(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の切削加工では、高速化、高送り化及び深切り込み化がより顕著となり、従来よりも工具の耐摩耗性及び耐欠損性を向上させることが求められている。特に、近年、鋼の高速切削等、被覆切削工具に負荷が作用するような切削加工が増えており、かかる過酷な切削条件下において、従来の工具では被覆層の粒子の脱落を起因としたクレータ摩耗及び欠損が生じる。これが引き金となって、工具寿命を長くできないという問題がある。
【0006】
また、特許文献1は、(006)面に配向した酸化アルミニウム層を有することで、クレータ摩耗を抑制する効果が得られる。一方で、当該酸化アルミニウム層は、硬度の低い被削材の加工においては、逃げ面の摩耗が早く進行し、工具寿命が不十分である場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、優れた耐摩耗性及び耐欠損性を有することによって工具寿命を延長することができる被覆切削工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、所定の下部層と、α型Al
2O
3を含む中間層と、TiCNを含有する上部層とを含む被覆層を備え、特に、中間層が、所定範囲内の後述のRSAを有すると共に、所定範囲内のクルトシス粗さ(S
ku)及び所定範囲内のスキューネス粗さ(S
sk)を有し、更に、上部層が、所定範囲内の後述のRSBを有する被覆切削工具を開発した。そして、このような被覆切削工具は、粒子の脱落を抑制することにより耐摩耗性を向上させることができると共に耐欠損性も向上させることができ、その結果、工具寿命を延長することが可能になるという知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
基材と、該基材の表面に形成された被覆層とを備える被覆切削工具であって、
前記被覆層が、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を1層以上有する下部層と、α型Al
2O
3を含む中間層と、TiCNを含有する上部層とを含み、
前記各層が、前記基材側から前記被覆層の表面側に向かって、この順序で積層されており、
前記下部層が、2.0μm以上12.0μm以下の平均厚さを有し、
前記中間層が、3.0μm以上10.0μm以下の平均厚さを有し、
前記中間層の前記上部層側の界面から前記基材側に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、前記基材と前記下部層との界面と平行な第1の断面が、下記式(1)で表される条件を満たし、
RSA≧40 (1)
(式中、RSAは、前記第1の断面において、方位差Aが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Aが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Aは、前記第1の断面の法線と前記中間層におけるα型Al
2O
3の粒子の(001)面の法線とがなす角度(単位:度)である。)
前記中間層の上部層側の界面が、3.0超のクルトシス粗さ(S
ku)を有し、
前記中間層の上部層側の界面が、0未満のスキューネス粗さ(S
sk)を有し、
前記上部層が、1.0μm以上9.0μm以下の平均厚さを有し、
前記上部層の前記中間層側の界面からその反対側の界面に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、前記基材と前記下部層との界面と平行な第2の断面が、下記式(2)で表される条件を満たす、被覆切削工具。
RSB≧40 (2)
(式中、RSBは、前記第2の断面において、方位差Bが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Bが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Bは、前記第2の断面の法線と前記上部層におけるTiCNの粒子の(111)面の法線とがなす角度(単位:度)である。)
[2]
前記クルトシス粗さ(S
ku)が、3.0超10.0以下である、[1]に記載の被覆切削工具。
[3]
前記スキューネス粗さ(S
sk)が、−3.0以上0未満である、[1]又は[2]に記載の被覆切削工具。
[4]
前記第1の断面が、下記式(1−1)で表される条件を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載の被覆切削工具。
RSA≧50 (1−1)
(式中、RSAは、式(1)と同義である。)
[5]
前記第2の断面が、下記式(2−1)で表される条件を満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載の被覆切削工具。
RSB≧50 (2−1)
(式中、RSBは、式(2)と同義である。)
[6]
前記被覆層全体の平均厚さが、8.0μm以上30.0μm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の被覆切削工具。
[7]
前記Ti化合物層は、TiN層、TiC層、TiCN層、TiCNO層、TiCO層、TiON層及びTiB
2層からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
[8]
前記基材は、超硬合金、サーメット、セラミックス又は立方晶窒化硼素焼結体である、[1]〜[7]のいずれかに記載の被覆切削工具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた耐摩耗性及び耐欠損性を有することによって工具寿命を延長することができる被覆切削工具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
[切削工具]
本実施形態の被覆切削工具は、基材と、該基材の表面に形成された被覆層とを備える。
本実施形態の被覆切削工具における被覆層は、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を1層以上有する下部層と、α型Al
2O
3を含む中間層と、TiCNを含有する上部層とを含み、各層が、前記基材側から前記被覆層の表面側に向かって、この順序で積層されている。
当該下部層は、2.0μm以上12.0μm以下の平均厚さを有する。
当該中間層は、3.0μm以上10.0μm以下の平均厚さを有する。
当該中間層の上部層側の界面から基材側に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、基材と下部層との界面と平行な第1の断面が、下記式(1)で表される条件を満たす。
RSA≧40 (1)
(式中、RSAは、前記第1の断面において、方位差Aが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Aが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Aは、前記第1の断面の法線と前記中間層におけるα型Al
2O
3の粒子の(001)面の法線とがなす角度(単位:度)である。)
当該中間層の上部層側の界面は、3.0超のクルトシス粗さ(S
ku)を有し、且つ、0未満のスキューネス粗さ(S
sk)を有する。
当該上部層は、1.0μm以上9.0μm以下の平均厚さを有する。
当該上部層の当該中間層側の界面からその反対側の界面に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、当該基材と当該下部層との界面と平行な第2の断面が、下記式(2)で表される条件を満たす。
RSB≧40 (2)
(式中、RSBは、前記第2の断面において、方位差Bが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Bが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Bは、前記第2の断面の法線と前記上部層におけるTiCNの粒子の(111)面の法線とがなす角度(単位:度)である。)
以上の構成を備えることで、本実施形態の被覆切削工具は、優れた耐摩耗性及び耐欠損性を有することによって工具寿命を延長することができる。
【0014】
本実施形態の被覆切削工具の耐摩耗性及び耐欠損性が向上する要因は、以下のように考えられる。ただし、本発明は、以下の要因により何ら限定されない。
上述のRSAが所定範囲にあり、(001)に配向したα型Al
2O
3を含む中間層を備えることで、α型Al
2O
3粒子の脱落が起こりにくく、耐摩耗性に優れる。しかしながら、軟らかい被削材を高速で加工する条件下では、逃げ面摩耗の進行が早く、これが引き金となり、工具寿命が延長できない場合があった。そこで、中間層よりも表層側に、上述のRSBが所定範囲にあり、(111)面に配向したTiCNを含む上部層を備えることで、当該上部層の硬度が高いので、逃げ面の摩耗を抑制することができると考えられる。しかしながら、当該上部層を形成した場合であっても、軟らかい被削材の高速加工においては、中間層と上部層の密着性が不十分な場合があり、当該上部層による逃げ面の摩耗を抑制する効果が持続しない場合があった。そこで、本実施形態においては、α型Al
2O
3を含む中間層の上部層側の界面が、3.0超のクルトシス粗さ(S
ku)を有し、且つ、0未満のスキューネス粗さ(S
sk)を有することで、密着性を向上させ、この結果、(111)面に配向したTiCN層の効果を延長させ、工具寿命を延長させることができたと考えられる。
【0015】
図1は、本実施形態の被覆切削工具の一例を示す断面模式図である。被覆切削工具6は、基材1と、基材1の表面に形成された被覆層5とを備え、被覆層5には、下部層2、中間層3、及び上部層4がこの順序で上方向に積層されている。
【0016】
本実施形態の被覆切削工具は、基材とその基材の表面に形成された被覆層とを備える。被覆切削工具の種類として、具体的には、フライス加工用若しくは旋削加工用刃先交換型切削インサート、ドリル及びエンドミルを挙げることができる。
【0017】
本実施形態における基材は、被覆切削工具の基材として用いられ得るものであれば、特に限定されない。そのような基材として、例えば、超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体及び高速度鋼を挙げることができる。それらの中でも、基材が、超硬合金、サーメット、セラミックス及び立方晶窒化硼素焼結体のいずれかであると、耐摩耗性及び耐欠損性に更に優れるので好ましく、同様の観点から、基材が超硬合金であるとより好ましい。
【0018】
なお、基材は、その表面が改質されたものであってもよい。例えば、基材が超硬合金からなるものである場合、その表面に脱β層が形成されてもよい。また、基材がサーメットからなるものである場合、その表面に硬化層が形成されてもよい。これらのように基材の表面が改質されていても、本発明の作用効果は奏される。
【0019】
本実施形態における被覆層は、その平均厚さが、8.0μm以上30.0μm以下である。平均厚さが8.0μm以上であると、耐摩耗性が向上し、30.0μm以下であると、被覆層の基材との密着性及び耐欠損性が向上する。同様の観点から、被覆層の平均厚さは、10.0μm以上27.0μm以下であるとより好ましく、12.7μm以上24.5μm以下であることが更に好ましい。なお、本実施形態の被覆切削工具における各層及び被覆層全体の平均厚さは、各層又は被覆層全体における3箇所以上の断面から、各層の厚さ又は被覆層全体の厚さを測定して、その相加平均値を計算することで求めることができる。
【0020】
<下部層>
本実施形態の下部層は、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を1層以上有する。被覆切削工具が、基材とα型酸化アルミニウム(α型Al
2O
3)を含有する中間層との間に、下部層を備えると、耐摩耗性及び密着性が向上する。
【0021】
Ti化合物層としては、例えば、TiCからなるTiC層、TiNからなるTiN層、TiCNからなるTiCN層、TiCOからなるTiCO層、TiCNOからなるTiCNO層、TiONからなるTiON層、及びTiB
2からなるTiB
2層が挙げられる。
【0022】
下部層は、1層で構成されていてもよく、2以上の層(例えば、2層又は3層)で構成されてもよいが、2以上の層で構成されていることが好ましく、2層又は3層で構成されていることがより好ましく、3層で構成されていることが更に好ましい。下部層は、耐摩耗性及び密着性がより一層向上する観点から、TiN層、TiC層、TiCN層、TiCNO層、TiCO層、TiON層、及びTiB
2層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含むことが好ましく、TiN層、TiC層、TiCN層、TiCNO層、及びTiCO層からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含むことがより好ましく、下部層の少なくとも1層がTiCN層であると、耐摩耗性が一層向上するため好ましい。下部層が3層で構成されている場合には、基材の表面に、TiC層又はTiN層を第1層として形成し、第1層の表面に、TiCN層を第2層として形成し、第2層の表面に、TiCNO層又はTiCO層を第3層として形成してもよい。それらの中では、下部層が基材の表面にTiN層を第1層として形成し、第1層の表面に、TiCN層を第2層として形成し、第2層の表面に、TiCNO層を第3層として形成してもよい。
【0023】
本実施形態の下部層の全体の平均厚さは、2.0μm以上12.0μm以下であることが好ましい。平均厚さが2.0μm以上であることにより、耐摩耗性が向上する。一方、下部層の平均厚さが12.0μm以下であることにより、被覆層の剥離が抑制されることに主に起因して耐欠損性が向上する。同様の観点から、下部層の平均厚さは、3.0μm以上12.0μm以下であることがより好ましく、4.0μm以上12.0μm以下であることが更に好ましく、4.5μm以上11.5μm以下であることが特に好ましい。
【0024】
TiC層又はTiN層の平均厚さは、耐摩耗性及び耐欠損性を一層向上する観点から、0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましい。同様の観点から、平均厚さは、0.10μm以上0.50μm以下であることがより好ましく、0.15μm以上0.30μm以下であることが更に好ましい。
【0025】
TiCN層の平均厚さは、耐摩耗性及び耐欠損性を一層向上する観点から、1.5μm以上11.8μm以下であることが好ましい。同様の観点から、平均厚さは、2.5μm以上11.5μm以下であることがより好ましく、3.5μm以上11.0μm以下であることが更に好ましい。
【0026】
TiCNO層又はTiCO層の平均厚さは、耐摩耗性及び耐欠損性を一層向上する観点から、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。同様の観点から、平均厚さは、0.2μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
【0027】
Ti化合物層は、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とのTi化合物からなる層であるが、下部層による作用効果を奏する限りにおいて、上記元素以外の成分を微量含んでもよい。
【0028】
<中間層>
本実施形態における中間層は、α型Al
2O
3を含む。中間層は、α型酸化アルミニウム(α型Al
2O
3)からなることが好ましいが、本発明の作用効果を奏する限りにおいて、α型酸化アルミニウム(α型Al
2O
3)以外の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0029】
(RSA)
本実施形態における中間層は、上部層側の界面から前記基材側に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、前記基材と前記下部層との界面と平行な第1の断面が、下記式(1)で表される条件を満たす。
RSA≧40 (1)
式中、RSAは、前記第1の断面において、方位差Aが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Aが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Aは、前記第1の断面の法線と前記中間層におけるα型Al
2O
3の粒子の(001)面の法線とがなす角度(単位:度)である。
【0030】
本実施形態の被覆切削工具は、RSAが40面積%以上であることにより、中間層の耐熱性が向上することに主に起因して、α型Al
2O
3粒子の脱落を防止し、耐クレータ摩耗性に優れるので、耐摩耗性を向上できる。同様の観点から、RSAは、50面積%以上であることが好ましく、60面積%以上であることがより好ましい。RSAの上限は特に限定されないが、例えば80面積%以下である。なお、RSAは、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0031】
(クルトシス粗さ(S
ku))
本実施形態における、中間層の上部層側の界面は、3.0超のクルトシス粗さ(S
ku)を有する。ここで、クルトシス粗さ(S
KU)は、ISO 25178に規定され、二乗平均平方根高さSqの四乗によって無次元化した基準面において、Z(x、y)の四乗平均を意味する。当該クルトシス粗さ(S
KU)は、表面の鋭さの尺度である尖度(せんど)を意味し、高さ分布のとがり(鋭さ)を表す指標である。中間層の表面(上部層側)のクルトシス粗さ(S
ku)が、3.0超であることは、表面が鋭い凹凸を有する組織であることを示し、この結果、アンカー効果が高まるため、上部層との密着性が向上すると推測される。また、後述の上部層のTiCNは、平坦部よりも凹凸の箇所に付着されやすいため、中間層と上部層との界面における空孔が減少することにより、上部層との密着性が向上すると推測される。
【0032】
中間層の上部層側の界面のクルトシス粗さ(S
ku)は、同様の観点から、3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、4.5以上であることが更に好ましい。当該クルトシス粗さ(S
ku)の上限は、特に限定されないが、例えば、15.0以下であることが好ましく、11.6以下であることがより好ましい。なお、クルトシス粗さ(S
ku)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0033】
中間層の上部層側の界面のクルトシス粗さ(S
ku)は、例えば、後述する粗さ制御工程において、AlCl
3の原料組成を成膜工程時よりも減らすことで、クルトシス粗さ(S
ku)が大きくなり上述の範囲とすることができる。
【0034】
(スキューネス粗さ(S
sk))
中間層の上部層側の界面は、0未満のスキューネス粗さ(S
sk)を有する。スキューネス粗さ(S
sk)は、ISO 25178に規定され、二乗平均平方根高さSqの三乗によって無次元化した基準面において、Z(x、y)の三乗平均を意味する。当該スキューネス粗さ(S
sk)は、歪度を意味し、平均面を中心とした山部と谷部の対称性を表す指標である。スキューネス粗さ(S
sk)が0より小さいと、中間層の表面の粗さの平均線に対して上側に偏っていることを示す。中間層の表面の粗さの平均線とは中間層と上部層との界面の粗さの平均線と同義であり、つまりは中間層の表面の粗さの平均線に対して上側に偏っていることとは中間層と上部層との界面の粗さの平均線においてα型Al
2O
3の割合がTiCNの割合よりも多いことを示す。一般に破壊靱性値はTiCNよりもα型Al
2O
3が小さく、同じ太さの結晶であればα型Al
2O
3のほうがTiCNよりも割れやすい。そこでα型Al
2O
3層とTiCN層との界面の平均線において、割れやすいα型Al
2O
3の割合をTiCNよりも多くすることによってα型Al
2O
3層の割れによる上部層の剥離を抑制することができる。このように割れやすいα型Al
2O
3の割合を多く得することで、破壊の起点となりにくくし、剥離の発生が抑制されたと推測される。
【0035】
中間層の上部層側の界面のスキューネス粗さ(S
sk)は、同様の観点から、−0.2以下であることが好ましく、−0.3以下であることがより好ましく、−0.4以下であることが更に好ましい。当該スキューネス粗さ(S
sk)の下限は、特に限定されないが、例えば、−3.0以上であることが好ましく、−2.6以上であることがより好ましい。なお、スキューネス粗さ(S
sk)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0036】
中間層の上部層側の界面のスキューネス粗さ(S
sk)は、例えば、後述する粗さ制御工程において、AlCl
3の原料組成を成膜工程時よりも減らすことで、スキューネス粗さ(S
sk)が小さくなり、上述の範囲とすることができる。
【0037】
本実施形態における中間層は、3.0μm以上10.0μm以下の平均厚さを有する。中間層の平均厚さが、3.0μm以上であると、被覆切削工具のすくい面における耐摩耗性がより向上し、10.0μm以下であると被覆層の剥離がより抑制され、被覆切削工具の耐欠損性がより向上する。中間層は、同様の観点から、4,0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以上10.0μm以下であることがより好ましく、6.0μm以上9.7μm以下であることが更に好ましい。
【0038】
<上部層>
本実施形態の上部層は、TiCNを含有する。上部層は、TiCNからなることが好ましいが、本発明の作用効果を奏する限りにおいて、TiCN以外の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。なお、上部層は、中間層に隣接することが好ましい。
【0039】
本実施形態における、上部層の中間層側の界面からその反対側の界面に向かって1μmまでの距離に位置し、且つ、基材と下部層との界面と平行な第2の断面が、下記式(2)で表される条件を満たす。
RSB≧40 (2)
式中、RSBは、前記第2の断面において、方位差Bが0度以上45度以下である粒子の断面積に対する、方位差Bが0度以上10度未満である粒子の断面積の割合(単位:面積%)であり、方位差Bは、前記第2の断面の法線と前記上部層におけるTiCNの粒子の(111)面の法線とがなす角度(単位:度)である。
【0040】
本実施形態の被覆切削工具は、RSBが40面積%以上であることにより、中間層からのα型Al
2O
3粒子の脱落を抑制することができるので、耐摩耗性及び耐欠損性が向上する。他の配向に比し、より硬くなる(111)面に配向したTiCNを多く含む上部層を中間層よりも表層側に有すると、逃げ面の摩耗を抑制することができる。同様の観点から、RSBは、50面積%以上であることが好ましく、60面積%以上であることがより好ましい。RSBの上限は、特に限定されないが、例えば、70面積%以下である。
【0041】
RSBは、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0042】
本実施形態における上部層の平均厚さは、1.0μm以上9.0μm以下である。平均厚さが1.0μm以上であることにより、α型Al
2O
3層の粒子の脱落を抑制する効果がより向上する傾向にあり、平均厚さが9.0μm以下であることにより、耐欠損性がより向上する傾向にある。上部層の平均厚さは、同様の観点から、1.5μm以上8.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上6.0μm以下であることがより好ましい。
【0043】
[切削工具の製造方法]
本実施形態の被覆切削工具における被覆層を構成する各層の形成方法として、例えば、以下の方法を挙げることができる。ただし、各層の形成方法はこれに限定されない。
【0044】
例えば、Tiの窒化物層(以下、「TiN層」ともいう。)からなるTi化合物層は、原料組成をTiCl
4:5.0〜10.0mol%、N
2:20〜60mol%、H
2:残部とし、温度を850〜950℃、圧力を300〜400hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0045】
Tiの炭化物層(以下、「TiC層」ともいう。)からなるTi化合物層は、原料組成をTiCl
4:1.5〜3.5mol%、CH
4:3.5〜5.5mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1050℃、圧力を70〜80hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0046】
Tiの炭窒化物層(以下、「TiCN層」ともいう。)からなるTi化合物層は、原料組成をTiCl
4:5.0〜7.0mol%、CH
3CN:0.5〜1.5mol%、H
2:残部とし、温度を800〜900℃、圧力を60〜80hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0047】
Tiの炭窒酸化物層(以下、「TiCNO層」ともいう。)からなるTi化合物層は、原料組成をTiCl
4:3.0〜4.0mol%、CO:0.5〜1.0mol%、N
2:30〜40mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1050℃、圧力を50〜150hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0048】
Tiの炭酸化物層(以下、「TiCO層」ともいう。)からなるTi化合物層は、原料組成をTiCl
4:1.0〜2.0mol%、CO:2.0〜3.0mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1050℃、圧力を50〜150hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0049】
基材の表面に、1層以上のTi化合物層からなる下部層を形成する。次いで、それらの層のうち、基材から最も離れた層の表面を酸化する。より具体的には、上記基材から最も離れた層の表面の酸化は、ガス組成をCO:0.1〜0.3mol%、CO
2:0.3〜1.0mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1050℃、圧力を50〜60hPaとする条件により行われる(酸化工程)。このときの酸化処理時間は、1〜3分であることが好ましい。
【0050】
中間層は、例えば、上述の酸化工程後、基材から最も離れた層の表面にα型Al
2O
3の核を形成し(核形成工程)、その核が形成された状態で、α型Al
2O
3を含む中間層を形成する(成膜工程)ことで得られる。さらに、上述のクルトシス粗さ(S
ku)及びスキューネス粗さ(S
sk)を得るために、中間層の表面の粗さを制御する工程(粗さ制御工程)を有していてもよい。
【0051】
中間層の核は、原料ガス組成をAlCl
3:1.0〜4.0mol%、CO:0.05〜2.0mol%、CO
2:1.0〜3.0mol%、HCl:2.0〜3.0mol%、H
2:残部とし、温度を880〜930℃、圧力を60〜80hPaとする化学蒸着法で形成される(核形成工程)。
【0052】
そして、中間層は、原料ガス組成をAlCl
3:2.0〜5.0mol%、CO
2:2.5〜4.0mol%、HCl:2.0〜3.0mol%、H
2S:0.15〜0.25mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1000℃、圧力を60〜80hPaとする化学蒸着法で形成される(成膜工程)。
【0053】
さらに、中間層は、原料ガス組成をAlCl
3:0.5〜4.5mol%、CO
2:2.5〜4.0mol%、HCl:2.0〜3.0mol%、H
2S:0.15〜0.25mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1000℃、圧力を60〜80hPaとする化学蒸着法で表面粗さが制御される(粗さ制御工程)。粗さ制御工程におけるAlCl
3の割合は、成膜工程におけるAlCl
3の割合よりも相対的に低くすることが好ましい。
【0054】
RSAを特定値以上とするためには、酸化工程における酸化処理時間を制御したり、酸化工程及び/又は核形成工程におけるガス組成中のCOの割合を制御したり、成膜工程における成膜温度を制御したりすればよい。より具体的には、酸化工程における酸化処理時間を大きくしたり、酸化工程及び/又は核形成工程におけるガス組成中のCOの割合を大きくしたり、成膜工程における成膜温度を、核形成工程における核形成温度よりも大きくしたりすることにより、RSAを高くすることができる。
【0055】
クルトシス粗さ(S
ku)及びスキューネス粗さ(S
sk)を所定範囲内とするためには、粗さ制御工程におけるAlCl
3の割合を、成膜工程のAlCl
3の割合よりも相対的に低くするとよい。粗さ制御工程と成膜工程とのAlCl
3の割合の差を大きくすると、クルトシス粗さ(S
ku)は大きくなる傾向があり、スキューネス粗さ(S
sk)は小さくなる傾向がある。
【0056】
さらに、中間層の表面にTiCN層を含有する上部層を形成する。上部層は、原料組成をTiCl
4:4.0〜8.0mol%、CH
3CN:0.5〜2.0mol%、N
2:0.0〜15.0mol%、H
2:残部とし、温度を950〜1050℃、圧力を60〜80hPaとする化学蒸着法で形成することができる(上部層形成工程)。
【0057】
RSBを特定値以上とするためには、上部層形成工程において、温度を制御したり、原料組成中のCH
3CNの割合を制御したりすればよい。より具体的には、上部層形成工程における温度を大きくしたり、原料組成中のCH
3CNの割合を大きくしたりすることにより、RSB(面積%)を大きくすることができる。
【0058】
本実施形態の被覆切削工具の被覆層における各層の厚さは、被覆切削工具の断面組織を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、又はFE−SEM等を用いて観察することにより測定することができる。なお、本実施形態の被覆切削工具における各層の平均厚さは、刃先稜線部から被覆切削工具のすくい面の中心部に向かって50μmの位置の近傍において、各層の厚さを3箇所以上測定し、その相加平均値として求めることができる。また、各層の組成は、本実施形態の被覆切削工具の断面組織から、エネルギー分散型X線分光器(EDS)や波長分散型X線分光器(WDS)等を用いて測定することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
[基材]
以下の基材に対して、その刃先稜線部にSiCブラシにより丸ホーニングを施した後、基材の表面を洗浄し、使用した。
<基材1>
形状:CNMG120412
材質:超硬合金(88.9WC−7.9Co−1.5TiN−1.4NbC−0.3Cr
3C
2(以上質量%))
<基材2>
形状:CNMG120412
材質:超硬合金(89.7WC−7.1Co−1.5TiN−1.5NbC−0.2Cr3C2(以上質量%))
【0061】
[RSA及びRSBの測定方法]
RSA及びRSBについて下記の条件で、それぞれ下記の断面を電解放射型走査電子顕微鏡(以下、「FE−SEM」ともいう)で観察し、FE−SEMに付属した電子後方散乱解析像装置(以下、「EBSD」ともいう)を用いて下記の<特定の方位差を有する粒子断面の測定方法>により、方位差が0度以上45度以下の範囲内にある断面の粒子断面の面積の合計(RSA
Total又はRSB
Total)を測定した。
そして、方位差が0度以上45度以下の範囲内にある粒子の断面積を5度のピッチ毎に区分して、区分毎の粒子断面の面積を求めた。次に、方位差が0度以上10度未満の区分、10度以上20度未満の区分、20度以上30度未満の区分、及び30度以上45度以下の区分のそれぞれの区分の粒子断面の面積の合計を求めた。尚、0度以上45度以下の粒子断面の面積の合計は100面積%となる。
方位差が0度以上45度以下の範囲内にある断面の粒子断面の面積の合計に対して、方位差が0度以上10度未満の範囲内にある粒子の断面積の割合をRSA、RSBとした。以上の測定結果を下記表7に示す。
(条件)
・RSA
測定平面:第1の平面(中間層の上部層側の界面から基材側に向かって0.5μmの距離に位置し、基材の下部層側の界面と平行な面)
測定面の削り出し方法:上記測定平面が露出するまでダイヤモンドペーストにより研磨し、鏡面研磨面を得た。
方位差:方位差A(第1の断面の法線とα型Al
2O
3の粒子の(001)面の法線とがなす角度(単位:度))
・RSB
測定平面:第2の平面(上部層の中間層側の界面からその反対側の界面に向かって0.5μmの距離に位置し、基材の下部層側の界面と平行な面)
測定面の削り出し方法:上記測定平面が露出するまでダイヤモンドペーストにより研磨し、鏡面研磨面を得た。
方位差:方位差B(第2の断面の法線と第2の断面におけるTiCNの粒子の(111)面の法線とがなす角度(単位:度))
(特定の方位差を有する粒子断面の測定方法)
試料をFE−SEMにセットした。試料に70度の入射角度で、15kVの加速電圧及び1.0nA照射電流で電子線を照射した。測定範囲30μm×50μmにて、0.1μmのステップサイズというEBSDの設定で、各粒子の方位差及び断面積の測定を行った。測定範囲内における中間層の粒子断面の面積は、その面積に対応するピクセルの総和とした。すなわち、各層の粒子の、方位差Aに基づいた10度又は15度のピッチ毎の各区分における粒子断面の面積の合計は、各区分に該当する粒子断面が占めるピクセルを集計し、面積に換算して求めた。
【0062】
[クルトシス粗さ(S
ku)及びスキューネス粗さ(S
sk)]
被覆層を形成した後、被覆切削工具を5〜30分程度フッ化水素酸と硝酸の混合液に浸漬し、上部層を除去した。上部層を除去すると、中間層の表面組織が露出するので、レーザー粗さ測定器「VK−X100」(製品名、株式会社キーエンス製)を用いて、144μm×108μmの範囲をISO25178に準拠し、中間層の表面のクルトシス粗さ(S
ku)とスキューネス粗さ(S
sk)を算出した。中間層の表面のクルトシス粗さ(S
ku)とスキューネス粗さ(S
sk)を3箇所にてそれぞれ算出し、その平均値をクルトシス粗さ(S
ku)とスキューネス粗さ(S
sk)とした。
【0063】
[層の厚さの測定方法]
FE−SEMを用いて、被覆切削工具の刃先稜線部から逃げ面の中心部に向かって50μmの位置の近傍における断面での3箇所の厚さを測定し、その相加平均値を平均厚さとして求めた。得られた試料の各層の組成は、被覆切削工具の刃先稜線部から逃げ面の中心部に向かって50μmまでの位置の近傍の断面において、EDSを用いて測定した。
【0064】
[発明品1〜17及び比較品1〜8]
基材の表面を洗浄した後、被覆層を化学蒸着法により形成した。まず、基材を外熱式化学蒸着装置に装入し、表1に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、表7に組成を示す第1層を、表7に示す平均厚さになるよう、基材の表面に形成した。次いで、表1に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、表7に組成を示す第2層を、表7に示す平均厚さになるよう、第1層の表面に形成した。次に、表1に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、表7に組成を示す第3層を、表7に示す平均厚さになるよう、第2層の表面に形成した。これにより、3層から構成された下部層を形成した。その後、表2に示す組成、温度及び圧力の条件の下、表2に示す時間にて、第3層の表面に酸化処理を施した。次いで、表3に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、酸化処理を施した第3層の表面にα型酸化アルミニウム(α型Al
2O
3)の核を形成した。さらに、表4に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、第3層及びα型酸化アルミニウム(α型Al
2O
3)の核の表面に、表7に組成を示す中間層を、表7に示す平均厚さの30%の厚さになるよう形成し、表5に示す条件に変更し中間層の粗さ制御工程を行い、所望のクルトシス粗さ(S
ku)及びスキューネス粗さ(S
sk)とし、表7に示す平均厚さの中間層を形成した。最後に、表6に示す原料組成、温度及び圧力の条件の下、表7に組成を示す上部層を、表7に示す平均厚さになるよう、α型Al
2O
3層の表面に形成した。こうして、発明品1〜17及び比較品1〜8の被覆切削工具を得た。
【0065】
試料の各層の厚さを下記のようにして求めた。すなわち、FE−SEMを用いて、被覆切削工具の刃先稜線部からすくい面の中心部に向かって50μmの位置の近傍における断面での3箇所の厚さを測定し、その相加平均値を平均厚さとして求めた。得られた試料の各層の組成は、被覆切削工具の刃先稜線部からすくい面の中心部に向かって50μmまでの位置の近傍の断面において、EDSを用いて測定した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
得られた試料の中間層における、中間層の表面から、基材側に向かって0.5μmにあり、基材の表面と平行な断面を上述の方法でRSAを測定し、その結果を下記表8に示す。得られた試料の上部層における、上部層の表面から、基材側に向かって0.5μmにあり、基材の表面と平行な断面を上述の方法でRSBを測定した。その結果を下記表8に示す。
【0074】
【表8】
【0075】
上述の方法で、上部層側界面のクルトシス粗さ(S
ku)及びスキューネス粗さ(S
sk)を測定した。その結果を下記表9に示す。
【0076】
【表9】
【0077】
[切削試験]
得られた発明品1〜17及び比較品1〜8を用いて、下記の条件にて切削試験1及び切削試験2を行った。切削試験1は耐摩耗性を評価する摩耗試験であり、切削試験2は耐欠損性を評価する欠損試験である。各切削試験の結果を表10に示す。
【0078】
<切削試験1:耐摩耗性試験>
被削材:S45Cの丸棒(硬度:150HB)、
切削速度:230m/min、
送り:0.25mm/rev、
切り込み深さ:1.8mm、
クーラント:有り、
評価項目:試料が欠損または最大逃げ面摩耗幅が0.3mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工時間を測定した。また、加工時間が20分における損傷状態をSEMで確認した。結果を表10に示す。表中、「正常摩耗」とは、欠損や脱落がなく摩耗していることを意味し、「欠損」とは、被覆層の一部が欠けていることを意味し、「粒子脱落」とは、中間層のAl
2O
3粒子の脱落が観察されたことを意味し、「上部層剥離」とは、中間層と上部層の界面で剥離が生じていることを意味する。なお、比較品3では、20分より前に欠損した。
【0079】
<切削試験2:耐欠損性試験>
被削材:S45Cの2本の溝入り丸棒(硬度:200HB)、
切削速度:200m/min、
送り:0.20mm/rev、
切り込み深さ:1.5mm、
クーラント:有り、
評価項目:試料が欠損または最大逃げ面摩耗幅が0.3mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加衝撃回数を測定した。また、衝撃回数が5000回における損傷状態をSEMで確認した。衝撃回数は、15000回までとした。結果を表10に示す。表中、「正常摩耗」とは、欠損や脱落がなく摩耗していることを意味し、「チッピング」とは、被覆層の一部にチッピングが観測されることを意味する。
【0080】
【表10】
【0081】
以上の結果より、発明品は、耐摩耗性及び耐欠損性に優れる結果、工具寿命が長いことが分かった。