特許第6876210号(P6876210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876210再生パルプ製造装置および古紙再生処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876210
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】再生パルプ製造装置および古紙再生処理装置
(51)【国際特許分類】
   D21C 5/02 20060101AFI20210517BHJP
   D21B 1/32 20060101ALI20210517BHJP
   D21B 1/34 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   D21C5/02
   D21B1/32
   D21B1/34
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-257159(P2016-257159)
(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-109247(P2018-109247A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】寺井 義
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−517620(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0053874(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3152335(JP,U)
【文献】 特開2016−084569(JP,A)
【文献】 特開2011−219893(JP,A)
【文献】 特開2007−138354(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1662703(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙原料を給水部から供給された水とともに攪拌槽内で攪拌羽根により攪拌し、再生パルプを製造するパルパー部と、パルパー部の動作を制御する制御部とを備えた再生パルプ製造装置において、前記攪拌槽の底部に突設し、前記再生パルプを含む再生パルプ含有液を攪拌槽の槽外に排出する再生パルプ含有液取出部が設けられ、前記再生パルプ含有液取出部は、攪拌槽の底部であって、攪拌羽根の回動領域より外側、且つ、攪拌槽の側壁より所定量内側の範囲に設置されることを特徴とする再生パルプ製造装置。
【請求項2】
前記再生パルプ含有液取出部は、前記攪拌槽の底部に突設した配管で構成されることを特徴とする請求項1に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項3】
前記再生パルプ含有液取出部は、上端に前記再生パルプ含有液を取込む再生パルプ含有液取込口を有し、前記再生パルプ含有液取込口が攪拌槽内において攪拌羽根の回動により発生する渦流の対流領域に達するように、前記攪拌槽の底部から所定量突設する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項4】
前記再生パルプ含有液取出部に接続し、攪拌槽内の再生パルプ含有液を次工程に移送する移送部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項5】
攪拌槽の底部には、攪拌槽内に残留した残留液を攪拌槽の槽外へ排出し廃棄する為の残留液排出部をさらに設け、前記残留液排出部は、前記再生パルプ含有液排出部の突設高さより低い位置に残留液を排出する残留液取込口を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項6】
前記残留液排出部は、任意に排水経路を開閉可能な開閉弁を有し、制御部は、攪拌槽内において離解処理中は開閉弁を閉じるように制御し、離解処理後、残留液を排出し廃棄する際に開閉弁を開くように制御することを特徴とする請求項に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項7】
攪拌槽に貯留される再生パルプ含有液の下限液位を検出可能な下限液位検出センサを備え、制御部は、前記再生パルプ含有液の液位が攪拌羽根の設置高さ以下となったことを前記下限液位検出センサが検出した場合は、前記残留液排出部から残留液を排出し廃棄するように制御することを特徴とする請求項に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項8】
前記再生パルプ含有液取出部は、前記攪拌槽の底部から10mm以上突設した配管で構成されることを特徴とする請求項1に記載の再生パルプ製造装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の再生パルプ製造装置を備える、古紙再生処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生パルプ製造装置および古紙再生処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、わが国においては、一度使用した古紙、例えば古新聞紙やオフィス等で生じる古紙を回収して紙を再生する技術ならびに社会システムが確立している。
しかし、古紙から再生紙を製紙する場合には、古新聞がリサイクル品として回収される住宅街等やオフィス等の紙の消費場所と、古紙から紙を再生する再製紙工場とは離れており、古紙の回収、運搬にコストとエネルギーを要する。また、オフィスでは古紙の持ち出しにより古紙に記載された機密情報等が外部へ漏洩するおそれがある。
【0003】
そこで、下記特許文献1には、装置を小型化し、紙の消費場所で古紙を処理することの可能な古紙処理装置に関する技術が開示されている。前記古紙処理装置におけるパルパー部は、攪拌槽、給水部、攪拌手段、再生パルプ含有液取出部等を備えている。再生パルプ含有液取出部は、攪拌槽の底部に設けられ、パルパー部にて古紙原料を離解することにより製造された再生パルプ、水等を含有する再生パルプ含有液を攪拌槽から槽外に取り出すようになっている。再生パルプ含有液取出部は、攪拌槽の槽外において開閉弁及びポンプを備えた配管に接続されており、再生パルプ含有液取出部からポンプにより取り出した再生パルプ含有液を脱墨部又は抄紙部へ送るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−219893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生パルプ製造装置において、パルパー部は、攪拌槽と、攪拌槽内に設けた攪拌装置を有し、古紙を離解して再生パルプを含む再生パルプ含有液を製造するものである。攪拌槽は、槽底部に再生パルプ含有液を槽外に排出する再生パルプ含有液取出部を有し、再生パルプ含有液取出部には移送部が接続されている。移送部は攪拌槽で離解処理した再生パルプ含有液を脱墨部又は抄紙部に移送する。攪拌槽は、攪拌羽根を回転させて再生パルプ含有液を攪拌しつつ、移送部のチューブポンプを駆動して攪拌槽の再生パルプ含有液取出部から攪拌槽で離解処理した再生パルプ含有液を取出し、脱墨部又は抄紙部に移送する。
【0006】
上記パルパー部では、攪拌槽の底部に設けられた再生パルプ含有液の取出部は、底部にフラットな状態で開口部が設けられている為、攪拌槽の底部に溜まった繊維濃度の低い渦流の非対流領域から再生パルプ含有液を取出してしまい、状況によっては計算上の繊維濃度と合わず、その結果、成果物としての再生紙の厚さが想定よりも薄くなるという問題があった。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、攪拌槽で離解処理した再生パルプ含有液を脱墨部又は抄紙部に移送する際、攪拌槽から所望の繊維濃度の再生パルプ含有液を取り出すことによって、成果物としての再生紙の厚さを安定させることのできる再生パルプ製造装置及び、該再生パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、古紙原料を給水部から供給された水とともに攪拌槽内で攪拌羽根により攪拌し、再生パルプを製造するパルパー部と、パルパー部の動作を制御する制御部とを備えた再生パルプ製造装置において、前記攪拌槽の底部に突設し、前記再生パルプを含む再生パルプ含有液を攪拌槽の槽外に排出する再生パルプ含有液取出部が設けられ、前記再生パルプ含有液取出部は、攪拌槽の底部であって、攪拌羽根の回動領域より外側、且つ、攪拌槽の側壁より所定量内側の範囲に設置されることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の再生パルプ製造装置において、前記再生パルプ含有液取出部は、前記攪拌槽の底部に突設した配管で構成されることを特徴とするものである。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の再生パルプ製造装置において、前記再生パルプ含有液取出部は、上端に前記再生パルプ含有液を取込む再生パルプ含有液取込口を有し、前記再生パルプ含有液取込口が攪拌槽内において攪拌羽根の回動により発生する渦流の対流領域に達するように、前記攪拌槽の底部から所定量突設する構成としたことを特徴とするものである。
【0012】
更に、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の再生パルプ製造装置において、前記再生パルプ含有液取出部に接続し、攪拌槽内の再生パルプ含有液を次工程に移送する移送部を備えることを特徴とするものである。
【0013】
更に、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の再生パルプ製造装置において、攪拌槽の底部には、攪拌槽内に残留した残留液を攪拌槽の槽外へ排出し廃棄する為の残留液排出部をさらに設け、前記残留液排出部は、前記再生パルプ含有液排出部の突設高さより低い位置に残留液を排出する残留液取込口を有することを特徴とするものである。
【0014】
更に、請求項に記載の発明は、請求項に記載の再生パルプ製造装置において、前記残留液排出部は、任意に排水経路を開閉可能な開閉弁を有し、制御部は、攪拌槽内において離解処理中は開閉弁を閉じるように制御し、離解処理後、残留液を排出し廃棄する際に開閉弁を開くように制御することを特徴とするものである。
【0015】
更に、請求項に記載の発明は、請求項に記載の再生パルプ製造装置において、攪拌槽に貯留される再生パルプ含有液の下限液位を検出可能な下限液位検出センサを備え、制御部は、前記再生パルプ含有液の液位が攪拌羽根の設置高さ以下となったことを前記下限液位検出センサが検出した場合は、前記残留液排出部から残留液を排出し廃棄するように制御することを特徴とするものである。
【0016】
更に、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の再生パルプ製造装置において、前記再生パルプ含有液取出部は、前記攪拌槽の底部から10mm以上突設した配管で構成されることを特徴とするものである。
【0017】
更に、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいづれか1つに記載の再生パルプ製造装置を備える古紙再生処理装置であることを特徴とするものである。

【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、攪拌槽の底部に突設し、再生パルプを含む再生パルプ含有液を攪拌槽の槽外に排出する再生パルプ含有液取出部を設けることにより、攪拌槽の底部の繊維濃度の低い渦流の非対流領域を避け、渦流の対流領域から計算上の繊維濃度に相当する再生パルプ含有液を取出すことができる。その結果、成果物としての再生紙の厚さが安定する。
【0019】
さらには、攪拌槽の底部に、再生パルプ含有液取出部とは別に、再生パルプ含有液取出部の突設高さより低い位置に残留液排出部を設けることにより、再生パルプ含有液取出部の突設高さより低い位置に残留した残留水を、攪拌槽の槽外へ排出(廃棄)することができ、次回の離解処理時に残留パルプやゴミ等による影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
図2】本発明の第1の実施の形態における同古紙再生処理装置のパルパー部を示す断面図
図3】攪拌槽内における渦流の「対流領域」と「非対流領域」の発生状況を示す模式図
図4】攪拌槽901の平面図
図5図4のA−A矢視断面図
図6】攪拌槽内における再生パルプ含有液の濃度測定結果の一覧表
図7】本発明の第2の実施の形態における古紙再生処理装置のパルパー部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(古紙再生処理装置の全体構成)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部を有しており、処理部には、古紙投入部1、パルパー部9、脱墨部11、抄紙部13、乾燥部14、仕上部15、紙受部63、白水タンク部100がある。また、古紙再生処理装置は各処理部の運転を制御する制御部700を備えている。
【0022】
古紙投入部1は、再生原料の古紙をパルパー部9に投入するものであり、古紙を枚葉紙のままの状態であるいは裁断した状態でパルパー部9に投入する。パルパー部9は、攪拌槽901と、攪拌槽901内に設けた攪拌装置92を有し、古紙を離解して再生パルプを含む再生パルプ含有液を製造するものである。
【0023】
脱墨部11は、再生パルプ含有液を脱墨して脱墨パルプを調製するものであり、脱墨槽501と、脱墨槽501の底部から気泡を放出する気泡放出装置601と、気泡放出装置601に空気を供給する空気供給装置(エアポンプ等)602を有している。気泡放出装置601は、脱墨槽501内の底部に配置され、通気性を有する多孔質のエアストーン等で構成されており、上面が気泡放出面として形成されている。
【0024】
抄紙部13は、脱墨部11において脱墨されたパルプ混合液を脱水して湿紙を製造するものである。乾燥部14は、脱水した湿紙を乾燥して再生紙にするものである。
仕上部15は、再生紙に対して仕上工程を行い、得られた再生紙を紙受部63に排出する。
白水タンク部100は、抄紙部13から流入する再生パルプを含む排水である白水を貯留するものであり、白水を白水返送系105、106を通して古紙再生処理系の各所へ返送する。給水源、ここでは上水配管107から用水を供給する給水配管108が白水タンク100に接続しており、給水配管108に電磁弁からなる緊急停止用の元弁装置109を設けている。
【0025】
(パルパー部の基本構成)
図2に示すように、古紙投入部1はパルパー部9の攪拌槽901の上方に位置し、再生原料の古紙を枚葉紙のままで直接にパルパー部9に投入するものである。古紙投入部1は、枚葉紙を立った姿勢に保持する姿勢保持部203を有し、姿勢保持部203が上部開口と下部開口を有する上下解放の四角形の枠体からなり、投入部をなす下部開口が攪拌槽901の上部開口に対向している。姿勢保持部203の底部をなすスライド底板206は、姿勢保持部203の下部開口を覆っており、スライド底板206は下部開口を開閉するスライド方向に移動可能である。
【0026】
ユーザーに対する安全性を確保するために、姿勢保持部203の上部開口を覆ってカバー部301を設けており、カバー部301は透明の扉体302を備えている。
本実施の形態ではパルパー部9の攪拌槽901を貯留部として説明するが、本発明は別途に設ける貯蔵タンクや脱墨槽を貯留部とする場合にも適用可能である。
パルパー部9は、貯留部をなす攪拌槽901の内部に攪拌装置として攪拌羽根902と攪拌羽根902を回転駆動する回転軸903を有している。回転軸903は、下端を槽底部に枢着し、攪拌槽901の上方に配置した上下二つの軸受904、905で回転自在に支持され、上下の軸受904、905の間にプーリー906を有し、プーリー906がベルト907を介してモータ(図示省略)で駆動されることで、回転軸903および攪拌羽根902が回転する。
【0027】
攪拌槽901は、槽底部に再生パルプ含有液取出部908を有し、再生パルプ含有液取出部908に移送部909が接続している。移送部909は攪拌槽901で離解処理した再生パルプ含有液を脱墨部11に移送する移送経路をなし、移送ポンプとしてチューブポンプ910を有している。移送ポンプとしてはチューブポンプ910に限られず、スネークポンプ、モーノポンプ、スクリューポンプ等を使用することができるが、チューブポンプ910を用いることで再生パルプ含有液の移送量を正確に把握することができ、別途に流量計を設置する必要がなく、コストの低減に貢献できる。
【0028】
攪拌槽901の開口に臨んで設けた給水部911は希釈用水を攪拌槽901に供給するものであり、給水部911に白水返送系106が接続している。また、移送部909にはチューブポンプ910の下流位置に第2給水部として白水返送系105が接続している。
【0029】
攪拌槽901の内部には、再生パルプ含有液の液位を検出する液位センサとして、槽内に貯留可能な上限液位に対応する上限液位検出センサ912と、槽内の攪拌羽根902の位置に対応する下限液位検出センサ913と、再生パルプ含有液の所定量を貯留した際の規定残量液位に対応する規定残量液位検出センサ914を設けている。
【0030】
以下、上記した構成の作用を説明する。制御部700は、古紙投入部1とパルパー部9と脱墨部11と抄紙部13と乾燥部14と仕上部15と白水タンク部100と脱墨廃液処理装置101とを制御し、各処理部において古紙再生処理系の運転を行う。
【0031】
古紙投入部1のスライド底板206を全閉位置に配置し、この状態でカバー部301の扉体302を開放し、姿勢保持部203の枠体内に枚葉紙の束を搭載する。スライド底板206をスライド方向の開方向に移動させ、姿勢保持部203の下部開口を開放する。枚葉紙はスライド底板206が開くに伴って立った姿勢のままに下部開口からパルパー部9の攪拌槽901に順次投下される。
【0032】
攪拌槽901は、給水部911から供給する所定量の白水を離解用水として貯留しており、攪拌羽根902を回転させて古紙投入部1から投入された古紙を離解用水中で離解処理し、再生パルプ含有液を製造する。そして、投入した古紙量に対して不足する希釈水を給水部911から供給し、再生パルプ含有液を所定濃度に調整する。
【0033】
次に、攪拌羽根902を回転させて再生パルプ含有液を攪拌しつつ、移送部909のチューブポンプ910を駆動して攪拌槽901の再生パルプ含有液取出部908から再生パルプ含有液を取出し、脱墨部11に移送する。制御部700は、槽内の液位が規定残量液位に達したことを規定残量液位検出センサ914が検出することで、槽内の再生パルプ含有液が規定残量まで減少したことを認知し、給水部911から希釈用水を攪拌槽901に供給する。例えば、規定残量液位を、槽内に50Lの再生パルプ含有液が残る液位とし、規定残量液位検出センサ914が規定残量液位を検出したときに給水部911から5Lの希釈用水を供給する。この間、チューブポンプ910による再生パルプ含有液の移送を継続し、攪拌槽901の液位が規定残量液位に達したときに再び5Lの希釈用水を供給し、この動作を繰り返す。
【0034】
その後、攪拌槽901内の液位が下降して、下限液位検出センサ913が(槽内の攪拌羽根902の位置に対応する)下限液位を検出し、攪拌羽根902が露出する状態となると、再生パルプ含有液の攪拌を十分に行うことができずに再生パルプ含有液の濃度が不安定(固形分の古紙パルプと液相分が十分に混ざらない状態)となる為、攪拌羽根902の回転を停止し、離解処理を終了して、抄紙部13の抄紙動作を停止すると共に、自吸式の供給ポンプ(不図示)による白水返送系105から移送部909への白水の供給も停止する(移送部909内でのミキシングも停止する)。その状態で、チューブポンプ910による再生パルプ含有液の移送は継続し、下限液位に相当するパルプ含有液は脱墨部11からの排水経路(不図示)を通して装置外部に廃棄する。
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図3から図5に基づいて説明する。上述したパルパー部の基本構成において、攪拌槽901の底部には、前記底部から突設し、再生パルプを含む再生パルプ含有液を攪拌槽901の槽外に排出する再生パルプ含有液取出部908が設けられる。前記再生パルプ含有液取出部908は、例えば、攪拌槽901の底部に突設した配管で構成される。尚、前記攪拌槽901の底部とは、攪拌槽901の底面に限定されるものではなく、攪拌槽901の側面の下部であってもよい。
【0036】
図3は、古紙再生処理装置のパルパー部を示す断面図である。再生パルプ製造時に、攪拌槽901において、古紙原料を給水部911から供給された水とともに攪拌槽901内で攪拌羽根902により攪拌すると、図3に示すように、攪拌槽901内において攪拌羽根902の回動により攪拌槽901内の中央部に渦流80の「対流領域」81が発生する。又、その対流領域の外側には「非対流領域」82が発生する。
【0037】
図4は、攪拌槽901の平面図である。攪拌羽根902は、別部材で構成される突出部915を備えており、上面及び下面が水平面と並行に形成される。図5は、図4のA−A矢視断面図である。図5に示すように、突出部915の断面形状は、上部が離解処理時の回転方向Rとは逆方向に突出した台形に形成される。突出部915は、攪拌羽根902の上面の所定位置に設置され、下方より螺子916により固定される。図4に示すように、攪拌羽根902の回動により攪拌槽901内の中央部に渦流の「対流領域」81が発生する。又、その対流領域の外側には「非対流領域」82が発生する。
【0038】
詳しくは、攪拌槽901の底部及び、攪拌槽901の側壁近傍は、約10mm程度の渦流80の「非対流領域」82が存在し、その内側には攪拌羽根902の回動により発生する渦流の「対流領域」81が存在する。「非対流領域」82は、古紙パルプ液の濃度が低く、目視にて透明に近い色の領域を確認できる。又、「対流領域」81は、古紙パルプ液の濃度が「非対流領域」82より高く、目視にて「非対流領域」82より濃い色の領域を確認でき、後述するように「対流領域」81は、実測では、理想とする計算上の濃度(4%)に近いことを確認することができた。
【0039】
攪拌羽根902の回動により「対流領域」81と「非対流領域」82が発生した攪拌槽901において、攪拌羽根902により再生パルプ含有液を攪拌しつつ、移送部909のチューブポンプ910を駆動して攪拌槽901の再生パルプ含有液取出部908から再生パルプ含有液を取出し、脱墨部11に移送する場合、再生パルプ含有液取出部908が、従来のように攪拌槽901の底部にフラットな状態で開口部が設けられていると、攪拌槽901の底部に溜まった繊維濃度の低い渦流80の「非対流領域」82から古紙パルプ液を取出してしまい、状況によっては計算上の繊維濃度と合わず、その結果、成果物としての再生紙の厚さが想定よりも薄くなるという問題がある。
【0040】
本件発明においては、前記再生パルプ含有液取出部908は、例えば、攪拌槽901の底部に突設した再生パルプ含有液取込口905を有する配管で構成され、前記再生パルプ含有液取込口905が攪拌槽内において攪拌羽根902の回動により発生する渦流80の「対流領域」81に達するように、前記攪拌槽901の底部から所定量突設する構成とした。尚、図4の攪拌槽の平面図において、前記再生パルプ含有液取出部908は、攪拌槽901の底部であって、攪拌羽根の回動領域より外側、且つ、攪拌槽の側壁より所定量内側の範囲に設置される。
【0041】
攪拌羽根902の回動領域の内側(下側)は、攪拌槽上部からのメンテナンス性に問題があり又、攪拌槽902の側壁近傍は渦流の「非対流領域」82が存在する為、再生パルプ含有液の繊維濃度が低いという問題がある。前記、双方の問題領域を避けることにより、メンテナンス性及び、再生パルプ含有液の取得濃度が良好な状態となる。したがって、攪拌槽901において再生パルプ含有液取出部908は、理想とする計算上の濃度(4%)に近い「対流領域」81から古紙パルプ液を取出すことができ、成果物としての再生紙の厚さを安定させることができる。
【0042】
次に、再生パルプ含有液取出部908について、その再生パルプ含有液取込口905は、攪拌槽901の底部からどの程度突設すれば渦流80の「対流領域」81に達することができるかについてテストを行った。テスト方法は、攪拌槽901の底部からの排出管の突設高さを0、10、20mmと替えながら、それぞれ、再生パルプ含有液取出部908から取得された再生パルプ含有液の濃度を測定した。尚、濃度の測定は、取得された古紙パルプ液の全体重量に対する古紙パルプ(古紙パルプ液中の古紙パルプを乾燥させたもの)の重量比(重量%)にて算出する。
【0043】
図6は、前記テストの結果を一覧表に示したものである。テストの結果より、攪拌槽901底部からの排管(再生パルプ含有液取出部908)の突設高さが10mm以上になると、理想とする計算上の繊維濃度(4%)に近い濃度となり、繊維濃度が安定している「対流領域」81から古紙パルプ液を取出していることがわかる。
【0044】
以上のテスト結果より、攪拌槽901の底部からの配管(再生パルプ含有液取出部908)の突設高さは、設計上10mmとした。性能上は、前記突設高さを20mmに設定してもよいが、パルプ製造作業後(離解処理後)に攪拌槽901内から再生パルプ含有液を排水しきれないという問題がある為、極力短く設定するのがよい。尚、攪拌羽根902の高さは、攪拌槽901の底部から30mmの高さに設置されており、それ以下の液位になったときは十分に離解できない為、離解処理を終了して残留液を装置外に排水し、廃棄する。前記パルプ製造作業後の再生パルプ含有液の排水(廃棄)処理については、以下、第2の実施形態にて説明する。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施の形態を図7に基づいて説明する。上述した第1の実施の形態における攪拌槽901の底部に対して、図7に示すように、パルプ製造作業後(離解処理後)の再生パルプ含有液を排水(廃棄)する為の残留液排出部918をさらに設け、残留液排出部918は、前記再生パルプ含有液排出部908の突設高さより低い位置に残留液取込口919を有する。したがって、攪拌槽901において、再生パルプ含有液取出部908の突設高さより低い位置に残留した残留水は、別途設置した残留液排出部918により攪拌槽の槽外へ排出(廃棄)することができ、次回の離解処理時に残留パルプやゴミ等による影響を受けない。
【0046】
残留液排出部918は、任意に排水経路を開閉可能な開閉弁917を有し、制御部は、攪拌槽内において離解処理中は開閉弁917を閉じるように制御し、離解処理後、残留液を排水し廃棄する際に開閉弁917を開くように制御する。したがって、所定のタイミングにて残留水を攪拌槽の槽外へ排出(廃棄)することができる。
【0047】
又、攪拌槽901に貯留される再生パルプ含有液の液位を検出可能な下限液位検出センサ913を備え、制御部は、再生パルプ含有液の液位が攪拌羽根902の設置高さ以下となったことを前記下限液位検出センサ913が検出した場合は、開閉弁917を開き、前記残留液排出部918から残留液を排出し廃棄するように制御する。したがって、攪拌羽根902の設置高さ以下となった残留水を自動的に、別途設置した残留液排出部918により攪拌槽901の槽外へ排出(廃棄)することができ、次回の離解処理時に離解不十分な残留パルプやゴミ等による影響を受けないようにすることができる。
【0048】
又、攪拌槽901に貯留されるパルプ含有液の水位が、前記、攪拌羽根902の設置高さ以下となった場合は、給水部911から攪拌槽に所定量の白水を供給すると共に、残留液排出部918から残留水を排出(廃棄)するように構成してもよい。そうすることにより、残留水に給水部911から白水を供給しながら攪拌槽の槽外へ排出(廃棄)することができ、残留パルプやゴミ等もまとめて洗い流すことができる。さらに、残留液排出部918は、異物回収部として濾過部を備えるように構成してもよい。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。脱墨部11の槽体の形状は六角形に限らず、円筒形や平面視多角形の筒状体に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
9 パルパー部
11 脱墨部
13 抄紙部
80 渦流
81 対流領域
82 非対流領域
700 制御部
901 攪拌槽
902 攪拌羽根
903 回転軸
904 軸受
905 再生パルプ含有液取込口
908 再生パルプ含有液取出部
909 移送部
910 チューブポンプ
911 給水部
912 上限液位検出センサ
913 下限液位検出センサ
914 規定残量液位検出センサ
915 突出部
916 螺子
917 開閉弁
918 残量液排出部
919 残量液取込口
R 攪拌羽根の回転方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7