【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のシステムは、卵巣からの卵を卵管内に保持して妊娠を回避するのを可能にする。2つの卵管上に制限デバイスが配置され、卵管を制限および解放し、それによって上述のような卵の保持を行う。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、妊娠を回避するように女性患者を治療するシステムであって、患者の卵管を術後に制限および解放するように構成された制限デバイスを含むシステムが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、女性患者の妊娠を回避する方法であって、患者の卵管を制限して制限を形成し、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、制限を解放して卵管内の少なくとも1つの卵を子宮まで送らせるステップとを含む方法が提供される。
【0007】
以下に記載されたすべての実施形態および特徴は、可能なら装置と後述の方法のいずれかとの両方に使用することができ、すなわち、装置に使用するように構成し、かつ後述の方法のいずれかに使用することができる。
【0008】
妊娠を回避するように女性患者を治療するシステムであって、患者の卵管を術後に制限および解放するように構成された制限デバイスを備えるシステム。
【0009】
制限デバイスは、卵管の制限を形成して卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に蓄積するように構成されることが好ましい。
【0010】
制限デバイスは、妊娠が望まれるときおよび妊娠が可能でないときにのみ卵管を解放するように構成することができる。
【0011】
制限デバイスは、卵管通路を制限および解放するように患者の体外から調整され、好ましくは患者の体外から非侵襲的に調整されるように構成することができる。
【0012】
制限デバイスは、手動操作によって調整するか、あるいは電力または磁力によって調整されるように構成するか、あるいは油圧力によって調整されるように構成することもできる。油圧力は、患者によって制御される、皮下に配置された少なくとも1つのリザーバを含んでよい。
【0013】
制限デバイスはもちろん、可逆的に調整されるように構成できることが好ましい。
【0014】
システムは、制限を形成して、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積し、患者にとって妊娠を回避するのに好都合なときに制限を解放するように構成される。所定の期間は、妊娠を回避するように設定され、1日から30日の間または30日を超える所定の期間であってよい。
【0015】
流れ制限 本発明のシステムは、女性患者の子宮への卵の流入を制御するのに適している。基本的に、制限デバイスは、互いに異なる原理的な8つの方法で実施することができる。
油圧制限 機械制限 任意の油圧または機械制限デバイスと制限用の刺激デバイスとの組合せ 刺激デバイスのみを制限に使用する 制限領域の変更。上記のいずれかを任意の組合せで使用して、卵管の制限領域を経時的にある部分から他の部分に変更し、後で元に戻すことができる。このようなシステムでは、制限/領域を変更するのにいくつかの異なる領域を関与させることができる。これによって、卵管は、制限領域を回復し、より長い期間にわたって制限を維持することができる。
移動デバイスを使用する。制限領域を様々な領域間で移動する際、特に制限を上流側に卵巣の方へ移動させる際、制限が解放されさらに上流側に移動するときに、いずれかの卵が新しい上流側の制限領域で圧搾され、誤って放出されてさらに下流側に運ばれるのを移動デバイスを使用して回避すると好都合であることがある。移動デバイスは、卵管壁の移動部を形成して、新しくできる制限領域内に配置されるいずれかの卵の移動部を形成するように構成することができる。これは、上述の制限デバイス、あるいは機械デバイス、油圧デバイス、または刺激デバイスのみ、あるいは任意の組合せのいずれかによって実施することができるが、やはり機械デバイス、油圧デバイス、または刺激デバイスであってよい別個のデバイスであってもよい。一実施形態では、移動デバイスは振動を生じさせる。
卵巣に向かう卵管壁の蠕動状波動運動。もう1つの原理は、卵管壁の蠕動状波動運動を生じさせることによって卵を子宮に到達させないことである。
上流側方向において卵巣に向かうこのような蠕動状波動運動は、子宮に向かう卵の流れを停止し、好ましくは常に、卵管のある部分を完全に制限して精子が通過しないようにすることができ、また、
子宮に向かう卵管壁の蠕動状波動運動。もう1つの原理は、妊娠の恐れが無いときに下流側蠕動波動によって卵を子宮まで移動させることができるようにすることによって、卵が子宮に到達するのを推進することである。
【0016】
この領域について以下に概略的に説明する。
【0017】
油圧制限 操作デバイスが、制限ユニットまたは複合制限/刺激ユニット(d)の狭さくデバイスを油圧式に動作させる場合、操作デバイスは、制限デバイスを調整する油圧手段を含む。
【0018】
本発明の一実施形態では、油圧手段は、狭さくデバイスにおけるリザーバと膨張可能/収縮可能なキャビティとを含み、その場合、操作デバイスは、油圧流体をリザーバから分散させてキャビティを膨張させ、油圧流体をキャビティからリザーバまで分散させてキャビティを収縮させる。キャビティは、患者の器官の組織壁部に当接する狭さくデバイスのバルーンによって形成することができ、したがって、患者の壁部は、キャビティの膨張時に狭さくし、キャビティの収縮時に解放される。
【0019】
あるいは、キャビティは、狭さくデバイスの比較的大きな収縮部材、たとえば、壁部に当接する大きなバルーンを変位させる蛇腹部材によって形成することができ、したがって、患者の壁部は、蛇腹部材の収縮時に狭さくし、蛇腹部材の膨張時に解放される。したが
って、蛇腹部材に油圧流体を比較的少量添加すると、壁部の狭さくがかなり増大する。このような蛇腹部材は、適切に構成されたピストン/シリンダ機構で置き換えることもできる。
【0020】
油圧手段が狭さくデバイスにおけるキャビティを含む場合、本発明の装置は、以下に列挙するオプションに従って構成することができる。
【0021】
1)リザーバは、第1および第2の壁部を備え、操作デバイスは、第1および第2の壁部を互いに対して変位させてリザーバの体積を変化させ、したがって、流体がリザーバからキャビティ、またはキャビティからリザーバに分散する。
【0022】
1a)リザーバの第1および第2の壁部は、磁気デバイス、油圧デバイス、電気制御デバイスの少なくとも1つによって互いに対して変位可能である。
【0023】
2)装置は、リザーバとキャビティとの間に流体導管を備え、その場合、リザーバは導管の一部を形成する。導管およびリザーバおよび装置には逆止め弁はない。リザーバは、可変体積を有する流体チャンバを形成し、チャンバの体積を低減させることによって流体をチャンバからキャビティに分散させ、チャンバの体積を増大させることによって流体をキャビティから引き出す。装置は、チャンバの体積を変化させる可動壁を備えるリザーバを駆動するモータをさらに備える。
【0024】
本発明の特殊な実施形態では、操作デバイスは、油圧手段に動作可能に連結された反転サーボを備える。語「反転サーボ」は、短いストロークを有する移動部材に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動部材に作用する弱い力に変換する機構、すなわち、通常のサーボ機構の逆の機能であると理解されたい。したがって、より小さいリザーバ内の流体の量のわずかな変化が、反転サーボによって、より大きなリザーバ内の流体の量の大きな変化に変換される。反転サーボは特に、その手動操作に適している。
【0025】
手動リザーバは、手動操作できるように皮下に配置できることが好ましい。
【0026】
機械制限 操作デバイスは、制限デバイスまたは制限/刺激ユニット(d)を機械的に操作する場合、膨張不能であってよい。さらに、操作デバイスは、歯車箱を含んでよいサーボ・システムを備えてよい。語「サーボ・システム」は、サーボ機構の通常の定義、すなわち、非常に小さな力によって非常に大きな力を制御する自動デバイスを包含するが、その代わりにあるいはそれに加えて、長いストロークを有する移動部材に作用する弱い力を短いストロークを有する他の移動部材に作用する強い力に変換する機構の定義を包含してよい。操作デバイスは、狭さくデバイスを非磁気的にならびに/あるいは非手動で操作することが好ましい。操作デバイスにモータを動作可能に連結することができる。操作デバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、この機能を反転させることができてよい。
【0027】
機械または油圧制限デバイスと刺激デバイスとの組合せ 本発明は、制限デバイスと刺激デバイスの有利な組合せを実現し、その結果、卵管の内腔内の卵の流れに2段階の作用を施す。したがって、狭さくデバイスは、壁部に比較的弱い力を加えることによって卵管壁の組織壁を軽く狭さくさせることができ、刺激デバイスは、狭さくした壁部を刺激して内腔内の流れに最終的な所望の作用を施すことができる。
句「組織壁の一部を軽く狭さくさせる」は、組織壁内の血液循環をほとんど阻害することなく壁部を制限することであると理解されたい。
【0028】
第1の流れ制限オプションによれば、制御デバイスは、壁部を狭さくさせ、したがって
、内腔内の流れを制限するかあるいは停止させるように狭さくデバイスを制御し、狭さくした壁部を刺激して収縮させ、したがって、内腔内の流れをさらに制限するかあるいはより安全に停止させるように刺激デバイスを制御する。より厳密に言えば、制御デバイスは、第1のモードで、狭さくした壁部を刺激して内腔内の流れをさらに制限するかあるいは停止するように刺激デバイスを制御し、
a)第2のモードで、壁部の刺激を停止して内腔内の流れを増大させるように刺激デバイスを制御するか、あるいは b)第2のモードで、壁部の刺激を停止し、壁部を解放して内腔内の流れを回復するように刺激デバイスおよび狭さくデバイスを制御することができる。
【0029】
したがって、内腔内の流れを制御する方法と内腔内の流れを制御するように構成された装置はどちらも、この明細書に記載されたように任意に組み合わされた様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0030】
d)1)刺激による制限と、2)蠕動波動状運動を生じさせることの両方を行い、a)卵管を完全に制限することなく上流側への流れを停止し、かつb)下流側への蠕動波動によって卵を子宮まで移動させるのを可能にすることのできる刺激デバイスのみ。
【0031】
好ましくは、刺激デバイスは、制限デバイスが壁部を制限するときに壁部の様々な領域を刺激するように構成され、制御デバイスは、壁部の各領域を間欠的にかつ個別に刺激するように刺激デバイスを制御する。このように卵管の壁部の様々な領域を間欠的にかつ個別に刺激することによって、壁部の組織は、本発明の装置の動作時にほぼ正常な血液循環を維持することができる。
【0032】
様々な領域の刺激を使用して、内腔を安全に閉鎖することができるだけでなく、卵管内に蠕動波動を生じさせることもできる。
【0033】
卵管内腔内の卵の移動 一実施形態では、制限デバイスは、壁部を狭さくさせて内腔内の流れを制限または変化させるように構成され、制御デバイスは、狭さくした壁部を内腔の上流側または下流側方向に徐々に刺激し、壁部を徐々に収縮させて卵を内腔内の下流側に移動させるか、あるいは卵がさらに子宮に送られるのを防止するように刺激デバイスを制御する。
【0034】
制御デバイスの構成 制限デバイスは、体外から手動で制御されることが好ましい。制限デバイスには動力を供給することができる。制御デバイスは供給を受けることができる。制御デバイスは好適には、患者の体外から制限デバイスまたは刺激デバイスあるいは制限/刺激ユニットを制御する。制御デバイスは、患者によって操作可能であることが好ましい。たとえば、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替える手動スイッチを備えてよく、その場合、スイッチは、患者に皮下移植され、患者の体外から手動であるいは磁気的に操作されるように構成される。あるいは、制御デバイスは、好都合なことに、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能である手持ち式無線リモート・コントロールを備えることができる。無線リモート・コントロールは、腕時計のように患者の体に取り付けられるように構成することもできる。このような腕時計型のリモート・コントロールは、装置の移植された信号応答手段に患者の体を従わせる制御信号を放出することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、狭さくデバイスは、必要に応じて壁部の狭さくの調整を可能にするように調整可能であり、その場合、制御デバイスは、壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御する。制御デバイスは、狭さくデバイスと刺激デバイスを互いに独立してかつ同時に制御することができる。任意に、制御デバイスは、制御デバイ
スが壁部の狭さくを変化させるように狭さくデバイスを制御する間、刺激デバイスが壁部を刺激するように制御するかあるいは壁部を刺激しないように制御することができる。
【0036】
最初に、制御デバイスを使用して壁部を刺激するように刺激デバイスを制御し、一方、内腔内の流れの所望の制限が実現されるまで壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御することによって、狭さくデバイスを較正することができる。
【0037】
刺激のみまたは制限デバイスとの組合せに関して 制御デバイスは、壁部の1つまたは複数の領域を、たとえばそれぞれの異なる領域を順次刺激することによって一度に刺激するように刺激デバイスを制御することができる。さらに、制御デバイスは、各領域の刺激を、好ましくは所定の刺激パターンに従って壁部に沿って循環的に伝搬させるように刺激デバイスを制御することができる。組織壁を刺激する間に組織壁の所望の反応を生じさせるために、制御デバイスは、壁部の刺激の強度を、好ましくは循環的に変化させるように刺激デバイスを制御することができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、制御デバイスは、好ましくはパルス列を形成するパルスによって壁部の各領域を間欠的に刺激するように刺激デバイスを制御する。壁部の各領域のうちの少なくとも第1の領域および第2の領域は、それぞれ第1のパルス列および第2のパルス列によって、第1のパルス列と第2のパルス列が経時的に互いにずれるように繰り返し刺激することができる。たとえば、第1の領域を第1のパルス列で刺激し、一方、第2の領域を前記第2のパルス列で刺激することを行わず、また、第2の領域を第2のパルス列で刺激し、一方、第1の領域を第1のパルス列で刺激することを行わないことが可能である。あるいは、第1のパルス列と第2のパルス列を少なくとも部分的に重なり合うように第1のパルス列と第2のパルス列を互いにずらすことができる。
【0039】
パルス列は多数の異なる方法で構成することができる。したがって、制御デバイスは、パルス列のパルスの振幅、各パルス列の個々のパルスのデューティ・サイクル、パルス列の各パルスの幅、各パルス列の長さ、パルス列の反復周波数、パルス列の反復周波数、各パルス列のパルス数、および/またはパルス列間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御することができる。様々な構成のいくつかのパルス列を使用して所望の効果を実現することができる。
【0040】
制御デバイスが、壁部のそれぞれの領域を刺激するパルス列同士の間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御する場合、パルス列同士の間の各オフ・タイム周期を、オフ・タイム周期中に領域が刺激されていないときに領域内にほぼ正常な血液循環を回復するのに十分な時間だけ持続するように調節することが可能である。
【0041】
電気刺激デバイスは好適には、壁部に係合し、電気パルスによって壁部を刺激する、電極のような、少なくとも1つ、好ましくは複数の電気部材を備える。任意に、電気部材は、互いに対して一定の向きに配置することができる。制御デバイスは、電気部材を一度に1つずつ、あるいは一度に電気部材の数群ずつ通電するように電気刺激デバイスを制御する。制御デバイスは、電気パルスによって各部材を循環的に通電するように電気刺激デバイスを制御することが好ましい。任意に、制御デバイスは、電気部材が一度に1つずつ通電されるか、あるいはいくつかの電気部材または数群の電気部材が同時に通電されるように電気部材を通電するように刺激デバイスを制御することができる。さらに、数群の電気部材を無作為にあるいは所定のパターンに従って順次通電することができる。
【0042】
電気部材は、電気部材の任意のパターンを形成することができる。好ましくは、電気部材は、電気部材の細長いパターンを形成し、その場合、電気部材は、電気部材の細長いパターンが患者の器官の壁に沿って長さ方向に延び、かつ部材が壁部のそれぞれの領域に当
接するように患者の器官の壁に取り付けることができる。電気部材の細長いパターンは、器官の壁に沿って長さ方向に延びる電気部材の1つまたは複数の列を含んでよい。電気部材の各列は、電気部材の直線状、らせん状、またはジグザグの経路、あるいは任意の形態の経路を形成することができる。制御デバイスは、電気部材の細長いパターンに沿って長手方向に、患者の内腔内の流れと逆方向または同じ方向に、電気部材を連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気部材は、複数の部材群を形成し、各群は、患者の器官に沿って患者の内腔内の流れ方向に延びる一連の群を形成する。各電気部材群の電気部材は、患者の器官の周りの少なくとも一部を延びる部材の経路を形成することができる。第1の代替実施形態では、各電気部材群の電気部材は、患者の器官のそれぞれの異なる側を、好ましくは患者の内腔内の流れ方向をほぼ横切って延びる2つよりも多くの部材経路を形成することができる。制御デバイスは、一連の電気部材群のうちの各電気部材群を無作為にあるいは所定のパターンに従って通電するように刺激デバイスを制御することができる。あるいは、制御デバイスは、一連の電気部材群のうちの各電気部材群を患者の内腔内の流れと逆方向または同じ方向に、あるいは狭さくした壁部のほぼ中央の位置から両前記方向に連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。たとえば通電された電気部材の群は、上述のように、通電された電気部材の前進波を形成することができ、すなわち、制御デバイスは、通電された電気部材が、狭さくした壁部の中央から電気部材の細長いパターンの両端の方へ互いに逆の2つの方向へ同時に前進する通電された電気部材の2つの波を形成するように、電気部材群を通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0044】
センサ 制御デバイスは、患者の検知された物理的パラメータまたはシステムの機能パラメータに応答して壁部の刺激を変化させるように刺激デバイスを制御することができる。たとえば、制御デバイスは、卵管内の圧力の上昇が検知されたことに応答して、壁部の刺激の強度を高め、したがって、卵管内の流れが停止したままになるように刺激デバイスを制御することができる。卵管内の圧力に関する患者の体内の圧力のような、患者の物理的パラメータを検知する任意のセンサを設けることができ、その場合、制御デバイスは、センサからの信号に応答して刺激デバイスを制御する。このようなセンサは、たとえば、患者の腹部内の圧力、移植された狭さくデバイスに対する圧力、または体の器官の組織壁に対する圧力を検知することができる。
【0045】
たとえば、ホルモン・レベル・センサを適用することができ、その場合、本発明を使用して卵の流れが制御される。
【0046】
センサ制御制限および/または刺激デバイス 上述のように、システムは、移植可能な少なくとも1つのセンサを備えてよく、その場合、制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する。一般に、センサは、患者の少なくとも1つの物理的パラメータ、またはシステムの少なくとも1つの機能パラメータ、または患者内の医療インプラントの少なくとも1つの機能パラメータを直接または間接的に検知する。
【0047】
システムは、さらに好ましくは、フィードバック情報を体内から体外に送信して、デバイスの任意の機能パラメータまたは患者の物理的パラメータに関するフィードバックを与えるように構成される。
【0048】
デバイスの機能パラメータは、他の個所で述べる内部エネルギー源にエネルギーを充填するためのエネルギーの伝送と相関付けることができる。
【0049】
デバイスの機能パラメータは、エネルギー・バランス、受け取られたエネルギーとデバイスによって蓄積されるエネルギーを含む使用されるエネルギーとのバランスであってよく、エネルギー・バランスは、エネルギー受容率と蓄積率を含むエネルギー使用率とのバランスを含んでよい。
【0050】
物理的パラメータを検知する多数の異なる種類のセンサを使用することができる。
【0051】
制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを直接制御する移植可能な内部制御ユニットを備えてよい。制御デバイスは、患者を機械的に貫通することなく患者の外部から内部制御ユニットの制御パラメータを設定するように構成された無線リモート・コントロールをさらに備えてよい。無線リモート・コントロールによって設定可能な制御パラメータの少なくとも1つは、物理的パラメータまたは機能パラメータである。好適には、内部制御ユニットは、上述のクロック機構を含み、その場合、無線リモート・コントロールもクロック機構を設定するように構成される。
【0052】
あるいは、制御デバイスは、センサからの信号に応答して狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御する外部制御ユニットを患者の体外に備えてよい。
【0053】
調整可能な狭さくデバイス 本発明のいくつかの他の実施形態では、狭さくデバイスは調整可能である。これらの実施形態では、患者の組織壁部の狭さくを変化させるように調整可能な狭さくデバイスを動作させる操作デバイスが設けられ、狭さくデバイスと刺激デバイスは狭さく/刺激ユニットを形成する。狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスと刺激デバイスは、移植するのに適した単一の部材として一体化されるのが好ましい。ユニットの狭さくデバイスは、患者の器官の組織壁部にある長さにわたって接触する寸法を有する接触表面を備え、ユニットの刺激デバイスは、接触表面上に設けられ接触表面に沿って分散された複数の刺激部材を備える。制御デバイスが壁部を刺激するように刺激デバイスを制御すると、刺激部材は、壁部の長さに沿って壁部の様々な領域を刺激する。刺激部材は、上述のように、電気パルスによって壁部を刺激する電気部材を備えることが好ましい。しかし、本発明の大部分の用途では、熱刺激のような他の種類の刺激が使用に適している。
【0054】
操作デバイスは、実施形態についての以下の例で説明するように、狭さくデバイスの構成に応じて狭さく/刺激ユニットの調整可能な狭さくデバイスを動作させる。
1)狭さくデバイスは、接触表面を有し、壁部に沿って器官のそれぞれの異なる側を延びる細長い少なくとも2つの細長いクランプ部材を備え、操作デバイスは、クランプ部材同士の間に壁部をクランプ固定して器官の壁部を狭さくさせるようにクランプ部材を動作させる。
【0055】
2)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ壁部に沿って器官の一方の側を延びる細長い1つのクランプ部材を備え、操作デバイスは、クランプ部材と患者の骨または組織との間に壁部をクランプ固定して壁部を狭さくさせるようにクランプ部材を動作させる。
【0056】
3)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ器官のそれぞれの異なる側に位置する少なくとも2つの係合部材を備え、操作デバイスは、係合部材を回転させ、したがって、係合部材は、器官の壁部に係合して壁部を狭さくさせる。
【0057】
4)狭さくデバイスは、接触表面を有し、かつ器官のそれぞれの異なる側に位置する少なくとも2つの連節クランプ部材を備え、操作部材は、クランプ部材同士を互いの方へ移動させ、クランプ部材同士の間に器官の壁部をクランプ固定して壁部を狭さくさせる。
【0058】
5)狭さくデバイスは、接触表面を有し、少なくとも一方のクランプ部材が、回動し、したがって、狭さく部材のループが延びる平面内を旋回することができる、少なくとも2つの別個のクランプ部材を備え、操作デバイスは、回動したクランプ部材を旋回させて狭さく開口部のサイズを変化させる。
【0059】
6)狭さくデバイスは、接触表面を有する少なくとも1つの細長い狭さく部材と、狭さく部材を器官の周りの少なくともほぼ閉じたループに形成し、ループが狭さく開口部を形成する形成手段とを備える。操作デバイスは、狭さく開口部のサイズを変化させるように狭さく部材をループ内で動作させる。
【0060】
6a)細長い狭さく部材は、接触表面を有するベルトを備え、操作デバイスは、ループ内のベルトの長手方向伸長部を変化させて狭さく開口部のサイズを変化させるようにベルトを動作させる。形成手段は、狭さく部材またはベルトを少なくとも1つの所定のサイズを有するループに形成することができる。
【0061】
6b)細長い狭さく部材は、狭さく開口部のサイズを変化させ、したがって、狭さくデバイスの外周制限表面を変化させるか、あるいは変化させないように動作可能である。
【0062】
6c)細長い狭さく部材は、弾性であり、断面図で見たときの厚さが変化し、狭さく部材の長手方向伸長部を折り返さすように動作可能である。
【0063】
6d)細長い狭さく部材は、接触表面を有し、かつ互いにヒンジ留めされており、したがって、半円部材が、ほぼあるいは部分的に円を形成する完全開放状態から、ほぼ半円を形成する完全折り畳み状態に、互いに対して揺動可能である、ほぼあるいは部分的に半円形の2つのフレーム部材を備える。
【0064】
7)狭さくデバイスは、器官の壁部を湾曲させて狭さくさせるように構成される。
【0065】
上記の実施形態(1)〜(7)では、狭さくデバイスが患者の器官の組織壁部を前記長さにわたって狭さくさせるように構成されることが重要である。このために、狭さくデバイスは、壁部の前記長さに沿って一列に取り付けられる前述の狭さく部材のうちの2つ以上を含んでよく、その場合、前記列は、器官の卵管内の流れの方向に延びる。このような狭さく部材は、膨張不能であり、機械的に動作可能または調整可能であることが好ましい。
【0066】
上記の実施形態(1)〜(7)では、操作デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを機械または油圧式に調整することができる。さらに、操作デバイスは、狭さくデバイスを動作させる電動操作デバイスを備えてよい。本発明の多くの用途では、操作デバイスは好適には、狭さくデバイスを動作させ、したがって、卵管の流入領域は、刺激デバイスが壁部に接触するのを可能にし、それによって、卵管内の流れを停止させる狭さく状態のサイズになる。
【0067】
機械操作 操作デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを機械的に動作させる場合、膨張不能であってよい。さらに、操作デバイスは、歯車箱を含んでよいサーボ・システムを備えてよい。語「サーボ・システム」は、サーボ機構の通常の定義、すなわち、非常に小さな力によって非常に大きな力を制御する自動デバイスを包含するが、その代わりにあるいはそれに加えて、長いストロークを有する移動部材に作用する弱い力を短いストロークを有する他の移動部材に作用する強い力に変換する機構の定義を包含してよい。操作デバイスは、狭さくデバイスを非磁気的にならびに/あるいは非手動で操作することが好ましい。操作デバイスにモータを動作可能に連結することができる。操作デバイ
スは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、この機能を反転させることができてよい。
【0068】
油圧操作 操作デバイスが狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを油圧式に動作させる場合、操作デバイスは、狭さくデバイスを調整する油圧手段を含む。
【0069】
本発明の一実施形態では、油圧手段は、狭さくデバイスにリザーバと膨張可能/収縮可能なキャビティとを備え、その場合、操作デバイスは、油圧流体をリザーバから分散させてキャビティを膨張させ、油圧流体をキャビティからリザーバまで分散させてキャビティを収縮させる。キャビティは、患者の器官の組織壁部に当接する狭さくデバイスのバルーンによって形成することができ、したがって、患者の壁部は、キャビティの膨張時に狭さくし、キャビティの収縮時に解放される。
【0070】
あるいは、キャビティは、狭さくデバイスの比較的大きな収縮部材、たとえば、壁部に当接する大きなバルーンを変位させる蛇腹部材によって形成することができ、したがって、患者の壁部は、蛇腹部材の収縮時に狭さくし、蛇腹部材の膨張時に解放される。したがって、蛇腹部材に油圧流体を比較的少量添加すると、壁部の狭さくがかなり増大する。このような蛇腹部材は、適切に構成されたピストン/シリンダ機構で置き換えることもできる。
【0071】
油圧手段が狭さくデバイスにキャビティを備える場合、本発明のシステムは、以下に列挙するオプションに従って構成することができる。
【0072】
1)リザーバは、第1および第2の壁部を備え、操作デバイスは、第1および第2の壁部を互いに対して変位させてリザーバの体積を変化させ、したがって、流体がリザーバからキャビティ、またはキャビティからリザーバに分散する。
【0073】
1a)リザーバの第1および第2の壁部は、磁気デバイス、油圧デバイス、電気制御デバイスの少なくとも1つによって互いに対して変位可能である。
【0074】
2)操作デバイスは、リザーバとキャビティとの間で流体を送るポンプを備える。
【0075】
2a)ポンプは、ポンプを作動させて流体をリザーバからキャビティまで送る第1の作動部材と、ポンプを作動させて流体をキャビティからリザーバまで送る第2の作動部材とを備える。
【0076】
2a1)第1および第2の作動部材は、手動操作によって操作可能である。
【0077】
2a2)少なくとも一方の作動部材は、外部の所定の圧力を受けたときに動作する。
【0078】
2a3)第1および第2の作動部材の少なくとも一方は、磁気手段、油圧手段、または電気制御手段によって動作可能である。
【0079】
2b)システムは、ポンプとキャビティとの間に流体導管を備え、その場合、リザーバは導管の一部を形成する。導管およびポンプには逆止め弁はない。リザーバは、可変体積を有する流体チャンバを形成し、チャンバの体積を低減させることによって流体をチャンバからキャビティに分散させ、チャンバの体積を増大させることによって流体をキャビティから引き出す。システムは、ポンプを駆動するモータをさらに備え、その場合、ポンプは、チャンバの体積を変化させる、リザーバの可動壁を備える。
【0080】
油圧手段が狭さくデバイスに膨張可能なキャビティを備える上記のすべての実施形態1〜2bでは、キャビティは、狭さくデバイスを調整するシリンダ/ピストン機構と交換することができる。この場合、操作デバイスは、リザーバとシリンダ/ピストン機構との間で油圧流体を分散させて狭さくデバイスを調整する。
【0081】
本発明の特殊な実施形態では、操作デバイスは、油圧手段に動作可能に連結された反転サーボを備える。語「反転サーボ」は、短いストロークを有する移動部材に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動部材に作用する弱い力に変換する機構、すなわち、通常のサーボ機構の逆の機能であると理解されたい。したがって、より小さいリザーバ内の流体の量のわずかな変化が、反転サーボによって、より大きなリザーバ内の流体の量の大きな変化に変換される。反転サーボは特に、その手動操作に適している。
【0082】
好ましくは、反転サーボは、サーボ流体を含む膨張可能なサーボ・リザーバと、サーボ・リザーバに油圧式に連結され、サーボ流体用の密閉導管システムを形成する流体供給リザーバとを備える。膨張可能なサーボ・リザーバは、膨張可能なサーボ・リザーバの体積の変化に応答して互いに対して変位可能な第1および第2の壁部を有する。
【0083】
第1の代替実施形態によれば、サーボ・リザーバの第1および第2の壁部は、油圧手段に動作可能に連結される。反転サーボは、流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間で流体を分散させてサーボ・リザーバの体積を変化させ、それによって、狭さくデバイスを調整するように油圧手段を動作させる。
【0084】
第2の代替実施形態によれば、所定量の油圧流体を含む移植可能な主リザーバが設けられ、その場合、反転サーボは、主リザーバと油圧手段との間で油圧流体を分散させて狭さくデバイスを調整するように動作可能である。具体的には、主リザーバは、膨張可能なサーボ・リザーバの第1および第2の壁部に動作可能に連結された第1および第2の壁部を備え、したがって、膨張可能なサーボ・リザーバの体積が変化すると、主リザーバの体積が変化する。したがって、反転サーボが、流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させて主リザーバの体積を変化させると、油圧流体が主リザーバから油圧手段まで、あるいは油圧手段から主リザーバまで分散する。有利なことに、サーボ・リザーバおよび主リザーバは、サーボ・リザーバの体積が比較的少量のサーボ流体の分だけ変化すると、主リザーバの体積が比較的大量の油圧流体の分だけ変化するような寸法を有する。
【0085】
上述のどちらの代替実施形態でも、流体供給リザーバは、互いに対して変位可能であり、流体供給リザーバの体積を変化させて流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させる第1および第2の壁部を有してよい。流体供給第リザーバの第1および第2の壁部は、手動操作、磁気デバイス、油圧デバイス、または電気制御デバイスによって互いに対して変位可能であり、流体供給リザーバの体積を変化させて流体供給リザーバと膨張可能なサーボ・リザーバとの間でサーボ流体を分散させる。
【0086】
油圧手段が狭さくデバイスに膨張可能なキャビティを備える上記のすべての実施形態1〜2b、または油圧手段が油圧動作可能な機械構成を備える実施形態では、操作デバイスは上述の反転サーボを含んでよい。本発明の他の実施形態では、油圧手段は、油圧式に相互に連結された第1および第2の膨張可能/収縮可能なリザーバを含む。第1のリザーバは、収縮デバイスに動作可能に連結され、したがって、収縮デバイスは、第1のリザーバが膨張または収縮したときに患者の壁部の狭さくを変化させる。第2のリザーバの体積を変化させることによって、2つのリザーバの間で油圧流体が分散し、したがって、第1のリザーバが膨張または収縮する。この実施形態では、2つのリザーバの間の流体連通導管内に逆止め弁は必要でなく、油圧手段の長期稼働に有利である。
【0087】
あるいは、油圧手段は、上述の第1および第2のリザーバではなく油圧式に相互に連結されたピストン/シリンダ機構を含んでよい。第1のピストン/シリンダ機構は、収縮デバイスに動作可能に連結され、したがって、収縮デバイスは、第1のピストン/シリンダ機構の動作時に患者の壁部の狭さくを変化させる。第2のピストン/シリンダ機構を動作させることによって、2つのピストン/シリンダ機構の間で油圧流体が分散し、したがって、第1のピストン/シリンダ機構は収縮デバイスを調整する。
【0088】
収縮デバイスが膨張可能/収縮可能なキャビティを含まない場合、収縮デバイスは、上述の接触表面を有し、かつ壁部に沿って器官のそれぞれの異なる側を延びる、少なくとも2つの細長いクランプ部材を備えてよい。油圧手段は、上述の反転サーボを含んでよく、細長いクランプ部材を壁部の方へ油圧式に移動させて壁部を狭さくさせる。たとえば、狭さくデバイスは、クランプ部材が内部で前後に滑る油圧チャンバを含んでよく、油圧手段は、ポンプと、油圧流体を含む移植可能なリザーバも含んでよい。ポンプは、油圧流体をリザーバからチャンバまで分散させてクランプ部材を壁部に接触するように移動させ、油圧流体をリザーバからチャンバまで分散させてクランプ部材を壁部から離れるように移動させる。
【0089】
複数の制限領域 制限デバイスは、どの種類または種類の組合せが好ましいかとは無関係である。制限デバイスは、複数の制限領域を備え、それによって、経時的に制限領域を変更するように構成される。これによって、卵管の損傷が防止され、しかも卵管が閉鎖されたままになり、卵が子宮まで移動するのが回避され、したがって妊娠が回避される。
【0090】
一実施形態では、システムは、油圧流体を含む2つ以上のリザーバに個別に連結された2つ以上の制限領域を有する油圧制限デバイスを備え、前記リザーバが、前記リザーバから連結された制限領域の各々まで個々に流体を移動させるように調整されるように構成される。この代わりに、油圧流体がどの制限に作用するかを弁で調節する場合、1つのリザーバのみを使用することが可能である。
【0091】
各油圧制限領域は、好ましくは各時間がある程度重複するように所定の期間にわたって制限されるように構成され、かつ最初に卵巣に最も近い制限領域が制限され、次に子宮に向かって制限領域が変更されるように構成される。このように、制限は常に維持されるが、制限同士が重複するためだけでなく、卵が放出される卵巣に最も近い位置から制限が開始されるため、制限領域が変更されるときに卵を通過させることはない。
【0092】
油圧制限領域は、それを手動操作することによって調整されるように構成することができる。
【0093】
システムは、制限領域が変更されると、卵巣に向かう方向に蠕動波動状の制限波動が生じて、卵が子宮に送られるのが防止されるように構成することもできる。この蠕動波動は、前述の様々な種類の制限デバイスまたはそれらの組合せのいずれかによって生じさせることができる。
【0094】
制限デバイスは、卵巣が放出されたときに少なくとも1つの卵が子宮に送られるように構成することもできる。この場合、子宮へ向かうのと逆方向への蠕動波動状の制限波動を用いることができる。
【0095】
妊娠を防止するシステムは、患者の卵管の第1の部分または領域を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵が所定の期間にわたって卵管に蓄積するように構成し、かつ卵管の第2の部分を制限し、その後第1の部分の制限を解除し、さらに後で
第2の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成するか、あるいはさらに、卵管の第3の部分も制限し、第2の部分の制限を解除するように構成し、さらに、第3の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成するか、あるいは卵管の第4の部分を制限し、第3の部分の制限を解除するように構成することができる。最後に、システムはさらに、第4の部分の制限を解除し、それによって卵が子宮まで送られるように構成することができる。
【0096】
制限領域の数は、実際的な大きさの問題を除いて制限されず、好ましくは、制限期間は制限領域同士の間で分割される。制限領域は、卵巣からさらに子宮に向かって段階的に移動され、したがって、使用中の連続的な制限領域間で時間を重複させる場合に、制限領域に関与する蓄積された卵に対する干渉を回避するか、あるいは制限領域は上流側と下流側の両方に移動され、次に、好ましくは移動デバイスを使用して卵管内の卵を移動させて卵が制限領域で圧搾されるのを回避する。
【0097】
卵管を部分的にのみ制限する油圧制限デバイスを刺激デバイスと組み合わせて使用して卵管の閉鎖を完了することが好ましい。この場合、刺激デバイスによって、制限領域を移動させることが可能である。油圧デバイスは、たとえば、必要な移動を生じさせる移動機能を有することができる。
【0098】
任意の組合せが可能である。
【0099】
要するに、2つよりも多くの制限領域を使用して、デバイスが制限モードにあるとき、少なくとも1つの制限領域が閉鎖されている間に制限領域を変更することが好ましい。
【0100】
デバイスは、卵管の、卵巣に最も近い第1の部分を制限するように構成される場合、蓄積された卵に干渉せずに第2の制限を制限させる。
【0101】
卵巣に最も近い制限領域、すなわち卵管の一部から始まり、その後子宮に段階的に近づくように新しい領域を制限していくように各制限領域を連続的に制限するように構成され、さらに複数の制限領域が制限される時間を重複させるように構成されたシステムは、蓄積された卵に干渉せずに制限を行う。
【0102】
哺乳類のメスまたはヒトの女性の患者の妊娠を回避する方法は、
術後に患者の卵管を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
制限を解除して卵管内の卵を子宮まで送らせるステップと、
制限および解放手順を患者の体外から制御するステップとを含む。
【0103】
この方法および他の方法では、所定の期間は、妊娠を回避するように設定され、2日から30日の間であるかあるいは30日より長くてよい。
【0104】
妊娠を回避する移植される2つの制限デバイスをヒトまたは哺乳類の患者に配置して制御する方法は、
針またはチューブ状態術具を患者の体の腹部に挿入するステップと、
針またはチューブ状態術具を使用して腹部にガスを満たし、それによって腹腔を膨張させるステップと、
少なくとも2つの腹腔鏡トロカールを患者の体内に配置するステップと、
カメラを一方のトロカールを通って腹部に挿入するステップと、
少なくとも1つの切開器具をトロカールを通って挿入し、患者の2つの卵管の少なくとも一部の領域を切開するステップと、
移植される2つの制限デバイスを2つの卵管の各々に配置するステップと、
術後の、妊娠しないのに好都合な時間に制限デバイスを調整するステップと、
患者の体外から調整を制御するステップと、
術後に2つの卵管を制限して妊娠するのを回避するステップとを含む。
【0105】
前述の方法はどちらも、卵管を制限する際に、
患者の卵管の領域の第1の部分を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
卵管の第2の部分を制限するステップと、
第1の部分の制限を解放するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとを含んでよい。
【0106】
この方法は、
第2の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0107】
この方法は、
卵管の第3の部分を制限するステップと、
第2の部分の制限を解除するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとをさらに含んでよい。
【0108】
この方法は、
第3の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0109】
この方法は、
卵管の第4の部分を制限するステップと、
第3の部分の制限を解除するステップと、
各制限領域でより短い卵管制限周期を可能にするステップとをさらに含んでよい。
【0110】
この方法は、
第4の部分の制限を解除するステップと、
卵を子宮まで送らせるステップとをさらに含んでよい。
【0111】
これらの両方の方法において、通常、卵管の制限された第1の部分が卵巣のより近くに位置する場合、それによって、
蓄積された卵に干渉せずに第2の制限を制限することができる。
【0112】
通常、これらの方法では、
2つよりも多くの制限領域が設けられ、
制限を行うことが望ましいときには、制限領域が変更され、一方、
少なくとも1つの制限領域が閉鎖されたままになる。
【0113】
好ましい実施形態では、各制限領域は、卵巣に最も近い卵管の部分の制限領域から連続的に制限され、
新しい領域が1段階ずつ子宮に近づくように制限が行われ、
複数の制限領域の制限が時間的に重複され、それによって、
蓄積された卵に干渉せずに制限が行われる。
【0114】
一方法は、順序とは無関係に、術後に制限領域を変更して、卵管を回復させるかあるい
は制限による損傷を回避し、一方、卵管を常に制限しておくことのみを含んでよい。
【0115】
女性の患者の妊娠を防止する他の方法は、
ヒトまたは哺乳類の患者の卵管内の卵が子宮に送られるのを防止するステップと、
卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
卵管壁の一部の蠕動状制限波動運動を生じさせ、卵が子宮まで送られるのを防止し、一方、卵管を常に制限しておくステップと、
卵が蓄積される間に精子が卵に到達するのを防止するステップと、
術後にヒトの体外から調節された卵を放出し、卵管内の少なくとも1つの卵を子宮まで送るのを可能にするステップとを含む。
【0116】
上述のデバイスを配置し、ヒトまたは哺乳類の患者における妊娠を回避するように移植されたデバイスを制御する方法は、
針またはチューブ状態術具を患者の体の腹部に挿入するステップと、
針またはチューブ状態術具を使用して腹部にガスを満たし、それによって腹腔を膨張させるステップと、
少なくとも2つの腹腔鏡トロカールを患者の体内に配置するステップと、
カメラを一方のトロカールを通って腹部に挿入するステップと、
少なくとも1つの切開器具をトロカールを通って挿入し、患者の2つの卵管の少なくとも一部の領域を切開するステップと、
移植されるデバイスの2つの部分の各々を2つの卵管のそれぞれに配置するステップと、
手術を終了し、術後に最終的な縫合の後で術具を引き出すステップと、
術後に、妊娠を回避するのに適切な時間にデバイスを調整するステップと、
患者の体外から調整を制御するステップと、
上記のステップによって、卵の流れが2つの卵管において子宮に到達するのを所定の期間にわたって防止して妊娠を回避するステップと、
上記のステップによって、卵巣から放出された卵を卵管内に蓄積させるステップと、
卵管壁の一部の蠕動状波動運動を生じさせて、卵が子宮に送られるのを防止し、卵管を常に制限しておくステップと、
卵が蓄積される間精子が卵に到達するのを防止するステップと、
妊娠の危険性が低いときに、卵管内の卵を体外から放出させて卵を通常どおりに子宮に送らせるステップとを含む。
【0117】
制限実施形態 制限デバイスは、機械制限デバイス、または油圧制限デバイス、または刺激デバイス、または刺激デバイスと機械制限デバイスもしくは油圧制限デバイスとの組合せ、または任意の他の組合せを備えてよい。
【0118】
この方法は、リザーバを備え、ガスまたは流体を前記制限デバイスに移動させるかあるいは制限デバイスから移動させ、前記リザーバが、
i.患者が手を届かせて、
ii.流体を手動で前記制限デバイスに移動させるかあるいは前記制限デバイスから移動させることができるように皮下に配置される油圧制限デバイスを含んでよい。
【0119】
移動デバイス 移動デバイスは、変更され新たに制限される領域から、新しい領域が制限される前に卵を移動させておくように構成され、制限を長期間維持する必要がある場合に有用であり、したがって、制限領域は、卵巣に向かう方向へも移動させる必要があり、その場合、卵は、1つの制限領域によって圧搾され、後で放出される場合滑る恐れがある。
【0120】
移動デバイスは、卵の移動を制限する際または卵を移動させる際に異なるように動作するように構成された、制限デバイスと同じデバイスであってよく、あるいは卵の移動を制限する際または卵を移動させる際に異なるように動作するように構成された、制限デバイスとは異なるデバイスであってよい。
【0121】
移動デバイスは、卵管壁で振動または波動状の運動を生じさせ、それによって卵を移動させることができる。
【0122】
したがって、ヒトの女性の患者または哺乳類のメスの患者の妊娠を防止する他の方法であって、
患者の卵管の領域の第1の部分を制限して制限を設け、卵巣から放出された少なくとも1つの卵を卵管内に所定の期間にわたって蓄積するステップと、
蓄積された卵を前記移動デバイスによって卵管内を制限領域から卵巣に向かって移動させるステップと、
蓄積された卵に干渉せずに、卵巣により近い卵管の第2の部分を制限させるステップと、
第1の部分の制限を解除するステップと、
第1の部分の制限を繰り返すステップと、
第2の部分の制限を解除するステップと、
制限区間間に卵管を回復させるステップとを含む方法を提供することができる。
【0123】
これらのステップの後に、
蓄積された卵を前記移動デバイスによって卵管内を制限された第1の領域から卵巣に向かって移動させるステップと、
蓄積された卵に干渉せずに、卵巣により近い卵管の第2の部分を制限させるステップを繰り返すステップと、
さらに第1の部分の制限を解除するステップを繰り返すステップと、
完全な手順を繰り返し、制限区間間に卵管を回復させるステップとが実行されることが好ましい。
【0124】
制限領域を3つ以上の領域間で変更されるように構成し、一方、卵管を常に閉鎖しておくことが好ましい。
【0125】
前記移動デバイスは、前記卵管の壁の少なくとも一部を振動させて、蓄積された卵を移動させる振動デバイスを備えてよく、前記移動が繰り返される。
【0126】
前記移動デバイスは、機械デバイス、または油圧デバイス、または刺激デバイス、または複合デバイスを備えてよい。
【0127】
制御デバイスの構成 制御デバイスは好適には、患者の体外から狭さくおよび/または刺激ユニットを制御する。制御デバイスは、患者によって操作可能であることが好ましい。たとえば、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替える手動スイッチを備えてよく、その場合、スイッチは、患者に皮下移植され、患者の体外から手動であるいは磁気的に操作されるように構成される。あるいは、制御デバイスは、好都合なことに、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能である手持ち式無線リモート・コントロールを備えることができる。無線リモート・コントロールは、腕時計のように患者の体に取り付けられるように構成することもできる。このような腕時計型のリモート・コントロールは、システムの移植された信号応答手段に患者の体を従わせる制御信号を放出することができる。
【0128】
制御デバイスが患者の体外から狭さく/刺激ユニットを無線で制御する場合、無線制御機能は好ましくは、非磁気的に実行され、すなわち、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを非磁気的に制御する。患者は、リモート・コントロールを使用して、刺激強度を調整しかつ/あるいは壁部の狭さくを調整するように狭さく/刺激ユニットを制御する。無線リモート・コントロールは、少なくとも1つの外部信号送信器またはトランシーバと、患者に移植可能な少なくとも1つの内部信号受信器またはトランシーバとを備えてよい。
【0129】
無線リモート・コントロールは、狭さく/刺激ユニットを制御する少なくとも1つの無線制御信号を送信することが好ましい。制御信号は、周波数変調信号、振幅変調信号、位相変調信号、またはそれらの組合せを含んでよく、アナログ信号、またはデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の組合せであってよい。リモート・コントロールは、デジタル制御信号またはアナログ制御信号を送る電磁搬送波信号を送信することができる。さらに、搬送波信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組合せであってよい。
【0130】
上記の制御信号はいずれも、波信号、たとえば音波信号、超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号、紫外線信号、レーザ光信号、マイクロ波信号、無線信号、X線放射信号、またはγ放射信号を含んでよい。あるいは、制御信号は、電界、または磁界、または電界と磁界の組合せを含んでよい。
【0131】
上述のように、制御信号は、患者の体をシステムの移植された信号応答手段に従わせることができる。
【0132】
制御デバイスは、患者に移植可能であり、狭さく/刺激ユニットを制御するマイクロプロセッサのようなプログラム可能な内部制御ユニットを含んでよい。制御デバイスは、患者の体外に位置する外部制御ユニットをさらに含んでよく、その場合、内部制御ユニットは外部制御ユニットによってプログラム可能である。たとえば、内部制御ユニットは、好適には活動スケジュール・プログラムに従って、経時的に狭さく/刺激ユニットを制御するようにプログラム可能であってよい。本発明のシステムは、外部データ通報器と、外部データ通報器と通信する移植可能な内部データ通報器とを備えてよく、その場合、内部通報器が狭さく/刺激ユニットに関するデータを外部データ通報器にフィードバックするか、あるいは外部データ通報器が内部データ通報器にデータを送る。
【0133】
エネルギー源 本発明は、狭さく/刺激ユニットの動作に関連して使用されるエネルギーを供給する解決手段も提供する。したがって、広い意味では、本発明は、患者の器官の組織壁によって形成される卵管内の卵の流れを制御するシステムであって、組織壁の一部を軽く狭さくさせて卵管内の流れに影響を及ぼす移植可能な狭さくデバイスと、狭さくデバイスが壁部を狭さくさせるときに壁部の様々な領域を間欠的にかつ個別に刺激し、壁部を収縮させて卵管内の流れにさらに影響を与え、狭さくデバイスと共に動作可能な狭さく/刺激ユニットを形成する刺激デバイスと、エネルギー源と、狭さく/刺激ユニットの動作に関連して使用されるエネルギーを放出するようにエネルギー源を患者の体外から操作可能な制御デバイスとを備える。本発明の簡素な形態では、電池やアキュムレータなどのエネルギー源を患者の体内に移植可能である。
【0134】
無線エネルギーの伝送 本発明の好ましいより高度な形態では、エネルギー源は患者の体の外部に位置し、制御デバイスは、無線エネルギーを放出するように外部エネルギー源を制御する。本発明のこの高度な形態では、システムは、放出された無線エネルギーを患者の体外から患者の体内に伝送するエネルギー伝送デバイスを備える。特に、無線エネル
ギーは、電磁エネルギー、電界、電磁界、または磁界、またはそれらの組合せ、または電磁波を含んでよい。エネルギー伝送デバイスは、無線エネルギーが伝送されるときに狭さく/刺激ユニットの動作に関連して直接使用される無線エネルギーを伝送することができる。たとえば、電気モータまたはポンプが狭さくデバイスを動作させる場合、磁界または電磁界の形態の無線エネルギーを使用してモータまたはポンプを直接駆動することができる。
【0135】
したがって、モータまたはポンプは、無線エネルギーが伝送されている間直接動作する。これは、2つの異なる方法、すなわち、a)患者に移植された変換デバイスを使用して無線エネルギーを異なる形態のエネルギー、好ましくは電気エネルギーに変換し、変換されたエネルギーによってモータまたはポンプを駆動する方法、または、b)無線で伝送されたエネルギーを使用してモータまたはポンプを直接駆動する方法で実現することができる。好ましくは、電磁界または磁界の形態の無線エネルギーを使用して、モータまたはポンプの特定の構成部材に直接影響を与え、モータまたはポンプを駆動する運動エネルギーが生成される。このような構成部材は、モータまたはポンプと一体化されたコイル、あるいは磁界の影響を受ける材料、または永久磁石を含んでよく、その場合、磁界または電磁界は、コイルに影響を与えてモータまたはポンプを駆動する電流を生成するか、あるいは材料または永久磁石に影響を与えてモータまたはポンプを駆動する運動エネルギーを生成する。
【0136】
エネルギー伝送デバイスは、少なくとも1つの無線信号、好適には波信号によってエネルギーを伝送することが好ましい。波信号は、赤外線信号、可視光信号、紫外線信号、レーザ信号、マイクロ波信号、無線信号、X線放射信号、およびγ放射信号のうちのいずれかを含む電磁波信号を含んでよい。あるいは、波信号は、音声信号または超音波信号を含んでよい。無線信号は、デジタル信号、またはアナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組合せであってよい。
【0137】
無線エネルギーの変換 本発明の特定の実施形態によれば、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態の無線エネルギーを、通常第1の形態のエネルギーとは異なる第2の形態のエネルギーに変換する移植可能なエネルギー変換デバイスが設けられる。狭さく/刺激ユニットは、第2の形態のエネルギーに応じて動作可能である。たとえば、第1の形態の無線エネルギーは音波を含み、一方、第2の形態のエネルギーは電気エネルギーを含む。この場合、エネルギー変換デバイスは、音波を電気エネルギーに変換する圧電素子を含んでよい。任意に、第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーの一方は、磁気エネルギー、運動エネルギー、音声エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー、電磁エネルギー、光エネルギー、核エネルギー、または熱エネルギーを含んでよい。第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーの一方は、非磁気エネルギー、非運動エネルギー、非化学エネルギー、非音声エネルギー、非核エネルギー、または非熱エネルギーであることが好ましい。
【0138】
エネルギー変換デバイスは、エネルギー伝送デバイスと異なるようにあるいは同様に機能することができる。特殊な実施形態では、エネルギー変換デバイスは、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギーにさらされると正の領域および負の領域を有する少なくとも1つの半導体のような少なくとも1つの素子を備え、この場合、素子は、正の領域と負の領域との間にエネルギー場を形成することができ、エネルギー場は第2の形態のエネルギーを生成する。より具体的には、素子は、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギーにさらされると正の領域と負の領域との間に電界を誘導することのできる電気接合素子を備えてよく、それによって、第2の形態のエネルギーは電気エネルギーを含む。
【0139】
エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに直接または間接的に変換することができる。狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを動作させる移植可能なモータまたはポンプを設けることができ、その場合、モータまたはポンプは第2の形態のエネルギーによって駆動される。狭さくデバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、機能を反転させることが可能であってよい。たとえば、制御デバイスは、第2の形態のエネルギーの極性をシフトさせてモータを反転させることができる。
【0140】
エネルギー変換デバイスは、第2の形態のエネルギーが第1の形態のエネルギーから変換されるときに変換されたエネルギーによってモータまたはポンプを直接駆動することができる。好ましくは、エネルギー変換デバイスは、第2の形態のエネルギーによって狭さく/刺激ユニットを非磁気的、非熱的、または非機械的に直接動作させる。
【0141】
通常、狭さく/刺激ユニットは、電気エネルギーによって通電される電気構成部材を備える。システムの移植可能な他の電気構成部材は、少なくとも1つの一電圧レベル・ガードまたは少なくとも1つの定電流ガードであってよい。したがって、エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを直流電流、または脈動直流電流、または直流電流と脈動直流電流の組合せに変換することができる。
【0142】
あるいは、エネルギー変換デバイスは、第1の形態のエネルギーを交流電流または直流電流と交流電流の組合せに変換することができる。
【0143】
本発明のシステムは、患者に移植可能であり、狭さく/刺激ユニットを動作させるエネルギーを供給する内部エネルギー源を備えてよい。システムは、内部エネルギー源が使用されない「オフ」モードから、内部エネルギー源が狭さく/刺激ユニットを動作させ、かつ/あるいはシステムの移植された電子構成部材を通電するエネルギーを供給する「オン」モードに切り替えるように操作することのできる移植可能なスイッチをさらに備えてよい。スイッチは、エネルギー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギー、またはエネルギー伝送デバイスから供給される第2の形態のエネルギーによって操作可能である。上述のスイッチ構成は、各動作間のシステムの電力消費量を削減する。
【0144】
内部エネルギー源は、エネルギー変換デバイスから供給された第2の形態のエネルギーを蓄積することができる。この場合、内部エネルギー源は好適には、少なくとも1つのコンデンサまたは少なくとも1つの再充電可能な電池、もしくは少なくとも1つのコンデンサと少なくとも1つの再充電可能な電池の組合せのようなアキュムレータを備える。内部エネルギー源は、再充電可能な電池である場合、患者に好都合なとき、たとえば、患者の就寝時にのみ充電することができる。あるいは、内部エネルギー源は、狭さく/刺激ユニットを動作させるエネルギーを供給することができるが、第2の形態のエネルギーを蓄積するのには使用されない。この代替実施形態では、内部エネルギー源は電池であってよく、上述のスイッチを設けても設けなくてもよい。
【0145】
好適には、本発明のシステムは、第2の形態のエネルギーを安定させる移植可能なスタビライザを備える。第2の形態のエネルギーが電気エネルギーである場合、スタビライザは好適には、少なくとも1つのコンデンサを備える。
【0146】
エネルギー変換デバイスは、患者の腹部領域、胸部領域、または頭部領域に皮下移植されるように構成することができる。あるいは、エネルギー変換デバイスは、患者の開口部内の、粘膜の下方または開口部の粘膜の外側の筋肉内に移植されるように構成することができる。
【0147】
上述の実施形態における狭さく/刺激ユニットは、移植に関してより実際的な単一の部材として構成されるが、代替実施形態として狭さくデバイスと刺激デバイスを別個の部材として構成できることに留意されたい。上述の狭さくユニットおよび刺激ユニットのいずれかを、互いに独立して制御される2つ以上の別個の狭さく/刺激部材で置き換えることができる。
【0148】
システムを使用して女性の子宮への卵の流入を制御する場合、システムは、女性の子宮管のそれぞれを狭さくさせてその通路を制限する移植可能な狭さくデバイスと、子宮管を制限し、したがって、子宮管の通路に現れた卵が子宮腔に進入するのを防止し、かつ子宮管を解放し、したがって、子宮管の通路内に存在する卵を子宮腔に進入させるように前記狭さくデバイスを制御する制御デバイスとを備える。狭さくデバイスは、子宮管の組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせてその通路を制限することができ、かつ組織壁部を刺激する移植可能な刺激デバイスを設けることができ、その場合、制御デバイスは、組織壁部を刺激するように前記刺激デバイスを制御し、前記狭さくデバイスは、組織壁部を狭さくさせ、組織壁部を収縮させて子宮管の通路をさらに制限する。
【0149】
あるいは、卵流れ制御システムは、女性の子宮管のそれぞれの組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせてその通路を制限する移植可能な狭さくデバイスと、子宮管の組織壁部を刺激する刺激デバイスと、前記狭さくデバイスが組織壁部を狭さくさせるときに組織壁部を刺激し、組織壁部を収縮させて子宮管の通路をさらに制限し、子宮管内に存在する卵が子宮腔に進入するのを防止するように前記刺激デバイスを制御する制御デバイスとを備える。
【0150】
あるいは、卵流れ制御システムは、女性の子宮管のそれぞれの組織壁の一部を刺激する移植可能な刺激デバイスと、子宮管の組織壁部を刺激して組織壁部を収縮させ、したがって、子宮管の通路を制限して、子宮管に現れた卵が子宮腔に進入するのを防止し、かつ子宮管の組織壁部の刺激を停止して、子宮管の通路に存在する卵を子宮腔に進入させるように前記刺激デバイスを制御する制御デバイスとを備える。
【0151】
本発明は、上述のシステムを使用して、患者の器官の組織壁によって形成される卵管内の卵の流れを制御する方法であって、
患者の体外から狭さくデバイスおよび/または刺激デバイスを制御するように構成された無線リモート・コントロールを設けることと、
患者が卵管内の卵の流れに影響を与えることを望むときに、患者によって無線リモート・コントロールを操作することとを含む方法も提供される。
【0152】
本発明は、患者の器官の組織壁によって形成された卵管内の卵の流れを制御する方法であって、
a)組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせて卵管内の流れに影響を与えることと、
b)狭さくした壁部を刺激し、壁部を収縮させて卵管内の流れにさらに影響を与えることとを含む方法も提供される。