特許第6876104号(P6876104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876104
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】SAS自動ゾーニングメカニズム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/14 20060101AFI20210517BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20210517BHJP
   G06F 13/12 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G06F13/14 330A
   G06F13/10 340A
   G06F13/12 340A
   G06F13/14 330E
   G06F13/14 310H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-152472(P2019-152472)
(22)【出願日】2019年8月23日
(65)【公開番号】特開2020-47265(P2020-47265A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】16/135,206
(32)【優先日】2018年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】邱 揚理
(72)【発明者】
【氏名】▲きょう▼ 祖台
(72)【発明者】
【氏名】林 厚龍
【審査官】 吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−181391(JP,A)
【文献】 特開2015−172958(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0083484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/14
G06F 13/10
G06F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル接続SCSI(SAS)ゾーン自動構成システムであって、
ローカルエリアネットワークと、
前記ローカルエリアネットワークに接続されたローカルエリアネットワークポートと、複数のSASターゲットデバイスと、複数の入力ポートと複数のターゲットポートとを有するエキスパンダと、を含むSASシステムであって、前記ターゲットポートの少なくともいくつかは、前記SASターゲットデバイスに接続されているSASシステムと、
前記ローカルエリアネットワークに接続された管理ツールであって、第1ホストデバイスと前記複数の入力ポートのうち何れかの入力ポートとの間のケーブル接続を検出し、ターゲットデバイスを前記第1ホストデバイスに割り当てるようにSASゾーンを自動的に構成する管理ツールと、を備え、
前記第1ホストデバイスは、前記第1ホストデバイスが前記SASシステムに接続された場合に、前記ローカルエリアネットワークを介してケーブルIDを前記管理ツールに送信するように動作可能なベースボード管理コントローラを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記管理ツールは、前記ケーブルIDを介して、前記第1ホストデバイスと前記エキスパンダの入力ポートとの間の接続状態を検出するように動作可能であることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記管理ツールは、第2ホストデバイスが前記エキスパンダの別の入力ポートに接続され、前記ターゲットデバイスを前記第2ホストデバイスに割り当てる場合に、SASゾーンを再構成するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記管理ツールは、前記エキスパンダの入力ポートの状態を周期的に検出して、新たな接続が確立されたかどうかを判別するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、SASゾーン自動構成(automatic SAS zoning configuration)システムに関し、特に、ケーブルがホストに接続されたときに、ターゲットデバイスに対してSASゾーンを自動的に分類するシステムの工程に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティングアプリケーション向けのクラウドの出現により、データセンタとして知られるオフサイトインストール(off-site installations)の需要が増加している。オフサイトインストールは、リモートで接続されたコンピュータデバイスのユーザがアクセスするデータを記憶し、アプリケーションを実行する。一般的なデータセンタは、付随する電源及び通信接続を備える物理シャーシ構造(physical chassis structure)を有する。各ラックは、複数のネットワークデバイス(例えば、計算、ストレージ又は制御用のサーバ、並びに、適切なネットワーク及び管理スイッチ等)を収容することができる。各サーバは、きーたを記憶するために、ストレージデバイスにアクセスする必要がある。ストレージデバイスは、協調アレイ(coordinated array)で設定されるが、多くの場合、各ノードに対して個別のアクセスを必要とするストレージディスクのセットである。
【0003】
ネットワークの構成を目的としてデバイスを相互に接続するメカニズムは、シリアル接続SCSI(SAS)アーキテクチャである。SASアーキテクチャは、デバイス間の情報交換のルールを提供するシリアルデバイス相互接続及びトランスポートプロトコルを定義する。SAS物理ケーブルは、2つの差動信号ペアとして用いられる四本のワイヤのセットであり、データを双方向に同時にそ送信することができる。SASケーブルのポートは、一意のSASワールドワイド名(SASアドレスとも呼ばれる)によって識別される。
【0004】
SASコントローラ又はマネージャは、1つ以上のSASポートを含む。パスは、コントローラ内のSASイニシエータポートと、ターゲットデバイス(例えば、ストレージデバイス(例えば、ハードディスクドライブ))上のSASターゲットポートとの間の論理ポイントツーポイント接続(logical point-to-point link)である。接続は、パスを介したコントローラとターゲットデバイスとの間の一時的な接続(temporary association)である。
【0005】
SASエキスパンダは、ターゲットデバイスとコントローラとの間でエキスパンダポートを介して接続をルーティングすることにより、コントローラポートと複数のターゲットデバイスとの間の接続を可能にするデバイスである。SASエキスパンダを介した接続は、一度に1つだけ存在する。エキスパンダを用いることにより、コントローラからターゲットデバイスまでのパスに多くのノードが生成されるので、より多くのコントローラーが、SASエキスパンダに接続されたターゲットデバイスに接続される。よって、SASエキスパンダは、ネットワーク設計者に対してさらなる柔軟性を提供する。
【0006】
従来、ホストデバイス(例えば、サーバ)は、SASアーキテクチャにおけるストレージデバイスの入出力ポートへの接続に関して、所定のSASゾーンに従って設定されている。ケーブル接続は、所定のゾーンに従って形成される必要がある。よって、システムのオペレータは、先ず、SASゾーンを構成し、次に、SASケーブルをSASゾーン定義に合わせて変更する必要がある。そうでなければ、「ただのディスクの束」(JBOD)ストレージユニットのストレージデバイスは、SASゾーンの構成無しに複数のサーバをサポートすることができない。このような要件は、SASケーブルの接続を変更したときにヒューマンエラーが発生する可能性があるが、サーバデバイスを追加した場合に、技術者がSASゾーンの変更を忘れてしまう。例えば、第1ホストサーバは、SASエキスパンダを介して一連のストレージターゲットデバイスに接続される。第2ホストサーバがSASエキスパンダに接続されている場合、新たに接続された第2サーバを認識するようにSASゾーンを再構成しない限り、第2サーバは、ストレージターゲットデバイスにアクセスすることができない。
【0007】
よって、自動SASゾーン構成プロトコルにより、ヒューマンエラーを排除する必要がある。さらに、ホストデバイスへのSASケーブル接続に応じてSASゾーンを自動的に変更するメカニズムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、SAS自動ゾーニングメカニズムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動シリアル接続SCSI(SAS)ゾーン構成システムを提供する。システムは、ローカルエリアネットワークと、SASシステムと、を含む。SASシステムは、ローカルエリアネットワークに接続されたローカルエリアネットワークポートと、複数のSASターゲットデバイスと、エキスパンダと、を含む。エキスパンダは、複数の入力ポートと、複数のターゲットポートと、を有する。ターゲットポートの少なくともいくつかは、SASターゲットデバイスに接続されている。管理ツールは、ローカルエリアネットワークに接続されている。管理ツールは、第1ホストデバイスと複数の入力ポートとの間のケーブル接続を検出するように動作可能である。管理ツールは、ターゲットデバイスを第1ホストデバイスに割り当てるようにSASゾーンを自動的に構成する。
【0010】
本発明は、ローカルエリアネットワークと、管理ツールと、SASシステムと、を含むシステムにおけるシリアル接続SCSI(SAS)ゾーンの自動構成方法を提供する。SASシステムは、ローカルエリアネットワークに接続されたローカルエリアネットワークポートと、複数のSASターゲットデバイスと、エキスパンダと、を含む。エキスパンダは、複数の入力ポートと、複数のターゲットポートと、を有する。ターゲットポートの少なくともいくつかは、SASターゲットデバイスに接続されている。第1ホストデバイスは、ケーブルを介して、ローカルエリアネットワーク及びエキスパンダの1つの入力ポートに接続されている。第1ホストデバイスと入力ポートとの間のケーブル接続が検出される。SASゾーンは、管理ツールを介してターゲットデバイスを第1ホストデバイスに割り当てるように自動的に構成される。
【0011】
上記の概要は、本発明のあらゆる実施形態又はあらゆる態様を表すことを意図していない。むしろ、上記の概要は、本明細書で説明するいくつかの新規な態様及び特徴の例を単に提供する。上記の特徴及び利点並びに本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲に関連して解釈される場合、本発明を実施するための代表的な実施形態及びモードの以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヒューマンエラーを排除することができる。
【0013】
本発明は、添付の図面及び以下の例示的な実施形態の説明を参照することでより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動SASゾーン構成メカニズムを含む例示的なSASアーキテクチャのブロック図である。
図2】単一のホストサーバに用いる1つのSASゾーンの構成を示す図1のシステムのブロック図である。
図3】2つのホストサーバに用いるSASゾーンの再構成を示す図1のシステムのブロック図である。
図4】ケーブル接続に基づいてSASゾーンを自動的に構成する工程のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができる。いくつかの代表的な実施形態は、図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図していないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲に含まれる全て修正、均等物及び代替物を包含する。
【0016】
本発明は、多くの異なる形態で具体化することができる。代表的な実施形態を図面に示し、本明細書で詳細に説明する。本開示は、本発明の原理の一例又は例示であり、本発明の広い態様を、図示した実施形態に限定することを意図していない。その範囲において、例えば、要約、概要及び詳細な説明に開示されているが、特許請求の範囲の明示的に記載されていない要素及び限定は、単独で又は集合的に、黙示、推論又は他の方法によって特許請求の範囲に組み込まれてはならない。本発明を詳細に説明する目的のために、特に否定しない限り、単数形は複数形を含み、その逆もまた同様である。「含む」という用語は、「制限なしに含む」ことを意味している。さらに、例えば、「約」、「殆ど」、「実施的に」、「およそ」等の近似語は、本明細書では、例えば、「〜に」、「〜に近い」、「大体」、「〜の3〜5%の範囲内」、「許容される製造公差内」、又は、これらの任意の論理的組み合わせを意味するものとして用いることができる。
【0017】
SASベースのアーキテクチャでケーブルを接続する際のヒューマンエラーと、SASゾーン構成変更の失敗を抑制するために、本発明の例示的なシステムは、自動SASゾーン構成ルーティンを実行して、ホストサーバとSASシステムとの間のSASケーブルの接続に応じて、SASゾーンを自動的に変更する。
【0018】
図1は、一連のホストデバイス(例えば、ホストサーバ102,104,106等)を含むネットワークシステム100のブロック図である。ホストサーバ102,104,106は、管理ツール112に接続されたローカルエリアネットワーク110に接続されている。管理ツール112は、管理コントローラ又は他の適切なデバイス上で動作することができる。ホストサーバの各々(例えばば、サーバ102等)は、ベースボード管理コントローラ(BMC)114と、SASイニシエータデバイスポート116と、LANポート118と、を含む。BMC114は、SASイニシエータデバイスポート116において接続されたケーブルの検出を含むホストサーバ102の動作を制御する。BMC114は、LANポート118を介して管理ツール112と通信する。BMCの機能は、デーモン機能(daemon function)を実行する任意のコントローラを介して実行することができる。
【0019】
この例において、ネットワークシステム100は、SASアーキテクチャに基づいている。よって、システム100は、SASベースストレージシステム120をさらに含む。SASベースストレージシステム120は、異なるストレージデバイスを有するただのディスクの束(JBOD)のユニットであってもよい。この例において、SASベースストレージシステム120は、様々なターゲットデバイス(例えば、ターゲットデバイス122,124,126,128,130等)を含む。各ターゲットデバイス122,124,126,128,130は、独立したストレージデバイス(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、又は、これらのいくつかの組み合わせ等)であってもよい。SASベースストレージシステム120は、エキスパンダデバイス132を含む。エキスパンダデバイス132は、一連のエキスパンダ入力ポート(例えば、エキスパンダポート134,136,138等)を含む。SASデバイス120は、管理ツール112からのコマンドを受信するLANポート140をさらに含む。一連のエキスパンダターゲットポート(例えば、エキスパンダターゲットポート142,144,146,148,150等)は、ターゲットデバイスに接続される。よって、エキスパンダデバイス132は、各々がエキスパンダポートを有する2つの側面を有する。一方の側面は、サーバ102,104,106の各々に対して接続可能な入力エキスパンダポートを有し、他方の側面は、SASターゲットデバイス122,124,126,128,130の各々に対して接続可能なターゲットエキスパンダポートを有する。
【0020】
ホストサーバの各々(例えば、ホストサーバ102等)は、SASイニシエータデバイス(例えば、SASイニシエータデバイス152)を含む。SASイニシエータデバイスは、ホストサーバが、SASプロトコルを用いてSASデバイス(例えば、SASデバイス120等)とケーブルを介して通信できるようにするホストバスアダプタ(HBA)又はRAIDカードを含むことができる。SASイニシエータデバイス152は、エキスパンダデバイス132の1つの入力ポートに接続されるSASイニシエータポート116を含む。この例において、ケーブル154は、ホストサーバ102のイニシエータポート116をエキスパンダデバイス132の入力ポート134に接続する。
【0021】
この例において、他のサーバ104,106の各々は、他の個別の入力ポート136,138のうち一方と接続されてもよい。しかし、図2に示す、サーバ104,106は、何れも入力ポート136,138に現在接続されていない。ターゲットデバイスの各々(例えば、ターゲットデバイス122等)は、SASターゲットポート160を含むことができる。各ターゲットデバイスのターゲットポートは、ケーブルを介してエキスパンダターゲットポートに接続されている。適切なSASゾーンの構成後、エキスパンダデバイス132は、ホストサーバがゾーン構成に基づいて各々のターゲットデバイスにアクセスするのを可能にする。よって、この例において、サーバ102,104,106がエキスパンダデバイス132の入力ポートに接続されている場合、ゾーン構成は、特定のターゲットデバイスを各サーバ102,104,106に割り当てる。
【0022】
管理ツール112は、システム100(図1)において機能するSASゾーン自動構成メカニズムを含み、新たなサーバがエキスパンダデバイス132に接続された場合に、SASゾーン構成を自動的に確立する。SASゾーン構成は、所定のルールに基づいて、何れのターゲットデバイスを異なるホストに割り当てるかを定義する。構成メカニズムは、SASケーブル接続状態を検出して、SASストレージシステム120のSASゾーン自動構成に用いる。この例において、管理ツール112は、IPMI/Redfish OEMコマンドを、ホストサーバのBMC又はデーモン及びSASストレージシステム120に送信して、LAN110上のLANインタフェースを介してケーブルIDを取得する。ケーブルIDは、接続状態の検出に用いられる。ケーブルIDは、ケーブルに関連するEEPROM又はSASアドレスであってもよい。各SASケーブルは、両方のコネクタにEEPROMを有する。EEPROMは、シリアルナンバー及び部品番号(part number)を含む。各エキスパンダポートに接続されているホストは、EEPROMのシリアルナンバーを用いて判別される。SASアドレスは、各エキスパンダポートに接続されているホストコンピュータを判別するのに使用することができる。接続状態が変化した場合、管理ツール112は、SASゾーン自動構成コマンドをSASストレージシステム120に送信して、管理ツール112が検出したSASケーブル接続に応じて各SASゾーン構成を定義する。
【0023】
ホストサーバとSASストレージシステム120との間の接続が検出された場合、管理ツール112は、先ず、IPMI/Redfish OEMコマンドを、サーバ(例えば、サーバ102等)及びストレージデバイスシステム120に送信して、サーバ102のSASイニシエータポート116とエキスパンダデバイス132のエキスパンダポート134とを接続するケーブル154のケーブルIDを取得する。ケーブルIDは、LANポート140及びホストサーバ102を介して管理ツール112に送信され、接続状態が検出される。接続状態が変化した場合、管理ツール112は、SASゾーン自動構成コマンドを、LANポート140を介してSASストレージシステム120に送信する。接続状態に変化がない場合、工程は、ケーブルIDの取得を継続する。新たなSASゾーン構成を受信すると、SASストレージシステム120は、管理ツール112によって検出されたSASケーブルの接続に応じて、各SASゾーン構成を定義する。
【0024】
図2は、サーバが最初にSASストレージシステム120に接続された場合のシステム100(図1)のSASゾーン自動構成動作を示す図である。図2において同様の要素には、図1における対応する要素と同じ符号が付されている。ホストサーバ(例えば、サーバ102)は、ケーブル154を介して、SASストレージシステム120の入力エキスパンダポート134に接続されている。管理ツール112は、先ず、IPMI/Redfish OEMコマンドを、サーバ(例えば、サーバ102)及びストレージデバイスシステム120に送信して、ケーブル154のケーブルIDを取得する。この例において、サーバ102のSASイニシエータポート116をエキスパンダデバイス132のエキスパンダ入力ポート134に接続するケーブル154は、BMC114によって判別された関連するケーブルID(ケーブルEEPROMに記憶されているケーブルシリアルナンバー)を有する。ケーブルIDは、LANポート140を介して管理ツール112に送信され、接続状態が検出される。BMC114は、オフラインケーブルIDを得るのに使用される。オフラインケーブルIDは、BMC114とエキスパンダデバイス132とのI2C接続を介して、ケーブルEEPROMのシリアルナンバーから受信される。オフラインケーブルIDは、ストレージデバイスシステム120の起動のみを必要とする。起動により、BMC114は、ケーブル内のEEPROMからオフラインケーブルIDを取得することができる。オンラインケーブルIDは、SASアドレス(リモートSASアドレス)から受信される。オンラインケーブルIDは、ホストサーバ及びストレージデバイス120が起動するのを要求する。オンラインケーブルID(SASアドレス)は、ストレージデバイス120上のホストバスアダプタ(HBA)カードからBMC114によって取得される。この例において、管理ツール112は、SASストレージシステム120に接続されているサーバ(サーバ102)を1つだけ見つける。次に、管理ツール112は、SASゾーン自動構成コマンドをSASストレージシステム120に送信する。この例において、エキスパンダデバイス132には1つのサーバしか接続されていないので、この構成により、全てのターゲットデバイス122,124,126,128,130をSASゾーンに含めることができる。ターゲットストレージデバイス122,124,126,128,130の各々は、エキスパンダターゲットポート142,144,146,148,150に接続された個別のケーブルを有する。よって、SASストレージシステム120は、SASゾーン自動構成コマンドに従ってSASゾーニングを設定する。図2は、ホストサーバ102が、接続された入力ポート134を通じて、エキスパンダポート142,144,146,148,150を介して全てのSASターゲットデバイス122,24,126,128,130にアクセスできる例示的な構成の結果を示している。
【0025】
図3は、図2の構成に他のサーバを追加した場合の図1のシステム100の自動SASゾーン自動構成の動作を示す図である。これは、SASゾーンを再構成して、接続されたホストサーバがターゲットデバイス122,124,126,128,130に適切にアクセスできるようにする必要がある。図3における同様の要素には、図1及び図2における対応する要素と同じ符号が付されている。この例において、ホストサーバ104を介して新たな接続が形成される。新たな接続は、サーバ104のSASイニシエータポート312とエキスパンダデバイス132のエキスパンダ入力ポート136との間にケーブル310を接続することによって形成される。
【0026】
ケーブル310がSASイニシエータポート312を入力ポート136に接続すると、管理ツール112は、コマンドをホストサーバ104上のBMC314に送信し、LAN110を介してケーブル310のケーブルIDを取得し、接続状態を検出する。この例において、管理ツール112は、SASストレージデバイス120に接続されている2つのサーバ(サーバ102,104)を見つけるので、新たなホストサーバ104がターゲットデバイスにアクセスするためには、図2の構成の変更が必要である。管理ツール112は、SASゾーン自動構成コマンドを、SASストレージデバイス120に送信する。構成コマンドは、SASストレージデバイス120のLANポート140でLAN110を介して受信される。SASストレージデバイス120は、SASゾーン自動構成コマンドに従って、エキスパンダデバイス132内の接続を、ゾーン構成に従って変更する。この例において、SASゾーン自動構成コマンドは、1つのSASゾーンについて、エキスパンダ入力ポート134を、エキスパンダターゲットポート142,144に接続する。よって、この新たな構成において、サーバ102は、エキスパンダターゲットポート142,144を介してターゲットデバイス122,124に接続される。また、ゾーニング自動構成コマンドは、別のSASゾーンについて、エキスパンダ入力ポート136を、ターゲットポート146,148に接続する。よって、サーバ104は、エキスパンダターゲットポート146,148を介してターゲットデバイス126,128に接続される。
【0027】
この例において、自動構成コマンドは、2つのターゲットデバイスを各サーバに割り当てる。勿論、管理ツール112は、所定のルールに基づいて、より少ない又はより多いターゲットデバイスを割り当てる他の構成を使用してもよい。自動構成は、手動による再構成の必要性を回避し、これにより、新たなサーバが追加された場合にシステム100の動作が継続するのを可能にする。
【0028】
図4は、図1の管理ツール112がシステム100のSASゾーンを自動的に構成するために実行する周期的工程のフロー図である。管理ツール112は、先ず、IPMI/Redfish OEMコマンドを、接続されたホストサーバ及びSASストレージシステム120に送信する(工程400)。この例において、接続された各ホストサーバのBMC及びSASデバイス120は、ケーブルIDを管理ツール112に送信して、管理ツール112が、エキスパンダ132の入力ポートに対して接続されたサーバの接続状態を検出するのを可能にする(工程402)。或いは、ホストサーバ上のデーモン及びSASデバイス120上のBMCがケーブルIDを送信してもよい。管理ツール112は、エキスパンダ132の何れかの入力ポートの接続状態が変化して、新たな接続を示したか否かを判別する(工程404)。接続状態に変化がない場合、管理ツール112は、次の期間において、工程の開始にループバックする。
【0029】
接続状態に変化があった場合、管理ツールは、自動SASゾーニングコマンドをSASシステム120に送信する(工程406)。SASシステム120は、新たな接続に基づいて、接続された各ホスト及びターゲットデバイスのゾーン構成を再定義する(408)。その後、工程がループバックして、次の期間で工程を開始する。
【0030】
図4のフロー図は、図1のシステム100の例示的な機械可読命令を表す。この例において、機械可読命令は、(a)プロセッサ、(b)コントローラ、及び/又は、(c)1つ以上の他の適切な処理デバイスにより実行されるアルゴリズムを有する。アルゴリズムは、有形の媒体(例えば、フラッシュメモリ、CD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、デジタルビデオ(汎用)ディスク(DVD)又は他のメモリデバイス等)に記憶されたソフトウェアで具現化することができる。しかし、当業者であれば理解できるように、アルゴリズム全体及び/又はその一部は、代替的に、プロセッサ以外のデバイスによって実行され、及び/又は、周知の方法でファームウェア又は専用のハードウェアで実施することができる(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理回路(PLD)、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリートロジック等によって実施され得る)。たとえあ、インタフェースの何れか又は全てのコンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又は、ファームウェアによって実装することができる。また、図4のフローチャートによって表される機械可読命令の一部又は全ては、手動で実施されてもよい。さらに、例示的なアルゴリズムは、図4のフロー図を参照して説明されているが、当業者であれば理解できるように、例示的な機械可読命令を実行する他の多くの方法が代替的に用いられてもよい。例えば、ブロックの実行順序は変更されてもよいし、及び/又は、説明したいくつかのブロックは変更、削除又は組み合わされてもよい。
【0031】
本願で使用される「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、一般に、コンピュータ関連のエンティティ、即ち、ハードウェア(例えば、回路)、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は、1つ以上の特定の機能を有する操作可能な機器に関連するエンティティの何れかを指す。例えば、コンポーネントは、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ等)で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又は、コンピュータとすることができるが、これらに限定されない。例として、コントローラ上で実行されるアプリケーション、及び、コントローラの両方がコンポーネントとなることができる。1つ以上のコンポーネントがプロセス及び/又は実行スレッドに存在してもよく、コンポーネントが1つのコンピュータ上に位置してもよく、及び/又は、2つ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。さらに、「デバイス」は、特別に設計されたハードウェア、ハードウェアが特定の機能を実行するのを可能にするソフトウェアの実行によって特殊化された汎用ハードウェア、コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア、又は、これらの組み合わせの形態をとることができる。
【0032】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されているように、「一」、「1つの」、「この」という単数形は、文脈が他のことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む」、「有する」やこれらの変化形が、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲に用いられており、このような用語の意味は、「備える」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0033】
特に定義されない限り、本明細書で使用される用語(技術用語及び科学用語)は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されるような用語は、関連技術の文脈におけるこれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0034】
本発明の様々な実施形態が上に記述されたが、理解すべきことは、示される例は単なる範例であって、制限ではないことである。本発明の実施形態に基づく各種変更は、本発明の精神と範囲を逸脱しない。よって、本発明の幅と範囲は、上記の任意の実施形態により限定されるべきではない。さらに、本発明の範囲は、以下の請求項とそれらの等価物によって定義されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
100…ネットワークシステム
102〜106…ホストサーバ
110…ローカルエリアネットワーク
112…管理ツール
114…ベースボード管理コントローラ
116…SASイニシエータデバイスポート
118…LANポート
120…SASシステム
122〜130…ターゲットデバイス
132…エキスパンダデバイス
134〜138…エキスパンダポート
140…LANポート
142〜150…エキスパンダターゲットポート
152…SASイニシエータデバイス
154…ケーブル
160…SASターゲットポート
310…ケーブル
312…SASイニシエータポート
314…BMC
400〜408…工程
図1
図2
図3
図4