(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記モジュール接続構造においては、固定部材による固定を解除すれば、第1モジュールから第2モジュールを取り外し、第2モジュールを交換することが可能となる。しかしながら、固定部材は、固定を解除した際に、モジュールから脱落する虞がある。固定部材は、一般的に小さい部品(締結ネジなど)からなるため、一旦モジュールから脱落すると紛失し易い。固定部材が紛失してしまうと、固定部材の予備を用意しなければならない。また、防爆エリアに設置される測定器などでは、紛失した固定部材がフィールドに何らかの影響を及ぼす場合があり、固定部材の紛失が許されないことがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モジュール間を固定する固定部材の脱落を防止できるモジュール接続構造及び測定器の提供を目的とする。また、モジュール間のコネクタ接続の信頼性を維持できるモジュール接続構造及び測定器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のモジュール接続構造は、第1モジュールと、前記第1モジュールにコネクタを介して接続される第2モジュールと、前記第1モジュールに前記第2モジュールを固定する固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記第1モジュールから前記第2モジュールを分離不能とする固定位置と、前記第1モジュールから前記第2モジュールを分離可能とする固定解除位置と、の間で移動可能に設けられ、前記第1モジュール及び前記第2モジュールの少なくともいずれか一方は、少なくとも前記固定解除位置に位置する前記固定部材を保持する固定部材保持手段を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、第1モジュールに第2モジュールを固定する固定部材が固定解除位置に移動したとき、固定部材保持手段によって、固定部材が第1モジュール及び第2モジュールの少なくともいずれか一方に保持される。このように、第1モジュール及び第2モジュールの少なくともいずれか一方に、固定部材が保持されることで、固定部材がモジュールから脱落する虞がなくなり、固定部材の紛失を防止できる。
【0007】
また、本発明においては、前記第1モジュールは、前記コネクタの接続方向に沿って延びる複数の嵌合溝を有し、前記第2モジュールは、前記コネクタの接続方向において、複数の前記嵌合溝に挿入される複数の嵌合突起を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、コネクタの接続方向と、嵌合溝に対する嵌合突起の挿入方向が同じになるため、複数の嵌合溝で複数の嵌合突起をガイドしながらコネクタを正確に接続することができる。
【0008】
また、本発明においては、前記第1モジュールは、前記固定部材保持手段として、前記嵌合溝の嵌合面に設けられた第1ネジ孔を有し、前記固定部材として、前記第1ネジ孔に螺合して、前記嵌合面から突出した前記固定位置と、前記嵌合面から突出しない前記固定解除位置と、の間で移動可能な可動式固定ピンを有し、前記第2モジュールは、前記嵌合突起に設けられ、前記固定位置に位置する前記可動式固定ピンが挿入される第1挿入孔を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、固定部材となる可動式固定ピンが、固定部材保持手段として嵌合溝に設けられた第1ネジ孔に螺合し、第1モジュールに保持される。可動式固定ピンが固定解除位置に移動したとき、可動式固定ピンは、嵌合溝の嵌合面から突出せず、第1モジュールの中に入り込むため、可動式固定ピンの脱落が防止される。また、可動式固定ピンが固定位置に移動したとき、可動式固定ピンは、第2モジュールの嵌合突起に設けられた第1挿入孔に挿入され、第1モジュール(嵌合溝)に対する第2モジュール(嵌合突起)の抜け止めとなる。これにより、コネクタ接続の信頼性を維持できる。
【0009】
また、本発明においては、前記第1挿入孔に設けられ、前記可動式固定ピンの前記第1ネジ孔からの脱落を規制する第1規制部を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、第1挿入孔には、可動式固定ピンの第1ネジ孔からの脱落を規制する第1規制部が設けられており、嵌合面から突出している可動式固定ピンの脱落を防止できる。
【0010】
また、本発明においては、前記第1モジュールは、前記第1ネジ孔が設けられた前記嵌合溝として、第1嵌合溝及び第2嵌合溝を有し、前記第2モジュールは、前記第1挿入孔が設けられた前記嵌合突起として、前記第1嵌合溝に挿入される第1嵌合突起及び前記第2嵌合溝に挿入される第2嵌合突起を有し、前記第1嵌合溝及び前記第1嵌合突起の嵌合幅と、前記第2嵌合溝及び前記第2嵌合突起の嵌合幅が、異なっている、という構成を採用する。
この構成によれば、第1嵌合溝と第2嵌合突起との嵌合、及び、第2嵌合溝と第1嵌合突起との嵌合ができなくなるため、第1モジュールに対する第2モジュールの取り付け向きが容易に分かり、第1モジュールに対し第2モジュールが逆向きで取り付けられることを防止でき、また、コネクタに過大な力が加わらず、コネクタの破損を防止できる。
【0011】
また、本発明においては、前記第1モジュールは、前記嵌合溝に設けられた第2ネジ孔を有し、前記第2モジュールは、前記嵌合突起に設けられた第2挿入孔を有し、前記固定部材として、前記第2挿入孔に挿入され、前記第2ネジ孔に螺合した前記固定位置と、前記第2ネジ孔に螺合しない前記固定解除位置と、の間で移動可能な締結ネジを有し、前記第2モジュールは、前記固定部材保持手段として、前記固定解除位置に位置する前記締結ネジの前記第2挿入孔からの脱落を規制する第2規制部と、を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、固定部材となる締結ネジが、第2モジュールの嵌合突起に設けられた第2挿入孔を通過して、第1モジュールの嵌合溝に設けられた第2ネジ孔に螺合することで、第1モジュールに対して第2モジュールが固定される。第2挿入孔には、固定部材保持手段として第2規制部が設けられ、締結ネジは、第2規制部によって第2モジュールに保持される。締結ネジが固定解除位置に移動したとき、締結ネジは、第2規制部によって第2挿入孔からの脱落が規制されるため、締結ネジの紛失を防止できる。
【0012】
また、本発明においては、前記嵌合溝に前記嵌合突起が挿入され、前記嵌合溝に前記嵌合突起が嵌合する途中で、前記コネクタによる接続が開始される寸法関係を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、嵌合突起が嵌合溝に挿入され、第2モジュールが第1モジュールに位置決めされた状態で、コネクタによる接続が開始されるため、コネクタを正確に接続することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記固定部材は、前記コネクタの接続方向と直交する直交方向において、前記固定位置と前記固定解除位置との間で移動可能に設けられている、という構成を採用する。
この構成によれば、例えば、第1モジュールと第2モジュールにフランジなどを設けて、コネクタの接続方向においてフランジを突き合わせて固定するなどの必要がなくなるため、モジュールを小型化することができる。
【0014】
また、本発明においては、前記第1モジュールと前記第2モジュールとの隙間をシールするシールリングを有する、という構成を採用する。
この構成によれば、第1モジュールと第2モジュールとの隙間がシールリングによりシールされ、モジュール間の隙間からモジュール内部への液体の浸入を阻止できるため、フィールドエリアでの使用に適した防水構造を構築できる。
【0015】
また、本発明の測定器においては、センサと接続された第1基板を有する第1モジュールと、前記第1基板にコネクタを介して接続される第2基板を備えると共に、前記第1モジュールに対し分離可能に接続された第2モジュールと、を有する測定器であって、前記第1モジュールと前記第2モジュールとのモジュール接続構造として、先に記載のモジュール接続構造を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、第1モジュール内の第1基板と第2モジュール内の第2基板を基板対基板接続用のコネクタで接続する測定器において、固定部材の脱落を防止できるため、例えば、防爆エリアの設置に適した測定器が得られる。また、モジュール間のコネクタ接続の信頼性を維持できる。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の態様によれば、モジュール間を固定する固定部材の脱落を防止できる。また、モジュール間のコネクタ接続の信頼性を維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態における測定器1の正面図である。
図2は、
図1に示す測定器1の左側面図である。
図3は、
図2に示す測定器1の底面図である。
図4は、
図3に示す測定器1の矢視X−X断面図である。
図5は、
図1に示す測定器1の分解斜視図である。
これらの図に示すように、測定器1は、第1モジュール10と第2モジュール20とを接続するモジュール接続構造2を備えている。
【0020】
第1モジュール10は、
図4に示すように、有底筒状の第1ハウジング11と、第1ハウジング11の底部13に接続された筒状のアダプタ12と、を備えている。また、第2モジュール20は、有頂筒状の第2ハウジング21と、第2ハウジング21の頂部に嵌合された有頂筒状のカバー22と、を備えている。
【0021】
第1ハウジング11、アダプタ12、第2ハウジング21、及びカバー22のそれぞれの中心軸Oは、共通している。なお、以下の説明では、この中心軸Oが延びる方向を軸方向、中心軸Oと直交する方向を径方向、中心軸O回りに周回する方向を周方向と称して説明する。
【0022】
第1ハウジング11は、例えば、金属材から形成されている。第1ハウジング11は、
図4に示すように、円板状の底部13と、底部13の周縁部から立ち上がった第1周壁部14と、底部13と第1周壁部14との間に形成された段差部15と、を有している。底部13の中心には、アダプタ12を取り付けるためのネジ孔13aが設けられている。段差部15は、底部13の上面においてネジ孔13aよりも径方向外側から立ち上がり、第1周壁部14の内壁面まで水平に延びている。この段差部15の上面には、第1基板30が固定されている。
【0023】
第1基板30には、基板対基板接続用(ボード・トゥ・ボード)のコネクタ31が接続されている。また、第1基板30には、センサ32が接続されている。センサ32は、第1モジュール10の図示しない取付対象物または被測定対象物の物理的パラメータを測定するもので、本実施形態では、取付対象物または被測定対象物の圧力を測定する圧力センサとなっている。なお、センサ32は、圧力の測定だけでなく、例えば、流量、温度、湿度、速度、加速度、回転数、振動などの各種の物理的パラメータを測定するセンサであってもよい。なお、センサ32は、第1基板30に実装される他、測定器1の外部に設置されていてもよく、その場合、外部に設置されたセンサ32からケーブルやコネクタ等を介して測定器1の端子部等(不図示)に接続され、端子部等から第1基板30に接続されていてもよい。
【0024】
アダプタ12は、例えば、金属材から形成されている。アダプタ12は、第1ハウジング11のネジ孔13aに螺合するネジ部12aを有する。また、アダプタ12は、中心軸Oに沿って軸方向に貫通する貫通孔12bを有し、貫通孔12bは、第1ハウジング11の内側に連通している。これにより、アダプタ12を介して第1ハウジング11の内側と外側とが均圧化され、センサ32は、第1ハウジング11の外側の圧力を測定することができる。また、圧力を測定する被測定流体を、アダプタ12を介してセンサ32に導入して、センサ32によって被測定流体の圧力を測定してもよい。
【0025】
第1ハウジング11の第1周壁部14は、
図5に示すように、第2ハウジング21の内側に挿入される縮径部14aと、縮径部14aの下側に連設され、縮径部14aよりも拡径した拡径部14bと、を有している。縮径部14aの外周面には、シールリング16(Oリング)を配置する環状溝が周方向に亘って設けられている。一方、拡径部14bの外周面には、軸方向に延びる嵌合溝17が、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0026】
次に、第2モジュール20について説明する。第2モジュール20の第2ハウジング21は、例えば、樹脂材から形成されている。第2ハウジング21は、
図4に示すように、第1ハウジング11の第1周壁部14に外嵌する第2周壁部23と、第2周壁部23の上端部に連設された天壁部24と、を有している。第2周壁部23の第1周壁部14との嵌合位置よりも上側には、僅かに縮径した縮径部23aが設けられており、樹脂材から形成されたカバー22の内側に内嵌している。
【0027】
縮径部23aの下端部には、環状溝23a1が周方向に亘って設けられている。環状溝23a1は、縮径部23aとカバー22との接触面積を適度に減らし、両者の接触圧を高め、密閉度を高めている。天壁部24の上面には、第2基板40が固定されている。第2基板40には、コネクタ31と対となる基板対基板接続用(ボード・トゥ・ボード)のコネクタ41が接続されている。コネクタ41は、天壁部24に設けられた貫通孔24aを介して、第1モジュール10のコネクタ31と接続されている。
【0028】
第2基板40には、電子ユニット42が接続されている。電子ユニット42は、電源ユニットや無線通信ユニットなどから構成されている。電源ユニットは、図示しないバッテリーを備え、センサ32や電子ユニット42の無線通信ユニットなどに電力を供給する。無線通信ユニットは、例えば、センサ32の測定結果(センサデータ)をカバー22の外側に送信するものであり、例えば、図示しない無線ネットワークを介したセンサデータの送信を行う遠距離通信用のアンテナを備える。
【0029】
また、無線通信ユニットは、非接触通信により測定器1を無線ネットワークに参入させるために必要なプロビジョニング(Provisioning)を行う近距離通信(NFC)用のアンテナを備えてもよい。ここで、NFC(Near Field Communication)とは、例えば通信する装置間の距離が、数十cm以下である場合に可能となる通信(非接触通信)を意味し、通信する装置の筐体が接触した状態で行われる通信も含まれる。このNFCでは、通信を行う一方の装置から他方の装置に非接触で給電を行うことが可能である。このようなNFCが可能な測定器1は、NFCが可能なスマートフォン、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ等の情報端末装置と通信可能である。
【0030】
図5に戻り、第2ハウジング21の第2周壁部23の下端部には、第1ハウジング11に設けられた複数の嵌合溝17に対し、軸方向に挿入される複数の嵌合突起25が、下方に突設されている。嵌合溝17に対する嵌合突起25の挿入方向と、
図4に示すコネクタ31,41の接続方向は、軸方向で共通している。複数の嵌合突起25は、複数の嵌合溝17と同数且つ同位相で設けられている。本実施形態では、嵌合突起25は、嵌合溝17と同じく4つ設けられ、周方向において90°間隔で設けられている(
図3参照)。
【0031】
図4に示すように、嵌合突起25と嵌合溝17の軸方向における嵌合長さS1は、コネクタ31,41の軸方向における嵌合長さS2よりも大きくなっている。このため、第1モジュール10に第2モジュール20を組み付ける際には、先ず、嵌合溝17に嵌合突起25が挿入され、嵌合溝17に嵌合突起25が嵌合する途中で、コネクタ31,41による接続が開始される寸法関係となる。ここで、嵌合長さとは、嵌合突起25と嵌合溝17で言えば、嵌合突起25と嵌合溝17とが軸方向でオーバーラップする長さであり、コネクタ31,41で言えば、コネクタ31にコネクタ41が軸方向で挿入される長さである。
【0032】
嵌合突起25は、
図3に示すように、第1の嵌合幅W1を有する第1嵌合突起25Aと、第2の嵌合幅W2を有する第2嵌合突起25Bと、第3の嵌合幅W3を有する2つの第3嵌合突起25Cと、を含んでいる。なお、嵌合溝17も同じように、第1の嵌合幅W1を有する第1嵌合溝17Aと、第2の嵌合幅W2を有する第2嵌合溝17Bと、第3の嵌合幅W3を有する2つの第3嵌合溝17Cと、を含んでいる。
【0033】
ここで、嵌合幅とは、嵌合突起25で言えば、嵌合突起25の周方向における一方の側端面から他方の側端面までの距離であり、嵌合溝17で言えば、嵌合溝17の周方向において対向する一方の側壁面から他方の側壁面までの距離である。第1の嵌合幅W1、第2の嵌合幅W2、及び第3の嵌合幅W3は、互いに異なっている。本実施形態では、第1の嵌合幅W1が最も大きく、次に第2の嵌合幅W2が大きく、最も小さいのは第3の嵌合幅W3となっている。
【0034】
このため、第1嵌合突起25Aは、第1嵌合溝17Aにしか挿入できない。したがって、第1モジュール10に対する第2モジュール20の取り付け向きが容易に分かり、第1モジュール10に対し第2モジュール20が左右逆向きで取り付けられることを防止できる。なお、第1嵌合突起25A及び第2嵌合突起25Bには、後述する可動式固定ピン50(固定部材)が挿入されるために、第3嵌合突起25Cよりも嵌合幅が大きくなっている。ちなみに、第3嵌合突起25Cには、後述する締結ネジ60(固定部材)が挿入される。
【0035】
第3嵌合突起25Cの外周面には、締結ネジ60の座り(接触)をよくする平面部25aが形成されている。また、第3嵌合突起25Cだけでなく、全ての嵌合突起25の外周面にも、平面部25aが形成されている。平面部25aを形成することで、後述する可動式固定ピン50や締結ネジ60を挿入する孔を形成する孔加工が容易になる。ちなみに、第3嵌合突起25Cの嵌合幅を、第1嵌合突起25Aまたは第2嵌合突起25Bと共通にしても、第1嵌合突起25Aと第2嵌合突起25Bとの嵌合幅が異なっていれば、上述した作用効果(取り付け間違い防止)を得ることができる。
【0036】
なお、
図1及び
図2に示すように、第2ハウジング21及びカバー22にも、嵌合突起21a及び嵌合溝22aと、嵌合突起21b及び嵌合溝22bとが設けられている。これら嵌合突起21a及び嵌合溝22a、嵌合突起21b及び嵌合溝22bについても、互いの嵌合幅が異なっており、第2ハウジング21に対するカバー22の取り付け向きが容易に分かるようになっている。
【0037】
図4に示すように、第1モジュール10は、固定部材保持手段100として、嵌合溝17の嵌合面17aに設けられた第1ネジ孔18Aを有する。第1ネジ孔18Aには、可動式固定ピン50(固定部材)が螺合している。なお、嵌合面17aとは、嵌合溝17の周方向において対向する一方の側壁面と他方の側壁面との間を接続する底壁面をいう。
図6は、
図4に示す測定器1の可動式固定ピン50近傍の構成を示す拡大図である。なお、
図6では、
図4と異なり、左右両側に可動式固定ピン50を図示している。
【0038】
可動式固定ピン50は、
図6の紙面右側に示すように、第1モジュール10から第2モジュール20を分離不能とする固定位置と、
図6の紙面左側に示すように、第1モジュール10から第2モジュール20を分離可能とする固定解除位置と、の間で移動可能に設けられている。このように可動式固定ピン50は、中心軸Oが延びる軸方向と直交する径方向において、固定位置と固定解除位置との間で移動可能に設けられている。
【0039】
可動式固定ピン50は、雄ネジ部51と、雄ネジ部51よりも拡径したヘッド部52と、を有する。一方、第1モジュール10に設けられた第1ネジ孔18Aは、雄ネジ部51が螺合する雌ネジ部18aと、ヘッド部52が収容される座ぐり18bと、を有する。径方向において、座ぐり18bの深さは、ヘッド部52の長さよりも大きい。このため、可動式固定ピン50は、嵌合面17aから突出した固定位置(
図6の紙面右側)と、嵌合面17aから突出しない(嵌合面17aよりも径方向内側に退避した(埋め込まれた))固定解除位置(
図6の紙面左側)と、の間で移動可能とされている。
【0040】
第2モジュール20は、嵌合突起25に設けられ、
図6の紙面右側に示す固定位置に位置する可動式固定ピン50が挿入される第1挿入孔26Aと、第1挿入孔26Aに設けられ、可動式固定ピン50の第1ネジ孔18Aからの脱落を規制する第1規制部27Aと、を有する。第1規制部27Aは、例えば、樹脂材からなる第2ハウジング21の嵌合突起25に嵌合した筒状の金属材から形成されている。
【0041】
第1規制部27Aは、可動式固定ピン50のヘッド部52の外径以上の内径を有する挿入筒部27A1と、挿入筒部27A1の径方向外側の端部に配置され、ヘッド部52の外径未満の内径を有する絞り部27A2と、を有している。絞り部27A2は、径方向でヘッド部52と対向し、可動式固定ピン50の径方向外側への移動を規制する。これにより、嵌合溝17から突出した固定位置においても第1ネジ孔18Aに対する可動式固定ピン50の螺合状態が確保され、第1モジュール10からの可動式固定ピン50の脱落を防止できる。
【0042】
図4に戻り、第2モジュール20は、可動式固定ピン50とは別に、締結ネジ60(固定部材)によっても第1モジュール10に固定されている。締結ネジ60は、第1モジュール10の嵌合溝17に設けられた第2ネジ孔18Bに螺合している。
図7は、
図4に示す測定器1の締結ネジ60近傍の構成を示す拡大図である。なお、
図7では、
図4と異なり、左右両側に締結ネジ60を図示している。
【0043】
締結ネジ60は、
図7の紙面右側に示すように、第1モジュール10から第2モジュール20を分離不能とする固定位置と、
図7の紙面左側に示すように、第1モジュール10から第2モジュール20を分離可能とする固定解除位置と、の間で移動可能に設けられている。このように締結ネジ60は、中心軸Oが延びる軸方向と直交する径方向において、固定位置と固定解除位置との間で移動可能に設けられている。
【0044】
締結ネジ60は、雄ネジ部61と、雄ネジ部61よりも拡径したヘッド部62と、雄ネジ部61よりも縮径したネック部63と、を有する。ネック部63は、雄ネジ部61とヘッド部62との間に設けられ、締結ネジ60にくびれを形成している。第2モジュール20は、嵌合突起25に設けられた第2挿入孔26Bと、固定解除位置に位置する締結ネジ60の第2挿入孔26Bからの脱落を規制する第2規制部27B(固定部材保持手段100)と、を有する。第2規制部27Bは、例えば、樹脂材からなる第2ハウジング21の嵌合突起25に嵌合した筒状の金属材から形成されている。
【0045】
第2規制部27Bは、締結ネジ60の雄ネジ部61の外径以上の内径を有する挿入筒部27B1と、挿入筒部27B1の径方向外側の端部に配置され、雄ネジ部61の外径未満且つネック部63の外径以上の内径を有する絞り部27B2と、を有している。径方向において、挿入筒部27B1の長さは、雄ネジ部61の長さよりも大きい。このため、締結ネジ60は、第2ネジ孔18Bに螺合した固定位置(
図7の紙面右側)と、第2ネジ孔18Bに対する螺合を解除した固定解除位置(
図7の紙面左側)と、の間で移動可能とされている。
【0046】
絞り部27B2は、径方向で雄ネジ部61と対向し、締結ネジ60の径方向外側への移動を規制する。また、絞り部27B2は、径方向でヘッド部62とも対向するため、締結ネジ60の径方向内側への移動も規制できる。これにより、
図7の紙面左側に示す第2ネジ孔18Bに対する螺合を解除した固定解除位置においても、第2挿入孔26Bに対して締結ネジ60が保持され、第2モジュール20からの締結ネジ60の脱落を防止できる。
【0047】
図8及び
図9は、本発明の一実施形態に係る第1モジュール10から第2モジュール20を取り外す様子を示す説明図である。
第2モジュール20を取り外す場合は、先ず、
図8に示すように、第1モジュール10に第2モジュール20を固定する固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)を固定位置から固定解除位置に移動させる。
【0048】
可動式固定ピン50を固定解除位置に移動させるためには、ヘッド部52のすり割り(マイナス溝、なおプラス溝であってもよい)に第1挿入孔26Aを介してネジ回し工具を差し込み、可動式固定ピン50を回転させて、嵌合溝17の嵌合面17aよりも径方向内側に埋め込むように、可動式固定ピン50を径方向内側に移動させる。これにより、可動式固定ピン50のヘッド部52が、嵌合突起25に設けられた第1挿入孔26Aから抜け出る。すなわち、可動式固定ピン50は、第1挿入孔26Aと軸方向で対向しない位置関係となる。
【0049】
また、締結ネジ60を固定解除位置に移動させるためには、ヘッド部62のすり割り(プラス溝、なおマイナス溝であってもよい)にネジ回し工具を差し込み、締結ネジ60を回転させて、締結ネジ60を径方向外側に移動させる。これにより、締結ネジ60の雄ネジ部61が、第1モジュール10に設けられた第2ネジ孔18Bから抜け出る。すなわち、第2ネジ孔18Bに対する締結ネジ60の螺合が解除される。
【0050】
次に、
図9に示すように、第1モジュール10に対して第2モジュール20を軸方向に引き抜く。これにより、コネクタ31,41間の接続を解除すると共に、第1モジュール10から第2モジュール20を取り外すことができる。ここで、固定解除位置に移動した可動式固定ピン50は、第1ネジ孔18A(固定部材保持手段100)によって、第1モジュール10に保持されている。また、固定解除位置に移動した締結ネジ60は、第2規制部27B(固定部材保持手段100)によって、第2モジュール20に保持されている。
【0051】
すなわち、可動式固定ピン50は、第1モジュール10に組み込まれる形となり、第1モジュール10からの脱落が防止される。また、締結ネジ60は、第2モジュール20に組み込まれる形となり、第2モジュール20からの脱落が防止される。したがって、第1モジュール10から可動式固定ピン50が脱落したり、第2モジュール20から締結ネジ60が脱落する虞がなくなり、固定部材の紛失を防止できる。
【0052】
なお、第1モジュール10に第2モジュール20を取り付ける場合は、逆の手順を踏むこととなる。可動式固定ピン50が嵌合突起25の第1挿入孔26Aに挿入されると、第1モジュール10に対し第2モジュール20が軸方向及び周方向において位置決めされる。また、締結ネジ60が第1モジュール10の第2ネジ孔18Bに螺合すると、第1モジュール10に対し第2モジュール20が径方向において位置決めされると共に、2つの可動式固定ピン50を通る軸回りの第1モジュール10に対する第2モジュール20の振動(ガタツキ)が防止される。このため、コネクタ接続の信頼性を維持することができる。
【0053】
このように、上述の本実施形態のモジュール接続構造2によれば、第1モジュール10と、第1モジュール10にコネクタ31,41を介して接続される第2モジュール20と、第1モジュール10に第2モジュール20を固定する固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)と、を有し、固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)は、第1モジュール10から第2モジュール20を分離不能とする固定位置と、第1モジュール10から第2モジュール20を分離可能とする固定解除位置と、の間で移動可能に設けられ、第1モジュール10及び第2モジュール20は、少なくとも固定解除位置に位置する固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)を保持する固定部材保持手段100を有する、という構成を採用することによって、第1モジュール10と第2モジュール20とを固定する固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)の脱落を防止できる。また、第1モジュール10と第2モジュール20との間のコネクタ接続の信頼性(具体的には接続強度)を維持できる。
【0054】
また、本実施形態においては、
図5に示すように、第1モジュール10は、コネクタ31,41の接続方向(軸方向)に沿って延びる複数の嵌合溝17を有し、第2モジュール20は、コネクタ31,41の接続方向において、複数の嵌合溝17に挿入される複数の嵌合突起25を有している。
この構成によれば、コネクタ31,41の接続方向と、嵌合溝17に対する嵌合突起25の挿入方向が同じになるため、複数の嵌合溝17で複数の嵌合突起25をガイドしながらコネクタ31,41を正確に接続することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、第1モジュール10は、固定部材保持手段100として、嵌合溝17の嵌合面17aに設けられた第1ネジ孔18Aを有し、固定部材として、第1ネジ孔18Aに螺合して、嵌合面17aから突出した固定位置と、嵌合面17aから突出しない固定解除位置と、の間で移動可能な可動式固定ピン50を有し、第2モジュール20は、嵌合突起25に設けられ、固定位置に位置する可動式固定ピン50が挿入される第1挿入孔26Aを有している。
この構成によれば、固定部材となる可動式固定ピン50が、固定部材保持手段100として嵌合溝17に設けられた第1ネジ孔18Aに螺合し、第1モジュール10に保持される。
図8に示すように、可動式固定ピン50が固定解除位置に移動したとき、可動式固定ピン50は、嵌合溝17の内側に退避し、第1モジュール10の中に入り込むため、可動式固定ピン50の脱落が防止される。また、
図4に示すように、可動式固定ピン50が固定位置に移動したとき、可動式固定ピン50は、第2モジュール20の嵌合突起25に設けられた第1挿入孔26Aに挿入され、第1モジュール10(嵌合溝17)に対する第2モジュール20(嵌合突起25)の抜け止めとなる。これにより、コネクタ接続の信頼性を維持できる。
【0056】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、第1挿入孔26Aに設けられ、可動式固定ピン50の第1ネジ孔18Aからの脱落を規制する第1規制部27Aを有している。
この構成によれば、第1挿入孔26Aには、可動式固定ピン50の第1ネジ孔18Aからの脱落を規制する第1規制部27Aが設けられており、嵌合面17aから突出している可動式固定ピン50の脱落を防止できる。
【0057】
また、本実施形態においては、第1モジュール10は、第1ネジ孔18Aが設けられた嵌合溝17として、
図3に示すように、第1嵌合溝17A及び第2嵌合溝17Bを有し、第2モジュール20は、第1挿入孔26Aが設けられた嵌合突起25として、第1嵌合溝17Aに挿入される第1嵌合突起25A及び第2嵌合溝17Bに挿入される第2嵌合突起25Bを有し、第1嵌合溝17A及び第1嵌合突起25Aの嵌合幅W1と、第2嵌合溝17B及び第2嵌合突起25Bの嵌合幅W2が、異なっている。
この構成によれば、第1嵌合溝17Aと第2嵌合突起25Bとの嵌合、及び、第2嵌合溝17Bと第1嵌合突起25Aとの嵌合ができなくなるため、第1モジュール10に対する第2モジュール20の取り付け向きが容易に分かり、第1モジュール10に対し第2モジュール20が逆向きで取り付けられることを防止でき、コネクタ31,41に過大な力が加わらず、コネクタ31,41の破損を防止できる。
【0058】
また、本実施形態においては、第1モジュール10は、
図4に示すように、嵌合溝17に設けられた第2ネジ孔18Bを有し、第2モジュール20は、嵌合突起25に設けられた第2挿入孔26Bを有し、固定部材として、第2挿入孔26Bに挿入され、第2ネジ孔18Bに螺合した固定位置と、第2ネジ孔18Bに螺合しない固定解除位置と、の間で移動可能な締結ネジ60を有し、第2モジュール20は、固定部材保持手段100として、
図8に示すように、固定解除位置に位置する締結ネジ60の第2挿入孔26Bからの脱落を規制する第2規制部27Bと、を有している。
この構成によれば、固定部材となる締結ネジ60が、
図4に示すように、第2モジュール20の嵌合突起25に設けられた第2挿入孔26Bを通過して、第1モジュール10の嵌合溝17に設けられた第2ネジ孔18Bに螺合することで、第1モジュール10に対して第2モジュール20が固定される。第2挿入孔26Bには、固定部材保持手段100として第2規制部27Bが設けられ、締結ネジ60は、第2規制部27Bによって第2モジュール20に保持される。締結ネジ60が固定解除位置に移動したとき、
図8に示すように、締結ネジ60は、第2規制部27Bによって第2挿入孔26Bからの脱落が規制されるため、締結ネジ60の紛失を防止できる。
【0059】
また、本実施形態においては、嵌合溝17に嵌合突起25が挿入され、嵌合溝17に嵌合突起25が嵌合する途中で、コネクタ31,41による接続が開始される寸法関係を有している。
この構成によれば、嵌合突起25が嵌合溝17に挿入され、第2モジュール20が第1モジュール10に位置決めされた状態でコネクタ31,41による接続が開始されるため、コネクタ31,41を正確に接続することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)は、コネクタ31,41の接続方向と直交する直交方向(径方向)において、固定位置と固定解除位置との間で移動可能に設けられている。
この構成によれば、例えば、第1モジュール10と第2モジュール20に径方向に広がるフランジなどを設けて、コネクタ31,41の接続方向(軸方向)においてフランジを突き合わせて固定するなどの必要がなくなるため、径方向におけるサイズを小型化することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、
図4及び
図5に示すように、第1モジュール10と第2モジュール20との隙間をシールするシールリング16を有している。
この構成によれば、第1モジュール10と第2モジュール20との隙間がシールリング16によりシールされ、第1モジュール10と第2モジュール20の隙間から測定器1の内部への液体の浸入を阻止できるため、フィールドエリアでの使用に適した防水構造を構築できる。
【0062】
また、本実施形態の測定器1においては、センサ32と接続された第1基板30を有する第1モジュール10と、第1基板30にコネクタ31,41を介して接続される第2基板40を備えると共に、第1モジュール10に対し分離可能に接続された第2モジュール20と、を有する測定器1であって、第1モジュール10と第2モジュール20とのモジュール接続構造として、先に記載のモジュール接続構造2を有している。
この構成によれば、第1モジュール10内の第1基板30と第2モジュール20内の第2基板40を基板対基板接続用のコネクタ31,41で接続する測定器1において、固定部材(可動式固定ピン50、締結ネジ60)の脱落を防止できるため、例えば、防爆エリアの設置に適した測定器1が得られる。また、第1モジュール10と第2モジュール20のコネクタ接続の信頼性を維持できる。
【0063】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0064】
図10は、本発明の一実施形態における測定器1の変形例を示す正面図である。
図11は、
図10に示す測定器1が備える第2モジュール20の底面図である。なお、
図10及び
図11の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明は簡略若しくは省略する。
図10に示すように、第2モジュール20は、複数の嵌合突起25の間を接続する接続壁29を有してもよい。接続壁29は、第1モジュール10の径方向外側を取り囲むように、環状に形成されている(
図11参照)。なお、接続壁29は、複数の嵌合突起25の間に介在しているとも言える。
【0065】
この変形例に係る嵌合突起25は、接続壁29から径方向内側に窪む(突出する)ように形成されている。各嵌合突起25には、平面部25aに代わり、窪み部25bが形成されている。窪み部25bには、上述した筒状の第1規制部27A(第1挿入孔26A)ないし第2規制部27B(第2挿入孔26B)が形成されている。この構成によっても、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0066】
また、例えば、上記実施形態では、固定部材として、可動式固定ピン50及び締結ネジ60を有する構成について説明したが、固定部材は、可動式固定ピン50及び締結ネジ60のいずれか一方のみであってもよい。すなわち、固定部材が可動式固定ピン50のみの場合、固定部材保持手段100(第1ネジ孔18A)は、第1モジュール10のみに設けられる。また、固定部材が締結ネジ60のみの場合、固定部材保持手段100(第2規制部27B)は、第2モジュール20のみに設けられる。また、固定部材の数及び配置は、任意でよく、上記実施形態(4つ及び90°間隔)に限定されない。
【0067】
また、例えば、上記実施形態では、モジュール接続構造2を、防爆エリアの設置される測定器1に適用した構成について説明したが、モジュール接続構造2は、防爆エリア以外の場所に設置される測定器1に対しても適用可能なことは言うまでもない。また、モジュール接続構造2は、測定器1に限らず、第1モジュール10と第2モジュール20がコネクタ31,41を介して接続される電子機器全般に適用することができる。また、コネクタ31,41も基板対基板用のコネクタに限定されるものではなく、電子部品間を接続するコネクタであってもよい。