【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成30年7月30日〜平成30年8月3日草加市庁舎会議室において株式会社遠藤照明が、鈴木直行及び可登篤が発明した照明器具を、明るさ感の検証をするために草加市庁舎会議室の天井に設置した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1の実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具10について図面を参照しながら説明する。照明器具10は、
図1に示すように、一例として長尺状の形状を有し、取付対象の一例としての天井面に直付けまたは埋め込みで取り付けられ、天井面側及び床側に向けて光を照射する。すなわち照明器具10は、下方向を中心とする一方向を照らす2π配光的な光源を使用して上方向を含む全方向を照らす4π配光的な照明器具を実現可能な照明器具である。照明器具10は、器具本体30及び光源ユニット50を備える。
【0010】
<1.1.器具本体30>
器具本体30は、
図2に示すように、一の面に収容凹部COが形成された箱状の外観を有し、筐体31、バネ受け33a、及びバネ受け33bを備える。
【0011】
筐体31は、器具本体30の外観を構成し、一の面に収容凹部COが形成された箱状の部材である。筐体31は、押出加工や板金を曲げ加工等して形成される。筐体31は、
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、長尺状の底板部31aの長辺から長辺側板部31b及び長辺側板部31cが起立し、底板部31aの短辺から短辺側板部31d及び短辺側板部31eが起立して成る。器具本体30は、底板部31aを天井面に設置する直付け型としてもよく、例えば長辺側板部31b及び長辺側板部31cの下端が天井面に一致するように設置する埋め込み型としてもよい。
【0012】
なお、以下の説明では便宜上、天井面に照明器具10が取り付けられた場合における、照明器具10からみて天井方向を「上」、その逆である床方向を「下」という。「上方向」の光とは上方向の成分を有する光という意味であって斜め上方向の光を含んでもよく、「下方向」の光とは下方向の成分を有する光という意味であって斜め下方向の光を含んでもよい。また、短辺側板部31d側から短辺側板部31e側をみる場合の断面を「基準視」(
図5中、破線矢印SVにて模式的に示す)といい、基準視にて右側を単に「右側」と表現し、左側を単に「左側」とい
い、光源ユニットの右側及び左側の外面を「外側」、照明器具の外面で囲まれた部分を「内部」という。
【0013】
底板部31aの下面である底面31aaには、
図3(a)に示されるように台座37bが配され、台座37bの下面にバネ受け33bが配される。バネ受け33bは、バネブラケットであり、光源ユニット50が有する取付バネ部57bが係合される。バネ受け33bの場合と同様に、バネ受け33aが、底面31aaに取り付けられた台座(図示せず)の下面に配される。バネ受け33aは、バネブラケットであり、光源ユニット50が有する取付バネ部57aが係合される。バネ受け33a及びバネ受け33bは、金属板を孔あけ加工、折り曲げ加工等して形成される。台座37a及び台座37bは、バネ受け33a及びバネ受け33bを底上げして取付バネ部57a及び取付バネ部57bに近づける機能を有する。
【0014】
底板部31aには、
図2に示すように天井面などから露出し照明器具10に電力を供給するための電源ケーブル15などの電線を通すための電線用孔が長手方向に沿って複数設けられている。底面31aaには電源端子台(図示せず)が配されており、この電源端子台に、器具本体30外から電線用孔を通して器具本体30内に通された電源ケーブル15が接続される。電源端子台には、ケーブル35aの基端側が電気的に接続されており、電源端子台に接続された電源ケーブル15とケーブル35aとが電気的に接続する。ケーブル35aは先端側にコネクタ35bを有する。
【0015】
<1.2.光源ユニット50>
光源ユニット50は、
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、支持体51、光源部53、電源部55、取付バネ部57a、取付バネ部57b、及び拡散カバーの一例であるカバー部59を有する。
【0016】
<支持体51>
支持体51は、長尺板状の部材であり、アルミ合金などの金属材料で押出成形により形成され、光源部53が発する熱を放散するためのヒートシンクとして機能する。支持体51の下面には光源部53が配され、上面には電源部55、取付バネ部57a、取付バネ部57bが配される。
【0017】
<光源部53>
光源部53は、
図3(a)、
図3(b)及び
図4に示すように、長尺状の光源基板53aの下面に、複数の光源53bが長手方向に間隔を空けて列状に配されてなる。光源53bは、一例として表面実装型LED(Light Emitting Diode)である。
【0018】
<電源部55>
電源部55は、電源ケーブル15を介して照明器具10の外部から供給される交流電力を、光源53bを駆動するための直流電力に変換し、光源53bに供給する機能を備える。電源部55にはケーブル58aの基端側が電気的に接続しており、ケーブル58aは先端側にコネクタ58bを有する。コネクタ35bとコネクタ58bとが接続されることにより、外部から電源部55への電力供給が可能となる。
【0019】
<取付バネ部57a、取付バネ部57b>
取付バネ部57aは、器具本体30が有するバネ受け33aに係合する部材であり、一例として、バネ線材を曲げ加工等して形成されたダブルトーションバネを備える。取付バネ部57aがバネ受け33aに係合することにより、光源ユニット50がダブルトーションバネの弾性力により器具本体30に引き寄せられる。これにより、光源ユニット50は、光源ユニット50の少なくとも一部が収容凹部COに収容される態様で、器具本体30に取り付けられる。取付バネ部57bは、器具本体30が有するバネ受け33bに係合する部材である。取付バネ部57bの構成及び機能は、取付バネ部57aと同様である。
【0020】
<カバー部59>
カバー部59は、光源53bが出射する光を上方向及び下方向に分ける機能、反射する機能、分けられた光を透過及び拡散させる機能を備える。これにより、光源53bが出射する出射光により、下方を照らすとともに、側方、上方をも照らすことのできる明るさ感照明を実現することができる。
【0021】
カバー部59は、
図2及び
図5に示すように、両端が開口した筒状の筒部590、筒部590の両開口を塞ぐ端板部598及び端板部599を備える。端板部598及び端板部599は、一例として、ポリカーボネイトで構成され、白色半透明であり、光透過率は一例として65%〜75%である。
【0022】
筒部590は、
図5及び
図6に示すように、係合部591、係合部592、上カバー部593、上カバー部594、下カバー部595、レンズ部597、第2の反射板の一例である反射板601及び反射板602を備える。
【0023】
係合部591及び係合部592は、支持体51が係合される部分であり、一例としてポリカーボネイトで構成され、白色不透明である。
図6に示すように、係合部591は、光源53bに面するように、上下方向に配された反射板の1つである反射板591aを有し、係合部592は、光源53bに面するように、上下方向に配された反射板の1つである反射板592aを有する。反射板591a及び反射板592aにより、光源53bから出射される出射光の一部について、光源53bの表面に対し、光源53bの表面と反射板591aの下端との成す角、及び光源53bの表面と反射板592aの下端との成す角であるカットオフアングルθ4(
図6参照)以下の方向に照射された光の少なくとも一部を反射し、直接ユーザの視界に入ることが防がれることから、グレアの発生を防止することができる。反射板591a及び反射板592aの光源53bに面する表面は、基準視方向からみて、光源53bの表面中心を一方の焦点FP1とする楕円曲線OVの一部に一致する曲面となっている。楕円曲線OVのもう一方の焦点FP2は、光源53bの光軸OA上で、かつ後述の上板部595hの中心に定めているが、これに限らず、目的の配光制御に応じて変更してもよい。楕円曲線OVについても、目的とする配光制御に応じた式を用いてよい。
【0024】
係合部591は、略コの字状の受け入れ部591bを備え、係合部592は、受け入れ部591bに向かい合う略コの字状の受け入れ部592bを有する。支持体51は、受け入れ部591b及び受け入れ部592bが構成する空間内に挿通され支持される。
【0025】
上カバー部593・594、下カバー部側板下部595b・595cが、光透過性の外側の外面を形成する。上カバー部593は、係合部591に接続し、カバー部59の左側板の上部を含む部分である。上カバー部594は、係合部592に接続し、カバー部59の右側板の上部を含む部分である。上カバー部593及び上カバー部594は、一例としてポリカーボネイトで構成され、無色透明であり、光透過率は一例として92%である。上カバー部593及び上カバー部594においては、光透過率が下カバー部595の底板部595a、側板下部595b・595cより高くなっていることにより、光源53bから出射され、後述の反射板601及び反射板602によって上方へ反射される出射光によって、効率良く上方、天井面を照らすことができ、明るさ感が向上する。また、上カバー部593及び上カバー部594を通過する光は、直接下方へと向かうことがないので、光透過率が高いにもかかわらずユーザが不快なまぶしさを感じることはない。すなわち、グレアの発生を防止することができる。なお、グレアの観点では上カバー部を省略してもよいが、天井における光の拡散性が低い場合に天井に光源が写り込むことを避ける効果と、上カバー部に埃カバーとしての効果があるため、本実施形態では若干拡散性のある上カバー部としている。
【0026】
下カバー部595は、
図5及び
図6に示すように、略直方体状の形状を有し、上カバー部593及び上カバー部594に接続し、カバー部59の略下半分を構成する部分である。下カバー部595は、一例としてポリカーボネイトで構成され、白色半透明であり、光透過率は一例として65%〜75%である。下カバー部595は、一例として押出により成形される。
【0027】
下カバー部595は、底板部595a、側板下部595b、側板下部595c、側板中部595d、側板中部595e、斜板部595f、斜板部595g及び上板部595hを備える。
【0028】
底板部595aは、カバー部59の底板に該当する長尺板状の部分である。側板下部595b及び側板下部595cは、底板部595aの各長辺から起立する部分である。斜板部595fは、側板下部595bの上端部から、カバー部59の内側かつ斜め上方へと張り出した部分である。斜板部595gは、側板下部595cの上端部から、カバー部59の内側かつ斜め上方へと張り出した部分である。上板部595hは、斜板部595f及び斜板部595gに連続し、底板部595aと平行な板状の部分であり、筒部590の上面の一部を構成する。側板中部595dは、側板下部595bの上端部から上へ連続する部分であり、上カバー部593の下端に接続する。側板中部595eは、側板下部595cの上端部から上へ連続する部分であり、上カバー部594の下端に接続する。
【0029】
反射板601は、光制御部材の1つであり、表面が鏡面となっており、鏡面を上として斜板部595fの上に貼付される部材である。反射板602は、光制御部材の1つであり、表面が鏡面となっており、鏡面を上として斜板部595gの上に貼付される部材である。反射板601及び反射板602は、光源53bからの出射光の一部を水平に対し上方向に進行するよう制御する機能を有しており、照明器具の外側に向かうにつれて下方向に傾斜することにより、光源から離れた天井まで広く照らすことができるため、天井の明るさ感が向上する。反射板601及び反射板602は、アルミニウムで構成するものとするが、光を反射する機能を備えた他の素材で構成するものとしてよい。また、反射板601及び反射板602は、貼付に限らず蒸着などの他の方法で斜板部595f及び斜板部595gの上に形成されてもよい。
【0030】
レンズ部597は、光源53bより出射される部分出射光L21(詳細は後述)が、反射板601及び602によって反射されるように制御し、係合部591の反射板591aの下端、及び係合部592における反射板592aの下端のそれぞれに連続するよう配される。レンズ部597は、一例として、ポリカーボネイトで構成され、白色半透明であり、光透過率は90%である。
【0031】
レンズ部597は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、部分曲面フレネルレンズ部597a、部分曲面フレネルレンズ部597b、及びレンズ台座部597cを備える。
【0032】
レンズ台座部597cは、長尺板状の部材であり、下向きに突出する突出部597dを備える。突出部597dは、レンズ部597を凹状の固定位置に配置する場合に凹みに入り込んで左右方向の位置ずれを規制する機能を有する。部分曲面フレネルレンズ部597a及び部分曲面フレネルレンズ部597bは、
図9(c)に示すような曲面フレネルレンズ65を、
図9(d)に示すように半分に分けた部材である部分曲面フレネルレンズ65a及び部分曲面フレネルレンズ65bに相当する。
【0033】
ここで、曲面フレネルレンズは、フレネルレンズと同様な機能を有するレンズであるが、以下のような差異がある。すなわち、フレネルレンズの一例としての
図10(b)に示すようなフレネルレンズ63は、
図10(a)に示すような断面形状を有する凸レンズ61について、表面を細かく分解し、厚みを減らすために平面状に配置した断面形状を有する。他方、曲面フレネルレンズの一例としての曲面フレネルレンズ65は、
図10(a)に示すような断面の凸レンズについて、表面を細かく分解し、全体の厚みを減らさず、分解されたレンズ個々の厚みを減らした形状を有する。ここで、レンズ個々の厚みを減らして、レンズの光源側に、一例として
図10(c)中に一点鎖線で囲った空間67を設けたことにより、光源53bとレンズ部597が
図6及び
図8に示すような位置関係で配置された場合に、光源53bから出射され反射板591a及び592aにて反射された光は、空間67を進むことができ、レンズに当たってしまい意図と異なる方向へ導光されてしまうのを防ぐことができる。
【0034】
なお、
図10(c)に示した曲面フレネルレンズ65と、
図9(c)に示した曲面フレネルレンズ65の形が異なっているが、
図10(a)〜
図10(c)は、あくまで曲面フレネルレンズについて説明するため模式的に示した図である。
【0035】
<1.3.光の経路>
以上のように構成された照明器具10において、光源53bから出射された出射光が通る経路について
図6、
図7(a)、
図7(b)及び
図8を用いて説明する。
【0036】
ここで、以下の説明では筒部590の基準視にて、θ1は、光源53bの光軸OAと反射板601の光源53bに近い側の長辺端LE1とが成す角、及び光軸OAと反射板602の光源53bに近い側の長辺端LE2とが成す角を表す。θ2は、長辺端LE1と反射板591aの下端BE1とが成す角、及び、長辺端LE2と反射板592aの下端BE2とが成す角を表す。θ3は、下端BE1と反射板591aの反射面の上端とが成す角、及び、下端BE2と反射板592aの反射面の上端とが成す角を表す。θ1、θ2、θ3及びθ4は、一例として、θ1=25.7度、θ2=25.3度、θ3=21.7度、θ4=39度とするが、これに限るものではない。上方へ進めるべき光及び下方へ進めるべき光の割合などに応じて適宜調整してよい。
【0037】
光源53bから発せられる出射光は、第1の部分出射光の一例である部分出射光L21、第2の部分出射光の一例である部分出射光L15及び第3の部分出射光の一例である部分出射光L11を含む(
図8参照)。
【0038】
部分出射光L11は、光源53bから発せられた出射光のうち、反射板591a及び反射板592aにより反射されずに、レンズ部597のレンズ台座部597c及びカバー部59の上板部595hを通過する光である。部分出射光L11は、光源53bから、基準視にて略θ1の範囲内に出射されている。部分出射光L11は、底板部595aに到達して拡散され、照明器具10の下方を主に照らす。
【0039】
部分出射光L31は、一例として
図12(a)に示すように、光源53bから発せられた出射光のうち、反射板591a及び反射板592a、反射板721及び反射板722により反射されずに、透過部701及び上板部743を通過する光であり、基準視にて略θ11の範囲内に出射された光である。部分出射光L31は、底板部595aに到達して拡散され、照明器具10aの下方を主に照らす。
【0040】
部分出射光L15は、光源53bから発せられた出射光のうち、基準視にてθ3の範囲内に出射された光であり、一例として
図7(a)に示すように、反射板591a及び反射板592aのいずかにより反射され、レンズ台座部597c及び上板部595hを通過し、焦点FP2を通る。部分出射光L15は、底板部595a、側板下部595b及び側板下部595cに到達して拡散され、照明器具10の下方及び斜め下を主に照らす。
【0041】
反射板591a及び反射板592aが存在することにより、光源53bから
図6に示すθ3の範囲内に出射された光が、直接、ユーザの視界に差し込むのを防ぐことができる。すなわち、照明器具10は、仰角がθ4程度以上である人の視線に光が差し込むのを低減し、目に優しい光を発することができる。
【0042】
部分出射光L21は、光源53bから発せられた出射光のうち、基準視にてθ2の範囲内に出射された光であり、一例として
図7(b)に示すように、レンズ部597の部分曲面フレネルレンズ部597a及び部分曲面フレネルレンズ部597bに入射して、反射板601及び反射板602により反射されるように、反射板601及び反射板602の表面の範囲内に到達するよう制御される。部分出射光L21は、反射板601及び反射板602に到達し、反射されて水平方向よりも上に向かって進む。部分出射光L21の大部分は、上カバー部593及び上カバー部594に到達し、透過又は拡散されて、照明器具10の上方、斜め上を主に照らす。部分出射光L21の一部は、側板中部595d及び側板中部595eに到達して拡散され、照明器具10の側方及び斜め上を主に照らす。反射板601及び反射板602は外側に向かうにつれて下方向に傾斜しているので、部分出射光L21は水平よりやや斜め上方向の光となり、天井の広範囲を照らすことができる。
【0043】
以上のように、照明器具10によれば、一方向を照らす2π配光的な光源を使用して上方を照らす部分出射光L21を作り出すことにより、全方向を照らす4π配光的な照明器具を実現でき、天井を明るくすることにより明るさ感を向上できる。
【0044】
<2.第2の実施形態>
第1の実施形態では、部分曲面フレネルレンズ部597a及び部分曲面フレネルレンズ部597bを含むレンズ部597、表面が平坦な反射板601及び反射板602を用いていたが、これに限らず、レンズ部597並びに反射板601及び反射板602の材料、形状及び構造を変更してもよい。
【0045】
図11は、第2の実施形態に係る筒部590aを示す。筒部590aは、第1の実施形態に係る筒部590と比べて、(1)レンズ部597に替えて、レンズ機能を有さない透過部701を用いる点、(2)表面が平面である反射板601及び反射板602に代えて、第2の反射板の一例として、表面が曲面である反射板721及び反射板722を用いる点が異なる。透過部701、反射板721及び反射板722の使用に伴い、斜板部595f、及び斜板部595gに代えて、反射板721及び反射板722を支持可能である、表面が曲面である斜板部741及び斜板部742を用い、上板部595hに替えて、斜板部741及び斜板部742に接続可能な形状の上板部743を用いている。
【0046】
<2.1.反射板721、反射板722>
反射板721は、表面が鏡面となっており、鏡面を上として斜板部741の上に貼付される部材である。反射板722は、表面が鏡面となっており、鏡面を上として斜板部742の上に貼付される部材である。反射板721及び反射板722は、アルミニウムで構成するものとするが、光を反射する機能を備えた他の素材で構成するものとしてよい。また、反射板721及び反射板722は、貼付に限らず蒸着などの他の方法で斜板部741及び斜板部742の上に形成されてもよい。反射板721の表面は、
図11に示すように、基準視にて、光源53bを焦点とする放物線PA1の一部に一致する曲面となっている。反射板722の表面は、基準視にて、光源53bを焦点とする放物線PA2の一部に一致する曲面となっている。放物線PA1及び放物線PA2は、それぞれ軸が、光源53bの表面(水平面)に対し角度θ10傾いている。角度θ10は、一例として5度とするが、反射板721及び反射板722により光を反射すべき方向に応じて適宜変更してよい。
【0047】
なお、反射板721、722の基準視における形状は放物線に限られず、外側になるにつれて水平に近くなる形状であればよく、反射光を遠方まで向けて明るさ感を向上させることができる。
【0048】
<2.2.光の経路>
本実施の形態における照明器具(図示しないが、識別を容易にするために便宜上「照明器具10a」という。)において、光源53bから出射された出射光が通る経路について
図11、
図12(a)、
図12(b)及び
図13を用いて説明する。
【0049】
ここで、θ11は、筒部590aの基準視にて、光源53bの光軸OAと反射板721の光源53bに近い側の長辺端LE11とが成す角、及び光軸OAと反射板722の光源53bに近い側の長辺端LE12とが成す角を表す。θ12は、筒部590aの基準視にて、長辺端LE11と反射板591aの下端BE11とが成す角、及び、長辺端LE12と反射板592aの下端BE12とが成す角を表す。θ13は、筒部590aの基準視にて、下端BE11と反射板591aの反射面の上端とが成す角、及び、下端BE12と反射板592aの反射面の上端とが成す角を表す。反射板591aと反射板592aの下端の形状は、透過部701の形状に応じて、第1の実施形態の場合に比べ変更可能である。θ11、θ12及びθ13は、一例として、θ11=29.0度、θ12=21.1度、θ13=26.3度とするが、これに限るものではなく、上方へ進めるべき光及び下方へ進めるべき光の割合などに応じて適宜調整してよい。
【0050】
図13に示すように、光源53bから発せられる出射光は、第1の部分出射光の一例である部分出射光L41、第2の部分出射光の一例である部分出射光L35、及び第3の部分出射光の一例である部分出射光L31を含む。
【0051】
部分出射光L31は、一例として
図12(a)に示すように、光源53bから発せられた出射光のうち、反射板591a及び反射板592a、反射板721及び反射板722により反射されずに、透過部701及び上板部743を通過する光である。部分出射光L31は、光源53bから、基準視にて略θ11の範囲内に出射されている。部分出射光L31は、底板部595aに到達して拡散され、照明器具10aの下方を主に照らす。
【0052】
部分出射光L35は、一例として
図12(a)に示すように、光源53bから発せられた出射光のうち、基準視にてθ13の範囲内に出射された光であり、反射板591a及び反射板592aのいずかにより反射され、透過部701及び上板部743を通過し、焦点FP2を通る。そして部分出射光L35は、底板部595a、側板下部595b及び側板下部595cに到達して拡散され、照明器具10aの下方及び斜め下を主に照らす。
【0053】
ここで、反射板591a及び反射板592aが存在することにより、光源53bから出射される出射光の一部について、光源53bの表面に対し、光源53bの表面と反射板591aの下端との成す角、及び光源53bの表面と反射板592aの下端との成す角であるカットオフアングルθ14(
図11参照)以下の方向に照射された光の少なくとも一部を反射し、直接ユーザの視界に入ることが防がれることから、グレアの発生を防止することができる。すなわち、照明器具10aは、仰角がθ4(カットオフアングル)程度の人の視線に光が差し込むのを低減し目に優しい光を発することができる。
【0054】
部分出射光L41は、光源53bから発せられた出射光のうち、基準視にてθ12の範囲内に出射された光であり、一例として
図12(b)に示すように、透過部701に入射し透過する。部分出射光L41は、反射板721及び反射板722に到達して反射されて水平方向よりも上に向かって進む。部分出射光L41の大部分は、上カバー部593及び上カバー部594に到達し、透過又は拡散されて、照明器具10aの上方、斜め上を主に照らす。部分出射光L41の一部は、側板中部595d及び側板中部595eに到達して拡散され、照明器具10aの側方及び斜め上を主に照らす。
【0055】
以上のように、照明器具10aによれば、
図13に示すように、一方向を照らす2π配光的な光源を使用して全方向を照らす4π配光的な照明器具を実現でき、天井を明るくすることにより明るさ感を向上できる。
【0056】
<2.3.補足>
照明器具10aでは、照明器具10で用いていたレンズ部597に替えて透過部701を用いている。レンズ部597における、部分曲面フレネルレンズ部597a及び部分曲面フレネルレンズ部597bは、エッジ部分を必ず有すことになるが、成型過程において設計通りのエッジを形成することが難しく、エッジが設計よりも鈍った形状を有するような場合がある。このようなエッジ部分に入射する光については、設計と異なる反射、屈折又は乱反射などをし、制御しきれない場合が生じる。そうすると、光の利用効率が低下し得る。一方で、照明器具10aにおいては、曲面フレネルレンズを使用していないため、エッジ部分での光の利用効率が低下するというような問題を回避することができる。また、照明器具10aでは、曲面フレネルレンズを使用せずに透過部701を用い、反射板721及び反射板722の表面形状を曲面にすることで光を制御可能としている。
【0057】
<3.変形例その他>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、例示した照明器具を例えば以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0058】
(1)上述の実施形態では、係合部591は、反射板591a及び反射板592aを有していたが、これに限らず、反射板591a及び反射板592aを有さず、レンズ部597が反射板591a及び反射板592aの位置まで延びていてもよい。
【0059】
(2)一例として
図14に示すように、照明器具であって、光源53bと、照明器具の外面の内側に配され、水平に対し傾斜する光制御部材とを備え、その光制御部材が光源53bからの出射光の一部である第1の部分出射光を水平に対し上方向に進行するよう制御すれば足りる。光制御部材は、一例として
図14に示すように、反射板721及び反射板721のような反射板であってもよい。所望の配光を実現するよう、光制御部材の傾斜度合いを調整すればよく、この構成によれば、制御された光により従来よりも上方を明るく照らすことができる照明器具を提供できる。
【0060】
なお、この場合、第2の実施形態では、反射板591aおよび反射板592aで反射されていた部分反射光L35は、
図14に示すように、上カバー部593及び上カバー部594に到達する。また、光制御部材は、一例として、第1の部分出射光を水平に対し上方向に進行するよう制御するレンズであってもよい。
【0061】
(3)上述の実施形態では、カバー部を構成する各部について透過率の一例を明示しているが、透過率はこれに限るものではなく、実現すべき照明器具10、10aの仕様に応じて適宜変更可能である。また、素材についても、実現すべき照明器具10、10aの仕様に応じて適宜変更可能である。
【0062】
(4)上述の実施形態では、照明器具が長尺状のものとして説明したが、これに限らず、円盤状のものなど他の形状であってもよい。
【0063】
(5)上述の実施形態では、照明器具において、器具本体と光源ユニットとが分離可能な例について説明したが、これに限らず、例えば一体化されたものであってもよい。
【0064】
(6)上述の実施形態では、取付バネ部とバネ受けの組を2組使用する例で説明したが、2組に限らず、3組以上であってもよい。
【0065】
(7)本発明の各部構成は上記実施形態及び変形例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記照明器具の各部構成は、LEDに係る照明器具に限定されていない様々な照明器具に適用することが出来る。
【0066】
(8)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0067】
<4.発明の抽出>
上記の実施形態および変形例から抽出される発明として、例えば、以下の発明を挙げることができる。
【0068】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、照明器具であって、
下方向を中心とする一方向を照らす光源と、前記照明器具の内部における前記光源の下方向に配され、前記照明器具の外側に向かうにつれて下方向に傾斜する、断面視において左側及び右側の光制御部材と、前記各光制御部材の真上において上下方向に配された、断面視において左側及び右側の反射板と、を備え、前記光制御部材は、前記光源からの出射光の一部である第1の部分出射光が前記反射板に反射されることなく入射し、前記第1の部分出射光を上方向に進行するよう制御する。
【0069】
この構成により、制御された光により従来よりも上方を明るく照らすことができる照明器具を提供できる。
【0070】
(2)前記照明器具は、さらに
、前記反射板は、前記光源からの出射光の一部である第2の部分出射光を
前記光制御部材の下側へ反射することとしてもよい。
【0071】
この構成により、従来よりも、配光制御された光により下方を照らすとともに、上方を明るく照らすことができる照明器具を提供できる。
【0072】
(3)前記反射板の断面は、表面が前記光源を焦点の一方とする楕円の一部に一致することとしてもよい。
【0073】
この構成により、従来よりも、配光制御された光により下方を照らすとともに、上方を明るく照らすことができる照明器具を提供できる。
【0074】
(4)前記反射板は、前記第2の部分出射光として、前記光源の表面
と前記反射板の下端との成す角であるカットオフアングル以下で照射された
光を反射することとしてもよい。
【0075】
この構成により第2の部分出射光が仰角がカットオフアングル以上である人の視線に光が差し込むのを低減し、目に優しい光を発することができる。
直接ユーザの視界に入ることがないので、グレアの発生を防止することができる。
【0076】
(5)前記照明器具は、前記第1の部分出射光が前記光制御部材に到達するよう制御するレンズを備えることとしてもよい。
【0077】
この構成により、配光が制御された光を反射板に導くことができる。
【0078】
(6)また、前記レンズは、凸レンズの前記光源に面する側を階段状に凹ませた曲面フレネルレンズであることとしてもよい。
【0079】
この構成により、凹ませた部分において光を妨げずに進行させ、効率のよい配光制御をすることができる。
【0080】
(7)また、前記光制御部材の断面は、表面が前記光源を焦点とする放物線の一部に一致する反射面を有することとしてもよい。
【0081】
この構成により、効率よく上方へ光を反射することができる。
【0082】
(8)また、前記第1の部分出射光が透過する上カバー部と、前記第2の部分出射光を透過する下カバー部を備え、前記上カバー部の透過率は前記下カバー部の透過率より高いこととしてもよい。
【0083】
この構成により、光源から出射され、光制御部材によって上方へ反射される出射光によって、効率良く上方、天井面を照らすことができ、明るさ感を向上することができる。また、上カバー部を通過する光は、直接下方へと向かうことがないので、光透過率が高いにもかかわらずユーザが不快なまぶしさを感じることがない、すなわち、グレアの発生を防止することができる。
【0084】
(9)本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、照明器具に用いられる光源ユニットであって、
下方向を中心とする一方向を照らす光源と、前記光源ユニットの外面の内側における前記光源の下方向に配され、水平に対し傾斜する断面視において左側及び右側の光制御部材と、前記各光制御部材の真上において上下方向に配された、断面視において左側及び右側の反射板と、を備え、前記光制御部材は、前記光源からの出射光の一部である第1の部分出射光が前記反射板に反射されることなく入射し、前記第1の部分出射光を水平に対し上方向に進行するよう制御する。
【0085】
この構成により、従来よりも、上方を明るく照らすことができる光源ユニットを提供できる。
【0086】
(10)前記光源ユニットは、さらに、上下方向に配された反射板を備え、前記反射板は、前記光源からの出射光の一部である第2の部分出射光を
前記光制御部材の下側へ反射することとしてもよい。
【0087】
この構成により、従来よりも、配光制御された光により下方を照らすとともに、上方を明るく照らすことができる光源ユニットを提供できる。