(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、いかなるカルボキシル基又はいかなる一級若しくは二級アミノ基も含まない1つ以上のアクリルモノマーのアクリル系反復単位である第3の反復単位を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
前記ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、2−(メタ)アクリルアミド酢酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコール酸、3−(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4−(メタ)アクリルアミドブタン酸、5−(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3−(メタ)アクリルアミド−3−メチルブタン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルアミドモノマーの(メタ)アクリルアミド反復単位である第4の反復単位を更に含むが、但し、前記第2の反復単位及び前記第4の反復単位のモル%の合計が1%〜10%であることを条件とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される専門用語、及び実験室での手順はよく知られており、当該技術で一般的に用いられている。当該技術分野及び様々な一般的参考文献に提供されるものなどの従来の方法がこれらの手順に使用される。用語が単数形で提供されている場合、本発明者らはその用語の複数形も考慮する。本明細書で使用される専門用語、及び以下に記載される実験室での手順は周知のものであり、当該技術で一般的に用いられている。また、添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの単数形に対する引用は複数形を包含し、また特定の数値に対する引用は、その文脈により明確に指示されていない限り、少なくともその特定の値を包含する。本明細書で使用するとき、「約(about)」は、「約」として参照される数が、引用される数プラスマイナス1〜10%を含むことを意味する。
【0010】
「コンタクトレンズ」とは、装用者の眼の上又は中に配置することができる構造体を意味する。コンタクトレンズは、ユーザの視力を矯正、改善又は変更することができるが、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当該技術分野において公知の、又は後に開発される任意の適切な材料であることができ、ソフトレンズ、ハードレンズ又はハイブリッドレンズであることができる。「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」とは、シリコーンハイドロゲルバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを意味する。当業者は、コンタクトレンズ(非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズのいずれか)の作製方法を非常によく知っている。例えば、コンタクトレンズは、例えば、米国特許第3,408,429号明細書に記載されているように、従来の「スピンキャスト成形」で、又は米国特許4,347,198号明細書、同第5,508,317号明細書、同第5,583,463号明細書、同第5,789,464号明細書、及び同第5,849,810号明細書に記載されているように、静的形態でフルキャスト成形法によって、特注コンタクトレンズを作製する際に使用されるとおりのボタンの旋盤切削によって製造することができる。
【0011】
「ソフトコンタクトレンズ」とは、2.5MPa未満の弾性率(すなわち、ヤング率)を有するコンタクトレンズを意味する。
【0012】
「ハイドロゲル」又は「ハイドロゲル材料」とは、三次元ポリマーネットワークを有する架橋したポリマー材料(すなわち、ポリマーマトリックス)を意味し、水に不溶性であるが、完全に水和された場合に、そのポリマーマトリックス中に少なくとも10重量%の水を保持することができる。
【0013】
「シリコーンハイドロゲル」とは、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、又は少なくとも1つのシリコーン含有マクロマー、又は少なくとも1つの架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物を共重合することによって得られるシリコーン含有ハイドロゲルを意味する。
【0014】
本出願にて使用する場合、用語「非シリコーンハイドロゲル」とは、理論的にシリコンを含まないハイドロゲルを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、「親水性」は、脂質よりも水とより容易に会合する材料又はその一部分を説明する。
【0016】
本明細書で使用する場合、「表面親水性」は、水破壊時間(WBUT)によって測定したとき、表面が水と相互作用する程度を表す表面特性を説明する。WBUTの値が高いほど、表面親水性は高くなる。
【0017】
本発明によれば、コンタクトレンズ(又は医療用具)の「表面潤滑性」は、0から4までの数である摩擦評価によって測定される。摩擦評価の値が高いほど、表面潤滑性は低くなる。
【0018】
「ビニルモノマー」とは、1個の単独のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶性であり、化学線的又は熱的に重合することができる化合物を意味する。
【0019】
溶媒中の化合物又は材料に関して、用語「可溶性」とは、化合物又は材料が、溶媒に溶解して、室温(すなわち、約22℃〜約28℃の温度)で少なくとも約0.05重量%の濃度を有する溶液を得ることができることを意味する。水中の化合物又は材料に関して、用語「水溶性」とは、化合物又は材料が、水に溶解して、室温で少なくとも約0.05重量%の濃度を有する溶液を得ることができることを意味する。
【0020】
溶媒中の化合物又は材料に関して、用語「不溶性」とは、化合物又は材料が、溶媒に溶解して、室温(上記に定義されるとおり)で0.005重量%未満の濃度を有する溶液を得ることができることを意味する。
【0021】
本出願にて使用する場合、用語「エチレン性不飽和基」は、本明細書で広義の意味で用いられ、少なくとも1個の>C=C<基を含有する任意の基を包含することが意図される。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定されないが、(メタ)アクリロイル
【化1】
、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=C含有基が挙げられる。
【0022】
用語「(メタ)アクリルアミド」とは、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを意味する。
【0023】
用語「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
【0024】
用語「(メタ)アクリルアミドモノマー」は、以下の式:
【化2】
のビニルモノマーを指し、式中、R
oは水素又はメチルであり、互いに独立しているE
1及びE
2は水素又は1〜50個の炭素原子を有する有機基である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「親水性ビニルモノマー」とは、ホモポリマーとして典型的には水溶性であるか又は少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーを生じるビニルモノマーを意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「疎水性ビニルモノマー」とは、ホモポリマーとして典型的には水に不溶性であり、10重量%未満の水を吸収することができるポリマーを生じるビニルモノマーを意味する。
【0027】
「アクリルモノマー」は、単独の(メタ)アクリロイル基を有するビニルモノマーを指す。
【0028】
「N−ビニルアミドモノマー」は、アミド基の窒素原子に直接結合したビニル基(−CH=CH
2))を有するアミド化合物を指す。
【0029】
本願では、「ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマー」は、コポリマーの全反復単位に対して50モル%超(好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、更により好ましくは少なくとも70モル%、最も好ましくは少なくとも80モル%)の、(メタ)アクリルアミド反復単位である反復単位を含むコポリマーを指す。
【0030】
本願では、「ポリ(メタ)アクリレート系コポリマー」は、コポリマーの全反復単位に対して50モル%超(好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、更により好ましくは少なくとも70モル%、最も好ましくは少なくとも80モル%)の、(メタ)アクリレート反復単位である反復単位を含むコポリマーを指す。
【0031】
本願では、「(メタ)アクリルアミド反復単位」は、互いに、且つ任意選択的に他の種類の反復単位と連続的に結合してポリマーのポリマー鎖を形成する反復単位の一部類(すなわち、二価ラジカル)を指し、(メタ)アクリルアミド反復単位のそれぞれが以下の構造式:
【化3】
を有し、式中、R
oは水素又はメチルであり、互いに独立しているE
1及びE
2は水素又は1〜50個の炭素原子を有する有機基である。
【0032】
本願では、「(メタ)アクリレート反復単位」は、互いに、且つ任意選択的に他の種類の反復単位と連続的に結合してポリマーのポリマー鎖を形成する反復単位の一部類(すなわち、二価ラジカル)を指し、(メタ)アクリレート反復単位のそれぞれが構造式:
【化4】
を有し、式中、R
oは水素又はメチルであり、E
3は水素又は1〜50個の炭素原子を有する有機基である。
【0033】
本願では、「アクリル系反復単位」は、(メタ)アクリルアミド反復単位、及び/又は(メタ)アクリレート反復単位を指す。
【0034】
「マクロマー」及び「プレポリマー」とは、エチレン性不飽和基を含有し、700ダルトン超の平均分子量を含有する化合物又はポリマーを意味する。
【0035】
本出願にて使用する場合、用語「ビニル架橋剤」とは、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を意味する。「ビニル架橋剤」は、700ダルトン以下の分子量を有するビニル架橋剤を意味する。
【0036】
本出願にて使用する場合、用語「ポリマー」とは、1つ以上のモノマー又はマクロマー又はプレポリマー又はこれらの組み合わせを重合/架橋することによって形成される材料を意味する。
【0037】
本出願にて使用する場合、ポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を含む)の「分子量」とは、特に指示がない限り、又は試験条件が他義を示さない限り、数平均分子量を意味する。
【0038】
用語「アルキル」とは、直鎖又は分枝鎖アルカン化合物から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを意味する。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中の1個の他の基と1つの結合を形成する。
【0039】
用語「アルキレン二価基」又は「アルキレンジラジカル」又は「アルキルジラジカル」とは、互換的に、アルキルから1個の水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを意味する。アルキレン二価基は、有機化合物中の他の基と2つの結合を形成する。
【0040】
用語「アルキルトリラジカル」とは、アルキルから2個の水素原子を除去することによって得られる三価ラジカルを意味する。アルキルトリラジカルは、有機化合物中の他の基と3つの結合を形成する。
【0041】
用語「アルコキシ」又は「アルコキシル」とは、直鎖又は分枝鎖アルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを意味する。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中の1個の他の基と1つの結合を形成する。
【0042】
本出願において、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルに関連しての用語「置換された」は、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルが、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルの1個の水素原子を置き換え、且つヒドロキシ(−OH)、カルボキシル(−COOH)、−NH
2、スルフヒドリル(−SH)、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、C
1〜C
4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C
1〜C
4ルカノイルアミノ、C
1〜C
4アルキルアミノ、ジ−C
1〜C
4アルキルアミノ、ハロゲン原子(Br又はCl)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0043】
本願では、用語「アゼチジニウム」又は「3−ヒドロキシアゼチジニウム」は、
【化5】
の正荷電した二価ラジカル(又は基若しくは部分)を指し、これは、「
*」によって示される位置で2つの炭化水素基(例えば、
1R及び
2R)に連結される。
【0044】
用語「アズラクトン」とは、式
【化6】
[式中、pは、0又は1であり、
3R及び
4Rは、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル(好ましくはメチル)である]の一価ラジカルを意味する。
【0045】
本出願にて使用する場合、用語「ホスホリルコリン」又は「PC」とは、互換的に、
【化7】
[式中、t1は、1〜5の整数であり、R
1”、R
2”及びR
3”は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8ヒドロキシアルキルである]の一価双性イオン基を意味する。
【0046】
本出願において、「オキサゾリン」とは、
【化8】
[式中、R
1は、水素、C
1〜C
18アルキル、C
1〜C
4アルキル置換フェニル、C
1〜C
4アルコキシ置換フェニル、C
6〜C
18アリールラジカル、N−ピロリドニル−C
1〜C
4アルキル、−alk−(OC
2H
4)
m3−OR’’(式中、alkはC
1〜C
4アルキルジラジカルであり、R’’はC
1〜C
4アルキル、好ましくはメチルであり、m3は1〜10(好ましくは1〜5)の整数である)の一価ラジカルであり、好ましくは、R
1は、メチル、エチル、プロピル、N−ピロリドニル−C
1〜C
4アルキル、−alk−(OC
2H
4)
m3−OR’’(式中、alkはC
1〜C
4アルキルジラジカルであり、R’’はC
1〜C
4アルキル、好ましくはメチルであり、m3は1〜10(好ましくは1〜5)の整数である)の一価ラジカルである]の化合物を意味する。
【0047】
本出願において、用語「ポリオキサゾリン」とは、
【化9】
[式中、T
1及びT
2は、2個の末端基であり、R
1は、水素、メチル、エチル、N−ピロリドニルメチル、N−ピロリドニルエチル、N−ピロリドニルプロピル、又は−alk−(OC
2H
4)
m3−OR”(式中、alkは、C
1〜C
4アルキルジラジカルであり、R”は、C
1〜C
4アルキル(好ましくは、メチル)であり、m3は、1〜10(好ましくは、1〜5)の整数である)の一価ラジカルであり、xは、5〜500の整数である]の式を有する直鎖ポリマーを意味する。ポリオキサゾリンセグメントは、
【化10】
[式中、R
1及びxは、上で定義されたとおりである]の式の二価ポリマー鎖を有する。
【0048】
本出願において、用語「ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)」とは、
【化11】
[式中、T
1及びT
2は、末端基であり、R
1は、水素、メチル、エチル、N−ピロリドニルメチル、N−ピロリドニルエチル、N−ピロリドニルプロピル、又は−alk−(OC
2H
4)
m3−OR”(式中、alkは、C
1〜C
4アルキルジラジカルであり、R”は、C
1〜C
4アルキル(好ましくは、メチル)であり、m3は、1〜10(好ましくは、1〜5)の整数である)の一価ラジカルであり、xは、5〜500の整数であり、zは、x以下の整数である]の式を有する統計コポリマーを意味する。ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)は、ポリオキサゾリンを加水分解することにより得られる。
【0049】
本出願において、用語「ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリン」とは、ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)をエピクロロヒドリンと反応させて、ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)の第二級アミン基のすべて又はかなりの割合(≧90%)をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを意味する。ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンの例は、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に開示されている。
【0050】
「エピクロロヒドリン官能化ポリアミン」又は「エピクロロヒドリン官能化ポリアミドアミン」とは、ポリアミン又はポリアミドアミンをエピクロロヒドリンと反応させて、ポリアミン又はポリアミドアミンの第二級アミン基のすべて又はかなりの割合をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを意味する。
【0051】
用語「ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン」とは、エピクロロヒドリン官能化アジピン酸−ジエチレントリアミンコポリマーを意味する。
【0052】
ポリマー材料又は官能基に関連しての用語「熱架橋性」とは、ポリマー材料又は官能基が、比較的上昇した温度(約40℃〜約140℃)で別のポリマー材料又は官能基との架橋(又はカップリング)反応を行うことができる一方で、ポリマー材料又は官能基が、室温(すなわち、約22℃〜約28℃、好ましくは約24℃〜約26℃、特には約25℃)で約1時間の期間で検出可能な程度まで別の材料又は官能基と同じ架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができないことを意味する。
【0053】
本出願にて使用する場合、用語「反応性ビニルモノマー」とは、カルボキシル基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性官能基を有する、任意のビニルモノマーを意味する。
【0054】
本出願にて使用する場合、用語「非反応性ビニルモノマー」とは、カルボキシル基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基又はアジリジン基を含まない、任意のビニルモノマー(親水性又は疎水性ビニルモノマーのいずれか)を意味する。
【0055】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれかであることができる。「光開始剤」とは、光の使用によってフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を意味する。「熱開始剤」とは、熱エネルギーの使用によってラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を意味する。
【0056】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上のコーティングに関連しての用語「無傷性」とは、実施例1に記載されるSudan Black染色試験において、コンタクトレンズがSudan Blackによって染色され得る程度を説明することが意図される。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上のコーティングの良好な無傷性は、コンタクトレンズのSudan Black染色が実質的にないことを意味する。
【0057】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上のコーティングに関連しての用語「耐久性」とは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上のコーティングが、指擦り試験の所望のサイクル数にもかかわらず残存し得ることを説明することが意図される。
【0058】
コンタクトレンズ又は材料に関連しての用語「モジュラス」又は「弾性率」又は「ヤング率」とは、互換的に、コンタクトレンズ又は材料の剛性の尺度である引張係数又はヤング率を意味する。モジュラスは、ANSI Z80.20規格に従う方法を使用して測定され得る。当業者は、シリコーンハイドロゲル材料又はコンタクトレンズの弾性率の決定方法をよく知っている。例えば、すべての市販のコンタクトレンズは、弾性率の値が報告されている。
【0059】
「水溶液」又は「水系溶液」とは、互換的に、水系溶媒及び水系溶媒に溶解された1つ以上の溶質からなる均一混合物である溶液を意味する。「水系溶媒」は、溶媒系の重量に対して、少なくとも50重量%(好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、さらにより好ましくは少なくとも約90重量%、特には少なくとも約95重量%)の水、及び最大で50重量%(好ましくは約40%以下、より好ましくは約20重量%以下、さらにより好ましくは約10重量%以下、特には約5重量%以下)の1つ以上の有機溶媒からなる溶媒系を説明することが意図される。水性コーティング溶液は、溶液中に溶質として少なくとも1つのポリマーコーティング材料を含有する水溶液を意味する。
【0060】
「有機系溶液」とは、有機系溶媒、及び有機系溶媒中に溶解された1つ以上の溶質からなる均一混合物である溶液を意味する。「有機系溶媒」は、1つ以上の有機溶媒、及び溶媒系の重量に対して49重量%未満、好ましくは約40重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、さらにより好ましくは約10重量%以下、特には約5重量%以下の水からなる溶媒系を説明することが意図される。有機系コーティング溶液は、溶液中に溶質として少なくとも1つのポリマーコーティング材料を含有する有機系溶液を意味する。
【0061】
「インパッケージ架橋プロセス」又は「IPCプロセス」とは、オートクレーブの間に、パッケージ(これは、コンタクトレンズ又は医療用具の貯蔵及び滅菌用である)中のパッケージング溶液においてin−situで直接実施される架橋反応を意味する。このようなプロセスの例は、8,529,057号明細書に記載されている。医療用具又はコンタクトレンズ上に非シリコーンハイドロゲルコーティングを形成することができる。
【0062】
本発明は、広義には、それぞれが1つの末端カルボキシルを有する反応性ペンダント鎖を有する親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの一部類に関する。本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、親水性ポリ(メタ)アクリレート系コポリマーと比較して、水勾配コンタクトレンズを製造するために水溶性の熱架橋性親水性ポリマー材料(すなわち、IPC材料)を調製する際に用いられたとき、ポリアニオン性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸(「PAA」)又はポリメタクリル酸(「PMAA」))のベースコーティングに対してはるかに高い親和性を有し得ることが判明している。ベースコーティングに対する高い親和性のために、こうした水溶性の熱架橋性親水性ポリマー材料はベースコーティング(based coating)に対してより効率的に結合し、その結果、効率的に水勾配コンタクトレンズを製造することができる。
【0063】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明者らは、各アミド結合に関して、共鳴構造として知られる2つの形態の混成形態が存在するものと考えている。以下に示すように、両矢印は、結合の真の電子構造が、無極形態(形態A)と双極形態(形態B)との間のどこかに存在することを示している。電子は、窒素、炭素、及び酸素原子の間に広がる。アミド結合を分極化させるこの電子の非局在化は、IPC材料とレンズ表面のPAA又はPMAAのベースコーティングとの間の親和性、及び更には錯化までも強化することができる。
【化12】
【0064】
親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは反応性ペンダント(すなわち、懸垂)鎖を有し、そのそれぞれが、アゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基に対する高い反応性を有し、且つアゼチジニウム含有ポリマー及びこうした反応性親水性ポリマーを含む水性反応混合物から水勾配コンタクトレンズを製造するのに有用な水溶性の熱架橋性ポリマー材料を効率的に製造するのに好適な1つの末端カルボキシル基を含むことも判明している。末端カルボキシル基は、アゼチジニウム含有ポリマーの二級アミノ基と比較して、水溶性の熱架橋性ポリマー材料を調製するための反応中におけるアゼチジニウム基に対する反応性がより高いため、アゼチジニウム含有ポリマー分子の内部架橋が最小限に抑えられるように、得られた熱架橋性ポリマー材料に本発明の親水性コポリマーを効率的に組込むことが可能であると考えられる。本発明の親水性コポリマーを用いることの利点としては、製造コストを節約する比較的短い反応時間、より少量の親水性増強剤を用いる効率的な反応、並びに水溶性の熱架橋性ポリマー材料中のアゼチジニウム基の濃度及び共有結合におけるより良好な反応制御性を挙げることができる。反応性ペンダント鎖を伴う場合(ペンダント基の代わりに)、こうした水溶性の熱架橋性ポリマー材料は緩やかに架橋されたポリマーネットワークを有することができ、ここでポリマー主鎖は、それぞれポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの1つの反応性ペンダント鎖とアゼチジニウム含有ポリマーの1つのアゼチジニウム基との間に形成された比較的長い架橋ブリッジを介して結合される。こうした水溶性の熱架橋性ポリマー材料は、潤滑性がより良好であり、表面の割れが最小限であるか又は存在しない、比較的柔軟な表面ヒドロゲルを形成することができる。
【0065】
一態様では、本発明は、
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、N−6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマーの第1の反復単位と、
それぞれが式(1)〜(5)のうちいずれか1つのアクリル系反復単位である第2の反復単位と、を含み、
【化13】
式中、R
oは水素又はメチルであり、互いに独立しているX
o及びX
1は、−O−又は−NR
n−であって、式中、R
nは水素、又はC
1〜C
4アルキル基であり、L
1はC
1〜C
4のアルキレン二価ラジカルであり、互いに独立しているL
2及びL
4は、0又は1のヒドロキシル基を有するC
2〜C
4アルキレン二価ラジカルであり、L
3は−CH
2−CHOH−CH
2−であり、t1は2〜25の整数であり、t2は2〜4の整数であり、t3は0又は1である、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを提供し、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、更により好ましくは少なくとも70モル%、最も好ましくは少なくとも80モル%)の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む。
【0066】
本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマー中の式(1)〜(5)のうちのいずれか1つの第2の反復単位はまた、X
oが−NR
n−であって、式中、R
nがH、又はC
1〜C
4アルキル基である場合は、(メタ)アクリルアミド反復単位であってもよく、また、本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、50モル%超又は特定のモル%超の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含まなくてはならず、これは、第1の反復単位を含まなくてはならず、且つ、特定のモル%に達するか又はこれを超えるのに必要であれば、第2の反復単位、及び上記で列挙されていないその他の反復単位を更に含んでもよいことに注目されたい。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、少なくとも約50モル%、好ましくは約50モル%〜約98モル%、より好ましくは約60モル%〜約95モル%、更により好ましくは約70モル%〜約90モル%の第1の反復単位を含む。
【0068】
別の好ましい実施形態では、本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して、約0.01モル%〜約40モル%、好ましくは約0.1モル%〜約30モル%、より好ましくは約0.5モル%〜約20モル%、更により好ましくは約1モル%〜約10モル%の第2の反復単位を含む。
【0069】
特定の第1の反復単位及び式(1)のアクリル系反復単位を含む本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、当業者に周知される式(1)の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得るための任意の好適なフリーラジカル重合技術に従って、(i)少なくとも1つの非反応性(メタ)アクリルアミドモノマー(すなわち、カルボキシル、一級アミノ、又は二級アミノ基を全く含まない)、(ii)カルボキシル末端ポリエチレングリコール鎖を有する少なくとも1つのアクリルモノマー、及び(iii)他の必要な重合性成分を含む重合性組成物を重合することによって得ることができる。
【0070】
それぞれがカルボキシル末端ポリエチレングリコール鎖を有する好ましいアクリルモノマーの例としては、モノ−(メタ)アクリレート末端モノ−カルボキシアルキル末端ポリエチレングリコール、モノ−(メタ)アクリルアミド末端モノ−カルボキシアルキル末端ポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。こうしたアクリルモノマーは、商業的供給源から入手することができる(例えばCreative PEGWorks、Polysciencesなど)。
【0071】
周知されるフリーラジカル重合技術の例としては、熱反応開始剤の存在下での熱重合、光反応開始剤の存在下での光誘起重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)開始剤の存在下での原子移動ラジカル重合、ラジカル付加開裂移動(radical−addition−fragmentation−transfer)(RAFT)剤の存在下でのRAFT重合が挙げられるが、これらに限定されない。当業者には、得られるコポリマーの分子量を制御するために 、連鎖移動剤(すなわち、メルカプタン化合物)を 重合性組成物に添加してもよいことは既知である。
【0072】
特定の第1の反復単位及び式(2)のアクリル系反復単位を含む本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、2工程プロセスで得ることができる。第1の工程では、カップリング反応条件下で、無水ジカルボン酸(例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、又はこれらの組み合わせ)を、ヒドロキシル基、一級アミノ基、又は二級アミノ基を有するアクリルモノマーと反応させて、カルボキシル基で末端処理された鎖を有するアクリルモノマーを得ることができる。第2の工程では、得られたアクリルモノマー、及びカルボキシル、一級アミノ基又は二級アミノ基を全く含まない少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマー、並びに他の必要な重合性成分を、当業者に周知される任意の好適なフリーラジカル重合技術に従って重合して、式(2)の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得る。
【0073】
それぞれヒドロキシル基、一級アミノ基、又は二級アミノ基を有する好ましいアクリルモノマーの例としては、C
2〜C
4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C
2〜C
4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、C
2〜C
4アミノアルキル(メタ)アクリレート、C
2〜C
4アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、C
1〜C
4アルキルアミノC
2〜C
4アルキル(メタ)アクリレート、C
1〜C
4アルキルアミノC
2〜C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
特定の第1の反復単位及び式(3)のアクリル系反復単位を含む本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、2工程プロセスで得ることができる。第1の工程では、カップリング反応条件下で、ヒドロキシル末端又はNHR’末端ポリエチレングリコール鎖を有するアクリルモノマーを無水ジカルボン酸(例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、又はこれらの組み合わせ)と反応させ、カルボキシル基で末端処理されたポリエチレングリコール鎖を有するアクリルモノマーを得る。第2の工程では、得られたアクリルモノマー、及びカルボキシル、一級アミノ基又は二級アミノ基を全く含まない少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマー、並びに他の必要な重合性成分を、当業者に周知される任意の好適なフリーラジカル重合技術に従って重合して、式(3)の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得る。
【0075】
それぞれヒドロキシ末端又はNHR’末端ポリエチレングリコール鎖を有する好ましいアクリルモノマーの例は、商業的供給源から入手することができる(例えばCreative PEGWorks、Polysciencesなど)。
【0076】
特定の第1の反復単位及び式(4)のアクリル系反復単位を含む本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、2工程プロセスで得ることができる。第1の工程では、当業者に周知される任意の好適なフリーラジカル重合技術に従って、(i)カルボキシル、一級アミノ、又は二級アミノ基を全く含まない少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマー、(ii)少なくとも1つのエポキシ含有アクリルモノマー、及び(3)他の必要な重合性成分を含む重合性組成物を重合することによって、中間コポリマーが得られる。第2の工程では、得られた中間コポリマーをカルボキシル含有メルカプタンと反応させて、式(4)の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得る。
【0077】
好ましいエポキシ含有アクリルモノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
好ましいカルボキシル含有メルカプタンの例としては、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、2−メルカプトブタン酸、メルカプト酢酸(すなわち、チオグリコール酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
特定の第1の反復単位及び式(5)のアクリル系反復単位を含む本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、3工程プロセスで得ることができる。第1の工程では、当業者に周知される任意の好適なフリーラジカル重合技術に従って、(i)カルボキシル、一級アミノ、又は二級アミノ基を全く含まない少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマー、(ii)少なくとも1つのエポキシ含有アクリルモノマー(上記で説明したうちのいずれか1つ)、及び(3)他の必要な重合性成分を含む重合性組成物を重合することによって、中間コポリマーが得られる。第2の工程では、得られた中間コポリマーをNHR’含有又はヒドロキシル含有メルカプタンと反応させ、それぞれが−NHR’又はヒドロキシ基で末端処理されたペンダント鎖を有する第2の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーを得る。第3の工程では、それぞれ−NHR’又はヒドロキシ基で末端処理されたペンダント鎖を有する第2の反復単位を含むポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーをジカルボン酸無水物(例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、又はこれらの組み合わせ)と反応させる。
【0080】
好ましいアミノ含有メルカプタンの例としては、アミノエタンチオール、3−アミノ−1−プロパンチオール、4−アミノ−1−ブタンチオール、3−アミノ−2−ブタンチオール、3−アミノ−2−メチル−2−プロパンチオール、1−アミノ−2−プロパンチオール(propanetiol)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
好ましいヒドロキシル含有メルカプタンの例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトンプロパノール(mercaptonpropanol)、1−メルカプト−2−プロパノール、2−メルカプト−1−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプト−3−ブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本発明によれば、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、いかなるカルボキシル基又はいかなる一級若しくは二級アミノ基も含まない1つ以上のアクリルモノマーのアクリル系反復単位である、第3の反復単位を更に含んでもよい。第3の反復単位は、好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、最大1500ダルトンの重量平均分子量を有するC
1〜C
4アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、アリルアルコール、ビニルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
本発明によれば、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、(好ましくは、2−(メタ)アクリルアミド酢酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコール酸、3−(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4−(メタ)アクリルアミドブタン酸、5−(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3−(メタ)アクリルアミド−3−メチルブタン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルアミドモノマーの(メタ)アクリルアミド反復単位である第4の反復単位を更に含んでもよい。
【0084】
本発明によれば、本発明の親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、約500〜約2,000,000、好ましくは約1,000〜約1,000,000、より好ましくは約2,000〜約500,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0085】
本発明の親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、アゼチジニウム基を含有する水溶性及び熱架橋性親水性ポリマー材料の形成に特定の用途を見出すことができる。このような水溶性及び熱架橋性親水性ポリマー材料は、米国特許第8,529,057号明細書に記載されているものと同様の手順に従って、親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーをアゼチジニウム含有ポリマーと部分的に反応させることによって得ることができ、特に水分勾配コンタクトレンズを製造するのに有用であり得る。アゼチジニウム含有ポリマーの1つのアゼチジニウム基は、以下の反応に従い、本発明の親水性ポリマーの1つのチオール基と反応することができ、
【化14】
式中、Rは有機基である。
【0086】
別の態様では、本発明は、(a)アゼチジニウム基を有するアゼチジニウム含有ポリマーの1つ以上の第1のポリマー鎖と、(b)本発明の親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマー(上記で説明したもののうちのいずれか1つ)の1つ以上の第2のポリマー鎖であって、各第2のポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの1つの反応性ペンダント鎖と、アゼチジニウム含有ポリマーの1つのアゼチジニウム基と、の間に形成された少なくとも1つの結合を介して前記の1つ以上の第1のポリマー鎖のうちの1つに共有結合する、第2のポリマー鎖と、(c)アゼチジニウム基であって、そのそれぞれが前記の1つ以上の第1のポリマー鎖のうちの1つに包埋されるか又は共有結合される、アゼチジニウム基と、を含む水溶性の熱架橋性ポリマー材料を提供する。
【0087】
任意の好適なアゼチジニウム含有ポリマーを本発明に使用することができる。アゼチジニウム含有ポリマーの例としては、限定されないが、エピクロロヒドリン官能化ポリアミン、アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー、アゼチジニウム含有ビニルモノマーと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0088】
好ましくは、アゼチジニウム含有ポリマーは、エピクロロヒドリン官能化ポリアミンである。エピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、エピクロロヒドリンをポリアミンポリマー又は第二級アミノ基を含有するポリマーと反応させることにより得ることができる。例えば、ポリ(アルキレンイミン)又はポリアミンとジカルボン酸とから誘導される重縮合物であるポリ(アミドアミン)(例えば、アジピン酸−ジエチレントリアミンコポリマー)は、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリマーを形成することができ、モノ−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はモノ−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマーもまたエピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミンを形成することができ、ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)コポリマーは、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミン(すなわち、ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリン)を形成することができる。ポリアミン又はポリアミドアミンポリマーのエピクロロヒドリン官能化のための反応条件は、欧州特許第1465931号明細書に教示されている。好ましいエピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン(PAE)又はポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンである。
【0089】
ポリアミドアミン−エピクロロヒドリンは、例えば、HerculesからのKymene(登録商標)又はPolycup(登録商標)樹脂(エピクロロヒドリン官能化アジピン酸−ジエチレントリアミンコポリマー)など、市販されている。
【0090】
ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンは、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に記載される手順に従って調製することができる。
【0091】
アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー及びコポリマーは、米国特許出願公開第2013/0337160A1号明細書に記載される手順に従って得ることができる。
【0092】
水溶性及び熱架橋性ポリマー材料は、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書及び同第2013/0337160A1号明細書、並びに米国特許第8,529,057号明細書に記載されるプロセスに従って調製することができる。
【0093】
好ましい実施形態では、水溶性熱架橋性ポリマー材料は、少なくとも1つのアゼチジニウム含有ポリマーと少なくとも1つの本発明の親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマー(上述のいずれか1つ)とを含む反応性水溶液を、約35℃〜約85℃の温度まで加熱し、十分な時間(約6時間以下、好ましくは約5時間、より好ましくは約2時間〜約4時間)、その温度を維持することにより得ることができる。反応性水溶液は、好ましくは、約70mM〜約170mM(好ましくは約90mM〜約150mM、より好ましくは約100mM〜約130mM)の1つ以上のイオン性化合物を含み、少なくとも8.0(好ましくは少なくとも8.5、より好ましくは少なくとも9.0、さらにより好ましくは少なくとも9.5)のpHである。反応時間は、アゼチジニウム含有ポリマーのポリマー鎖上に親水性増強剤を共有結合させるほど長くなければならないが、アゼチジニウム含有ポリマーのすべてのアゼチジニウム基を消費しないほど、及びアゼチジニウム含有ポリマーと親水性ポリマーとの間に形成される架橋が多すぎてゲル(すなわち、水溶性ではない)を形成してしまわないほど短くなければならないと理解すべきである。得られたポリマー材料は、高度に分枝化した構造を有し、依然として熱架橋性アゼチジニウム基を含む軽く架橋したポリマー材料である。
【0094】
当業者は、例えば、塩基(例えば、NaOH、KOH、NH
4OH又はこれらの混合物)又は酸(例えば、HCl、H
2SO
4、H
3PO
4、クエン酸、酢酸、ホウ酸又はこれらの混合物)を添加することによって、反応性混合物のpHを調節する方法をよく理解している。
【0095】
本発明によれば、反応性混合物にて、任意のイオン性化合物を使用することができる。好ましくは、イオン性化合物は、眼科用溶液で使用されるイオン性張度調節剤及びイオン性緩衝剤として使用されるものである。好ましいイオン性張度調節剤の例としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいイオン性緩衝剤の例としては、リン酸の様々な塩(例えば、NaH
2PO
4、Na
2HPO
4、Na
3PO
4、KH
2PO
4、K
2HPO
4、K
3PO
4又はこれらの混合物)、ホウ酸の様々な塩(例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム又はこれらの混合物)、クエン酸の様々な塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム又はこれらの混合物)、炭酸の様々な塩(例えば、Na
2CO
3、NaHCO
3、K
2CO
3、KHCO
3又はこれらの混合物)が挙げられる。
【0096】
水溶性熱架橋性ポリマー材料を調製するための反応性水溶液は、所望量のアゼチジニウム含有ポリマーと、所望量の少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤と、所望量のその他の構成成分(例えば、イオン性緩衝剤、イオン性張度調節剤など)とを、水(又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合物)中に溶解させて、水溶液を形成し、次いで必要に応じて水溶液のpHを調節することによって調製することができる。
【0097】
本発明によれば、反応性水溶液中のアゼチジニウム含有ポリマーに対する反応性親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの濃度比は、得られる水溶性熱架橋性ポリマー材料を水不溶性(すなわち、室温で水100mL当たり0.005g未満の溶解度)にさせないように、且つアゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基の約99%、好ましくは約98%、より好ましくは約97%、さらにより好ましくは約96%より多くを消費しないように選択されなければならない。
【0098】
好ましい実施形態では、反応性水溶液は、0.01重量%〜約10重量%(好ましくは0.05重量%〜約5重量%、より好ましくは0.08重量%〜約1重量%、さらにより好ましくは0.1重量%〜約0.4重量%)のアゼチジニウム含有ポリマーと、約0.01重量%〜約10重量%(好ましくは0.02重量%〜約5重量%、より好ましくは0.05重量%〜約2重量%、さらにより好ましくは0.08重量%〜約1.0重量%)の本発明の親水性ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーと、を含み、本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーに対するアゼチジニウム含有ポリマーの濃度比は、約1000:1〜1:1000(好ましくは約500:1〜約1:500、より好ましくは約250:1〜約1:250、さらにより好ましくは約100:1〜約1:100)である。
【0099】
好ましい実施形態では、水溶性熱架橋性ポリマー材料は、(i)ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン又はポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンから誘導される約20重量%〜約95重量%の第1のポリマー鎖と、(ii)本発明の少なくとも1つのポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーから誘導される約5重量%〜約80重量%の第2のポリマー鎖であって、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン又はポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンの1個のアゼチジニウム基と本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの1個のカルボキシル基、チオール基、又はアミノ基との間に各々が形成される1個以上の共有結合により、第1のポリマー鎖に共有結合している第2のポリマー鎖と、(iii)第1のポリマー鎖の一部、又は第1のポリマー鎖に共有結合したペンダント基若しくは末端基である、アゼチジニウム基と、を含む。水溶性熱架橋性ポリマー材料の組成は、このようなポリマーに使用される反応物質混合物の組成(反応物質の総重量に基づいて)によって決定される。例えば、反応物質混合物が、反応物質の総重量(溶媒は除く)に基づいて、約75重量%のポリアミドアミン−エピクロロヒドリンと、約25重量%の少なくとも1つの本発明のポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーと、を含む場合、次いで得られる水溶性熱架橋性ポリマー材料は、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリンから誘導される約75重量%の第1のポリマー鎖と、上記本発明の少なくとも1つのポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーから誘導される約25重量%の第2のポリマー鎖と、を含む。
【0100】
本発明の方法に従って製造した水溶性熱架橋性ポリマー材料は、医療用具、特にコンタクトレンズのパッケージング及びオートクレーブに使用されるパッケージング溶液の調製に特定の用途を見出すことができる。このようなパッケージング溶液は、特に、8,529,057号明細書に記載されているインパッケージ架橋(IPC)プロセスに従って、ハイドロゲルコンタクトレンズ又は医療用具上に比較的厚くて柔らかいハイドロゲルコーティングを形成するのに好適である。得られたハイドロゲルコーティングは、表面の亀裂が最小限又は全くない優れた潤滑性(0の摩擦評価)を有することができる。
【0101】
レンズパッケージ(又は容器)は、ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し、貯蔵するために当業者に周知である。本発明では任意のレンズパッケージを使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベース及びカバーを含むブリスターパッケージであり、ここで、カバーはベースに取り外し可能に密封されており、ベースは、滅菌パッケージング溶液及びコンタクトレンズを収容するためのキャビティを含む。
【0102】
レンズは、個別のパッケージにパッケージングされ、密封され、使用者への分配前にオートクレーブ(加圧下約118℃〜約125℃の温度でおよそ20〜40分間コンタクトレンズのパッケージングを加熱することを含む滅菌手法)される。当業者は、レンズパッケージを密封及びオートクレーブする方法を十分に理解するであろう。
【0103】
本発明によれば、パッケージング溶液は、少なくとも1つの緩衝剤及び当業者に公知の1つ以上の他の成分を含有する。他の成分の例としては、限定されないが、等張化剤、界面活性剤、抗細菌剤、防腐剤、及び潤滑剤(例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。
【0104】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲、例えば、好ましくは6.5〜7.5の生理学的に許容される範囲に維持するために十分な量で緩衝剤を含有する。任意の公知の、生理学的に適合性の緩衝剤が使用され得る。本発明によるコンタクトレンズケア組成物の構成要素として好適な緩衝剤は、当業者に公知である。例は、ホウ酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、重炭酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ビストリス(ビス−(2−ヒドロキシエチル)−イミノ−トリス−(ヒドロキシメチル)−メタン)、ビス−アミノポリオール、トリエタノールアミン、ACES(N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−[N−モルホリノ]−プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、TES(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸)、これらの塩である。好ましくは、緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤、ホウ塩緩衝剤、又はこれらの組み合わせである。パッケージング溶液中の各緩衝剤の量は、好ましくは0.01重量%〜0.8重量%、最も好ましくは約0.02重量%〜約0.4重量%である。
【0105】
パッケージング溶液は、約200〜約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250〜約350mOsmの張度を有する。パッケージング溶液の張度は、張度に影響を与える有機又は無機物質を添加することによって調整され得る。好適な眼に許容される等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0106】
本発明のパッケージング溶液は、25℃で約1センチポアズ〜約5センチポアズの粘度を有する。
【0107】
パッケージング溶液は、好ましくは約0.01重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約1.5重量%、さらにより好ましくは約0.1重量%〜約1重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約0.5重量%の本発明の水溶性熱架橋性ポリマー材料を含む。
【0108】
本発明によれば、オートクレーブの間、本発明の水溶性熱架橋性ポリマー材料は、ハイドロゲルコンタクトレンズ(又は医療用具)の表面の上及び/又は近くの官能基(例えば、アミノ基、チオール基、及び/又はカルボン酸基)と効果的に架橋し、湿潤性且つ眼科的に適合性の架橋ハイドロゲルコーティングを形成することができるが、一方で架橋反応に関与しないこれらのアゼチジニウム基は、2,3−ジヒドロキシプロピル(HO−CH
2−CH(OH)−CH
2−)基に加水分解され得る。オートクレーブ後、レンズパッケージング溶液中に存在する水溶性熱架橋性ポリマー材料は、適用可能であれば、レンズ挿入時の快適性を改善することができる非反応性ポリマー湿潤剤に変換されていただろう。
【0109】
さらなる態様では、本発明は、約6.0〜約8.5のpHを維持するための少なくとも1つの緩衝剤と、約0.01重量%〜約2重量%の本発明の水溶性及び熱架橋性親水性ポリマー材料(上述のもののいずれか1つ)と、を含む水溶液であるパッケージング溶液であって、約200〜約450ミリオスモル(mOsm)の張度及び25℃で約1センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する、パッケージング溶液を提供する。
【0110】
本発明の様々な実施形態について、特定の用語、デバイス及び方法を使用して説明してきたが、このような記載は例示的な目的のみのためである。使用された用語は、限定するためのものではなく、説明するための用語である。当業者には明白であるように、当業者によれば、本発明の多くの変形及び修正が、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能である。更に、本発明の様々な実施形態の態様は、以下に示すように、その全部又は一部が互換可能であってもよく、或いは任意の方法で組み合わせる、及び/又は共に用いることが可能であることを理解されたい。
【0111】
1.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーであって、
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、N−6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマーの第1の反復単位と、
それぞれが式(1)〜(5)のうちいずれか1つのアクリル系反復単位である第2の反復単位と、を含み、
【化15】
式中、R
oは水素又はメチルであり、互いに独立しているX
o及びX
1は、−O−又は−NR
n−であって、式中、R
nは水素、又はC
1〜C
4アルキル基であり、L
1はC
1〜C
4のアルキレン二価ラジカルであり、互いに独立しているL
2及びL
4は、0又は1のヒドロキシル基を有するC
2〜C
4アルキレン二価ラジカルであり、L
3は−CH
2−CHOH−CH
2−であり、t1は2〜25の整数であり、t2は2〜4の整数であり、t3は0又は1であり、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも50モル%の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマー。
【0112】
2.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも55モル%の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む、発明1に記載の親水性ポリマー。
【0113】
3.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも60モル%の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む、発明1に記載の親水性ポリマー。
【0114】
4.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも70モル%の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む、発明1に記載の親水性ポリマー。
【0115】
5.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも80モル%の全(メタ)アクリルアミド反復単位を含む、発明1に記載の親水性ポリマー。
【0116】
6.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して少なくとも約50モル%の第1の反復単位を含む、発明1〜5のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0117】
7.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約50モル%〜約98モル%の第1の反復単位を含む、発明1〜5のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0118】
8.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約60モル%〜約95モル%の第1の反復単位を含む、発明1〜5のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0119】
9.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約70モル%〜約90モル%の第1の反復単位を含む、発明1〜5のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0120】
10.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約0.01モル%〜約40モル%の第2の反復単位を含む、発明1〜9のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0121】
11.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約0.1モル%〜約30モル%の第2の反復単位を含む、発明1〜9のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0122】
12.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約0.5モル%〜約20モル%の第2の反復単位を含む、発明1〜9のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0123】
13.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの全反復単位に対して約1モル%〜約10モル%の第2の反復単位を含む、発明1〜9のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0124】
14.第2の反復単位は、それぞれが式(1)の反復単位であるアクリル系反復単位を含む、発明1〜13のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0125】
15.第2の反復単位は、それぞれが式(2)の反復単位であるアクリル系反復単位を含む、発明1〜14のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0126】
16.第2の反復単位は、それぞれが式(3)の反復単位であるアクリル系反復単位を含む、発明1〜15のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0127】
17.第2の反復単位は、それぞれが式(4)の反復単位であるアクリル系反復単位を含む、発明1〜17のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0128】
18.第2の反復単位は、それぞれが式(5)の反復単位であるアクリル系反復単位を含む、発明1〜17のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0129】
19.式(1)〜(5)において、X
oは−NR
n−であって、式中、R
nは水素、又はC
1〜C
4アルキル基である、発明14〜16のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0130】
20.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、いかなるカルボキシル基又はいかなる一級若しくは二級アミノ基も含まない1つ以上のアクリルモノマーのアクリル系反復単位である第3の反復単位を更に含む、発明1〜19のうちいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0131】
21.前記の1つ以上のアクリルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、最大1500ダルトンの重量平均分子量を有するC
1〜C
4アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、アリルアルコール、ビニルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、発明20に記載の親水性ポリマー。
【0132】
22.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、(好ましくは2−(メタ)アクリルアミド酢酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコール酸、3−(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、4−(メタ)アクリルアミドブタン酸、5−(メタ)アクリルアミドペンタン酸、3−(メタ)アクリルアミド−3−メチルブタン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルアミドモノマーの(メタ)アクリルアミド反復単位である第4の反復単位を更に含むが、但し、第2の反復単位及び第4の反復単位のモル%の合計が約1%〜約10%であることを条件とする、発明1〜21のいずれか一項に記載の親水性ポリマー。
【0133】
23.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、約500〜約2,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、発明1〜22のいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0134】
24.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、約1,000〜約1,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、発明1〜22のいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0135】
25.ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーは、約2,000〜約500,000ダルトンの重量平均分子量を有する、発明1〜22のいずれか1つに記載の親水性ポリマー。
【0136】
26.(a)アゼチジニウム基を有するアゼチジニウム含有ポリマーの1つ以上の第1のポリマー鎖と、
(b)発明1〜25のいずれか1つに記載されたポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの1つ以上の第2のポリマー鎖であって、各第2のポリマー鎖は、アゼチジニウム含有ポリマーの1つのアゼチジニウム基と、ポリ(メタ)アクリルアミド系コポリマーの1つの反応性ペンダント鎖と、の間に形成された少なくとも1つの結合を介して前記の1つ以上の第1のポリマー鎖のうちの1つに共有結合する、第2のポリマー鎖と、
(c)アゼチジニウム基であって、そのそれぞれが前記の1つ以上の第1のポリマー鎖のうちの1つに包埋されるか又は共有結合される、アゼチジニウム基と、
を含む、水溶性の熱架橋性ポリマー材料。
【0137】
27.アゼチジニウム含有ポリマーが、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン(PAE)である、発明26に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【0138】
28.アゼチジニウム含有ポリマーが、ポリ(2−オキサゾリン−co−エチレンイミン)−エピクロロヒドリンである、発明26に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【0139】
29.アゼチジニウム含有ポリマーが、アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマーである、発明26に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【0140】
30.アゼチジニウム含有ポリマーが、アゼチジニウム含有ビニルモノマーと1つ以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマーである、発明26に記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【0141】
31.水溶性熱架橋性ポリマー材料が、(i)約20重量%〜約95重量%の第1のポリマー鎖と、(ii)約5重量%〜約80重量%の第2のポリマー鎖と、を含む、発明26〜30のいずれか1つに記載の水溶性熱架橋性ポリマー材料。
【0142】
32.約6.0〜約8.5のpHを維持するための少なくとも1つの緩衝剤と、約0.01重量%〜約2重量%の発明25〜30のいずれか1つに記載の水溶性及び熱架橋性親水性ポリマー材料と、を含む水溶液であるパッケージング溶液であって、約200〜約450ミリオスモル(mOsm)の張度及び25℃で約1センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する、パッケージング溶液。
【0143】
33.水溶液が、約0.05重量%〜約1.5重量%の水溶性熱架橋性親水性ポリマー材料を含む、発明32に記載のパッケージング溶液。
【0144】
34.水溶液が、約0.1重量%〜約1重量%の水溶性熱架橋性親水性ポリマー材料を含む、発明32に記載のパッケージング溶液。
【0145】
35.水溶液が、約0.2重量%〜約0.5重量%の水溶性熱架橋性親水性ポリマー材料を含む、発明32に記載のパッケージング溶液。
【0146】
36.緩衝剤がパッケージング溶液中に0.01重量%〜0.8重量%の量で存在する(好ましくは、約0.02重量%〜約0.4重量%)、発明32〜35のいずれか1つに記載のパッケージング溶液。
【0147】
前の開示は、当業者が本発明を実施することを可能にする。様々な変更、変形、及び組み合わせが、本明細書に記載される様々な実施形態に対してなされ得る。読者が具体的実施形態及びその利点をより良く理解することを可能にするために、以下の実施例への参照が推奨される。本明細書及び実施例は、例示的なものと見なされることが意図される。
【0148】
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。