【実施例】
【0050】
(実施例1)
以下に示すある試験において、0.5%のCMC溶液および0.1%のHA溶液について、0.5%のCMCおよび0.1%のHAを両方とも含有する溶液(上の表の製剤1)と比較して、粘度を試験した。7種類の異なる試験周波数で、組み合わせた製剤の粘度は、予想された値(個々の製剤の値の和によって計算)よりも大きかった。このことは、単一のポリマーの代わりに組み合わせを利用すると、予想される量よりも少ないCMCおよび/またはHAを用いることによって、望ましい粘度を得ることができることを示す。
【0051】
上述のように、ずり薄化の特徴は、HA製剤に望ましい特徴である。しかし、HAは、CMCと比較して非常に高価である。0.5%のCMC溶液および0.1%のHA溶液を、0.5%のCMCおよび0.1%のHAを両方とも含有する溶液と比較して粘度を試験する実施例において、センチポイズ(cp)における10/sでの粘度に対する1/sでの粘度の比率を得ることによって、ずり薄化を定量することができる。これらの結果を以下の表3および
図1にまとめている。
図2は、60rpmで、cp単位での粘度を示す。
表3:ずり薄化
【0052】
この製剤中、HAより多くのCMCが存在するが、この組み合わせのずり薄化の比率は、高く、HA単独の比率に近い。このことは、CMC製剤が、HAを添加するとずり薄化し得ることを示す。
【0053】
この時点で、0.1%のHAに対する0.5%のCMCが、これらのポリマーの最適な比率であるかどうかは知られていない。粘度のもっと大きな上昇およびずり薄化の向上でさえ、CMCとHAのわずかに異なる組み合わせによって実現するだろう。
【0054】
理論によって束縛することを望まないが、予想されない粘度の上昇によって、ポリマーが予想されない正の相互作用を有することが可能である。この相互作用は、ヒアルロン酸ナトリウムおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースが両方とも溶液ではわずかに負に帯電しているため、電荷−電荷相互作用ではなさそうである。この相互作用は、鎖の絡まり合いであると思われ、臨床的に正の利益を有するだろう。臨床的に、CMCは、角膜細胞に対する結合力が大きく、一方、HAは、よりよい潤滑剤であるが、目の表面保持力は小さいと理論付けられる。組み合わせにおいて、CMCは、細胞膜に対するHAの保持を絡まり合いによって助ける。
【0055】
HA−CMC−角膜の引力は、もっと耐久性のある潤滑剤系を与える。それに加え、両方のポリマーが、in vitroでの細胞移動に関与することが示されているため、in vivoで組み合わせにより高められた利益を与えることができた。
【0056】
(実施例2)
2種類のCMC−HA製剤を用い、ヒトボランティアに対して試験を行った。第1の製剤は、表1の製剤1として上に設定したような0.5%のCMC/0.1%のHAの製剤(「EDNP−1」)を使用した。第2の製剤は、表1の製剤2として設定したような0.5%のCMC/0.15%のHAの製剤(「EDNP−2」)を使用した。この2種類の製剤を、ドライアイの治療に有効であることが知られている既存の生成物(0.5%のCMC、塩およびPurite(登録商標)を含むRefresh(登録商標)Tears(「Refresh」))と比較した。この試験で使用するRefresh製品は、厳密にいえば、治療活性がほとんどないコントロール(例えば、純粋な生理食塩水)を表さないことを示すことが重要である。むしろ、Refresh生成物は、ドライアイの治療に効果的であることが知られている確立された成功した製品を表す。
【0057】
約100人の個体が各治療群に存在し、必要な場合、少なくとも1日に2回、90日間投薬した。プライマリーエンドポイントは、試験90日目の眼表面疾患指数(OSDI)の変化であった。OSDIは、光過敏、眼がゴロゴロする感覚、視界のかすみ、種々の時点での眼の快適さ、種々の活動を行う時間を含め、種々のドライアイに関連する属性の存在および重篤度に対する患者を観察する12種類の質問で標準化された試験である。
【0058】
この試験の集合は、この2種類の試験した製剤の効力を良好に示す一般的に不均一な集合を得るように、ドライアイの軽度から重度の症状および徴候を有する現在点眼薬を使用している者からなっていた。従って、この集合は、18〜65のOSDI、10秒未満の涙液層破壊時間(TBUT)を示し、いくつかの角膜および/結膜表面の染色を示す。特に重篤なドライアイを示す患者は除外した。
【0059】
図3A〜Fは、試験した製剤の特定のOSDIサブカテゴリーにおける平均スコアを示す。
図3Aにおいて、EDNP−1のOSDIの眼症状は、製剤2およびRefresh製品よりも改善しているようである。このことは、90日間終了時に平均OSDIスコアが小さいこと(またはベースラインからの改善すること)によって実証される。
図3Bは、OSDI眼症状スコアの中央値を示し、これもEDNP−1が、他の製剤と比較して中央値が大きく改善していることを示す。
【0060】
図3Cは、EDNP−1のOSDI視機能スコアの平均も、90日間終了時までにEDNP−2およびRefreshと比較して最も大きな改善度を示すことを示す。
図3Dにおいて、OSDI視機能スコアの中央値は、EDNP−1がRefreshよりもわずかに良いことを示す。
【0061】
図3Eは、環境刺激の平均OSDIスコアも、90日間終了時までにEDNP−2およびRefreshと比較してEDNP−1が最も大きな改善度を示すことを示す。
図3Fに示す中央値のスコアは、EDNP−1および−2が両方ともRefreshより優れていることを示す。
【0062】
図3Gは、試験期間中の眼の乾燥の感覚について平均乾燥症状スコアを具体的に見ている。ここで、すべての組成物は、ベースラインよりもいくらか向上が登録されており、EDNP−1は、試験期間中、最も大きな向上を示した。
【0063】
図3Hは、角膜および結膜を合わせた染色スコアが15以上であることから実証されるように、重篤なドライアイを患う試験サブグループにおいて、Refreshと比較してEDNP−1を投与した結果を示す(ドライアイの重篤度に対する染色の関連性は、以下にもっと詳細に記載する)。ここで、EDNP−1は、ベースラインからのOSDIスコアの減少によって示されるように、7日目から90日目までのすべてのフォローアップ通院で、Refreshより良好に機能した。
【0064】
図3Iは、VASの眼の乾燥症状スケールが66以上に基づく重篤なドライアイを患う試験サブグループについての染色スコアの変化を示す(これも以下にもっと詳細に記載する)。VASの眼の乾燥症状スケールは、一週間にわたる被検体の眼の乾燥の全体的な重篤度を分類し、ここで、スコア0は、眼の乾燥がないことを示し、最大の乾燥を示す、可能な最大スコア100までである。VASの眼の乾燥スケールは、眼の乾燥という単一の症状を測定し、これに対し、OSDIスコアは、眼の不快さ、環境的な刺激および視界に関連する症状を含むドライアイ症状の包括的な評価である。ここで、EDNP−1製剤は、角膜および結膜の染色の減少について、試験期間中、Refreshより良好な機能を発揮した。
【0065】
図4は、試験開始から90日目までの秒単位での涙液層破壊時間の変化の平均を示すグラフである。ここで、EDNP−2は、涙液層破壊時間の変化の平均がEDNP−1およびRefreshと比較して大きかった。
【0066】
図5は、全体の処理群において角膜および結膜を合わせた染色のベースラインからの試験中の変化の平均を示す。一般的に、角膜および結膜の染色は、露出した眼の表面を染色することができる染料(例えば、フルオレセイン、ローズベンガルおよびリサミングリーン)を眼に投与することによって決定される。染色は、ドライアイの結果として損傷した眼の領域を示すと考えられ、この染料が、保存性のムチンタンパク質コーティングを失っているか、または、他の方法で露出し、保護されていない上皮細胞表面が存在する眼の上皮表面を染色することを前提としている。眼の染色は、眼の異なる区画および領域での染色の位置および量に基づいてスコアを付けることができる。例えば、角膜は、7つの区画に分けられ、染色の量を定量し、スコアに割り当ててもよい。同様のスコア付けを結膜に適用してもよい。このような方法論の例は、例えば、Foulks、「ChallengesおよびPitfalls in Clinical Trials of Treatmemts for Dry Eye」、Ocular Surface、V.1、N.1、pp.20−30(2003);およびBaudouinら、「Randomized、phase III study comparing osmoprotective carboxymethylcellulose with sodium hyaluronate in dry eye disease」、Eur J Ophthalmol、2012;22(5):751−761中に見出されるだろう。
【0067】
この試験において、眼全体に分布した合計11領域を用い、改変されたNEI Gridを使用した。上に引用したBaudouin試験と同様の解釈を用い、スコアを割り当て、異なる眼の領域を、染色の程度に関連してスコア付けし、その後、ドライアイの重篤度を示した。ここで、特に、試験終了時に、眼の染色の減少について、EDNP−1および−2は、Refreshより良かった。
【0068】
ここで
図6に移ると、角膜および結膜の染色スコアの平均を、臨床的に重要な染色サブグループについて、試験開始時の染色スコアと比較して、試験期間中に追跡した。臨床的に重要な染色スコアは、15以上に設定され、臨床的に重要な染色サブグループをそのように定義した。このスコアを、さらに重篤なドライアイを患う患者の指標として使用し、このスコアは、11箇所の眼の領域の少なくとも3分の1が1より大きな染色スコアを有することを示す。ここで、染色スコアの改善(減少)によって示されるように、EDNP−1および−2は、両方とも、重篤なドライアイを有する試験集合において、角膜および結膜の染色でRefreshよりも有意に良好であった。
【0069】
臨床的に重要なサブグループにおける角膜の染色の程度に注目すると、
図7は、試験期間中のこのグループにおけるベースラインからの平均の向上を示す。具体的には、試験のエンドポイントまでに、EDNP−1は、臨床的に重要な眼の染色を示すグループにおいて、ドライアイのように、角膜の染色の程度を下げるという点で他の2つの製剤よりかなり優れていることがわかった。EDNP−2もRefreshよりわずかに良好であった。
【0070】
図8は、試験期間中に追跡された全被検体における角膜染色スコアの変化の平均のグラフを示す。ここで、EDNP−1および−2は、両方ともRefresh製剤より良く、EDNP−1は、他の試験した被検体と比較して、ベースラインからの角膜染色の最も大きな減少を示す。このように、試験した製剤は、臨床的に重要な眼の染色を示すグループだけではなく、試験参加の大多数に治療効果を与える。
【0071】
(実施例3)
別の臨床試験をヒトボランティアに対して実施した。ここで、365人のコンタクトレンズユーザーをランダムに、6種類のヒドロゲル、ケイ素ヒドロゲルおよび硬いガス透過性コンタクトレンズによって階層化し2:1治療アロケーションに分けた。これらのボランティアに、1日に最低で4回、90日間にわたって、それぞれの眼に試験点眼薬1〜2滴を点眼するように指示した。これらの使用の1つに、挿入前にコンタクトレンズ内側表面に1〜2滴置くことによって、コンタクトレンズを装着準備してもよい。この試験において、製剤1を、すでに記載したRefresh Tears(登録商標)(「Refresh」)点眼薬と比較した。
【0072】
コンタクトレンズユーザーを米国の15箇所の異なる場所での試験にランダムに分け、350人の被検体(95.9%)がこの試験を終了した。年齢、性別または人種に関し、または治療に関連する中止の数に関し、治療群間に有意な差はなかった。
【0073】
図9に示すように、1日全体の灼熱感および刺すような痛みといった眼の症状を、90日の全試験期間に、VASの灼熱感/刺すような痛みのスケールについて評価した。灼熱感および刺すような痛みといった症状の減少において、7日目、30日目および90日目に、製剤1のユーザーでベースラインからの統計学的に有意な改善が示された。さらに、90日の期間終了時に、Refreshと比較して、製剤1による灼熱感および刺すような痛みの症状の減少において統計的に有意な差および改善があった。
【0074】
ここで
図10を参照すると、製剤1を使用した後の眼の乾燥という症状の治療をRefreshと比較した。ここで、製剤1は、投与から7日目、30日目、60日目および90日目に、乾燥がベースラインから有意な改善を示した。さらに、製剤1は、少なくとも60日目および90日目までに、Refreshと比較して、目の乾燥の減少において統計学的に有意な改善を示した。このことは、製剤1が、目の乾燥の優れた減少を長期間にわたって与えることを示す。
【0075】
図11は、製剤1とRefreshの上眼瞼結膜縁の帯状の上皮障害(LWE)の進行を比較する。LWEは、ドライアイ症状を有する上側まぶたの結膜周縁部の障害である。LWEは、まばたき中の機械的な力に関連し、目の表面の炎症を生じ得る。LWEは、Korb’s Grading(Korbら、2010)を用い、リサミングリーンを用いて試験中に評価した。上側のまぶたは、上眼瞼結膜縁の領域との接触を避けるために、十分に注意して外にめくり上げた。ディフューザーを用い、強度が小さいものから中程度までの白色光をLWE観察に用い、LWEを、関与する水平方向の長さの平均に基づき0(2mm未満)〜3(10mm超)に分け、関与する矢状方向の高さの平均に基づき、0(25%未満)〜3(75%超)に分けた。これら2つの知見の個々のグレードを、それぞれの目の上眼瞼結膜縁の最終的なリサミングリーン染色について平均化した。ここで、製剤1は、ベースラインからのLWEの減少の改善を示し、90日間終了時に、Refreshよりも有意に良好であった。
【0076】
従って、この試験は、製剤1が、ドライアイの症状を軽減および治療するとき、Refreshよりも優れていることを示す。
【0077】
本発明は、例示した実施形態によって範囲を限定されず、本発明の具体的な態様の説明のみを意図している。本発明の種々の改変は、本明細書に開示したものに加え、出願当初の特許請求の範囲を含め、本明細書を注意深く読めば当業者には明らかであろう。すべてのこのような改変が、添付の特許請求の範囲に入ることを意図している。