特許第6876117号(P6876117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許6876117-情報処理装置 図000002
  • 特許6876117-情報処理装置 図000003
  • 特許6876117-情報処理装置 図000004
  • 特許6876117-情報処理装置 図000005
  • 特許6876117-情報処理装置 図000006
  • 特許6876117-情報処理装置 図000007
  • 特許6876117-情報処理装置 図000008
  • 特許6876117-情報処理装置 図000009
  • 特許6876117-情報処理装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6876117
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20210517BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20210517BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G06Q30/02 300
   G06Q30/06 300
   G06F13/00 540R
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-237056(P2019-237056)
(22)【出願日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 馨以
(72)【発明者】
【氏名】平井 武博
(72)【発明者】
【氏名】和田 真澄
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 雅
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 宏司
(72)【発明者】
【氏名】菊地 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 吉人
(72)【発明者】
【氏名】船越 賢
(72)【発明者】
【氏名】奥嶋 俊壮
(72)【発明者】
【氏名】松澤 將
【審査官】 石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/230165(WO,A1)
【文献】 杉本 昭彦,サプライヤー動向,日経マーケッティング,日本,日経BP社,2011年10月25日,第49号,31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
或るサービスに関する複数のWebページに対するアクセス履歴が記憶された装置から当該アクセス履歴を取得する取得部と、
各々のユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが各サービスに加入しているか否かを示す情報とを対応付けたユーザデータベースに基づいて、各々の前記Webページにアクセスしたユーザの前記サービスへの加入の有無を特定する特定部と、
各々のWebページを識別する情報と、当該Webページに対する、前記サービスに加入しているサービス加入ユーザ及び前記サービスに加入していないサービス未加入ユーザのアクセス履歴とを対応付けたアクセス履歴データベースに基づいて、取得された前記アクセス履歴において、前記サービスに加入しているサービス加入ユーザ及び前記サービスに加入していないサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページを抽出する抽出部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、
前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページであって、アクセス数の順位が所定順位以上のWebページを抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記サービスがある場合に、
前記抽出部は、
前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページであって、アクセス数の順位が、各々のサービスごとに異なる所定順位以上のWebページを抽出する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アクセス履歴データベースは、各々のWebページを識別する情報に対応付けて当該Webページの重要度を対応付けており、
前記抽出部は、
前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしている各々のWebページに対する重要度を特定し、当該重要度に基づいて前記抽出を行う
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、運営者による入力装置を用いた入力に基づいて前記重要度を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部は、
どのようなWebページの内容にどのような重要度を付与するかといったアルゴリズムを記憶しており、
各々の前記Webページに含まれるテキストデータ又は画像データを解析して当該Webページの内容を推定し、
推定した内容と前記アルゴリズムを用いて、各々の前記Webページに対する重要度を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記抽出部により抽出されたWebページに対するアクセス履歴に含まれるアクセス数と、当該アクセス履歴から前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出するためのアルゴリズムであって、前記アクセス数が多いほど高いエンゲージメント指数を算出するアルゴリズムとに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出する算出部を備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスを利用するユーザの行動を解析するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ITの分野において、エンゲージメントとは、ユーザとの繋がりを測る指標として用いられる。例えば特許文献1では、ユーザのエンゲージメントは長期的なQoEの変動により左右されるという特性に着目し、時間的なQoEの変化を考慮した制御手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−143981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンゲージメントを測定する手法の1つとして、ユーザによるWebページへのアクセス履歴を用いたものが知られている。
【0005】
本発明は、サービス加入ユーザがアクセス可能でサービス未加入ユーザがアクセスできないWebページと、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページとを判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、或るサービスに関する複数のWebページに対するアクセス履歴が記憶された装置から当該アクセス履歴を取得する取得部と、各々のユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが各サービスに加入しているか否かを示す情報とを対応付けたユーザデータベースに基づいて、各々の前記Webページにアクセスしたユーザの前記サービスへの加入の有無を特定する特定部と、各々のWebページを識別する情報と、当該Webページに対する、前記サービスに加入しているサービス加入ユーザ及び前記サービスに加入していないサービス未加入ユーザのアクセス履歴とを対応付けたアクセス履歴データベースに基づいて、取得された前記アクセス履歴において、前記サービスに加入しているサービス加入ユーザ及び前記サービスに加入していないサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページを抽出する抽出部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0007】
前記抽出部は、前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページであって、アクセス数の順位が所定順位以上のWebページを抽出するようにしてもよい。
【0008】
複数の前記サービスがある場合に、前記抽出部は、前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページであって、アクセス数の順位が、各々のサービスごとに異なる所定順位以上のWebページを抽出するようにしてもよい。
【0009】
前記アクセス履歴データベースは、各々のWebページを識別する情報に対応付けて当該Webページの重要度を対応付けており、前記抽出部は、前記アクセス履歴データベースに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの双方がアクセスしている各々のWebページに対する重要度を特定し、当該重要度に基づいて前記抽出を行うようにしてもよい。
【0010】
前記抽出部は、運営者による入力装置を用いた入力に基づいて前記重要度を特定するようにしてもよい。
【0011】
前記抽出部は、どのようなWebページの内容にどのような重要度を付与するかといったアルゴリズムを記憶しており、各々の前記Webページに含まれるテキストデータ又は画像データを解析して当該Webページの内容を推定し、推定した内容と前記アルゴリズムを用いて、各々の前記Webページに対する重要度を特定するようにしてもよい。
【0012】
前記抽出部により抽出されたWebページに対するアクセス履歴に含まれるアクセス数と、当該アクセス履歴から前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出するためのアルゴリズムであって、前記アクセス数が多いほど高いエンゲージメント指数を算出するアルゴリズムとに基づいて、前記サービス加入ユーザ及び前記サービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出する算出部を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サービス加入ユーザがアクセス可能でサービス未加入ユーザがアクセスできないWebページと、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページとを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図2】ユーザ端末10のハードウェア構成を示す図である。
図3】情報処理装置30のハードウェア構成を示す図である。
図4】情報処理装置30の機能構成の一例を示す図である。
図5】情報処理装置30による優良ユーザに対する解析動作の一例を示すフローチャートである。
図6】情報処理装置30によるエンゲージメント指数の算出動作の一例を示すフローチャートである。
図7】行動履歴の解析における特徴を説明するための模式図である。
図8】ユーザデータベースの一例を示す図である。
図9】アクセス履歴データベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[構成]
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す図である。情報処理システム1は、ユーザに対して様々なサービスを提供するプラットフォームビジネスを実現するシステムである。この情報処理システム1によってユーザに提供するサービスは、どのようなものであってもよいが、例えば、映像又は音楽の視聴に関するサービス、いわゆるポイントと呼ばれる特典の付与及び利用に関するサービス、金融又は保険に関するサービス、ネットショッピングに関するサービス、ヘルスケアに関するサービス、各種コンテンツの提供に関するサービス等が含まれる。本実施形態において、これらの各サービスに未加入のユーザがそのサービスに加入することを、いわゆるコンバージョンとして定義する。ここで、サービスの加入とは、例えばそのサービスにおいて新規にユーザアカウントを登録したり、サービスを利用するための料金を支払うための手続きを行ったりというように、サービスを利用し得るような状態にすることをいう。ただし、サービス未加入のユーザであっても、そのサービスの一部を利用することができてもよい。つまり、サービスに加入する、とは、サービス未加入のユーザが利用し得ない内容のサービスを利用し得る状態になったことをいう。
【0016】
なお、コンバージョンとは、インターネットの分野において、Webサイトにおいて獲得し得る何らかの成果のことを指す。また、コンバージョン率とは、Webサイトにおいて或る成果に到達したときの数量をその成果に到達するための最初の段階に入った数量で割った割合のことである。たとえばEC(Electronic Commerce)サイトにおいて、或る商品を実際に購入したユーザの数をその商品の紹介ページを見たユーザの数で割れば、紹介ページのコンバージョン率を求めることができる。
【0017】
図1に示すように、情報処理システム1は、ユーザが利用するユーザ端末10と、ユーザに対して各種サービスを提供するサービス提供システム20と、本発明に係る情報処置装置の一例として機能する情報処理装置30と、ユーザ端末10及びサービス提供システム20を通信可能に接続する無線通信網又は有線通信網を含むネットワーク2とを備えている。ユーザ端末10は、例えばスマートホン、ウェアラブル端末、タブレット又はパーソナルコンピュータなどの、無線又は有線を介してネットワーク2に接続可能なコンピュータである。サービス提供システム20は、ユーザ端末10を利用するユーザに対して各種のサービスを提供するための、複数のコンピュータの集合体である。情報処理装置30は、サービス提供システム20によって提供されるサービスにおいて優良ユーザになり得るユーザの、そのサービス加入前の行動を解析するための処理を行うコンピュータである。サービス提供システム20と情報処理装置30とは、図示せぬ専用線やネットワークを介して通信可能に接続されていてもよいし、図1に図示したネットワーク2を介して通信可能に接続されていてもよい。また、情報処理装置30がサービス提供システム20に含まれていてもよい。なお、図1には、ユーザ端末を1つしか示していないが、実際には複数存在する。
【0018】
図2は、ユーザ端末10のハードウェア構成を示す図である。ユーザ端末10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータとして構成されている。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ユーザ端末10のハードウェア構成は、図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、ユーザ端末10を構成してもよい。
【0019】
ユーザ端末10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0020】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0021】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。ユーザ端末10の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワーク2からユーザ端末10に送信されてもよい。
【0022】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0023】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0024】
通信装置1004は、ネットワーク2を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、無線通信を実現する場合には、例えばLTE(Long Time Evolution)等の通信規格に従ってネットワーク2を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。また、送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどがこの通信装置1004によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、又は論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0025】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キー、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、カメラ、センサ、2次元コードリーダなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0026】
プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0027】
ユーザ端末10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0028】
図3は、情報処理装置30のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置30は、物理的には図2に示すユーザ端末10と同様に、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータとして構成されている。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。情報処理装置30のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、情報処理装置30を構成してもよい。
【0029】
情報処理装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、及びこれらを接続するバスは、ユーザ端末10について説明したプロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、及びこれらを接続するバスと、ハードウェアとしては同様であるため、その説明を省略する。なお、情報処理装置30は、ユーザ端末10の入力装置1005又は出力装置1006と同等のハードウェアを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0030】
情報処理装置30の処理には、大別して、優良ユーザに対する解析と、エンゲージメント指数の算出、という2つの処理がある。以下、これらを順番に説明する。
【0031】
[優良ユーザに対する解析]
プラットフォームビジネスにおいて、前述したようなコンバージョン(つまりサービスへの加入)の確率を高くすることが重要である一方、サービスに加入した(つまりコンバージョン後の)ユーザが、その加入したサービスを十分に利用する「優良ユーザ」として行動してもらうことも重要である。そこで、この情報処理システム1においては、優良ユーザになり得るユーザのサービス加入前の行動履歴を解析し、その解析結果を、例えばユーザを新たにサービスに加入するよう促すためのマーケティング等に利用する。
【0032】
つまり、本実施形態において、サービス提供者は、従来のようにコンバージョン率を向上させることだけに注目するのではなく、コンバージョン後のユーザのサービス利用における振舞いに注目し、優良ユーザとして振舞うユーザのコンバージョン前の行動履歴を解析する。さらに具体的に説明すると、優良ユーザであるという条件を満たした時期はそのユーザがサービスに加入した後の或る時期であるのに対し、そのユーザについて解析対象となる行動履歴の期間は、そのユーザがサービスに加入する前の期間となる。つまり、図7に例示するように、ユーザが優良ユーザであるという条件を満たしたと判断された時期と、その優良ユーザについて解析対象となる行動履歴の期間との間には、そのユーザが優良ユーザの条件を満たしていなかった期間(つまり、ユーザがサービスに加入した後の期間であって、上記の解析対象とはならない行動履歴の期間)が存在する。このように判断時期と解析対象期間とに時期的な隔たりがある点も、従来技術には存在しなかった、本実施形態の特徴と言える。なお、本実施形態においては、ユーザの行動履歴を、ユーザがユーザ端末10を操作してWebページにアクセスしたアクセス履歴とする。
【0033】
[エンゲージメント指数の算出]
エンゲージメントとは、ユーザとサービス提供者との繋がりないし絆の強さ、或いは、サービス提供者に対するユーザの愛着の大きさを測る指標である。本実施形態において、エンゲージメントは、サービスに加入しているユーザ(サービス加入ユーザという)及びサービスに加入していないユーザ(サービス未加入ユーザという)によるWebページへのアクセス履歴を用いて、エンゲージメントの大きさ(エンゲージメント指数という)を算出する。このように、前述したコンバージョンを獲得していないサービス未加入ユーザも含めた、あらゆるユーザのアクセス履歴を用いることで、ネットワーク2にアクセスし得る全ユーザからサービス提供者に対する総合的なエンゲージメント指数を算出し得る。
【0034】
サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザのアクセス対象となるWebページは、サービス提供システム20に記憶されたWebページである。そのアクセス履歴は、例えば、各ユーザを識別するための何らかのユーザ識別情報、Webページにアクセスした日時、アクセスされたWebページの識別情報(例えばURL:Uniform Resource Locator)、そのWebページに対するユーザの閲覧期間や閲覧範囲等を含む。
【0035】
ところで、サービス提供システム20に記憶されたWebページ群には、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスし得るWebページ(例えば映像又は音楽の視聴サービスの概要等に関する情報が記述されたWebページ)と、サービス加入ユーザがアクセスし得るが未加入ユーザがアクセスし得ないWebページ(例えば映像又は音楽の視聴サービスそのものが提供されるWebページ)とがある。一般に、サービス提供者は、どのWebページが、加入ユーザ及び未加入ユーザの双方がアクセスし得るWebページなのか、又は、加入ユーザがアクセスし得るが未加入ユーザがアクセスし得ないWebページなのかを管理している。しかし例外的に、例えば、1のサービス提供者が企業同士の合併等を過去に複数回経て構成されているようなケースでは、そのようなWebページの管理が十分でない場合、つまりどのWebページが加入ユーザ及び未加入ユーザの双方がアクセスし得るWebページなのか、又は、加入ユーザがアクセスし得るが未加入ユーザがアクセスし得ないWebページなのかが不明である場合も考えられる。
【0036】
本実施形態では、このような場合を想定して、サービス加入ユーザがアクセス可能でサービス未加入ユーザがアクセスできないWebページと、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページとを、より簡易な方法で判別するようにしている。そして、このようにして判別された、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページへのアクセス履歴を用いて、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザを含む全ユーザの各々について、エンゲージメント指数を算出する。
【0037】
図4は、情報処理装置30の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置30において上記ハードウェアが連携することによって、取得部31、判断部32、解析部33、出力部34、特定部35、抽出部36及び算出部37という機能が実現される。取得部31、判断部32、解析部33及び出力部34は主に、優良ユーザに対する解析に関わる機能であり、取得部31、特定部35、抽出部36、算出部37及び出力部34は主に、エンゲージメント指数の算出に関わる機能である。
【0038】
取得部31は、各々のユーザ(サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザを含む)による行動履歴(ここではアクセス履歴)を取得する。取得部31は、例えばサービス提供システム20に蓄積されているアクセス履歴を、サービス提供システム20から取得する。
【0039】
特に優良ユーザに対する解析に関して、取得部31は、各々のユーザがサービスに加入する前における、そのユーザによる行動履歴を取得する。本実施形態においては、ユーザの行動履歴を、ユーザがユーザ端末10を操作してWebページにアクセスしたアクセス履歴とする。このアクセス履歴の対象となる期間は、ユーザのサービス加入時点から、その加入時点よりも所定期間前までの期間であってもよいし(例えばサービス加入前の1年間)、そのような期間を定めずに、ユーザのサービス加入前に相当する全期間におけるアクセス履歴であってもよい。アクセス対象となるWebページは、サービス提供システム20に記憶されたWebページであってもよいし、サービス提供システム20以外の装置によって記憶されたWebページであってもよい。アクセス履歴は、例えば、ユーザを識別するための何らかのユーザ識別情報、Webページにアクセスした日時、アクセスされたWebページの識別情報(例えばURL:Uniform Resource Locator)、そのWebページに対するユーザの閲覧期間や閲覧範囲等を含む。ユーザがアクセスしたWebページがサービス提供システム20に記憶されている場合は、取得部31はサービス提供システム20からアクセス履歴を取得すればよい。サービス提供システム20に記憶されているWebページは、このサービス提供システム20が提供し得る各サービスの内容に関するWebページ(例えばサービスの内容を宣伝又は紹介するWebページ等)を含む。また、ユーザがアクセスしたWebページがサービス提供システム20以外の装置によって記憶されている場合は、取得部31は、例えばユーザ端末10に記憶されたアクセス履歴をそのユーザ端末10からネットワーク2経由で取得すればよい。
【0040】
判断部32は、各々のユーザが、サービス提供システム20が提供する、いずれかのサービスに加入した後に、そのユーザがそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かを判断する。どのようなユーザが優良ユーザに該当するかという条件は、判断部32が備える優良ユーザ条件記憶部321に記憶されている。優良ユーザをどのように定義するかは任意に決められる。
【0041】
例えば、この優良ユーザの条件の一例として、サービスの利用頻度又は回数(例えば所定期間内にサービスを利用した回数)、サービスの利用に対する対価(例えば所定期間内にサービスを利用することによってサービス提供システム20の運営者に支払った対価の額)、又はサービスの利用形態(例えば1つのサービス全体に複数の利用形態が含まれている場合に、利用した形態の数:具体的には、ネットショッピングサービスにおいて商品又はサービスを購入したネット店舗の数)において、それぞれ閾値を定めておき、その閾値を超えるような利用を行ったユーザを優良ユーザとするような例が考えられる。具体的には、例えばネットショッピングサービスにおいて1ヶ月に4〜10回のショッピングを行い、そのショッピングで支払った総額が4〜7万円であり、且つ、利用したネット店舗の数が3〜6店である、というような利用を行ったユーザを優良ユーザとする、といった具合である。ただし、このような優良ユーザの条件は一例に過ぎない。また、サービス提供システム20が提供する全サービスにおいて優良ユーザの条件が同じであってもよいし、サービス単位で優良ユーザの条件が異なっていてもよい。このようなユーザのサービス利用履歴はサービス提供システム20に記憶されており、判断部32は、この記憶内容に基づいて各ユーザが優良ユーザの条件を充足したか否かを判断する。
【0042】
解析部33は、サービス加入後にそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したと判断されたユーザを特定し、そのユーザについて取得部31により取得されたサービス加入前のアクセス履歴を解析する。この解析は、例えば、優良ユーザの条件の充足の有無とアクセス履歴との関係性を対象とした解析である。出力部34は、解析部33による解析結果に関する情報を出力する。
【0043】
より具体的には、解析部33は、次のような説明変数、中間目的変数及び目的変数の機械学習を行うことにより、学習モデルを生成する。説明変数は、優良ユーザについてサービス加入前に取得部31により取得されたユーザのアクセス履歴のそれぞれである、目的変数は、それぞれのサービスごとに、サービス加入後にそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かという情報である。中間目的変数は、ユーザのアクセス履歴から特定される、アクセスの頻度及びアクセスの範囲である。ここで、アクセスの頻度とは、所定期間内にユーザがWebページにアクセスした回数である。アクセスの広がりとは、階層的なWebページ構造において、階層方向を垂直方向としたときの水平方向についてカウントされたアクセスの頻度又は回数である。アクセスの深さとは、階層的なWebページ構造において、階層方向、つまり垂直方向についてカウントされたアクセスの頻度又は回数である。
【0044】
本実施形態においてサービス提供システム20によって提供されるサービスは複数あるが、上記機械学習における目的変数が、一のサービス加入後にそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かという情報であるのに対し、説明変数は、サービス提供システム20によって提供される複数のサービスに関するWebページに対するアクセス履歴である。例えば、ネットショッピングサービスの優良ユーザについての機械学習において、目的変数が、ネットショッピングサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かという情報であるのに対し、説明変数は、サービス提供システム20によって提供される複数のサービス(ネットショッピングサービスを含む)のそれぞれに関するWebページに対するアクセス履歴である。このように、本実施形態では、取得部31が、ユーザの一のサービスの加入前における、複数のサービスに関するアクセス履歴を取得し、解析部33が、ユーザが一のサービス加入後にその一のサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かを判断する場合、その解析部33は、一のサービス加入後にその一のサービスにおける優良ユーザの条件を充足したと判断されたユーザについて取得部31により取得された複数のサービスに関するアクセス履歴を解析する。つまり、解析部33は、一のサービスにおける優良ユーザの条件の充足の有無と、複数のサービスに関するアクセス履歴との関係性を解析する。
【0045】
この学習モデルにより、サービス加入後に優良ユーザとなったユーザがサービス加入前にどのような行動をしていたかを把握することが可能となる。例えば、ネットショッピングサービスにおいて1ヶ月に4〜10回のショッピングを行い、そのショッピングで支払った総額が4〜7万円であり、且つ、利用したネット店舗の数が3〜6店である、というような利用を行ったユーザを優良ユーザと定義した場合、その優良ユーザがネットショッピングサービスに加入する前において、どのようなWebページにいつアクセスし、そのWebページをどのくらいの期間、どのくらいの範囲で閲覧していたかというようなことが分かることになる。つまり、ネットショッピングサービス加入前にこのようなアクセス行動を行っていたユーザは、ネットショッピングサービス加入後に優良ユーザとなる可能性が高いから、そのようなアクセス行動を行っていたユーザ群に対して、ネットショッピングサービスに関する宣伝又は紹介等を集中的に行うようにすれば、より多くの優良ユーザを獲得することが期待できる。
【0046】
特定部35は、或るサービスに関する複数のWebページに対するアクセス履歴が取得部31によって取得されると、各々のWebページにアクセスした各ユーザの、当該サービスへの加入の有無を特定する。この特定を行うため、特定部35は、図8に例示するような、ユーザ識別情報と、そのユーザが各サービスに加入しているか否かを示す情報とを対応付けたユーザデータベース351を記憶している。
【0047】
抽出部36は、取得部31によって取得されたアクセス履歴において、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、エンゲージメント指数の算出に用いるWebページを抽出する。この抽出を行うため、抽出部36は、図9に例示するような、Webページを識別する情報であるURLと、そのWebページがエンゲージメント指数を算出する対象となるWebページであるか否かを示す対象フラグと、そのWebページに対するサービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザのアクセス履歴(具体的には取得部31によって取得されたアクセス履歴から算出されるアクセス数)と、そのWebページの重要度とを対応付けたアクセス履歴データベース361を記憶している。アクセス履歴は、アクセス数に関する履歴として、いわゆるUU(Unique User)及びPV(Page View)の双方を含んでいてもよいし、いずれか一方であってもよい。
【0048】
エンゲージメント指数を算出する対象となるWebページは、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、対応する重要度が閾値以上(例えば8以上)であって、且つ、アクセス数の順位が所定順位以上(例えば上位100位以上)のWebページである。図9の例では、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、「aaa.html」のWebページは、重要度が「8」以上に該当するから、エンゲージメント指数を算出する対象となるWebページである。これに対し、「ddd.html」のWebページは、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているが、重要度が「8」以上ではないから、エンゲージメント指数を算出する対象となるWebページではない。また、サービス未加入ユーザがアクセスしていないWebページ(「bbb.html」のWebページ及び「ccc.html」のWebページ)は、エンゲージメント指数を算出する対象となるWebページではない。
【0049】
ここで、重要度は、サービス提供システム20の運営者の指示に基づいて決められている。運営者は、各Webページの内容を参考にして、エンゲージメント指数の算出に適した内容のWebページの重要度が高くなるように、情報処理装置30に対して指示(入力)すればよい。このように、抽出部36は、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしている各々のWebページに対する重要度を特定し、当該重要度に基づいて抽出を行う。ただし、このような重要度を用いる抽出は必ずしも必須ではなく、抽象度を用いない抽出であってもよい。
【0050】
算出部37は、抽出部36により抽出されたWebページに対するアクセス履歴に基づいて、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出する。この算出方法としては周知のアルゴリズムが用いられるが、例えばアクセス数が多いほどエンゲージメント指数が高くなるようなアルゴリズムが考えられる。出力部34は、算出部37による算出結果に関する情報を出力する。
【0051】
[動作]
次に、図5,6を参照して、情報処理装置30の動作について説明する。なお、以下の説明において、情報処理装置30を処理の主体として記載する場合には、具体的にはプロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信や、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することにより、処理が実行されることを意味する。ユーザ端末10についても同様である。
【0052】
図5において、ユーザはユーザ端末10を用いて、ネットワーク2経由で様々なWebページにアクセスする。このアクセス履歴においては、ユーザの属性、趣味嗜好又は思考などの、それぞれのユーザに固有のものが反映されることになる。情報処理装置30において、取得部31は、各々のユーザがサービスに加入する前における、そのユーザによるアクセス履歴を取得する(ステップS11)。これにより、各ユーザのユーザ識別情報、Webページにアクセスした日時、アクセスされたWebページの識別情報、そのWebページに対するユーザの閲覧期間や閲覧範囲等が取得される。
【0053】
次に、判断部32は、各々のユーザが、サービス提供システム20が提供する各サービスに加入した後に、そのユーザがそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したか否かを判断する(ステップS12)。この優良ユーザの判断は、上記ユーザ識別情報を単位として行われる。
【0054】
次に、解析部33は、サービス加入後にそのサービスにおける優良ユーザの条件を充足したと判断部32によって判断されたユーザについて取得部31により取得されたサービス加入前のアクセス履歴に基づいて、前述したような機械学習により、優良ユーザの条件の充足の有無とアクセス履歴との関係性を解析して、学習モデルを生成する(ステップS13)。
【0055】
出力部34は、解析部33による解析結果に関する情報を出力する(ステップS14)。例えば出力部34は、解析部33により生成された学習モデルそのものを出力してもよいし、解析部33により生成された学習モデルにおいて優良ユーザのサービス加入前のアクセス履歴の統計的情報を出力してもよい。サービス提供システム20の運営者は、この出力結果を参照することにより、優良ユーザが各サービスに加入する前において、どのようなWebページにいつアクセスし、そのWebページをどのくらいの期間、どのくらいの範囲で閲覧していたかというようなことが分かることになる。つまり、サービス加入前にこのようなアクセス行動を行っていたユーザは、そのサービス加入後に優良ユーザとなる可能性が高いから、運営者は、そのようなアクセス行動を行っていたユーザ群に対して、上記サービスに関する宣伝又は紹介等を集中的に行うようにすれば、より多くの優良ユーザを獲得することが期待できる。
【0056】
次に、図6において、情報処理装置30の取得部31は、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザを含む全ユーザによるアクセス履歴を取得する(ステップS21)。これにより、各ユーザのユーザ識別情報、Webページにアクセスした日時、アクセスされたWebページの識別情報、そのWebページに対するユーザの閲覧期間や閲覧範囲等が取得される。
【0057】
特定部35は、図8に例示したユーザデータベース351を参照して、各々のWebページにアクセスした各ユーザの、当該サービスへの加入の有無を特定する(ステップS22)。この特定の結果、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザ別にアクセス履歴としてのアクセス数が、図9に例示したアクセス履歴データベースに分類して格納される。
【0058】
抽出部36は、取得部31によって取得されたアクセス履歴において、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、エンゲージメント指数の算出に用いるWebページを抽出する(ステップS23)。
【0059】
算出部37は、抽出部36により抽出されたWebページに対するアクセス履歴に基づいて、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの各々のエンゲージメント指数を算出する(ステップS24)。
【0060】
出力部34は、算出部37による算出結果に関する情報を出力する(ステップS25)。この算出結果には、各ユーザについて算出されたエンゲージメント指数が含まれている。サービス提供システム20の運営者は、この算出結果を参照することにより、各ユーザのエンゲージメント指数を把握することでき、これをブランド構築やマーケティングに関する活動に役立てることが可能となる。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、サービス加入ユーザがアクセス可能でサービス未加入ユーザがアクセスできないWebページと、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページとを判別することができる。さらに、全ユーザの各々についてエンゲージメント指数を算出することができる。
【0062】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
[変形例1]
上記実施形態では、エンゲージメント指数の算出において、抽出部36は、エンゲージメント指数を算出する対象となるWebページとして、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、対応する重要度が閾値以上(例えば8以上)であって、且つ、アクセス数の順位が所定順位以上(例えば上位100位以上)のWebページを抽出していた。ここで、アクセス数の順位の閾値である所定順位を、それぞれのサービスにおいて異なるようにしてもよい。例えば映像又は音楽の視聴サービスに対するエンゲージメント指数と、ネットショッピングサービスに対するエンゲージメント指数とを算出する場合において、算出部37は、映像又は音楽の視聴サービスに関するWebページへのアクセス履歴を用いて映像又は音楽の視聴サービスに対するエンゲージメント指数を算出し、ネットショッピングサービスに関するWebページへのアクセス履歴を用いてネットショッピングサービスに対するエンゲージメント指数を算出する。このとき、抽出部36は、映像又は音楽の視聴サービスに関するWebページへのアクセス履歴と、ネットショッピングサービスに関するWebページへのアクセス履歴とで、異なる所定順位を用いて上記抽出を行う。このように、複数のサービスがある場合に、所定順位が各々のサービスごとに異なるようにしてもよい。
【0063】
[変形例2]
上記実施形態ではエンゲージメント指数の算出において、サービス提供システムの運営者がWebページの重要度を指示していたが、これに代えて、情報処理装置30がWebページの内容を解析して重要度を特定するようにしてもよい。具体的には、情報処理装置30の抽出部36は、Webページに含まれるテキストデータに対して形態素解析や意図解析を行ったり、画像データに対して画像解析を行ったりして、そのWebページの内容を推定する。一方、どのようなWebページの内容にどのような重要度を付与するかといったアルゴリズムが抽出部36には記憶されており、抽出部36はそのアルゴリズムを用いて、エンゲージメント指数の算出に適した内容のWebページの重要度が高くなるような、重要度の特定を行う。
【0064】
[変形例3]
優良ユーザに対する解析に用いる行動履歴は、実施形態で例示した、ユーザ端末10を用いたネットワーク2経由のアクセス履歴に限定されない。例えばユーザがユーザ端末10を用いて現実の店舗でキャッシュレス決済を行ったときの購買履歴を行動履歴としてもよい。また、ユーザがユーザ端末10を用いてなんらかの媒体メディアにおいてメディアコンテンツを視聴したときの視聴履歴を行動履歴としてもよい。これらの行動履歴は例えばユーザ端末10に記憶されており、情報処理装置30の取得部31は、この行動履歴をユーザ端末10からネットワーク2経由で取得すればよい。このように、優良ユーザに対する解析において、ユーザの行動履歴は、情報処理装置30の取得部31が取得し得るものであればどのようなものであってもよい。
【0065】
[変形例4]
優良ユーザに対する解析において、ユーザの行動履歴の対象となる期間は、ユーザのサービス加入時点から、その加入時点よりも所定期間前までの期間であってもよかったし、そのような期間を定めずに、ユーザのサービス加入前に相当する全期間における行動履歴であってもよかった。このユーザの行動履歴の対象となる期間(履歴対象期間という)を何らかの条件に応じて変動させるようにしてもよい。例えばこの履歴対象期間が、ユーザが優良ユーザであると判断されたサービスに応じて変動してもよい。例えば、或るサービスx1において優良ユーザであると判断された場合には、その優良ユーザについての履歴対象期間が或る期間t1であるのに対し、別のサービスx2において優良ユーザであると判断された場合には、その優良ユーザについての履歴対象期間が或る期間t2であるといった具合である。これはサービスの内容に応じて、ユーザが優良ユーザになり得るか否かを判断するための行動履歴の量や機関が異なる場合があると考えられるからである。この場合、取得部31は、ユーザの一のサービスの加入前における、当該一のサービスに応じた期間内の行動履歴を取得することになる。
【0066】
[変形例5]
優良ユーザに対する解析において、解析部33は、ユーザがサービスに加入してから当該サービスにおける優良ユーザの条件を充足するまでの期間に応じた解析を行ってもよい。例えば、解析部33は、ユーザがサービスに加入してから当該サービスにおける優良ユーザの条件を充足するまでの期間t1(0<t1<閾値Tth)の場合と、ユーザがサービスに加入してから当該サービスにおける優良ユーザの条件を充足するまでの期間t2(閾値Tth<t2)の場合とで、それぞれ個別に機械学習をして、これらの各場合に対応する学習モデルを生成してもよい。このようにすれば、サービス加入後により早く優良ユーザになったユーザ群u1のサービス加入前の行動履歴と、ユーザ群u1よりも遅く優良ユーザになったユーザ群u2のサービス加入前の行動履歴とをそれぞれ把握することが可能となり、これに応じたマーケティング戦略を採れるようになる。
【0067】
[変形例6]
優良ユーザに対する解析において、優良ユーザか否かという2者択一の例で説明したが、サービスの利用の度合いに応じた複数段階の優良レベルがあってもよい。この場合、解析部33は、優良ユーザの優良レベルに応じた解析を行ってもよい。例えば、解析部33は、ユーザがより高い優良レベルに相当する優良ユーザの条件を充足した場合と、ユーザが上記よりも低い優良レベルに相当する優良ユーザの条件を充足した場合とで、それぞれ個別に機械学習をして、これらの各場合に対応する学習モデルを生成してもよい。このようにすれば、サービス加入後により高い優良レベルの優良ユーザになったユーザ群u1のサービス加入前の行動履歴と、ユーザ群u1よりも低い優良レベルの優良ユーザになったユーザ群u2のサービス加入前の行動履歴とをそれぞれ把握することが可能となり、これに応じたマーケティング戦略を採れるようになる。
【0068】
[その他の変形例]
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0069】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信制御部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0070】
例えば、本開示の一実施の形態における決済管理装置などは、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
【0071】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE−Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0072】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0073】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0074】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0075】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0076】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0077】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0078】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0079】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0080】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0081】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0082】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0083】
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0084】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1:情報処理システム、2:ネットワーク、10:ユーザ端末、20:サービス提供システム、30:情報処理装置、31:取得部、32:判断部、321:優良ユーザ条件記憶部、33:解析部、34:出力部、35:特定部、351:ユーザデータベース、36:抽出部、361:アクセス履歴データベース、37:算出部、1001:プロセッサ、1002:メモリ、1003:ストレージ、1004:通信装置、1005:入力装置、1006:出力装置、3001:プロセッサ、3002:メモリ、3003:ストレージ、3004:通信装置。
【要約】      (修正有)
【課題】サービス加入ユーザがアクセス可能でサービス未加入ユーザがアクセスできないWebページと、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセス可能なWebページとを判別する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置30において、特定部35は、或るサービスに関する複数のWebページに対するアクセス履歴が取得部31によって取得されると、各々のWebページにアクセスした各ユーザの、当該サービスへの加入の有無を特定する。抽出部36は、取得部31によって取得されたアクセス履歴において、サービス加入ユーザ及びサービス未加入ユーザの双方がアクセスしているWebページのうち、エンゲージメント指数の算出に用いるWebページを抽出する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9