特許第6876060号(P6876060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876060低水分含量及び再付着防止ポリマーを含む洗剤配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876060
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】低水分含量及び再付着防止ポリマーを含む洗剤配合物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20210517BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C11D3/37
   C11D17/08
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-537773(P2018-537773)
(86)(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公表番号】特表2019-506489(P2019-506489A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】US2017016321
(87)【国際公開番号】WO2017139184
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2020年1月27日
(31)【優先権主張番号】16290033.6
(32)【優先日】2016年2月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン・オバーリン
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−275468(JP,A)
【文献】 特開2008−050561(JP,A)
【文献】 特開2000−143738(JP,A)
【文献】 特表2007−514025(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0215449(US,A1)
【文献】 特開平01−185398(JP,A)
【文献】 特表2002−525421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤であって、(a)0〜30重量%の水と、(b)60〜90重量%の界面活性剤と、(c)20〜50重量%の(メタ)アクリル酸の重合単位及び50〜80重量%の構造HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R”のモノマーの重合単位を含む、0.5〜10重量%のアクリルポリマーと、を含み、式中、RがHまたはCHであり、R’がC−Cアルキルであり、R”が12−C15アルキルであり、nが8〜15の平均数であり、mが0でり、並びに前記アクリルポリマーの重量平均分子量が、1,000〜4,000であることを条件とする、液体洗剤。
【請求項2】
前記アクリルポリマーの重量平均分子量が、1,500〜3,000である、請求項1に記載の洗剤。
【請求項3】
前記アクリルポリマーが、0.1重量%以下の架橋剤を有する、請求項2に記載の洗剤。
【請求項4】
1〜8重量%のアクリルポリマーを含む、請求項3に記載の洗剤。
【請求項5】
0〜20重量%の水を含む、請求項4に記載の洗剤。
【請求項6】
65〜86重量%の界面活性剤を含む、請求項5に記載の洗剤。
【請求項7】
前記アクリルポリマーが、23〜40重量%の(メタ)アクリル酸の重合単位及び60〜77重量%の構造HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CH
O)R”のモノマーの重合単位を含む、請求項6に記載の洗剤。
【請求項8】
3〜17重量%の水を含む、請求項に記載の洗剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低水分洗剤配合物、例えば、水分散性パウチに封入されている配合物に関する。
【0002】
洗剤配合物が水分散性パウチに封入されているパウチ入り洗剤配合物が知られている。パウチに含まれる配合物は、概して、他の洗剤配合物よりも低い水分含量を有する。再付着防止添加剤としてのアクリルポリマーは、例えば、US4,797,223で知られている。しかしながら、この参照文献は、本明細書で特許請求される洗剤配合物の使用を提案していない。
【0003】
本発明によって解決される問題は、改良されたパウチ入り洗浄洗剤配合物の必要性である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、液体洗剤を提供し、液体洗剤は、(a)0〜30重量%の水と、(b)60〜90重量%の界面活性剤と、(c)20〜50重量%の(メタ)アクリル酸の重合単位及び50〜80重量%の構造HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R”のモノマーの重合単位を含む、0.5〜10重量%のアクリルポリマーと、を含み、式中、RがHまたはCHであり、R’がC−Cアルキルであり、R”がC−C22アルキルまたはC−C16アルキルフェニルであり、nが6〜30の平均数であり、mが0〜10の平均数であるが、但し、n≧m、m+nが6〜30であることを条件とする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特に指定がない限り、百分率は、重量百分率(wt%)であり、温度は、℃である。特に指定がない限り、操作は室温(20〜25℃)で行われた。洗剤中の成分の重量百分率は、活性成分、例えば、市販の界面活性剤製品中に含まれ得る水を一切含まない界面活性剤分子、の重量、及び水を含む液体洗濯洗剤組成物全体の重量に基づく。アクリルポリマー中のモノマー単位の百分率は、ポリマー鎖の総重量、すなわち、乾燥重量に基づく。用語「(メタ)アクリル」は、メタクリルまたはアクリルを意味する。アルキル基は、直鎖または分岐であり得る飽和ヒドロカルビル基である。アラルキル基は、アリール基で置換されているアルキル基である。アラルキル基の例として、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、及び1−フェニルエチルが挙げられる。本明細書で使用されるとき、用語「界面活性剤」は、脂肪酸石鹸を含む。
【0006】
本明細書で使用されるとき、別段の指示がない限り、語句「分子量」またはMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)及びポリアクリル酸標準物質を使用した従来の方式で測定される、重量平均分子量を指す。GPC技術は、Modem Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley−lnterscience,1979、及びA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81−84に詳しく記述されている。分子量は、本明細書では、ダルトンの単位で報告される。
【0007】
好ましくは、洗剤は、少なくとも1重量%のアクリルポリマーを含み、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0008】
好ましくは、ポリマーは、アクリルポリマー、すなわち、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%のアクリルモノマーの重合残基を有するものである。アクリルモノマーとしては、構造HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R”のモノマーを含む、(メタ)アクリル酸及びそれらのC−C22アルキルもしくはヒドロキシアルキルエステル;クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、及びクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、またはマレイン酸のアルキルもしくはヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
【0009】
好ましくは、アクリルポリマーは、少なくとも55重量%の構造HC=C(R)CO(CHCHO)(CH(R’)CHO)R”のモノマーの重合単位を含み、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは77重量%以下、好ましくは75重量%以下である。好ましくは、アクリルポリマーは、少なくとも23重量%の(メタ)アクリル酸の重合単位を含み、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下である。
【0010】
好ましくは、RはHまたはCHである。好ましくは、R’はCHである。好ましくは、nは、少なくとも8、好ましくは少なくとも10であり、好ましくは、nは25以下、好ましくは20以下、好ましくは15以下である。好ましくは、mは5以下、好ましくは3以下、好ましくは1以下、好ましくは0である。好ましくは、R”はC−C18アルキルまたはC−C16アルキルフェニル、好ましくはC−C18アルキル、好ましくはC10−C16アルキルである。好ましい実施形態では、R”はC10−C16アルキルからの置換基の混合物であり、好ましくはR”はC12−C15アルキルである。
【0011】
好ましくは、アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜10,000、好ましくは少なくとも1,500、好ましくは7,000以下、好ましくは5,000以下、好ましくは4,000以下、好ましくは3,000以下である。
【0012】
好ましくは、アクリル酸ポリマーは、0.5重量%以下の架橋モノマーの重合単位を含み、好ましくは0.3重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である。架橋モノマーは、多エチレン性不飽和モノマーである。好ましくは、洗剤配合物は、Zn+2、Ca+2、Mg+2、及びAl+3からなる群から選択される0.5重量%以下の金属イオンを含み、好ましくは0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。金属イオンの百分率は、アニオンなしで、金属のみに基づく。
【0013】
好ましくは、洗剤は、少なくとも65重量%の界面活性剤を含み、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは86重量%以下、好ましくは83重量%以下である。好ましくは、洗剤は、少なくとも3重量%の水を含み、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは少なくとも7重量%、好ましくは25重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは17重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
【0014】
界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、脂肪酸金属塩、双性イオン性またはベタイン界面活性剤であってもよい。好ましくは、配合物は、少なくとも1個のアニオン性界面活性剤を含み、好ましくは少なくとも2つである。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも6個の炭素原子を有するアルキル基及び少なくとも5個の重合化エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド残基を有する。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも5個の重合化エチレンオキシド残基を有し、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは12個以下、好ましくは11個以下、好ましくは10個以下である。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、少なくとも10個の炭素原子及びを有するアルキル基及びアニオン性基を有し、好ましくはスルホネート及びサルフェートから選択される。アニオン性界面活性剤はまた、エチレンオキシドの重合残基有し、及び/または芳香環、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、を有し得る。いくつかのアニオン性界面活性剤は、脂肪酸アルカリ金属塩である。好ましくは、洗剤組成物は、5〜20重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含み、好ましくは5〜15重量%、好ましくは8〜13重量%である。好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、C10−C14アルキル基を有する。好ましくは、洗剤組成物は、少なくとも2重量%のアルキルサルフェートを含み、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも4重量%である。好ましくは、洗剤組成物は、12重量%以下のアルキルサルフェートを含み、好ましくは10重量%以下、好ましくは8重量%以下である。好ましくは、アルキルサルフェートは、分子あたり1〜5個の重合化エチレンオキシド単位を含む。
【0015】
好ましくは、洗剤は、1〜15重量%のC−Cグリコール溶媒をさらに含み、好ましくはプロピレングリコール、好ましくは2〜10重量%、好ましくは3〜8重量%である。好ましくは、洗剤は、C−Cグリコールでない1〜15重量%のポリオール溶媒をさらに含み、好ましくは3〜12重量%である。好ましいポリオール溶媒は、例えばグリセロール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは4,000,000ダルトン以下、好ましくは1,000,000以下)、ポリプロピレングリコール(好ましくは4,000ダルトン以下、好ましくは1,000以下)及びメトキシポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールと同じ好ましい分子量)、を含む。
【0016】
好ましくは、洗剤組成物のpHは、4〜11であり、好ましくは4.5〜10、好ましくは4.5〜9である。配合物のpHを調節するための好適な塩基は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの鉱物塩基、水酸化アンモニウム、及びモノ−、ジ−またはトリ−エタノールアミンなどの有機塩基、または2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)を含む。塩基の混合物が使用され得る。水性媒体のpHを調節するための好適な酸は、塩酸、リン含有酸及び硫酸などの鉱酸、及び酢酸などの有機酸を含む。酸の混合物が使用され得る。配合物は、塩基を使用してより高いpHへ調節され得、次いで、酸を使用して上記に記載されている範囲へ逆滴定され得る。
【0017】
本発明の組成物中にビルダーが存在するとき、好ましいビルダーとしては、シトレート、ホスフェート、カーボネート、アルミノシリケート、有機ホスフェート、カルボキシレート、ポリカルボキシレート(例えば、ポリアクリル酸またはマレイン/(メタ)アクリル酸コポリマー)、ポリアセチルカルボキシレート、またはそれらの混合物が挙げられる。用語「カーボネート」は、カーボネート、バイカーボネート、パーカーボネート、及び/またはセスキカーボネートを指す。ビルダーは、塩または酸形態として追加され得る。好ましくは、カーボネートまたはシトレートは、ナトリウム、カリウムまたはリチウム塩であり、好ましくはナトリウムまたはカリウム、好ましくはナトリウムである。好ましいビルダーは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはそれらのうちの2つ以上の混合物を含む。好ましくは、本発明の組成物中に存在するときのビルダーの量は、例えば、洗剤組成物の総重量に基づき、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量パーセントの範囲にあり得る。
【0018】
補助ビルダーはまた、本発明の組成物中に含まれ得る。好ましい補助ビルダーは、ポリアクリル酸及びそのコポリマー、スルホネート、ホスホネート(例えば、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、補助ビルダーの量は、本発明の組成物に存在するとき、例えば、洗剤組成物の総重量に基づき、0.1〜20重量%、あるいは0.5〜10重量パーセントの範囲にあり得る。ビルダー及び補助ビルダーは、好ましくは、自動食器洗浄洗剤である洗剤組成物中に存在する。
【0019】
洗剤組成物はまた、限定されないが、ヒドロトロープ(例えば、エタノール、プロピレングリコール)、酵素(例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ)、防腐剤、香水、蛍光剤、シェーディング染料、追加のビルダー、及び/または添加物ポリマー(例えば、再付着防止ポリマー、灰色化防止ポリマー)を含む、様々な他の任意の成分を含み得る。
【0020】
好ましくは、洗剤は、密封パッケージに入れられ、好ましくは単位用量洗剤パッケージである。好ましくは、パッケージは、水溶性または水分散性ポリマーである。本発明の好ましい実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコールである。密封パッケージ中の洗剤組成物は、例えば、洗濯機または自動食器洗浄機で使用され得る。パウチを形成するための方法は、周知であり、例えば、WO2002/060758に記載されている。
【実施例】
【0021】
実施例1:モデル配合物における性能
【0022】
【表1】
【0023】
成分を、以下の表に記載された追加の順に従って、機械的撹拌下でビーカーに追加する。モデル配合物は透明及び黄色である。
【0024】
モデル配合物に加えて3%活性ポリマーA、B、C、またはDの追加後の安定性
ポリマーA、B、C及びDを、500rpmで5分間機械撹拌機を使用し、モデル配合物に加えて後追加した。配合物の安定性を、22℃での24時間後視覚的に評価し、安定配合物については、40℃での2か月の保管後に別の視覚評価を行った。
【0025】
【表2】
【0026】
結果
ポリマーAは、モデル配合物内で安定していた試験された唯一のアクリルポリマーであった。
【0027】
灰色化防止性能(ARD)
汚れ付着防止試験は、40℃、綿プログラム、1000rpm、30°TH(フランスの硬度)に調節された水の硬度、及び3.5kgのバラスト織物を投入に設定したMieleからの欧州の洗濯機、Novotronic W1614型で行った。
【0028】
汚れ付着は、WFK Companyより供給された白い織物:綿(Co)基準10A;ポリエステル−綿(65/35)(PeCo)基準20Aで測定した。
【0029】
各洗濯機に、21*29.7cm寸法の綿、ポリエステル−綿(65/35)、ポリエステル(Pe)、及びポリアミド6.6(PA)の見本をそれぞれ1枚投入した。洗濯機につき、またサイクルにつき、WFK Companyにより供給された1枚の未使用の灰色化の見本を追加した。洗濯機につき35gのDowモデル配合物を追加した。
【0030】
10サイクル後、反射率Y(D65)を、各白い見本(綿、ポリエステル−綿、ポリエステル、及びポリアミド)において、分光測色計Konica Minolta CM2600dを使用して測定した。
【0031】
データを生成するために、織物を同様に折り畳み、Y値を各織物の片面で2点及び反対側の面で2点測定した。次いで、織物の各種類の平均及び標準偏差を計算した。
【0032】
【表3】
【0033】
結果
モデル配合物へのポリマーAの追加は、ポリマー追加なしに比べて、綿及び綿/ポリエステル見本の白色度を向上させる上で役に立った。ポリマーAは、1.5%w/wまたは3%w/wのいずれのモデル配合物の投与でも、同様の白色度を提供する。
【0034】
ポリマーAの追加は、綿及び綿/ポリエステルの両方の見本へのポリマーなしに対するY%を増加しながら、アニオン性界面活性剤の20%削減を可能にする。
【0035】
ポリマーAは、アニオン性界面活性剤の量が20%削減されるとき、綿及び綿ポリエステル織物に水準点と同じレベルで働くか、またはその優れた性能を提供する。
【0036】
一次洗浄性能
一次洗浄性能試験は、40℃、綿プログラム、1000rpm、30°THに調節された水の硬度、及び3.5kgのバラスト織物の投入に設定したMieleからの欧州の洗濯機、NOVOTRONIC W1614型で行った。
【0037】
一次洗浄性能試験は、草、モレロ100%濃縮物、トマトケチャップ、及び泥などの、CFT Companyより提供された綿上の染みにおいて、1洗濯サイクルの後に測定された。
【0038】
各洗濯機に、バラスト織物及び染みを投入した。各染みにつき、6つのサンプルを実行した。洗濯機あたり、35gのDowモデル配合物を投与した(モデル配合物について実施例1を参照されたい)。
【0039】
一次洗浄は、各染みのDelta E(ΔE)を介して測定される。
【0040】
Delta Eは、L*a*b*色空間内の、未洗濯の染みと洗濯済の染みの間の色の違いである。各染みは、洗濯前及び後に測定された。各染みのDelta Eは、以下の方程式に従って、未洗濯及び洗濯済の染みのL*a*b*値から計算した。
【0041】
【数1】
【0042】
Delta Eが高いとき、一次洗浄も有力である。
【0043】
次いで、織物の各種類の平均及び平均標準偏差(st dev)を計算した。
【0044】
【表4】
【0045】
結果
Dowモデル配合物へのポリマーAの追加は、いくつかの染みの一次洗浄性能を向上するために役に立つ。ポリマーAの追加は、ポリマーなしに対する一次洗浄を向上しながら、アニオン性界面活性剤の10%〜20%削減を可能にする。トマト及び泥などのいくつかの染みは、アニオン性界面活性剤の10%削減及び3%ポリマーAで、著しくより良く洗濯された。アニオン性界面活性剤の20%削減及び3%ポリマーAで洗濯されたモレロの染みは、より良く洗濯される。
【0046】
ポリマーAは、単回投与量が10%及びさらには20%のアニオン性界面活性剤を削減するとき、綿織物に水準点と同じレベルで働くか、またはその優れた性能を提供する。
【0047】
市販の水溶性フィルム内での安定性
単位用量パッケージングの設計は、以下の手順に従って行われた。
初めに、約3cmの直径のPVCチューブを、その耐熱性について試験した。使用された熱源は、最も高い温度及び蒸気生成なしに調整された平鉄であった。10秒後、チューブはそのままであった。
【0048】
次いで、2片のポリビニルアルコールフィルムを一緒にして、平鉄の温度を2片のポリビニルアルコールフィルムが溶接されるまで微調整した。次いで、この温度を次のステップのために固定した。その後、2片が接するまで、チューブを水溶性フィルムで包んだ。水溶性フィルムを、パウチのような形のチューブを得るために平鉄の端で溶接する。次いで得られたパウチを洗剤配合物で充填し、反対の端は溶接してもよい。
【0049】
ポリマーAあり及びなしのDow単回投与量配合物を、市販のポリビニルアルコール水溶性フィルムを使用して試験した。そのパッケージング中の単位用量は、2か月間室温で保管され、水溶性フィルム上にダメージは視覚的には見られなかった。
【0050】
結果
単位用量配合物及び水溶性パッケージングは適合性がある。さらに、ポリマーAを含む単位用量である、最も有望なプロトタイプはこの適合性試験に合格した。
【0051】
実施例2:重質洗濯(HDL)モデル配合物での性能
【0052】
【表5】
【0053】
灰色化防止性能(ARD)
汚れ付着防止試験は、40℃、綿プログラム、1000rpm、30°THに調節された水の硬度、及び3.5kgのバラスト織物を投入に設定したMieleからの欧州の洗濯機、Novotronic W1614型で行った。
【0054】
汚れ付着は、WFK Companyより供給された白い織物:綿(Co)基準10A;ポリエステル−綿(65/35)(PeCo)基準20A;ポリエステル(Pe)基準30A及びポリアミド6.6(PA)基準40Aで測定した。
【0055】
各洗濯機に、21*29.7cm寸法の綿、ポリエステル−綿(65/35)、ポリエステル(Pe)、及びポリアミド6.6(PA)の見本をそれぞれ1枚投入した。洗濯機につき、またサイクルにつき、WFK Companyより供給された1枚の未使用の灰色化の見本を追加した。Dow HDLモデル配合物を、洗濯機あたり65gで投与した。
【0056】
10サイクルの後、反射率Y(D65)を、各白い見本(綿、ポリエステル−綿、ポリエステル、及びポリアミド)において、分光測色計Konica Minolta CM2600dを使用して測定した。データを生成するために、織物を同様に折り畳み、Y値を各織物の片面で2点及び反対側の面で2点測定した。次いで、織物の各種類の平均及び標準偏差を計算した。
【0057】
【表6】
【0058】
結果
HDLモデル配合物へのポリマーAの追加は、ポリマー追加なしに比べて、綿及び綿/ポリエステル見本の白色度を向上させる上で役に立つ。ポリマーAは、1.5%w/wまたは3%w/wのいずれの単回投与量のモデル配合物の投与でも、同様の白色度を提供した。
【0059】
ポリマーAの追加は、綿及び綿/ポリエステルの両方の見本へのポリマーなしに対するY%を増加しながら、アニオン性界面活性剤の20%削減を可能にする。
【0060】
ポリマーAは、HDLが20%のアニオン性界面活性剤を削減するとき、綿織物に水準点と同じレベルで働くか、またはその優れた性能を提供する。