(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可食ストローを複数収容可能に構成された収容体に所定本数の前記筒状体を収容し、当該筒状体の内壁に囲まれた空間と、この空間以外の当該収容体内の空間とに粉体を充填することを特徴とする、
請求項1に記載の可食ストローの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、本実施形態に係る可食ストローでは、可食物として米、小麦などの穀物類、その他デンプン素材等を用いた可食物シート、例えばライスペーパーを使用した飲料用ストローを例に挙げて説明する。また、可食物としてはその他にも野菜や海藻類などを原材料とする可食物シートを用いても良い。
【0012】
[実施形態例]
図1は、本実施形態に係る可食ストローの構成の一例を説明するための図である。
図1に示す可食ストローSは、飲料等が通過する空間を有する筒状に形成されたストローである。
図1中に示す可食ストローSでは、長さH、外径K、厚みT(壁の厚み)を有する可食ストローである。
【0013】
例えば、可食物シート100を筒状に形成した筒状体(ストロー本体)の内壁側空間のサイズが直径5[mm]、壁の厚みTが1[mm]である場合には、当該筒状体の外径Kが7[mm]、長さHが200[mm]などとして形成することができる。なお、これらの各サイズは、対象の飲料等の温度や粘度などに応じて適宜設計することができる。
【0014】
図2、
図3は、可食ストローSを製造プロセスの一例を説明するための図である。
図2(a)は、可食物シート100の一例を示しており、
図2(b)は、可食物シート100の表面に粘着材Fを塗布した様子を示しており、
図2(c)は、可食物シート100を筒状に形成する様子を示している。
図3(a)は、可食物シート100を筒状に形成した筒状体を加熱・焼成している様子を示しており、
図3(b)は、
図3(a)とは異なる方法で筒状体を加熱・焼成している様子を示している。
【0015】
図2(a)に示す可食物シートについてその一例を以下説明する。
米粉、小麦粉、大豆、穀類その他デンプン素材類を水(液体)と一緒に捏ねてペースト状態にし、このペーストを薄く延ばしてシート状にして乾燥させることで可食物シート100が形成される。この様にして可食物をいわゆるライスペーパー状態にする。この様にすることで保管時においてかさばることなく、且つ、乾燥させているため保存性も良くなる。なお、味や製品強度を向上させるために砂糖や塩などを添加しても良い。
【0016】
可食物シート100のサイズは、例えば図正面から見て縦方向を可食物シート100の高さとしたとき、この長さが形成後の可食ストローSの長さHを決定する要素となる。
また、図正面から見て横方向を可食物シートの幅としたとき、この長さが後述する巻芯200への巻き付け後の可食ストローの厚みT(壁の厚み)及び外径サイズを決定する要素となる。
【0017】
図2(a)に示す可食物シート100を筒状に形成する工程の一例を以下説明する。
シート状に形成された可食物は、その乾燥した状態では折り曲げに適していない。そのため、
図2(b)に示すように、水分を含んだ食用糊などの可食性の粘着材Fを可食物シートの一の表面、あるいは両面に薄く塗って塗布したり、霧状にして吹き付けたりして塗布する。このようにして可食物シートを柔らかく軟化させることで、後述する巻芯200への巻き付けを容易に行えるようにする。
なお、可食物シートを半乾燥状態に留めることで上記した軟化工程を省略することも可能である。
【0018】
図2(c)に示す巻芯200は、円柱形状に形成された放熱体であり、当該巻芯200に可食物シート100を巻き付けて形成された筒状体の内壁側から加熱・焼成すための一種のヒータである。
なお、巻芯200の外径サイズは、形成後の可食ストローSにおける飲料等が通過する空間の直径と同じサイズとなる。また、ヒータ機能は例えば巻芯200の内部にニクロム線を配して電気を通電させることで熱を発生するような構成を採用することができる。また、筒状体(ストロー本体)からの巻芯200の抜き取りを容易にするために当該筒状体の長さよりも相対的に巻芯200の長さを長く構成しても良い。
【0019】
また、巻芯200による加熱・焼成の温度は、例えば穀類が凝固化する温度(例えば65[℃])程度に調整する。例えば、トウモロコシのデンプンではその糊化温度は64[℃]〜71[℃]であり、サツマイモのデンプンではその糊化温度は82[℃]〜83[℃]とする。なお、可食ストロー焼成過程では、糊化を目的とするだけでなく食感や香りそして素材の美味しさを求めて焼成温度を決定しても良い。
【0020】
また、軟化した状態の可食物シート100を巻芯200に巻き付ける回数(巻き数)は可食ストローSの使用目的に応じて任意に設定することができる。なお巻き数は、少なくとも可食ストローSをストローとして使用するときにその側面から液漏れが生じないような巻き数とする。
【0021】
例えば巻き数を2巻以上とする場合、重なり合う可食物シート間に可食性の粘着材Fが介在し、巻芯200により加熱・焼成させることで水分が蒸発して当該可食物シート間を強固に接着させる。そのため、このようにして形成された可食ストローSは、使用時や運搬時における耐久性に優れたものとなる。
【0022】
また、可食性の粘着材Fが水分を含んだ食用糊であれば巻芯200により加熱・焼成させることで水分が蒸発して当該可食物シート間を強固に接着させるとともに、当該可食物シート間に膜が形成される。そのため、可食ストローSを使用する際の耐水性をさらに向上させることができる。
【0023】
なお、巻芯200による加熱・焼成の開始又はその停止は上記したような可食物シート100の巻き数、可食性の粘着材Fの塗布量(あるいは可食物シートの乾燥度合い)、可食物自体の種別や粘着材Fの種別などに応じて適宜設定される。
【0024】
図3(a)に示す可食物シート100を筒状に形成した筒状体を加熱・焼成する工程の一例を以下説明する。なお、巻芯200による筒状体の内壁側からの加熱・焼成は先述した通りである。
図3(a)に示すように、可食物シート100が巻芯200に巻き付けられた状態(筒状体)の外壁(筒状体の外壁)側からも熱を与えて加熱・焼成する。筒状体の内壁側からは巻芯200による加熱・焼成、これに加えて筒状体の外壁側から別途の加熱機構(例えば、オーブンやバーナー)による加熱・焼成を行うことにより効率良く水分を蒸発させることができる。その結果、加熱により筒状体の内壁、外壁が焦げてしまうことを防ぐことができる。
なお、筒状体から巻芯200の抜き取りを効率よく行うため、つまり巻芯200の表面と筒状体の内壁とのいわゆる「くっつき」を防ぐために例えば、巻芯200の表面に食用油脂などの油分を適量塗布しても良い。
【0025】
また、
図3(b)に示すように、筒状体の内壁側の加熱・焼成を巻芯200を筒状体から引き抜いた後にその空洞内に熱風を通過させることで水分を蒸発させるように構成しても良い。この製造工程は、巻芯200による加熱・焼成により当該巻芯200が引き抜きにくくなる可食物シートを用いるときの加熱・焼成を行う際に有効である。
なお、筒状体(ストロー本体)の内壁側と外壁側それぞれから加熱・焼成する場合を説明したが、これに限ることなく例えば、可食物自体の種別などに応じて筒状体の内壁側又は外壁側の少なくとも一方から当該筒状体を加熱・焼成するように構成しても良い。
【0026】
また、可食物シート100を筒状に形成した筒状体(ストロー本体)の内壁側から熱を与える加熱・焼成と、筒状体の外壁側から熱を与える加熱・焼成それぞれの開始又はその停止のタイミングあるいは加熱・焼成開始の順番などは、上記したような可食物シート100の巻き数、可食性の粘着材Fの塗布量(あるいは可食物シートの乾燥度合い)、可食物自体の種別などに応じて適宜設定することができる。
このように本実施形態に係る可食ストローの製造方法は、ストロー本体を形成する際に筒状体の内壁側又は外壁側の少なくとも一方から当該筒状体を加熱する工程を有する。
【0027】
図4は、可食物シート100を筒状に形成した筒状体の内壁に囲まれた空間に粉体を充填した状態を示す図である。
図4(a)は、筒状体(ストロー本体)の内壁に囲まれた空間に粉体300が充填された状態の可食ストローSを示しており、
図4(b)は、筒状体の内壁に囲まれた空間に粉体300を充填し、当該筒状体の開口部を封止した状態の可食ストローSを示している。また、
図4(c)は、
図4(b)とは異なる、筒状体の開口部の封止方法の一例を説明するための図である。
なお、充填する粉体300は、例えば可食ストローをユーザが使用するときに口に入れても問題がない素材であり、乾燥に適した粉末やジュース・シロップ等、または粉ミルクなどである。充填する粉体300は、可食ストローの用途に応じて適宜選択することができる。
【0028】
図4(b)に示す可食ストローSは、筒状体の一の開口部を封止部材101により封止して有底筒状体に形成し、この有底筒状体の開口部(筒状体の他の開口部)から粉体を充填した後に有底筒状体の開口部を封止部材101により封止することにより形成される。
なお、この場合の封止部材101は、例えば可食物シート100と同じような成分を有する可食物やその他の可食物を用いることができる。
【0029】
また、封止部材101による筒状体の開口部の封止の他、例えば
図4(c)に示すように、可食物シート100を筒状に形成した筒状体の端部に圧力Pを加えて開口部を「潰す」ようにして封止しても良い。この場合、適量の水分を筒状体の端部に与えてから加熱・加圧すると当該端部の破損を防ぐことができる。
【0030】
また、上記説明した可食ストローの製造プロセスが所定の装置により実現されるように構成することもできる。なお、製造装置による可食ストローSの一連の製造プロセスに用いる各種構成の動作(例えば、巻芯200の動作など)や条件設定(加熱・焼成の温度管理等)は製造装置が有する制御装置やコンピュータなどにより制御されるように構成することもできる。
【0031】
このように、本実施形態に係る可食ストローSでは、可食物シート100を筒状に形成した筒状体において可食性の粘着材Fが重なり合う可食物シート間に介在する。そのため、使用時や運搬時における耐久性や使用時における耐水性を向上させることができる。
また、ストロー本体である筒状体の空洞には粉体300が充填されているため可食ストローSを搬送する際の破損(外方から圧力が加わることによる破損)を防ぐことができる。
【0032】
このように内壁面、外壁面を加熱・焼成することでデンプンが糊化してから冷え固まり一定の強度を有する可食ストローを形成することができる。また、内壁面や外壁面の少なくとも一方の表面には食用糊(粘着材F)を塗ってあるので、焼成して乾燥後に表面に膜が張った状態となり、その結果防湿効果とストロー本体の強度を向上させることができる。
【0033】
形成された筒状体をそのままストローとして利用することができるが、外圧で変形したり、潰れることが見込まれるときには内側に各種食用粉末(ジュース・シロップ等使用目的に応じて選択)を詰め込む。これにより保管時・輸送時・使用前の強度を高めることができるとともに、充填する粉末に応じた種々のユニークな使用方法をユーザに提案することができる。
【0034】
なお、可食物シート100の巻芯200への巻き付け方向は
図2に示す例に限るものではない。
図5は、可食物シート100を巻芯200に巻き付ける際の別例を説明するための図である。
図5(a)、(b)に示すように、可食物シート100の対角線方向に巻芯200を回転させて当該巻芯200に巻き付けるように構成しても良い。この場合、巻芯200を抜き取った筒状体の端部は斜めに開口している状態になるため、必要に応じて当該端部をカットするなどして開口部が水平になるように成形する工程を加えても良い。
【0035】
また、巻芯200による筒状体の内壁側の加熱・焼成、及び、筒状体の外壁側から行われる加熱・焼成は以下のような手順で行われるように構成することもできる。
初めに、巻芯200による筒状体の内壁側の加熱・焼成を所定時間の間行う。次に、筒状体の外壁側の加熱・焼成を開始する。
【0036】
このような製造プロセス(製造方法)を採用することで、筒状体の内壁側から巻芯200による加熱・焼成されることにより当該筒状体が外方に向かって膨らむ(膨化)ことで、巻芯200の表面と筒状体の内壁側の間に空間(隙間)が形成される。これにより、巻芯200の表面と筒状体の内壁側とのいわゆる「くっつき」を効率よく防ぐことができる。
その後さらに筒状体の外壁側の加熱・焼成を開始することにより効率良く水分を蒸発させることができる。
【0037】
また、
図6(a)、(b)は可食ストローSを収容箱400に収容している様子を説明するための図である。
図6(a)は、可食ストローSを複数収容可能に構成された収容体(収容箱400)に筒状体(ストロー本体)を所定本数だけ収容している状態を示す正面図であり、
図6(b)は側面図である。
なお、
図6に示す可食ストローSはその端部は封止されていないものである。また、
図6では一例として筒状体(ストロー本体:可食物シート100)が25本収容されている場合を示している。
【0038】
図6に示すように筒状体(ストロー本体:可食物シート100)を収容箱400に収容してから粉体300を当該収容箱内部、及び、筒状体の内壁側空間に充填する。
具体的には、開口部が封止されていない筒状体を収容箱400に収容し、当該筒状体の開口部側からその内壁空間、及び、隣接する筒状体により形成される空間に向けて粉体300を充填する。つまり、可食ストローSを複数収容可能に構成された収容体(収容箱400)に所定本数の筒状体を収容し、当該筒状体の内壁に囲まれた空間と、この空間以外の当該収容体内の空間とに粉体を充填する。
これにより筒状体の端部を封止する工程を省略しつつ、可食ストローSを搬送する際の破損(外方から圧力が加わることによる破損)をより効率よく防ぐことができる。
【0039】
上記説明は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、例えば上述した各実施形態の一部を適宜組み合わせても良い。