【実施例】
【0035】
実施例1 抗IL17A/F抗体の生成
ヒトIL−17A(Cell Signaling#8928SF、www.cellsignal.com)と、IL−17F(Cell Signaling#8906LC、www.cellsignal.com)(10μgずつ)と、完全フロイントアジュバント(Sigma−Aldrich、Cat#F6881)とを、BALB/cマウス(16−18g、6週齢、北京バイタルリバーラボラトリーアニマルテクノロジー社から購入)に皮下注射して免疫を行った。免疫は3日間隔で5回繰り返した。最終ブーストの3日後、注射部位に近いリンパ節を慎重に切り取した。リンパ球は、PEG1500(ポリエチレングリコール1500、Roche TM.Cat#:783641、10×4mlで75 mM Hepes液に含まれ、PEG 50%W/Vである)によりAg 8.653骨髄腫細胞(Sigma−Aldrich、Cat#85011420)と融合させ、HAT セレクション(Sigma cat #:H0262)とHFCS(Hybridoma Fusion and Cloning Supplement、50x、Roche cat#:11−363−735−001)でクローンした。ヒトIL−17A及びIL−17Fの両者とを結合できる抗体の産生は、ELISA及びサイトカイン放出アッセイにて、ハイブリドーマ上清液を用いてスクリーニングを行った(実施例5を参照)。選択されたマウス抗IL17A/Fクローン(1−15−X)は、CDR−移植と復帰突然変異(back mutation)を使用してヒト化した。
【0036】
CDR−移植による抗体のヒト化:アクセプターのフレームワークの選択が行った。親抗体の可変ドメイン配列は、NCBI Ig−Blast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/igblast/)を用いてヒト生殖細胞系のデータベースにおいて検索したものである。各重鎖及び軽鎖については、5つ異なるヒトアクセプター(即ち、親抗体と高い相同性を有するヒト可変ドメイン)を選択した。前記ヒトアクセプターのCDRは、対応するマウスのものに置き換えられることで、ヒト化可変ドメイン配列にした。重鎖及び軽鎖のCDR配列(配列番号1〜6)をそれぞれ以下に示す。5つのヒト化した重鎖と、5つのヒト化した軽鎖を設計、合成して、発現ベクターに挿入された。前記ヒト化した抗体を発現させて、親和性ランキング試験に用いた。最も強い結合親和性を持つ抗体(VH1−VL5及びVH1−VL2)を選択し、復帰突然変異に用いた。さらなる特徴付けのため、バリアントの中から、VH1−1/VL5及びVH1−1/VL2−1を選択した。VH1−1/VL5は最も高い結合親和性を示した。
【0037】
CDR1Hアミノ酸配列(配列番号1)
DYNLN
【0038】
CDR2Hアミノ酸配列(配列番号2)
VIHPDYGTTSYNQKFKD
【0039】
CDR3Hアミノ酸配列(配列番号3)
YDYGDAMDY
【0040】
CDR1Lアミノ酸配列(配列番号4)
RSSQSLVHSNGNTYLH
【0041】
CDR2Lアミノ酸配列(配列番号5)
KVSNRFS
【0042】
CDR3Lアミノ酸配列(配列番号6)
SQSTHVPLT
【0043】
可変重鎖ドメイン(VH1−1)のアミノ酸配列(配列番号7)
QFQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYNLNWVRQAPGKGLEWMGVIHPDYGTTSYNQKFKDRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCVRYDYGDAMDYWGQGTLVTVSS
【0044】
可変軽鎖ドメイン(VL5)のアミノ酸配列(配列番号8)
DIVMTQSPLSLSVTPGQPASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQPPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPLTFGQGTKLEIK
【0045】
可変軽鎖ドメイン(VL2−1)のアミノ酸配列(配列番号9)
DIVMTQTPLSSSVTLGQPASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWLQQRPGQPPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPLTFGQGTKLEIK
【0046】
実施例2 抗IL17A/F抗体の発現と精製
ヒト化IgG重鎖(配列番号10のアミノ酸配列)、軽鎖(配列番号11のアミノ酸配列)をコードするDNA配列を合成し、pTGE5ベクター(Genescriptから購入可能)に挿入されて、全長IgGの発現プラスミドを構築した。親抗体の発現は、100mlのHEK293細胞培養で行われ(HEK293細胞はThermoFisher Scientificから購入可能)、その上清液をプロテインAアフィニティーカラムで精製した。精製した抗体は、PD−10脱塩カラム(Thermofisher Scientificから購入可能)を用いてPBSにバッファーを交換した。精製したタンパク質の濃度と純度は、それぞれ、OD280とSDS−PAGEで測定した。ヒト化した抗体は、30 mlの HEK 293細胞培養で発現した。細胞はスピンダウンした。上清液をろ過し、SDS−PAGE分析を行いた(
図1)。
【0047】
VH1−1を含む重鎖アミノ酸配列(配列番号10、完全長配列)
QFQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYNLNWVRQAPGKGLEWMGVIHPDYGTTSYNQKFKDRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCVRYDYGDAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0048】
VL5を含む軽鎖アミノ酸配列(配列番号11、完全長配列)
DIVMTQSPLSLSVTPGQPASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQPPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPLTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0049】
実施例3 抗IL17A/F抗体がヒトIL−17A及びIL−17FへのSPR分析による結合親和性
抗ヒトFcガンマ特異抗体(Jackson Immuno Research、ロット番号124448、コード109−008−098)をアミンカップリング法にてセンサーチップに固定した。培地に分泌された4つの抗体、及び親抗体を注入され、それぞれ抗ヒトFc抗体によってFc(捕捉相)を介して捕捉された。平衡させた後、300秒かけてIL−17を注入し(結合相)、次に、1200秒かけてランニングバッファーを注入した(解離相)。参照フロー細胞(フロー細胞1)の応答は、サイクルごとにヒト化した抗体のフロー細胞の応答から差し引かれた。次のヒト化した抗体を注入する前に、その表面は再生させた。このプロセスが、全ての抗体を分析したまで繰り返された。ヒト化した抗体の解離率は、Biacore T200エバリュエーションソフトを用いて、実験データをローカルマシンで1:1インタラクションモデルにフィットすることで取得した。前記抗体は、それらの解離速度定数(解離率、K
d)によって順位付けされた。IL−17とインタラクションする時に、親抗体と類似の親和性を有するバインダーを選択した。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例4 ELISAで測定したヒトIL−17A及びIL−17Fへの結合
MaxiSorp 96 wellプレート(NUNC#449824、www.thermofisher.com)は、2μg/mlのヒトIL−17A(Cell Signaling#8928SF、www.cellsignal.com)又はヒトIL−17F(Cell Signaling#8906LC、 www.cellsignal.com)を含む1xPBS(50μl/well)を用してコートされた。プレートは4℃で一晩培養した。コーティング液を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で1回洗浄した。次に、200μl/wellのブロッキングバッファー(0.05%tween−20を含む1x PBS、3%BSA)を添加し、室温で1時間培養した。ブロッキングバッファーを除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1x PBS)で3回洗浄した。1xPBSで抗IL−17A/F抗体(実施例2で作製した)を10、3.33、1.11、0.37、0.123、0.041、0.0137、0.0046、0.0015、0.00031、0.000102、0.000034μg/mlに希釈し、プレートに加えた(50μl/well)。プレートを室温で2時間培養した。ウェルの中に存在した抗体を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で3回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG(H&L)−HRP二次抗体(Jackson Immuno Research#109−035−088、www.jacksonimmuno.com)を1xPBSで1:5000に希釈して、各ウェルに追加した(50μl/well)。プレートを室温で1時間培養した。二次抗体を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で7回洗浄した。50μl/wellのTMB(eBioscience#85−00−4201−56、www.ebioscience.com)を加えて、プレートを室温で数分間培養した。次に、50μl/wellの2N H
2SO
4を加えて反応を停止させた。光学密度(吸光度)は、ヒトIL−17A及びIL−17Fへの結合に関連する450nmで測定された。平衡定数であるEC
50(nM)を表2に示す。以上の結果から、抗IL17A/F抗体は、ヒトIL−17AとIL−17Fの両者に対して高い親和性で結合できることを示す。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例5 抗IL17A/F抗体は、IL−17A、IL17F又はIL17A/Fヘテロダイマーによって誘導した炎症性サイトカインの産生をブロックする。
【0054】
IL−17A及びIL−17Fに対応する受容体は、それぞれ、IL−17RA及びIL−17RCである。これらの受容体は、線維芽細胞及び上皮細胞に遍在的に発現している。IL−17A及びIL−17Fは、細胞上の受容体に結合して、前記細胞でのIL−6、IL−8、TNF−αなどの複数のサイトカインの産生及び放出を誘導することができる。IL−17A又はIL−17F特異的な抗体は、可溶性IL−17A又はL−17Fに結合して、それらのIL−17RA又はIL−17RCへの結合をそれぞれブロックすることができる。これより、サイトカインの誘導は抑制され、そしてさらに炎症の発生が抑制される。
【0055】
前記アッセイは、抗IL−17A/F抗体(実施例2で作成したもの)を用いた予備培養することによりhIL−17A、hIL−17F、またはIL17−A/Fヘテロダイマー(R&DシステムCat#5837−IL)での刺激を行ったHFF−1細胞(ヒト皮膚線維芽細胞は、中国科学アカデミー幹細胞バンク、#SCSP−109)において、hIL−6の産生の検出することで行った。HFF−1細胞は細胞表面にIL−17受容体を発現している。可溶性hIL−17A又はhIL−17Fは、受容体に結合し、HFF−1細胞のhIL−6サイトカインの発現及び放出を誘導している。hIL−17A及びhIL−17Fに反応する抗IL−17A/F抗体は、サイトカインとIL−17受容体との結合をブロックして、IL−17A/Fで誘導したhIL−6の発現を阻害する。培養上清液に放出されたhIL−6は、ELISAで検出することができる。hIL−6についての測定は、抗IL−17A/F抗体の阻害作用を示すことができる。
【0056】
HFF−1細胞は、15%FBS(ThermoFisher Scientificから購入可能)、1%ペニシリン・ストレプトマイシン(PS、市販品)を含む0.3ml/ウェルDMEM培地で1.5x10
5細胞/ウェルの細胞密度にした後、48ウェルプレート(ThermoFisher Scientificから購入可能)に播種し、37℃、5%CO
2で12時間インキュベートした。次に、ウェルの中の培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄した(300μl/well)。前記細胞に300μl/wellの無血清DMEM培地を加えて、37℃で6時間飢餓状態にした。6時間の飢餓状態後、ウェルの中の無血清DMEM培地を細胞から除去した。細胞に30%FBS、2%PSを含むDMEM培地150μl/wellを加えた。その後、抗IL−17A/F抗体と、hIL−17A、IL17Fとの、又はIL−17A/Fヘテロダイマーとの150μl/well混合物を対応するウェルに加えた。プレートを37℃で24時間培養した。次に、上清液を回収してhIL−6のELISAに用いた。hIL−6の測定は、ヒトIL−6 ELISA Ready−SET−Goのキット(eBioscience#88−7066−88)を用いて実施した。結果を
図2に示し、抗IL17A/F抗体(VH1−1−VL5 mAb)が、サイトカイン、IL−17A、IL−17F、及びIL−IL17A/Fヘテロダイマーによって誘導して刺激したIL−6の産生をブロックすることを表す(
図2において、A、B、C)。
【0057】
実施例6 抗IL17A/F抗体は、IL−17A、IL−17F又はIL17A/FのIL−17受容体への結合をブロックする。
抗IL17A/F抗体(実施例2で作製した)は、IL−17A、IL−17F又はIL17A/FのIL−17受容体への結合に対する作用をELISAにて検査した。IL−17A、IL−17F、又はIL−17A/Fは、96wellプレートにおいて50μl/wellのタンパク質溶液(タンパク質濃度は0.5μg/ml)で、4℃で一晩コートされた。前記ウェルは、200μl/wellの1%BSA(0.05%のtween)を含むPBSTにより、室温で1時間ブロックされた。ウェルをPBSTで3回洗浄した。抗IL17A/F抗体、及びアイソタイプ対照抗体としてのヒトIgG1(Biolegend cat#403102)をPBSで、30μg/mlから0.0005μg/mlまで(30、10、3.33、1.11、0.37、0.123、0.041、0.0137、0.0046、0.0015、0.0005μg/ml)に希釈した。抗体を対応するウェルに加えて(50μl/well)、室温で4時間培養した。ウェルをPBSTで3回洗浄した。hIL17RA−mIgG2aFc(10μg/ml、標準分子生物学技術、Carson S、Molecular Biology Techniques、2012に基づく内製した)を各ウェルに加えて(50μl/well)、室温で1時間培養した。ウェルをPBSTで3回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG−HRP(1:5000でPBSに含まれ、EASYBIO Cat#BE0102)を各ウェルに(50μl/well)加えて、室温で30分間培養した。ウェルをPBSTで6回洗浄した。各ウェルにTMB基質を加えて(ウェルずつ50μl)、反応は各ウェルに50μlの2N H
2SO
4を加えることで停止させた。プレートは450nmと570nmで読み取られた。
図3に示すように、抗IL17A/F抗体は、IL−17A、IL17F、さらにはIL−17A/FのIL−17受容体への結合をブロックする。上記データから、抗IL17A/F抗体はサイトカインとその受容体との間のインタラクションを遮断することにより、IL−17A、IL−17F及びIL17A/Fの活性を阻害することをさらに実証する。
【0058】
実施例7 ELISAで測定したヒトIL−17A、IL−17Fへの結合、及び他のIL−17のファミリーのメンバーとの交差反応性
MaxiSorp 96wellプレート(NUNC#449824、www.thermofisher.com)は、2μg/mlのヒトIL−17A(Cell Signaling#8928SF、www.cellsignal.com)、ヒトIL−17F(Cell Signaling#8906LC、www.cellsignal.com)、ヒトIL−17B(Peprotech#200−28、www.peprotech.com)、ヒトIL−17C(R&Dシステム#1234−IL−025/CF、www.rndsystems.com)、ヒトIL −17D((Peprotech#200−27、www.peprotech.com)、ヒトIL−17E(R&D systems#1258−IL−025/CF、www.rndsystems.com)、それぞれを含む1x PBS(50μl/well)を用いてコートされた。プレートは4℃で一晩培養した。コーティング液を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で1回洗浄した。次に、200μl/wellのブロッキングバッファー(0.05%tween−20を含む1x PBS、3%BSA)を加えて、室温で1時間培養した。ブロッキングバッファーを除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で3回洗浄した。1x PBSで抗IL17A/F抗体、hIgG VH1−1/VL5を10、3.33、1.11、0.37、0.123、0.041、0.0137、0.0046、0.0015、0.00031、0.000102、0.000034μg/mlに希釈し、プレートに加えた(50μl/well)。プレートを室温で2時間培養した。ウェルの中に存在した抗体を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で3回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG(H&L)−HRP二次抗体(Jackson Immuno Research#109−035−088、www.jacksonimmuno.com)を1xPBSで1:5000に希釈したものを、各ウェルに追加した(50μl/well)。プレートを室温で1時間培養した。二次抗体を除去し、プレートを200μl/wellのPBST(0.05%tween−20を含む1xPBS)で7回洗浄した。50μl/wellのTMB(eBioscience#85−00−4201−56、www.ebioscience.com)を加えて、プレートを室温で数分間培養した。次に、50μl/wellの2N H
2SO
4を加えて反応を停止させた。プレートを450 nmで読み取った。結果を表3に示す。抗IL17A/F抗体であるhIgG VH1−1/VL5は、ヒトIL−17A及び17Fの両者との結合能を持つ(
図4のAとF)、EC
50はそれぞれ、0.046、0.047nMである。それ以外、hIgG VH1−1/VL5はヒトIL−17B、17C、17D及び17Eに結合しなかった(
図4、B、C、D及びE)。したがって、hIgG VH1−1/VL5抗体は、ヒトIL−17A及び17Fへの結合特異性を持つ、他のIL−17ファミリーのメンバーとは交差反応性を有しない。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例8 カニクイザルIL−17A及びIL−17Fとの交差反応性(結合能アッセイ)
抗IL−17A/F抗体がカニクイザルIL−17A及びIL−17Fへの結合能は、ELISAにて測定した。なお、ヒトIL−17A及びFをそれぞれ、カニクイザルIL−17A(GeneID:XM_005552759.2、標準分子生物学技術、Carson S、Molecular Biology Techniques、2012による内製した)及びIL−17F(GeneID:XM_005552757.2、標準分子生物学技術、Carson S、Molecular Biology Techniques、2012による内製した)に置き換えた以外、実施例7と同様の方法でアッセイを実施した。
hIgG VH1−1−VL5抗体は、カニクイザルII−17A及び17Fへの結合能を持つ、EC50はそれぞれ0.06、0.18nMである(表4、及び
図5のA、B)。
【0061】
【表4】
【0062】
カニクイザルは、カニクイザルIL−17A及びIL−17Fへの交差反応性を有することから、抗IL17A/F抗体に関する薬物動態学、薬力学、及び毒物学研究に適したことを示している。よって、抗IL17A/F抗体は医薬組成物としての開発が望まれている。
【0063】
実施例9 抗IL17A/F抗体の作用のin vivo動物研究
ヒトIL−17(Cell Signaling Cat#8928SF、3μg/マウス)を皮下注射する1時間前に、抗IL−17A/F抗体(実施例2で作製したVH1−1/VL5、20μg/マウス)をC57BL/6Nマウスに(群各n = 5、8週齢、体重:18−20g 、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.、Ltd.から購入可能)静脈内投与した。IL−17を投与したから2時間の時点で血液サンプルを採取し、血漿中のCXCL1ケモカインのレベルをELISA(マウスCXCL1/GROアルファDuoSet ELISAキット、R&Dシステム、DY345)を用いて測定した。アイソタイプ対照抗体としては、ヒトIgG1(BioLegend Cat#40312)を用いた。
図6に示すように、抗IL17A/F抗体(実施例2で作製した)は、アイソタイプ対照抗体と比較して、C57BL/6マウスの血漿におけるヒトIL−17Aで誘導したケモカインの分泌を低下させることができる。この結果から、抗IL17A/F抗体が、IL−17の活性を阻害、遮断、または中和するための医薬品として使用できることを示唆している。
【0064】
In vivo及びin vitro研究では、被験体においてIL−17A及び/又はIL−17F関連疾病の治療に使用する医薬品の製造のための、抗IL17A/F抗体の使用を実証した。IL−17A及び/又はIL−17F関連疾病は、例えば、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス、変形性関節症及び炎症性腸疾患(IBD)などを含む自己免疫疾患及び炎症性疾患からなる群より選択できる。被験体は、ラット、マウス、サル、又はヒトなどの哺乳類であってもよい。好ましくは、被験体はヒトである。