特許第6876152号(P6876152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876152自動車仕上げ組成物に使用されるアルミナ研磨粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876152
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】自動車仕上げ組成物に使用されるアルミナ研磨粒子
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/02 20060101AFI20210517BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20210517BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C01F7/02 G
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】28
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-564388(P2019-564388)
(86)(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公表番号】特表2020-510605(P2020-510605A)
(43)【公表日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】US2018018225
(87)【国際公開番号】WO2018152236
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】62/459,400
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT−GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ムルダー、カレイン ルチンデ
(72)【発明者】
【氏名】バーバリアン、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ボッティリエーリ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ、ジェームス エイ.
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−171931(JP,A)
【文献】 特開2006−124622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 7/02
C09K 3/14
B24B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも75wt%のアルファアルミナを含むアルミナ粉末であって、前記アルミナ粉末が、
比表面積が5〜12m/gであり、
粒度分布が、D5が0.01〜5ミクロン、D50が10〜50ミクロン、D95が30〜120ミクロンであり、
前記アルミナ粉末中の粒子が、平均一次結晶子径が2ミクロン未満の複数の結晶子を含む、アルミナ粉末。
【請求項2】
前記アルミナ粉末が、少なくとも85wt%のアルファアルミナを含む、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項3】
前記アルミナ粉末の粒度分布が、D5が0.1〜1ミクロン、D50が10〜45ミクロン、D95が60〜150ミクロンである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項4】
前記粒度分布が、D0が0.1〜1ミクロンである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項5】
前記粒度分布が、D100が65〜200ミクロンである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項6】
前記アルミナ粉末の表面積が、7〜10m/gである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項7】
前記アルミナ粉末は、密度が少なくとも3g/cmである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項8】
前記密度が少なくとも3.8g/cmである、請求項7に記載のアルミナ粉末。
【請求項9】
前記平均一次結晶子径が0.1〜0.5ミクロンである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項10】
前記結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が2ミクロン未満である、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項11】
前記結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が1ミクロン未満である、請求項10に記載のアルミナ粉末。
【請求項12】
前記焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、孔容積が0.001〜0.5cm/gであり、孔径が約2〜50nmである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項13】
前記焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、孔容積が0.01〜0.2cm/gであり、孔径が50〜500nmである、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項14】
前記粒度分布が、D100が200ミクロン未満である、請求項1に記載のアルミナ粉末。
【請求項15】
粉砕されたアルミナ粉末を作成する方法であって、前記方法が、
水酸化アルミニウムを含む粉末を800〜1500℃の温度で焼成させ、少なくとも75wt%のアルファアルミナを含むアルミナ粉末を作成することと、
粒度分布が、D5が0.01〜5ミクロン、D50が10〜20ミクロン、D95が65〜110ミクロンになるように、前記アルミナ粉末を粉砕し、粉砕されたアルミナ粉末を作成することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記温度が900〜1400℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記温度が1100〜1300℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
水酸化アルミニウムを含む粉末が1〜48時間で焼成される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記水酸化アルミニウムを含む粉末が、ロータリーキルン、スタティックキルン又はプッシャーキルンで焼成される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記アルミナ粉末が、少なくとも85wt%のアルファアルミナを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D5が0.1〜1ミクロン、D50が10〜15ミクロン、D95が75〜100ミクロンになるように粉砕される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D0が0.01〜0.2ミクロンになるように粉砕される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D100が100〜200ミクロンになるように粉砕される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記アルミナ粉末が、竪型撹拌機、横型撹拌機、ロールミル、ジェットミル又は遊星ミルを用いて粉砕される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記粒度分布が、D100が200ミクロン未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末と、前記アルミナ粉末を懸濁させるための少なくとも1つの流体とを含む、スラリー。
【請求項27】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末と、分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つとを含む、研磨材。
【請求項28】
研磨材を製造する方法であって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末を容器に加えることと、
前記容器に、分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つを加えることと、
前記アルミナ粉末と、前記分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つとを混合することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2017年2月15日に出願された米国仮出願第62/459,400号の利益を請求し、その内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
本開示は、アルミナ粉末及びこの粉末を使用する用途に関する。より特定的には、本開示は、研磨材に使用するための比表面積、特定の一次結晶子径、特定の多孔性、特定の粒度分布を有するアルファアルミナ粉末に関する。
【背景技術】
【0003】
クリアコートは、通常は自動車(例えば、車、船舶、航空機など)の着色塗料コートの上部に噴霧される、光沢があり、透明なコーティングである。クリアコートは、環境との最終的な界面を形成し得る。従って、自動車に所望な光沢を与えること以外に、クリアコートは、車の塗料の色あせを引き起こすUV光線からの保護を与え、着色コートを有害な化学物質、鳥の糞、酸性雨、小さなひっかき傷などの種々の形態から保護することもできる。クリアコートが塗布された後、クリアコートは、いくつかの不完全さ又は不均一さを有している場合があり、それにより、自動車の光沢に影響を与える。このように、クリアコートは、クリアコートを均一にする研磨材(化合物としても知られている)でバフ掛けされ得る。この研磨材は、粗い研磨粒子を含み得る。これらの粗い研磨粒子は、クリアコートの非常に微細な層を除去し、それによって、クリアコートを平坦化することができる。クリアコートの平坦化以外に、研磨材を使用し、クリアコート中のひっかき傷を除去することができる。このひっかき傷を除去するプロセスは、多段階プロセスであり得る。例えば、大きな粗い研磨粒子を使用して、最初にクリアコートを平坦にし、次いで、小さく微細な研磨粒子を使用し、高い仕上げ度を得ることができる。従って、クリアコートを磨くプロセスは、非常に時間がかかる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願人らは、短期間で改良された光沢とヘイズ値を有し、高い除去速度を与えるために研磨材に使用可能な粉末を発見した。特定的には、出願人らは、研磨材に使用されるときに、審美品質を低下させることなく、高い除去速度を迅速に可能にする、比表面積を有し、特定の一次結晶子径、特定の多孔性、特定の粒度分布を有するアルファアルミナ粉末を発見した。
【0005】
本開示は、粒子及び粉末の両方を指す。これらの2つの用語は、同義であるが、但し、単数の「粉末」は、粒子の集合を指すことに注意。本発明は、多種多様な粉末及び粒子に適用することができる。「粒子」及び「凝集物」は、本明細書全体で相互に置き換え可能に使用することができる。凝集物/粒子は、一緒に焼結される複数の結晶子を含み得る。これらの結晶子は、弱く又は強く焼結され得る。
【0006】
本明細書での「約」ある値又はパラメータとの言及は、その値又はパラメータ自体に関する変動を含む(記載する)。例えば、「約X」と言及する記載は、「X」の記載を含む。これに加えて、後に一連の値又はパラメータが続く、「未満」、「より大きく」、「最大で」、「少なくとも」、「以下」、「以上」などの句、又は他の同様の句に対する言及は、その一連の値又はパラメータ中のそれぞれの値又はパラメータにその句を適用することを意味する。例えば、アルファアルミナの重量パーセントが、少なくとも約75wt%、約80wt%又は約85wt%であり得るとの言及は、アルファアルミナの重量パーセントが、少なくとも約75wt%、少なくとも約80wt%又は少なくとも約85wt%であり得ることを意味するものとする。
【0007】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」といった単数形は、その内容が明確に他の意味であると示されていない限り、同様に複数の形態を含むことを意図している。本明細書で使用される「及び/又は」との用語は、関連する列挙される項目の1つ以上の任意の可能な組み合わせ及び全ての可能な組み合わせを指し、これを包含することも理解されるべきである。「〜を含む(include)」、「〜を含む(including)」、「〜を含む(comprise)」及び/又は「〜を含む(comprising)」との用語は、本明細書で使用される場合、述べられている特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素及び/又は単位の存在を明記するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、単位及び/又はこれらの群の存在又は付加を除外しないことが更に理解されるべきである。
【0008】
更なる利点は、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるだろう。本明細書の例及び説明は、本質的に例示であるとみなされ、限定的であるとみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照しつつ、記載される。
【0010】
図1図1は、本明細書に記載のアルミナ粉末の微細構造を示す高解像度SEM顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願人らは、短期間で高い除去速度を与えるために研磨材に使用可能な粉末を発見した。特定的には、出願人らは、比表面積を有し、特定の一次結晶子径、特定の多孔性、特定の粒度分布を有するアルファアルミナ粉末の組み合わせが、研磨材に使用されるときに、審美品質を低下させることなく、高い除去速度を迅速に可能にすることを発見した。
【0012】
酸化アルミニウム前駆体出発材料
アルミナ粉末を生成するための出発材料は、酸化アルミニウム前駆体粉末であり得る。いくつかの実施形態では、酸化アルミニウム前駆体粉末は、水酸化アルミニウム粉末であり得る。いくつかの実施形態では、水酸化アルミニウム粉末は、ギブス石、ベーマイト、ダイアスポア、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、酸化アルミニウム前駆体粉末は、酸化アルミニウム転移相を含む水酸化アルミニウム粉末であり得る。例えば、酸化アルミニウム前駆体粉末は、γ、η、θ、χ、κ及び/又はδ相の酸化アルミニウムを含み得る。
【0013】
酸化アルミニウム前駆体粉末の粒子は、平均一次結晶子径が約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満の複数の結晶子を含み得る。いくつかの実施形態では、酸化アルミニウム前駆体粉末の粒子は、平均一次結晶子径が約0.01〜5ミクロン、約0.05〜2ミクロン、約0.075〜1ミクロン、又は約0.1〜0.5ミクロンの複数の結晶子を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が約0.01ミクロン〜5ミクロン、約0.05〜2ミクロン、約0.075〜1ミクロン、又は約0.1〜0.5ミクロンである。
【0014】
酸化アルミニウム前駆体粉末はまた、比表面積が少なくとも約100m/g、約200m/g、約250m/g、約275m/g又は約300m/gであり得る。いくつかの実施形態では、酸化アルミニウム前駆体粉末は、比表面積が約10〜400m/g、約30〜350m/g又は約50〜320m/gであり得る。これに加えて、酸化アルミニウム前駆体粉末は、密度が少なくとも約2g/cm、約2.2g/cm、約2.5g/cm、約3g/cm、約3.25g/cm、約3.5g/cm、約3.75g/cm又は約4g/cmであり得る。
【0015】
アルファアルミナ粉末を作成するための酸化アルミニウム前駆体粉末の熱処理
アルミナ粉末を製造するために、上述の酸化アルミニウム前駆体粉末は、焼成され得る。酸化アルミニウム前駆体粉末が焼成される場合、酸化アルミニウムが生成され得る。しかし、酸化アルミニウムは、γ、η、θ、χ、κ、δ及び/又はα相を含む種々の相であり得る。酸化アルミニウムの各相は、固有の結晶構造と特性を有し得る。これに加えて、酸化アルミニウムの製造は、多相酸化アルミニウム(すなわち、1つの個々の相ではなく、いくつかの酸化アルミニウムの相からなる)を生成する傾向がある。しかし、酸化アルミニウム前駆体粉末の本出願人らの熱処理プロセスは、大部分がアルファ酸化アルミニウム(すなわち、アルファアルミナ)を含む粉末を製造することができる。アルファ酸化アルミニウムは、酸化アルミニウムの最も化学的に安定な相であり、最も高い硬度も有するため、アルファ相は、研磨化合物に使用するのに適している。
【0016】
特に、ロータリーキルン、スタティックキルン、マッフル炉、エレベータキルン又はプッシャーキルンを含む種々のデバイスを、酸化アルミニウム前駆体粉末の焼成に使用することができる。種々のデバイスを使用して酸化アルミニウム前駆体粉末を焼成し得るが、これらは焼成の主な構成要素である。これらの主な構成要素としては、例えば、焼成温度及び焼成時間が挙げられるだろう。存在し得る種々の酸化アルミニウムの相に起因して、焼成の主な構成要素は、焼成された粉末が、大部分がアルファアルミナ相であることを可能にする。例えば、焼成されたアルミナ粉末は、少なくとも約50wt%、約60wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、約90wt%、約95wt%、約96wt%、約97wt%、約98wt%、約99wt%、約99.5wt%、約99.9wt%又は100wt%がアルファアルミナであり得る。焼成されたアルミナ粉末の残りの重量パーセントは、アルファ以外の相の酸化アルミニウムであり得る。
【0017】
焼成プロセスの温度は、約700〜1600℃、約800〜1500℃、約900〜1400℃、約1000〜1300℃又は約1100〜1300℃であり得る。これらの温度範囲以外で、焼成された粉末のアルファアルミナ含有量は、上に開示したアルファアルミナの重量パーセントから外れていてもよい。焼成時間は、約1〜48時間、約12〜48時間、約24〜48時間又は約24時間であり得る。焼成時間が長いほど、多くの結晶子粒子のネッキング又は異常な成長を誘発する場合がある。これに加え、焼成は、空気、高減圧又は不活性気体の雰囲気下で行うことができる。
【0018】
焼成されたアルミナ粉末の粒子は、平均一次結晶子径が約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満の複数の結晶子を含み得る。いくつかの実施形態では、焼成されたアルミナ粉末の粒子は、平均一次結晶子径が約0.01ミクロン〜5ミクロン未満、約0.05〜2ミクロン未満、約0.075〜1ミクロン未満、又は約0.1〜0.5ミクロン未満の複数の結晶子を含み得る。いくつかの実施形態では、結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、結晶子はそれぞれ、平均一次結晶子径が約0.01ミクロン〜5ミクロン未満、約0.05〜2ミクロン未満、約0.075〜1ミクロン未満、又は約0.1〜0.5ミクロン未満である。粉末の構造は、最終的には粉砕性を変え、影響を与え、最終的には達成される粒度分布を変え、影響を与えることがある。凝集した結晶子の硬度及び破壊挙動も、使用中の性能を変化させ、変えることができる。従って、小さな一次結晶子径を維持することで、最終的な望ましい粒度分布を達成する際に大きな自由度を与えることができる。
【0019】
焼成されたアルミナ粉末はまた、比表面積(SSA)が約1〜20m/g、約5〜15m/g、約5〜12m/g、約6〜11m/g、約7〜10m/g又は約8〜9m/gであり得る。SSAは、アルミナ相、構造及び粒径を合わせた良好な単一の基準であり得る。SSAが、これらの開示された範囲よりかなり大きい場合、アルミナ相は、おそらくアルファよりも小さいと思われ、研磨材におけるこのような粉末の除去速度は、低下するだろう。SSAが、これらの開示された範囲よりかなり小さい場合、アルミナ粉末は、非常に粗いアルファ粒子を有している場合があり、顕著なひっかき傷を生じる場合があり、それにより、クリアコートを全体的に除去してしまう場合がある。これに加えて、焼成されたアルミナ粉末は、密度が約1g/cm以上、約2g/cm以上、約3g/cm以上、約3.8g/cm以上、約3.9g/cm以上、約3.97g/cm以上、約3.98g/cm以上又は約4g/cm以上であり得る。密度が、これらの開示された範囲よりかなり大きい場合、アルミナ相は、おそらくアルファよりも小さいと思われ、研磨材におけるこのような粉末の除去速度は、低下するだろう。
【0020】
焼成されたアルミナ粉末はまた、多孔性であってもよい。具体的には、焼成されたアルミナ粉末は、メソポーラス及びマクロポーラスであってもよい。メソポーラス性及びマクロポーラス性は、孔容積及び孔径によって定量化することができる。例えば、焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、メソポーラス性であってもよく、孔容積が約0.001〜0.5cm/g、約0.001〜0.3cm/g、0.005〜0.25cm/g、約0.01〜0.2cm/g、又は約0.05〜0.15cm/gであり、孔径が約2〜50nm、約2〜20nm、約3〜15nm又は約5〜10nmである。これに加えて、焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、マクロポーラス性であってもよく、孔容積が約0.01〜0.2cm/g、約0.03〜0.15cm/g、又は約0.05〜0.1cm/gであり、孔径が約50〜500nm、約50〜200nm又は約50〜100nmである。この多孔性によって、粉末凝集物/粒子を使用中に破壊することが可能になる。これに加えて、これらの多孔性(及び密度)によって、焼成された粉末を、以下に記載される特定の粒度分布へと後で粉砕することが可能になる。このように、上述の材料特性によって、以下に記載する粒度分布を生成することができる。
【0021】
特定の粒度分布にするためのアルファアルミナ粉末の粉砕
研磨材に使用されるときに、審美品質を低下させずに高い除去速度を迅速に可能にするために、出願人らは、研磨材に使用可能なアルミナ粉末の特定の粒度分布を発見した。出願人らが発見した特定の粒度分布は、大規模に粒子/粒子凝集物を含むことに起因して、研磨材に性能の利益を与え得る。粗い粒状凝集物は、高い除去性を与えることができ、一方、小さな粒子及び凝集物(最終的には、個々の結晶子)は、仕上げ度を維持することができるように、系中で粗いひっかき傷を除去することができる。言い換えると、大きな粒子凝集物は、最初に高い除去性を与えることができ、次いで、小さな粒子(又は破壊された凝集物)が、所望な仕上げを与えることができる。
【0022】
粉砕されたアルミナ粉末中の粒子は、粒径が約0.1ミクロン〜約200ミクロンの粒子を含み得る。粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D5が約0.01〜5ミクロン、約0.05〜3ミクロン、約0.75〜2ミクロン又は約0.1〜1ミクロンであり得る。粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D50が約5〜50ミクロン、約10〜45ミクロン、約5〜20ミクロン、約7.5〜17.5ミクロン又は約10〜15ミクロンであり得る。いくつかの実施形態では、粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D50が約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満又は約20ミクロン未満であり得る。粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D95が約30〜120ミクロン、約60〜150ミクロン、約65〜110ミクロン、約70〜105ミクロン又は約75〜100ミクロンであり得る。いくつかの実施形態では、粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D95が約150ミクロン未満、約100ミクロン未満又は約75ミクロン未満であり得る。これに加えて、粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D0が約0.1〜1ミクロン、約0.001〜0.5ミクロン、約0.005〜0.3ミクロン又は約0.01〜0.2ミクロン及び/又はD100が約65〜200ミクロン、約75〜225ミクロン、約90〜210ミクロン又は約100〜200ミクロンであり得る。いくつかの実施形態では、粉砕されたアルミナ粉末の粒度分布は、D100が約200ミクロン未満、約150ミクロン未満又は約100ミクロン未満であり得る。この広い分布は、広い粒径範囲の粉末に起因して、粗いひっかき傷を除去する能力を維持しつつ、研磨材中の研磨粒子として迅速な切断速度を与えることができる。これに加えて、粉砕されたアルミナ粉末が、研磨材として使用し続けられると、この粉末中の地衣酸a粒子は、良好な仕上げを与えることができ、次の工程の研磨プロセスへとユーザを容易に移行させることができる。
【0023】
上述の粒度分布は、焼成されたアルミナ粉末を粉砕することによって得ることができる。特に、竪型撹拌機、横型撹拌機、ロールミル、ジェットミル又は遊星ミルを含め、焼成されたアルミナ粉末の粉砕に種々のデバイスを使用することができる。これに加えて、粉砕は、湿式プロセス又は乾式プロセスで行うことができる。
【0024】
例えば、湿式プロセスは、スピンドルと微細な媒体を使用する竪型研磨機を使用することを含んでいてもよい。竪型研磨機中の媒体:粉末の比率は、約2:1、3:1、5:1又は10:1であり得る。竪型研磨機の制御されたrpmは、約100〜1500rpm、約150〜1250rpm又は約200〜1000rpmであり得る。これに加えて、ゼータ電位と分散性を潜在的に制御するために、竪型研磨機に界面活性剤を使用することができる。
【0025】
湿式粉砕プロセスの別の例は、横型撹拌ミルである。上述の竪型研磨機と同様に、制御されたrpmは、約100〜1500rpm、約150〜1250rpm又は約200〜1000rpmであってもよく、ゼータ電位と分散性を潜在的に制御するために、界面活性剤を使用することができる。
【0026】
乾式粉砕プロセスの例としては、ロールミル及びジェットミルが挙げられる。ロールミルは、媒体と異なる投入量の粉末を含み得る。これに加えて、回転のRPMを変えてもよい。ジェットミルは、粒子の空気衝突の影響を用いて粒子を粉砕することができる。これに加えて、空気分級機をジェットミルと共に使用し、粒子の粒度分布を注意深く制御することができる。更に、媒体を含むセラミック容器中、粉末の回転による衝突粉砕に依存する遊星ミルを使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、粉砕されたアルミナ粉末は、スラリーに入れてもよい。いくつかの実施形態では、スラリーは、粉砕された粉末と、流体とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、流体は、水又は粉砕された粉末を懸濁させ得る他の流体であってもよい。
【0028】
上述のように、本明細書に記載の粉砕されたアルミナ粉末は、研磨材として使用することができる。研磨材は、粉砕されたアルミナ粉末、レオロジー調整剤、潤滑剤、懸濁助剤、安定化剤、分散剤及び/又は界面活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、レオロジー調整剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、懸濁助剤及び潤滑剤は、研磨粒子レオロジー調整剤、研磨粒子界面活性剤、研磨粒子分散剤、研磨粒子安定化剤、研磨粒子懸濁助剤及び研磨粒子潤滑剤であってもよい。いくつかの実施形態では、研磨材は、粉砕されたアルミナ粉末と、分散剤、界面活性剤、安定化剤、レオロジー調整剤及び懸濁助剤のうち少なくとも1つとを含み得る。いくつかの実施形態では、研磨材は、粉砕されたアルミナ粉末と、レオロジー調整剤、潤滑剤、懸濁助剤、安定化剤、分散剤及び界面活性剤のうち少なくとも1つとを容器に加え、次いで、この構成要素を一緒に混合することによって製造することができる。
【0029】
これらの研磨材を、種々の自動車(例えば、車、船舶、航空機など)のためのクリアコート及び/又はハードコードに使用してもよい。より特定的には、これらの研磨材は、自動車のクリアコート又はハードコートを平坦化するための粗い除去工程で使用することができる。いくつかの実施形態では、研磨材は、自動車のクリアコート又はハードコートを平坦化するための大1の粗い除去工程と、高い仕上げ度を得るための第2の仕上げ工程に使用することができる。
【0030】
研磨材の性能は、光沢及びヘイズ値によって測定されるような、適切な審美性外観に達するための除去速度及び時間として測定することができる。
【0031】
実施形態
1〜21の番号を連続して付けられた以下の実施形態は、本明細書に記載する種々の非限定的な実施形態を与える。
【0032】
実施形態1:少なくとも75wt%のアルファアルミナを含むアルミナ粉末であって、前記アルミナ粉末が、比表面積が5〜12m/gであり、粒度分布が、D5が0.01〜5ミクロン、D50が5〜50ミクロン、D95が30〜120ミクロンであり、前記アルミナ粉末中の粒子が、平均一次結晶子径が2ミクロン未満の複数の結晶子を含む、アルミナ粉末。
【0033】
実施形態2:前記アルミナ粉末が、少なくとも85wt%のアルファアルミナを含む、実施形態1に記載のアルミナ粉末。
【0034】
実施形態3:前記アルミナ粉末の粒度分布が、D5が0.1〜1ミクロン、D50が10〜45ミクロン、D95が60〜150ミクロンである、実施形態1〜2のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0035】
実施形態4:前記粒度分布が、D0が0.1〜1ミクロンである、実施形態1〜3のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0036】
実施形態5:前記粒度分布が、D100が65〜200ミクロンである、実施形態1〜4のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0037】
実施形態6:前記アルミナ粉末の表面積が、7〜10m/gである、実施形態1〜5のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0038】
実施形態7:前記アルミナ粉末は、密度が少なくとも3g/cmである、実施形態1〜6のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0039】
実施形態8:前記密度が少なくとも3.8g/cmである、実施形態7に記載のアルミナ粉末。
【0040】
実施形態9:前記平均一次結晶子径が0.1〜0.5ミクロンである、実施形態1〜8のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0041】
実施形態10:前記結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が2ミクロン未満である、実施形態1〜9のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0042】
実施形態11:前記結晶子はそれぞれ、一次結晶子径が1ミクロン未満である、実施形態10に記載のアルミナ粉末。
【0043】
実施形態12:前記焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、孔容積が0.001〜0.5cm/gであり、孔径が約2〜50nmである、実施形態1〜11のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0044】
実施形態13:前記焼成されたアルミナ粉末の少なくとも一部は、孔容積が0.01〜0.2cm/gであり、孔径が50〜500nmである、実施形態1〜12のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0045】
実施形態14:前記粒度分布が、D100が200ミクロン未満である、実施形態1〜13のいずれかに記載のアルミナ粉末。
【0046】
実施形態15:粉砕されたアルミナ粉末を作成する方法であって、前記方法が、水酸化アルミニウムを含む粉末を800〜1500℃の温度で焼成させ、少なくとも75wt%のアルファアルミナを含むアルミナ粉末を作成することと、粒度分布が、D5が0.01〜5ミクロン、D50が5〜50ミクロン、D95が30〜120ミクロンになるように、前記アルミナ粉末を粉砕し、粉砕されたアルミナ粉末を作成することとを含む、方法。
【0047】
実施形態16:前記温度が900〜1400℃である、実施形態15に記載の方法。
【0048】
実施形態17:前記温度が1100〜1300℃である、実施形態16に記載の方法。
【0049】
実施形態18:水酸化アルミニウムを含む粉末が1〜48時間で焼成される、実施形態15〜17のいずれかに記載の方法。
【0050】
実施形態19:前記水酸化アルミニウムを含む粉末が、ロータリーキルン、スタティックキルン又はプッシャーキルンで焼成される、実施形態15〜18のいずれかに記載の方法。
【0051】
実施形態20:前記アルミナ粉末が、少なくとも85wt%のアルファアルミナを含む、実施形態15〜19のいずれかに記載の方法。
【0052】
実施形態21:前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D5が0.1〜1ミクロン、D50が10〜45ミクロン、D95が60〜150ミクロンになるように粉砕される、実施形態15〜20のいずれかに記載の方法。
【0053】
実施形態22:前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D0が0.1〜1ミクロンになるように粉砕される、実施形態15〜21のいずれかに記載の方法。
【0054】
実施形態23:前記アルミナ粉末が、粒度分布が、D100が65〜200ミクロンになるように粉砕される、実施形態15〜22のいずれかに記載の方法。
【0055】
実施形態24:前記粒度分布が、D100が200ミクロン未満である、実施形態15〜23のいずれかに記載の方法。
【0056】
実施形態25:前記アルミナ粉末が、竪型撹拌機、横型撹拌機、ロールミル、ジェットミル又は遊星ミルを用いて粉砕される、実施形態15〜24のいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態26:実施形態1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末と、前記アルミナ粉末を懸濁させるための少なくとも1つの流体とを含む、スラリー。
【0058】
実施形態27:実施形態1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末と、分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つとを含む、研磨材。
【0059】
実施形態28:研磨材を製造する方法であって、実施形態1〜14のいずれか一項に記載のアルミナ粉末を容器に加えることと、前記容器に、分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つを加えることと、前記アルミナ粉末と、前記分散剤、界面活性剤、安定化剤及びレオロジー調整剤のうち少なくとも1つとを混合することとを含む、方法。
【0060】
試験方法
本明細書で特に明記されていない限り、上の記載及び添付の特許請求の範囲において以下に記載する任意の特徴に関する言及は、以下の試験を用いて得られた値を指す。
【0061】
粒度分布は、Horiba LA950を用いるレーザ散乱方法によって測定することができる。粉末サンプルを、Horiba LA−950レーザ散乱粒径分析機を用い、粒径について分析することができる。脱イオン(DI)水を循環浴媒体として使用し、虚数0.0iを有する屈折率1.66を使用した。使用した水の屈折率は、1.333であった。ガラスビーカー中、0.5gのサンプルを30mLのDI水に入れることによって、サンプルを分析前にあらかじめ分散させておいた。DI水のpHを6.4に設定した。このビーカーを静置し、CV334型の直径0.5インチのホルンとVC750型の電源(750W)を備えたSonics and Materials Inc. Vibracelブランドのプロセッサを用い、2分間超音波処理した。電源は、50%の振幅で使用した。pH6.4のDI水を用いた分析のために、pH6.4の更なるDIで2回すすぎ、次いで、再充填することによって、Horiba LA950分析機を準備した。分析機の位置を調節し、ブランクを測定し、その後、循環と撹拌を開始した。循環と撹拌は、それぞれ15及び5に維持した。あらかじめ分散させておいたサンプルを、85〜90%の透過率が達成されるまで、移動ピペットによって分析機にゆっくりと入れた。測定値を得る前に、サンプルを15秒間循環させた。
【0062】
比表面積は、BET法によって測定することができる。
【0063】
密度は、ヘリウムピクノメトリーによって測定することができる。
【0064】
酸化アルミニウムの相の重量パーセントは、XRDリートベルトリファインメント法によって測定スルことができる。
【0065】
一次結晶子径は、高解像度SEM顕微鏡写真の画像分析によって測定することができる。例えば、図1は、本明細書に記載のアルミナ粉末の微細構造を示す高解像度SEM顕微鏡写真を示す。
【0066】
孔容積及び孔径は、窒素吸着等温法によって測定することができる。
【0067】
本出願は、文章及び図面において、いくつかの数値範囲を開示している。開示される数値範囲は、本明細書中に正確な範囲限定が逐語的に述べられていない場合であっても、本開示は、開示される数値範囲全体で実施することができるため、その端点も含め、その開示される数値範囲内の任意の範囲又は値を固有にサポートする。
【0068】
上の記載は、当業者にとって、本開示を製造し、使用することが可能なように提示され、特定の用途及びその要求事項という観点で与えられる。好ましい実施形態に対する種々の改変は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用されてもよい。従って、本開示は、示されている実施形態に限定されることを意図していないが、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲に従うことを意図している。最後に、本出願において参照される特許及び刊行物の全開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。
図1