【文献】
島崎智拓, 外1名,新4K8K衛星放送伝送用周波数変換装置の開発,放送技術,兼六館出版株式会社,2018年 7月 1日,第71巻, 第7号,pp. 123-126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
BS放送用の共同受信施設では、従来から、BS−IF信号の周波数を低域変換することにより、伝送可能周波数帯域が狭い伝送路を用いてBS放送の受信を可能にしている。
【0003】
特許文献1(特開2002−354473号公報)には、増設端子付ダウンコンバータが、入力端子に入力されるBS−IF信号のうち、BS−5〜11chに対応する信号をコンバータ部で所定の周波数帯に変換して伝送線上へ送出するシステムにおいて、入力されたBS−IF信号の一部を分岐器及び分岐出力端子を介して外部に出力し、他のBS−1,3,13,15chを既存のダウンコンバータで周波数変換し、変換後の信号を、混合入力端子を介して混合器へ取り込むことによりコンバータ部からの信号と共に出力され、将来予想される現行アナログBS放送のデジタル化に効率的に対応できるシステムが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2007−5925号公報)には、第1のミキサには1466.98MHzの第1基準信号を、第2のミキサには1620.42MHzの第2基準信号を入力し、第1のミキサは第1基準信号を用いてチャンネル1、3、5、7、9分のBS受信信号を周波数変換し、第2のミキサは第2基準信号を用いてチャンネル13、15分のBS受信信号を周波数変換し、周波数変換された信号からチャンネル1、3、9及びチャンネル13、15を選択的に抽出し,互いに周波数が異なり、且つ,連続したチャンネル配列とし、各チャンネルに対応するBSチャンネル中間周波信号を混合してBS中間周波信号として出力することが記載されている。
【0005】
特許文献3(特許第5560471号公報)には、第1及び第2ダウンコンバート段、第1及び第2アナログデジタル変換器、デジタルスイッチング及び信号プロセッサを備え、第1ダウンコンバート段は、複数の第1チャンネルを含む第1RF入力信号を受信するための入力を有する第1ダウンコンバータ回路を備え、第1ダウンコンバータ回路は、第1RF入力信号を、複数の第1チャンネルを含む第1IF信号に周波数ダウンコンバートし、第1アナログデジタル変換器は第1IF信号を第1デジタルIF信号に変換し、第2ダウンコンバータ段は、複数の第2チャンネルを含む第2RF入力信号を受信するための入力を有する第2ダウンコンバータ回路を備え、第2ダウンコンバータ回路は、第2RF入力信号を、複数の第2チャンネルを含む第2IF信号に周波数ダウンコンバートするチャンネルスタックシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2018年12月から、BS右旋偏波、およびBS左旋偏波の一部を用いて4K8K衛星放送の本放送が開始されている。しかし、マンションなどの共同受信施設では、伝送路が、BS右旋―IF周波数(最大1489MHz)までしか伝送できない既存施設、あるいは1GHzまでしか伝送できない既存施設が数多く残っている。これらの既存施設において、BS左旋―IF信号を伝送するには、部屋ごとの工事を伴う、大規模改修が必要となる。
【0008】
特許文献1に記載の増設端子付ダウンコンバータは、ダウンコンバータを1つ備え、BS−5〜11chに対応する信号の周波数をすべて一定量低域にシフトするコンバータと、その他の放送チャンネルの信号を外部のダウンコンバータを用いて別の周波数にコンバートするための増設端子とを備えたものである。したがって、複数のコンバータを用いることにより、ダウンコンバータ後の各放送チャンネルの周波数配列をもとの周波数配列から変更することは可能ではあるが、ダウンコンバータの構成が複雑になる。また、特許文献1に記載の増設端子付ダウンコンバータでは、BS左旋放送は考慮されていない。
【0009】
特許文献2に記載のダウンコンバータでは、ミキサおよび基準信号をそれぞれ2つ備え、ダウンコンバータ後の周波数配列を調整することができること、具体的には、BS−1、3、9、13、15チャンネルを250MHzから432MHzまでの帯域にダウンコンバートすることができることが記載されているが、特許文献2に記載のダウンコンバータではBS右旋電波のすべてのチャンネルをダウンコンバートすることはできない。また、特許文献2に記載のダウンコンバータでは、BS左旋放送は考慮されていない。
【0010】
特許文献3に記載のチャンネルスタックシステムでは、デジタル信号で放送チャンネル抽出、および周波数変換を行うため、ダウンコンバート後の各放送チャンネルの周波数配列を自由に設定できる可能性はあるが、日本のBS右旋/左旋―IF電波の各放送チャンネルをどのような周波数配列にダウンコンバートするか、そして、所定の周波数配列にダウンコンバートする場合にどのような構成とするかについては記載されていない。
【0011】
本発明の主な目的は、BS右旋―IF周波数(最大1489MHz)までしか伝送できない伝送路を備えた既存施設、または1GHzまでしか伝送できない伝送路を備えた既存施設において、地上デジタル放送、およびFM放送と共存しつつ、BS右旋/左旋−IF信号を伝送するための、伝送路上での放送チャンネルごとの周波数配列を備えたBS右旋/左旋−IF信号伝送システムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、伝送路上での放送チャンネルごとの周波数配列を実現するための、ダウンコンバータおよびアップコンバータの構成を備えたBS右旋/左旋−IF信号伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
一局面に従うBS右旋/左旋−IF信号伝送システムは、ダウンコンバータと、1GHz対応CATVブースターと、伝送路と、アップコンバータと、を含み、ダウンコンバータは、BS左旋2、4、6、8、10、12、14、および16チャンネルのIF信号を118MHzから424MHzまでの帯域にダウンコンバートするとともに、BS左旋18、20、および22チャンネルのIF信号を730MHzから845MHzまでの帯域にダウンコンバートし、1GHz対応CATVブースターは、ダウンコンバートされたBS左旋−IF信号、地上デジタル放送信号、およびFM放送信号を含む1GHzまでのCATV帯域の信号と、BS/CS右旋−IF信号とを増幅し、伝送路は、1GHzまでのCATV帯域の信号と、BS/CS右旋−IF信号とを伝送し、アップコンバータは、ダウンコンバータがダウンコンバートした、BS左旋2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、および22チャンネルのIF信号を、それぞれ、ダウンコンバートする前の周波数にアップコンバートし、アップコンバートされたBS左旋−IF信号、BS右旋−IF信号、地上デジタル放送信号、およびFM放送信号がテレビおよび/またはFMチューナに送出される。
【0013】
この場合、1GHz対応CATVブースターが増幅し、伝送路が伝送する信号の最大周波数はBS右旋―IF信号の1489MHzとなるため、既存のBS右旋―IF対応施設において、BS右旋、およびBS左旋放送の全チャンネルの信号を伝送することができる。
【0014】
(2)
第2の発明にかかるBS右旋/左旋−IF信号伝送システムは、ダウンコンバータと、1GHz対応CATVブースターと、伝送路と、アップコンバータと、を含み、ダウンコンバータは、BS右旋1、3、5、7、9、11、13、および15チャンネルのIF信号を118MHzから424MHzまでの帯域にダウンコンバートするとともに、BS右旋17、19、21、および23チャンネルのIF信号とBS左旋8、12、および14チャンネルのIF信号を730MHzから1000MHzまでの帯域にダウンコンバートし、1GHz対応CATVブースターは、ダウンコンバートされたBS右旋/左旋―IF信号、地上デジタル放送信号、およびFM放送信号を含む1GHzまでのCATV帯域の信号を増幅し、伝送路は、1GHzまでのCATV帯域の信号を伝送し、アップコンバータは、ダウンコンバートされた、BS右旋1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、および23チャンネルのIF信号と、BS左旋8、12、および14チャンネルのIF信号とを、それぞれ、ダウンコンバートする前の周波数にアップコンバートし、アップコンバートされたBS右旋/左旋−IF信号、地上デジタル放送信号、およびFM放送信号がテレビおよび/またはFMチューナに送出される。
【0015】
この場合、1GHz対応CATVブースターが増幅し、伝送路が伝送する信号の最大周波数は1GHzとなるため、既存の1GHz対応施設において、BS右旋放送の全チャンネル、およびBS左旋放送の8、12、および14チャンネルの信号を伝送することができる。
なお、2019年2月現在において放送中、および放送予定のBS左旋放送は8、12、および14チャンネルのみである。
【0016】
(3)
第3の発明に従うBS右旋/左旋−IF信号伝送システムは、一局面、または第2の発明にかかるBS右旋/左旋−IF信号伝送システムにおいて、ダウンコンバータおよびアップコンバータが、入力信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、アナログデジタル変換器で変換されたデジタル信号から複数の放送チャンネルの信号を抽出するチャンネル抽出器と、チャンネル抽出器で抽出された複数の放送チャンネルの信号のそれぞれを所定の周波数範囲の信号に周波数変換するチャンネル周波数変換器と、所定の周波数範囲の信号に変換された複数の放送チャンネルの信号のそれぞれを1つの信号に合成するチャンネル合成器と、チャンネル合成器の出力信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器と、を含んでもよい。
【0017】
この場合、放送チャンネルの抽出、各放送チャンネルごとの周波数変換がデジタル信号処理LSIで行われるため、ダウンコンバータの小型化が可能となる。また、デジタル信号処理では、例えば所定の周波数配列を変更するなど柔軟な仕様変更に対応でき、ダウンコンバータの高機能化が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0020】
[第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300]
図1は第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の全体構成を示す図であり、
図2は第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300に入力される信号の周波数配列を示す図である。
図3は第1の実施形態におけるBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200とアップコンバータ210との間の伝送路260中の信号の周波数配列を示す図である。
【0021】
図1に示すように第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300はダウンコンバータ200、1GHz対応CATVブースター250、伝送路260、およびアップコンバータ210で構成される。第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200は、BSアンテナ220、地上デジタル放送アンテナ230、およびFM放送アンテナ240に接続される。アップコンバータ210は、4K8K対応テレビ270、およびFMチューナ280に接続される。
【0022】
第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300には、76MHzから108MHzのFM放送信号、470MHzから730MHzの地上デジタル放送信号、1032MHzから1489MHzのBS右旋―IF信号、2224MHzから2681MHzのBS左旋―IF信号が入力される。
【0023】
第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300は、1032MHzから1489MHzのBS右旋―IF信号の伝送が可能な既存の施設において、2224MHzから2681MHzのBS左旋―IF信号のすべてのチャンネルを伝送することを目的としている。このために、BS左旋―IF信号のうち、BS左旋2チャンネルから16チャンネルまでの合計8チャンネル分の信号を、FM放送と地上デジタル放送との間の118MHzから424MHzの帯域にダウンコンバートし、BS左旋18チャンネルから22チャンネルまでの合計3チャンネル分の信号を地上デジタル放送とBS右旋―IF信号との間の730MHzから845MHzの帯域にダウンコンバートする。
【0024】
第1の実施形態では、BS右旋―IF信号、FM放送信号、および地上デジタル放送信号は周波数変換されることなく伝送される。
ダウンコンバートされたBS左旋―IF信号と、BS右旋―IF信号と、FM放送信号と、地上デジタル放送信号とは混合され、同一の伝送路260に沿って伝送され、アップコンバータ210の入口で再度、ダウンコンバートされたBS左旋―IF信号と、BS右旋―IF信号と、FM放送信号と、地上デジタル放送信号とに分離される。
【0025】
ダウンコンバートされたBS左旋―IF信号はそれぞれの放送チャンネルごとにもとの2224MHzから2681MHzのBS左旋―IF信号の周波数配列に変換され、4K8K対応テレビに送信される。
BS右旋―IF信号と地上デジタル放送信号とは周波数変換されることなく4K8K対応テレビ270に送信される。FM放送信号は周波数変換されることなくFMチューナ280に送信される。
【0026】
[第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の構成]
図4に第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200の構成を示す。
図5にはチャンネル周波数変換器50の入力信号の周波数配列、
図6にはチャンネル周波数変換器50の出力信号の周波数配列を示す。また、
図7には第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のアップコンバータ210の構成を示す。
【0027】
第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200では、入力端子10aにBS左旋−IF信号が、入力端子10bにBS右旋−IF信号が、そして入力端子10cにFM放送および地上デジタル放送の信号が入力され、BS右旋−IF信号と、FM放送および地上デジタル放送とは、それぞれ増幅器110bと増幅器110cとで増幅され、混合器120で混合されて、出力端子90から出力される。
【0028】
BS左旋―IF信号は、帯域通過フィルタ20、アナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、デジタルアナログ変換器70、および帯域通過フィルタ80を介して所定の周波数配列にダウンコンバートされ、その後、増幅器110aで増幅され、混合器120で、FM放送および地上デジタル放送とBS右旋−IF信号と混合されて、出力端子90から出力される。
なお、アナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、およびデジタルアナログ変換器70は第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200では、1つのデジタル信号処理LSI100に内蔵されているが、これらのブロックを複数のLSIで構成することも可能である。
【0029】
BS左旋―IF信号は、帯域通過フィルタ20を介してアナログデジタル変換器30に入力され、デジタル信号に変換される。なお、帯域通過フィルタ20の代わりに低域通過フィルタを用いることもできる。
【0030】
デジタル信号に変換されたBS左旋―IF信号は、チャンネル抽出器40によって複数の放送チャンネルの信号に分離される。チャンネル抽出器40の出力は放送チャンネルごとに分かれており、出力のうちの1つの周波数配列は
図5に実線で示されている。その他の
図5に点線で示されている周波数配列のそれぞれもチャンネル抽出器40の出力であり、したがって、チャンネル抽出器40の出力はBS左旋放送チャンネルの数と同じ11である。ただし、2019年2月現在において放送中、および放送予定のBS左旋放送は8、12、および14チャンネルのみであることから、チャンネル抽出器40の出力を例えば8、12、および14チャンネルのみとすることも可能である。
【0031】
チャンネル抽出器40の放送チャンネルごとの出力信号は、チャンネル周波数変換器50によって所定の周波数範囲の信号に変換される。例えば、
図5において実線で示された約2224MHzから2265MHzの範囲のBS左旋2チャンネルの信号は、
図6において同じく実線で示された約118MHzから156MHzの範囲の信号に変換される。
また、例えば、
図5において点線で示された約2640MHzから2681MHzの範囲のBS左旋22チャンネルの信号は、
図6において同じく点線で示された約807MHzから845MHzの範囲の信号に変換される。
【0032】
チャンネル周波数変換器50の放送チャンネルごとの出力信号は、チャンネル合成器60によって1つの信号に合成される。チャンネル合成器60の出力信号は、デジタルアナログ変換器70によってアナログ信号に変換される。
【0033】
デジタルアナログ変換器70によってアナログ信号に変換された信号は、帯域通過フィルタ80を介して出力される。なお、帯域通過フィルタ80の代わりに低域通過フィルタを用いることもできる。
【0034】
図7に第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のアップコンバータ210の構成を示す。第1の実施形態のアップコンバータ210では、入力信号が入力端子10から分配器130に入力され、分配器130の出力が、帯域通過フィルタ140a、帯域通過フィルタ140b、帯域通過フィルタ140cによって、それぞれ、ダウンコンバートされたBS左旋―IF信号と、BS右旋―IF信号と、FM放送信号および地上デジタル放送信号とに分離される。そして、BS右旋―IF信号と地上デジタル放送信号とはそれぞれ出力端子90bと出力端子90cとを介して4K8K対応テレビ270に送信される。FM放送信号は出力端子90cを介してFMチューナ280に送信される。
【0035】
ダウンコンバートされたBS左旋―IF信号は、アナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、デジタルアナログ変換器70、および帯域通過フィルタ80を介してもとの周波数配列にアップコンバートされ、4K8K対応テレビ270に送信される。なお、帯域通過フィルタ80の代わりに低域通過フィルタを用いることもできる。
アップコンバータ210の入力信号の周波数配列は
図3に示され、出力信号の周波数配列はBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の入力信号と同じであり、
図2に示されている。また、アップコンバータ210のチャンネル周波数変換器50の入力信号の周波数配列は
図6と同じであり、出力信号の周波数配列は
図5と同じである。
図3のアップコンバータ210の入力信号の周波数配列からもわかるように、FM放送信号、地上デジタル放送信号、およびダウンコンバートされたBS左旋―IF信号の周波数配列は互いに交錯しており、したがって、帯域通過フィルタ140aおよび帯域通過フィルタ140cは、それぞれ2つの帯域の信号を通過させる帯域通過フィルタである。
【0036】
アップコンバータ210のアナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、およびデジタルアナログ変換器30の動作は、周波数配列を除いて、それぞれ、ダウンコンバータ200のアナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、およびデジタルアナログ変換器70の動作と同一である。
帯域通過フィルタ80の出力は出力端子90aを介して4K8K対応テレビ270に送信される。
【0037】
[第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300]
図8は第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200とアップコンバータ210との間の伝送路260中の信号の周波数配列を示す図である。
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300における、システムの全体構成、および入力される信号の周波数配列は第1の実施形態と同じである。
【0038】
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300は、1GHzまでの伝送帯域しかなく、BS右旋―IF信号の伝送が不可能な既存の施設において、BS右旋―IF信号の全チャンネルとBS左旋―IF信号のうち3つのチャンネルとを伝送することを目的としている。このために、BS右旋―IF信号のうち、BS右旋1チャンネルから15チャンネルまでの合計8チャンネル分の信号を118MHzから424MHzの帯域にダウンコンバートし、BS右旋17チャンネルから23チャンネルまでの信号と、BS左旋8チャンネル、12チャンネル、および14チャンネルの信号とを730MHzから1000MHzまでの帯域にダウンコンバートする。
なお、BS左旋放送のうち8チャンネル、12チャンネル、および14チャンネルを選択するのは、2019年2月現在において放送中、および放送予定のBS左旋放送は上記3つのチャンネルのみだからである。
【0039】
第2の実施形態でも、FM放送、および地上デジタル放送は周波数変換されることなく伝送される。
ダウンコンバートされたBS右旋―IF信号およびBS左旋―IF信号と、FM放送信号と、地上デジタル放送信号とは混合され、同一の伝送路260に沿って伝送され、アップコンバータ210の入口で再度、ダウンコンバートされたBS右旋―IF信号およびBS左旋―IF信号と、FM放送信号と、地上デジタル放送信号とに分離される。
そして、ダウンコンバートされたBS右旋―IF信号はそれぞれの放送チャンネルごとにもとの1032MHzから1489MHzのBS右旋―IF信号の周波数配列に変換され、ダウンコンバートされたBS左旋8チャンネル、12チャンネル、および14チャンネルの信号はそれぞれの放送チャンネルごとにもとのBS左旋―IF信号の周波数配列に変換される。
地上デジタル放送信号は周波数変換されることなく4K8K対応テレビ270に送信される。FM放送信号は周波数変換されることなくFMチューナ280に送信される。
【0040】
[第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の構成]
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の構成は、基本的には第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の構成と同一である。
したがって、ここでは、第1の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300の構成との差異について説明する。
【0041】
図9に第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200の構成を示す。
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300では、BS右旋―IF信号のすべての放送チャンネルの信号とBS左旋―IF信号の8、12、14チャンネルの信号とが入力端子10aから入力され、ダウンコンバートされる。したがって、第1の実施形態のBS右旋−IF信号用の入力端子10b、および増幅器110bは、第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200では削除されている。
【0042】
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のダウンコンバータ200では、BS右旋―IF信号のすべての放送チャンネルの信号とBS左旋―IF信号の8、12、14チャンネルの信号が、第1の実施形態と同様に、帯域通過フィルタ20、アナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、デジタルアナログ変換器70、および帯域通過フィルタ80を介して所定の周波数配列にダウンコンバートされ、その後、増幅器110aで増幅され、混合器120で、FM放送および地上デジタル放送とBS右旋−IF信号と混合されて、出力端子90から出力される。
【0043】
ただし、第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300では、アナログデジタル変換器30の入力信号、およびデジタルアナログ変換器70の出力信号の周波数配列が第1の実施形態と異なり、したがって、チャンネル周波数変換器50における各放送チャンネルの周波数の変換量も異なる。
【0044】
図10に第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のアップコンバータ210の構成を示す。
第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300では、BS右旋―IF信号のすべての放送チャンネルの信号とBS左旋―IF信号の8、12、14チャンネルの信号とがダウンコンバートされる。
したがって、第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のアップコンバータ210では、入力信号が入力端子10から分配器130に入力され、分配器130の出力が、帯域通過フィルタ140a、140cによって、それぞれ、ダウンコンバートされたBS右旋―IF信号およびBS左旋―IF信号と、FM放送信号および地上デジタル放送信号とに分離される。そして、第1の実施形態のBS右旋−IF信号用の帯域通過フィルタ140b、および出力端子90bは、第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300のアップコンバータ210では削除されている。
【0045】
第2の実施形態において、ダウンコンバートされたBS右旋―IF信号のすべての放送チャンネルの信号とBS左旋―IF信号の8、12、14チャンネルの信号は、第1の実施形態と同様に、アナログデジタル変換器30、チャンネル抽出器40、チャンネル周波数変換器50、チャンネル合成器60、デジタルアナログ変換器70、および帯域通過フィルタ80を介してもとの周波数配列にアップコンバートされ、4K8K対応テレビ270に送信される。なお、帯域通過フィルタ80の代わりに低域通過フィルタを用いることもできる。
【0046】
ただし、第2の実施形態のBS右旋/左旋−IF信号伝送システム300では、アナログデジタル変換器30の入力信号、およびデジタルアナログ変換器70の出力信号の周波数配列が第1の実施形態と異なり、したがって、チャンネル周波数変換器50における各放送チャンネルの周波数の変換量も異なる。
【0047】
本発明において、ダウンコンバータ200が『ダウンコンバータ』に相当し、1GHz対応CATVブースター250が『1GHz対応CATVブースター』に相当し、伝送路260が『伝送路』に相当し、アップコンバータ210が『アップコンバータ』に相当し、FMチューナ280が『FMチューナ』に相当し、BS右旋/左旋−IF信号伝送システム300が『BS右旋/左旋−IF信号伝送システム』に相当し、アナログデジタル変換器30が『アナログデジタル変換器』に相当し、チャンネル抽出器40が『チャンネル抽出器』に相当し、チャンネル周波数変換器50が『チャンネル周波数変換器』に相当し、チャンネル合成器60が『チャンネル合成器』に相当し、デジタルアナログ変換器70が『デジタルアナログ変換器』に相当する。
【0048】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。