(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6876305
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】合成繊維延伸装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
D02J 1/22 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
D02J1/22 G
D02J1/22 Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-207758(P2019-207758)
(22)【出願日】2019年11月18日
【審査請求日】2019年12月9日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代ロボット中核技術開発/革新的ロボット要素技術分野/高強度化学繊維を用いた「超」腱駆動機構と制御法の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】516165435
【氏名又は名称】株式会社横浜ケイエイチ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】細川 兼奨
(72)【発明者】
【氏名】萩原 哲夫
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−337359(JP,A)
【文献】
中国実用新案第203846196(CN,U)
【文献】
実開昭56−053781(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02J 1/00−13/00
D02G 1/00− 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム構造と、
前記フレーム構造の外部に設けられ、延伸すべき合成樹脂の糸を巻回すための繰出しリールを回転させるための繰出しモータと、
前記フレーム構造の外部に設けられ、延伸された前記糸を引取るための引取りリールを回転させるための引取りモータと、
前記フレーム構造の上部に固定された第1、第2、第3の固定プーリと、
前記第1、第2、第3の固定プーリに対抗して前記フレーム構造内で移動可能な移動プーリと、
前記フレーム構造の下部に固定され、前記移動プーリを移動させて前記糸に所定引張力を与えるための移動機構と、
前記繰出しモータ、前記引取りモータ及び前記移動機構を制御するための制御ユニットと
を具備し、
前記糸は、前記繰出しリールから前記第1の固定プーリ、前記移動プーリと前記第2の固定プーリとの間、及び前記第3の固定プーリを介して前記引取りリールに巻回される合成繊維延伸装置。
【請求項2】
前記第1、第2、第3の固定プーリ及び前記移動プーリは非回転プーリである請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項3】
前記各第1、第3の固定プーリには前記糸が巻回される少なくとも1巻のらせん溝が設けられ、
前記第2の固定プーリには前記糸が巻回される少なくとも1巻の環溝が設けられ、
前記移動プーリには前記第2の固定プーリの環溝の数より多い前記糸が巻回される少なくとも2巻の環溝が設けられた請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項4】
前記制御ユニットの記憶装置は、
前記移動機構を制御して前記第1、第2、第3の固定プーリと前記移動プーリとの距離を所定値とすると共に前記繰出しモータ及び前記引取りモータをオンにして前記糸を移動させるための糸移動手順と、
前記糸移動手順の後に、前記移動機構を制御して前記第1、第2、第3の固定プーリと前記移動プーリとの距離を前記所定値より大きくして前記糸に所定引張力を加えると共に、前記繰出しモータ及び前記引取りモータをオフにして前記糸の移動を停止させるための糸延伸手順と
を制御プログラムとして格納する請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項5】
前記移動機構はエアシリンダを具備する請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項6】
前記移動機構は直動型ボールねじ構造を具備する請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項7】
さらに、前記フレーム構造に設けられたヒータを具備し、前記制御ユニットの記憶装置は前記ヒータを制御するための手順を格納する請求項1に記載の合成繊維延伸装置。
【請求項8】
フレーム構造と、
前記フレーム構造の外部に設けられ、延伸すべき合成樹脂の糸を巻回すための繰出しリールを回転させるための繰出しモータと、
前記フレーム構造の外部に設けられ、延伸された前記糸を引取るための引取りリールを回転させるための引取りモータと、
前記フレーム構造の上部に固定された第1、第2、第3の固定プーリと、
前記第1、第2、第3の固定プーリに対抗して前記フレーム構造内で移動可能な移動プーリと、
前記フレーム構造の下部に固定され、前記移動プーリを移動させ前記糸に所定引張力を与えるための移動機構と、
記憶装置を有し、前記繰出しモータ、前記引取りモータ及び前記移動機構を制御するための制御ユニットと
を具備し、
前記糸は、前記繰出しリールから前記第1の固定プーリ、前記移動プーリと前記第2の固定プーリとの間、及び前記第3の固定プーリを介して前記引取りリールに巻回される合成繊維延伸装置において、
前記移動機構を制御して前記第1、第2、第3の固定プーリと前記移動プーリとの距離を所定値とすると共に前記繰出しモータ及び前記引取りモータをオンにして前記糸をロット毎に所定移動量だけ移動させるための糸移動手順と、
前記糸移動手順の後に、所定時間だけ前記移動機構を制御して前記第1、第2、第3の固定プーリと前記移動プーリとの距離を前記所定値より大きくして前記糸に前記所定引張力を加えると共に、前記繰出しモータ及び前記引取りモータをオフにして前記糸の移動を停止させるための糸延伸手順と
を具備する前記制御ユニットの前記記憶装置に格納された制御プログラム。
【請求項9】
さらに、前記所定時間を前記ロット毎に変化させるための手順を具備する請求項8に記載の制御プログラム。
【請求項10】
さらに、前記所定引張力を前記ロット毎に変化させるための手順を具備する請求項8に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記合成繊維延伸装置はさらに前記フレーム構造内に設けられたヒータを具備し、
さらに、前記ヒータの温度を前記ロット毎に変化させるための手順を具備する請求項8に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成繊維延伸装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド、ポリアミド等の熱可塑性の合成繊維の破断荷重の向上及び縦弾性係数の安定化のために、使用前に初期張力をかけて引張る前処理が有効である。この引張前処理は延伸処理と呼ばれる。この延伸処理を行うと、初期張力以下の範囲で応力−歪み特性の線形性の向上が確認されている。尚、延伸処理は一般に合成繊維の最終製品に合わせて複数回実行される。
【0003】
図13は従来の合成繊維延伸装置を示す図である(参照:特許文献1)。
【0004】
図13において、繰出しリール101は延伸前の糸Tが巻回されている。糸Tは繰出しリール101からガイド102、繰出しローラ103を介して低速の供給ローラ104に供給される。供給ローラ104の糸Tは高速の引取りローラ105によって引取られ、ガイド106を介して引取りリール107に巻回される。供給ローラ104は回転軸方向が少し異なる大径のドローローラ1041及び小径のセパレータローラ1042よりなり、糸Tは摩擦力を大きくするためにドローローラ1041及びセパレータローラ1042を複数回周回しても同じ位置にならないようにされている。同様に、引取りローラ105は回転軸方向が少し異なる大径のドローローラ1051及び小径のセパレータローラ1052よりなり、糸Tは摩擦力を大きくするためにドローローラ1051及びセパレータローラ1052を複数回周回しても同じ位置にならないようにされている。従って、糸Tは供給ローラ104の回転速度と引取りローラ105の回転速度との比に応じて延伸される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭56−53781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図13に示す従来の合成繊維延伸装置においては、糸Tと供給ローラ104、引取りローラ105との間は線接触であるので、これらの間の接触面積が小さくなるため、供給ローラ104、引取りローラ105を大型化する必要がある。また、延伸力を増大するために、つまり、供給ローラ104の回転速度に対して引取りローラ105の回転速度を大きくするために、供給ローラ104、引取りローラ105特に引取りローラ105の駆動モータを大型化する必要がある。たとえば、引取りローラ105の駆動モータは60kg程度となる。従って、装置が大型化するという課題がある。
【0007】
また、
図13に示す従来の合成繊維延伸装置は、延伸条件が同一の大ロットの大量生産に向くが、供給ローラ104の駆動モータ及び引取りローラ105の駆動モータの制御の切替が複雑となるので、延伸条件が異なる小ロットの小量生産に向かないという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る合成繊維延伸装置は、フレーム構造と、フレーム構造の外部に設けられ、延伸すべき合成樹脂の糸を巻回すための繰出しリールを回転させるための繰出しモータと、フレーム構造の外部に設けられ、延伸された糸を引取るための引取りリールを回転させるための引取りモータと、フレーム構造の上部に固定された第1、第2、第3の固定プーリと、第1、第2、第3の固定プーリに対抗してフレーム構造内で移動可能な移動プーリと、フレーム構造の下部に固定され、移動プーリを移動させて糸に所定引張力を与えるための移動機構と、繰出しモータ、引取りモータ及び移動機構を制御するための制御ユニットとを具備し、糸は、繰出しリールから第1の固定プーリ、移動プーリと第2の固定プーリとの間、及び第3の固定プーリを介して引取りリールに巻回されるものである。
【0009】
また、本発明に係る
制御プログラムは、フレーム構造と、フレーム構造の外部に設けられ、延伸すべき合成樹脂の糸を巻回すための繰出しリールを回転させるための繰出しモータと、フレーム構造の外部に設けられ、延伸された糸を引取るための引取りリールを回転させるための引取りモータと、フレーム構造の上部に固定された第1、第2、第3の固定プーリと、第1、第2、第3の固定プーリに対抗してフレーム構造内で移動可能な移動プーリと、フレーム構造の下部に固定され、移動プーリを移動させて糸に所定引張力を与えるための移動機構と
、記憶装置を有し、繰出しモータ、引取りモータ及び移動機構を制御するための制御ユニットとを具備し、糸は、繰出しリールから第1の固定プーリ、移動プーリと第2の固定プーリとの間、及び第3の固定プーリを介して引取りリールに巻回される合成繊維延伸装置
において、移動機構を制御して第1、第2、第3の固定プーリと移動プーリとの距離を第1の所定値とすると共に繰出しモータ及び引取りモータをオンにして糸をロット毎に所定移動量だけ移動させるための糸移動手順と、糸移動手順の後に、所定時間だけ移動機構を制御して第1、第2、第3の固定プーリと移動プーリとの距離を所定値より大きくして糸に所定引張力を与えると共に繰出しモータ及び引取りモータをオフにして糸の移動を停止させるための糸延伸手順とを具備
し、制御ユニットの記憶装置に格納されたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、繰出しモータ及び引取りモータは延伸動作に用いず糸移動動作のみに用いるので、繰出しモータ及び引取りモータを小型化でき、従って、合成繊維延伸装置を小型化できる。また、繰出しモータ及び引取りモータの制御をロット毎に容易に変化でき、従って、延伸条件が異なる小ロットの少量生産を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る合成繊維延伸装置の実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の合成繊維延伸装置の詳細を示し、(A)は上面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図である。
【
図3】
図1のモータベースプレート、繰出しモータ及び繰出しリールの拡大斜視図である。
【
図4】
図1のモータベースプレート、引取りモータ及び引取りリールの拡大斜視図である。
【
図6】
図5の固定プーリ81、83の拡大図であって、(A)は部分断面上面図、(B)は(A)の円筒状らせん溝の拡大図である。
【
図7】
図5の固定プーリ82の拡大図であって、(A)は上面図、(B)は(A)の円筒状環溝の拡大図である。
【
図8】
図1の移動プーリ及びエアシリンダの拡大斜視図である。
【
図9】
図8の移動プーリの拡大図であって、(A)は部分断面上面図、(B)は(A)の円筒状環溝の拡大図である。
【
図10】
図1の合成繊維延伸装置における合成繊維の糸の巻回状態を示す図である。
【
図11】
図1の制御ユニットの動作を説明するための
制御ルーチン(特許請求の範囲の制御プログラムに相当)のフローチャートである。
【
図12】
図11の糸移動動作ステップ及び延伸動作ステップにおける
図1の合成繊維延伸装置の糸状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る合成繊維延伸装置の実施の形態を示す斜視図であり、
図2は
図1の合成繊維延伸装置の詳細を示し、(A)は上面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図である。
【0013】
図1、
図2において、ベースプレート1上に4つの縦フレーム2−1、2−2、2−3、2−4を固定すると共に、各縦フレーム2−1、2−2、2−3、2−4間に横フレーム3−1、3−2、3−3、3−4;4−1、4−2、4−3、4−4を設ける。また、フレーム2−1、2−2、2−3、2−4上にトッププレート5を設ける。これにより、たとえば、幅900mm程度×奥行き500mm程度×高さ1800mm程度の小型のフレーム構造を構築する。
【0014】
フレーム構造の右外側のベースプレート1上にモータベースプレート61を固定し、モータベースプレート61の一方側に繰出しモータ62を設ける。モータベースプレート61の他方側に突出した繰出しモータ62の軸には延伸すべき合成繊維の糸を巻回した繰出しリール63を嵌込む。
【0015】
フレーム構造の左外側のベースプレート1上にモータベースプレート71を固定し、モータベースプレート71の一方側に引取りモータ72を設ける。モータベースプレート71の他方側に突出した引取りモータ72の軸には延伸された合成繊維の糸を巻回する引取りリール73を嵌込む。
【0016】
フレーム構造の上部たとえばトッププレート5上には固定プーリ81、82、83が固定される。他方、フレーム構造内には移動プーリ91が固定プーリ81、82、83に対抗して移動可能に設けられ、つまり、移動プーリ91はフレーム構造の下部たとえばベースプレート1に固定されたエアシリンダ92によってフレーム構造内を移動できる。この結果、固定プーリ81、82、83と移動プーリ91との距離を変化させて糸の引張力を変化できる。この場合、エアシリンダ92は電空レギュレータを内蔵して糸の引張力を変化させる。尚、固定プーリ81、82、83及び移動プーリ91は非回転プーリである。
【0017】
また、抵抗加熱式又は電磁波式(マイクロ波式)のヒータ(図示せず)をフレーム構造内の縦フレーム2−2、2−3間及び縦フレーム2−4、2−1間に設ける。この場合、縦フレーム2−1、2−2、2−3、2−4間に覆い板(図示せず)を設けてヒータの熱がフレーム構造外に逃げるのを防止する。
【0018】
制御ユニット10は繰出しモータ62、引取りモータ72、エアシリンダ92及びヒータを制御するためのものである。
【0019】
図3の拡大斜視図に示すように、繰出しモータ62は小型であり、15kg程度と軽い。
【0020】
図4の拡大斜視図に示すように、引取りモータ72も小型であり、繰出しモータ62より重いが、37kg程度と軽い。尚、レべリングユニット74は糸が引取りリール73に巻回される際に、糸が均一に巻回されるように作用するものである。
【0021】
図5の拡大斜視図に示すように、固定プーリ81、83には円筒状らせん溝81a、83aが設けられる。尚、固定プーリ81、83は同一形状をなしているが、異なってもよい。固定プーリ82には円筒状環溝82aが設けられる。
【0022】
図6の拡大図に示すように、
図5の固定プーリ81(83)はたとえば直径120mm、長さ70mmの円筒状をなしている。円筒状らせん溝81a(83a)においては、溝半径R1=1.1mm、溝ピッチP1=2.5mm、有効総巻数22である。この場合、溝半径R1は巻回される糸の直径の約1.1倍程度であり、従って、糸の直径に応じて溝半径R1を変更する。
【0023】
図7の拡大図に示すように、
図5の固定プーリ82はたとえば直径120mm、長さ40mmの円筒状をなしている。円筒状環溝82aにおいては、溝半径R2=1.1mm、溝ピッチP2=10mm、有効総巻数2である。この場合、溝半径R2も巻回される糸の直径の約1.1倍程度であり、従って、糸の直径に応じて溝半径R2も変更する。
【0024】
図8の拡大斜視図に示すように、移動プーリ91には円筒状環溝91aが設けられる。移動プーリ91はエアシリンダ92の台座に移動可能に設定される。エアシリンダ92は圧縮空気エネルギーをフレーム構造の縦方向の直動運動に変換するもので、たとえば7気圧、3000kgfの力で移動プーリ91を上下運動させる。従って、エアシリンダ92の上下運動に応じて移動プーリ91は上下運動させて糸の所定引張力を実現する。
【0025】
図9の拡大図に示すように、
図8の移動プーリ91はたとえば直径120mm、長さ40mmの円筒状をなしている。円筒状環溝91aは、溝半径R3=1.1mm、溝ピッチP3=10mm、有効総巻数3である。この場合、溝半径R3も巻回される糸の直径の約1.1倍程度であり、従って、糸の直径に応じて溝半径R3も変更する。
【0026】
以上のごとく構成した合成繊維延伸装置の総重量は約80kgと軽い。また、糸Tと溝が形成された固定プーリ81、82、83及び移動プーリ91との間は面接触となり、従って、これらの接触圧は小さくなり、繰出しモータ62及び引取りモータ72を小型化できると共に、糸Tの延伸が均一となる。
【0027】
図10は
図1の合成繊維延伸装置に合成繊維の糸を巻回した図である。
【0028】
図10において、糸Tは繰出しリール63から固定プーリ81に22巻回され、次いで、移動プーリ91と固定プーリ82との間を2巻回され、次いで、固定プーリ83を22巻回され、最後に、引取りリール73に巻回される。従って、フレーム構造の高さをL(≒2m)とすれば、固定プーリ81から固定プーリ83までの糸Tの長さはほぼ8×Lとなり、約16mとなり、糸Tの1ロット長さ16m毎に延伸条件を変化させれば、多品種の小ロットの延伸された糸を得ることができる。
【0029】
図11は
図1の制御ユニット10の動作を説明するための
制御ルーチン(特許請求の範囲の制御プログラムに相当)のフローチャートである。尚、この制御ルーチンは制御ユニット10の記憶装置に格納されているものとする。また、ロット番号Nは初期化ルーチンにおいてN=1と初期化されているものとし、さらに、ロット番号Nに応じた延伸時間TMは制御ユニット10の記憶装置にテーブルとして格納されているものとする。
【0030】
始めに、ステップ1101にて、ヒータをオンとする。これにより、フレーム構造内の温度を所定温度になるようにする。
【0031】
次に、ステップ1102にて、エアシリンダ92を駆動して移動プーリ91を所定の上方位置に移動する。これにより、糸Tは糸Tが延伸しない程度の低張力状態となる。
【0032】
次に、ステップ1103にて、糸移動動作を行う。つまり、繰出しモータ62及び引取りモータ72を駆動し、
図12の(A)に示すごとく、糸Tを繰出しリール63から固定プーリ81、移動プーリ91、固定プーリ82、移動プーリ91及び固定プーリ83を介して引取りリール73に所定量だけ移動させる。尚、ロット番号N=1のときは糸移動量は少なく、糸Tが低張力状態になればよい。また、ロット番号N≧2以上のときには、糸Tの移動量は上述の1ロット長さ約16mである。
【0033】
ステップ1103においては、糸Tは延伸動作を起こさせない程度で低張力状態で移動するので、繰出しモータ62及び引取りモータ72は低出力つまり小型でよい。但し、糸Tの低張力状態を維持するために、引取りモータ72の出力は繰出しモータ62の出力より少し大きくする。
【0034】
次に、ステップ1104にて、繰出しモータ62及び引取りモータ72を停止して繰出しリール63及び引取りリール73を停止する。
【0035】
次に、ステップ1105にて、エアシリンダ92を駆動して移動プーリ91を糸Tに所定糸張力を与える下方位置に移動する。これにより、糸Tは、
図12の(B)に示すごとく、糸Tが延伸する程度の高張力状態となる。
【0036】
次に、ステップ1106にて、記憶装置に記憶されたテーブルを用いてロット番号Nに応じた延伸時間TMを読出し、ステップ1107にて延伸時間TMだけステップ1105の延伸動作を維持する。
【0037】
次に、ステップ1108にて、繰出しリール63に糸Tが存在するか否かを図示しないセンサ等によって検出する。この結果、糸Tが繰出しリール63に存在すれば、ステップ1109にてロット番号Nを+1とし、上述のステップ1102〜1108のフローを繰返し、他方、糸Tが繰出しリール63に存在しなければ、ステップ1010にてヒータをオフにし、ステップ1111にてこの制御ルーチンは終了する。
【0038】
尚、
図11のステップ1101では、ヒータは所定温度となるようにしたが、ロット番号Nに応じて変化させてもよい。また、
図11のステップ1105では、移動プーリ91の下方位置は糸Tに所定引張力を与える位置としたが、ロット番号Nに応じて所定引張力を変化させてもよい。このように、延伸条件を制御することにより、多品種の小ロットの製造が可能となる。
【0039】
尚、上述の実施の形態においては、固定プーリ81、82、83及び移動プーリ91は円筒状としたが、これに限定されない。また、固定プーリ81、82、83及び移動プーリ91は非回転型としたが、固定プーリ81、82、83及び移動プーリ91は回転型とし、糸を初期的に手動で巻回する際には、各プーリは回転可能にし、
図11の制御ルーチンを実行する際に、各プーリの回転をピン等で停止させてもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態においては、固定プーリ81、82の溝数を22とし、固定プーリ82の溝数を2とし、移動プーリ91の溝数を3としたが、これに限定されない。すなわち、固定プーリ81、82の溝数は1以上、固定プーリ82の溝数は1以上、移動プーリ91の溝数は固定プーリ82の溝数より多い2以上とすればよい。
【0041】
また、上述の実施の形態におけるエアシリンダの代りに、直動運動する他の構成要素たとえば糸に所定引張力を与えることができる直動型ボールねじ構造を用いてもよい。
【0042】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0043】
1:ベースプレート
2−1、2−2、2−3、2−4:縦フレーム
3−1、3−2、3−3、3−4;4−1、4−2、4−3、4−4:横フレーム
5:トッププレート
61:モータベースプレート
62:繰出しモータ
63:繰出しリール
71:モータベースプレート
72:引取りモータ
73:引取りリール
74:レベリングユニット
81、82、83:固定プーリ
81a、83a:円筒状らせん溝
82a:円筒状環溝
91:移動プーリ
91a:円筒状環溝
92:エアシリンダ
10:制御ユニット
T:糸
【要約】 (修正有)
【課題】小型化でき、かつ延伸条件が異なるロットの小量生産が可能な合成繊維延伸装置及びその制御プログラムの提供。
【解決手段】合成繊維延伸装置は、フレーム構造2−1、2−2、2−3、2−4,3−1、3−2、4−1、4−2と、フレーム構造の外部に設けられ、延伸すべき合成樹脂の糸を巻回すための繰出しリール63を回転させる繰出しモータ62と、フレーム構造の外部に設けられ、延伸された糸を引取る引取りリール73を回転させる引取りモータ72と、フレーム構造の上部に固定された固定プーリ81、82、83と、フレーム構造内で移動可能な移動プーリ91と、フレーム構造の下部に固定され、移動プーリ91を上下移動させて糸に所定引張力を与えるエアシリンダ92と、制御ユニット10とを備え、糸は、繰出しリール63から固定プーリ81、移動プーリ91と固定プーリ82との間、及び固定プーリ83を介して引取りリール73に巻回される。
【選択図】
図1