特許第6876081号(P6876081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000002
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000003
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000004
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000005
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000006
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000007
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000008
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000009
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000010
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000011
  • 特許6876081-冷媒サイクル装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876081
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】冷媒サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20210517BHJP
   F24F 1/32 20110101ALI20210517BHJP
   F24F 11/36 20180101ALN20210517BHJP
   F25B 1/00 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
   F25B49/02 520Z
   F24F1/32
   !F24F11/36
   !F25B1/00 396A
   !F25B1/00 396Z
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-38568(P2019-38568)
(22)【出願日】2019年3月4日
(65)【公開番号】特開2020-143799(P2020-143799A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2020年3月11日
【審判番号】不服2020-15550(P2020-15550/J1)
【審判請求日】2020年11月10日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大浦 竜太
(72)【発明者】
【氏名】小谷 拓也
【合議体】
【審判長】 松下 聡
【審判官】 山田 裕介
【審判官】 平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−77040(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/203606(WO,A1)
【文献】 特開平11−63745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F24F 1/00-140/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、第1冷媒回路(13a,13b,13c,13d)を有する、複数の利用側ユニット(3a,3b,3c,3d)と、
第2冷媒回路(12)を有する、熱源側ユニット(2)と、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路とを接続する、連絡配管群(5,6)と、
前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路との間に配置され、前記連絡配管群を流れる冷媒の遮断を行う、冷媒遮断部(4A,4B)と、
を有し、
前記第1冷媒回路、前記第2冷媒回路、及び前記連絡配管群を流れる冷媒が、燃焼性の冷媒であり、
前記複数の利用側ユニットは、N(Nは2以上の整数)個の前記利用側ユニット(3a,3b)の群である第1利用側ユニット群(81)、を含み、
前記冷媒遮断部は、前記第1利用側ユニット群(81)の前記第1冷媒回路(13a,13b)と前記第2冷媒回路(12)との間の冷媒流れを遮断する第1冷媒遮断部(4A)、を含み、
前記連絡配管群は、前記第1利用側ユニット群の前記第1冷媒回路と前記第1冷媒遮断部との間を接続する第1連絡配管群(5ab,5a,5b,6ab,6a,6b)を含む、
冷媒サイクルシステム(1)における、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積を決める方法であって、
前記第1利用側ユニット群のN個の前記利用側ユニット(3a,3b)の能力に関する情報を取得する、第1ステップと、
前記第1ステップで取得した前記情報に基づいて、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積の許容最大値を求める、第2ステップと、
前記第2ステップで求めた前記許容最大値を下回るように、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積を決める、第3ステップと、
を備え
前記第2ステップでは、前記利用側ユニットの能力に関する情報と、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積の許容最大値との対応関係を示す表を記憶し、前記第1ステップで取得した能力に関する前記情報を取得した後に、前記表を参照して、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積の許容最大値を求める
方法。
【請求項2】
前記第1冷媒回路、前記第2冷媒回路、及び前記連絡配管群を流れる冷媒は、
米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、
米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、
あるいは
米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒
である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1連絡配管群(5ab,5a,5b,6ab,6a,6b)は、ガス冷媒が流れるガス側第1連絡配管群(6ab,6a,6b)と、液冷媒が流れる液側第1連絡配管群(5ab,5a,5b)と、を有し、
前記第1冷媒遮断部(4A)は、前記ガス側第1連絡配管群の前記第2冷媒回路側の端部に配置されるガス側第1冷媒遮断弁(42A)と、前記液側第1連絡配管群の前記第2冷媒回路側の端部に配置される液側第1冷媒遮断弁(41A)と、を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1利用側ユニット群のN個の前記利用側ユニットの能力に関する情報は、
前記第1利用側ユニット群の前記利用側ユニットの個数であるN、
前記第1利用側ユニット群の前記利用側ユニットそれぞれの容量の合計値である総容量、及び
前記第1利用側ユニット群の前記利用側ユニットそれぞれの容量の組合せパターン、
のうち、少なくとも1つを含む、
請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1連絡配管群の長さが、前記第1利用側ユニット群のN個の前記利用側ユニットの能力に関する情報と、前記第1連絡配管群の配管径とに基づいて決定されている、
請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2ステップでは、前記利用側ユニットの容量の合計値と前記第1連絡配管群の内部容積との関係が記憶された前記を用いる、
請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2ステップでは、前記利用側ユニットの容量の組み合わせパターンと前記第1連絡配管群の内部容積との関係が記憶された前記を用いる、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2ステップでは、前記許容最大値として前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積の制約を求め、
前記第3ステップでは、前記第2ステップで求めた制約の範囲内で、前記第1連絡配管群の長さ及び/又は前記第1連絡配管群の内部容積を決める、
請求項1からのいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒サイクル装置、特に、冷媒遮断を行うことができる冷媒サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017−9267号公報)に、冷媒遮断弁を備える空気調和システム、が開示されている。冷媒遮断弁は、冷媒の漏洩が検知された際に閉止される部品であって、熱源側ユニットと利用側ユニットとを接続する冷媒連絡配管に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
利用側ユニットから人がいる空間へと冷媒が漏洩したときのために、空気調和システムなどの冷媒サイクル装置において遮断弁を設けることは有効である。
【0004】
しかし、これまでは、なるべく利用側ユニットに近い場所で冷媒を遮断するという考え方が常識となっており、冷媒を遮断する遮断部の配置について詳細な検討が為されていない。特に、複数の利用側ユニットに対して共通の遮断部が設けられる冷媒サイクル装置に対して、遮断部の配置に関する検討が為されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の冷媒サイクル装置は、複数の利用側ユニットと、熱源側ユニットと、連絡配管群と、冷媒遮断部と、を備えている。それぞれの利用側ユニットは、第1冷媒回路を有している。熱源側ユニットは、第2冷媒回路を有している。連絡配管群は、第1冷媒回路と第2冷媒回路とを接続する。冷媒遮断部は、第1冷媒回路と第2冷媒回路との間に配置され、連絡配管群を流れる冷媒の遮断を行う。第1冷媒回路、第2冷媒回路、及び連絡配管群を流れる冷媒は、燃焼性の冷媒である。複数の利用側ユニットは、第1利用側ユニット群、を含む。第1利用側ユニット群は、N(Nは2以上の整数)個の利用側ユニットの群である。冷媒遮断部は、第1冷媒遮断部を含む。第1冷媒遮断部は、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路と第2冷媒回路との間の冷媒流れを遮断する。連絡配管群は、第1連絡配管群を含む。第1連絡配管群は、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路と第1冷媒遮断部との間を接続する。そして、第1連絡配管群の長さ、及び/又は、第1連絡配管群の内部容積は、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報に基づいて決定されている。
【0006】
従来では、第1冷媒遮断部の配置については、なるべく第1利用側ユニット群に近づけるという考え方が採られている。これに対し、第1観点の冷媒サイクル装置では、遮断弁の配置に関係する第1連絡配管群の長さ等(長さ、及び/又は、内部容積)を、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報に基づいて決めている。
【0007】
第1利用側ユニット群のどこかに冷媒が漏洩する損傷箇所が生じた場合、第1冷媒遮断部を遮断した後は、第1利用側ユニットの内部にある冷媒及び第1連絡配管群の内部にある冷媒の総量が、第1利用側ユニット群から漏洩する冷媒の最大量となる。このことに鑑み、第1観点の冷媒サイクル装置では、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報に基づいて、第1連絡配管群の長さ等(長さ、及び/又は、内部容積)を決めている。これにより、従来に比べて、第1冷媒遮断部の配置の自由度が上がる。
【0008】
第2観点の冷媒サイクル装置は、第1観点の冷媒サイクル装置であって、第1冷媒回路、第2冷媒回路、及び連絡配管群を流れる冷媒は、微燃性の冷媒、弱燃性の冷媒、あるいは強燃性の冷媒である。微燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される冷媒である。弱燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される冷媒である。強燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される冷媒である。
【0009】
第3観点の冷媒サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷媒サイクル装置であって、第1連絡配管群は、ガス冷媒が流れるガス側第1連絡配管群と、液冷媒が流れる液側第1連絡配管群と、を有する。第1冷媒遮断部は、ガス側第1冷媒遮断弁と、液側第1冷媒遮断弁と、を有する。ガス側第1冷媒遮断弁は、ガス側第1連絡配管群の第2冷媒回路側の端部に配置される。液側第1冷媒遮断弁は、液側第1連絡配管群の第2冷媒回路側の端部に配置される。
【0010】
ここでは、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路にある流量調整弁などを使わずに、ガス側第1冷媒遮断弁及び液側第1冷媒遮断弁だけによって、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路及び第1連絡配管群の内部にある冷媒を、熱源側ユニットの第2冷媒回路から切り離すことができる。
【0011】
第4観点の冷媒サイクル装置は、第1観点から第3観点のいずれかの冷媒サイクル装置であって、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報は、個数N、総容量、組合せパターンのうち、少なくとも1つを含む。個数Nは、第1利用側ユニット群の利用側ユニットの個数である。総容量は、第1利用側ユニット群の利用側ユニットそれぞれの容量の合計値である。組合せパターンは、第1利用側ユニット群の利用側ユニットそれぞれの容量の組合せパターンである。
【0012】
第5観点の冷媒サイクル装置は、第1観点から第4観点のいずれかの冷媒サイクル装置であって、第1連絡配管群の長さが、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報と、第1連絡配管群の配管径と、に基づいて決定されている。
【0013】
第6観点の方法は、冷媒サイクル装置における、第1連絡配管群の長さ及び/又は第1連絡配管群の内部容積を決める方法である。冷媒サイクル装置は、複数の利用側ユニットと、熱源側ユニットと、連絡配管群と、冷媒遮断部と、を有している。複数の利用側ユニットは、それぞれ、第1冷媒回路を有する。熱源側ユニットは、第2冷媒回路を有する。連絡配管群は、第1冷媒回路と第2冷媒回路とを接続する。冷媒遮断部は、第1冷媒回路と第2冷媒回路との間に配置され、連絡配管群を流れる冷媒の遮断を行う。第1冷媒回路、第2冷媒回路、及び連絡配管群を流れる冷媒は、燃焼性の冷媒である。複数の利用側ユニットは、第1利用側ユニット群を含む。第1利用側ユニット群は、N(Nは2以上の整数)個の利用側ユニットの群である。冷媒遮断部は、第1冷媒遮断部を含む。第1冷媒遮断部は、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路と第2冷媒回路との間の冷媒流れを遮断する。連絡配管群は、第1連絡配管群を含む。第1連絡配管群は、第1利用側ユニット群の第1冷媒回路と第1冷媒遮断部との間を接続する。そして、第6観点の方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップとを備える。第1ステップでは、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報を取得する。第2ステップでは、第1ステップで取得した情報に基づいて、第1連絡配管群の長さ及び/又は第1連絡配管群の内部容積の許容最大値を求める。第3ステップでは、第2ステップで求めた許容最大値を下回るように、第1連絡配管群の長さ及び/又は第1連絡配管群の内部容積を決める。
【0014】
従来では、第1冷媒遮断部の配置については、なるべく第1利用側ユニット群に近づけるという考え方が採られている。これに対し、第6観点の方法では、遮断弁の配置に関係する第1連絡配管群の長さ等(長さ、及び/又は、内部容積)を、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報に基づいて決めている。
【0015】
第1利用側ユニット群のどこかに冷媒が漏洩する損傷箇所が生じた場合、第1冷媒遮断部を遮断した後は、第1利用側ユニットの内部にある冷媒及び第1連絡配管群の内部にある冷媒の総量が、第1利用側ユニット群から漏洩する冷媒の最大量となる。このことに鑑み、第6観点の方法では、第1利用側ユニット群のN個の利用側ユニットの能力に関する情報に基づいて許容最大値を求め、その許容最大値を下回るように第1連絡配管群の長さ等(長さ、及び/又は、内部容積)を決めている。これにより、従来に比べて、第1冷媒遮断部の配置の自由度が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】冷媒サイクル装置の一実施形態としての空気調和装置の概略構成を示す図。
図2A】空気調和装置の制御ブロック図。
図2B】冷媒漏洩時の制御フローを示す図。
図3A】熱源側ユニット、利用側ユニット及び中継ユニットの配置の例Aを示す図。
図3B】熱源側ユニット、利用側ユニット及び中継ユニットの配置の例Bを示す図。
図3C】熱源側ユニット、利用側ユニット及び中継ユニットの配置の例Cを示す図。
図3D】熱源側ユニット、利用側ユニット及び中継ユニットの配置の例Dを示す図。
図3E】熱源側ユニット、利用側ユニット及び中継ユニットの配置の例Eを示す図。
図4】遮断弁の下流の利用側ユニットの容量の合計値と、遮断弁の下流の連絡配管群の配管の長さの合計値の制約との関係を示す表。
図5】変形例Aで使用する、利用側ユニットの組合せパターンと、連絡配管群の配管長さの合計値の制約との関係を示す表。
図6】空気調和装置の変形例Hに係る制御部の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)空気調和装置の構成
図1に、冷媒サイクル装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成を示す。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、熱源側ユニット2と、複数の利用側ユニット3a、3b、3c、3dと、各利用側ユニット3a、3b、3c、3dに接続される中継ユニット4A,4Bと、冷媒連絡配管5、6と、制御部19(図2A参照)と、を有している。複数の利用側ユニット3a、3b、3c、3dは、熱源側ユニット2に対して、互いが並列に接続される。冷媒連絡配管5、6は、中継ユニット4A,4Bを介して、熱源側ユニット2と利用側ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する。制御部19は、熱源側ユニット2、利用側ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4A,4Bの構成機器を制御する。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源側ユニット2の熱源側冷媒回路12と、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの利用側冷媒回路13a,13b,13c,13dと、中継ユニット4A,4Bと、冷媒連絡配管5、6とが接続されることによって構成されている。
【0018】
冷媒回路10には、冷媒として、R32が充填されている。冷媒回路10から室内(利用側ユニットの設置空間)にR32が漏洩して室内の冷媒濃度が高くなると、冷媒の有する可燃性から、燃焼事故が発生するおそれがある。この燃焼事故を防止することが要求されている。
【0019】
また、空気調和装置1では、熱源側ユニット2が有する切換機構22によって、利用側ユニット3a、3b、3c、3dが冷房運転又は暖房運転に切り換わる。
【0020】
(1−1)冷媒連絡配管
液側冷媒連絡配管5は、主として、熱源側ユニット2から延びる主管部5Xと、中継ユニット4A,4Bの手前で複数に分岐した分岐管部5Yと、中継ユニット4A,4Bと利用側ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する下流管部と、を有している。
【0021】
また、ガス側冷媒連絡配管6は、主として、熱源側ユニット2から延びる主管部6Xと、中継ユニット4A,4Bの手前で複数に分岐した分岐管部6Yと、中継ユニット4A,4Bと利用側ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する下流管部と、を有している。
【0022】
液側冷媒連絡配管5及びガス側冷媒連絡配管6の下流管部は、図1に示すように、中継ユニット4Aと2つの利用側ユニット3a,3bとを接続する第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bを含んでいる。第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bは、中継ユニット4Aから利用側ユニット3a,3bに延びる共通配管5ab,6abと、共通配管5ab,6abから分岐して利用側ユニット3aの利用側冷媒回路13aまで延びる最下流配管5a,6aと、共通配管5ab,6abから分岐して利用側ユニット3bの利用側冷媒回路13bまで延びる最下流配管5b,6bと、を含んでいる。
【0023】
なお、液側冷媒連絡配管5を流れる液冷媒は、液相あるいは気相よりも液相の割合が多い冷媒である。ガス側冷媒連絡配管6を流れるガス冷媒は、気相あるいは液相よりも気相の割合が多い冷媒である。
【0024】
(1−2)利用側ユニット
利用側ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内に設置されている。利用側ユニット3a、3b、3c、3dの利用側冷媒回路13a,13b,13c,13dは、上記のように、液側冷媒連絡配管5、ガス側冷媒連絡配管6及び中継ユニット4A,4Bを介して熱源側ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0025】
次に、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの構成について説明する。なお、利用側ユニット3aと利用側ユニット3b、3c、3dとは同様の構成であるため、ここでは、利用側ユニット3aの構成のみ説明し、利用側ユニット3b、3c、3dの構成については、それぞれ、利用側ユニット3aの各部を示す添字「a」の代わりに、添字「b」、「c」又は「d」を付して、各部の説明を省略する。
【0026】
利用側ユニット3aは、主として、利用側膨張弁51aと、利用側熱交換器52aと、を有している。また、利用側ユニット3aは、利用側熱交換器52aの液側端と液側冷媒連絡配管5(ここでは、最下流配管5a)とを接続する利用側液冷媒管53aと、利用側熱交換器52aのガス側端とガス側冷媒連絡配管6(ここでは、最下流配管6a)とを接続する利用側ガス冷媒管54aと、を有している。
【0027】
利用側膨張弁51aは、冷媒を減圧しながら利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量を調整することが可能な電動膨張弁であり、利用側液冷媒管53aに設けられている。
【0028】
利用側熱交換器52aは、冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する、又は、冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。ここで、利用側ユニット3aは、利用側ファン55aを有している。利用側ファン55aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室内空気を、利用側熱交換器52aに供給する。利用側ファン55aは、利用側ファン用モータ56aによって駆動される。
【0029】
利用側ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用側ユニット3aには、利用側熱交換器52aの液側端における冷媒の温度を検出する利用側熱交液側センサ57aと、利用側熱交換器52aのガス側端における冷媒の温度を検出する利用側熱交ガス側センサ58aと、利用側ユニット3a内に吸入される室内空気の温度を検出する室内空気センサ59aと、が設けられている。また、利用側ユニット3aには、冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知部79aが設けられている。冷媒漏洩検知部79aは、例えば、半導体式ガスセンサや、利用側ユニット3a内の冷媒圧力の急激な低下を検知する検知部を採用することができる。半導体式ガスセンサを用いる場合は、利用側制御部93a(図2A参照)と接続する。冷媒圧力の急激な低下を検知する検知部を採用する場合は、冷媒配管に圧力センサを設置し、そのセンサ値の変化から冷媒漏洩を判断する検知アルゴリズムを、利用側制御部93a内に具備させる。
【0030】
なお、ここでは、冷媒漏洩検知部79aが利用側ユニット3aに設けられているが、これに限定されるものではなく、利用側ユニット3aを操作するためのリモコンや利用側ユニット3aが空調を行う室内空間等に設けられていてもよい。
【0031】
(1−3)熱源側ユニット
熱源側ユニット2は、ビル等の建物の室外、例えば屋上や地上に設置されている。熱源側ユニット2の熱源側冷媒回路12は、上記のように、液側冷媒連絡配管5、ガス側冷媒連絡配管6及び中継ユニット4A,4Bを介して利用側ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0032】
熱源側ユニット2は、主として、圧縮機21と、熱源側熱交換器23と、を有している。また、熱源側ユニット2は、冷暖切換機構としての切換機構22を有している。切換機構22は、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させるとともに利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転状態と、熱源側熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させるとともに利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを冷媒の放熱器として機能させる暖房運転状態と、を切り換える。切換機構22と圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。吸入冷媒管31には、圧縮機21に吸入される冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ29が設けられている。圧縮機21の吐出側と切換機構22とは、吐出冷媒管32によって接続されている。切換機構22と熱源側熱交換器23のガス側端とは、第1熱源側ガス冷媒管33によって接続されている。熱源側熱交換器23の液側端と液側冷媒連絡配管5とは、熱源側液冷媒管34によって接続されている。切換機構22とガス側冷媒連絡配管6とは、第2熱源側ガス冷媒管35によって接続されている。
【0033】
圧縮機21は、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が圧縮機用モータ21aによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0034】
切換機構22は、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させるとともに利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「冷房運転状態」とする)に、切換機構22は、圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する(図1の切換機構22の実線を参照)。また、熱源側熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させるとともに利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「暖房運転状態」とする)に、切換機構22は、圧縮機21の吸入側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する(図1の第1切換機構22の破線を参照)。
【0035】
熱源側熱交換器23は、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、熱源側ユニット2は、熱源側ファン24を有している。熱源側ファン24は、熱源側ユニット2内に室外空気を吸入して、熱源側熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出する。熱源側ファン24は、熱源側ファン用モータによって駆動される。
【0036】
そして、空気調和装置1では、冷房運転において、冷媒を、熱源側熱交換器23から、液側冷媒連絡配管5及び中継ユニット4A,4Bを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに流す。また、空気調和装置1では、暖房運転において、冷媒を、圧縮機21から、ガス側冷媒連絡配管6及び中継ユニット4A,4Bを通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに流す。冷房運転時には、切換機構22が冷房運転状態に切り換えられて、熱源側熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、液側冷媒連絡配管5及び中継ユニット4A,4Bを通じて、熱源側ユニット2側から利用側ユニット3a、3b、3c、3d側に冷媒が流れる状態になる。暖房運転時には、切換機構22が暖房運転状態に切り換えられて、液側冷媒連絡配管5及び中継ユニット4A,4Bを通じて、利用側ユニット3a、3b、3c、3d側から熱源側ユニット2側に冷媒が流れ、熱源側熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する状態になる。
【0037】
また、ここでは、熱源側液冷媒管34に、熱源側膨張弁25が設けられている。熱源側膨張弁25は、暖房運転時に冷媒を減圧する電動膨張弁であり、熱源側液冷媒管34のうち、熱源側熱交換器23の液側端寄りの部分に設けられている。
【0038】
熱源側ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源側ユニット2には、圧縮機21から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力)を検出する吐出圧力センサ36と、圧縮機21から吐出された冷媒の温度(吐出温度)を検出する吐出温度センサ37と、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力)を検出する吸入圧力センサ39と、が設けられている。また、熱源側ユニット2には、熱源側熱交換器23の液側端における冷媒の温度(熱源側熱交出口温度)を検出する熱源側熱交液側センサ38、が設けられている。
【0039】
(1−4)中継ユニット
中継ユニット4A,4Bは、ビル等の建物の内部、例えば、部屋や廊下の天井裏の空間に設置されている。中継ユニット4A,4Bは、液側冷媒連絡配管5及びガス側冷媒連絡配管6とともに、利用側ユニット3a、3b、3c、3dと熱源側ユニット2との間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。中継ユニット4A,4Bは、利用側ユニット3a、3b、3c、3dと熱源側ユニット2との間の冷媒流れを遮断する冷媒遮断部として機能する。中継ユニット4A,4Bは、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの近くに配置される場合もあるが、利用側ユニット3a、3b、3c、3dから離れて配置されている場合や、中継ユニット4A,4Bが1箇所にまとめて配置されている場合もある。
【0040】
次に、中継ユニット4A,4Bの構成について説明する。なお、中継ユニット4Aと中継ユニット4Bとは同様の構成であるため、ここでは、中継ユニット4Aの構成のみ説明し、中継ユニット4Bの構成については、中継ユニット4Aの各部を示す符号の添字「A」の代わりに「B」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0041】
中継ユニット4Aは、主として、液接続管61Aと、ガス接続管62Aと、を有している。
【0042】
液接続管61Aは、その一端が液側冷媒連絡配管5の分岐管部5Yに接続され、他端が液側冷媒連絡配管5の共通配管5abに接続されている。液接続管61Aには、液中継遮断弁41Aが設けられている。液中継遮断弁41Aは、電動膨張弁である。
【0043】
ガス接続管62Aは、その一端がガス側冷媒連絡配管6の分岐管部6Yに接続され、他端がガス側冷媒連絡配管6の共通配管6abに接続されている。ガス接続管62Aには、ガス中継遮断弁42Aが設けられている。ガス中継遮断弁42Aは、電動膨張弁である。
【0044】
そして、冷房運転や暖房運転を行う際には、液中継遮断弁41A及びガス中継遮断弁42Aは、全開の状態にされる。
【0045】
(1−5)制御部
制御部19は、図2Aに示すように、熱源側制御部92と、中継側制御部94A、94Bと、利用側制御部93a、93b、93c、93dとが、伝送線95、96を介して接続されることによって構成されている。熱源側制御部92は、熱源側ユニット2の構成機器を制御する。中継側制御部94A、94Bは、中継ユニット4A,4Bの構成機器を制御する。利用側制御部93a、93b、93c、93dは、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの構成機器を制御する。熱源側ユニット2に設けられた熱源側制御部92と、中継ユニット4A,4Bに設けられた中継側制御部94A、94Bと、利用側ユニット3a、3b、3c、3dに設けられた利用側制御部93a、93b、93c、93dとは、互いに、伝送線95、96を介して制御信号等の情報のやりとりを行うことができる。
【0046】
熱源側制御部92は、マイクロコンピュータやメモリ等の電装品が実装された制御基板を含んでおり、熱源側ユニット2の各種構成機器21、22、24、25や各種センサ36、37、38、39が接続されている。中継側制御部94A、94Bは、マイクロコンピュータやメモリ等の電装品が実装された制御基板を含んでおり、中継ユニット4A,4Bのガス中継遮断弁42A,42B、液中継遮断弁41A,41Bが接続されている。そして、中継側制御部94A、94Bと熱源側制御部92とは、第1伝送線95を介して接続されている。利用側制御部93a、93b、93c、93dは、マイクロコンピュータやメモリ等の電装品が実装された制御基板を含んでおり、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの各種構成機器51a〜51d、55a〜55dや各種センサ57a〜57d、58a〜58d、59a〜59d、79a〜79dが接続されている。そして、利用側制御部93a、93b、93c、93dと中継側制御部94A、94Bとは、第2伝送線96を介して接続されている。
【0047】
このように、制御部19は、空気調和装置1全体の運転制御を行う。具体的には、上記のような各種センサ36、37、38、39、57a〜57d、58a〜58d、59a〜59d、79a〜79dの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、熱源側ユニット2、利用側ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4A,4B)の各種構成機器21、22、24、25、51a〜51d、55a〜55d、41A、41B、42A、42Bの制御を、制御部19が行う。
【0048】
(2)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置1の基本動作について説明する。空気調和装置1の基本動作には、上記のように、冷房運転及び暖房運転がある。なお、以下に説明する空気調和装置1の基本動作は、空気調和装置1(熱源側ユニット2、利用側ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4A,4B)の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0049】
(2−1)冷房運転
冷房運転の際、例えば、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転(利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、熱源側熱交換器23が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が冷房運転状態(図1の切換機構22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、熱源側ファン24及び利用側ファン55a、55b、55c、55dが駆動される。また、中継ユニット4A,4Bの液中継遮断弁41A,41B及びガス中継遮断弁42A,42Bは全開状態にされる。
【0050】
冷房運転の際、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて熱源側熱交換器23に送られる。熱源側熱交換器23に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器23において、熱源側ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、熱源側膨張弁25を通じて熱源側ユニット2から流出する。
【0051】
熱源側ユニット2から流出した冷媒は、液側冷媒連絡配管5(主管部5X及び分岐管部5Y)を通じて、中継ユニット4A,4Bに分岐して送られる。中継ユニット4A,4Bに送られた冷媒は、液中継遮断弁41A,41Bを通じて、中継ユニット4A,4Bから流出する。
【0052】
中継ユニット4A,4Bから流出した冷媒は、共通配管5ab,5cd及び最下流配管5a,5b,5c,5dを通じて、利用側ユニット3a、3b、3c、3dに送られる。利用側ユニット3a、3b、3c、3dに送られた冷媒は、利用側膨張弁51a、51b、51c、51dによって減圧された後に、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる。利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、利用側ファン55a、55b、55c、55dによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって、蒸発する。蒸発した冷媒は、利用側ユニット3a、3b、3c、3dから流出する。一方、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0053】
利用側ユニット3a、3b、3c、3dから流出した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管6の最下流配管6a,6b,6c,6d及び共通配管6ab,6cdを通じて、中継ユニット4A,4Bに送られる。中継ユニット4A,4Bに送られた冷媒は、ガス中継遮断弁42A,42Bを通じて、中継ユニット4A,4Bから流出する。
【0054】
中継ユニット4A,4Bから流出した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管6(主管部6X及び分岐管部6Y)を通じて、合流した状態で熱源側ユニット2に送られる。熱源側ユニット2に送られた冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて、圧縮機21に吸入される。
【0055】
(2−2)暖房運転
暖房運転の際、例えば、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの全てが暖房運転を行う際には、切換機構22が暖房運転状態(図1の切換機構22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、熱源側ファン24及び利用側ファン55a、55b、55c、55dが駆動される。また、中継ユニット4A,4Bの液中継遮断弁41A,41B及びガス中継遮断弁42A,42Bは全開状態にされる。
【0056】
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて熱源側ユニット2から流出する。
【0057】
熱源側ユニット2から流出した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管6(主管部6X及び分岐管部6Y)を通じて、中継ユニット4A,4Bに送られる。中継ユニット4A,4Bに送られた冷媒は、ガス中継遮断弁42A,42Bを通じて、中継ユニット4A,4Bから流出する。
【0058】
中継ユニット4A,4Bから流出した冷媒は、共通配管6ab,6cd及び最下流配管6a,6b,6c,6dを通じて、利用側ユニット3a、3b、3c、3dに送られる。利用側ユニット3a、3b、3c、3dに送られた冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる。利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、利用側ファン55a、55b、55c、55dによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって、凝縮する。凝縮した冷媒は、利用側膨張弁51a、51b、51c、51dによって減圧された後に、利用側ユニット3a、3b、3c、3dから流出する。一方、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0059】
利用側ユニット3a、3b、3c、3dから流出した冷媒は、最下流配管5a,5b,5c,5d及び共通配管5ab,5cdを通じて、中継ユニット4A,4Bに送られる。中継ユニット4A,4Bに送られた冷媒は、液中継遮断弁41A,41Bを通じて、中継ユニット4A,4Bから流出する。
【0060】
中継ユニット4A,4Bから流出した冷媒は、液側冷媒連絡配管5(主管部5X及び分岐管部5Y)を通じて、合流した状態で熱源側ユニット2に送られる。熱源側ユニット2に送られた冷媒は、熱源側膨張弁25に送られる。熱源側膨張弁25に送られた冷媒は、熱源側膨張弁25によって減圧された後に、熱源側熱交換器23に送られる。熱源側熱交換器23に送られた冷媒は、熱源側ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって、蒸発する。蒸発した冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される。
【0061】
(3)冷媒漏洩時の空気調和装置の動作
次に、冷媒漏洩時の空気調和装置1の動作について、図2Bを参照して説明する。以下に説明する冷媒漏洩時の空気調和装置1の動作は、上記の基本動作と同様に、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0062】
どの利用側ユニット3a、3b、3c、3dで冷媒漏洩があっても同様の制御を行うため、ここでは、利用側ユニット3aが設置される室内への冷媒漏洩が検知された場合、を例にとって説明を行う。
【0063】
図2BのステップS1では、利用側ユニット3a、3b、3c、3dの冷媒漏洩検知部79a、79b、79c、79dのいずれかが冷媒の漏洩を検知しているか否かが判断される。ここで、利用側ユニット3aの冷媒漏洩検知部79aが、利用側ユニット3aの設置空間(室内)への冷媒の漏洩を検知した場合、次のステップS2に移行する。
【0064】
ステップS2では、冷媒漏洩があった利用側ユニット3aにおいて、ブザーなどの警告音による発報およびライトの点灯を行う警報器(図示せず)を使って、利用側ユニット3aの設置空間に居る人に警報を発する。
【0065】
次に、ステップS3では、冷媒漏洩があった利用側ユニット3aに対応する中継ユニット4Aの液中継遮断弁41A及びガス中継遮断弁42Aを閉める。これにより、中継ユニット4Aの上流側と下流側(利用側ユニット3a,3b側)とが切り離され、中継ユニット4Aを介した冷媒の行き来が無くなる。これにより、熱源側ユニット2や他の利用側ユニット3c,3dから利用側ユニット3a,3bへの冷媒の流入が無くなる。
【0066】
(4)冷媒遮断部として機能する中継ユニットの配置について
(4−1)中継ユニットの配置の重要性
上述のように、例えば利用側ユニット3aの利用側冷媒回路13aから冷媒漏洩があった場合、対応する中継ユニット4Aの液中継遮断弁41A及びガス中継遮断弁42Aが閉まるため、利用側ユニット3aの設置空間へ漏れ出る冷媒量の最大値は、中継ユニット4Aの下流にある利用側ユニット3aの利用側冷媒回路13a、利用側ユニット3bの利用側冷媒回路13b、共通配管5ab,6ab、及び最下流配管5a,6a,5b,6bの内部に存在する冷媒の量の合計値になる。上記(1−1)で述べたように、ここでは、中継ユニット4Aよりも利用側ユニット3a,3b側にある液側冷媒連絡配管5及びガス側冷媒連絡配管6を、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bと呼ぶ。
【0067】
言い換えると、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの内部に存在する冷媒の量と、利用側ユニット3aの利用側冷媒回路13a及び利用側ユニット3bの利用側冷媒回路13bの内部に存在する冷媒の量との和が、冷媒漏れが生じた利用側ユニット3aの設置空間へ漏れ出る冷媒量の最大値である。ここでは、その最大の冷媒漏れ量を冷媒量Qとする。
【0068】
ここで、図3Aに示すように、利用側ユニット3aが狭い給湯室の天井に設置され、利用側ユニット3bが広い役員室の天井に設置され、利用側ユニット3c,3dが中間サイズの第1、第2応接室の天井に設置されたとする。熱源側ユニット2は、それらの4つの部屋から少し離れた場所に設置されている。そして、中継ユニット4A,4Bは、4つの部屋に隣接する廊下の天井裏に設置され、メンテナンス性を考えて図3Aに示すように隣り合うように配置したいという現場要望があるとする。
【0069】
しかし、利用側ユニット3a,3bの容量が大きく且つ第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値が大きい場合、利用側ユニット3aが設置される狭い給湯室の床面積によっては、冷媒量Qが全て給湯室に漏れ出た場合、給湯室の床面近傍における冷媒R32の冷媒濃度が高くなり、LFL/安全率(例えば安全率4)を超える恐れもある。LFL(Lower Flammability Limit;燃焼下限界)は、ISO817で定められた、冷媒と空気を均一に混合させた状態で火炎を伝播することが可能な冷媒の最小濃度である。
【0070】
したがって、給湯室が狭く、給湯室に冷媒量Qが漏れ出したときに冷媒濃度がLFL/安全率を超える場合、冷媒量Qを減らすために、図3Bに示すように中継ユニット4Aの配置を変える必要が出てくることもある。また、図3Bに示す配置を採っても駄目な場合には、図3Cに示すように、利用側ユニット3aのみに対して1つの中継ユニット4Dを配備し、他の3つの利用側ユニット3b,3c,3dに対して1つの中継ユニット4Cを配備しなければならないことも考えられる。逆に、利用側ユニット3a,3b,3c,3dが設置される4つの部屋がいずれも大きく、これらの利用側ユニット3a,3b,3c,3dの内部の冷媒、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの内部の冷媒、及び、中継ユニット4Bと利用側ユニット3c,3dとを接続する第2連絡配管群の内部の冷媒の合計量が全て1つの部屋(4つの部屋の中で最も床面積が小さい部屋)に漏れた場合であっても、その部屋の冷媒濃度がLFL/安全率を下回るようであれば、図3D図3Eに示すように、冷媒遮断部として機能する1つの中継ユニット4Eだけを設置してコストダウンを図ることもできる。このように、中継ユニットの配置は、非常に重要である。
【0071】
なお、図3C図3Eに示す中継ユニット4C,4D,4Eの構成は、上述の中継ユニット4Aと同様である。
【0072】
(4−2)本実施形態に係る空気調和装置における中継ユニットの配置
以上のように、特に複数の利用側ユニットに対して1つの共通の中継ユニットを対応させて配備する場合、冷媒遮断部として機能する中継ユニットの配置をどうするのかは、安全及びコストの両面で非常に重要である。しかしながら、従来は、様々な冷媒特性や法規制を熟知したベテランの設計者が、多くの時間を費やして冷媒遮断部の配置を案件毎に毎回計算している。
【0073】
これに対し、本実施形態に係る空気調和装置1では、簡易な方法によって、冷媒遮断部として機能する中継ユニットの配置が決められている。具体的には、例えば図1の冷媒系統において中継ユニット4Aの配置を決めるときに、冷媒がR32の場合で且つ利用側ユニットが部屋の天井に設置される場合には、図4に示す表に従って第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管の長さの合計値の制約を求め、その範囲内で中継ユニット4Aの配置を決めている。この図4の表は、過去の様々な建物に設置された空気調和装置の利用側ユニットの容量、部屋の床面積、連絡配管の内径、連絡配管の分岐の位置、などの数多くのデータを基に作成されたものである。表の右欄の制約を満足すれば、過去の全ての空気調和装置において冷媒漏洩時の部屋の冷媒濃度がLFL/安全率を下回るように、図4の表は作成されている。
【0074】
この図4の表は、冷媒の種類や天井高さによって異なる表が準備されることになるが、それさえあれば、ベテランの設計者ではない例えば空気調和装置の施工業者が、建物の現場において、各利用側ユニットの容量の合計値を確認しながら中継ユニットの配置を決定することができる。例えば、第1利用側ユニット群81の利用側ユニット3a,3bの容量の合計値が11.6kWであれば、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管の長さの合計値の制約は40m以下となり、その範囲内で中継ユニット4Aの配置を決定すればよい。
【0075】
(4−3)本実施形態に係る中継ユニットの配置の決定手順
中継ユニット4Aの配置の決定手順については、上記(4−2)で触れているが、整理すると以下の各ステップを踏んでいると言える。
【0076】
まず、第1ステップでは、第1利用側ユニット群81の2個の利用側ユニット3a,3bの能力に関する情報である容量(kW)を取得する。第2ステップでは、第1ステップで取得した情報に基づいて、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの長さの合計値の制約(許容最大値)を求める。第3ステップでは、第2ステップで求めた制約を下回るように、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの長さを決め、中継ユニット4Aの配置を決定する。
【0077】
(5)特徴
図1に示す冷媒回路10を有する空気調和装置1は、その利用側ユニット3a,3b,3c,3dが、図3Aに示す給湯室、役員室、第1,第2応接室の天井にそれぞれ設置される。そして、そのうち一番狭い部屋が給湯室であるとすれば、冷媒漏洩時の安全の観点から、利用側ユニット3a,3bに対応する冷媒遮断部として機能する中継ユニット4Aの配置が重要になる。
【0078】
本実施形態では、液中継遮断弁41A及びガス中継遮断弁42Aを有する中継ユニット4Aと利用側ユニット3a,3bとを接続する第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を、図4の表を使用して求めている。ここで、中継ユニット4Aの下流に位置する2つの利用側ユニット3a,3bを、図3に示すように第1利用側ユニット群81と呼ぶ。すると、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bは、中継ユニット4Aの液接続管61A及びガス接続管62Aと、第1利用側ユニット群81の利用側冷媒回路13a,13bとを接続していると言い換えることができる。上述のとおり、この第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの内部に存在する冷媒の量と、利用側ユニット3aの利用側冷媒回路13a及び利用側ユニット3bの利用側冷媒回路13bの内部に存在する冷媒の量との和が、冷媒漏れが生じた利用側ユニット3aの設置空間(給湯室)へ漏れ出る冷媒量の最大値である。この最大の冷媒漏れ量である冷媒量Qは、利用側ユニット3aの設置空間(給湯室)における許容冷媒漏れ量を下回る必要があるが、図4の表にしたがって第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さを決めることで、冷媒量Qが許容冷媒漏れ量よりも小さくなり、安全性が確保される。また、図4の表から求まる第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約の範囲内であれば、中継ユニット4Aは、第1利用側ユニット群81の近くに配置する必要はなく、メンテナンス性を考慮して第1利用側ユニット群81から離れた場所に配置することもできる。
【0079】
このように、本実施形態に係る空気調和装置1では、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さが、第1利用側ユニット群81の2個の利用側ユニット3a,3bの能力に関する情報(容量)に基づいて決定されている。これにより、安全性が確保されるとともに、中継ユニット4Aの配置の自由度が上がっている。
【0080】
(6)変形例
(6−1)変形例A
上記実施形態に係る空気調和装置1では、図4の表を使用して、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を、中継ユニット4Aの下流の第1利用側ユニット群81の2つの利用側ユニット3a,3bの容量の合計値(総容量)に基づいて決定して、中継ユニット4Aの配置が決められている。
【0081】
この図4の表に代えて、図5に示す表に基づいて、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を決定してもよい。図5に示す表では、中継ユニットの下流にある複数の利用側ユニットの容量(kW)を確認し、利用側ユニットの組合せパターンを判断する。例えば、利用側ユニット3aの容量が2.2kWで、利用側ユニット3bの容量が2.8kWである場合、図5の組合せパターンNo.2に該当すると判断し、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を、140m以下と決定する。この制約に基づいて中継ユニット4Aの配置を決めれば安全性が確保されるように、図5の表は作成されている。図5の表も、図4の表と同様に、過去の様々な建物に設置された空気調和装置の利用側ユニットの容量、部屋の床面積、連絡配管の内径、連絡配管の分岐の位置、などの数多くのデータを基に作成されたものである。
【0082】
(6−2)変形例B
上記実施形態に係る空気調和装置1では、図4の表を使用して、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を、中継ユニット4Aの下流の第1利用側ユニット群81の2つの利用側ユニット3a,3bの容量の合計値(総容量)に基づいて決定して、中継ユニット4Aの配置が決められている。
【0083】
この図4の表に代えて、中継ユニットの下流にある利用側ユニットの個数に基づいて、中継ユニットと利用側ユニットとの間の連絡配管群の配管長さの合計値の制約を決定してもよい。例えば、2個の場合には35m以下、3個以上の場合には30m以下と決定して、中継ユニットの配置を決めてもよい。但し、中継ユニットの下流にある利用側ユニットの個数だけに基づいて決める場合には、中継ユニット4Aの配置の自由度は比較的小さいものとなる。
【0084】
(6−3)変形例C
上記実施形態に係る空気調和装置1では、予め過去のデータを基にして、部屋の床面積や連絡配管の内径についても、中継ユニットの下流の第1利用側ユニット群の複数の利用側ユニットの容量の合計値(総容量)から推定する形で反映させた図4の表を使用している。しかし、上記の図4の表は一例であり、利用側ユニットの設置空間のうち床面積が一番狭い部屋の床面積が分かるものとして、床面積の範囲毎に表を用意してもよい。また、連絡配管のサイズに応じて複数の表を用意してもよい。これらの場合には、中継ユニットと利用側ユニットとの間の連絡配管群の配管長さの合計値の制約が緩くなることが期待でき、中継ユニット4Aの配置の自由度が更に上がる。
【0085】
(6−4)変形例D
上記実施形態に係る空気調和装置1では、図4の表を使用して、第1連絡配管群5ab,5a,5b,6ab,6a,6bの配管長さの合計値の制約を、中継ユニット4Aの下流の第1利用側ユニット群81の2つの利用側ユニット3a,3bの容量の合計値(総容量)に基づいて決定して、中継ユニット4Aの配置が決められている。
【0086】
しかし、図4の表は一例であり、図4の表の右の欄は、中継ユニットの下流の連絡配管群の配管の内部体積の合計値の制約であってもよい。中継ユニットの配置が変われば、連絡配管群の経路や長さが変わって内部体積が変わるが、その内部体積の制約が分かれば、その範囲で中継ユニットを配置することができる。
【0087】
(6−5)変形例E
上記実施形態に係る空気調和装置1では、液中継遮断弁41A,41B及びガス中継遮断弁42A,42Bを電動膨張弁としているが、開状態と閉状態とが切り換わる電磁弁を採用してもよい。
【0088】
(6−6)変形例F
上記実施形態に係る空気調和装置1では、液側の構成とガス側の構成とがまとめられた中継ユニット4A,4Bを採用しているが、液側の構成とガス側の構成とを分けて別々に中継ユニットを構成してもよい。
【0089】
(6−7)変形例G
上記実施形態に係る空気調和装置1では、冷媒回路10に、冷媒として、R32が充填されている。しかし、上記の中継ユニットの配置に関する技術は、燃焼性を有する他の冷媒が冷媒回路10に充填されている場合にも有効である。いわゆる微燃性を有する冷媒である、R32、R1234yf、R1234ze若しくはR744の単一冷媒または該冷媒を含む混合冷媒が充填されている場合にも、上記の中継ユニットの配置に関する技術は有効である。なお、上記R32はジフルオロメタン(HFC−32)であり、R1234yfは2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)であり、R1234zeは1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze)であり、R744は二酸化炭素である。
【0090】
また、冷媒回路10に充填され冷媒回路10を流れる冷媒として、微燃性の冷媒のほか、弱燃性の冷媒あるいは強燃性の冷媒も想定される。微燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される冷媒である。弱燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される冷媒である。強燃性の冷媒は、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される冷媒である。
【0091】
ここで、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格は、可燃性ガスの評価基準に関する米国の規格である。世界各国で化学物質の規制が為されており、規制される内容の一つに化学物質の燃焼性が挙げられる。各国で規格を設け、各々の評価基準のもと、気体においては可燃性ガスかどうかの分類が行われている。日本の高圧ガス保安法では、可燃性ガスの判断基準として、爆発限界の値が用いられている。可燃性ガスの評価基準は、米国の規格ではASHRAE34、DOT、欧州の規格ではEN378-1、CLP規制、国際的な規格ではGHS、ISO10156が挙げられる。米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に相当する欧州の規格は、例えば、DIN EN378-1(2008)である。ここでも、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格と同様の「Class3:強燃性」、「Class2:弱燃性」、「Class2L:微燃性」が規定されている。また、ISO/FDIS(Final Draft International Standard)817(2013)においても、同様の「Class3:強燃性」、「Class2:弱燃性」、「Subclass2L:微燃性」が規定されている。
【0092】
(6−8)変形例H
上記実施形態に係る空気調和装置1の制御部19は、熱源側制御部92と、中継側制御部94A、94Bと、利用側制御部93a、93b、93c、93dとが、伝送線95、96を介して図2Aに示すように接続されることで構成されている。
【0093】
しかし、この図2Aに示す、熱源側制御部92と利用側制御部93a、93b、93c、93dとが中継側制御部94A、94Bを介して接続される構成に代えて、図6に示すように、利用側制御部93a、93b、93c、93dを介して熱源側制御部92と中継側制御部94A、94Bとが接続される構成を採ってもよい。
【0094】
(6−9)変形例I
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0095】
2 熱源側ユニット
3a,3b,3c,3d 利用側ユニット
4A 第1冷媒遮断部(冷媒遮断部)
5,6 連絡配管群
5ab,5a,5b 液側第1連絡配管群(第1連絡配管群)
6ab,6a,6b ガス側第1連絡配管群(第1連絡配管群)
12 第2冷媒回路
13a,13b,13c,13d 第1冷媒回路
41A 液側第1冷媒遮断弁
42A ガス側第1冷媒遮断弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
特開2017−9267号公報
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6