特許第6876296号(P6876296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876296
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】支持地盤の深度測定方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   E02D1/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-82512(P2017-82512)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-178618(P2018-178618A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】坂井 公俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩平
(72)【発明者】
【氏名】荒木 豪
(72)【発明者】
【氏名】盛川 仁
(72)【発明者】
【氏名】飯山 かほり
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−305235(JP,A)
【文献】 特開2001−193046(JP,A)
【文献】 特開平11−287865(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0143924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00−1/08
G01V 1/00−1/52
G01V 9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持地盤の深度測定方法であって、地表面において、任意の基準点と、前記基準点と間隔をあけた観測地点との同時の常時微動観測を複数セット行い、前記常時微動観測による常時微動波形から、各観測セットにおける前記基準点からの鉛直フーリエスペクトル比を求めて、2セットの前記鉛直フーリエスペクトル比に見られるピーク周期差を求め、別途実施した数値解析結果に基づいて、前記ピーク周期差から2観測地点間の前記支持地盤の深度差を求め、前記深度差と前記いずれかの観測地点で実施された地盤調査から判明した深度を用いて、前記支持地盤の深度を測定することを特徴とする、支持地盤の深度測定方法。
【請求項2】
前記数値解析結果は、下記(1)式、
ΔH=F(ΔT,Vs) --- (1)
但し、(1)式において、
ΔH:支持地盤の深度差、
ΔT:ピーク周期差、
Vs:改良地盤の剛性、
に基づいて求めることを特徴とする、請求項1に記載の、支持地盤の深度測定方法。
【請求項3】
前記複数セットによる前記支持地盤の深度により前記支持地盤の傾斜を把握することを特徴とする、請求項1または2に記載の、支持地盤の深度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支持地盤の深度測定方法、特に、地盤改良工において、支持地盤の深度を簡易かつ短時間に測定することができる、支持地盤の深度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤上に、鉄道構造物等の構造物を構築するには、地盤改良工を実施する必要がある。この場合、地盤改良工の実施深さは、事前の標準貫入試験等の地盤調査により決定するのが一般的である。
【0003】
事前の標準貫入試験等の地盤調査により地盤改良工の実施深さを決定する場合、鉄道線路のように対象区間が長くなると、支持地盤の深度を、傾斜等も考慮して、適切かつ連続的に把握するためには、多数の地盤調査が必要となる。
【0004】
支持地盤の深度をボーリング調査により決定する地盤調査の一例を図5に示す。図5に示すように、支持地盤1の深度は、図5中、破線で示すように変化し、改良対象層2の調査ボーリングを行った2箇所3a、3b間の支持地盤1の深度は、直線的に傾斜しているものと判断している。
【0005】
しかしながら、2箇所3a、3b間の支持地盤1の深度は、実際は、図5中、一点鎖線で示すように、山形に傾斜している場合、あるいは、図5中、二点鎖線で示すように、谷形に傾斜している場合も十分にあり得る。
【0006】
地盤改良は、例えば、図6に示すように、複数本の改良杭4を改良対象層2に施工することによって行う。実施深さは、改良杭4の施工中に支持地盤を確認するが、2箇所3a、3b間の改良対象層2が山形に傾斜している場合には、余分な深さまで改良杭4を施工するおそれがある。一方、2箇所3a、3b間の改良対象層2が谷形に傾斜している場合は、改良杭4が支持地盤1に到達しないおそれがある。また、実際の支持地盤まで改良杭4が施工されたとしても、当初の施工計画と異なり、急な作業工程や材料供給の変更を余儀なくされることで、施工効率が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなことから、地盤改良工において、支持地盤の深度を事前に把握して、深度に見合った地盤改良を行うことは重要である。
【0008】
この対処法として、上述したように、支持地盤の深度を、傾斜等も考慮して、多数の地盤調査により行う方法があるが、かかる方法は、多大な工費と時間を要する。
【0009】
このために、支持地盤の深度を簡易かつ短時間に測定することができる、支持地盤の深度測定方法の開発が望まれているが、かかる方法は、まだ提案されていないのが現状である。
【0010】
従って、この発明の目的は、地盤改良工において、支持地盤の深度を、多数の地盤調査により行う場合に比べて、簡易かつ短時間に測定することができる、支持地盤の深度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0012】
請求項1に記載の発明は、支持地盤の深度測定方法であって、地表面における任意の基準点と、前記基準点と間隔をあけた観測地点との同時の常時微動観測を複数セット行い、前記常時微動観測による常時微動波形から、各観測セットにおける前記基準点からの鉛直フーリエスペクトル比を求めて、2セットの前記鉛直フーリエスペクトル比に見られるピーク周期差を求め、別途実施した数値解析結果に基づいて、前記ピーク周期差から2観測地点間の前記支持地盤の深度差を求め、前記深度差と前記いずれかの観測地点で実施された地盤調査から判明した深度を用いて、前記支持地盤の深度を測定することに特徴を有するものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記数値解析結果から評価される、下記(1)式、
ΔH=F(ΔT,Vs) --- (1)
但し、(1)式において、
ΔH:支持地盤の深度差、
ΔT:ピーク周期差、
Vs:改良地盤の剛性、
に基づいて求めることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記複数セットによる前記支持地盤の深度により前記支持地盤の傾斜を把握することに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、地盤改良工において、支持地盤の深度を、多数の地盤調査により行う場合に比べて、簡易かつ短時間に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】2観測地点同時の常時微動観測の基本原理説明図である。
図2】フーリエスペクトル比を示すグラフである。
図3】数値解析結果に基づくピーク周期差と支持地盤の深度差との関係を示すグラフである。
図4】この発明による、支持地盤の深度測定方法を示す断面図である。
図5】地盤調査の一例を示す断面図である。
図6】改良杭による地盤改良法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の、支持地盤の深度測定方法の基本原理を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、2観測地点同時の常時微動観測の基本原理説明図、図2は、フーリエスペクトル比を示すグラフ、図3は、数値解析結果に基づくピーク周期差と支持地盤の深度差との関係を示すグラフである。
【0019】
この発明の、支持地盤の深度測定方法は、図1に示すように、支持地盤1上の改良対象層2の地表面における任意の基準点Pと、基準点Pと間隔をあけたA観測地点とに微動計5を設置して、基準点PとA観測地点とにおける常時微動を同時観測する。
【0020】
次に、基準点Pと間隔をあけたB観測地点とに微動計5を設置して、基準点PとB観測地点とにおける常時微動を同時観測する。すなわち、地表面において基準点Pと同時の常時微動観測を2セット行う。図1ではこのようなセットとして、セットABとセットBCを示している。
【0021】
次に、常時微動観測による常時微動波形から、各セットにおいて2観測地点における基準点Pからの鉛直フーリエスペクトル比をそれぞれ求め、この鉛直フーリエスペクトル比に見られるピーク周期差ΔTを求める(図2参照)。セットABからA観測地点とB観測地点の周期差ΔTAB、セットBCからB観測地点とC観測地点の周期差ΔTBCを評価する。
【0022】
次に、数値解析式に基づいて、ピーク周期差ΔTから2観測地点間の支持地盤の深度差ΔHを求める(図3参照)。セットABからA観測地点とB観測地点の深度差ΔHAB、セットBCからB観測地点とC観測地点の深度差ΔHBCを評価する。
【0023】
ここで、数値解析式は、下記(1)式からなっている。
【0024】
ΔH=F(ΔT,Vs) --- (1)
但し、(1)式において、
ΔH:支持地盤の深度差、
ΔT:ピーク周期差、
Vs:改良地盤の剛性。
【0025】
ここでA、B、C観測地点のいずれかにおいて、地盤調査が実施されており、その深度が既知である場合に、その他の観測地点の深度を測定することができる。例えば、A観測地点で、深度L3が既知である場合に、深度差ΔHに基づいて、B観測地点とC観測地点における支持地盤1の深度L1、L2を測定することができる。また、深度差ΔHを求めることによって、深度差ΔHと2観測地点間の距離から支持地盤1の傾斜状態を把握することができる。
【0026】
なお、B観測地点の支持地盤1の深度L1は、A観測地点の支持地盤1の深度L3に深度差ΔHABを加えたものである。C観測地点の支持地盤1の深度L2は、B観測地点の支持地盤1の深度L1に深度差ΔHBCを加えたものである。
【0027】
この発明により、実際に、支持地盤の深度を測定するには、図4に示すように、ボーリング調査箇所3を含む複数個所において、基準点6との微動計5による同時の常時微動観測を行えば、上述したように、常時微動観測を実施した区間の支持地盤1の深度と、これに基づいて、この区間の支持地盤1の傾斜を測定することができる。
【0028】
以上、説明したように、この発明によれば、地盤改良工における支持地盤の深度を、常時微動観測を行うことによって、多数の地盤調査を行う場合に比べて、簡易かつ短時間に測定することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:支持地盤
2:改良対象層
3:ボーリング調査箇所
4:改良杭
5:微動計
6:基準点
図1
図2
図3
図4
図5
図6