(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876213
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】塗装用ローラ及び塗装具
(51)【国際特許分類】
B05C 17/025 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
B05C17/025
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-224322(P2016-224322)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-100121(P2017-100121A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-227073(P2015-227073)
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】桂川 稔
【審査官】
塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−170177(JP,U)
【文献】
特開昭62−057671(JP,A)
【文献】
実開昭54−065956(JP,U)
【文献】
実開平02−083072(JP,U)
【文献】
特表2002−508266(JP,A)
【文献】
特表2007−524504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00−3/20
7/00−21/00
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面や壁面等を塗装する為の塗装用ローラであって、該塗装用ローラは、内層部に塗料を貯留するための貯留部材と、表層部に形成された前記塗料を被塗装面に塗装するための塗装部材とを備え、前記塗装部材には、前記貯留部材から前記塗料を前記塗装部材に供給するための塗料供給流路が形成されていると共に、前記塗装部材は平板状の基部と、一端が前記基部から突設した多数の毛材で構成され、前記毛材は、前記塗料供給流路によって隔てられた隣り合う前記毛材の一部が互いに接触することを特徴とする塗装用ローラ
【請求項2】
貯留部材に塗料吸排流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装用ローラ。
【請求項3】
塗料供給流路と塗料吸排流路が重複していることを特徴とする請求項2に記載の塗装用ローラ。
【請求項4】
塗料供給流路は螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装用ローラ。
【請求項5】
軸部材と、該軸部材の一端に設けられた把持部材と、前記軸部材の他端に回転自在に装着された請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装用ローラとを備えた塗装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面等の塗装に用いる塗料を保持するための貯留部材を有する塗装用ローラ及び塗装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な手塗り用の塗装具は、軸部材の一端に把持部、他端に塗装用ローラが回転かつ着脱自在に設けられており、把持部を持ち、塗装用ローラを塗料に浸し、塗装用ローラを壁面等の被塗装面に押し付けながら回転往復運動させて塗装する。その後、塗料がなくなったら、再度塗装用ローラを塗料に浸し、塗装することを繰り返し行うものである。
【0003】
また、従来から様々な塗装用ローラが開発されており、例えば被塗装面に凹凸模様を形成するものとして、ローラ本体に多数のブラシを密集形成しこの密集群間に間隔を設けたもの(特許文献1)や、ローラ本体を多孔質材で構成し表面に連続した螺旋状の溝をつけたもの(特許文献2)が知られている。その他、塗装面を泡のない仕上がりにするものとして、ローラ本体を繊維材質層とセル材質層の複層構造としたものが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭54-39467号公報
【特許文献2】実開昭53−69459公報
【特許文献3】特開2005−230765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載された塗装用ローラは、ブラシの密集群間に間隔が設けられているため、均一な塗装を必要とする一般的な塗装具としては適しておらず、塗料の保持量も少ないため補充回数が多くなるものであった。また、上記特許文献2に記載された塗装用ローラは、多孔質材で構成されているため大量の塗料を保持できるが、塗装時は螺旋状の溝に塗料が溜まりやすくなると共に、塗装膜の厚みを調整しづらく均一な塗装が難しいものであった。さらにまた、上記特許文献3に記載された塗装用ローラは、複層構造により厚い膜厚化と泡の発生を抑制できるが、異材質層間で塗料がスムーズに移動できないため、均一な塗装が難しいものであった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、均一な塗装を広範囲に行うことができると共に、補充回数を少なくし作業性を向上させた塗装用ローラ及び塗装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、床面や壁面等を塗装する為の塗装用ローラであって、該塗装用ローラは、内層部に塗料を貯留するための貯留部材と、表層部に形成された前記塗料を被塗装面に塗装するための塗装部材とを備え、前記塗装部材には、前記貯留部材から前記塗料を前記塗装部材に供給するための塗料供給流路が形成されている
と共に、前記塗装部材は平板状の基部と、一端が前記基部から突設した多数の毛材で構成され、前記毛材は、塗料供給流路によって隔てられた隣り合う前記毛材の一部が互いに接触することを特徴としている。第
2の発明は、貯留部材に塗料吸排流路が形成されていることを特徴としている。
【0008】
第
3の発明は塗料供給流路と塗料吸排流路が重複していることを特徴としている。第
4の発明は塗料供給流路が螺旋状に形成されていることを特徴としている。第
5の発明は、軸部材と、該軸部材の一端に設けられた把持部材と、前記軸部材の他端に回転自在に装着された塗装用ローラとを備えた塗装具としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、塗装用ローラは内層部に塗料を貯留するための貯留部材を、表層部に塗料を被塗装面に塗装する為の塗装部材を備え、塗装部材には前記貯留部材から前記塗料を前記塗装部材に供給するための塗料供給流路を設けた構成としている。そのため、床面や壁面等の被塗装面を塗装する際、塗装用ローラを塗料にドブ漬けすると、塗装部材だけでなく塗料供給流路を経由して貯留部材にも塗料が供給される。これにより、被塗装面を塗装する際、被塗装面に塗装用ローラを押し付けると、貯留部材に保持されている塗料が押し出され、塗料供給流路を経由して塗装部材へ供給されるため、1回の塗料の供給作業で塗りムラの無い均一な塗装を広範囲にすることが出来る。すなわち、塗装用ローラへの塗料の供給回数を減らすことができるので、作業効率の向上が図れる。
【0010】
また、請求項1の発明において、
前記塗装部材は平板状の基部と、一端が前記基部から突設した多数の毛材で構成され、前記毛材は、前記塗料供給流路によって隔てられた隣り合う前記毛材の一部が互いに接触するよう構成している。そのため、塗料供給流路の外方も毛材によって覆われるため、塗装部材の外周面は隙間なく毛材に覆われる。そのため、塗料供給流路を設けても塗装部材の外周面には毛材間の隙間が無く、塗りムラの無い均一な塗装ができる。
【0011】
請求項
2の発明では、請求項
1の発明において、貯留部材に塗料吸排流路を設けたので、塗装用ローラを塗料にドブ漬けした際、塗料は前記塗料吸排流路を介して、貯留部材内に素早く供給される。これにより、貯留部材が塗料を吸入する時間が短縮され、塗装効率の向上が図れる。
【0012】
請求項
3の発明では、請求項
2の発明において、塗料供給流路と塗料吸排流路を重複して設けているので、塗装用ローラを塗料にドブ漬けした際、塗料は塗料供給流路から塗料吸排流路へ、何ら障害物に邪魔されることなくスムーズに素早く移動できるため、塗料を確実に貯留部材内に保持させることができる。また、塗装時においてはこの流れが逆、すなわち貯留部材内の塗料は、塗料吸排流路から塗料供給流路へ素早く確実に移動できる。これにより、貯留部材における塗料の供給と排出が容易となるので、塗装作業をスムーズに行える。
【0013】
請求項
4の発明では、請求項1〜
3のいずれかの発明において、塗料供給流路を螺旋状に形成しているので、貯留部材内の塗料を塗装部材に均等に供給出来ると共に、塗装用ローラが回転しながら被塗装面を往復運動することで、塗りムラを解消出来る。
【0014】
請求項
5の発明では、請求項1〜
4のいずれかの発明において、軸部材と、該軸部材の一端に設けられた把持部材と、前記軸部材の他端に回転自在に装着された塗装用ローラとを備えた塗装具とすることで、塗装面積の拡大や、塗料供給回数の軽減ができる手持ち式塗装用ローラとして使用できるので、容易に被塗装面の塗装ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る塗装用ローラを用いた塗装具の斜視図である。
【
図2】本発明に係る塗装用ローラの部分断面図である。
【
図3】
図2における、塗装用ローラの要部拡大A−A断面図である。
【
図4】
図2における、塗装用ローラの要部拡大B−B断面図である。
【
図5】本発明に係る塗装部材を構成する基部に極細毛材を密集状態に植毛した状態を示す側面図(a)と斜視図(b)である。
【
図6】本発明に係る塗装用ローラを、被塗装面に接触した状態を示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明に係る塗装用ローラの他の実施例1を示す要部拡大断面図である。
【
図9】本発明に係る塗装用ローラの他の実施例2を示す要部拡大断面図である。
【
図10】本発明に係る塗装用ローラの他の実施例3を示す塗装用ローラの毛材を一部切欠いた正面図である。
【
図11】本発明に係る塗装用ローラの他の実施例4を示す塗装用ローラの毛材を一部切欠いた正面図である。
【
図12】本発明に係る塗装用ローラの他の実施例5を示す塗装用ローラの毛材を一部切欠いた正面図(a)とその断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明について
図1から
図6に基づいて説明する。なお、説明の都合上、
図2の断面部分では毛材を省略している。
【0017】
塗装具1は、金属の丸棒材より成る軸部材2の一端に、その中心部を回転かつ着脱自在に取り付けられた幅Wを有する略円筒状に形成された塗装用ローラ3と、他端に固定された把持部材4で構成されている。
【0018】
塗装用ローラ3は、中心部に軸部材2の一端に回転かつ着脱自在に取り付けられ幅Wである中空状の軸受体5と、該軸受体5の外周部に接着剤等で巻回固着され、塗料を保持と排出するための多数の小孔や隙間等を有するスポンジ材から成る貯留部材6と、刷毛9から成る塗装部材11から形成されている。刷毛9は、横幅W1と縦幅L(Lは、貯留部材6の外周長と同じ)から成る基部7の上面すべてに、吸水性かつ柔軟性を有し、復元性にも優れた極細の毛丈Hを有する毛材8を多数密集状態に植毛されている。また、刷毛9は貯留部材6の外周で幅W全域に複数個用いられ、各刷毛9間には隙間幅W2から成る塗料供給流路10が形成されるように、貯留部材6に巻回固着されている。これにより、塗装用ローラ3は、その内層部NAの中心に軸受体5と、この軸受体5の外周部に貯留部材6が、表層部HYに塗装部材11が形成される。なお、刷毛9の上部幅W3は、多数の毛材8の下部を密集状態に植毛することで、上部は植毛による強制的な規制がなく基部7の外方に自由に広がり、刷毛9の下部幅W1より大きくなる。これにより、塗料供給流路10の隙間幅W2は、塗料供給流路10を挟んで隣り合う刷毛9の一部が、特に毛材8の先端部S近傍において、互いに接触する状態となるよう形成している。この結果、塗料供給流路10が毛材8により常に覆われることとなる。尚、刷毛9については、上記のように貯留部材6の外周に複数個用いる他に、1つの刷毛9として形成しても良い。この場合、刷毛9の幅は幅Wと略同一であり、基部7には幅W2と同じ幅の複数の略孔形状の塗料供給路10が形成されている。
【0019】
本発明に係る塗装具1を用いて、壁面や床等から成る被塗装面Fを塗装する際は、まず使用者が把持部材4を持ち、塗装用ローラ3を塗料が入った容器(図示せず)にドブ漬けする。この時、塗料は塗装部材11を構成する刷毛9及び塗料供給流路10を経由して貯留部材6に供給される。この状態の塗装用ローラ3を被塗装面Fに圧力をかけて回転当接させると、塗料は刷毛9を介して被塗装面Fに塗装できる。この時、塗料は貯留部材6に多量に保持されていると共に、塗料供給流路10を通り、塗装に必要な量だけ刷毛9に供給される状態となるため、塗装範囲は広くなり、容器(図示せず)からの塗料の供給回数は大幅に減り、作業時間の短縮にもつながる。また、塗料供給流路10を隔てて隣り合う毛材8は、それぞれの先端部S近傍において互いに接触し塗料供給流路10を覆うように形成されているため、貯留部材6に保持されている塗料は、直接被塗装面Fに落下する液ダレを防止できると共に、塗装部材11の外周面全域を毛材8が覆うために、被塗装面Fには塗装ムラが生じない。
【0020】
また、貯留部材6を軟質で多数の小孔を有するスポンジ材で構成した場合は、凹凸や段差等がある被塗装面Fの塗装時において、その衝撃力を吸収する役目も果たすので、塗装作業がスムーズに行える。また、多数の小孔に塗料を保持させることもできるため、通常の毛材に比べて多量の塗料を貯留させることができる。さらに、塗装用ローラ3内の塗料を残らず使用するためには、被塗装面Fに塗装用ローラ3を強く押し付け、貯留部材6を圧縮させることで、
図6に示す矢印のように内部の塗料は押し出されて刷毛9に浸透し、確実に使用することができる。また、図示しないが基部7に複数の塗料通過穴を均等に形成した場合は、貯留部材6内に保持されている塗料が、塗料通過穴を通過して、刷毛9内に均等に浸透するため、より塗りムラがなく均一に塗装ができる。
【0021】
なお、
図5に於けるW3>W1を、確実に確保するためには、例えば毛材8に熱加工等を施し、強制的に傾斜変形させても良い。また、貯留部材6は、スポンジ材に限定するものでなく、ある程度腰の強い起毛布や、プラスチック材から成る基部に多数の毛材を植毛したものを用いても良い。従って、貯留部材6は多数の空隙があれば、この空隙に塗料を保持でき、起毛や毛材に復元性があれば良い。
【0022】
図7は、本発明に係る他の実施例1であり、塗装用ローラ13は貯留部材61が、軸受体5の外周部に等ピッチで複数巻回固定され、塗料吸排流路63が貯留部材61間に形成されると共に、貯留部材61の外周部には刷毛9が形成され、塗料吸排流路63と塗料供給流路10が連通するように設けられている。塗料吸排流路63の幅W4は、基部7間の距離W5より小さく形成されている。このように形成されているので、塗装時に、塗料内へ塗装用ローラ13をドブ漬けすると、塗料は刷毛9より塗料供給流路10、塗料吸排流路63を通じて貯留部材61に十分吸入させることができる。また、塗料吸排流路63を形成したことにより、貯留部材61は塗料と接触する表面積が増加するため、ドブ漬け時の塗料の吸入スピードも向上する。さらにまた、基部7の左右両端から貯留部材61が突出した形状となっているため、この突出部分でも塗料と接触する部分が増加するため、さらに吸入スピードが向上する。一方、塗装時は貯留部材61に保持された塗料が、塗料吸排流路63及び塗料供給流路10を通り刷毛9にスムーズに移動するため、塗りムラの無い均一な塗装が可能となる。以上より、貯留部材61に保持された大量の塗料がスムーズに刷毛9への移動することにより、1回の塗料供給作業によって、塗装できる面積が大幅に広がると共に、塗料内に塗装用ローラ13をドブ漬けする作業回数が減少できる。
【0023】
なお、塗料吸排流路63の幅W4は、塗料供給流路10の幅W5より小さく形成されているので、塗料は、塗料吸排流路63と塗料供給流路10とをスムーズに移動できる。前記関係が、W4>W5だと、塗料は、塗料供給流路10により吸入及び排出が阻害されるが、幅W5が大きければ貯留部材61の塗料は、塗料供給流路10を通り刷毛9に移動できる。従って、塗料の吸排効果を発揮するためには、塗料供給流路10及び塗料吸排流路63が重複していれば足り、好適には塗料供給路10及び塗料吸排流路63の幅が2mm以上であることが望ましい。
【0024】
図8は
図7の一部拡大断面図である。刷毛9の端部における毛材8は角度θの傾きで塗料供給流路10側に傾斜し、塗料供給流路10を覆うように毛材8が接触している。そのため、塗装部材11の外周面に塗料供給流路10が露出せず、塗装ムラの無い均一な塗装ができる。このように塗料供給流路10が外周面に露出せず、かつ、均一な塗装を実現するためには、傾斜角度θが約75°以上で、塗料供給流路10によって隔てられた毛材8の少なくとも先端部が接触していることが必要である。毛材8の根元間の距離W2と傾斜した毛材8によって二等辺三角形が描けるが、傾斜角度θが75°の場合、毛丈8はW2の約1.93倍の長さが必要となる。傾斜角度θが75°未満の毛材のみで刷毛9の端部が構成されると、毛材8が傾斜しすぎて、傾斜していない毛材8との被塗装面への接触角度に大きな差が出るため、均一な塗装ができず塗装ムラの原因となる。
【0025】
より好適には、毛材8の根元間の距離W2の2倍以上の毛丈があると良好な塗装が実現できる。また、
図8に示すように、毛材8は先端部だけでなく先端部近傍まで接触できるよう、毛材8の根元間の距離W2に対して2倍以上の長めの毛丈となっている。そのため、毛材8の先端部が接触した層が形成されるため、より均一な塗装ができる。例えば、傾斜角度θが約75°の場合、毛材8の根元間の距離W2を5mm、毛丈を11〜13mmとし、毛丈をW2の2.2〜2.6倍とすると、毛材8の先端部が接触した層が厚く形成され、良好な塗装ができる。
【0026】
図9は、本発明に係る塗装用ローラの他の実施例2を示す要部拡大断面図である。
図7に示した他の実施例1とは、貯留部材64が台形形状に形成されている点のみ異なる。貯留部材64が台形形状であるため、貯留部材64が傾斜面を有しており、貯留部材64間で形成される塗料吸排流路65は略V字形状となっている。このような構成としたことで、
図7に示した塗料吸排流路63のように軸受部材5に達するまで塗料吸排流路を大きく形成した場合よりも、塗料を吸排できる表面積を広げつつ、貯留部材が占める割合を多くすることができる。そのため、塗料の供給と排出をより素早く、そしてより多くの塗料を保持できるようになる。なお、本実施例では、貯留部材64の端部が互いに接触するよう配置しているが、貯留部材64間に間隔を設けて軸受部材5が露出するよう貯留部材64を配置しても良い。
【0027】
図10は、本発明に係る他の実施例3であり、塗装用ローラ23の内層部に形成された貯留部材6の外周面の全幅Wに、基部71と多数の毛材8からなる刷毛91を、塗料供給流路101を形成するよう螺旋状に等ピッチで巻回固定している。塗料供給流路101は塗装用ローラ23の軸方向に対して螺旋状に形成されているため、貯留部材6内に保持される塗料を刷毛91により均等に供給出来る。なお、刷毛91は、複数本用いて、貯留部材6の外周面にそれぞれを螺旋状に巻回して、複数条としても良い。その場合、塗料供給流路101も複数条形成される。
【0028】
図11は、本発明に係る他の実施例4であり、軸受体5の外周に貯留部材61を、塗料吸排流路631が形成されるよう螺旋状に巻回固定したものであり、塗料吸排流路631も螺旋状に形成される。この時、塗装部材112は、基部71を貯留部材61の外周面と一致するように巻回固定している。これにより、塗料吸排流路631内に保有される塗料も全幅Wに渡り、塗料供給流路101に、均一に流出させることができる。また、複数の貯留部材61をそれぞれ軸受体5に螺旋状に巻回することで、塗料吸排流路63を複数条形成してもよい。このように螺旋状の塗装部材112と塗料吸排流路631を組み合わせることで、塗料供給時間が短く、貯留部材61に保持された塗料を素早く排出することができる。
【0029】
図12の(a)と(b)は、本発明に係る他の実施例5である。貯留部材6の両端面間を直線状に結ぶように塗装部材113が等ピッチで固定されている。塗装部材113は、基部72に植毛された毛材8から成る刷毛92から成り、この刷毛92間に塗料供給流路102が平行に形成されている。なお、この時に貯留部材6を
図9に示すよう、螺旋状に形成しても良い。
【0030】
この発明は、塗料の塗装用ローラへの供給回数及び時間を減少できると共に、1回の塗料供給作業で塗装できる面積が大幅に増加するため、塗装作業効率が向上する。更に、塗装用ローラを軸部材に着脱自在に形成すれば、被塗装面Fを塗装する色を変える際、塗装色に応じて塗装用ローラを容易に交換できる。
【0031】
また、上記実施例では軸受部材の外周面に塗装部材を巻回固定した構成としているが、軸受部材の外周面に他の部材を巻回固定し、その外周面に塗装部材を巻回固定した構成としても本発明に含まれる。
【0032】
なお、上記本発明や他の実施例及び他の実施例間との組み合わせは、特に限定するものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて自在にさまざまな実施の形態をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、主に作業者が塗装具を持って、壁面等の被塗装面を塗装するもので、塗装用ローラを大幅に大型化することなく、塗料を多量に保持させることが可能となり、塗装面積の拡大につながることで、塗装作業の簡略化に繋がる塗装具として、広く好適に活用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 塗装具
2 軸部材
3 塗装用ローラ
4 把持部
5 軸受体
6 貯留部材
7 基部
8 毛材
9 刷毛
10 塗料供給流路
11 塗装部材
12 軸部材
F 被塗装面
S 刷毛部の先端部
NA 内層部
HY 表層部