(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876133
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】非空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-535844(P2019-535844)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公表番号】特表2020-514165(P2020-514165A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】US2017068499
(87)【国際公開番号】WO2018125902
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年8月28日
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/069388
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ゲイロ ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ナロウスキー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ライネ ティモシー ブレット
(72)【発明者】
【氏名】クロン スティーブン エム
【審査官】
松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−500932(JP,A)
【文献】
特開2016−179731(JP,A)
【文献】
特表2003−516264(JP,A)
【文献】
特開2002−361756(JP,A)
【文献】
特開2015−116868(JP,A)
【文献】
特開2013−039922(JP,A)
【文献】
国際公開第03/037661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 7/00−7/28
B60C 9/18−9/22
B60B 9/00−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気入りタイヤであって、
剛性中央環状部分と、
前記剛性中央環状部分の近くに円周方向に配置された環状剪断バンドと、
前記環状剪断バンドと前記剛性中央環状部分との間に配置された1つ以上の変形可能なスポークと、
前記非空気入りタイヤの周りに環状に延在する、前記非空気入りタイヤの外側の地面係合側を画定するトレッドであって、前記トレッドが、長さ、前記トレッドの前記外側の地面係合側から底部側に半径方向内方に延在する厚さ、および前記トレッドの一対の対向する側面の間に横方向に延在する幅を有し、前記幅が、前記トレッド厚さの方向および前記トレッド長さの方向を横断して延在する、トレッドと、
前記トレッドの前記外側の地面係合側に沿って配置された複数のトレッド要素であって、前記複数のトレッド要素が、長手方向溝によって離間された少なくとも一対のトレッド要素を含み、前記長手方向溝が、主に前記トレッド長さの前記方向に延在する、複数のトレッド要素と、
前記非空気入りタイヤの周りの円周方向および前記トレッド幅の方向に延在する1つ以上の変位した補強層であって、前記1つ以上の変位した補強層が、前記環状剪断バンド内に配置されており、前記長手方向溝が、前記1つ以上の変位した補強層のうちの少なくとも1つを軸方向に分離する、1つ以上の変位した補強層と、
前記非空気入りタイヤの周りの円周方向および前記トレッド幅の前記方向に延在する1つ以上の非変位の補強層と、を備え、前記1つ以上の非変位の補強層が、前記環状剪断バンド内に配置されており、前記1つ以上の変位した補強層が、前記トレッドと前記1つ以上の非変位の補強層との間に配置されている、非空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記長手方向溝が、主に前記トレッド厚さの前記方向に延在する深さを有し、さらに、前記長手方向溝の前記深さが、前記複数のトレッド要素のうちの隣接するトレッド要素の最大厚さより大きく、前記隣接するトレッド要素の前記最大厚さが、前記トレッド要素の下の前記環状剪断バンドの最も外側の半径の点から、前記隣接するトレッド要素に関連付けられた前記トレッドの前記外側の地面係合側まで測定される、請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記長手方向溝の前記深さが、前記複数のトレッド要素のうちの前記隣接するトレッド要素の前記最大厚さの少なくとも125%に等しい、請求項2に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記1つ以上の変位した補強層が、前記トレッド厚さの前記方向に積重配置で複数の変位した補強層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記1つ以上の変位した補強層および前記1つ以上の非変位の補強層が、前記トレッド幅の前記方向に直線状にまたはアーチ状経路に沿って延在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項6】
2つ以上の追加の変位した補強層が、前記積重配置を形成する、請求項4に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記1つ以上の非変位の補強層の追加の補強層の各々が連続的である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記複数のトレッド要素が、横方向溝によって離間された少なくとも一対のトレッド要素を含み、前記横方向溝が、主に前記トレッド幅の前記方向に延在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、(米国受理官庁の役目を務める)米国特許庁で2016年12月30日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/069388号に対する優先権およびその利益を主張し、該出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、概して、非空気入りタイヤと共に使用するための剪断バンドおよびトレッドに関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤの転がり抵抗の低減は、使用中に無駄なエネルギーの量を低減することによって、燃料効率を改善し得ることを認識されたい。しかしながら、タイヤの転がり抵抗を低減するための努力の一環として、多くの場合、他の性能測定値の低減をもたらし得る他の犠牲がなされる。例えば、タイヤの転がり抵抗を低減する際、多くの場合、内部に含まれる空隙と共にトレッド厚さが低減される。その結果、空隙体積の低減により、雨天性能に悪影響を与える。このような事例では、転がり抵抗を低減しながら、所望のレベルの雨天性能を維持するのを助ける所望の溝深さを維持するために、トレッド厚さを低減することが所望される。具体的には、トレッド厚さを低減すると、任意の長手方向溝の深さも低減され、トレッドと路面との接触を促進するために水を消費するのに有用な空隙体積が直ちに低減する。失われた空隙を取り戻すために溝が広げられると、接触表面積が減少し、利用可能なトラクション量を低減させ、ひいてはある特定のタイヤ性能測定値を低減させる。したがって、転がり抵抗を低減しつつ、雨天性能のいかなる低減も最小限に抑えることもできる改善されたタイヤトレッドが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の特定の実施形態は、非空気入りタイヤを備える。非空気入りタイヤは、剛性中央環状部分と、中央環状部分の近くに円周方向に配置された環状剪断バンドと、環状剪断バンドと中央環状部分との間に配置された1つ以上の変形可能なスポークとを備える。非空気入りタイヤは、非空気入りタイヤの周りに環状に延在する、非空気入りタイヤの外側の地面係合側を画定するトレッドをさらに含む。トレッドは、長さと、トレッドの地面係合側から底部側に半径方向内方に延在する厚さと、トレッドの一対の対向する側面の間に横方向に延在する幅とを有する。トレッドの幅はまた、トレッド厚さの方向およびトレッド長さの方向を横断して延在する。非空気入りタイヤは、トレッドの外側の地面係合側に沿って配置された複数のトレッド要素をさらに含む。複数のトレッド要素は、主にトレッド長さの方向に延在する長手方向溝によって離間された少なくとも一対のトレッド要素を含む。非空気入りタイヤは、非空気入りタイヤの周りの円周方向およびトレッド幅の方向に延在する1つ以上の変位した補強層をさらに含む。1つ以上の変位した補強層は、長手方向溝が1つ以上の変位した補強層のうちの少なくとも1つを通って延在するように環状剪断バンド内に配置されているため、1つ以上の変位した補強層のうちの少なくとも1つの対向する部分を分離する。非空気入りタイヤは、非空気入りタイヤの周りの円周方向およびトレッド幅の方向に延在する1つ以上の非変位の補強層をさらに含む。1つ以上の非変位の補強層は、環状剪断バンド内に配置されている。1つ以上の変位した補強層は、トレッドと1つ以上の非変位の補強層との間に配置されている。
【0005】
前述および他の実施形態、目的、特徴、および本明細書の実施形態の利点は、同様の参照番号が実施形態の同様の部品を表す添付の図面に例示されるように、特定の実施形態についての以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による、非空気入りタイヤの斜視図である。
【
図2】
図1に示されるタイヤの線2−2に沿ってとられた先行技術の非空気入りタイヤトレッドの断面図である。
【
図3】一実施形態による、改善された非空気入りタイヤトレッドの断面図であり、改善された非空気入りタイヤトレッドは、
図2に示される先行技術の非空気入りタイヤトレッドの改善版である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書の実施形態は、改善された非空気入りタイヤを説明する。
【0008】
特定の実施形態では、非空気入りタイヤは、剛性中央環状部分を備える。非空気入りタイヤは、中央環状部分の近くに円周方向に配置された環状剪断バンドをさらに備える。環状剪断バンドは、複数の補強層を含み、かかる各層は、複数の細長い補強材を含む。剪断バンドも非空気入りタイヤも、任意の加圧空気を保持するようには構成されていない。非空気入りタイヤは、環状剪断バンドと中央環状部分との間に配置された1つ以上の変形可能なスポークをさらに備える。1つ以上の変形可能なスポークは、中央環状部分の、またはより全般的には非空気入りタイヤの回転軸の周りに離間されており、各変形可能なスポークの長さは、主に中央環状部分または非空気入りタイヤの半径方向に延在する。中央環状部分および非空気入りタイヤの回転軸は、中央環状部分および非空気入りタイヤの軸方向に対応する。中央環状部分または非空気入りタイヤの軸方向は、それらの半径方向に対して直角である。環状剪断バンドは、1つ以上の変形可能なスポークの半径方向外方範囲に動作可能に取り付けられており、1つ以上の変形可能なスポークは、半径方向内方範囲で中央環状部分に接続されている。
【0009】
非空気入りタイヤは、トレッドをさらに含む。トレッドは、非空気入りタイヤおよび剪断バンドの周りに環状に延在する、非空気入りタイヤの外側の地面係合側を画定する。トレッドは、非空気入りタイヤの円周方向に延在する長さを有する。トレッドはまた、トレッドの地面係合側からトレッドの底部側に半径方向内方に延在する厚さを有する。トレッド厚さは、トレッド長さに対して直角に延在する。トレッドは、トレッドの一対の対向する側面の間に横方向に延在する幅をさらに含む。トレッドの幅は、トレッド厚さの方向およびトレッド長さの方向の両方に対して直角にまたはそれらを横断して延在する。
【0010】
特定の実施形態では、非空気入りタイヤは、複数のトレッド要素をさらに含む。トレッド要素は、概して、離間された空隙、または任意の1つ以上の空隙から離間されたトレッドの側面によって形成されている。複数のトレッド要素は、トレッドの外側の地面係合側に沿って配置されており、長手方向溝によって離間されている。長手方向溝は、主にトレッド長さの方向(すなわち、一緒に利用されるときの非空気入りタイヤの円周)に延在するが、トレッドの全長に延在する必要はない。トレッドは、2つ以上の長手方向溝を含み得ることを認識されたい。
【0011】
長手方向溝の深さを犠牲にすることなく、トレッド厚さの低減を可能にするために、剪断バンド補強層のうちの1つ以上は、補強層の一部分を排除して(「変位」させて)、長手方向溝が貫通して延在する層内に空間または空隙を作り出すように、解剖または分離される。そうすることによって、長手方向溝の深さは、長手方向溝に隣接して(の隣に)配置されたトレッド要素に沿って測定した場合、タイヤトレッドの最大厚さ以上である。トレッド要素に関連付けられたトレッド厚さの部分は、トレッド要素の下の環状剪断バンドの最も半径方向外方の点(最も外側の半径の点)から、対応するトレッド要素に関連付けられたトレッドの外側の地面係合側まで測定される。ある特定の実施形態では、長手方向溝の深さは、隣接するトレッド要素の厚さの少なくとも125パーセントに等しい。他の実施形態では、長手方向溝の深さは、隣接するトレッド要素の厚さの少なくとも200パーセントに等しい。これらの実施形態では、例えば、長手方向溝の深さは、12ミリメートルに等しくてもよく、隣接するトレッド要素の最大厚さは、6ミリメートルに等しくてもよい。トレッドが2つ以上の長手方向溝を含む場合、各長手方向溝の深さは、他のすべての長手方向溝の深さに等しくなくてもよく、または代替の実施形態では、各長手方向溝の深さは、他の長手方向溝のうちのいずれかの深さに等しくなくてもよいことを認識されたい。
【0012】
任意のトレッド要素は、リブまたはトレッドブロック(「ラグ」)を形成し得ることを認識されたい。リブは、トレッド長さに沿って連続的に延在し得るか、または不連続なリブを形成するために介在するサイプもしくは横方向溝を含み得る。ブロックは、離間された横方向溝またはサイプによって境界付けられたトレッド要素である。トレッドブロックを他のブロックと共に配置して、不連続なリブを形成することができる。例えば、ある特定の実施形態では、非空気入りタイヤの複数のトレッド要素は、横方向溝によって離間された少なくとも一対のトレッド要素を含む。横方向溝は、主にトレッド幅の方向(すなわち、一緒に利用されるときの非空気入りタイヤの軸方向)に延在するが、トレッドの幅を横切って完全に延在する必要はない。トレッドは、2つ以上の横方向溝を含み得ることを認識されたい。
【0013】
前述のように、非空気入りタイヤは、環状剪断バンド内に配置された複数の補強層を含む。複数の補強層のうちの少なくとも1つまたは複数は、非空気入りタイヤの周りの円周方向およびトレッド幅の方向に延在する1つ以上の変位した(すなわち、不連続的な)補強層を含む。前述のように、1つ以上の変位した補強層の各々は、内部に長手方向溝が延在する不連続面(「空間」または「空隙」とも称される)を含む。複数回変位した補強層が存在する場合、不連続面が一緒に共通の不連続面を形成するように、複数回変位した補強層を一緒に積重して、各層の不連続面が横方向に位置合わせされた(または「積重」された)共通の不連続面を作り出す。最後に、1つ以上の変位した補強層は、長手方向溝が1つ以上の変位した補強層を通って延在するように環状剪断バンド内に配置されている。これらの実施形態では、長手方向溝は、トレッド幅の方向に長手方向溝の両側に配置された対向するトレッド要素の下に位置する1つ以上の変位した補強層の対向する部分を分離する。複数の補強層はまた、非空気入りタイヤの周りの円周方向に延在し、かつトレッド幅を横切ってトレッド幅の方向に延在する1つ以上の非変位の(すなわち、連続的な)補強層を含む。1つ以上の非変位の補強層は、長手方向溝が1つ以上の非変位の補強層のうちのいずれかを通って延在しないように環状剪断バンド内に配置されている。1つ以上の変位した補強層は、トレッドと1つ以上の非変位の補強層との間に配置されている。
【0014】
特定の実施形態では、1つ以上の変位した補強層および1つ以上の非変位の補強層は、トレッド幅の方向に直線状にまたはわずかにアーチ状の経路に沿って延在する。換言すれば、内部に長手方向溝が延在する共通の不連続面を形成するために、剪断バンド内に共通の不連続面を形成する複数の補強層のいずれも任意の交互の非直線状経路に沿って横方向、すなわち、トレッド幅の方向に延在しない。
【0015】
特定の実施形態では、1つ以上の長手方向溝に対する環状剪断バンドの構造により、1つ以上の長手方向溝は、トレッド深さ全体を利用することができ、その結果、長手方向溝はトレッドの全耐用年数にわたってアクティブなままである。複数の補強層の積重配置に関しては、補強材積重のサイズおよび深さは、トレッド要素の所望の幅および1つ以上の長手方向溝の所要の深さの関数である。このように、複数の補強層の積重配置により、より浅いトレッド深さを、深さが増加された1つ以上の長手方向溝で用いることができる。結果として、雨天性能を犠牲にすることなく、転がり抵抗および非空気入りタイヤの質量が低減される。
【0016】
ここで、上で論じられた非空気入りタイヤの特定の実施形態を、当該実施形態を例示する本明細書に添付の図と関連付けて以下にさらに詳細に記載する。
【0017】
図1に示される例示的な実施形態を参照すると、非空気入りタイヤ10が例示されている。非空気入りタイヤ10は、剛性中央環状部分12を備える。非空気入りタイヤ10は、中央環状部分12の近くに円周方向に配置されているが、中央環状部分12に直接接触しない環状剪断バンド14をさらに備える。非空気入りタイヤ10は、環状剪断バンド14と中央環状部分12との間に配置された複数の変形可能なスポーク16をさらに備える。複数の変形可能なスポーク16は、非空気入りタイヤ10の回転軸でもある、中央環状部分12の回転軸の周りに離間されている。中央環状部分12および非空気入りタイヤ10の回転軸は、中央環状部分12および非空気入りタイヤ10の軸方向Aに対応する。このように、変形可能なスポーク16の各々の長さは、非空気入りタイヤ10の中央環状部分12の半径方向Rに延在する。中央環状部分12および非空気入りタイヤ10の軸方向Aは、それらの半径方向Rに対して直角である。環状剪断バンド14は、複数の変形可能なスポーク16の半径方向外方範囲に動作可能に取り付けられおり、複数の変形可能なスポーク16は、半径方向内方範囲で中央環状部分12に接続されている。
【0018】
図1の非空気入りタイヤ10はまた、トレッド18を含む。特に
図2に関連して、先行技術の非空気入りタイヤトレッドが例示されている。非空気入りタイヤトレッドは、非空気入りタイヤ(図示せず)の中央環状部分の周りに円周方向に延在するように構成された環状剪断バンド114を含む。トレッド118は、外側の地面係合側120と底部側122とを含む。トレッド118は、タイヤの周りに円周方向に延在するように構成された長さと、トレッド118の地面係合側120から底部側122に半径方向内方に延在する厚さT
118とを有し、長さは厚さに対して直角である。トレッド118は、トレッド118の一対の対向する側面の間に横方向に延在する幅W
118をさらに含む。幅W
118は、トレッド厚さT
118およびトレッド長さに対して直角に延在する。
【0019】
先行技術のトレッド118は、トレッド118の外側の地面係合側120に沿って配置された複数のトレッド要素124を含む。トレッド要素124内に配置されたトレッド厚さT
118の部分は、トレッド要素124の下の環状剪断バンド114の最も半径方向外方の点からトレッド118の外側の地面係合側120に半径方向外方に延在する厚さT
124を有する。示される例示的な先行技術の非空気入りタイヤトレッドでは、一対のトレッド要素124が長手方向溝126によって離間されている。各長手方向溝126は、対応するトレッド要素124の外側の地面係合側120から長手方向溝126の底部に延在する深さD
126を有する。最後の説明として、環状剪断バンド114は、複数の補強層128を含み、かかる各層128は、複数の細長い補強材130を含む。
【0020】
図3を参照すると、改善された非空気入りタイヤトレッド18が例示されている。トレッド18は、非空気入りタイヤ10の外側の地面係合側20を画定する。トレッド18の外側の地面係合側20は、非空気入りタイヤ10および環状剪断バンド14の周りに環状に延在する。トレッド18はまた、非空気入りタイヤ10の円周方向に延在する長さを有する。トレッド18は、トレッド18の外側の地面係合側20からトレッド18の底部側22に半径方向内方に延在する厚さT
18を有する。トレッド厚さT
18は、トレッド長さに対して直角に延在する。トレッド18は、トレッド18の一対の対向する側面の間に横方向に延在する幅W
18をさらに含む。幅W
18は、トレッド厚さT
18の方向およびトレッド長さの方向の両方に対して直角にまたはそれらを横断して延在する。
【0021】
図3にさらに例示されるように、非空気入りタイヤ10のトレッド18は、複数のトレッド要素24をさらに含む。複数のトレッド要素24は、トレッド18の外側の地面係合側20に沿って配置されており、長手方向溝26によって互いに離間されている。各長手方向溝26は主に、トレッド18が一緒に利用されるときの非空気入りタイヤ10の円周に対応する、トレッド18の長さの方向に延在する。さらに、各長手方向溝26は、主にトレッド厚さT
18の方向に延在する深さD
26を有する。長手方向溝26の深さD
26は、長手方向溝26に隣接して配置されたトレッド要素24に沿って測定した場合、最大厚さT
24より大きい。トレッド要素24の厚さT
24は、トレッド要素24の下の環状剪断バンド14の最も半径方向外方の点から、対応するトレッド要素24に関連付けられたトレッド18の外側の地面係合側20まで測定される。
【0022】
図3にさらに示されるように、非空気入りタイヤ10の環状剪断バンド14は、環状剪断バンド14内に配置された複数の補強層28を含み、かかる各層28は、複数の細長い補強材30を含む。複数の補強層28は、変位した(すなわち、不連続な)補強層28
dおよび非変位の(すなわち、連続的な)補強層28
ndの両方を含む。各非変位の補強層28
ndおよび各変位した補強層28
dを含む各補強層28は、非空気入りタイヤ10の周りの円周方向およびトレッド幅W
18の方向に延在する。変位した補強層28
dは、長手方向溝26のうちの少なくとも1つが変位した補強層28
dのうちの少なくとも1つを通って延在するように環状剪断バンド14内に配置されている。この実施形態では、長手方向溝26は、変位した補強層28
dの各々の対向する部分28
d1および28
d2を分離する。変位した補強層28
dの各々の対向する部分28
d1および28
d2は、対応する長手方向溝26のいずれかの側にトレッド幅W
18の方向に配置された対向するトレッド要素24
1および24
2の下に位置する。加えて、複数の非変位の補強層28
ndは、対応する長手方向溝26が複数の非変位の補強層28
ndのうちのいずれかを通って延在しないように、非空気入りタイヤ10の環状剪断バンド14内に配置されている。複数の変位した補強層28
dは、トレッド18と複数の非変位の補強層28
ndとの間に配置されている。複数の変位した補強層28
dおよび複数の非変位の補強層28
ndは、直線状にトレッド幅W
18の方向に延在する。
【0023】
図3の実施形態では、複数の変位した補強層28
dは、トレッド厚さT
18の方向に積重配置で環状剪断バンド14内に配置されている。このようにして、長手方向溝26は、隣接するトレッド要素24の厚さT
24よりも半径方向内方の環状剪断バンド14内の深さまで延在する。
【0024】
使用される範囲まで、本明細書の特許請求の範囲および/または明細書において使用されるような「備える(comprising)」、「含む(including)」、ならびに「有する(having)」という用語は、指定されない他の要素を含み得るオープン群を指示するものとして考えられるものとする。用語「1つ(a)」、「1つ(an)」、および単数形の語は、同じ語の複数形を含むものと解釈されるため、それらの用語は、何かの1つ以上が提供されることを意味する。「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という用語は、互換的に使用される。「単一」という用語は、何かの1つ、かつ唯一のものが意図されていることを示すために使用されるものとする。同様に、明示された数の物が意図されている場合には、「2)」などの他の明示された整数値が使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「好む」、「任意に」、「し得る(may)」という用語、および類似の用語は、参照されている項目、条件、またはステップが、実施形態の任意の(すなわち、必要とされない)特性であることを指示するために使用される。「a〜bの間」であると記載されている範囲は、特に明記されていない限り、「a」および「b」の値を包含する。
【0025】
実施形態をそれらの特定の実施形態に関して説明してきたが、かかる説明が例示目的のものに過ぎず、本明細書の特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、本明細書の範囲および内容は、以下の特許請求の範囲の用語によってのみ定められるものとする。さらに、本明細書で論じられるいずれの特定の実施形態の特徴も、特に指示しない限り、本明細書で他に論じられ、または企図した任意の1つ以上の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされ得ると理解される。