特許第6876136号(P6876136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876136ボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置及び撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876136
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/02 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   H03G3/02 B
   H03G3/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-544511(P2019-544511)
(86)(22)【出願日】2018年9月7日
(86)【国際出願番号】JP2018033213
(87)【国際公開番号】WO2019065159
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2017-184509(P2017-184509)
(32)【優先日】2017年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】神田 嵩臣
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−130671(JP,A)
【文献】 特開2007−251713(JP,A)
【文献】 特開平8−8663(JP,A)
【文献】 特開平1−194504(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0013394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G3/00−3/34
G05G1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能をスイッチで切り替えて、前記機能のレベルを共通のボリュームで制御する制御方法であって、
ボリュームの目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、前記目盛と前記レベルが最小となる最小点の近辺エリア又は最大となる最大点の近辺エリアを中点合致エリアとして設定し、
前記スイッチが選択した機能の切替前のレベルをメモリに記憶しておき、一旦前記スイッチが切り替えられた後に、前記スイッチが前記切替前の機能を選択すると、前記メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、前記操作点と前記最小点とを結んだ線又は前記操作点と前記最大点とを結んだ線の線上を前記操作点の軌道とし、
前記ボリュームの操作で前記操作点が前記中点合致エリアに入ると、前記最小点と前記最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を前記操作点が通過する軌道とし、前記中点を前記操作点が通過すると、前記初期状態の線上を前記操作点の軌道とすることを特徴とするボリュームの制御方法。
【請求項2】
横軸に、左から右に向かって大きくなるボリュームの目盛の大小を表し、縦軸に、下から上に向かって高くなるレベルの高低を表した平面において、当該平面の右下又は左上に所定の大きさの急峻制御禁止エリアを設け、操作点が前記急峻制御禁止エリアに入ると、前記操作点からの軌道変動を制限することを特徴とする請求書1記載のボリュームの制御方法。
【請求項3】
複数の機能を切り替えるスイッチと、
前記複数の機能のレベルを制御する共通のボリュームと、
前記機能毎に前記スイッチの切替前のレベルを記憶し、ボリュームの目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、前記目盛と前記レベルが最小となる最小点の近辺エリア又は最大となる最大点の近辺エリアを中点合致エリアとして設定されているメモリと、
前記スイッチが選択した機能から一旦切り替えられて、前記切替前の機能を選択すると、前記メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、当該操作点と前記最小点とを結んだ線又は前記操作点と前記最大点とを結んだ線の線上を前記操作点の軌道とし、前記ボリュームの操作で前記操作点が前記中点合致エリアに入ると、前記最小点と前記最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を前記操作点が通過する軌道とし、前記中点を前記操作点が通過すると、前記初期状態の線上を前記操作点の軌道とするよう制御を行うレベル調整部とを有することを特徴とするボリュームの制御装置。
【請求項4】
横軸に、左から右に向かって大きくなるボリュームの目盛の大小を表し、縦軸に、下から上に向かって高くなるレベルの高低を表した平面において、当該平面の右下又は左上に所定の大きさの急峻制御禁止エリアが設けられ、
レベル調整部は、操作点が前記急峻制御禁止エリアに入ると、前記操作点からの軌道変動を制限することを特徴とする請求書3記載のボリュームの制御装置。
【請求項5】
請求項3記載のボリュームの制御装置と、
ボリュームの目盛とレベルの関係を平面とし、操作点の軌道を表示する表示部とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の調整項目をスイッチで切り替えるボリュームの制御方法に係り、特に、ボリュームとレベルの変化量を1:1の状態に迅速に戻すことができるボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
電子機器に用いられるアナログ量調整ボリュームは、複雑な操作をすることなく設定値を調整できるため、様々な電子機器に広く利用されている。
従来の調整用ボリュームは、調整項目数と同じ数だけ必要になるため、調整項目数が多いほどボリューム数も多く配置しなければならなかった。
しかしながら、電子機器は小型化が求められ、配置できるボリューム数に限界がある。
【0003】
そこで、複数の調整項目を、スイッチとボリュームを組み合わせて調整することにより、ボリューム数の限界を克服する提案が為されている(例えば、下記の特許文献1,2)。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平08−008663号公報「電子ボリュームの拡張方法」(特許文献1)、特開2007−251713号公報「ボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置および撮像装置」(特許文献2)がある。
【0005】
特許文献1には、電子ボリュームの入力側と出力側に連動するスイッチを設け、入力信号が切り替わると、電子ボリュームの設定情報をメモリに保持し、元の入力信号に切り替わるとメモリから設定情報を読み出して設定することが示されている。これにより、複数の調整項目を1つの電子ボリュームで実現できるものである。
【0006】
特許文献2には、スイッチで選択された調整項目のレベルをメモリから読み出し、共通ボリュームの現在の目盛位置と読み出したレベルから共通ボリュームの単位変化量に対するレベルの変化量の割合を算出し、共通ボリュームの上下動があると現在のレベルをメモリに保持することが示されている。これにより、調整項目より少ないボリューム数で各調整項目のレベルの全レンジをカバーできる。
【0007】
特許文献1においては、ボリュームの単位変化量に対するレベルの変化量が常に一定であるため、ボリューム調整でレベルの全レンジをカバーできない場合があった。
これに対して、特許文献2では、調整項目よりも少ないボリューム数で各調整項目のレベルの全レンジをカバーすることが可能なボリュームの制御方法が提案されている。
【0008】
具体的には、特許文献1では、ボリュームの変化量とレベルの変化量が常に1:1では、切り替えたボリュームの位置によってレベルの最小値から最大値まで制御することができなくなる。
それに対して、特許文献2では、ボリュームの変化量に対し、値の変化量を変化させることで対応するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−008663号公報
【特許文献2】特開2007−251713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来例のボリュームの制御方法では、ボリュームとレベルの変化量を1:1に戻すには、ボリュームを最大(MAX)又は最小(MIN)にする必要があり、1:1の状態になるまで手間が掛かってしまうことになるという問題点があった。
【0011】
また、特許文献2では、ボリュームが制御する機能をスイッチにより切り替えた際に、ボリュームの目盛が極端に大きい位置、もしくは極端に小さい位置となった場合、その逆にそのレベル(設定値)が極端に小さい、もしくは極端に大きい場合に、ボリュームの目盛の変化量に対してレベルの変動が大きく、ユーザの想定よりも大きな変化を招いてしまうことがあった。
【0012】
特許文献1,2には、ボリュームとレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことについて記載がない。
また、特許文献1,2には、ボリュームが制御する機能をスイッチで切り替えた場合に、大幅な変化による予期せぬ動作を防止することについて記載がない。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、調整機能をスイッチで切り替えた場合に、ボリュームとレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことができ、違和感なく操作できるボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、上記目的に加え、ボリュームが制御する機能をスイッチで切り替えた場合に、大幅なレベル変化による予期せぬ動作を防止し、ユーザに安定した操作感を与えることを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数の機能をスイッチで切り替えて、機能のレベルを共通のボリュームで制御する制御方法であって、ボリュームの目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、目盛とレベルが最小となる最小点の近辺エリア又は最大となる最大点の近辺エリアを中点合致エリアとして設定し、スイッチが選択した機能の切替前のレベルをメモリに記憶しておき、一旦スイッチが切り替えられた後に、スイッチが切替前の機能を選択すると、メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、操作点と最小点とを結んだ線又は操作点と最大点とを結んだ線の線上を操作点の軌道とし、ボリュームの操作で操作点が中点合致エリアに入ると、最小点と最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を操作点が通過する軌道とし、中点を操作点が通過すると、初期状態の線上を操作点の軌道とすることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記ボリュームの制御方法において、横軸に、左から右に向かって大きくなるボリュームの目盛の大小を表し、縦軸に、下から上に向かって高くなるレベルの高低を表した平面において、当該平面の右下又は左上に所定の大きさの急峻制御禁止エリアを設け、操作点が急峻制御禁止エリアに入ると、操作点からの軌道変動を制限することを特徴とする。
【0017】
本発明は、ボリュームの制御装置において、複数の機能を切り替えるスイッチと、複数の機能のレベルを制御する共通のボリュームと、機能毎にスイッチの切替前のレベルを記憶し、ボリュームの目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、目盛とレベルが最小となる最小点の近辺エリア又は最大となる最大点の近辺エリアを中点合致エリアとして設定されているメモリと、スイッチが選択した機能から一旦切り替えられて、切替前の機能を選択すると、メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、当該操作点と最小点とを結んだ線又は操作点と最大点とを結んだ線の線上を操作点の軌道とし、ボリュームの操作で操作点が中点合致エリアに入ると、最小点と最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を操作点が通過する軌道とし、中点を操作点が通過すると、初期状態の線上を操作点の軌道とするよう制御を行うレベル調整部とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記ボリュームの制御装置において、メモリには、横軸に、左から右に向かって大きくなるボリュームの目盛の大小を表し、縦軸に、下から上に向かって高くなるレベルの高低を表した平面において、当該平面の右下又は左上に所定の大きさの急峻制御禁止エリアが設けられ、レベル調整部が、操作点が急峻制御禁止エリアに入ると、操作点からの軌道変動を制限することを特徴とする。
【0019】
本発明は、撮像装置において、上記ボリュームの制御装置と、ボリュームの目盛とレベルの関係を平面とし、操作点の軌道を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一旦スイッチが切り替えられた後に、スイッチが切替前の機能を選択すると、メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、操作点と最小点とを結んだ線又は操作点と最大点とを結んだ線の線上を操作点の軌道とし、ボリュームの操作で操作点が中点合致エリアに入ると、最小点と最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を操作点が通過する軌道とし、中点を操作点が通過すると、初期状態の線上を操作点の軌道とするボリュームの制御方法としているので、機能をスイッチで切り替えた場合に、ボリュームとレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことができ、違和感なく操作できる効果がある。
【0021】
本発明によれば、横軸に、左から右に向かって大きくなるボリュームの目盛の大小を表し、縦軸に、下から上に向かって高くなるレベルの高低を表した平面において、当該平面の右下又は左上に所定の大きさの急峻制御禁止エリアを設け、操作点が急峻制御禁止エリアに入ると、操作点からの軌道変動を制限する上記ボリュームの制御方法としているので、ボリュームが制御する機能をスイッチで切り替えた場合に、大幅なレベル変化による予期せぬ動作を防止し、ユーザに安定した操作感を与えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本装置の構成ブロック図である。
図2】本装置におけるレベル調整部での制御フローを示す概略図である。
図3】特許文献2のレベル調整部での制御フローを示す概略図である。
図4】特許文献2の制御手法を示す説明図である。
図5】本装置の制御手法を示す説明図である。
図6】カメラシステムへの適用例を示す構成図である。
図7】カメラ(撮像装置)への適用例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るボリュームの制御方法は、複数の機能をスイッチで切り替えて機能に応じてレベルを共通のボリュームで制御するものであって、スイッチが選択した機能から一旦切り替えられて、切替前の機能を選択すると、メモリに記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点として、当該操作点と最小点とを結んだ線又は操作点と最大点とを結んだ線の線上を操作点の軌道とし、ボリュームの操作で操作点が中点合致エリアに入ると、最小点と最大点とを結ぶ初期状態の線の中点を操作点が通過する軌道とし、操作点が中点を通過すると、初期状態の軌道に戻すようにしているので、機能をスイッチで切り替えた場合に、ボリュームとレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことができ、違和感なく操作できるものである。
【0024】
また、本発明の実施の形態に係るボリュームの制御方法は、ボリュームの目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、レベルの急激な変動を抑制する急峻制御禁止エリアを設け、操作点が急峻制御禁止エリアに入ると、操作点からの軌道変動を制限するものであり、ボリュームが制御する機能をスイッチで切り替えた場合に、大幅なレベル変化による予期せぬ動作を防止し、ユーザに安定した操作感を与えることができるものである。
【0025】
[本装置:図1
本発明の実施の形態に係るボリュームの制御装置(本装置)について図1を参照しながら説明する。図1は、本装置の構成ブロック図である。
本装置は、図1に示すように、機能A制御部10と、機能B制御部20と、機能Z制御部30と、ボリューム40と、スイッチ41と、切替制御部42と、メモリ43とを基本的に有している。
尚、機能B制御部20と機能Z制御部30との間には、複数の機能制御部が設けられている。
【0026】
各機能A〜Z制御部10〜30は、各制御対象A〜Zに対してレベル調整を行うものである。
各レベル調整部11〜31には、メモリ43から機能設定値がセットされ、制御対象のレベルを制御する。
切替制御部42は、スイッチ41を切り替え、ボリューム40を選択したレベル調整部11〜31に接続する。
【0027】
[本装置の各部]
本装置の各部について具体的に説明する。
機能A制御部10は、1番目の機能Aに対する制御部であり、レベル調整部11と、制御対象A12とを備えている。
レベル調整部11は、制御対象Aの機能に応じて、メモリ43から機能A用の設定値がセットされ、ボリューム40が接続されている場合には、その設定値でレベル調整を行う。
【0028】
機能B制御部20は、2番目の機能Bに対する制御部であり、レベル調整部21と、制御対象B22とを備えている。
レベル調整部21は、制御対象Bの機能に応じて、メモリ43から機能B用の設定値がセットされ、ボリューム40が接続されている場合には、その設定値を用いてボリューム40の値に応じてレベル調整を行う。
【0029】
機能Z制御部30は、N(Nは任意の整数)番目の機能Zに対する制御部であり、レベル調整部31と、制御対象Z32とを備えている。
レベル調整部31は、制御対象Zの機能に応じて、メモリ43から機能Z用の設定値がセットされ、ボリューム40が接続されている場合には、その設定値でレベル調整を行う。
【0030】
ボリューム40は、機能A〜Z制御部10〜30に対する共通ボリュームとなっており、スイッチ41の動作によって接続するレベル調整部11〜31が切り替えられる。
スイッチ41は、各レベル調整部とボリューム40との接続を切り替えるセレクタである。
【0031】
切替制御部42は、スイッチ41の切り替えを制御する。切り替え制御は、操作によって行ってもよいし、何らかの信号を検出して自動的に切り替え制御を行ってもよい。
メモリ43は、機能A〜Z制御部10〜30に対する設定値を記憶している。設定値は、機能毎にボリューム目盛に対応するレベルの値、もしくはレベルの値を算出する式となる。
また、メモリ43には、スイッチ41が切り替わったときのレベルの値をレベル調整部毎に記憶している。
【0032】
本装置は、基本的には、ボリューム40に接続するレベル調整部11〜31がボリューム40の値を入力し、メモリ43から設定された設定値によってレベル調整を行って制御対象への制御を行う。
【0033】
そして、ボリューム40の値が、MINからMAXの間にあるときに、スイッチ41が切り替わり、ボリューム40の値を上下して、再度、スイッチ41が元の接続先に切り替わると、切替前のレベルの値をメモリ43から読み込み、レベル調整を行うことになる。
スイッチ41の切り替えとボリューム40によるレベル調整の詳細は後述する。
【0034】
[レベル調整部での制御フロー:図2図3
次に、本装置におけるレベル調整部での制御フローについて図2,3を参照しながら説明する。図2は、本装置におけるレベル調整部での制御フローを示す概略図であり、図3は、特許文献2のレベル調整部での制御フローを示す概略図である。
本装置の特徴を明確にするために、先に図3の従来技術での制御フローを説明する。
【0035】
[従来の制御フロー:図3
図3(a)では、例えば、スイッチ41がボリューム40をレベル調整部11に接続している状態での初期状態を示しており、ボリューム40の目盛とレベルの値は、1:1の状態となっている。
【0036】
そして、例えば、ボリューム40の目盛が「3」でレベルの値「3」の状態で、スイッチ41がボリューム40をレベル調整部21に切り替えたとする。すると、レベル調整部11はボリューム40の目盛「3」とレベルの値「3」をメモリ43に記憶する。
そして、ボリューム40の目盛を「8」に上げるよう移動させ、その状態でスイッチ41が再度レベル調整部11に接続するよう切り替えたとする。
【0037】
すると、レベル調整部11は、メモリ43から切り替わる前のレベルの値「3」を読み込み、レベル調整を開始する。この場合、ボリューム40の目盛は「8」に移動しているが、読み出されたレベルの値は「3」であるため、図3(b)に示すような操作点102となる。
操作点は、その時点でのボリューム40の目盛と実際のレベルとで特定される点である。
【0038】
図3(b)に示すように、操作点102からMIN(0,0)にレベルを下げる場合は、操作点102からMIN(0,0)を結んだ直線の軌跡上で移動し、操作点102からMAX(10,10)にレベルを上げる場合には、操作点102からMAXの点を結んだ直線の軌跡上を移動することになる。
【0039】
そして、ボリューム40の目盛を「8」から「9」に上げた場合を図3(c)に示す。
つまり、操作点102は、ボリューム40の目盛が「9」となり、そこからボリューム40を上げる場合はそのままの軌跡上を移動することになるが、ボリューム40を下げる場合には、図3(c)に示すように、その操作点102とMIN(0,0)とを結んだ直線の軌跡上を移動することになる。
尚、点線は、操作点が移動した軌道(軌跡)を示し、実線は、操作点がこれから移動する軌道を示している。
【0040】
更に、ボリューム40の目盛を「9」から「3」に下げた状態を図3(d)に示す。
つまり、操作点102は、ボリューム40の目盛が「3」となり、そこからボリューム40を下げる場合にはそのままの軌跡上を移動することになるが、ボリューム40を上げる場合には、図3(d)に示すように、その操作点102とMAX(10,10)とを結んだ直線の軌跡上を移動することになる。
【0041】
そして、ボリューム40の目盛を「3」から「8.5」に上げた場合を図3(e)に示す。
つまり、操作点102は、ボリューム40の目盛が「8.5」となり、そこからボリューム40を上げる場合はそのままの軌跡上を移動することになるが、ボリューム40を下げる場合には、図3(e)に示すように、その操作点102とMIN(0,0)とを結んだ直線の軌跡上を移動することになる。
【0042】
図3に示した特許文献2のレベル調整部における制御フローでは、その軌跡(軌道)は常に現在の操作点102と(ボリューム40の目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)とを接続する2つの直線上となる。
【0043】
そのため、上記軌道が、ボリューム40の目盛:レベルが1:1となる理想の1本の直線上となるには、現在の操作点102が(ボリューム40の目盛、レベル)=(0,0)又は(10,10)に一旦移動する必要があった。
つまり、ボリューム40の目盛:レベルを1:1に迅速にするものではなかった。
【0044】
[本装置の制御フロー:図2
本装置におけるレベル調整部での制御フローについて図2を参照しながら説明する。
まず、図2(a)に示すように、装置の起動時は初期状態であり、ボリューム40の目盛とレベルは、1:1の状態となる。
【0045】
そして、図3(b)と同様に、スイッチ41が一端切り替わり、更に元の接続先のレベル調整部に切り替わると、切り替わる前のレベルの値をメモリ43から読み込み、図2(b)に示すように、操作点102を設定し、ボリューム40を上げる場合の軌道と下げる場合の軌道が算出される。
【0046】
ここで、本実施の形態の特徴として、中点合致エリア101を設けている。
中点合致エリア101とは、予め設定された領域で、図2(b)に示すように、ボリューム40の「0」〜「3」を横方向の幅とし、レベル「0」〜「3」を縦方向の幅として形成される第1のエリアと、ボリューム40の「7」〜「10」を横方向の幅とし、レベル「7」〜「10」を縦方向の幅として形成される第2のエリアとがある。
中点合致エリア101の大きさは任意である。また、中点合致エリア101は、初期状態の直線のMIN側の近辺とMAX側の近辺に設定するのが望ましいが、初期状態の直線の一方の端部に形成してもよい。
【0047】
この中点合致エリア101の役割は、ボリューム40の上げ下げによって操作点102が当該中点合致エリア101に入った場合に、その後の操作点102の移動を、ボリューム40の目盛:レベルが1:1となる直線(初期状態の直線)の中点103を通過させ、その中点103を通過した場合には、その後の移動は、初期状態の直線上で為されるように制御するものである。
ここで、中点とは、図2のMIN(0,0)とMAX(10,10)を結んだ直線の中点であり、図2では、点(5,5)が中点となる。
【0048】
具体的には、図2(c)に示すように、ボリューム40の目盛を「8」から「9」に上げた場合は、操作点102が中点合致エリア101の第2のエリアに入っていない状態で、その操作点102からボリューム40を下げる場合は、操作点102とMIN(0,0)を結んだ直線の軌道上を移動する。
【0049】
そして、ボリューム40を下げて行き、中点合致エリア101の第1のエリアに入ると、その操作点102からボリューム40を上げる場合には、中点103を経由(通過)させる。単に、中点103を経由させるのではなく、その中点103を通過した後は、更にボリューム40を上げる場合には、中点103とMAX(10,10)を結ぶ直線上を移動する。
【0050】
また、中点103を通過させた後に、ボリューム40を下げる場合には、図2(d)に示すように、中点103とMIN(0,0)を結ぶ直線上を移動する。
つまり、中点103を通過させることで、ボリューム40の目盛:レベルが1:1となる初期状態の直線に迅速かつ簡易に戻すことができるものである。
【0051】
すなわち、本実施の形態における操作点の動きは以下のようになる。
中点合致エリア101の範囲内に現在の操作点102のレベルが入らなければ、その軌道は、常に操作点102と(ボリューム目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)を接続する2つの直線上となる。
【0052】
中点合致エリア101の範囲内に現在の操作点102のレベルが入ったときは、その軌道は、現在の操作点102と(ボリューム目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)の内、現在の操作点102から近い方の点を結ぶ直線と、現在の操作点102と中点103とを結ぶ直線と、中点103と(ボリューム目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)の内、現在の操作点102から遠い方の点を結ぶ直線の3本の直線上が軌道となる。
【0053】
そして、現在の操作点102が中点合致エリア101の範囲に入って、制御の中点103を通過させることで、ボリューム40の目盛:レベルが1:1となる直線(初期状態の直線)上に操作点102の軌道を迅速かつ容易に戻すものである。
もしくは、現在の操作点102が(ボリューム目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)となることで、初期状態の直線上に操作点102の軌道を戻すものである。
【0054】
[急激なレベル変動の抑制]
本装置では、スイッチ41を切り替えた場合に、予期せぬ急激なレベル変動が発生するのを防止している。本装置での制御手法を説明する前に、特許文献2での制御手法を説明しておく。
【0055】
[特許文献2の制御手法:図4
まず、特許文献2における制御手法について図4を参照しながら説明する。図4は、特許文献2の制御手法を示す説明図である。
ボリュームが制御する機能をスイッチ41が切り替えた際に、ボリュームの目盛が極端に大きい、もしくは小さい位置となり、その逆にレベル(設定値)が極端に小さい、もしくは大きい場合に、ボリュームの目盛の変化量に対してレベルの変動が大きく、ユーザの想定よりも大きな変化を招いてしまうことがある。
【0056】
図4では、現在の操作点102からボリューム40の目盛を大きくした場合には、レベルの急激な上昇が発生する例であり、ユーザによっては許容できないものである。
【0057】
[本装置の制御手法:図5
図4に対して、本装置の特徴的な制御手法について図5を参照しながら説明する。図5は、本装置の制御手法を示す説明図である。
本装置では、図5に示すように、急峻な制御を禁止する急峻制御禁止エリア104を設ける。
急峻制御禁止エリア104は、ボリューム目盛「8」〜「10」を横方向の幅とし、レベル「0」〜「2」を縦方向の幅として形成される。
【0058】
急峻制御禁止エリア104の大きさは任意である。また、急峻制御禁止エリア104は、図5の右下に設けたが、左上に設けてもよく、両方に設けてもよい。
ここで、右下は、ボリューム40を上げる場合に急峻な変化となるエリアであり、左上は、ボリューム40を下げる場合に急峻な変化となるエリアである。
急峻制御禁止エリア104と図2の中点合致エリア101とを併用して設けてもよい。
【0059】
急峻制御禁止エリア104における具体的な動作は、スイッチ41の切り替えによってボリューム40の機能の変化時に、この急峻制御禁止エリア104に現在の操作点102が入っている場合に、(ボリューム目盛,レベル)=(0,0)又は(10,10)の内、現在の操作点102のレベルと近い方の点と、操作点102とを結んだ直線1本のみを軌道として制御を行う。
【0060】
図5の例では、現在の操作点102とMIN(0,0)を結んだ直線を延長して、その直線上を軌道とするものである。
これにより、急激なレベルの上昇又は下降を抑えることができるものである。
そして、急峻制御禁止エリア104の範囲外に出た場合には、図2の制御を行うことになる。
【0061】
[カメラシステムへの適用例:図6
次に、ボリュームの制御装置をカメラシステムに適用した例について図6を参照しながら説明する。図6は、カメラシステムへの適用例を示す構成図である。
図6に示すように、カメラシステムは、カメラ(撮像装置)53と、そのカメラ53に接続して映像を表示するビューファインダ55と、カメラ52と、そのカメラ52に接続して映像を表示するディスプレイ54と、カメラ52に接続するリモコン(リモートコントローラ)50とから構成されている。
【0062】
リモコン50は、制御部56と、スイッチ41と、メモリ43とを備えている。制御部56は、レベル調整部11,21,31と切替制御部42を含むものである。
また、リモコン50は、設定値や状態を表示する表示部51を備えていてもよい。
制御部56は、CPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現される。
【0063】
カメラシステムにおいて、リモコン50を操作するユーザは、スイッチ41によって制御したい機能である映像制御処理1又は映像制御処理2を選択し、ボリューム40を操作することによって、レベル調整部11,21,31や切替制御部42の役割を有する制御部とメモリ43を用いて、図2及び図5に示した制御手法を実現し、その出力となるレベル(設定値)をカメラ(撮像装置)制御装置52が有する機能(映像制御処理1)12、機能(映像制御処理2)22の入力としてカメラの映像を調整する。
【0064】
ここで、リモコン50の表示部51、又はディスプレイ54、ビューファインダ55には、図2及び図5に示すグラフを表示することができる。これにより、ユーザが現在の動作状況を容易に把握することができる。
尚、ディスプレイ54やビューファインダ55にグラフを表示する位置としては、人物など所望映像と被らないように表示し、また、任意の映像系、例えば、本線以外の映像の場合にのみ表示するよう限定する機能を有するものである。
【0065】
[カメラ(撮像装置)への適用例:図7
次に、ボリュームの制御装置をカメラ(撮像装置)に適用した例について図7を参照しながら説明する。図7は、カメラ(撮像装置)への適用例を示す構成図である。
図7に示すように、カメラ53は、撮影している映像を表示するビューファインダ55が接続されている。
【0066】
そして、カメラ53は、ボリューム40と、スイッチ41と、メモリ43と、制御部56とを備えている。
制御部56は、レベル調整部11,21,31と切替制御部42を含み、機能として複数の映像制御処理を切り替えて実行してカメラの映像を調整し、図2及び図5の制御手法を実行し、CPU又はFPGAで実現されるものである。
尚、ビューファインダ55に図2及び図5のグラフを表示し、現在の動作状況をユーザが容易に把握できるものである。
【0067】
[実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、複数の機能をスイッチ41で切り替えて機能に応じてレベルを共通のボリューム40で制御するものであって、スイッチ41が選択した機能から一旦切り替えられて、切替前の機能を選択すると、メモリ43に記憶されたレベルを読み込み、当該レベルと現在のボリュームの目盛で特定される点を現在の操作点102として、当該操作点102と最小点とを結んだ線又は操作点と最大点とを結んだ線の線上を操作点102の軌道とし、ボリューム40の操作で操作点102が中点合致エリア101に入ると、最小点と最大点とを結ぶ初期状態の線の中点103を操作点102が通過する軌道とし、操作点102が中点103を通過すると、初期状態の軌道に戻すようにしているので、機能をスイッチ41で切り替えた場合に、ボリューム40とレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことができ、違和感なく操作できる効果がある。
【0068】
また、本実施の形態によれば、ボリューム40の目盛とレベルの関係を平面で表した場合に、レベルの急激な変動を抑制する急峻制御禁止エリア104を設け、操作点102が急峻制御禁止エリア104に入ると、操作点102からの軌道変動を制限するものであり、ボリューム40が制御する機能をスイッチ41で切り替えた場合に、大幅なレベル変化による予期せぬ動作を防止し、ユーザに安定した操作感を与えることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、機能をスイッチで切り替えた場合に、ボリュームとレベルの変化量を迅速に1:1に戻すことができ、違和感なく操作できるボリュームの制御方法、ボリュームの制御装置及び撮像装置に好適である。
【符号の説明】
【0070】
10…機能A制御部、 11,21,31…レベル調整部、 12…制御対象A、 20…機能B制御部、 22…制御対象B、 30…機能Z制御部、 32…制御対象Z、 40…ボリューム、 41…切替スイッチ、 42…切替制御部、 43…メモリ、 50…リモコン、 51…リモコン表示部、 52,53…カメラ(撮像装置)、 54…ディスプレイ、 55…ビューファインダ、 56…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7