特許第6876201号(P6876201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876201夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法
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  • 特許6876201-夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876201
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/62 20060101AFI20210517BHJP
   D01D 4/02 20060101ALI20210517BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   D01F6/62 303F
   D01D4/02
   D06M13/165
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-530357(P2020-530357)
(86)(22)【出願日】2018年7月27日
(65)【公表番号】特表2021-505781(P2021-505781A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】CN2018097505
(87)【国際公開番号】WO2019114280
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年6月2日
(31)【優先権主張番号】201711341970.8
(32)【優先日】2017年12月14日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】範 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】尹 立新
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第107217319(CN,A)
【文献】 特表2007−516306(JP,A)
【文献】 特開2017−160574(JP,A)
【文献】 特開2000−355830(JP,A)
【文献】 特開平08−158144(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102162143(CN,A)
【文献】 特開2001−248034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00−13/02
D01F1/00−6/96
9/00−9/04
D06M13/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法であって、
紡糸融液を計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取することにより、前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYを取得し、
前記紡糸融液は艶消し剤が分散されたポリエステルを含み、
前記艶消し剤は、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物、又は炭酸カルシウムと無定形二酸化ケイ素との混合物であり、
前記艶消し剤の前記ポリエステル中における含有量は、1〜1.5wt%であり、
前記艶消し剤における無定形二酸化ケイ素の含有量は、15〜30wt%であり、
前記複合口金には十字型紡糸孔と円形紡糸孔とが設けられ、
前記オイリング用油剤はクラウンエーテルを含有し、
前記クラウンエーテルは、前記オイリング用油剤における含有量が67.30〜85.58wt%である、
夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法。
【請求項2】
前記紡糸孔は前記複合口金において、等間隔に並んだ直径が異なる複数の同心円上にそれぞれ複数配列され、前記複数の同心円における各同心円の円心の位置は同一であり、各同心円上における複数の紡糸孔はそれぞれ等間隔に配列され、
前記複数の同心円には前記十字型紡糸孔と前記円形紡糸孔との両方が設けられ、前記十字型紡糸孔と前記円形紡糸孔との数量の比は2〜5:1である、
請求項1に記載の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法。
【請求項3】
前記油剤は、200℃の前記熱処理を2時間行った後の重量減少が15wt%未満であり、
(50±0.01)℃における前記油剤は、その動粘度が27.5〜30.1mm2/sであり、
前記油剤に水を混合して調製された濃度10wt%の乳化液の動粘度が0.93〜0.95mm2/sであり、
前記油剤の油膜強度は、121〜127Nであり、
前記油剤は、表面張力が23.2〜26.8N/cmで、比抵抗が1.0×108〜1.8×108Ω・cmであり、
前記オイリングを行った後、繊維の間の静摩擦係数は0.250〜0.263であり、繊維の間の動摩擦係数は0.262〜0.273であり、
前記オイリングを行った後、繊維と金属の間の静摩擦係数は、0.202〜0.210であり、動摩擦係数は、0.320〜0.332である、
請求項1に記載の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法。
【請求項4】
前記クラウンエーテルは、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、15−クラウン5−エーテル又は2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテルであり、
前記油剤には、鉱物油、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル、アルキルスルホン酸ナトリウムが含有され、
前記リン酸エステルカリウム塩は、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩又はラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩であり、
前記アルキルスルホン酸ナトリウムは、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム又はヘキサデシルスルホン酸ナトリウムであり、
前記油剤を用いるとき、前記油剤に水を混合して濃度10〜20wt%の乳化液を調製し、
前記油剤を調製する方法は、70〜100重量部の前記クラウンエーテルを、8〜15重量部の前記リン酸エステルカリウム塩、0〜20重量部の前記ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及び2〜7重量部の前記アルキルスルホン酸ナトリウムに均等に混合し、得られた混合物を0〜10重量部の前記鉱物油に添加して均等に攪拌することにより、前記油剤を取得することであり、
前記混合は、常温で行われ、前記攪拌は、40〜55℃において1〜3時間行われる、
請求項3に記載の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法
【請求項5】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造工程におけるパラメータは、
紡糸温度 280〜290℃、
冷却温度 20〜25℃
1ローラ速度 2200〜2600m/min、
第1ローラ温度 75〜85℃、
第2ローラ速度 3600〜3900m/min、
第2ローラ温度 135〜165℃、
巻取速度 3580〜3840m/min、
紡糸部品の初期圧力 120bar、
紡糸部品の圧力上昇値ΔP 0.6bar/日間以下である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製造技術分野に属し、特に、夏用調湿快適性ポリエステルFDYおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上につれて、織物には美しく飾る役割のほかに着用快適性もますます求められている。着用快適性は、ある環境で織物の人間の生理・心理的な欲求に満たす機能であって、主に調湿性とすることである。服装を着く人間は、身と様々な環境の間にいつでも温度・湿度などのエネルギー交換を行っているが、織物の調湿性によって、寒くもないし、暑くもないし、または蒸暑い感もないし、濡れ感もない様態になると、体温を一定に保いて正常な生理機能が維持できるため、快適な感じがするようになってきた。さらに、夏用織物の快適性を高めるものでは、軽くて薄い組織による低熱抵抗・高透氣性、あるいは滑らかな表面による高反射率・低熱放射吸収率などが代表的な機能になります。しかしながら、従来技術による夏用織物は、調湿快適性にまだ不十分である。
【0003】
異なる口金孔形により異形断面繊維が製備できる。繊維原料と繊維形状は繊維性能に、繊維自分と繊維配列は紡績糸性能に、糸自分と糸配列は織物性能に影響を与えるため、繊維の形状が根本的な要素として、糸と織物の性能を決定する。異形断面繊維はある形状の口金孔より生成した特殊な断面形状と機能を有する化学繊維である。近年多様な異形断面繊維が開発されているが、断面形態によって大体に三角形、多角形、偏平形、十字型、菱形などに分けることができる。異形断面は、繊維の手触り、光沢、あるいは機械物性に改善できる一方、繊維の空気と肌への接触面積を多くして吸放湿速度を向上し、繊維の表面能を増大して吸放湿過程における水分の蒸発速度も増加する。水分が蒸発する時に多い熱を奪うので、異形断面繊維は優れた吸水速乾性を持って温熱感覚織物に広く適用されている。しかし、単一の異形断面は単一の性能を生じるため、断面形態を多様化しない限り、単一の異形化だけで夏用織物の調湿快適性問題が解決できない。
【0004】
近年、同じ口金より二つまたは多数の異形断面繊維(以下、別々に同板二重異形繊維、同板多重異形繊維と略記する)を紡糸することは、2つ以上の異形繊維の長所を総合して、既存の異形断面繊維の不足の解決及び織物の品質と機能の多様化に対する重要な手段になっている。同板二重異形繊維と同板多重異形繊維に関する文献や特許があるのに、それらの繊維の本格生産では困難が多いである。非ニュートン流体または粘弾性流体としてのポリエステル融液は、口金孔の中で粘性流動を行うと同時に弾性変形が発生し、ある圧力を形成するため、口金孔より吐出した際に圧力損失がある。口金孔の形状、大きさ、長さ及びそれらの互いの関係が圧力損失に大きな影響を与える。その互いの関係を考えらずに、既存の研究が一般的に同じ形状または同じ断面積だけを配慮した。よって、同じ口金の異なる形状の孔より流下したポリエステル融液の圧力損失、または吐出速度がは違いになって、紡糸加工の調子に障害を与える。
【0005】
つまり、従来技術における同板二重異形繊維と同板多重異形繊維の紡糸加工に関する困難を克服し、複数の異形断面を同時に含有し、理想的な調湿快適性がある繊維の作製技術は喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一種の優れた吸水速乾性を持つ夏用調湿快適性ポリエステルFDY及びその製造方法を提供し、従来技術における困難問題を克服した。本発明においては、クラウンエーテルを添加して油剤の耐熱性と潤滑性を向上させることにより繊維の可紡性と品質を改善し、寸法(長さ、断面積及び断面周囲)が互いに関するの二種類の特殊な形状の紡糸孔が併設される口金板を利用して紡糸加工の安定性を保証する。同じ口金板より押出した一本の糸条には、十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に含有している。十字型モノフィラメントと柔軟な円形モノフィラメントを組み合わせることで、繊維と繊維の隙間が狭くなって、毛細管現象向上によって繊維の湿快適性が向上する一方、異なるモノフィラメントの互いに密着することによって繊維の熱快適性も向上する。なお、本発明は、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物または炭酸カルシウムと無定形二酸化ケイ素との混合物を、無機粒子の艶消し剤としてPETに均一に分散させてPETの結晶化と配向を障害して、繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、艶消し剤を含む改質ポリエステルを原料として同じ口金板より押出し、十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に含有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYを提供する。
【0008】
本発明において無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物または炭酸カルシウムと無定形二酸化ケイ素との混合物とする艶消し剤を添加する理由は以下の通りである。純粋なPET繊維は大体表面光沢度が高い半透明体である。その光沢の強さは反射光にも透過光にも関連している一方、自分の表面状態、断面形状、内部構造などの影響を受けている。例えば、配向が高い繊維は一般的に均一な内部構造がして対光反射が強いため、高い光沢度がしている。そして、艶消し剤の無機粒子を添加し,または断面形状や表面構造を調製することで,繊維の光沢を調製することができる。PET繊維の光沢を綿繊維の光沢に近づけるために、重合の過程で消光剤を添加することもある。汎用的なポリエステル消光剤はアナターゼ型二酸化チタンであるが、アナターゼ型二酸化チタンのポリエステル光沢に対する影響をさらに改善するために、無定型二酸化チタンと無定型二酸化ケイ素の混合物または炭酸カルシウムと無定型二酸化ケイ素の混合物を艶消し剤と利用し、PETに均一に分散してPETの結晶化と配向を破壊し,繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
【0009】
本発明の夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる機織りは、毛管濡れ高さが135mm以上で、蒸発速度が0.22g/時間以上である。
【0010】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0011】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、前記十字型モノフィラメントの繊度は0.5〜0.7dtexとし、前記円形モノフィラメントの繊度は0.20〜0.30dtexとする。
【0012】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度は75〜100dtex、破断強度は3.8cN/dtex以上、破断伸度は33.0±3.0%、線密度偏差率は0.5%以下、破断強度CV値は5.0%以下、破断伸度CV値は10.0%以下、糸ムラCV値は2.00%以下、沸水収縮率は7.5±0.5%、含油率は0.90±0.20%である。
【0013】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、毛羽カウントは2本/巻以下で、毛管パラメータは0.17以上である。
【0014】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、前記艶消し剤のポリエステルによる含有量は1〜1.5wt%で、前記艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量は15〜30wt%である。
【0015】
本発明は前記の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法も提供する。つまり、紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て繊維になることである。
【0016】
前記紡糸融液はポリエステルと艶消し剤を含む。
【0017】
前記複合口金には、十字型と円形の紡糸孔が併設され、さらに前記十字型孔の円形孔に対する長さ比は十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとし、前記相当直径は紡糸孔の断面積と断面周囲との比率であり、係数Kの取りうる値の範囲が0.97〜1.03とする。
【0018】
本発明における油剤は、クラウンエーテルを含有するため、粘度が低くて、耐熱性が良くて、油膜強度が高いものである。従来の紡糸油剤は、主成分とするポリエステル系またはポリエーテル系化合物の分子量が大きく、分子間水素結合が起こりやすいため、動粘度が大きいである。クラウンエーテルは、自体の粘度が低くてビーズ状の小分子がして、油剤に添加すればポリエステル系やポリエーテル系との親和性が良いためそれらの内部に入ると分子間相互作用が遮蔽できることによって、油剤の動粘度を著しく減らす。従来技術における油剤の油膜強度が低いである原因は、化繊用油剤の帯電防止剤が金属イオンを含むまたは塩という形で存在することが多いため、油剤中のポリエステル系やポリエーテル系化合物との親和性が弱いである。それなのに、油剤にクラウンエーテルを添加すれば、塩を溶解できることによって、帯電防止剤がポリエステル系またはポリエーテル系化合物との親和性を向上させるため、油膜強度が増加できる。なお、高揮発性と優れた耐熱性を有するクラウンエーテルの添加は油剤の耐熱性を著しく向上することもできる。
【0019】
好ましい技術法案は、以下に示されている。
【0020】
前記の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法について、前記十字型紡糸孔または円形紡糸孔の長さは0.20〜0.92mmとし、相当直径は0.10〜0.23mmとする。
【0021】
前記紡糸孔は等間隔の同心円により配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列する。
【0022】
同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、そのうえに、十字型紡糸孔の円形紡糸孔に対する数量比が2〜5:1とする;
【0023】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法について、前記油剤は200℃の熱処理を2時間行ったの重量減少が15wt%未満であり、原因としては高揮発性と優れた耐熱性を有するクラウンエーテルの添加が油剤の耐熱性を著しく向上したことである。
【0024】
(50±0.01)℃における前記油剤は、動粘度が27.5〜30.1mm2/sであり、前記油剤に水を混合して調製された濃度10wt%の乳化液の動粘度が0.93〜0.95mm2/sであり、クラウンエーテルが油剤の粘度を下げる原因としては、自体の粘度が低くてビーズ状の小分子がしているクラウンエーテルがポリエステル系やポリエーテル系化合物の油剤に添加すると、親和性が良いためポリエステル系やポリエーテル系化合物の内部に入ってそれらの分子間相互作用を遮蔽することである。
【0025】
前記油剤は従来技術における通常的な110Nの油膜強度より121〜127Nの高い油膜強度があり、原因は、化繊用油剤の帯電防止剤が大体金属イオンを含むまたは塩という形と存在するため、油剤中のポリエステル系やポリエーテル系化合物との親和性が弱いであり、油剤にクラウンエーテルを添加すれば塩を溶解させて帯電防止剤のポリエステル系またはポリエーテル系化合物との親和性が向上になって油膜強度を増加させることである。
【0026】
前記油剤は、表面張力が23.2〜26.8N/cmで、比抵抗が1.0×108〜1.8×108Ω・cmである。
【0027】
オイリングを行った後、繊維間の静摩擦係数は、0.250〜0.263で、繊維まの動摩擦係数は、0.262〜0.273である。
【0028】
オイリングを行った後、繊維と金属の間の静摩擦係数は、0.202〜0.210で、繊維と金属の間の動摩擦係数は、0.320〜0.332である。
【0029】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法について、前記クラウンエーテルは、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、15−クラウン5−エーテル又は2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテルである。
【0030】
前記油剤には、鉱物油、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル、アルキルスルホン酸ナトリウムが含有される。
【0031】
前記鉱物油は、9#〜17#の鉱物油のうちの一つである。
【0032】
前記リン酸エステルカリウム塩は、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩またはラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩である。
【0033】
前記アルキルスルホン酸ナトリウムは、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウムまたはヘキ十デシルスルホン酸ナトリウムである。
【0034】
前記油剤を用いるとき、前記油剤に水を混合して濃度14〜18wt%の乳化液を調製する。
【0035】
前記油剤の調製する方法は、クラウンエーテル、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステルとアルキルスルホン酸ナトリウムを混合した後鉱物油に加えてさらに充分に攪拌することであり、得られた油剤には、各成分の添加量が以下の通りであり:
鉱物油 0〜10重量部、
ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル 0〜20重量部、
クラウンエーテル 70〜100重量部、
リン酸エステルカリウム塩 8〜15重量部、
アルキルスルホン酸ナトリウム 2〜7重量部、
前記混合は、常温で行われ、前記攪拌は、40〜55℃において1〜3時間行われることである。
【0036】
前記夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法について、繊維の紡糸加工条件が下記の通りであり:
紡糸温度 280〜290℃、
冷却温度 20〜25℃、
変形加工エアジェット圧力 0.20〜0.30MPa、
変形加工ローラー1速度 2200〜2600m/min、
変形加工ローラー1温度 75〜85℃、
変形加工ローラー2速度 3600〜3900m/min、
変形加工ローラー2温度 135〜165℃、
巻取速度 3580〜3840m/min、
紡糸箱初期圧力 120bar、
紡糸箱圧力昇ΔP 0.6bar/日間。
【0037】
発明原理とするのは、以下の通りである。
【0038】
本発明においては、まず、艶消し剤に分散されているポリエステルを調製し、その後、ポリエステル融液は、計量、長さと断面積と断面周囲との寸法が互いに関する二種類の異なる断面形状の紡糸孔を并設する複合口金板による押出し、クラウンエーテルを含有する油剤を用いるオイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て、夏用調湿快適性ポリエステルFDYになさせる。そのうち、複合口金板が得られた夏用調湿快適性ポリエステルFDYに与える影響は、以下に示されている。
【0039】
ポリエステル融液は粘弾性の非ニュートン流体の一つなので、紡糸孔中に粘性流動を行う時に、紡糸安定性に悪影響を与える弾性変形も生じる。融液の弾性エネルギーの蓄積とゆるみは紡糸孔の長さ、断面周囲及び断面積にかんしている。よって、本発明は、二種類の紡糸孔の寸法(長さ、断面周囲及び断面積)を設計してそれらの関係を構築することにより、流れる融液の蓄えられる弾性エネルギーを散逸して、異なる紡糸孔を経て形成した圧力損失が等しくなさせて、Die Swellを低減して、紡糸加工の安定性を向上させる。
【0040】
融液が紡糸孔を経るにより圧力損失は、下記のの式(1)で計算できる:
【数1】
ここに、ΔPは融液の圧力損失、S内は紡糸孔の長さと断面周囲との積に等しい内壁面積、S截は紡糸孔の断面積、γは融液流れのずり速度である。
【0041】
同じ口金板の異なる形状の紡糸孔Aと紡糸孔Bを経るポリエステル融液流れの速度を等しくまたは小差とするには、融液流れの圧力損失を等しくまたはある範囲の限りとしなければならない。すなわちK=0.97〜1.03でΔPA=KΔPBとする。したがって、さらに前記の計算式も考えると、異なる形状の紡糸孔Aと紡糸孔Bの寸法関係は以下の式(2)とする:
【数2】
上式について、Dは長さ、Sは断面積、Lは断面周囲、Bは相当直径である。
【0042】
本発明は、長さ、断面積、断面周囲などの寸法が互いに関する二種類の特殊な形状の紡糸孔を有する口金板を利用して、紡糸加工の安定性を向上させ、従来技術における紡糸融液流れの圧力損失の不均一が致した糸むら、強度不均一、色むらなどの困難を克服した。本発明においては、同じ口金板より十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に吐出し、それらの長所を兼備する理想的な調湿快適性がある繊維を得って、夏用機織り用途に適している。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、いかの利点が得られる。
1.本発明における夏用調湿快適性ポリエステルFDYは、十字型繊維と円形繊維の長所を兼ね備えて理想的な調湿快適性を持って、良い見通しがある。
2.本発明に提出した夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法において、クラウンエーテルを含む油剤は、粘度が低くて、耐熱性が良くて、油膜強度が高くて、潤滑性が良くて、製電性が強いなどの特徴を待つので、紡糸安定性と繊維の加工性能が向上される。
3.本発明に提出した夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法において、同じ口金板上の二種類の紡糸孔の寸法(長さ、断面周囲及び断面積)を設計してそれらの関係を構築することにより、異なる紡糸孔を経るポリエステル融液流れの圧力損失または吐出速度を大体等しくするため、紡糸加工の安定性を向上させる。
4.本発明に提出した夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法において、無定型二酸化チタンと無定型二酸化ケイ素の混合物または炭酸カルシウムと無定型二酸化ケイ素の混合物を艶消し剤と利用し、PETに均等に分散してPETの結晶化と配向を破壊することによって、繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明実施例1における口金板の紡糸孔配列を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0046】
実施例1
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む。
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びヘキサデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに12#鉱物油に加えて、40℃で2.5時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、12#鉱物油5重量部、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル95重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩9重量部、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム2重量部を配合されている;得られた油剤は、85.58wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が9wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が29.5mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.93mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が121Nであり、表面張力が24.3cN/cmであり、比抵抗は1.0×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.260であり、動摩擦係数(μd)は0.263である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.202であり、動摩擦係数は(μd)0.330である;得られた油剤は、使用前に水で19wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.0wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が22wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。図1の紡糸孔配列には、十字型紡糸孔がAで、円形紡糸孔がBで示しされている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.01である。十字型紡糸孔の長さは0.38mm、円形紡糸孔の長さは0.38mm、十字型紡糸孔の相当直径は0.20mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が280℃、冷却温度が21℃、変形加工エアジェット圧力が0.25MPa、変形加工ローラー1速度が2400m/min、変形加工ローラー1温度が78℃、変形加工ローラー2速度が4050m/min、変形加工ローラー2温度が145℃、巻取速度が3950m/min 紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.52bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.19、十字型モノフィラメントの繊度が0.7dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.22dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が100g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが140mmで、蒸発速度が0.28g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が100dtex、破断強度が4.2cN/dtex、破断伸度は33.0%、線密度偏差率は0.33%、破断強度CV値は4.5%、破断伸度CV値は8.5%、糸ムラCV値は1.5%、沸水収縮率は7.5%、含油率は0.90%である。
【0047】
実施例2
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む。
(1)オイリング用油剤の調製として:15−クラウン5−エーテル、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びドデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに13#鉱物油に加えて、52℃で2時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、13#鉱物油10重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル5重量部、15−クラウン5−エーテル70重量部、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩8重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム6重量部を配合されている;得られた油剤は、70.70wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が13.5wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が28.6mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.95mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が126Nであり、表面張力が24.9cN/cmであり、比抵抗は1.2×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.251であり、動摩擦係数(μd)は0.262である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.202であり、動摩擦係数は(μd)0.332である;得られた油剤は、使用前に水で11wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.1wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が28wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は0.99である。円形紡糸孔の長さは0.16mm、十字型紡糸孔の長さは0.16mm、円形紡糸孔の相当直径は0.16mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が1.2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が282℃、冷却温度が23℃、変形加工エアジェット圧力が0.29MPa、変形加工ローラー1速度が2600m/min、変形加工ローラー1温度が79℃、変形加工ローラー2速度が4000m/min、変形加工ローラー2温度が150℃、巻取速度が4050m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.55bar/日間とすることである。。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.19、十字型モノフィラメントの繊度が0.58dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.22dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が300g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが142mmで、蒸発速度が0.27g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が75dtex、破断強度が4.0cN/dtex、破断伸度は33.0%、線密度偏差率は0.45%、破断強度CV値は5.0%、破断伸度CV値は9.9%、糸ムラCV値は1.9%、沸水収縮率は7.0%、含油率は0.70%である。
【0048】
実施例3
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びペンタデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに11#鉱物油に加えて、48℃で3時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、11#鉱物油8重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル10重量部、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル85重量部、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩11重量部、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム5重量部を配合されている;得られた油剤は、70.83wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が11wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が30.1mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.94mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が125Nであり、表面張力が23.2cN/cmであり、比抵抗は1.8×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.250であり、動摩擦係数(μd)は0.272である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.209であり、動摩擦係数は(μd)0.329である;得られた油剤は、使用前に水で10wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.3wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が20wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.02である。十字型紡糸孔の長さは0.20mm、円形紡糸孔の長さは0.201mm、十字型紡糸孔の相当直径は0.20mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が288℃、冷却温度が20℃、変形加工エアジェット圧力が0.20MPa、変形加工ローラー1速度が2300m/min、変形加工ローラー1温度が83℃、変形加工ローラー2速度が4130m/min、変形加工ローラー2温度が165℃、巻取速度が3980m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.54bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.17、十字型モノフィラメントの繊度が0.50dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.20dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が240g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが139mmで、蒸発速度が0.28g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が95dtex、破断強度が4.5cN/dtex、破断伸度は36.0%、線密度偏差率は0.48%、破断強度CV値は4.8%、破断伸度CV値は9.5%、糸ムラCV値は1.4%、沸水収縮率は7.0%、含油率は0.70%である。
【0049】
実施例4
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びヘキサデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに12#鉱物油に加えて、40℃で2.5時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、12#鉱物油5重量部、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル95重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩9重量部、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム2重量部を配合されている;得られた油剤は、85.58wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が9wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が29.5mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.93mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が121Nであり、表面張力が24.3cN/cmであり、比抵抗は1.0×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.260であり、動摩擦係数(μd)は0.263である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.202であり、動摩擦係数は(μd)0.330である;得られた油剤は、使用前に水で19wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.0wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が15wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.03である。円形紡糸孔の長さは0.32mm、十字型紡糸孔の長さは0.32mm、円形紡糸孔の相当直径は0.10mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が3:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が281℃、冷却温度が21℃、変形加工エアジェット圧力が0.22MPa、変形加工ローラー1速度が2500m/min、変形加工ローラー1温度が75℃、変形加工ローラー2速度が4200m/min、変形加工ローラー2温度が155℃、巻取速度が4000m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.58bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.22、十字型モノフィラメントの繊度が0.68dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.25dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が140g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが135mmで、蒸発速度が0.28g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が85dtex、破断強度が3.8cN/dtex、破断伸度は30.0%、線密度偏差率は0.35%、破断強度CV値は5.0%、破断伸度CV値は8.0%、糸ムラCV値は1.3%、沸水収縮率は8.0%、含油率は1.10%である。
【0050】
実施例5
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:15−クラウン5−エーテル、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びドデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに13#鉱物油に加えて、52℃で2時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、13#鉱物油10重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル5重量部、15−クラウン5−エーテル70重量部、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩8重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム6重量部を配合されている;得られた油剤は、70.70wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が13.5wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が28.6mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.95mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が126Nであり、表面張力が24.9cN/cmであり、比抵抗は1.2×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.251であり、動摩擦係数(μd)は0.262である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.202であり、動摩擦係数は(μd)0.332である;得られた油剤は、使用前に水で11wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.5wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が15wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は0.98である。円形紡糸孔の長さは0.54mm、十字型紡糸孔の長さは0.54mm、円形紡糸孔の相当直径は0.16mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が4:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が290℃、冷却温度が25℃、変形加工エアジェット圧力が0.26MPa、変形加工ローラー1速度が2200m/min、変形加工ローラー1温度が75℃、変形加工ローラー2速度が4150m/min、変形加工ローラー2温度が135℃、巻取速度が4050m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.5bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.19、十字型モノフィラメントの繊度が0.59dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.27dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が260g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが140mmで、蒸発速度が0.22g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が100dtex、破断強度が4.4cN/dtex、破断伸度は33.0%、線密度偏差率は0.46%、破断強度CV値は4.8%、破断伸度CV値は9.6%、糸ムラCV値は1.8%、沸水収縮率は7.5%、含油率は1.10%である。
【0051】
実施例6
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びペンタデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに14#鉱物油に加えて、55℃で1時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、14#鉱物油3重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル10重量部、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル75重量部、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩14重量部、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム7重量部を配合されている;得られた油剤は、68.80wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が12wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が27.5mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.95mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が126Nであり、表面張力が25.4cN/cmであり、比抵抗は1.6×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.255であり、動摩擦係数(μd)は0.267である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.203であり、動摩擦係数は(μd)0.330である;得られた油剤は、使用前に水で20wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.5wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が24wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.00である。十字型紡糸孔の長さは0.59mm、円形紡糸孔の長さは0.59mm、十字型紡糸孔の相当直径は0.19mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が285℃、冷却温度が24℃、変形加工エアジェット圧力が0.30MPa、変形加工ローラー1速度が2500m/min、変形加工ローラー1温度が85℃、変形加工ローラー2速度が4090m/min、変形加工ローラー2温度が140℃、巻取速度が3950m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.6bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.18、十字型モノフィラメントの繊度が0.70dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.30dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が210g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが138mmで、蒸発速度が0.30g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が75dtex、破断強度が4.0cN/dtex、破断伸度は36.0%、線密度偏差率は0.5%、破断強度CV値は4.2%、破断伸度CV値は9.1%、糸ムラCV値は2.0%、沸水収縮率は8.0%、含油率は0.90%である。
【0052】
実施例7
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:15−クラウン5−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びヘキサデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに15#鉱物油に加えて、41℃で2時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、15#鉱物油8重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル20重量部、15−クラウン5−エーテル100重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩15重量部、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム2重量部を配合されている;得られた油剤は、68.97wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が8.5wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が28.4mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.94mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が122Nであり、表面張力が26.8cN/cmであり、比抵抗は1.8×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.263であり、動摩擦係数(μd)は0.268である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.210であり、動摩擦係数は(μd)0.320である;得られた油剤は、使用前に水で13wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.1wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が28wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は0.97である。円形紡糸孔の長さは0.92mm、十字型紡糸孔の長さは0.92mm、円形紡糸孔の相当直径は0.18mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が5:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が289℃、冷却温度が20℃、変形加工エアジェット圧力が0.29MPa、変形加工ローラー1速度が2600m/min、変形加工ローラー1温度が78℃、変形加工ローラー2速度が4140m/min、変形加工ローラー2温度が160℃、巻取速度が4130m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.46bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.16、十字型モノフィラメントの繊度が0.58dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.24dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が180g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが137mmで、蒸発速度が0.33g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が95dtex、破断強度が4.6cN/dtex、破断伸度は30.0%、線密度偏差率は0.44%、破断強度CV値は4.3%、破断伸度CV値は9.2%、糸ムラCV値は1.5%、沸水収縮率は7.5%、含油率は0.90%である。
【0053】
実施例8
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びペンタデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに16#鉱物油に加えて、45℃で3時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、16#鉱物油9重量部、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル80重量部、ラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩12重量部、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム5重量部を配合されている;得られた油剤は、83.33wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が14wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が30.0mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.93mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が127Nであり、表面張力が23.5cN/cmであり、比抵抗は1.5×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.262であり、動摩擦係数(μd)は0.273である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.208であり、動摩擦係数は(μd)0.328である;得られた油剤は、使用前に水で18wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.4wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が30wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.01である。円形紡糸孔の長さは0.32mm、十字型紡糸孔の長さは0.32mm、円形紡糸孔の相当直径は0.16mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が4:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が280℃、冷却温度が20℃、変形加工エアジェット圧力が0.25MPa、変形加工ローラー1速度が2300m/min、変形加工ローラー1温度が80℃、変形加工ローラー2速度が4000m/min、変形加工ローラー2温度が155℃、巻取速度が3970m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.4bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.21、十字型モノフィラメントの繊度が0.55dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.25dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が190g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが145mmで、蒸発速度が0.24g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が75dtex、破断強度が3.8cN/dtex、破断伸度は36.0%、線密度偏差率は0.5%、破断強度CV値は5.0%、破断伸度CV値は10.0%、糸ムラCV値は1.9%、沸水収縮率は7.0%、含油率は0.70%である。
【0054】
実施例9
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びドデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、55℃で3時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル15重量部、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル90重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩8重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム7重量部を配合されている;得られた油剤は、81.81wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が10wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が29.7mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.94mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が126Nであり、表面張力が24.8cN/cmであり、比抵抗は1.8×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.250であり、動摩擦係数(μd)は0.264である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.210であり、動摩擦係数は(μd)0.321である;得られた油剤は、使用前に水で10wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.5wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が30wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.03である。円形紡糸孔の長さは0.60mm、十字型紡糸孔の長さは0.60mm、円形紡糸孔の相当直径は0.23mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が283℃、冷却温度が23℃、変形加工エアジェット圧力が0.30MPa、変形加工ローラー1速度が2500m/min、変形加工ローラー1温度が79℃、変形加工ローラー2速度が4130m/min、変形加工ローラー2温度が135℃、巻取速度が4140m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.38bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.27、十字型モノフィラメントの繊度が0.69dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.30dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が140g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが144mmで、蒸発速度が0.26g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が85dtex、破断強度が4.5cN/dtex、破断伸度は33.0%、線密度偏差率は0.39%、破断強度CV値は3.5%、破断伸度CV値は9.4%、糸ムラCV値は1.4%、沸水収縮率は7.0%、含油率は0.90%である。
【0055】
実施例10
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びドデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、55℃で3時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル15重量部、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル90重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩8重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム7重量部を配合されている;得られた油剤は、81.81wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が10wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が29.7mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.94mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が126Nであり、表面張力が24.8cN/cmであり、比抵抗は1.8×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.250であり、動摩擦係数(μd)は0.264である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.210であり、動摩擦係数は(μd)0.321である;得られた油剤は、使用前に水で10wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.3wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が18wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.02である。十字型紡糸孔の長さは0.32mm、円形紡糸孔の長さは0.326mm、十字型紡糸孔の相当直径は0.19mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が3:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が286℃、冷却温度が24℃、変形加工エアジェット圧力が0.27MPa、変形加工ローラー1速度が2400m/min、変形加工ローラー1温度が75℃、変形加工ローラー2速度が4200m/min、変形加工ローラー2温度が165℃、巻取速度が3980m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.55bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.17、十字型モノフィラメントの繊度が0.65dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.29dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が170g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが141mmで、蒸発速度が0.31g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が80dtex、破断強度が4.1cN/dtex、破断伸度は36.0%、線密度偏差率は0.37%、破断強度CV値は3.9%、破断伸度CV値は8.9%、糸ムラCV値は1.5%、沸水収縮率は7.5%、含油率は1.10%である。
【0056】
実施例11
一種の夏用調湿快適性ポリエステルFDYの製造方法は、下記のステップを含む:
(1)オイリング用油剤の調製として:2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びドデシルスルホン酸ナトリウムを常温で混合して、さらに9#鉱物油に加えて、40℃で1時間かけて攪拌することより油剤を生成する;得られた油剤には、9#鉱物油2重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル10重量部、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル90重量部、ドデシルリン酸エステルカリウム塩8重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム3重量部を配合されている;得られた油剤は、79.6wt%のクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が14.5wt%とする;得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度が29.6mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調製すると動粘度が0.93mm2/sとする;得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度が125Nであり、表面張力が24.8cN/cmであり、比抵抗は1.3×108Ω・cmである;オイリングした後、繊維と繊維(F/F)の静摩擦係数(μs)は0.255であり、動摩擦係数(μd)は0.266である;オイリングした後、繊維と金属(F/M)の静摩擦係数(μs)は0.203であり、動摩擦係数は(μd)0.330である;得られた油剤は、使用前に水で15wt%の乳化液に調製する。
(2)ポリエステルは、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物の艶消し剤に分散され、艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.2wt%で、艶消し剤中に無定形二酸化ケイ素の含有量が15wt%である。
(3)ポリエーテル融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、熱処理、巻取りなどのステップを経て夏用調湿快適性ポリエステルFDYになる。
複合口金は十字型と円形の紡糸孔が併設されている。十字型孔の円形孔に対する長さ比は、十字型孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。述べた相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値は1.03である十字型紡糸孔の長さは0.80mm、円形紡糸孔の長さは0.80mm、十字型紡糸孔の相当直径は0.12mmである。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列し、同じ同心円に十字型と円形の紡糸孔が併設され、十字型孔の円形孔に対する数量比が2:1とする。ポリエステルFDYの紡糸条件は、紡糸温度が287℃、冷却温度が25℃、変形加工エアジェット圧力が0.24MPa、変形加工ローラー1速度が2300m/min、変形加工ローラー1温度が85℃、変形加工ローラー2速度が4100m/min、変形加工ローラー2温度が150℃、巻取速度が4140m/min、紡糸箱初期圧力が120bar、紡糸箱圧力昇ΔPが0.57bar/日間とすることである。
最後に得られた同じ口金板より吐出した十字型モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する夏用調湿快適性ポリエステルFDYについては、毛羽カウントが2本/巻以下、毛管パラメータが0.18、十字型モノフィラメントの繊度が0.50dtex、円形モノフィラメントの繊度が0.21dtexとする。夏用調湿快適性ポリエステルFDYによる(面密度が280g/m2とする)機織りは、毛管濡れ高さが138mmで、蒸発速度が0.29g/時間である。夏用調湿快適性ポリエステルFDYについて、その繊度が100dtex、破断強度が4.3cN/dtex、破断伸度は30.0%、線密度偏差率は0.44%、破断強度CV値は4.8%、破断伸度CV値は8.5%、糸ムラCV値は2.0%、沸水収縮率は8.0%、含油率は0.90%である。
図1