(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0015】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0016】
はじめに、三線式および二線式の抵抗膜タッチパネルの原理を説明する。
【0017】
(三線式)
図1は、三線式の抵抗膜タッチパネル400Tの原理を示す図である。三線式パネル400Tは、2枚のシート402,404と、シート402の対向する2辺から引き出された配線X
1,X
2、シート404から引き出されたセンス配線Sを備える。
【0018】
点Pをユーザがタッチすると、点(以下、接触点という)Pにおいて2枚のシート402と404が接触する。制御回路200Tは、シート402の2本の配線X
1,X
2の一方に電源電圧(第1固定電圧)V
DDを、他方に接地電圧(第2固定電圧)V
GND(=0V)を印加する。接触点Pの電圧V
Pは、式(1)で表される。
V
P=V
DD×R
X2/(R
X1+R
X2) …(1)
抵抗値R
X1は、接触点Pとシート402の一端の間の抵抗値であり、抵抗値R
X2は、接触点Pとシート402の他端の抵抗値である。R
X1+R
X2はシート402の両端間の抵抗値であり、定数となる。R
Cは接触抵抗を表す。
【0019】
シート404側のセンス配線Sをハイインピーダンスとしたとき、センス配線Sには、接触点Pの電圧V
Pが現れる。制御回路100Tは、センス配線Sの電圧V
Pを測定することにより、抵抗値R
X2、すなわちX座標を判定する。
【0020】
シート404は、導体であってもよい。
【0021】
(二線式)
図2は、二線式の抵抗膜タッチパネル400Dの原理を示す図である。タッチパネル400Dは、2枚のシート402,404と、シート402の1辺から引き出された配線Xと、シート404から引き出された配線Fを備える。
【0022】
X座標を検出するために、制御回路200Tは、配線Xから、接触点Pを経て配線Fに至る経路のインピーダンス(パネルインピーダンスという)Zを測定する。
Z=R
X+R
C+R
X’
【0023】
R
X,R
X’はともにX座標に対して線形に変化し、R
Cは定数であるから、パネルインピーダンスZは、X座標の一次関数で表され、その1次関数は既知である。したがってパネルインピーダンスZを測定することにより、それに対応するX座標を検出できる。なおシート404は金属導体であってもよく、この場合、R
X’=0となる。
【0024】
続いて、二線式あるいは三線式を用いたタッチ式入力装置100について、いくつかの実施の形態をもとに説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図3は、第1の実施の形態に係るタッチ式入力装置100を示す図である。タッチ式入力装置100は、ボタン(スイッチ)102とスライダ入力部104が併設されたマルチファンクションパネルである。本実施の形態では、このようなタッチ式入力装置を、1つの抵抗膜式タッチパネルとそのコントローラで実現する技術が提供される。
【0026】
図4は、第1の実施の形態に係るタッチ式入力装置100Aのブロック図である。タッチ式入力装置100Aは、三線式パネル400Tと、その制御回路200Aを備える。
【0027】
制御回路200Aは、測定部210Aおよび演算部230Aを備える。測定部210Aは、三線式パネル400Tの二線X
1,X
2の間に所定の電圧を印加する。そして測定部210Aは、その状態でセンスラインSの電圧(センス電圧)V
Sを測定する。たとえば測定部210Aは、ドライバ回路212と、A/Dコンバータ214を含む。ドライバ回路212は、第1ラインX
1に電源電圧V
DDを、第2ラインX
2に接地電圧V
GND(0V)を印加してもよい。A/Dコンバータ214は、センス電圧V
Sをデジタル値D
Sに変換する。A/Dコンバータ214の前段にはアンプが設けられてもよい。
【0028】
演算部230Aは、センス電圧V
Sにもとづいて、接触点の座標Xを生成する。
図4には、
図3のボタン102に対応する領域RGN1と、スライダ入力部104に対応する領域RGN2が示される。演算部230Aは、検出したX座標が領域RGN1に含まれるとき、ボタン102が押されたものと判定する。また、検出したX座標が領域RGN2に含まれるとき、スライダ入力部104が押されたものと判定する。
【0029】
2つの領域RGN1,RGN2の間隔が十分に広い場合、以上の処理で、ボタン102、スライダ入力部104のいずれの入力かを区別することができる。しかしながら、ボタン102とスライダ入力部104が近接し、2つの領域RGN1,RGN2の間に十分なスペースを確保できない場合、いずれの入力であるかを区別することが難しくなる。たとえば領域RGN1へのタッチ入力を行った場合であっても、ノイズの影響で領域RGN2への入力と誤判定される可能性がある。またスペースが指の幅よりも狭い場合、指の位置によっては、検出されたX座標がRNG1とRGN2の間で往復し、誤動作の原因となりうる。
【0030】
この問題は、以下で説明する
図5のパネル400Tと、実施の形態に係る制御回路200Aの組み合わせにより解決できる。
【0031】
図5は、一実施例に係る三線式パネル400Tの等価回路図である。三線式パネル400Tは、座標軸(X)方向に隣接する第1領域(低抵抗領域)A1と第2領域(高抵抗領域)A2を含み、第1領域A1と第2領域A2の単位長さ当たりの抵抗が異なるように形成される。第1領域A1は、ボタン102に対応する領域であり、第2領域A2は、スライダ入力部104に対応する領域であり、第1領域A1の単位長さ当たりの抵抗値Ru
1は、第2領域A2の単位長さ当たりの抵抗値Ru
2よりも十分に低い。抵抗値Ruは、Ω/mの次元を有する。
Ru
1≪Ru
2
なお、X座標の向きや原点の取り方は例示に過ぎない。
【0032】
図6は、
図5の三線式パネル400Tを用いたときの、接触点の座標Xと、センス電圧V
Sの関係を示す図である。比較のために、均一なインピーダンス分布を有する従来のパネルにおいて得られる関係を一点鎖線で示す。
【0033】
図5のパネルの利点を明確化するために、従来のパネルを用いたときの動作を一点鎖線を参照して説明する。従来のパネルでは、座標Xに対して、センス電圧V
Sが全範囲において一定の傾きで変化し、具体的にはパネルの単位長さ当たりの抵抗値をRu
3とすると、傾きはRu
3となる。
V
S≒Ru
3×X
2つの領域RGN1,RGN2を図のように定め、それらの間に、スペース(不感帯)ΔXが存在するものとする。従来のパネルでは、δVがスペースに対応する電圧範囲となる。
δV=ΔX×Ru
3
【0034】
続いて実線を参照して、
図5のパネルの利点を説明する。第1領域A1では、単位長さ当たりの抵抗値Ru
1が非常に小さいため、座標Xに対するセンス電圧V
Sの感度が非常に小さい。その代わりに、第2領域A2におけるセンス電圧V
Sの傾きは、一点鎖線の傾きより大きくすることができる。
図5のパネルでは、ΔVがスペースに対応する電圧範囲となる。
ΔV=ΔX×Ru
2
ここで、Ru
1<Ru
3<Ru
2の関係が成り立つとき、ΔV>δVとすることができる。すなわち、不感帯に対応する電圧範囲が広がる。このことは、ボタン102とスライダ入力部104の間のスペースが狭い場合に、ボタン102とスライダ入力部104のいずれの入力であるかを判別しやすくなることを意味する。
【0035】
また、
図5のパネルを用いることにより、領域RGN2に対応するセンス電圧V
Sの電圧範囲ΔV
Hを、従来のパネルのそれδV
Hより拡大することができる。これにより、スライダ入力部104における座標検出の精度を高めることができる。
【0036】
図4に戻る。演算部230Aは、(i)センス電圧V
Sが所定の第1範囲(
図6におけるゼロV側の電圧範囲ΔV
L)に含まれるとき、第1領域A1に対応するボタン102がタッチされたものと判定する。このとき演算部230Aは、第1出力BTN_ONをアサート(たとえば1もしくはハイ)してもよい。
【0037】
また演算部230Aは、(ii)センスラインの電圧V
Sが所定の第2範囲に含まれるとき(
図6における電源電圧V
DD側の電圧範囲ΔV
H)、第2領域A2に対応するスライダ入力部104がタッチされたものと判定し、第2出力SLD_DETをアサート(たとえば1もしくはハイ)とするとともに、タッチされた座標Xを取得して出力する。
【0038】
これにより、ボタン102とスライダ入力部104の入力を簡易かつ確実に判別することができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係るタッチ式入力装置100Bのブロック図である。タッチ式入力装置100Bは、二線式パネル400Dと、その制御回路200Bを備える。第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様に、
図3に示すマルチファンクションを提供する。
【0040】
制御回路200Bは、測定部210Bおよび演算部230Bを備える。測定部210Bは、二線式パネル400Dの二線X、Sの間のパネルインピーダンスZと相関を有する電気信号(センス信号V
S)を測定可能に構成される。演算部230Bは、インピーダンス測定回路216およびA/Dコンバータ218を含む。インピーダンス測定回路216は、二線X,S間のインピーダンスと相関を有するセンス信号V
Sを生成する。
【0041】
A/Dコンバータ218は、センス信号V
Sをデジタル値D
Sに変換する。演算部230Bは、測定されたセンス信号D
Sを受け、ボタン102、スライダ入力部104のいずれが入力されたかを判定するとともに、スライダ入力部104への入力であった場合には座標Xを出力する。演算部230Bは、
図5の演算部230Aと同様に、BTN_ON,SLD_DET,Xを出力とすることができる。
【0042】
図8(a)、(b)は、測定部210Bの構成例を示す回路図である。
図8(a)の測定部210Bにおいて、インピーダンス測定回路216は、抵抗R
Bおよび電圧源217を含む。抵抗R
Bは二線式パネル400Dと直列に接続される。電圧源217は、二線式パネル400Dと抵抗R
Bの両端間に所定電圧V
DDを印加する。
【0043】
二線式パネル400Dと抵抗R
Bの接続ノードの電圧(すなわち抵抗R
Bの電圧降下)V
Sがセンス信号として、A/Dコンバータ218に入力される。このときのセンス信号V
Sは以下の式で表され、二線式パネル400DのパネルインピーダンスZと相関を有している。
V
S=V
DD×R
B/(Z+R
B)
【0044】
上述のように、二線式パネル400DのパネルインピーダンスZは、座標Xと1対1で対応するから、測定されるセンス信号V
Sも座標Xと1対1で対応する。
【0045】
なお、二線式パネル400Dの電圧降下をセンス信号としてもよい。このときのセンス信号V
Sは以下の式で表され、二線式パネル400DのパネルインピーダンスZと相関を有している。
V
S=V
DD×Z/(Z+R
B)
【0046】
図8(b)の測定部210Bにおいて、インピーダンス測定回路216は、電流源220を含む。電流源220は、二線式パネル400Dに定電流I
Cを供給する。A/Dコンバータ218は、二線式パネル400Dの電圧降下をセンス信号V
Sとして測定する。このときのセンス信号V
Sは以下の式で表され、二線式パネル400DのパネルインピーダンスZと相関を有しており、具体的にはセンス信号V
SはパネルインピーダンスZに比例する。
V
S=I
C×Z
なおA/Dコンバータ218の入力に、アンプを設けてもよい。
【0047】
図9は、一実施例に係る二線式パネル400Dの等価回路図である。二線式パネル400Dは、
図5の三線式パネル400Tと同様に、不均一なインピーダンス分布を有しており、具体的には座標軸(X)方向に隣接する第1領域(低抵抗領域)A1と第2領域(高抵抗領域)A2を含み、第1領域A1と第2領域A2の単位長さ当たりの抵抗が異なるように形成される。第1領域A1は、ボタン102に対応する領域であり、第2領域A2は、スライダ入力部104に対応する領域であり、第1領域A1の単位長さ当たりの抵抗値Ru
1は、第2領域A2の単位長さ当たりの抵抗値Ru
2よりも十分に低い。
Ru
1≪Ru
2
なお、X座標の向きや原点の取り方は例示に過ぎない。
【0048】
図10は、
図9の二線式パネル400Dを用いたときの、接触点の座標Xと、パネルインピーダンスZの関係を示す図である。比較のために、均一なインピーダンス分布を有する従来のパネルにおいて得られる関係を一点鎖線で示す。ここでは、理解の容易化と説明の容易化のため、センス信号V
SがパネルインピーダンスZに比例するものとする。
【0049】
続いて実線を参照して、
図9のパネルの利点を説明する。第1領域A1では、単位長さ当たりの抵抗値Ru
1が非常に小さいため、座標Xに対するセンス信号V
S(パネルインピーダンスZ)の感度が非常に小さい。その代わりに、第2領域A2におけるセンス信号V
S(パネルインピーダンスZ)の傾きは、一点鎖線の傾きより大きくすることができる。
図9のパネルでは、ΔVがスペースに対応する電圧範囲となる。
ΔV=ΔX×Ru
2
【0050】
三線式について説明したのと同様に、Ru
1<Ru
3<Ru
2の関係が成り立つとき、ΔV>δVとすることができる。すなわち、不感帯に対応する電圧範囲が広がる。このことは、ボタン102とスライダ入力部104の間のスペースが狭い場合においても、ボタン102とスライダ入力部104のいずれの入力であるかを判別しやすくできる。
【0051】
また、
図9のパネルを用いることにより、領域RGN2に対応するセンス電圧V
Sの電圧範囲ΔV
Hを、従来のパネルのそれδV
Hより拡大することができる。これにより、スライダ入力部104における座標検出の精度を高めることができる。
【0052】
図7に戻る。演算部230Bは、センス信号D
S(V
S)またはそれから得られるインピーダンスZが所定の第1範囲(
図10の範囲ΔV
L)に含まれるとき、第1領域RGN1がタッチされたものと判定する。
また演算部230Bは、(ii)センス信号VSまたはそれから得られるインピーダンスZが所定の第2範囲(
図10の範囲ΔV
H)に含まれるとき、第2領域RGN2がタッチされたものと判定し、タッチされた座標Xを生成する。
【0053】
このように第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
これまでの説明では、タッチパネル400が直線的である場合を説明したがその限りではなく、タッチパネル400は平面内で湾曲し、あるいは折れ曲った形状を有してもよい。この場合、パネルの伸びる方向に沿ってX軸を定義することができる。このようなパネルを、以下、湾曲パネルと称する。
【0055】
図11(a)、(b)は、湾曲パネル500を示す平面図である。
図11(a)の湾曲パネル500Tは三線式である。2本のラインX1,X2が設けられるシート402は、コの字型に湾曲している。センスラインSが設けられるシート404の形状は何でもよい。
【0056】
図11(b)の湾曲パネル500Dは二線式である。二線式の湾曲パネル400Dの場合、センスラインが設けられるシート404が導体である場合は、シート404の形状は何でもよい。シート404が抵抗膜の場合は、2枚のシート402,404はオーバーラップして同じ形状であってもよい。
【0057】
図11(a)、(b)の湾曲パネル500T、500Dは、座標が異なる2箇所(2つの領域)において近接するように平面内で湾曲している。
【0058】
このようなパネルにおいて生じうる問題を説明する。このようなパネルでは、
図11(a)に示すように、座標が異なる2箇所(X
A,X
B)が同時にタッチされる可能性がある。この場合、演算部によって生成される座標は、それらの中点近傍の座標X
Cに位置することとなり、正しいユーザ入力を検出できない。第3、第4の実施の形態では、このような問題を解決可能な制御回路について説明する。
【0059】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態に係るタッチ式入力装置100Cのブロック図である。タッチ式入力装置100Cは、三線式の湾曲パネル500Tと、制御回路200Cを備える。制御回路200Cは、測定部210C、演算部230Cに加えて、2点タッチ検出部250を備える。
【0060】
測定部210Cは、すでに説明した測定部210Aと同様に構成することができる。演算部230Cは、センス電圧V
Sにもとづいて座標を判定する。
【0061】
2点タッチ検出部250は、2点同時タッチされたか否かを示す2点タッチ検出信号DTを生成する。なお、2点同時タッチが発生したか否かの検出は、特許5086394号に記載の技術を用いることができる。詳しくは2点タッチ検出部250は、湾曲パネル500Tに流れるパネル電流I
Pにもとづいて、2点間の距離を判定できる。なお、2点タッチの検出方法はこれに限定されず、その他の方式を用いてもよい。
【0062】
タッチ式入力装置100Cでは、2点タッチ検出信号DTが2点同時タッチされたことを示すとき、演算部230Cの出力(すなわちX座標)が無効とされる。
【0063】
このタッチ式入力装置100Cによれば、湾曲パネル500Tにおいて、2点同時タッチが発生したときの座標の誤判定を防止できる。
【0064】
(第4の実施の形態)
図13は、第4の実施の形態に係るタッチ式入力装置100Dのブロック図である。タッチ式入力装置100Dは、二線式の湾曲パネル500Dと、制御回路200Dを備える。制御回路200Dは、測定部210D、演算部230Dに加えて、2点タッチ検出部250を備える。
【0065】
測定部210Dは、すでに説明した測定部210Bと同様に構成することができる。演算部230Dは、センス電圧V
Sにもとづいて座標を判定する。
【0066】
2点タッチ検出部250は、2点同時タッチされたか否かを示す2点タッチ検出信号DTを生成する。タッチ式入力装置100Dにおいて、2点タッチ検出信号DTが2点同時タッチされたことを示すとき、演算部230Dの出力(すなわちX座標)が無効とされる。
【0067】
このタッチ式入力装置100Dによれば、湾曲パネル500Dにおいて、2点同時タッチが発生したときの座標の誤判定を防止できる。
【0068】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0069】
(変形例1)
第1の実施の形態と第3の実施の形態は組み合わせることが可能である。また第2の実施の形態と第4の実施の形態を組み合わせてもよい。
【0070】
(変形例2)
第1、第2の実施の形態では、ボタン102側の単位長さ当たりの抵抗値Ruを小さく、スライダ入力部104側のそれを大きくしたがその限りでない。インピーダンス分布は、座標検出のために測定するセンス信号の位置や測定方法に応じて決めればよい。具体的には、ボタン102側においてセンス信号の位置感度が低く、スライダ入力部104側においてセンス信号の位置感度が高くなるように、インピーダンス分布を決めればよい。
【0071】
(変形例3)
図14は、変形例に係る二線式パネル400Dのインピーダンス分布を示す図である。この例では、ボタン102側が高抵抗領域、スライダ入力部104側が低抵抗領域とされる。
図8(a)に示す回路によってセンス信号V
Sを検出する場合、このようなインピーダンス分布とするとよい。
【0072】
(変形例4)
第1、第2の実施の形態では、ボタン102とスライダ入力部104を備える多機能なタッチ式入力装置100を説明したが、機能の組み合わせはこれに限定されない。
【0073】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。