(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876034
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】クリティカル動作状態時に、スイッチギアまたはバックアップヒューズから独立して、電源から過電圧保護デバイスを安全に取り外すための構成
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20210517BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
H02H3/08 S
H02H9/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-512985(P2018-512985)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2018-526964(P2018-526964A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】EP2016070467
(87)【国際公開番号】WO2017042063
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】102015011900.1
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016000355.3
(32)【優先日】2016年1月14日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507059923
【氏名又は名称】デーン エスエー プルス ツェオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロッケ、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ツァールマン、ペーター
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−004950(JP,A)
【文献】
実開昭54−000639(JP,U)
【文献】
特開平02−123687(JP,A)
【文献】
特表2015−512243(JP,A)
【文献】
特開2009−232589(JP,A)
【文献】
特開2007−129871(JP,A)
【文献】
特開2000−214204(JP,A)
【文献】
実開昭53−029379(JP,U)
【文献】
米国特許第05933310(US,A)
【文献】
米国特許第05072327(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08 − 3/253
H02H 7/00
H02H 7/10 − 7/20
H02H 7/22 − 7/30
H02H 9/00 − 9/08
H01T 1/00 − 4/20
H01C 7/02 − 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリティカル動作状態の発生時、特に、故障状態または過負荷状態への過電圧保護デバイス(SPD)の遷移の発生時に、スイッチギアまたはバックアップヒューズから独立して、電源から該過電圧保護デバイス(SPD)を安全に取り外すための構成であって、該過電圧保護デバイスを通って流れる電流を検知するためのデバイスと、該過電圧保護デバイスに直列で接続されたスイッチング装置(7)とからなる、構成において
該過電圧保護デバイスを通って流れる該電流を検知するためのデバイスは、強磁性コアを有するかまたは有しないトロイダルコイル(1)として形成され、その設計は、事象に依存するサージ電流と異なる中程度の振幅の故障電流が検出可能であるようになっており、該トロイダルコイル(1)は、インジケータヒューズ(5)と電気通信し、そのインジケータが、該スイッチング装置(7)をトリガするために該スイッチング装置(7)に機械的に接続されており、
該過電圧保護デバイス(SPD)の放電経路から流れる電流の一部は、該トロイダルコイル(1)を介した誘導結合によって該放電経路から分離され、そして該インジケータヒューズ(5)に供給され、過負荷時に該インジケータヒューズ(5)を溶断させ、該スイッチング装置(7)は、結合された機械的動作によってトリガ可能であることを特徴とする、構成。
【請求項2】
前記インジケータヒューズ(5)の前記インジケータは、力をブーストする機械的デバイス(6)を介して前記スイッチング装置(7)に接続されることを特徴とする、請求項1記載の構成。
【請求項3】
前記トロイダルコイル(1)と、前記スイッチング装置(7)と、特にバリスタ(2)として形成される少なくとも1つの過電圧アレスタとを備える構築ユニットによって特徴付けられる、請求項1または2記載の構成。
【請求項4】
前記トロイダルコイル(1)は、前記過電圧保護デバイスが低インピーダンス状態への高速遷移を行うときに生じ得る、数十A〜数kAの範囲の故障電流を検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の構成。
【請求項5】
電流トランスとして形成されるローパス回路(3)および/またはトランスデューサ(4)が、前記トロイダルコイル(1)と前記インジケータヒューズ(5)との間に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の構成。
【請求項6】
前記トロイダルコイル(1)は、サージ電流が生じたときに飽和範囲に入るように形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の構成。
【請求項7】
力をブーストするためにトグルレバードライブ(6)が設けられることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による、クリティカル動作状態時、特に、故障状態または過負荷状態への過電圧保護デバイスの遷移時に、スイッチギアまたはバックアップヒューズから独立して、電源から過電圧保護デバイスを安全に取り外すための構成であって、過電圧保護デバイスを通って流れる電流を検知するためのデバイスと、過電圧保護デバイスと直列に接続されたスイッチング装置とからなる、構成に関する。
【背景技術】
【0002】
文献EP0326903A1から、シャント経路においてバリスタを用いた電気設備における過電圧に対する保護デバイスが既に知られており、バリスタは、役割として、正しい動作と一致していない漏れ電流の増大について監視デバイスによって監視され、必要な場合、オフに切り替えられる。
【0003】
特に、相導体は、トランスおよびバリスタ、ならびにカットオフデバイスの開閉接点によって接地される。
【0004】
本トランスは、バリスタを通って流れる電流を、好ましい検出範囲になるように変換する。
【0005】
実際の監視デバイスは、トランスの二次回路内にあり、電流検知部材と、この監視デバイスとの通信における時間記録部材とを備える。
【0006】
特定された電流が閾値以上であるとき、出力はトリップ信号を発し、このトリップ信号がANDゲートに供給される。閾値の超過が、閾値の所定時間tを超えているとき、時間記録部材は同様に信号を放ち、この信号がANDゲートに達する。双方の信号がANDゲートに適用されるとき、トリップ信号はその出力において利用可能であり、このトリップ信号により、カットオフデバイスにおいて、トリガ手段が応答し、その結果、上述した開閉接点が開放される。既知の保護デバイスによって、バリスタを不必要にカットオフせず、このため、過電圧保護を制限することが可能である。むしろ、電流負荷の特定の所定の持続時間の超過により、追加の判断基準として実際のトリッププロセスが決まるという点で、用いられるバリスタの特性の監視が拡張される。
【0007】
時間応答自体がクリティカルでない場合の漏れ電流が、既知の手法において0.1mA〜10mAの範囲で検出可能であることは事実である。しかしながら、最大で数kAの中程度の振幅の漏れ電流が生じ得る低インピーダンス状態への非常に高速な遷移時に関して過電圧保護デバイスを監視することは可能でない。そのような電流は、非常に高エネルギーであり、対応する設備または施設において危険な状況となり得る。
【0008】
文献DE102009004673A1は、少なくとも1つの過電圧制限構成要素、特に、スパークギャップまたはバリスタを有する過電圧プロテクタ要素を示す。過電圧制限構成要素を通って流れる電流を検出する監視構成要素は、過電圧制限構成要素に関連付けられる。更に、監視構成要素の信号は、放電経路から直流的に絶縁された評価ユニットに供給される。
【0009】
監視構成要素は、放電経路に誘導結合されたコイルとして形成することができる。
【0010】
既知の解決策により、過電圧制限構成要素の負荷が、動作中に検出することができるので、不具合が生じる前に負荷に関する申告を最終的に行うことができる。その目的は、以前に損傷を受けた過電圧保護デバイスを適切な時点に特定し、交換することが可能とすることである。
【0011】
過負荷である可能性が高い過電圧制限構成要素を自動的にカットオフするためのオプションは、DE102009004673A1において提供されていない。
【0012】
過電圧保護デバイスは、危険な過電圧に対し電気設備を保護するために用いられることが既知であり、この点で低電圧ネットワークに接続される。例えば、電圧変動、一時的過電圧または複数の放電プロセス等の電気的影響は、過負荷のみでなく、保護デバイスの突然の寿命の終了にもつながり得る。
【0013】
しかし、そのような保護デバイスの寿命の終了は、例えば、動作電流または漏れ電流の増大において現れる場合もある。この漏れ電流が、例えば数秒の範囲で徐々に増大する場合、これにより、電力損失の増加に起因して、用いられる保護構成要素、例えばバリスタの加熱が生じる。
【0014】
上記で示した障害状態が確実に制御されるようにバリスタを構成することが既知である。これに関しては熱分離デバイスが既知である。
【0015】
しかしながら、過電圧保護デバイスが、定格電圧の誤った選択、または予期せず高いパルス電流によって過負荷を受け、用いられる過電圧保護構成要素が突然、そして完全に故障する、すなわち、これにより低インピーダンス状態または短絡状態に遷移する場合、印加される供給電圧により、故障電流が過電圧保護デバイスを通る場合があり、これにより、発火または爆発等の危険な状態が生じる。これを防ぐために、通常、エネルギーフローの方向において上流に接続されたヒューズまたはスイッチング装置の下流にのみ過電圧保護デバイスが用いられる。
【0016】
そのようなヒューズまたはスイッチング装置のトリガは、生じている故障および/または短絡電流とは無関係に行われるが、多くの場合に、想定の電流または負荷に依存する。既知のスイッチング装置はまた、多くの場合、動作電流のために設計されるため、信頼性のある過電圧保護デバイスの分離は多くの場合、適切な時点に行われず、その結果、過電圧保護デバイス自体または設置場所に対する損傷が記録されることになる。
【0017】
この場合、特に、数十A〜最大で数kAの範囲の中程度の振幅の故障電流が特にクリティカルであることが明らかとなった。なぜなら、これらは上流の保護部材、すなわちヒューズまたはスイッチング装置をトリガしないか、またはトリガするのが遅すぎるためである。
【0018】
過電圧保護デバイスにおける既知の熱分離デバイスは、ミリアンペアから数アンペアの範囲で漏れ電流を制御するように実現される。そのような熱的にトリガする分離デバイスは、応答が比較的低速であるため、過電圧保護デバイスが低インピーダンス状態に非常に高速に遷移するとき、10A〜最大で数kAの範囲の上述した漏れ電流をカットオフすることができない。
【0019】
そのような小さな故障電流は、低電圧ネットワークに給電する短絡回路電力が低いか、または発生する短絡回路電力が、それぞれの過電圧保護構成要素、例えばバリスタの残りの残存している抵抗によって大幅に制限されるときには常に生じることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したことから、本発明の課題は、クリティカル動作状態の発生時に、スイッチギアまたはバックアップヒューズと無関係に、電源から過電圧保護デバイスを安全に取り外すための更なる発展した構成であって、スイッチング装置が、一方で放電経路において高サージ電流を搬送し、他方で時間遅延なしでアンペア範囲の故障電流をカットオフするようにスイッチング装置を駆動することが可能な構成を提案することである。これを行う際、用いられる過電圧保護デバイスの反応停止機能および/または放電機能に不利な影響は回避されるべきである。
【0021】
本発明の課題は、請求項1に記載の特徴の組み合わせによる構成によって解決され、従属請求項は、少なくとも、適切な構造および更なる発展形態を表す。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、実際の放電経路を流れる電流の一部分は、適切な誘導結合によってその放電経路から分離され、次に再び溶融ヒューズ、例えばインジケータヒューズに供給され、過負荷時にこのヒューズを溶融させ、ここで、それ自体既知であり存在しているスイッチング装置を、結合された機械的動作によってトリガすることができる。
【0023】
電流を分離するのに用いられる手段、特にトロイダルコイルの設計は、この場合、例えば、W/H特性および飽和挙動等の磁気特性を方向づけることによって、サージ電流対故障電流の区別に選択的に適合させることができる。
【0024】
好ましくはローパスフィルタとして形成される、更なるフィルタ構成要素が、様々なパルス形状の放電電流と、供給周波数故障電流との間で必要な差異を改善する。
【0025】
フィルタ構成要素は、この場合、急峻パルス、例えば、サージ電流パルスを制御することが意図される。飽和挙動の点で、電流を分離するために優先的に用いられるトロイダルコイルの飽和は、サージ電流を制限するように意図されるが、小さな電流に対しては線形構造であるべきである。換言すれば、高いサージ電流において、コイルの飽和が開始する必要がある。
【0026】
このため、スイッチング装置が、高サージ電流を搬送することができるが、アンペア範囲の比較的小さな故障電流をカットオフすることもできるようにしてスイッチング装置の駆動および構成を実施することが可能である。
【0027】
機械的特性、特に、スイッチングシステムの力伝達または調整可能な緩慢さを設計することによって、異なるサージ電流挙動および故障電流挙動の点で適切な適合を行う補足的オプションが存在する。
【0028】
ここで、サージ電流の場合に応答しない、故意に遅い応答の機械的システムを構築することができ、これはタイムラグヒューズにある意味類似している。
【0029】
優先的に用いられるトロイダルコイルは、更に、電源電位および/または過電圧電位を受ける保護デバイスにおける導電構成要素と、スイッチング装置の機械的作動との間の直流的な分離を確実にする。
【0030】
高サージ電流を放電する際のトリガ回路の過負荷は、用いられるコイル、特に、内部で用いられる磁気コアの優先的に達成される飽和によって回避される。
【0031】
高サージ電流値での飽和を有するトロイドコアコイルまたはトロイダルコアコイルの使用により、更に、過電圧保護デバイスの保護レベルの僅かな増大のみが結果として生じることが確実にされる。
【0032】
過電圧保護デバイスを通って流れる電流を検知するための本発明のデバイスは、好ましくは、既に説明したように、強磁性コアを有するかまたは有しないトロイダルコイルとして形成される。トロイダルコイルの設計は、イベントに依存したサージ電流と異なる中程度の振幅の故障電流が検出可能であるようになっている。
【0033】
トロイダルコイルは、インジケータヒューズまたは類似の手段と電気通信する。インジケータヒューズのインジケータは、スイッチング装置をトリガするためにスイッチング装置に機械的に接続される。
【0034】
本発明の設計において、デバイスを介してスイッチング装置にインジケータを接続して機械的力を高めるオプションが存在する。
【0035】
更に、本発明によれば、トロイダルコイルと、スイッチング装置と、少なくとも1つの過電圧アレスタとを備え、特にバリスタとして形成される構造ユニットが存在する。
【0036】
トロイダルコイルは、過電圧保護デバイスが低インピーダンス状態への高速変換を行っているときに生じる場合がある、数十A〜数kAの範囲の故障電流を検出することが可能であり、それによって、この場合、電源からの安全な分離が可能になる。
【0037】
本発明は、例示的な実施形態および図面を基にして、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による過電圧保護デバイスSPDの構成のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
過電圧保護デバイスSPDは、電流導体の回りに配置されたトロイダルコアコイル1と、電流導体に直列に接続され、そして保護構成要素、例えば金属酸化物バリスタ2と直列にされたスイッチング装置7とを備え、好ましくは構造ユニットとして形成される。
【0040】
トロイダルコイル1は、その端子によってローパス回路3の入力と通信し、そのローパス回路3は、出力側で電流トランス/トランスデューサ4に通じている。
【0041】
出力側の電流トランス/トランスデューサ4の二次側において、インジケータヒューズ、またはスプリングプリロードを有する溶融導体が形成される。
【0042】
機械的には、インジケータヒューズ5は、例えば、スプリングプリロードを有するトグルレバードライブ6として形成されるパワーブースタと通信する。レバードライブは、スイッチング装置7に対し作用し、関連する電気条件が生じたときに、スイッチング装置7を開放状態に変換することが可能である。
【0043】
トロイダルコイル1は、実際の放電路から、この放電路を流れる電流の一部分を分離する。この分離された電流は、様々なパルス形状の放電電流と電源周波数の故障電流とを区別するためにローパス回路3に供給され、オプションのトランスデューサ4によってそのような出力電流に適合され、インジケータヒューズ5が定義された方式で応答するようにする。
【0044】
トロイダルコアコイル1のトロイダルコアの設計は、過電圧保護デバイスSPDの放電路への単純な統合のオプションを確保する。ここで、一次側には低い誘導性のみが存在し、結果として、過電圧保護デバイスの保護レベルが僅かにのみ増大する。
【0045】
提供されるトグルレバードライブ6の力増幅によって、スイッチング装置7の高速かつ安全な開放が達成される。