(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
複数の光ファイバを整列させる光ファイバ整列用工具であって、前記複数の光ファイバを所定の順序で整列させるファイバ整列部と、前記複数の光ファイバの前記所定の順序を維持したまま前記複数の光ファイバを集めて保持するファイバ保持部とを有し、前記ファイバ整列部は、前記所定の順序で整列した前記光ファイバ同士の間を隔離する分離部を備え、前記分離部は、前記光ファイバ同士の間から退避可能であり、前記ファイバ保持部は、前記分離部が前記光ファイバ同士の間から退避した後に、前記分離部が再び前記光ファイバ同士の間を隔離する位置に戻ることを規制するストッパー部を備えることを特徴とする光ファイバ整列用工具が明らかとなる。このような光ファイバ整列用工具によれば、分離部が光ファイバを挟み込み、光ファイバを損傷させてしまうことを抑制することができる。
【0014】
前記ファイバ保持部が前記複数の光ファイバが整列する方向に前記複数の光ファイバを集めて保持する際に、前記光ファイバの光軸方向と前記複数の光ファイバが整列する方向との両方に垂直な方向に前記複数の光ファイバが挟まれており、前記ストッパー部は、前記複数の光ファイバが挟まれる方向に前記分離部が移動することを規制することが望ましい。これにより、分離部が光ファイバを挟み込み、光ファイバを損傷させてしまうことを抑制することができる。
【0015】
前記ファイバ保持部は、前記分離部を前記光ファイバ同士の間から退避させた後に、前記複数の光ファイバを集めて保持するスライド部を備え、前記ストッパー部は、前記スライド部が前記分離部を再び前記光ファイバ同士の間を隔離する位置に戻すことを規制する
ことが望ましい。これにより、分離部が光ファイバを挟み込み、光ファイバを損傷させてしまうことを抑制することができる。
【0016】
前記ファイバ保持部は、前記光ファイバの光軸方向と前記複数の光ファイバが整列する方向との両方に垂直な方向に前記複数の光ファイバを挟む蓋部を備え、前記蓋部は、凸部を備えており、前記スライド部は、係止部を備え、前記複数の光ファイバが挟まれる方向に前記分離部が移動する際に、前記係止部が前記凸部に係止することが望ましい。これにより、分離部が光ファイバを挟み込み、光ファイバを損傷させてしまうことを抑制することができる。
【0017】
前記蓋部を開けると、前記ストッパー部による前記分離部の移動の規制が解除されることが望ましい。これにより、スライド部を初期位置に戻すことが可能となる。
【0018】
===本実施形態===
<光ファイバ整列用工具10の全体構成>
図1は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の初期状態における斜視図である。
図2は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の集合状態における斜視図である。なお、
図1では、ファイバホルダ6及び光ファイバ1を図示していないが、
図2では、ファイバホルダ6及び集合状態の複数の光ファイバ1を図示している。ここで、複数の光ファイバ1における「集合状態」とは、複数の光ファイバ1が所定の順序で整列した状態であると共に、複数の光ファイバ1が集まって保持された状態である。そして、複数の光ファイバ1を「集合させる」とは、複数の光ファイバ1を集合状態にすることである。
【0019】
以下では、
図1及び
図2に示す方向に従って説明を行うことがある。すなわち、光ファイバ整列用工具10により保持される光ファイバ1の光軸方向を前後方向とする。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、本体部11と、ホルダ載置部12と、前側保持部13とが前後方向にこの順で設けられており、ホルダ載置部12に対する前側保持部13の側を「前」とし、ホルダ載置部12に対する本体部11の側を「後」とする。また、ホルダ載置部12の底面に垂直な方向を「上下方向」とし、ホルダ載置部12の底面から見てファイバホルダ6が収容される側(
図2を参照)を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向及び上下方向に垂直な方向を「左右方向」とする。後述するように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ保持部17のスライド部18が本体部筐体11Aに対して左右方向にスライド可能に設けられている。このため、左右方向のことを「スライド方向」と呼ぶことがある。また、後述するように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、集合状態の複数の光ファイバ1は左右方向に整列している。このため、左右方向のことを「ファイバ整列方向」、又は単に「整列方向」と呼ぶこともある。さらに、後側から前側を見たときの右側を「右」とし、左側を「左」とする。なお、本体側蓋部19のヒンジ側(又は前側蓋部40のヒンジ側)が「左」であり、開閉側が「右」である。
【0020】
光ファイバ整列用工具10は、複数の光ファイバ1を集合させる工具である。本実施形態の光ファイバ整列用工具10で複数の光ファイバ1を集合させる(すなわち、所定の順序で整列させ、さらに複数の光ファイバ1を集めて保持する)ことにより、当該複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列させるためのファイバホルダ6に容易にセットすることができる(後述)。すなわち、複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列させ、保持する作業(複数の光ファイバ1のファイバホルダ6へのセット作業)の作業性を向上させることができる。
【0021】
本実施形態で使用されるファイバホルダ6(
図2を参照)は、複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列した状態で保持する部材である。ファイバホルダ6によって光ファイバコード内の複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列した状態で保持することにより、被覆除去、切断(カット)などの加工を複数の光ファイバ1で一括して行うことができる。また、ファイバホルダ6によって光ファイバコード内の複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列した状態で保持することにより、複数の光ファイバ1と、フェルールに内挿固定された複数の内蔵光ファイバとの融着接続も一括して行うことができる。
【0022】
本実施形態の光ファイバ整列用工具10で保持される集合状態の複数の光ファイバ1は、所定の順序で整列している状態であると共に、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接しつつ、一方向(ここでは左右方向)に整列している状態である(後述する
図5Cの右側の図を参照)。但し、集合状態の複数の光ファイバ1は、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接していなくても良い。例えば、集合状態の複数の光ファイバ1は、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接していなくても、一方向(ここでは左右方向)に集まって整列している状態であれば良い。複数の光ファイバ1が所定の順序で整列している状態であると共に、一方向に集まって整列している状態であれば、ファイバホルダ6に所定のピッチで形成された複数のV溝7にそれぞれ容易に収容することができる。
【0023】
なお、「集合状態」とは、所定の順序で、集まって整列した状態の複数の光ファイバ1を保持している光ファイバ整列用工具10の状態を呼ぶこともある。また、集合状態の際の光ファイバ整列用工具10の各構成(例えば、ファイバ整列部16やスライド部18)の位置を「集合位置」と呼ぶことがある。
図2、
図4、
図5C及び
図5Dは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の集合状態を示しており、ファイバ整列部16及びスライド部18は集合位置に位置している。
【0024】
また、集合状態となる前であり、複数の光ファイバ1を光ファイバ整列用工具10にセット可能な状態(具体的に言うと、複数の光ファイバ1をファイバ整列部16のファイバ挿入部22に挿入可能な状態)を「初期状態」と呼ぶことがある。また、初期状態の際の光ファイバ整列用工具10の各構成(例えば、後述するファイバ整列部16やスライド部18)の位置を「初期位置」と呼ぶことがある。
図1、
図3、
図5A及び
図5Bは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の初期状態を示しており、ファイバ整列部16及びスライド部18は初期位置に位置している。
【0025】
光ファイバ整列用工具10は、本体部11と、ホルダ載置部12と、前側保持部13と、ファイバクランプ14とを有する。本体部11と、ホルダ載置部12と、前側保持部13とは、前後方向にこの順で設けられている。すなわち、本体部11と、ホルダ載置部12と、前側保持部13とは、光ファイバ整列用工具10により保持される光ファイバ1の光軸方向に沿って設けられている。
【0026】
本体部11は、複数の光ファイバ1を集合させる(複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させると共に、複数の光ファイバ1を集めて保持する)部位である。本体部11は、ホルダ載置部12の後側に設けられている。
【0027】
本体部11は、本体部筐体11Aと、ファイバ整列部16と、ファイバ保持部17とを有する。
【0028】
本体部筐体11Aは、ファイバ整列部16とファイバ保持部17とを収容する部位である。また、本体部筐体11Aは、ファイバ整列部16を上下方向に移動可能に支持する部位である。さらに、本体部筐体11Aは、ファイバ保持部17のスライド部18を左右方向に移動可能に支持する部位である。
図1に示すように、本体部筐体11Aには、橋部15が設けられている。橋部15は、初期状態と集合状態との両方の状態で複数の光ファイバ1が載置される場所である。橋部15は、左右方向に延在する部位である。
【0029】
ファイバ整列部16は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させる部位である。ファイバ整列部16は本体部筐体11Aの内部に収容されている。なお、ファイバ整列部16は、本体部筐体11Aに対して上下方向に移動可能に設けられている。また、ファイバ整列部16は、ファイバ保持部17のスライド部18(腕部31A及び腕部31B)に前後方向から挟まれるように設けられている。ファイバ整列部16の詳細な構成と動作については、後述する。
【0030】
ファイバ保持部17は、複数の光ファイバ1を集めて保持する部位である。ここで、「集めて保持する」とは、ファイバホルダ6によって保持される対象の複数の光ファイバ1を、ファイバホルダ6のV溝7のピッチと同じか、又はファイバホルダ6のV溝7のピッチとほぼ同じピッチに整列した状態で保持することである。ファイバ保持部17の詳細な構成と動作については、後述する。
【0031】
ホルダ載置部12は、ファイバホルダ6(
図2を参照)を保持する部位である。ホルダ載置部12は、本体部11の前側に設けられ、前側保持部13の後側に設けられている。ホルダ載置部12にファイバホルダ6が載置(収容)されることにより、ファイバホルダ6が光ファイバ整列用工具10に対して位置決めされる(保持される)。本実施形態では、本体部11により保持される複数の光ファイバ1が、ファイバホルダ6に形成された複数のV溝7にそれぞれ収容される(後述)。このため、ファイバホルダ6が光ファイバ整列用工具10に対して位置決めされることで、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6に形成された複数のV溝7にそれぞれ容易に収容することができる。
【0032】
前側保持部14は、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6よりも前側で保持する部位である。前側保持部14は、ホルダ載置部12の前側に設けられている。前側保持部14には、前側カバー40と、前側溝部41とを有する。前側カバー40は、複数の光ファイバ1を上側から挟む部位である。前側溝部41は、複数の光ファイバ1が載置される部位である。前側溝部41に載置された複数の光ファイバ1を前側カバー40が挟むことにより、複数の光ファイバ1を保持することができる。但し、前側保持部14が設けられなくても良い。
【0033】
ファイバクランプ14は、複数の光ファイバ1をクランプする部位である。ファイバクランプ14は、光ファイバ整列用工具10の最も後側に設けられている。ファイバクランプ14により複数の光ファイバ1をクランプすることにより、複数の光ファイバ1の後側(根元側)をまとめて光ファイバ整列用工具10に固定することができる。なお、ファイバクランプ14は、複数の光ファイバ1を上から挟むクランプカバー42を有する。
【0034】
<本体部11の詳細構成>
図3は、本体部11の初期状態における分解斜視図である。
図4は、本体部11の集合状態における分解斜視図である。
図5A〜
図5Dは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10で複数の光ファイバ1を集合させる前後の様子を示す説明図である。
図6Aは、本体部11の初期状態における概要説明図である。
図6Bは、本体部11の集合状態における概要説明図である。なお、
図3では、ファイバ挿入部22(後述)に挿入された、集合する前の複数の光ファイバ1を図示している。また、
図4では、集合状態の複数の光ファイバ1を図示している。前述したように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、本体部11は、本体部筐体11Aのほかに、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させるファイバ整列部16と、複数の光ファイバ1を集めて保持するファイバ保持部17とを有する。
【0035】
・ファイバ整列部16
ファイバ整列部16には、識別部20と、分離部21と、溝24と、ピン23(ピン23A及びピン23B)とを有する。
【0036】
識別部20は、複数の光ファイバ1をファイバ挿入部22(後述)に挿入する際に、複数の光ファイバ1をそれぞれ識別するため部位である。
図3及び
図4に示すように、識別部20は、左右方向に複数設けられており、光ファイバ1の識別色に対応してそれぞれ着色が施されている。複数の識別部20に対応するように、左右方向に複数のファイバ挿入部22が設けられているので、作業者は、光ファイバ1の識別色と同じ色の識別部20に対応するように設けられたファイバ挿入部22に光ファイバ1を挿入することで、容易に複数の光ファイバ1を所定の順序で各ファイバ挿入部22に挿入することができる。なお、
図3及び
図4に示すように、本実施形態の本体部11では、複数の識別部20は、複数のファイバ挿入部22の後側(複数の光ファイバ1を挿入する際の手前側)に設けられている。これにより、光ファイバ1を後側から前側の方向に光ファイバ1を挿入する際に、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを容易に対応させることができる。但し、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを対応させることができる程度に識別部20がファイバ挿入部22の近傍に設けられていれば、複数の識別部20は、複数のファイバ挿入部22の後側に設けられていなくても良い。また、識別部20が設けられなくても良い。
【0037】
分離部21は、整列した複数の光ファイバ1の間を隔離する部位である。本実施形態では、分離部21は、前後方向に延在する壁として設けられている。なお、
図3及び
図4に示すように、溝24が形成されている部分では、分離部21が設けられていない。本実施形態では、光ファイバコードから口出しされた複数(ここでは、12本)の光ファイバ1を1本ずつに隔離するために、複数(ここでは、11個)の分離部21が設けられている。複数の分離部21は、左右方向に並んでおり、分離部21同士の間にファイバ挿入部22が形成されている。但し、ファイバ整列部16の左右両端では、分離部21と本体部筐体11Aとの間にファイバ挿入部22が形成されている。ファイバ挿入部22は、光ファイバ1が挿入される部位である。本実施形態では、このように形成された複数(ここでは、12個)のファイバ挿入部22に対して、複数の光ファイバ1をそれぞれ1本ずつ挿入することで、複数(ここでは、12本)の光ファイバ1を1本ずつに分離することができる。なお、ファイバ挿入部22(分離部21)の個数は光ファイバコードから口出しされた光ファイバ1の本数に応じて変更することができる。また、ファイバ挿入部22には、光ファイバ1を1本ずつ挿入するとは限らない。例えば、後述する第2変形例の光ファイバ整列用工具10(
図11Bを参照)のように、ファイバ挿入部22に対して光ファイバ1が2本ずつ挿入されても良い。
【0038】
本実施形態では、光ファイバ1の識別色に対応して設けられている識別部20と、識別部20に対応して設けられているファイバ挿入部22により、複数の光ファイバ1を所定の順序でファイバ挿入部22にそれぞれ挿入することができる。ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔離されている。つまり、複数の光ファイバ1がファイバ挿入部22に挿入された状態では、光ファイバ1同士の間は分離部21によって隔離されている。これにより、光ファイバ1同士の左右方向の位置が入れ替わることを抑制できるので、所定の順序で整列した複数の光ファイバ1の順序を維持することができる。また、所定の順序で整列した複数の光ファイバ1の順序を維持することができれば、分離部21は、前後方向に延在する壁として設けられていなくても良い(光ファイバ1同士の間が壁で隔離されていなくても良い)。例えば、後述する第1変形例の光ファイバ整列用工具10(
図11Aを参照)のように、粘着部47によって複数の光ファイバ1を粘着させることで、光ファイバ1同士の左右方向の位置が入れ替わることを抑制しても良い。
【0039】
なお、
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、分離部21の後側にテーパ部25が形成されている。具体的には、テーパ部25は前側から後側に向かって左右方向の幅が小さくなるように形成されている。そうすると、ファイバ挿入部22は、光ファイバ1を挿入する側(後側)に行くほど広がるように形成されていることになる。これにより、ファイバ挿入部22に光ファイバ1を容易に挿入させることができる。
【0040】
溝24は、橋部15が収容される部位である。なお、
図3及び
図4に示すように、溝24はファイバ整列部16の上面(分離部21が設けられている面)において左右方向に延在する溝として形成されている。
【0041】
ピン23は、ファイバ整列部16から突出する部位である。本実施形態では、前側及び後側に突出した一対のピン23(ピン23A及びピン23B)が設けられている。ピン23Aがファイバ整列部16の後側に設けられ、ピン23Bがファイバ整列部16の前側に設けられている。但し、
図3〜
図6Bでは、ピン23Bは図示していない。ピン23(ピン23A及びピン23B)は、後述するスライド部18に設けられたレール部30(30A及び30B)に挿入されている。また、ピン23は、レール部30に対して移動可能に設けられている。ピン23がレール部30を移動することで、ファイバ整列部16全体がスライド部18に対して移動する。逆に言えば、スライド部18を移動させることで、ファイバ整列部16全体が移動する。
【0042】
・ファイバ保持部17
ファイバ保持部17は、スライド部18と、本体側蓋部19とを有する。
【0043】
スライド部18は、初期状態と集合状態とを切り替える部位である。スライド部18は、本体部筐体11Aに対して左右方向に移動可能に設けられている。スライド部18は、レール部30(レール部30A及びレール部30B)と、腕部31(腕部31A及び腕部31B)と、肩部32(肩部32A及び肩部32B)と、ストッパー部34とを有する。
【0044】
レール部30は、ファイバ整列部16のピン23が挿入される部位である。本実施形態では、前側及び後側に一対のレール部30(レール部30A及びレール部30B)が形成されている。レール部30Aがスライド部18の後側に形成され、レール部30Bがスライド部18の後側に形成されている。但し、
図3〜
図6Bでは、レール部30Bは図示していない。なお、レール部30Aにピン23Aが挿入され、レール部30Bにピン23Bが挿入されている(但し、
図3〜
図6Bでは、レール部30B及びピン23Bは不図示)。レール部30Aとレール部30Bとは、ピン23Aとピン23Bとをそれぞれ移動可能に支持している。
【0045】
図5A及び
図5Cに示すように、レール部30Aとレール部30Bとは、それぞれ上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46とからなる。但し、
図5A及び
図5Cでは、レール部30Aにおける上側レール部分44Aと、傾斜部分45Aと、下側レール部分46Aとを図示し、レール部30Bにおける上側レール部分44Bと、傾斜部分45Bと、下側レール部分46Bとを図示していない。上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46とは、一体的に形成された開口部となっており、上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46との間をピン23が自在に移動できるようになっている。
【0046】
上側レール部分44は、ファイバ整列部16が初期位置となる際にピン23が位置するレール部30の部分である。上側レール部分44は、下側レール部分46よりも上側に位置している。
図5Aに示すように、上側レール部分44にピン23が位置している際のファイバ整列部16は、初期位置となっており、複数のファイバ挿入部22に対して複数の光ファイバ1をそれぞれ挿入することが可能な状態である。
図5A及び
図5Bに示すように、複数のファイバ挿入部22に複数の光ファイバ1が挿入されると、分離部21によって光ファイバ1同士が隔てられ、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態となっている。
【0047】
傾斜部分45は、ファイバ整列部16が初期位置と集合位置との間を移動する際にピン23が位置するレール部30の部分である。傾斜部分45は、上側レール部分44と下側レール部分46とを接続する部分である。前述したように、上側レール部分44は、下側レール部分46よりも上側に位置している。このため、傾斜部分45は、上側レール部分44から下側レール部分46にかけて傾斜した部分となっている。
【0048】
下側レール部分46は、複数の光ファイバ1を集合させる際にピン23が位置するレール部30の部分である。下側レール部分46は、上側レール部分44よりも下側に位置している。傾斜部分45をピン23が通過し、ピン23が下側レール部分46の左端に達するまでスライド部18を移動させると、分離部21が本体部筐体11Aに対して下方へ移動し光ファイバ1同士が隔離されていない状態となる。すなわち、下側レール部分46にピン23が位置している間は、分離部21が光ファイバ1同士の間から退避した状態となる。
図5Cに示すように、下側レール部分46の右端にピン23が位置している際のファイバ整列部16は、集合位置となっている。なお、下側レール部分46にピン23が位置している間は、複数の光ファイバ1は、橋部15と本体側蓋部19との間に挟まれた状態になっており、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態である。
【0049】
腕部31は、複数の光ファイバ1が載置される部位である。本実施形態では、初期位置と集合位置との両方で複数の光ファイバ1が腕部31に載置される。なお、腕部31のことを載置部31と呼ぶことがある。後述するように、集合状態において分離部21が下方へ退避した後でも、複数の光ファイバ1は腕部31に載置されたままである。
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、2つの腕部31(腕部31A及び腕部31B)が設けられている。それぞれの腕部31(腕部31A及び腕部31B)は、スライド部18の上側において左側に延び出るように形成されている。腕部31A及び腕部31Bのそれぞれの上面(以下、「載置面」と呼ぶことがある)に光ファイバ1が載置されることになる。なお、載置面は、左右方向及び前後方向に平行な面(言い換えると、上下方向に垂直な面)である。
【0050】
肩部32は、本体部筐体11Aと共に複数の光ファイバ1を挟んで保持する部位である。肩部32は、腕部31の右側端部において上側に突出する部位である。本実施形態では、2つの肩部32(肩部32A及び肩部32B)が設けられている。肩部32Aが腕部31Aから突出し、肩部32Bが腕部31Bから突出している。
図4Cに示すように、本実施形態では、肩部32は、集合状態において本体部筐体11Aと共に複数の光ファイバ1を挟んで保持する(すなわち、複数の光ファイバ1を集めて保持する)。
【0051】
以下では、スライド部18を初期位置から集合位置まで移動させる時の、ファイバ整列部16とファイバ保持部17との動作を説明する。
図5A及び
図5Bは、初期状態において複数の光ファイバ1をファイバ挿入部22(ファイバ整列部16)に挿入したときの光ファイバ整列用工具10を示している。
図5Aは、光ファイバ整列用工具10を後側から前側を見たときの光ファイバ整列用工具10の側面図を示している。また、
図5Bは、左右方向に垂直な面で切ったときの光ファイバ整列用工具10の断面図を示している。
【0052】
図5Aに示すように、初期状態のスライド部18は、右側に位置している。このとき、ピン23は上側レール部分44の左端に位置している。このとき、分離部21によって隔てられることで、複数の光ファイバ1を1本ずつに仕分けることが可能な状態となっている。つまり、作業者が複数の光ファイバ1を1本ずつファイバ挿入部22に挿入可能となる。言い換えれば、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入していくことができる。
【0053】
図5A及び
図5Bに示す初期状態から、作業者がスライド部18を左側にスライドさせると、ピン23は上側レール部分44から傾斜部分45に移動する。前述したように、傾斜部分45は、上側レール部分44と下側レール部分46とを接続し、上側レール部分44から下側レール部分46にかけて傾斜した部分である。このため、スライド部18のスライドに沿ってピン23は傾斜部分45を進むことになる。したがって、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、ピン23(ファイバ整列部16)がスライド部18に対して下方へ移動することになる。すなわち、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、分離部21が下方へ移動することになる。
【0054】
図5C及び
図5Dは、集合状態の光ファイバ整列用工具10を示している。
図5Cは、光ファイバ整列用工具10を後側から前側を見たときの光ファイバ整列用工具10の側面図を示している。また、
図5Dは、左右方向に垂直な面で切ったときの光ファイバ整列用工具10の断面図を示している。
【0055】
前述した状態からさらに作業者がスライド部18を左側にスライドさせると、ピン23は傾斜部分45から下側レール部分46に移動する。これにより、分離部21が光ファイバ1同士の間から退避した状態になり、分離部21による複数の光ファイバ1の仕分けが解除された状態となっている。つまり、複数の光ファイバ1が左右方向の移動をすることが可能になる。但し、前述したように、複数の光ファイバ1は、本体側蓋部19と、橋部15との間で上下方向から挟まれて保持されている状態なので、複数の光ファイバ1の所定の順序は維持されたままである。
【0056】
図5Dに示すように、集合状態のスライド部18は、左側に位置している。このとき、ピン23は下側レール部分46の右端に位置している。これにより、肩部32と筐体11とが複数の光ファイバ1を挟んで保持する状態となっている。つまり、複数の光ファイバ1の所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバ1が並ぶ方向(左右方向)に複数の光ファイバ1を挟んで保持する状態となっている(すなわち、複数の光ファイバ1を集めて保持する状態となっている)。
【0057】
ストッパー部34は、本体側蓋部19を閉じたままスライド部18を集合状態から初期状態に戻すことを規制する部位である。
図3、
図4、
図5A及び
図5Cに示すように、ストッパー部34は、スライド部18の底面に対して、右斜め上方向に突出している。ストッパー部34は、係止部36と、弾性変形部37とを有する。
【0058】
係止部36は、本体側蓋部19の凸部35と係止する部位である。係止部36は、ストッパー部34の突出側の端部に設けられている。係止部36は、上側に突出する凸部分として形成されており、本体側蓋部19を閉じた際に下側に突出する本体側蓋部19の凸部35と係止する(後述する
図7Aを参照)。
【0059】
弾性変形部37は、弾性変形することで係止部36を押し下げることを可能にする部位である。弾性変形部37は、ストッパー部34の根元側を構成する。
【0060】
本体側蓋部19は、本体部筐体11Aの橋部15と共に、複数の光ファイバ1を上下方向から挟む部位である。
図5B及び
図5Dに示すように、初期位置と集合位置との両方で本体側蓋部19と、本体部筐体11Aに設けられた橋部15及びスライド部18の腕部31との間で複数の光ファイバ1が挟んで保持されている。これにより、初期状態から集合状態にかけて複数の光ファイバ1は挟んで保持されているので、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態となっている。但し、分離部21が下方へ(光ファイバ1同士の間から)退避してから、複数の光ファイバ1が所定の順序を保ったまま左右方向の移動をすることは可能である。
【0061】
なお、本体側蓋部19は、凸部35を有する。凸部35は、本体側蓋部19を閉じたままスライド部18を集合状態から初期状態に戻す際に、ストッパー部34の係止部36が係止する部位である。凸部35は、本体側蓋部19のヒンジ側に設けられている。
図5A及び
図5Cに示すように、本体側蓋部19を閉じた際、凸部35は下側に突出しており、上側に突出する凸部分として形成されたストッパー部34の係止部36が係止する(後述する
図7Aを参照)。
【0062】
図7Aは、集合状態の本体部11で、本体側蓋部19を閉じた状態を示す説明図である。
図7Aに示す集合状態では、前述したように、分離部21が光ファイバ1同士の間から退避した状態となっている。なお、集合状態の複数の光ファイバ1の上側は、本体側蓋部19によって挟まれた状態となっている。この状態で、作業者がスライド部18を右側(初期位置側)に移動させようとすると、ストッパー部34に設けられた係止部36が本体側蓋部19に設けられた凸部35に係止することによって、スライド部18を集合状態(左側に位置している状態)から初期状態(右側に位置している状態)に戻すことが規制される。仮に、ストッパー部34が無い場合、作業者がスライド部18を右側(初期位置側)に移動させようとすると、分離部21が上昇して本体側蓋部19との間で光ファイバ1を挟み込んでしまうおそれがある。つまり、分離部21と本体側蓋部19との間で光ファイバ1を挟み込み、光ファイバ1を損傷させてしまうおそれがある。したがって、本実施形態の光ファイバ整列用工具10は、ストッパー部34を有することで、集合状態のスライド部18が不意に初期位置側に戻ることにより、分離部21と本体側蓋部19との間で光ファイバ1を挟み込み、光ファイバ1を損傷させてしまうことを抑制することができる。
【0063】
図7Bは、集合状態の本体部11で、本体側蓋部19を開けた状態を示す説明図である。
図7Bに示すように、本体側蓋部19を開けると、本体側蓋部19のヒンジ側に設けられた凸部35が上側に移動する。これにより、作業者がスライド部18を右側(初期位置側)に移動させると、係止部36が凸部35に接触することなく凸部35の下側を移動することが可能となる。すなわち、ストッパー部34が係止部36に係止することなく、スライド部18を右側(初期位置側)に移動させることが可能となる。仮に、光ファイバ1が載置面に残置されている場合でも、本体側蓋部19を開けた状態であるので、分離部21と本体側蓋部19との間で光ファイバ1を挟み込んでしまうことがない。
【0064】
前述の
図7A及び
図7Bでは、スライド部18を左側(集合位置側)から右側(初期位置側)に移動させる場合について説明した。ところで、本実施形態では、スライド部18を右側(初期位置側)から左側(集合位置側)に移動させる場合にも、本体側蓋部19を閉じたままである。すなわち、この場合でも、ストッパー部34に設けられた係止部36が本体側蓋部19に設けられた凸部35に接触することになる。
【0065】
本実施形態では、係止部36には、斜面36Aが設けられている。斜面36Aは、係止部36の左側の面である。すなわち、斜面36Aは、右側(初期位置側)から左側(集合位置側)にスライド部18を移動させる際に、凸部35に接触する面である。斜面36Aは、左斜め上方向を向く斜面として形成されている。なお、前述の
図5Cにおいて、凸部35が斜面36Aに接触した際のストッパー部34の様子を破線で示している。本実施形態では、凸部35が斜面36Aに接触することで、係止部36は、凸部35から下方向の力を受け、弾性変形部37が弾性変形することで、係止部36が押し下げられる。これにより、係止部36が凸部35の下側を移動することが可能となる。つまり、スライド部18を右側(初期位置側)から左側(集合位置側)に移動させる場合には、係止部36が凸部35に係止せずに、スライド部18が初期状態から集合状態に移行することは規制されない。
【0066】
<複数の光ファイバ1のファイバホルダ6へのセット方法(セット手順)>
図8Aは、光ファイバ1をファイバ挿入部22に挿入した様子を示す斜視図である。
図8Bは、複数の光ファイバ1を集合させた様子を示す斜視図である。
図9Aは、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6のV溝7に収容する様子を示す斜視図である。
図9Bは、ファイバホルダ6の蓋部8を閉じる様子を示す斜視図である。なお、
図9Aで説明するファイバホルダ6のV溝7の形状については、
図2を参照する。
【0067】
まず、
図8Aに示すように、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22にそれぞれ収容する。作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22にそれぞれ収容する前に、光ファイバ整列用工具10が初期状態であることを確認する。すなわち、
図8Aに示すように、スライド部18が右側に位置していることを確認する。初期状態では、分離部21が複数の光ファイバ1を1本ずつに隔離する状態となっており、作業者が複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入可能な状態となっている。
図8Aに示すように、複数(ここでは、7本)の光ファイバ1がファイバ挿入部22にランダムに挿入されている。
【0068】
図8Aは、複数の光ファイバ1をファイバ挿入部22に挿入した様子を示す斜視図である。前述したように、本実施形態では、複数(ここでは、12個)のファイバ挿入部22が設けられている。ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔離されている。このため、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入していくことができる。すなわち、複数のファイバ挿入部22の内、右側から順番に光ファイバ1を挿入していく必要がない。
図8Aに示すように、任意のファイバ挿入部22に対して光ファイバ1を挿入することができる。このとき、前述したように、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを対応させて、所定のファイバ挿入部22に光ファイバ1を挿入する。これにより、複数の光ファイバ1を所定の順序で容易に整列させることができる。
【0069】
次に、
図8Bに示すように、作業者は、スライド部18をスライドする。作業者は初期状態において右側に位置していたスライド部18を左側にスライドすることになる。これにより、ピン23は上側レール部分44から傾斜部分45に移動する。そうすると、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、ピン23(ファイバ整列部16)がスライド部18に対して下方へ移動することになる。すなわち、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、分離部21が下方へ退避することになる。作業者がさらにスライド部18を左側にスライドすると、ピン23は傾斜部分45から下側レール部分46に移動する。これにより、分離部21が腕部31の光ファイバ1の載置面よりも下側に位置することになる。すなわち、複数の光ファイバ1の所定の順序を保ったまま左右方向の移動をすることが可能となっている(すなわち、複数の光ファイバ1を集合させることが可能となっている)。集合位置までスライド部18をスライドさせることにより、複数の光ファイバ1の所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバ1が並ぶ方向に複数の光ファイバ1を挟んで保持することができる。なお、腕部31の載置面は、光ファイバ1を載置した状態で左右方向に移動させることが可能である。
【0070】
次に、
図9Aに示すように、作業者は、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6の各V溝7(V溝7については、
図2を参照)にそれぞれ収容する。
【0071】
前述した
図8Bでは、複数の光ファイバ1を集合させた様子を示していた。集合状態では、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態で複数の光ファイバ1が保持されている。このため、
図9Aに示すように、作業者は、ファイバホルダ6の上から複数の光ファイバ1を前後方向に撫でるように抑えることで、容易に複数の光ファイバ1をファイバホルダ6の各溝に収容することができる。
【0072】
次に、
図9Bに示すように、作業者は、ファイバホルダ6のカバーを閉じて複数の光ファイバ1を保持する。これにより、複数の光ファイバ1がファイバホルダ6によって所定の順序及び所定のピッチで保持されることになる。最後に、作業者は、複数の光ファイバ1を保持するファイバホルダ6をホルダ保持部13から取り出す。
【0073】
<比較例>
図10A〜
図10Cは、比較例の光ファイバ整列用工具10におけるファイバ挿入部22に複数の光ファイバ1を挿入する様子を示す説明図である。なお、
図10A〜
図10Cでは、説明を容易にするために、ファイバ整列部16のみ図示している。
【0074】
図10Aに示すように、比較例の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ整列部16に分離部21が設けられていない。このため、
図10Bに示すように、比較例の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ整列部16に設けられた一つのファイバ挿入部22に全ての複数の光ファイバ1が挿入されることになる。
【0075】
ところで、比較例の光ファイバ整列用工具10においても、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させることができる。すなわち、ファイバ挿入部22の上下方向の幅は、光ファイバ1の外径とほぼ同じ大きさで形成されている。したがって、
図10Bに示すように、右側から詰めて光ファイバ1を挿入していくことで、全ての複数の光ファイバ1を挿入したときに、所定の順序で整列させることができる。
【0076】
ところが、右側に詰められた挿入済の光ファイバ1は、それぞれ左右方向に移動可能である。このため、
図10Cに示すように、右側に詰められるべき光ファイバ1が左側に移動してしまい、光ファイバ1同士の間に空間が空いてしまうことがある。この空いた空間に挿入対象の光ファイバ1を誤って挿入してしまい、誤った順序で整列してしまうことがある。この問題は、複数の光ファイバを所定の順序で整列させることを手作業で行う現場組立型光コネクタでは特に顕著であった。
【0077】
しかし、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔離されている。つまり、複数の光ファイバ1がファイバ挿入部22に挿入された状態では、光ファイバ1同士の間は分離部21によって隔離されている。このため、光ファイバ1同士の間に空間が空いてしまい、この空いた空間に挿入対象の光ファイバ1を誤って挿入してしまい、誤った順序で整列してしまうことを抑制することができる。これにより、複数の光ファイバ1を所定の順序及び所定のピッチで整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【0078】
<変形例>
・第1変形例
図11Aは、第1変形例の光ファイバ整列用工具10の斜視図である。第1変形例の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ整列部16は、分離部21として、粘着部47を有する。粘着部47は、複数の光ファイバ1を粘着させることで、整列した複数の光ファイバ1の間を隔離する部位である。なお、第1変形例の光ファイバ整列用工具10でも、ファイバ整列部16は、本体部筐体11Aに対して上下方向に移動可能であり、下側レール部分46にピン23が位置している間は、粘着部47が光ファイバ1同士の間から退避した状態となる。
【0079】
・第2変形例
図11Bは、第2変形例の光ファイバ整列用工具10の本体部11の斜視図である。第2変形例の光ファイバ整列用工具10では、1つのファイバ挿入部22に対して光ファイバ1を2本ずつ挿入する。このように、1つのファイバ挿入部22に対して光ファイバ1を2本ずつ挿入する場合であれば、前述の比較例のように、光ファイバ1同士の間に別の光ファイバ1を誤って挿入することがない。すなわち、複数の光ファイバ1を誤った順序で整列してしまうおそれが小さい。
【0080】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。