分離された全容積および混合容積は、等しくてもよく、あるいは相互の少なくとも5%または10%以内であってもよい。他の実施例では、流体吸収物質は、容積増加物質であってもよく、混合容積は、全分離容積よりも少なくとも15%または25%大きくてもよい。
【0100】
随意に、流体保持アセンブリのいくつかの変形例は、回収チャンバに進入する浸出液を消毒するのに役立ち得る、消毒剤を備えてもよい。例えば、消毒剤は、吸収物質に付着され、連結され、埋め込まれ、架橋され、および/または別様に合併されてもよい。他の実施例では、消毒剤は、回収チャンバ内で自由に配置されてもよく、または摺動なシールアセンブリ等の他の構造に付着されてもよい。消毒剤は、抗菌性(例えば、静菌性または殺菌性)、抗ウイルス性、抗真菌性、および/または抗寄生虫性であってもよい。流体保持システムで使用され得る、消毒剤組成物のいくつかの実施例は、クロルヘキシジン、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムジクロロ−S−トリアジントリオン二水和物(または他の塩素ベースの消毒剤)、スルホナミド、スルファジアジン銀、ポリヘキサニドを含んでもよい。いくつかの変形例では、吸収物質自体もまた、消毒剤の役割を果たしてもよい。例えば、流体保持アセンブリは、Microtek MedicalによるIsolyser LTS−Plus(登録商標) SolidifierまたはIsosorb(登録商標) Solidifier等の液体医療廃棄物凝固剤を使用してもよい。随意に、流体保持アセンブリはまた、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、または過酸化水素等の脱臭剤を備えてもよい。いくつかの変形例では、消毒剤は、消費された装置が、生物学的有害廃棄物よりもむしろ普通のごみとして処分されてもよいように、回収された浸出液を処理する。
【0101】
流体保持アセンブリは、種々の構成で吸引器具の吸引チャンバの中に設置されてもよい。流体保持アセンブリは、一時的または恒久的に、吸引チャンバの一部分の中で隔離され得る、吸収物質を備えてもよい。例えば、流体保持アセンブリは、吸引器具が配向を変化させるにつれて吸引チャンバ内で移動しないように、吸引チャンバの壁に取り付けられ得る、吸収パッドまたはシートを備えてもよい。代替として、または加えて、流体保持アセンブリは、吸引チャンバの遠位部分で取り付けられ得る、スクリーン(例えば、メッシュ、フィルタ等)を備えてもよい。例えば、スクリーンは、吸引器具の遠位ポートにつながる遠位部分のすぐ近位で、吸引チャンバの遠位部分内に取り付けられてもよい。いくつかの流体保持アセンブリでは、吸収物質は、担体構造によって保持され、例えば、支持シートまたは他の構造の表面に連結され、あるいはパウチまたは他のコンテナで取り囲まれてもよい。パウチは、吸収チャンバ内で自由に移動してもよく、または吸引器具の配向のいずれの変化にもかかわらず所望の領域にとどまるように、吸引チャンバの任意の所望の領域に取り付けられてもよい。流体保持アセンブリは、所望に応じて、上記の構成要素のうちの1つ以上の組み合わせを備えてもよい。例えば、流体保持アセンブリは、パウチで取り囲まれた吸収物質を備えてもよく、パウチは、1つ以上のスクリーンによって吸引チャンバの一部分に隔離されてもよい。流体保持アセンブリは、接着剤および/または1つ以上のスクリーンを使用して、吸引チャンバ内で一時的または恒久的に固定され得る、吸収パッドまたはシートを備えてもよい。流体保持アセンブリの種々の実施例が、以下で説明される。
【0102】
いくつかの変形例では、流体保持アセンブリの吸収物質は、パウチ等の担体構造によって保持されてもよい。いくつかの変形例では、吸収物質は、半透性膜でできている内部パウチで取り囲まれてもよい。この内部パウチは、流体吸収物質が、吸引器具の種々の弁および/または導管を塞ぐ、または詰まらせることを防止するのに役立ってもよい。流体保持アセンブリの他の変形例は、内蔵型形態を有する吸収物質を備えてもよい(例えば、多孔質母材、スポンジ、ガーゼ、パッド、発泡体等)。吸収物質は、所望に応じて、空気に対して透過性であってもよい。いくつかの実施例では、吸収物質は、織物または不織スポンジまたはガーゼであってもよく、および/または多孔質物質でできていてもよい。いくつかの変形例では、吸収物質は、所望に応じて、空気に対して透過性であってもよい。吸収物質は、以前に説明された物質のうちのいずれかでできていてもよい。いくつかの変形例では、吸収物質は、担体構造によって保持されてもよい。例えば、吸収物質は、基質の中で不動化されてもよい(例えば、母材に含浸される、または織り込まれる、多孔質母材に吸収される等)。いくつかの変形例では、吸収物質は、担体構造に連結され、および/または基質母材と一体化してもよい。吸収物質は、無菌性であってもなくてもよい。そのような吸収物質を備える流体保持アセンブリは、吸引器具が配向を変化させるにつれて、吸収物質の移動を防止するように、スクリーンまたはメッシュを含んでも含まなくてもよい。吸収性物質、例えば、吸収性パッドは、吸引器具の任意の望ましい部分に、例えば、吸引チャンバの遠位部分に、一時的にまたは恒久的に取り付けられてもよい。いくつかの変形例では、流体保持アセンブリは、パウチ内に封入されずに、概して、無傷のままである、1つ以上の超吸収性パッドの形態であってもよい。そのようなパッドは、回収チャンバの内壁に取り付けられてもよい。超吸収性パッドの形状は、吸引器具の断面形状に対応するように選択されてもよい。例えば、卵形形状(例えば、非円形)断面を伴う吸引器具は、対応する卵形形状の超吸収性パッドを有してもよい。超吸収性パッドはまた、それを通して、吸引チャンバから創傷への負圧の伝送に干渉しないように、遠位真空ポートの開口部と整合されるように構成される、開口部を備えてもよい。開口部は、パッドの全体的幾何学形状に対応してもよく、またはそうでなくてもよい、形状を有してもよく、例えば、卵形形状のパッドは、卵形形状の開口部または円形形状の開口部を有してもよい。超吸収性パッドは、吸引器具が反転される場合、および/または超吸収性パッドが液体/固体を保持するにつれて、パッドが近位にシフトされないように、回収チャンバの遠位壁に取り付けられてもよい。しかしながら、取付機構は、依然として、超吸収性パッドが、創傷浸出液を取り込むにつれて、拡張することを可能にすべきである。例えば、取付機構自体が、超吸収性パッドのサイズに従って、可撓性および/または拡張可能であってもよい(浸出液を吸収するにつれて拡張する)。いくつかの吸引器具は、2つ以上の超吸収性パッドを備える、流体保持システムを有してもよい。そのような装置では、複数の超吸収性パッドが、その間に実質的間隙(例えば、空隙)を伴わずに、1つのパッドが飽和に到達するにつれて、吸収が第2のパッドに継続し得るように、ともに繋着されてもよい。複数の超吸収性パッドをともに連結する拘束機構ならびに超吸収性パッドを回収チャンバの壁に連結する取付機構は、創傷浸出液を取り込むにつれて、超吸収性パッドの拡張を可能にしてもよい。
【0103】
1つ以上の超吸収性パッドを備える、流体保持システムの一実施例は、図17A−Eに描写される。流体保持システム3500は、第1の超吸収性パッド3502と、第2の超吸収性パッド3504とを備えてもよい。超吸収性パッドはそれぞれ、それを通して、開口部3501を有してもよい。開口部3501は、円形または非円形であってもよい。第1および第2の超吸収性パッド3502、3504は、図17B−Cに描写されるループ状構造3506等、1つ以上の繋着されたループを含む、拘束機構または固着構造を性して、相互に連結されてもよい(例えば、図8の構成内において)。拘束機構はまた、Tタグ構造または保持円盤であり得る、少なくとも1つの保持アンカを備えてもよい。拘束機構はまた、その開口が吸引チャンバの遠位導管と重複するように、パッドを保持してもよいそのような。超吸収性パッドは、ループ状構造3506の開口部3503、3505の中に挿入されてもよく、これは、順に、回収チャンバの壁(例えば、遠位壁)に取り付けられてもよい。図17Dは第1の繋着されたループ構造3506aおよび第2の繋着されたループ構造3506bの開口部内に保持される第1および第2の超吸収性パッド3502、3504を備える、流体保持システム3500の斜視側面図である。繋着されたループ構造3506a、3506bの上側開口部3503a、3503bは、第1の超吸収性パッド3502を保持してもよい一方、繋着されたループ構造3506a、3506bの下側開口部3505a、3505bは、第2の超吸収性パッド3504を保持してもよい。超吸収性パッド3502、3504のそれぞれの底部表面は、随意に、接着剤を有してもよく、これは、超吸収性パッドを相互および/または回収チャンバの壁および/または繋着されたループ構造に連結するのに役立ち得る。開口部3503a、bおよび3505a、bは、超吸収性パッドが、浸出液を吸収するにつれて拡張することができるが、また、回収チャンバ内で自由に浮動しないようパッドの拡張および移動の程度を制御するように定寸されてもよい。繋着されたループ構造3506は、薄い(例えば、0.015インチ未満またはそれに等しい)非伸縮可能物質から作製されてもよい。いくつかの変形例では、物質は、伸縮可能であるが、超吸収性パッドの拡張および場所が制御され得るように、限定された程度まで伸縮可能であってもよい。物質は、織布または不織布、例えば、可能性として、性能特性を向上されるためにコーティングされる、スピン結合され、不織布の1ozポリプロピレン、ナイロン、メッシュ物質、ポリエチレン、アセテート、オーガンザ、アクリル、シルク、天然または合成物質等であってもよい。他の変形例では、拘束機構は、超吸収性パッドの中に編み込まれ、および/またはその周囲に巻着されたストリングまたはフィラメントを備えてもよく、ストリングまたはフィラメントの端部は、回収チャンバ壁に取り付けられてもよい(例えば、接着される)。図17Eは、流体保持システム3500の上面図を描写する。繋着されたループ構造3506a、bのそれぞれの下側表面3508a、bは、回収チャンバの遠位壁に接着されてもよい。超吸収性パッド3504の接着剤でコーティングされた底部表面はまた、流体保持システム3500を回収チャンバの遠位壁に固着するのに役立ち得る。代替として、または加えて、拘束機構は、回収チャンバに接着して取り付けられなくてもよく、機械的締まり嵌めによって、回収チャンバに機械的に取り付けられてもよい。
【0104】
ある特徴が、ある実施形態に説明されたが、そのような特徴は、種々の他の実施形態にも含まれる、またはそこから除外されてもよいことを理解されたい。
【0105】
前述の例示的実施形態は、吸引チャンバの真空化を可能にするように構成される、一方向逆止弁を利用するが、他の変形例では、流動方向に特異的ではない他の弁もまた、使用されてもよい。例えば、前述の摺動シール内に位置する一方向逆止弁は、シールの中への押動ロッドの挿入に応じて、または押動ロッドによる弁開放機構に対する力の印加に応じて、開放位置に付勢され得る、通常閉鎖弁で代用されてもよい。いくつかの他の変形例では、吸引チャンバと直接連通する一方向逆止弁、例えば、図14Dにおける実施例は、吸引チャンバが再起動されるにつれて、開放するために、ユーザ起動、例えば、押動ボタンまたはスライドレバーを要求する、通常閉鎖弁で代用されてもよい。
【0106】
ここで図11Aおよび11Bを参照すると、吸引チャンバの近位端に搭載され、チャンバ後方キャップによってカバーされる、ばねアセンブリ2270は、ばね担体2820と、ばね固定具2810の2つの垂直レール2812上に搭載される2つのブッシング2830を含有する、U型ばね固定具2810とを備える。2つの実質的に一定力のばね(本図には図示せず)はそれぞれ、ブッシング2830に連結され、その周囲に巻装される、コイル状体と、遠位に延在し、ピストンアセンブリに取り付けられる、遊離端とを備えてもよい。ばねは、一定力のばねであってもよく、またはそうでなくてもよい。ばね取付機構は、以下に詳述される。ばね担体2820は、中心開口部2824と、2つの側方開口部2826とを備える。中心開口部2824は、再設定ツールの通過を可能にし、ピストンアセンブリにアクセスし、それを変位させるように構成される。側方開口部2826は、ばね固定具2810がばね担体2820に連結されると、ブッシング2830およびばねを格納するように構成される。本図に示されるように、複数の隆起部2821は、側方開口部2826に隣接して配置され、ブッシング2830およびブッシング2830の周囲のコイル状ばねの移動を制限し、それによって、吸引器具の動作の際、ばねのたわみまたは変形を低減させ得る。ばね担体2820はまた、装填ツールシャフト上の1つ以上の溝に摺動可能に係合し得る、弾性タブ2822を備え、シールの長手方向移動軸に対して、装填ツールの角度逸脱を低減してもよい。ばね担体2820はまた、吸引器具装填後、装填ツールを定位置に解放可能に係止するように構成される、2つの相互係止構造2823を備えてもよい。相互係止機構は、以下に詳述される。固定構造2828が提供され、吸引チャンバ上の相補的構造とスナップ嵌合または他の種類の相互嵌合を形成してもよい。
【0107】
図12Aおよび12Bは、摺動シール2910と、ピストン2920とを備える、ピストンアセンブリ2260の構成要素図である。ピストンアセンブリ2260は、実質的に、気密シールを維持しながら、吸引チャンバの遠位端と近位端との間を横断するように構成されてもよい。前述のように、ピストンアセンブリ2260は、吸引チャンバ回収チャンバと作業チャンバとの間に気密分離を提供する。描写される実施形態では、摺動シール2910は、吸引チャンバ内のその移動軸に対して非円形の楕円形断面形状を有するが、他の実施形態では、本明細書に説明されるような他の形状が使用されてもよい。摺動シール2910は、側壁2911と、遠位端壁2912とを備えてもよい。摺動シール2910の側壁2911はさらに、遠位外周隆起部2914と、近位外周隆起部2916とを備え、その寸法は、摺動シール2910の側壁2911より大きくてもよい。隆起部2914および2916は、吸引チャンバの内部表面と摺動接触するように構成されてもよい。それらは、摺動摩擦を制限しながら、シールされた接触を提供してもよい。摺動シールの外部表面および/または吸引チャンバの内部表面は、摩擦低減潤滑剤または潤滑性コーティング物質を備えてもよい。図12A、12B、および13に描写される摺動シール2910は、一方向弁を有していないが、一方向弁(前述で描写および説明されたいずれか等)が、摺動シール2910内に組み込まれてもよいことを理解されたい。
【0108】
摺動シール2910は、ピストン2920に着脱可能に連結されてもよく、またはいくつかの実施形態では、摺動シール2910およびピストン2910は、一体的に形成されてもよい。描写される実施形態では、ピストン2920は、側壁2924を伴う楕円形フレームを備えてもよい。側壁2920の遠位部分は、陥凹2926と、摺動シール2910との相補的締まり嵌めを形成するように構成される、隆起縁またはフランジ2928とを備えてもよい。側壁2922の近位外周縁2930は、ばね担体2820の遠位縁2829に対して相補的形状を有してもよい。描写される実施形態では、ピストン側壁2922の近位縁2930およびばね担体の遠位外周縁2829の両方が、湾曲非平面構成を有する。前述のように、シールおよび/またはシール搭載部(例えば、ピストン2920)は、その外周に沿って、可変長手方向長を有してもよい。いくつかの事例では、長手方向寸法の増加は、シールの寸法に沿って、シールに付加的安定性を提供し得る。いくつかの実施例では、ピストン2920の外周の区分に沿った辺長は、a)外周の辺長と、b)シールおよび/またはピストンの中心移動軸とを交差する横寸法に関連してもよい。図12Aにおける実施例では、ピストン2920の側方長手方向表面は、吸引チャンバ2210の高さ2936に対するピストン2920の増加幅2934に基づいて、長手方向長2932を有してもよい(吸引チャンバ2210の増加幅および減少高に対応する)。対照的に、ピストン2920の上方長手方向表面は、ピストン2920の減少高2936からの側方長手方向表面の長手方向長2932より小さい、長手方向長2938を有してもよい。
【0109】
図12A、12B、および13を参照すると、ピストン2920はまた、ばね担体2820の中心開口部2824と整合され得る、中心開口部2940を備えてもよい。ピストン中心開口部2940は、一定力のばねの遠位端の通過を提供するように構成されてもよい。図12Cは、ピストン2920の正面立面図を提供する。一定力のばね2950(図13にのみ描写される)の遠位領域2952は、中心開口部2940を通して延在し、ピストン2920の正面表面上に配置される、一対のばね保持構造2930に連結されてもよい。本特定の実施形態では、保持構造2930は、ばね上に提供される開口内に挿入されるように構成され、後退構成にあるばね内に存在し得る残留ばね力を使用して、その連結を保持してもよく、またはそうでなくてもよい。しかしながら、保持構造およびばねは、種々の他の連結構成のいずれかを有してもよい(例えば、保持構造は、T型ばね端部の変位を遮断する、支柱を備えてもよい)。中心開口部2940と保持構造2942との間は、ばねに圧接するように構成される、湾曲支持表面2944である。いくつかの実施例では、中心開口部2940と保持構造2930との間の湾曲支持表面2944の長さは、ばねの幅の少なくとも1倍または1.5倍であってもよい一方、他の実施例では、ばねの幅の2倍、または3倍、あるいは4倍であってもよい。いくつかの実施例では、湾曲支持表面2944は、実質的表面積を提供し、押動力を分散させ、ばねの損傷の危険性を低減し得る。図12Aに戻ると、ピストン2920はさらに、また、ばねが中心開口部2940の中に収束するにつれて、ばねを支持し得る、中心開口部2940に隣接する凸面支持部2946をさらに備えてもよい。凸面支持部2946は、少なくとも約ばね幅の湾曲長を有してもよいが、他の実施例では、ばね幅の少なくとも2倍または3倍であってもよい。図12Aおよび13を参照すると、凸面支持部2926はまた、ピストンアセンブリ2260が後退構成にあるとき、ばねのコイルおよびばね担体2830を収容し得る、凹面領域2948を備えてもよい。図11Aから11Bに描写されるピストンアセンブリ2260およびばねアセンブリ2270は、2つのばねを利用するが、他の実施例では、1つのばね、3つのばね、4つのばね、または5つあるいはそれを上回るばねが使用されてもよい。ばねの数、ばねの種類、ならびにばねの幅および長さは、可変であってもよく、他の実施例では、非ばね付勢部材が使用されてもよい(例えば、シールされた空気圧衝撃)
【0110】
いくつかの実施形態では、損傷組織の面積を治療する方法は、治療されるべき組織の面積の周囲にシーラント層を添着するステップと、シーラント層によって、組織の面積の周囲にシールされた封入体を生成するステップと、回収チャンバを筐体チャンバ内に挿入し、回収チャンバを装填するステップと、回収チャンバとシールされた創傷封入体との間に流体連通を生成するステップと、回収チャンバを起動し、シールされた創傷封入体内に減圧レベルを生成するステップと、回収チャンバが創傷滲出液によって充満される場合、回収チャンバと創傷シールとの間の流体連通を終了させ、創傷部位から回収チャンバを解放するステップと、回収チャンバを筐体チャンバから抜脱し、新しい回収チャンバと交換するステップと、必要に応じて、ステップを繰り返し、減圧処置を継続するステップとを含んでもよい。
【0111】
本明細書の実施形態は、ある実施例に関連して説明されているが、種々の付加的な実施形態および説明された実施例の代替例が、本発明の範囲内で企図される。したがって、前述の説明のいずれの部分も、以下の請求項に記載される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。上記で説明される実施形態の全てについて、方法のステップは、連続的に行なわれる必要はない。したがって、添付の請求項による場合を除き、本発明が限定されることは意図されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図16
図17-1】
図17-2】