特許第6876283号(P6876283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876283
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】濃度測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   G01N21/78 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-223004(P2016-223004)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-80990(P2018-80990A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591032703
【氏名又は名称】群馬県
(73)【特許権者】
【識別番号】513167186
【氏名又は名称】合同会社土づくり推進機構
(73)【特許権者】
【識別番号】519149788
【氏名又は名称】株式会社渡辺電設
(72)【発明者】
【氏名】田島 創
(72)【発明者】
【氏名】熊澤直人
(72)【発明者】
【氏名】徳田敬二
(72)【発明者】
【氏名】麦島 昌
(72)【発明者】
【氏名】麦島 亮
(72)【発明者】
【氏名】田島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】平良 千早
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−144672(JP,A)
【文献】 特表2003−525427(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145351(WO,A1)
【文献】 特開2011−079969(JP,A)
【文献】 特表2010−515367(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0185706(US,A1)
【文献】 特開2004−108976(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166049(JP,U)
【文献】 特開2013−188157(JP,A)
【文献】 特開2003−254827(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0327473(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/099629(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − 21/958
G01N 33/18
C12Q 1/06 − 1/08
G01N 31/00 − 31/22
E02D 1/02 − 1/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を収納して保持できる光路長1mm以上10mm以下で波長220nm以上800nm以下の光を透過する光学セルと、
前記光学セルを固定する固定治具と、
光源と、
撮像手段と、
前記光学セルに収納された前記被測定物より方の前記撮像手段から離れた位置又は前記被測定物より方の前記撮像手段に近づいた位置に置少なくとも2つの異なる基準着色部及び前記基準着色部の位置を示す指示記号を備える基準と、
前記光学セルに収納された被測定物より後方に離間して置かれ当該被測定物を介し光学セルに収納された前記被測定物と同時に前記撮像手段により画像として取得される測定部を備える測定板と、を具備し、
前記撮像手段で前記指示記号により位置を示された少なくとも2つの異なる前記基準着色部、前記測定部と、を画像として同時に取得し、
取得した前記画像を色情報として処理する画像処理手段と、前記色情報を基に濃度を演算する演算手段と、データ保存表示手段と、
具備する濃度測定システム。
【請求項2】
前記基準板に備えられる前記基準着色部の第1の基準着色部が、前記色情報として第1の色情報を与えるためにカーボンブラックを0%以上50%未満含む着色剤を施した前記第1の基準着色部であり、前記撮像手段により測定される前記第1の基準着色部の前記第1の色情報を数値として255分割したとき
R(赤と記すこともある)で100以上255以下、
G(緑と記すこともある)で100以上255以下、
B(青と記すこともある)で100以上255以下とし、
前記基準板に備えられる前記基準着色部の第2の基準着色部が、第2の色情報を与えるためにカーボンブラックを50%以上95%未満含み且つ前記第1の色情報を与えるカーボンブラック含有量と比べて10%以上の含有量である着色剤を施した前記第2の基準着色部であり、前記撮像手段により測定される前記第2の基準着色部の前記第2の色情報を数値として255分割したとき
Rで1以上99以下、
Gで1以上99以下、
Bで1以上99以下
とし、
以上の色情報を利用する場合には、第3の色情報を与えるために用いられるカーボンブラック量は、前記第1の基準着色部及び第2の基準着色部に施すために用いたそれぞれのカーボンブラック量と比べて10%以上含有量に差がある着色剤を施した前記基準着色部である
請求項1に記載の濃度測定システム。
【請求項3】
前記測定板に備えられる前記測定、前記測定部の色情報を与えるためにカーボンブラックを0%以上95%未満含む着色剤を施した前記測定部であり、前記撮像手段により測定される前記測定部の前記色情報を数値として255分割した場合、
Rで1以上255以下、
Gで1以上255以下、
Bで1以上255以下である
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の濃度測定システム。
【請求項4】
前記撮像手段が、少なくとも2つの異なる前記基準着色部、前記測定部と、を画像として同時に取得できるデジタルカメラ、CCDカメラ、画像取得機能を持つメディアタブレット端末のいずれかから選択される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の濃度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度測定システムと濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌中の物質や残留農薬、更には物質などを分析しようと考えると、溶出し、必要な薬剤による発色操作を行なって、比色計にかけて、予め用意された検量線と対比して濃度を求めることが通常の作業手順である。
しかしながら、比色計を備えた場所、かつ検量線の用意がないと分析作業が出来ないという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1には溶液中に溶解した物質を発色剤で発色させて、その物質量の濃度測定をカメラ撮影で3刺激値(R、G、Bの値)から、予め用意した検量線によって求める発明について記載されている。この文献で測定対象として想定しているのは工場排水や河川、セメントなどである。
【0004】
また、特許文献2には溶液中の試料濃度の連続比色分析について記載されている。溶液を斜面を流して発色のための薬剤を投入し、その発色の状況をテレビカメラで撮影し、データをRGB数値化して既知のデータと比較して濃度を求める発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007―33036号
【特許文献2】特開平2−208543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている方法では予め対象物質の検量線の作成が必要であるし、光源が一定しないような条件では測定される溶液の濃度のバラツキが大きくなったり、更には、シャーレを測定に用いているために、シャーレ底面が撮影時に暗くなるため、測定に誤差が生じるなどの問題があった。更には、正面から撮影をする際には、光源を撮像手段により遮るため測定結果のバラツキが大きくなるなどの問題があった。また特許文献2では溶液を流す装置や画像処理装置など特別な装置が必要なので準備が煩雑である。いずれも、測定すると瞬時に対象物質の濃度を知る事及びその測定された濃度を共有化することが出来ないことが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、試料の濃度と色情報との相関があるのであれば、濃度が既知の物質の色情報をもとにして、測定試料の色情報から濃度を数値化することができるのではないかと考えた。
【0008】
即ち本発明は、化学状態として濃度が既知の試料の色情報をもとに濃度を数値化し、また濃度が既知の試料の色情報から検量線を作成し、測定試料の色情報との相関から単体又は混合物の濃度を数値化する濃度測定システムである。この濃度測定システムでは、少なくとも被測定物保持手段である被測定物を収納して保持できる光路長1mm以上10mm以下で波長220nm以上800nm以下の光を透過する光学セルと、この光学セルを固定する固定治具と、撮像手段と、光源と、前記光学セルに収納された前記被測定物より方の前記撮像手段から離れた位置又は前記被測定物より方の前記撮像手段に近づいた位置に置少なくとも2つの異なる基準着色部及びこの基準着色部の位置を示す指示記号を含む基準となる基準と、前記光学セルに収納された被測定物より後方に離間して置かれ当該被測定物を介し光学セルに収納された前記被測定物と同時に前記撮像手段により画像として取得される測定部を備える測定板と、を具備し、前記撮像手段が、前記指示記号により位置を示された前記少なくとも2つの異なる基準着色部と、前記測定部と、を画像として同時に取得し、取得した前記画像を前記色情報として処理する画像処理手段と、前記色情報を基に濃度を演算する演算手段と、データ保存表示手段と、データ送信手段と、を具備する濃度測定システムである。
【0009】
本発明の濃度測定システムでは、被測定物が液体であることを特徴としている。
【0010】
本発明の濃度測定システムでは、被測定物保持手段が、光路長1mm以上10mm以下で波長220nm以上800nm以下の光を透過する光学セルであることを特徴とする。
【0011】
本発明の濃度測定システムでは、前記基準板に備えられる第1の前記基準着色部が、1の色情報を与えるためにカーボンブラックを0%以上50%未満含む着色剤を施した前記第1の基準着色部であり、前記撮像手段により測定される前記第1の基準着色部の前記第1の色情報を数値として255分割したとき、R(赤と記すこともある)で100以上255以下、G(緑と記すこともある)で100以上255以下、B(青と記すこともある)で100以上255以下であり、第2の前記基準着色部が、第2の色情報を与えるためにカーボンブラックを50%以上95%未満含み且つ前記1の色情報を与えるカーボンブラック含有量と比べて10%以上の含有量である着色剤を施した第2の基準着色部であり撮像手段により測定される色情報を数値として255分割した時、Rで1以上99以下、Gで1以上99以下、Bで1以上99以下であることを特徴としている。この基準は、光源に対し平行に配置されると特に好ましい。
【0012】
この基準に3つ以上の色情報を利用する場合には、第3以上の色情報を与えるために用いられるカーボンブラック量は、前記第1の基準着色部及び第2の基準着色部に施すために用いたそれぞれのカーボンブラック量と比べて10%以上含有量に差があることを特徴としている。
【0013】
本発明の濃度測定システムでは、前記基準板に前記基準着色部の位置を示す指示記号を有している。この指示記号があると、カーボンブラックを含まない着色剤を基準着色部に施した場合の位置の不確かさを解消し、正確な色情報の取得が行えるため好適である。
【0014】
本発明の濃度測定システムでは、前記測定板に備えられる前記測定部、この測定部の色情報を与えるためにカーボンブラックを0%以上95%未満含む着色剤を施した測定部であり前記撮像手段により測定される前記測定部の前記色情報を数値として255分割した場合、Rで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下であることを特徴としている。
【0015】
本発明の濃度測定システムでは、光源がLED又は蛍光灯であることを特徴としている。
【0016】
本発明の濃度測定システムでは、前記撮像手段が、少なくとも2つの異なる前記基準着色部、前記測定部と、を画像として同時に取得できるデジタルカメラ、CCDカメラ、画像取得機能を持つメディアタブレット端末のいずれかから選択される。
【0017】
本発明の濃度測定システムでは、前記画像処理手段が、前記撮像手段により得られた前記2つの異なる基準着色部の画像からそれぞれの画像部位毎に取得した色情報をこの色情報毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を基準色情報とする手段と、それぞれ光学セルに収納された少なくとも2つの異なる既知濃度の物質とこの光学セルに収納したこれら物質より後方に離間して置かれた測定板に備えられた測定の画像からそれぞれの画像部位毎に取得した色情報をこの色情報毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を基準濃度色情報とする手段と、光学セルに収納された少なくとも1点の未知濃度の物質の被測定物この光学セルに収納したこの被測定物より後方に離間して置かれた測定板に備えられた測定の画像と前記基準着色部の画像とを同時に取得しそれぞれの画像を基に、この測定の画像から得られた色情報をRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を補正前濃度色情報とする手段と、この測定の画像と同時に取得された前記基準着色部の画像をそれぞれの測定部位毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を測定用基準色情報とする手段と、を含むことを特徴としている。
【0018】
本発明の濃度測定システムでは、前記演算手段が、前記基準色情報前記基準濃度色情報前記補正前濃度色情報前記測定用基準色情報前記既知濃度と、を用い、この基準濃度色情報とそれぞれの基準濃度色情報を与えた前記既知濃度とから濃度に対する濃度測定用検量線を作成する。更にこの濃度測定用検量線の傾きから(式1)を作成する工程と、前記測定用基準色情報と前記基準色情報とから補正検量線を作成しこの補正検量線の直線の傾きから(式2)を作成する工程と、前記補正前濃度色情報と(式3)により測定濃度色情報を算出する工程と、前記測定濃度色情報と(式4)により前記未知濃度の物質の濃度を算出する工程と、を実施する演算手段である。これらの演算手段がプログラムもしくは手動の計算にて行える。
(式1) 既知濃度 = 基準濃度色情報 × α
(式2) β = 基準色情報 ÷ 測定用基準色情報
(式3) 測定濃度色情報 = β × 補正前濃度色情報
(式4) 濃度 = α × 測定濃度色情報
ここで、αは基準濃度色情報に対する既知濃度を示す。βは、補正前濃度色情報に対する測定濃度色情報を示す。
【0019】
本発明の濃度測定システムでは、データ保存手段が前記基準色情報、前記基準濃度色情報、前記補正前濃度色情報、前記測定用基準色情報、前記既知濃度、前記濃度測定用検量線、前記補正検量線、前記測定濃度色情報、前記未知濃度の物質の前記濃度、前記(式1)、前記(式2)、前記(式3)及び前記(式4)を保存する濃度測定システムである。
【0020】
本発明の濃度測定システムでは、データ送信手段を具備することもできる。このデータ送信手段は、インターネットを介した電子メール、電子データの送信及び有線による電子データの送信、電子データの記録媒体を介したデータ送信及び赤外線通信のいずれかから選択し通信できる手段である。
【0021】
本発明の濃度測定システムでは、前記少なくとも2点の異なる既知濃度の物質を含む可視光域における光透過性を有する光学セルに入れられた液体より後方に離間して置かれた前記測定板の測定部側及び前記少なくとも1点の未知濃度の物質の可視光域における光透過性を有する光学セルに入れられた液体より後方に離間して置かれた測定板の測定部側と、光学セルのこの測定板と相対する表面との距離が1mm以上20mm以下である。
【0022】
本発明の濃度測定システムでは、前記光学セルの前後方向の角度が鉛直方向に対し角度マイナス(−と記すこともある)5度(°と記すこともある)以上角度プラス(+と記すこともある)5度以下であり、この光学セルと前記測定板に具備された測定角度−5度以上角度50度以下である。
【0023】
本発明の濃度測定システムでは、前記画像として取得される基準着色部及び測定の被測定面の重心を頂点とした光源の光軸の中心と、前記撮像手段の角度が角度1度以上角度135度以下である。
この位置関係をよりわかりやすく説明すると、本発明の濃度測定システムでは、前記基準着色部と前記測定部の色情報を与えるそれぞれの面の重心同士を結んだ線の中点と、光源の中心と、を直線で結んだ線を光源の光軸の中心線とした場合、この光軸の中心線と、前記撮像手段と前記中点とを結んだ線と、の成す角度が角度1度以上角度135度以下である。
【0024】
本発明の濃度測定システムでは、前記基準着色部及び前記測定の色情報を与える面積が1mm以上500mm以下であり、測定される形状が円、楕円、三角形、四角形、六角形、8角形から選択されるいずれかである。
【0025】
測定される物質の濃度は、前記既知濃度以下である。濃度は、100分率で表示する事もできるし、異物の混入などにより正確な濃度の決定が困難な試料を基準として用いる場合には、使用者が任意に濃度を決定して利用する事もできる。
【0026】
濃度を測定される物質は、撮像手段により得られる色情報が濃度と相関があれば良い。具体的には、鉄、マンガン、マグネシウム、リン、カルシウム、カリウム、フッ素、水素、塩素、六価クロム、ニッケル、アルミニウム、銀、金、銅、ホウ素、モリブデン、パラジウム、亜鉛、硝酸イオン、アンモニウムイオン、水素イオン、水酸化物イオン、リンゴ酸、アスコルビン酸、腐植物質、ヨウ素、リコピン鉄、マンガン、マグネシウム、リン、カルシウム、カリウム、水素、塩素、ニッケル、アルミニウム、銅、ホウ素、モリブデン、パラジウム、亜鉛、窒素の酸化物、又はアスコルビン酸、ヨウ素、メタンフェタミン及びその誘導体と形成される錯体、コリンエステラーゼと酢酸インドキシル又は5−bromo−6−chloro−3−indoxyl butyrate又は5−bromo−6−chloro−3−indoxyl caprylate、5−bromo−4−chloro―3−indoxyl palmitateのいずれか一つと反応し発色する際にコリンエステラーゼの働きを阻害してこの発色を阻害する物質、大腸菌、黄色ブドウ球菌、酵母から選択される。
【0027】
本発明の濃度測定システムは、土壌中に含まれる養分を測定する土壌分析器として利用する事ができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の濃度測定システムを利用する場合、土壌分析器として利用するならば農業分野における土壌管理・評価の簡易化が成される。複数の畑を所有する大規模農家では各畑の土壌管理を行なえる。また、食品分野における品質管理・評価の簡易化、更には薬品などの危険物質の有無の簡易検査ができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の濃度測定システムの概略構成図(側面図)である。
図2】本発明の濃度測定システムの概略構成図(一部正面図)である。
図3】本発明の濃度測定システムの画像処理手段で実施される工程の図である。
図4】本発明の濃度測定システムの演算手段で実施される工程のフローチャート図である。
図5】補正検量線の図である。
図6】濃度測定用検量線の図である。
図7】本発明の実施例1で作成した濃度測定システムを利用した土壌分析器の一部の写真である。この写真では、撮像手段と光学セルなどとの位置関係は、濃度を測定する図1で示した位置とは異なる。
図8】本発明の実施例1で作成した濃度測定システムを組み込んだプログラムの出力画面の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明につき、図面を利用してより詳細に説明する。
【0031】
本発明の濃度測定システム1では、被測定物5が液体である。被測定物5、光路長1mm以上10mm以下で波長220nm以上800nm以下の光を透過する光学セル3に入れ、この光学セル3を固定治具7に設置することにより好適に分析が行える。
【0032】
本発明の濃度測定システム1に用いられる基準着色部を備える基準4Aは、光学セル3に収納した被測定物5より方の撮像手段8Aから離れた位置又はこの光学セル3に収納した被測定物5より方の撮像手段8Aに近づいた位置に置。この基準4Aは、少なくとも2つの異なる基準着色部4を含む基準となる基準着色部を備える基準板である。2つの異なる色情報を利用する場合には、第一の色情報を与える着色剤としてカーボンブラックを0%以上50%未満含む着色剤を施す。これを撮像手段8Aにより測定し、図3図4の画像処理手段により数値として255分割した場合、Rで100以上255以下、Gで100以上255以下、Bで100以上255以下とする。基準着色部を備える基準4Aに2の色情報を与える着色剤としてカーボンブラックを50%以上95%未満含み且つ1の色情報を与えるカーボンブラック含有量と比べて10%以上の含有量である着色剤を施す。この第2の色情報を数値として255分割した場合、Rで1以上99以下、Gで1以上99以下、Bで1以上99以下である基準着色部を備える基準4Aを用いることができる。基準着色部を備える基準4Aの基準着色部4の個数は特に限定されないが、2点以上21点未満が好ましく用いられ、5点以上15点以下がより好ましく、6点以上8点以下が更に好ましく用いられる。21点以上でも測定上特に問題は無いが、この基準着色部を備える基準4Aの作成が煩雑になる傾向にある。また、これら基準着色部4を2点以上用いる場合のそれぞれの数値化された色情報は、R、G、Bそれぞれで10以上離れていると好ましく用いられる。
【0033】
前記基準板に備えられ、前記基準着色部の位置を示す指示記号41には、点や線などの記号を用いることができる。この指示記号41を複数用い、その間の任意の基準着色部4の位置を決定し、色情報を得ることもできるし、指示記号41を単数利用して指示記号41からの決められた距離の基準着色部4を読み込むことにより色情報を得ることもできる。
【0034】
光学セル3に収納した被測定物5の後方離間して置かれ被測定物5を介し同時に画像として取得される測定部を備える測定板4Bは、色情報を与える着色剤としてカーボンブラックを0%以上95%未満含む着色剤を施した測定部を備え、撮像手段8Aにより測定される色情報を数値として255分割した場合、Rで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下で好ましく用いられる。後述する実施例に記載のように、土壌及び溶液中のカリウムの濃度を測定する場合、測定にカーボンブラックを80%以上95%以下含む着色剤を施すと、カリウムの濃度を好適に測定できる。
【0035】
本発明の濃度測定システム1では、光源2としてLED(Light emitting diode)又は蛍光灯を好ましく用いることができる。また、電気を利用し発光する光源がない場合においては、太陽光などの自然光を好ましく用いることができる。光源2としてLEDを選択する場合、LEDの波長については、被測定物5の濃度測定用検量線(図6)を作ることができれば良い。LEDの場合、R、G、Bそれぞれの光を発色すると好ましく用いられる。Rの光の波長としては、600nmより長く800nm以下が好ましく、610nm以上700nm以下がより好ましく、620nm以上650nmがより好ましく用いられる。これ以上の波長の光源を用いることもできるが、光源が高価になる傾向にある。Gの光の波長としては495nm以上600nm以下が好ましく、500nm以上550nm以下がより好ましく、520nm以上540nmがより好ましく用いられる。Bの光の波長としては、300nm以上495nm以下が好ましく用いられ、330nm以上480nm以下がより好ましく、350nm以上475nmがより好ましく用いられる。300nm以下の波長だと、やはり光源が高価に成る傾向にある。蛍光灯についても、波長300nm以上800nm以下の光を発するものを好ましく用いることができる。また、これらの波長については、測定対象により任意に選択することができる。
【0036】
本発明の濃度測定システム1に用いられる、画像を取得する撮像手段8Aは、カメラ、デジタルカメラ、CCDカメラ、撮像手段8Aを持つメディアタブレット端末等の撮像装置8のいずれかから選択することができる。また、パーソナルコンピュータに搭載したデジタルカメラについても好適に用いられる。メディアタブレット端末等の撮像装置8に位置情報を取得する機能や日時を記録する機能、天候や温度を取得する機能がある場合には、後述する濃度を測定した位置や場所、日時、天候や温度を同時に保存し、やはり後述するデータ送信手段によりデータを送ることができる。また、被測定物5に係わる情報なども電子データとして保存し、やはり送信することが可能となる。撮像装置8にタイマー機能を持つと好ましく利用できる。これは、測定対象を発色液により発色する場合に一定の経過時間が必要な場合には特に好ましい。
【0037】
本発明の濃度測定システム1に用いられる画像処理手段は撮像手段8Aを持つ撮像装置8にプログラムとして実装することもできる。
この画像処理手段は、撮像手段8Aにより得られた前記2つの異なる色情報4を含む基準となる基準着色部4Aの画像からそれぞれの画像部位毎に取得した色情報を色情報毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を基準色情報とする手段を含んでいる。
更にこの画像処理手段は、少なくとも2つの異なる既知濃度の物質の光学セル3に収納された液体とこれより後方に離間して置かれた測定板に備えられた測定部との画像からそれぞれの画像部位毎に取得した色情報を色情報毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を基準濃度色情報とする手段を含んでいる。
更にまたこの画像処理手段は、少なくとも1点の未知濃度の物質の光学セル3に収納された液体これらより後方に離間して置かれた測定板に備えられた測定の画像と、前記基準着色部の画像とを同時に取得して、それぞれの画像を基にこの測定の画像から得られた色情報をRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を補正前濃度色情報とする手段と、この測定の画像と同時に取得された基準着色部の色情報の画像をそれぞれの測定部位毎にRで1以上255以下、Gで1以上255以下、Bで1以上255以下のいずれかに変換しこのRGBの数値情報を測定用基準色情報とする手段とを少なくとも含んでいる。
【0038】
本発明の濃度測定システム1の演算手段は撮像手段8Aを持つ撮像装置8にプログラムとして実装することもでき、画像処理手段により得られた前記基準色情報前記基準濃度色情報前記補正前濃度色情報前記測定用基準色情報前記既知濃度と、を用い、前記基準濃度色情報とそれぞれの前記基準濃度色情報を与えた前記既知濃度とから濃度に対する濃度測定用検量線を作成しこの濃度測定用検量線の傾きから(式1)を作成する工程と、前記測定用基準色情報と前記基準色情報とから補正検量線を作成しこの補正検量線の直線の傾きから(式2)を作成する工程と、前記補正前濃度色情報と(式3)により測定濃度色情報を算出する工程と、未知濃度の物質の濃度をこの測定濃度色情報と(式4)により算出する工程と、を実施する演算手段である。
(式1) 濃度 = 基準濃度色情報 × α
(式2) β = 基準色情報 ÷ 測定用基準色情報
(式3) 測定濃度色情報 = β × 補正前濃度色情報
(式4) 濃度 = α × 測定濃度色情報
【0039】
本発明の濃度測定システム1の(式1)、(式2)、(式3)、(式4)において、検量線に切片を加えない場合に比べ検量線に切片を加えた場合の相関係数が高くなる場合には、もちろん切片を利用する事ができる。
【0040】
本発明のシステムのデータ保存表示手段は撮像手段8Aを持つ撮像装置8にプログラムとして実装することもでき、前記基準色情報、前記基準濃度色情報、前記補正前濃度色情報、前記測定用基準色情報、前記既知濃度、前記濃度測定用検量線、前記補正検量線、前記測定濃度色情報、未知濃度の物質の前記濃度、前記(式1)、前記(式2)、前記(式3)及び前記(式4)を保存する事や、任意で図7図8のように、画面などに表示することができる。また、前述した様に、濃度を測定した位置や場所、日時、天候や温度を同時に保存できる。また、測定対象に係わる情報なども電子データとして好ましく保存できる。
【0041】
本発明の濃度測定システム1では、データ送信手段を具備することもできる。このデータ送信手段として、インターネットを介した電子メール、電子データの送信及び有線による電子データの送信、電子データの記録媒体を介したデータ送信を少なくとも利用できる。
【0042】
本発明の濃度測定システム1では、前記少なくとも2点の異なる既知濃度の物質を含む液体(被測定物5)を光学セル3に入れ、この光学セル3に入れられた既知濃度の物質を含む液体の後方に離間して置かれた測定4B及びこの光学セル3に入れられた未知濃度の液体(被測定物5)の後方に離間して置かれた測定4Bの前記光学セル3との相対する面の距離が1mm以上20mm以下であると好ましく、測定4Bの光学セル3との相対する面の距離が5mm以上18mm以下であると好ましく、
測定4Bと、光学セル3との相対する面の距離が6mm以上17mm以下であると更に好ましい。測定4Bの光学セル3との相対する面の距離が近すぎると測定4Bに光学セル3の影がうつるため、既知濃度と基準濃度色情報から作成される濃度測定用検量線の相関係数が低下して測定された濃度が実際と異なる場合が有り、離れすぎると撮像する際に焦点が合わなくなることがある。
【0043】
本発明の濃度測定システム1では、前記光学セル3の前後方向の角度が、鉛直方向に対し角度マイナス5度以上角度プラス5度以下で好適に用いられる。この光学セルの角度が鉛直方向に対しプラスマイナス5度より傾くと内部の被測定物5がこぼれやすくなる傾向にある。また、撮像する際に光源や他の外部からの光が光学セル3表面に写り込み測定結果に誤差を生じることがある。既知濃度と基準濃度色情報から作成される濃度測定用検量線の相関係数が低下して測定された濃度が実際と異なる場合が有る。
これら光学セル3の後方に離間して置かれた測定4Bと光学セル3の角度は、角度マイナス5度以上角度50度以下であると好適であり、角度+10度以上角度+50度以下がより好適であり、角度+30度以上角度+50度以下が更に好適である。光学セル3の後方に離間して置かれた測定4Bと光学セル3の角度が小さいと撮像する際に光源2や他の外部からの光が光学セル3表面に写り込み測定結果に誤差を生じることがある。また、光学セル3の影が測定4Bの撮像部に写り込むことにより測定結果に誤差が生じたり、既知濃度と基準濃度色情報から作成される濃度測定用検量線の相関係数が低下して測定された濃度が実際と異なる場合が有る。
【0044】
本発明の濃度測定システム1では、光学セル3の個数に関しては特に限定されないが、好ましく1個以上20個以下を同時に測定することができる。光学セル3に収納した被測定物を撮像手段8Aにより同時に測定することにより、測定工程の回数を減らすことができるため好適である。光学セル3の固定治具7は、光学セル3底面と固定治具7との距離が5mm以上20mm以下離間していると好適で有り、10mm以上18mm以下離間しているとより好適であり、12mm以上16mm以下離間していると更に好適である。現時点では,どのような現象で離間した方が良いかは分かっていないが、固定治具7による光学的影響があると推測している。
【0045】
本発明の濃度測定システム1では、前記画像として取得される基準着色部及び測定の被測定面の重心を頂点とした光源2の光軸の中心と撮像手段8Aとの角度が角度1度以上角度135度以下であると好適に用いられる。この位置関係をよりわかりやすく説明すると、本発明の濃度測定システム1では、基準着色部と測定部の色情報を与える面の重心同士を結んだ線の中点と光源の中心とを直線で結んだ線を光源の光軸の中心線とし、この光軸の中心線と、撮像手段8Aと前記中点を結んだ直線と、の成す角度が角度1度以上角度135度以下である。この角度を光源と撮像手段との角度と記すこともある。また、この角度が角度60度以上角度120度以下であるとより好ましく、角度80度以上角度100度以下であると更に好ましい。この角度が広すぎると基準着色部4を撮像する際に実際よりも白色が強くなり誤差の原因となる。既知濃度と基準濃度色情報から作成される濃度測定用検量線の相関係数が低下して測定された濃度が実際と異なる場合が有る。
【0046】
基準4Aと測定4Bの素材は同一のものでも別のものでも良い。また、基準4Aを被測定物5より方の撮像手段8Aから離れた位置に置く場合には、基準板4Aに備えられた基準着色部測定板4Bに備えられた測定とを同一の面上に施すことにより好適に利用することができる。この基準4Aと測定4Bの素材は特に限定されないが、白色の紙、画用紙、樹脂材料及び金属材料から選択される材料を好ましく用いることができる。
【0047】
本発明の濃度測定システム1では、基準板4Aに備えられた基準着色部及び測定板4Bに具備えられた測定の色情報を与える面積が1mm以上500mm以下が好適であり、面積が5mm以上200mm以下がより好適であり、面積が20mm以上100mm以下が更に好適であり、面積が20mm以上25mm以下が最も好適である。この面積が広すぎると外部の影響を強く受け誤差の原因となる傾向がある。また、この面積が狭すぎると測定面積の低下によりやはり誤差の原因となる傾向にある。この測定される形状については、円、楕円、三角形、四角形、六角形、8角形から選択する事ができる。四角形や三角形については、光学セル3の形状や撮像される環境により長方形や正方形、菱形、二等辺三角形、正三角形などを任意で選ぶことができる。これら撮像される面積や形状は、撮像手段8Aにより選択することもできるし、全体を撮像した後に施される画像処理手段や演算手段により好ましく設定することができる。
【0048】
本発明の濃度測定システム1では、測定される物質の濃度が、前記既知濃度以下である。既知濃度を超える場合は、測定される物質について希釈処理をした後、本発明の濃度測定システム1により濃度を測定し、希釈倍率をこの測定された濃度にかけることにより、希釈前の濃度を算出することができる。この希釈率については、本発明の濃度測定システムの演算手段で行うことも勿論可能である。
【0049】
本発明の濃度測定システム1では、濃度と撮像手段8Aにより測定される色情報4に相関があればどのような物質についても測定することが可能である。濃度を測定される物質が、鉄、マンガン、マグネシウム、リン、カルシウム、カリウム、フッ素、水素、塩素、六価クロム、ニッケル、アルミニウム、銀、金、銅、ホウ素、モリブデン、パラジウム、亜鉛、硝酸イオン、アンモニウムイオン、水素イオン、水酸化物イオン、リンゴ酸、アスコルビン酸、腐植物質、ヨウ素、リコピン鉄、マンガン、マグネシウム、リン、カルシウム、カリウム、水素、塩素、ニッケル、アルミニウム、銅、ホウ素、モリブデン、パラジウム、亜鉛及び窒素の酸化物、又はアスコルビン酸、ヨウ素、メタンフェタミン及びその誘導体と形成される錯体、コリンエステラーゼと酢酸インドキシル又は5−bromo−6−chloro−3−indoxyl butyrate又は5−bromo−6−chloro−3−indoxyl caprylate、5−bromo−4−chloro―3−indoxyl palmitateのいずれか一つと反応し発色する際にコリンエステラーゼの働きを阻害してこの発色を阻害する物質、大腸菌、黄色ブドウ球菌、酵母から選択される。樹脂材料の劣化により生じる茶色の物質の濃度について測定する事により、この樹脂材料の劣化状態についても推定する事が可能となる。また、ワインなど飲料、酒類、スープ類についてもそのポリフェノール量を測定できる。
【0050】
本発明の濃度測定システム1では、前述した中から一つの物質を選択し測定する事もできるし、例えば図7及び図8に示したように土壌からの抽出物として、カリウム、カルシウム、腐植物質、マンガン、マグネシウム、鉄、及び又はこれらの酸化物、硝酸イオンなどを一度に測定する事も可能である。
【0051】
また、これらの物質をイオンとして含む飲料水、植物工場、下水汚泥、食物からの抽出液などについても物質の濃度を測定することができる。
【0052】
更に、酸化物の発生状況を面として捉えることもできるため、塩水噴霧試験による錆の発生状況を数値として簡便に捉えることもできる。更にまた、微生物試験を行う際、液体中に存在する微生物数をその液体の懸濁具合から判定し、微生物の数量調整を行うが、本発明の濃度測定システムでは、この微生物数の数量調整についても好ましく用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
(装置)
撮像手段8Aを持つ撮像装置8としてメディアタブレット端末を利用した。メディアタブレット端末として、アップル社製iPhone5S(登録商標)を選択し、画像処理手段、演算手段データ保存手段、表示手段、データ送信手段をプログラムとして実装した。光源は、LEDのライン照明を作成し利用した。測定対象として、土壌に含まれる硝酸イオンに含まれる窒素(硝酸態窒素)を選択した。光路長8mmの光学セル及び位置決め用固定治具を用いた。被測定物より方の光源から離れた位置に基準を光源と平行になるように設置し、同一上に測定を設置した。測定と光学セルの距離は、15mmとした。光学セルの撮像手段側表面と測定との距離は25mmとした。光学セルの角度は、光学セルの影が測定板の測定部にかからないよう光学セルのを測定と反対側に鉛直方向に対し角度−2度傾けた。光学セルと測定及び基準との角度は、45度に設定した。光源と撮像手段との角度は、90度に設定した。基準板に備えられる基準着色部及び測定板に備えられる測定部の色情報を与える形状及び面積は、縦5mm、横4mmの長方形(面積20mm)とし、前述したプログラムにより制御した。光学セル下面と固定治具上面の距離は、15mmとした。
(基準
白色の紙にカーボンブラック量として0、10、30、45、65、85及び95%含む着色剤により色情報のための着色を施し、基準着色部を備える基準板を作成した。撮像手段により得られた色情報のRGB値を255分割し、それぞれのカーボンブラック量毎に数値を算出した。
(測定
基準と同じ紙を用い測定を作成した。
(既知濃度)
硝酸イオンに含まれる窒素(硝酸態窒素)として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、(式1)既知濃度=58.18−0.245×基準濃度色情報を得た。この時の相関係数は0.97であり、良好な結果であった。この時、最も相関が高かったGを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、硝酸態窒素の濃度として、濃度25mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。発色後の溶液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ24mg/L、25/L、25mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に硝酸態窒素として濃度45mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、44mg/L、45/L、46mg/Lとなり、良好な結果であり、硝酸態窒素の溶液濃度測定が行える事が確認された。
【0055】
(実施例2)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、リン酸について分析を行った。
(既知濃度)
リン酸として、濃度10、50、100、200及び300mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(リン用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.94であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったRを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、リン酸として濃度250mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(リン用)を規定量加え、発色させた。発色後の溶液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ245mg/L、251mg/L、253mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に濃度75mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、72mg/L、77mg/L、76mg/Lとなり、良好な結果であった。リン酸のようなイオンの濃度測定に利用できることが確認された。
【0056】
(実施例3)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、マグネシウムについて分析を行った。
(既知濃度)
マグネシウムとして、濃度10、50、100、200及び300mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(マグネシウム用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.96であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったRを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、マグネシウムとして濃度200mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(マグネシウム用)を規定量加え、発色させた。発色後の溶液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ205mg/L、202mg/L、198mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に濃度75mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、70mg/L、75mg/L、77mg/Lとなり、良好な結果であった。マグネシウムのように水溶液中で陽イオンとなる物質の濃度測定に利用できることが確認された。
【0057】
(実施例4)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、カルシウムについて分析を行った。
(既知濃度)
カルシウムとして、濃度100、200、300、400及び500mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(カルシウム用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と、基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.99であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったGを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、カルシウムとして、濃度200mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(カルシウム用)を規定量加え、発色させた。発色後の溶液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ198mg/L、196mg/L、202mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に濃度100mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、95mg/L、95mg/L、98mg/Lとなり、良好な結果であった。500mg/L程度の比較的高い濃度の物質についても測定できることが確認された。
【0058】
(実施例5)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、マンガンについて分析を行った。
(既知濃度)
マンガンとして、濃度1、3、5、10及び25mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(マンガン用)を規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と、基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.98であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったGを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、マンガンとして濃度15mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(マンガン用)を規定量加え、発色させた。発色後の溶液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ14mg/L、116mg/L、16mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に濃度2mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、2.4mg/L、2.2mg/L、2.3mg/Lとなり、良好な結果であった。25mg/L程度の比較的低い濃度の溶液についての測定もできることが確認された。
【0059】
(実施例6)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、腐植物質(土壌中有機物)について分析を行った。
(既知濃度)
腐植物質として、合同会社土づくり推進機構製腐植抽出液により土壌腐植物質を抽出し、腐植物質を含む溶液を作成した。濃度1、5、8及び15重量%となるように溶液を調整した。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.95であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったBを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、腐植物質として濃度2.5重量%となるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ2.6重量%、2.7重量%、2.6重量%となり、良好な結果であった。同様に濃度4重量%となるように調整したテストサンプルを作成し、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、4.2重量%、4.3重量%、4.3重量%となり、良好な結果であった。腐植物質の様な有機物についても濃度の測定ができることが確認された。
【0060】
(実施例7)
実施例1と同じ装置、基準を用い、カリウムについて分析を行った。測定には、白色の紙にカーボンブラック量として95%含む着色剤により着色を施したものを測定部として用いた。
(既知濃度)
Oとして、濃度30、50、100、200及び266mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(カリウム用)を規定量加えた。カリウムの場合、懸濁液となるため、測定板に黒色の前記測定部を備えた
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
既知濃度の溶液基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は0.98であり、良好な結果であった。この時、相関が高かったRを利用した。また、目視でも濃度毎の色の違いが矛盾無く確認できた。
(未知濃度の測定)
本発明の濃度測定システムの効果を検証するため、濃度100mg/Lとなるように溶液を調整し、これを未知濃度のテストサンプルとした。このテストサンプルに合同会社土づくり推進機構製発色液(カリウム用)を規定量加えた。この懸濁液について、本発明の濃度測定システムにより測定し図4に示したフローチャートに従った後、濃度の結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、それぞれ105mg/L、110mg/L、107mg/Lとなり、良好な結果であった。同様に濃度200mg/Lとなるように調整したテストサンプルを作成し、同様に発色させた後、本発明の濃度測定システムにより測定し結果を表示した。同様の測定を3回実施した測定結果は、190mg/L、207mg/L、206mg/Lとなり、良好な結果であった。
【0061】
(実施例8)
本発明の濃度測定システムを土壌分析器として利用した。
実施例1と同じ装置、基準、測定を用いた。ナスを3ヶ月間にわたり栽培した土壌(黒ボク土)とナスを栽培する前に採取した同圃場の土壌をそれぞれ2g採取し、pH4.8の抽出液(合同会社土づくり推進機構製)を18mL加え5分間撹拌し、土壌から養分を抽出した。栽培後土壌から得られた抽出液をろ紙によりろ過後、これを光学セルに分注し、発色剤として、硝酸態窒素用、リン用、マグネシウム用、カリウム用、マンガン用、カルシウム用(いずれも合同会社土づくり推進機構製発色液)を規定量加え、発色させた。腐植物質については、実施例7と同様の抽出液を用い、同じ土壌から抽出した。これを本発明の濃度測定システムにより測定した。測定結果の一部を図8に示す。土壌からの抽出物であるため、生産者に分かりやすいように濃度の単位をmg/100gに変更した。測定は1回の撮像で完了した。測定結果は、硝酸態窒素13mg/100g土壌、リン酸16mg/100g土壌、カリウム68mg/100g土壌、カルシウム345mg/100g土壌、マグネシウム1mg/100g土壌、マンガン25mg/100g土壌及び腐植率0.9重量%を得た。腐植物質の濃度を除いたこれらの結果は、栽培前の土壌に対し、5%〜20%の低下を示し、栽培されたナスに養分の一部が吸収されたことが伺えた。腐植率については、0.9wt%であり、変化は確認されなかった。この結果から、本発明の濃度測定システムは、土壌分析器として利用できることが確認された。
【0062】
以上、実施例1から8により、本発明の濃度測定システムにより、可視域において濃度とRBGで表すことができる色情報に相関がある無機物及び有機物については、その濃度を簡便に測定できることが示された。また、カリウムのように、懸濁液についても本発明の濃度測定システムで用いられる測定部を備える測定板を用いることにより、効果的に濃度が測定できることが示された。
【0063】
(実施例9)リコピンの分析
野菜中の有効成分であるリコピンを分析するため、トマトに含まれるリコピンの濃度測定効果を検証した。リコピンの濃度測定用検量線を作成し、トマトから抽出したリコピンの濃度を本発明の濃度測定システムにより測定した。リコピンの既存濃度は、試薬として購入したリコピンを所定の濃度に希釈し、これを高速液体クロマトグラフィーにより決定し、それぞれの濃度毎に準備した溶液を濃度測定システムの手順により測定、検量線を作成した。栽培された小玉トマト(播種4月、収穫9月)10個をミキサーにより砕き、ジエチルエーテルとメタノールの混合抽出液により、リコピンを抽出した。抽出されたリコピンの濃度を本発明の濃度測定システムにより測定したところ10mg/100gであった。高速液体クロマトグラフィーで測定した結果は、10.3mg/100gであったため、良い結果が得られたと判断された。野菜中に含まれる養分について、測定できることが確認された。
【0064】
(実施例10)微生物試験
特許第5252737号に記載の除菌率測定方法を利用するため、微生物の調整を本発明の濃度測定システムにより実施した。微生物は、Escherichia coli(大腸菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)を用い、濃度として1.2×10個/mL及び2.4×10個/mLとなるように、波長632nmにおける吸光度がそれぞれ0.3及び0.6となる溶液を調整した。この波長632nmの吸光度は、紫外可視分光光度計を用いて測定した。この時の溶液を本発明の濃度測定システムにより測定し、検量線を作成した。一方で、大腸菌及び黄色ブドウ球菌をそれぞれ1×10個/mL調整するために溶液を調整し、本発明の濃度測定システムにより濃度を確認した。このとき表示された濃度は、1.05個/mLであった。この溶液をシャーレ上においた標準寒天培地に塗布し微生物数を計測したところ、0.9〜1.2×10個/mLの大腸菌及び黄色ブドウ球菌を確認した。この結果は微生物試験として良好な結果となった。この結果から、本発明の濃度測定装置で微生物の調整ができることが確認された。
【0065】
(比較例1)
実施例1と同じ装置、基準、を用い、硝酸態窒素について分析を行った。この時、測定は置かなかった。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、実施例1で測定板があった部分(この比較例では、前述のように測定板を置いていない)を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は最も高いGにおいても0.30であり、十分な相関が確認されなかった。測定がないことによりセル後方が画像として処理されたことが原因と考えられた。
【0066】
(比較例2)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、硝酸態窒素について分析を行った。測定と光学セルの距離を0mmとした。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。このときの相関係数は最も高いGにおいても0.60であり、良い相関は得られなかった。また、特に高い濃度において、実施例1とは異なる結果が得られた。これは、光学セルと測定が離間していないため、濃い溶液において、よりRGB値が共に低くなったことが原因と考えられた。
【0067】
(比較例3)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、硝酸態窒素について分析を行った。測定と光学セルとの角度を−10度とし、測定を行った。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は最も高いGにおいても0.65であり、良い相関は得られなかった。特に低い濃度において、実施例1とは異なる結果が得られた。これは、測定の焦点のズレや色情報のバラツキが原因になったと考えられた。
【0068】
(比較例4)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、硝酸態窒素について分析を行った。撮像手段と光源と光源の光軸の中心の角度を140度とし、試験を行った。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は最も高いGにおいても0.52であり全体的にバラツキが大きくなった。これは、撮像時に光源からの光の影響が撮像手段に影響し、色情報のバラツキが原因になったと考えられた。
【0069】
(比較例5)
実施例1と同じ装置、基準、測定を用い、硝酸態窒素について分析を行った。光学セルの下面と固定治具との距離を3mmとした。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と基準板に備えられた基準着色部と、測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は最も高いGにおいても0.7であり、全体的にバラツキが大きくなった。これは、光学セルの下面と固定治具との距離を5mm以上としたところ、良好な結果が得られたことから、固定治具が光学セル下面に近いことが、このバラツキの原因と考えられた。
【0070】
(比較例6)
実施例1と同じ装置、測定を用い、硝酸態窒素について分析を行った。光学セルの下面と固定治具との距離を3mmとした。この際、基準を用いなかった。
(既知濃度)
硝酸態窒素として、濃度10、15、20、30及び50mg/Lとなるように溶液を調整した。この溶液に合同会社土づくり推進機構製発色液(硝酸態窒素用)規定量加え、発色させた。
(第一の撮像と濃度測定用検量線の作成)
発色させた既知濃度の溶液と測定板に備えられた測定部と、を撮像手段により撮像し、濃度測定用検量線を作成した。この濃度測定用検量線の傾きから、既知濃度と基準濃度色情報の関係式を得た。この時の相関係数は最も高いGにおいても0.65であり、全体的にバラツキが大きくなった。実施例1との比較から、本発明で用いた基準を利用する事が測定の誤差を低減していることが示された。
【符号の説明】
【0071】
1 濃度測定システム
2 光源
2−1 光源位置決め及び保持手段
3 光学セル
4 基準着色部
4A 基準
4B 測定
5 被測定物
6 筐体
固定治具
8 撮像装置
8A 撮像手段
41 指示記号
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の濃度測定システムを利用すれば、未知濃度の物質の測定が容易になり、農業関連から食品関連業界でも利用範囲が広がる。
図1
図2
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