特許第6876321号(P6876321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876321
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ジェルネイル専用ジェル硬化用ランプ
(51)【国際特許分類】
   A45D 31/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A45D31/00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-3333(P2017-3333)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-110729(P2018-110729A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年5月28日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500011263
【氏名又は名称】株式会社ナチュラルフィールドサプライ
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(72)【発明者】
【氏名】川本 浩司
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/132734(WO,A1)
【文献】 特開2009−202418(JP,A)
【文献】 特開2011−115538(JP,A)
【文献】 特開2011−078638(JP,A)
【文献】 特開2005−305691(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3179777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
A45D 29/18
A45D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェルネイルやジェルネイルを施した指先からなる被照射物を載置する透明ガラスまたは透明樹脂からなる透明な載置板の上下を挟んだ位置に発光波長が、義爪材料のUVジェルを硬化させるための405nm付近と370nm付近の2種類を含む複数の発光体が配置された基板を、その発光体の照射面が上下で対向するように配置されたことを特徴とするジェルネイル専用ジェル硬化用ランプ。
【請求項2】
照射時に前記基板が透明な載置板の面に平行な方向に往復運動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、義爪の材料として用いられる光硬化型のジェルを硬化させる紫外線および可視光線を照射するランプに関するもので、更に詳しくは、ハードジェル、ソフトジェル(ソークオフジェル)両方のジェルネイルを極めて短時間で硬化することのできるジェルネイル専用ジェル硬化用ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近は義爪としてジェルネイルが流行となっているが、溶剤で溶けないハードジェルタイプのものは、蛍光管からなる370nmあたりの波長をピークとするUVランプを使用して2〜3分で硬化させるものと、溶剤で溶かすことのできるソークオフジェル(ソフトジェル)タイプのものは405nmあたりの波長をピークとする光を照射するものがあった。
【0003】
そのため、370nmあたりの波長をピークとするハードジェル用ランプと、405nmあたりの波長をピークとするソフトジェル用ランプと、それぞれランプを別個に用意していたが、2つのランプが必要となることでコストが高くなり、また使用の際の使い分けが煩雑になるといった問題があった。
【0004】
これに対して、従来、405nmのLED球と蛍光管タイプのUV球を組み合わせて、使用時における使い分け等の煩雑さをなくしたものもあるが、LED球と蛍光管タイプのUV球を単に組み合わせただけであり、コスト的に高価な上、それぞれ硬化速度の異なるランプとなっていた。
【0005】
そこで出願人は、義爪材料のUVジェルを硬化させるジェルネイル硬化用ランプにおいて、405nm付近と370nm付近を発光する2種類以上のLEDを設けたジェルネイル硬化用LEDランプを考案し、ハードジェルとソフトジェルの両方のジェルネイルを同じく短時間で硬化させることができ、ハードジェル用ランプとソフトジェル用ランプとを使い分けによる煩雑さをなくすと共に、低コストなジェルネイル硬化用ランプを提供した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3179777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のジェルネイル硬化用ランプや特許文献1のジェルネイル硬化用ランプについては、上面あるいは側面から照射が行われているが、クラフトレジンなどは完全に硬化させるために、ジェル(レジン)を流し込んだ半透明のシリコンの裏側からも照射している。
【0008】
また、ジェルネイルにおいても、自爪よりも長く伸ばす場合、指先に透明のネイルフォームを装着してその上にジェルを塗布して、必要に応じて裏面からも照射する必要があった。
【0009】
更に、UV球あるいはLED球で照射する場合、照射面には、光の強い部分と弱い部分ができてしまい、被照射物を置く位置により、光硬化性樹脂(クラフトレジンやジェルネイル)の収縮率等に違いがでて、硬化時に歪を生じることがあった。
【0010】
そこでこの発明では、光照射のムラによる歪が生じないようにして、利便性と硬化の確実性を向上させたジェルネイル専用ジェル硬化用ランプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、ジェルネイルやジェルネイルを施した指先からなる被照射物を載置する透明ガラスまたは透明樹脂からなる透明な載置板の上下を挟んだ位置に発光波長が、義爪材料のUVジェルを硬化させるための405nm付近と370nm付近の2種類を含む複数の発光体が配置された基板を、その発光体の照射面が上下で対向するように配置されたことを特徴とするジェルネイル専用ジェル硬化用ランプである。
【0012】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプにおいて、照射時に前記基板が透明な載置板の面に平行な方向に往復運動するようにした構成を採用する。
【0013】
なお、上記請求項1又は2に記載のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプにおいて、発光波長が405nm付近の発光体がLED球で、発光波長が370nm付近の発光体が蛍光管タイプのUV球を採用することができる
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプによれば、光硬化型樹脂は厚みを持たせた場合その硬化に対しては不利であったが、両面から照射することにより、従来よりも厚みのある光硬化性樹脂の使用も可能となり、ジェルネイルにおいては、完全硬化と歪の少なさから、指先に及ぼす装着時の違和感が解消されたり、自爪からジェルネイルが脱落しにくくする効果も期待できるようになった。
【0015】
また、ハードジェル、ソフトジェル(ソークオフジェル)両方のジェルネイルを、1つのランプによって硬化させることができ、両方のランプを用意することによる高コストや使い分ける煩雑さが解消する。
【0016】
また、請求項2のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプによれば、被照射得物に対して照射が両面から照射されるのに加えて、発光体が移動しながら照射されるので、従来よりも厚みのある光硬化性樹脂の使用も可能となり、被照射物に照射ムラが生じにくくなり、ジェルネイルにおいては、完全硬化と歪の少なさから、指先に及ぼす装着時の違和感が解消されたり、自爪からジェルネイルが脱落しにくくする効果がより発揮されることになる。
【0017】
なお、以上の本発明のジェル硬化用ランプによれば、クラフト用レジンの場合、ジェルネイルに比較して厚みのあるものが多く、また平面や面積の比較的大きな場合があるので、均一照射により歪の少ない仕上がりとなる。
【0018】
また、ジェルネイル専用ジェル硬化用ランプによれば、一方のUVジェルの特性に合わせた蛍光管タイプUVランプを利用して、他方の特性のUVジェルを硬化させる場合のような硬化時間がかかることもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプに用いる発光体を載置した基板を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。
図2】この発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの一例を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。
図3】この発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの他の例を示すもので、(A)及(B)は使用状態を示す正面図である。
図4】この発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの更に他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの一例を、添付図面に基づいて説明する。
本発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプに用いる発光体はLED球1やUV球2の2種類の発光体からなり、図1の正面図(A)、平面図(B)に示すように、基板3の片面にLED球1とUV球2がそれぞれ複数個配置してある。
【0021】
LED球1は、発光波長が405nm付近であり、UV球2は蛍光管タイプで発光波長は370nm付近となっており、また、基板3はこれらLED球1及びUV球2を適宜配置してあると共に、発光のための電源回路や、発光スイッチ等も載置してある(図示省略)。
【0022】
図2は、この発明のジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの一例を示すもので、正面図(A)、平面図(B)に基づいて説明する。
【0023】
このジェルネイル専用ジェル硬化用ランプの筐体は、矩形状で一方側面から内側に向けて、爪にジェルを塗布した指先が入る程度の凹部が形成されこの凹部が照射域4となっている。なお、図ではこの照射域4は図示のように正面から後ろが見渡せる凹部としているが、一面に設けられた開口部を設けて、その中に照射域4を設けるようにしてもよい。
【0024】
照射域4の下面には透明ガラスや透明樹脂からなる透明な載置板5が設けられており、この上にジェルネイルやジェルネイルを施した指先を置くようになっている。
【0025】
透明な載置板5の下側の筐体内部には、図1で示した基板3が、発光体となるLED球1、UV球2を上面に向けて配置されており、これらの発光体の照射光は載置板5を通過して上に届くようになっている。
【0026】
また、この基板3は、図示しないモータ等の適宜動力手段にて載置板5の面に平行な方向(図示左右方向)に往復振動可能となっている。
【0027】
更に、照射域4の上側の、載置板5への対向位置の下面にも、図1で示した基板3が、発光体となるLED球1、UV球2を下面に向けて配置されており、図示しない適宜動力手段にて載置板5の面に平行な方向(図示左右方向)に往復運動可能となっている。
【0028】
これら載置板5を挟んだ上下の基板3の往復運動(往復振動)の振幅幅や振動周期については限定されず、要するに、照射域4に載置されたジェルをムラ無く均質に照射できる目的の範囲内で適宜決めれば良い。
【0029】
なお、基板3の運動は、図示左右方向のみとしたが、これに加えて図示前後方向にも往復運動させて二次元的に運動させるようにすることもできる。
【0030】
更に、基板3に載置板5に対して接近・離反方向(図示上下方向)への往復運動も加えて三次元的な動きをさせて、ムラを無くすようにすることもできる。
【0031】
使用の際には、爪にジェルを塗布した指先等の被照射物6を載置板5上において、LED球1及びUV球2を発光させながら、上下の基板3を往復移動させることで、約10秒から30秒の短時間でジェルを硬化させることができる。
【0032】
図3は、この発明のジェル硬化用ランプの他の例を示すもので、使用状態を示す正面図(A)、被照射物の出し入れの状態の正面図(B)に基づいて説明する。
【0033】
このジェル硬化用ランプの筐体は、上部ケース11と下部ケース12とを上下に合わせて、上部ケース11下面の一辺と下部ケース12の上面の一辺(図示左側)を蝶番13にて接続し、上部ケース11を下部ケース12に対して上側に開けるようになっており、所定の角度で開いたまま保持される(図3(B)参照)ような構造となっている。
【0034】
上部ケース11は、下面開放した矩形状で、上面の内側には、図1で示した基板3が、発光体となるLED球1、UV球2を下面に向けて配置されており、図示しない適宜動力手段にて載置板5の面に平行な方向(図示左右方向)に往復運動可能となっている。
【0035】
下部ケース12は、矩形状で上面の一部又は全部には、透明な載置板5が組み込まれており、下部ケース12の内部がらの照射光が通過するようになっている。
【0036】
下部ケース12の内側内部には図1で示した基板3が、発光体となるLED球1、UV球2を上面に向けて配置されており、図示しない適宜動力手段にて載置板5の面に平行な方向(図示左右方向)に往復運動可能となっている。
【0037】
なお、基板3に設けられたLED球1、UV球2の詳細や、基板3の往復運動の振幅や運動周期やその動きについては、図2で示した実施形態と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0038】
この例のジェル硬化用ランプの第1使用例としては、まず、図3(B)で示すように上部ケース11を開き、透明な載置板5上にクラフト用レジン等の被照射物6を載置した後、上部ケース11を閉じ、図3(A)の状態にて、LED球1及びUV球2を発光させながら、上下の基板3を往復移動させることで、約10秒から30秒の短時間でジェルを硬化させることができる。
【0039】
また、第2使用例としては、図3(B)で示すように上部ケース11を開いて固定した状態で、上部ケース11と下部ケース12の間の透明な載置板5上に、爪にジェルを塗布した指先やクラフト用レジン等の被照射物6を置いて、LED球1及びUV球2を発光させながら、上下の基板3を往復移動させることで、約10秒から30秒の短時間でジェルを硬化させることができる。
【0040】
図4は、この発明のジェル硬化用ランプの更に他の例を示すも正面図であり、図2で示した実施形態のジェル硬化用ランプから、基板3の往復運動機能を無くし、固定したものである。
【0041】
この実施形態の場合であっても、上下両面から光を照射することにより、被照射物6へは十分な光が届き、厚みのある樹脂でもムラ無く硬化させることができる。
【0042】
以上、この発明実施形態を説明したが、この発明は図示のものに限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内で適宜設計変更して実施できることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0043】
1 LED球
2 UV球
3 基板
4 照射域
5 透明な載置板
6 被照射物
11 上部ケース
12 下部ケース
13 蝶番
図1
図2
図3
図4