特許第6876329号(P6876329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876329
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】分散助剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/02 20060101AFI20210517BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20210517BHJP
   B01F 17/42 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C08L71/02
   C08K5/06
   B01F17/42
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-207825(P2017-207825)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-77837(P2019-77837A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【審査官】 幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−104814(JP,A)
【文献】 特開2001−190941(JP,A)
【文献】 特開2004−082077(JP,A)
【文献】 特表2003−532514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/02
B01F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体用水系分散剤と共に使用する分散助剤であって、
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(X)及び一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)を含有してなることを特徴とする分散助剤。
−O−(EO)・(PO)―H (1)
{−(EO)/(PO)−H} (2)
は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、Rは2〜8価の多価アルコールのヒドロキシル基から水素原子を除いた残基、Hは水素原子、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、mは5〜25の整数、nは2〜20整数、oは1〜10の整数、pは10〜30の整数、qは2〜8の整数、・はブロック状、/はランダム状を表す。
【請求項2】
一般式(1)におけるmのnに対する比率(m/n)が1.0〜12.0、一般式(2)におけるoのpに対する比率(o/p)が5.0×10−2〜1.0である請求項1に記載の分散助剤。
【請求項3】
一般式(1)におけるm及びnの和(m+n)が7〜45、一般式(2)におけるo及びpの和(o+p)が11〜40である請求項1又は2に記載の分散助剤。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン化合物(X)及びポリオキシアルキレン化合物(Y)の合計重量に基づいて、ポリオキシアルキレン化合物(X)の含有量が60〜95重量%、ポリオキシアルキレン化合物(Y)の重量が5〜40重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の分散助剤。
【請求項5】
水、粉体、粉体用水系分散剤及び請求項1〜4のいずれかに記載された分散助剤からなり、この分散助剤を粉体の重量に基づいて0.01〜10重量%含有してなることを特徴とする粉体スラリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
各種粉体を水中に分散してスラリー化する際用いられる分散剤として、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩からなる分散剤が知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48−79230号公報
【特許文献2】特開昭53−129200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されたような分散剤では、分散性が十分でなく、添加量を増やしても十分な分散性が得られないという課題がある。
本発明の目的は、粉体用水系分散剤と組み合わせて使用することにより、粉体用水系分散剤の分散性を最大限に引き出すことができる分散助剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分散助剤の特徴は、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(X)及び一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)を含有してなる点を要旨とする。
【0006】
−O−(EO)・(PO)―H (1)
{−(EO)/(PO)−H} (2)
【0007】
は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、Rは2〜8価の多価アルコールのヒドロキシル基から水素原子を除いた残基、Hは水素原子、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、mは5〜25の整数、nは2〜20整数、oは1〜10の整数、pは10〜30の整数、qは2〜8の整数、・はブロック状、/はランダム状を表す。
【0008】
本発明の粉体スラリーの特徴は、水、粉体、粉体用水系分散剤及び上記の分散助剤からなり、この分散助剤を粉体の重量に基づいて0.01〜10重量%含有してなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分散助剤は、粉体用水系分散剤と組み合わせて使用することにより、粉体用水系分散剤の分散性を最大限に引き出すことができる。
【0010】
本発明の粉体スラリーは、上記の分散助剤を含むので、粉体用水系分散剤の分散性を最大限に引き出すことができ、著しく低い粘度となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
炭素数8〜22(10〜20が好ましく、さらに好ましくは12〜18)のアルキル基又はアルケニル基(R)としては、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、イソデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、イソオクタデシル及びオクタデセニル等が挙げられる。
【0012】
2〜8価の多価アルコールのヒドロキシル基から水素原子を除いたた残基(R)を構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0013】
これらの多価アルコールのうち、分散性の観点から、3価アルコールが好ましく、さらに好ましくはグリセリン及びトリメチロールプロパンである。
【0014】
一般式(1)におけるmのnに対する比率(m/n)は、分散性の観点から、1.0〜12.0が好ましく、さらに好ましくは1.5〜11.5、特に好ましくは1.7〜11.3、つぎに好ましくは1.9〜11.1、最も好ましくは2.0〜11.0である。
【0015】
一般式(2)におけるoのpに対する比率(o/p)は、分散性の観点から、3.0×10−2〜1.0が好ましく、さらに好ましく5.0×10−2〜9.5×10−1、特に好ましくは7.0×10−2〜9.3×10−1、つぎに好ましくは9.0×10−2〜9.1×10−1、最も好ましくは10.0×10−2〜9.0×10−1である。
【0016】
一般式(1)におけるm及びnの和(m+n)は、7〜45が好ましく、さらに好ましくは10〜40、特に好ましくは15〜35、最も好ましくは20〜30である。
【0017】
一般式(2)におけるo及びpの和(o+p)は、11〜40が好ましく、さらに好ましくは15〜35、特に好ましくは20〜30である。
【0018】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(X)としては、炭素数8〜22のアルカノール又はアルケノール(a1)とエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(a2)との化学反応により製造される構造を有するポリオキシアルキレン化合物が含まれる{(a1)1モルに対して(a2)7〜45モルの量が好ましい。}。
【0019】
炭素数8〜22のアルカノール又はアルケノール(a1)としては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、イソデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−ヘプタデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、イソオクタデシルアルコール及びオクタデセニルアルコール等が挙げられる。
【0020】
一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)としては、2〜8価の多価アルコール(a3)とエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(a2)との化学反応により製造される構造を有するポリオキシアルキレン化合物が含まれる{(a3)1モルに対して(a2)6〜100モルの量が好ましい。}。
【0021】
2〜8価の多価アルコール(a3)としては、「2〜8価の多価アルコールのヒドロキシル基から水素原子を除いた残基(R)を構成する多価アルコール」と同じである。
【0022】
ポリオキシアルキレン化合物(X)の含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(X)及びポリオキシアルキレン化合物(Y)の合計重量に基づいて、60〜95が好ましく、さらに好ましくは65〜90、特に好ましくは70〜85である。この範囲であると、さらに分散性が良好となる。
【0023】
ポリオキシアルキレン化合物(Y)の含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(X)及びポリオキシアルキレン化合物(Y)の合計重量に基づいて、5〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜35、特に好ましくは15〜30である。この範囲であると、さらに分散性が良好となる。
【0024】
本発明の分散助剤には、必要により公知の添加剤(消泡剤、粘度調整剤、湿潤剤等)等を含有できる。
【0025】
消泡剤としてはSNデフォーマー180及び同184(サンノプコ株式会社製)等が挙げられ、粘度調整剤としてはSNシックナー601及び同612(サンノプコ株式会社製)等が挙げられ、湿潤剤としてはSNウエット125及び同126(サンノプコ株式会社製)等が挙げられる。なお、公知の添加剤を含有する場合、これらの含有量は、分散助剤の重量に基づいて、0.01〜10重量%程度が好ましい。
【0026】
本発明の分散助剤の製造方法は、特に制限は無く公知の方法が適用でき、公知のアルキレンオキシド付加反応等により、ポリオキシアルキレン化合物(X)及びはポリオキシアルキレン化合物(Y)を調製し、これらを均一混合することにより得ることができる。均一混合温度に制限はないが、混合効率の観点から、10〜70℃程度が好ましい。
【0027】
本発明の分散助剤は、粉体用水系分散剤と組み合わせて使用することにより、粉体用水系分散剤の分散性を最大限に引き出すことができる。
したがって、本発明の分散助剤と粉体用水系分散剤とを使用して、粉体を分散させると、低粘度の粉体スラリーが容易に得られる。
【0028】
粉体としては、無機粉体(シリカ、アルミナ、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、銀、金、ニッケル、白金、アルミニウム、スズ、銅、鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、四酸化三鉛、塩基性炭酸鉛、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、赤リン、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム及びカーボンブラック等)、及び有機粉体(アゾ染料、ジアゾ染料、フタロシアニン染料、キナクリドン染料、イソインドリノン染料、ジオキサジン染料、ペリレン染料、ペリノン染料、チオインジゴ染料、アントラキノン染料、キノフタロン染料、リン酸メラミン塩、トリ(2−エチルヘキシル)リン酸、リン酸トリス(2−ブトキシエチル)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンオキシド及びトリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド等)等が挙げられる。
【0029】
粉体用水系分散剤として、アニオン系分散剤、カチオン系分散、非イオン系分散剤のいずれにも使用でき、特にアニオン系分散剤が好ましい。
【0030】
アニオン系分散剤として、カルボキシ基やスルホ基及びこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩及び第四級アンモニウム塩等)を含む有機化合物が含まれ、ポリアクリル酸塩型分散剤、アクリル酸−マレイン酸共重合塩型分散剤、アクリル酸−スチレン共重合塩型分散剤、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合塩型分散剤、マレイン酸−スチレン共重合塩型分散剤、マレイン酸−マレイン酸エステル−スチレン共重合塩型分散剤、ナフタレンスルホン酸塩型分散剤、アクリル酸−メタクリル酸共重合塩型分散剤及びメタクリル−メタクリル酸エステル共重合塩等型分散剤等が挙げられる。これらのうち、ポリアクリル酸塩型分散剤及びアクリル酸−マレイン酸共重合塩型分散剤が好ましい。
【0031】
カチオン系分散剤として、第4級アンモウニウム塩型分散剤、ポリアミン塩型分散剤等が挙げられる。
【0032】
非イオン系分散剤として、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0033】
分散助剤の使用量(重量%)は、粉体の重量に基づいて0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5である。
【0034】
本発明の粉体スラリーに含まれる分散助剤の含有量(重量%)は、粉体の重量に基づいて0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5である。
本発明の粉体スラリーに含まれる水、粉体用水系分散剤の含有量は、それぞれ、スラリー濃度(粉体の濃度)や所望する粘度などにより適宜決定される。
【0035】
本発明の粉体スラリーには、必要により公知の添加剤(消泡剤、粘度調整剤、湿潤剤等)等を含有できる。これらの含有量は、分散助剤の重量に基づいて、0.01〜10重量%程度が好ましい。
【0036】
本発明の粉体スラリーは、公知の方法等により分散処理することにより容易に得られる。分散助剤は粉体用水系分散剤と混合して使用してもよく、別々に使用してもよいが、別々に使用する場合、できるだけ同じタイミングで粉体と混合すること(たとえば、分散助剤及び粉体用水系分散剤と、水及び必要により公知の添加剤と混合すること)が好ましい。
【0037】
本発明の粉体スラリーは、各種用途に用いることができ、建築塗料又は自動車塗料等の塗料、塗工紙用コーティング液、電磁気・光学部材等の電子材料用塗料、セラミックスを使用した構造材料用塗料及び各種成型体へ塗布する機能性スラリー用塗料等のコーティング組成物などに適用できる。
【実施例】
【0038】
以下、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
【0039】
<製造例1>
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、カルコール2098{n−ドデシルアルコール、花王株式会社}186部(1モル部)及び水酸化カリウム0.07部を投入し、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.2MPaになるまで加圧し0.1MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した(以下、この窒素ガスを用いる操作を「窒素ガス置換」と略する。)。その後密閉して、減圧下(−0.097MPa)、攪拌しながら内容物を130℃に昇温した。内容物を撹拌下、エチレンオキシド(EO)616部(14モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続け、次いでプロピレンオキシド(PO)392部(7モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続け、ポリオキシアルキレン化合物(X1:n−ドデシルアルコール−EO(14モル)・PO(7モル)ブロック付加体:比(m/n)2.0、和(m+n)21)を得た。
【0040】
<製造例2>
「プロピレンオキシド(PO)392部(7モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)336部(6モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(X2:n−ドデシルアルコール−EO(14モル)・PO(6モル)ブロック付加体:比(m/n)2.3、和(m+n)20)を得た。
【0041】
<製造例3>
「カルコール2098{n−ドデシルアルコール、花王株式会社}186部(1モル部)」を「カルコール8098{n−オクタデシルアルコール、花王株式会社}270部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)616部(14モル部)」を「エチレンオキシド(EO)1188部(27モル部)」に変更したこと、及び「プロピレンオキシド(PO)392部(7モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)168部(3モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(X3:n−オクダデシルアルコール−EO(27モル)・PO(3モル)ブロック付加体:比(m/n)9、和(m+n)30)を得た。
【0042】
<製造例4>
「カルコール2098{n−ドデシルアルコール、花王株式会社}186部(1モル部)」を「カルコール8098{n−オクタデシルアルコール、花王株式会社}270部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)616部(14モル部)」を「エチレンオキシド(EO)968部(22モル部)」に変更したこと、及び「プロピレンオキシド(PO)392部(7モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)112部(2モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(X4:n−オクタデシルアルコール−EO(22モル)・PO(2モル)ブロック付加体:比(m/n)11、和(m+n)24)を得た。
【0043】
<製造例5>
実施例1と同様の反応容器に、精製グリセリン{グリセリン、阪本薬品工業株式会社}92部(1モル部)及び水酸化カリウム0.07部を投入した後、窒素ガス置換した。その後、攪拌しつつ130℃まで昇温し、次いで同温度にて、エチレンオキシド(EO)264部(6モル部)とプロピレンオキシド(PO)3360部(60モル部)との混合液を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続け、ポリオキシアルキレン化合物(Y1:グリセリン−EO(6モル)/PO(60モル)ランダム付加体:比(o/p)0.1、和(o+p)22)を得た。
【0044】
<製造例6>
「エチレンオキシド(EO)264部(6モル部)」を「エチレンオキシド(EO)396部(9モル部)」に変更したこと、及び「プロピレンオキシド(PO)3360部(60モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)2856部(51モル部)」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(Y2:グリセリン−EO(9モル)/PO(51モル)ランダム付加体:比(o/p)0.18、和(o+p)20)を得た。
【0045】
<製造例7>
「精製グリセリン{グリセリン、阪本薬品工業株式会社}92部(1モル部)」を「TMP(フレーク){トリメチロールプロパン、三菱化学株式会社}134部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)264部(6モル部)」を「エチレンオキシド(EO)1848部(42モル部)」に変更したこと、及び「プロピレンオキシド(PO)3360部(60モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)2688部(48モル部)」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(Y3:トリメチロールプロパン−EO(42モル)/PO(48モル)ランダム付加体:比(o/p)0.88、和(o+p)30)を得た。
【0046】
<製造例8>
「精製グリセリン{グリセリン、阪本薬品工業株式会社}92部(1モル部)」を「TMP(フレーク){トリメチロールプロパン、三菱化学株式会社}134部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)264部(6モル部)」を「エチレンオキシド(EO)1716部(39モル部)」に変更したこと、及び「プロピレンオキシド(PO)3360部(60モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)2520部(45モル部)」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(Y4:トリメチロールプロパン−EO(39モル)/PO(45モル)ランダム付加体:比(o/p)0.87、和(o+p)28)を得た。
【0047】
<実施例1>
製造例1で得たポリオキシアルキレン化合物(X1)85部と製造例5で得たポリオキシアルキレン化合物(Y1)15部を均一に混合し、本発明の分散助剤(1)を得た。
【0048】
<実施例2>
製造例2で得たポリオキシアルキレン化合物(X2)70部と製造例6で得たポリオキシアルキレン化合物(Y2)30部を均一に混合し、本発明の分散助剤(1)を得た。
【0049】
<実施例3>
製造例3で得たポリオキシアルキレン化合物(X3)60部と製造例7で得たポリオキシアルキレン化合物(Y3)40部を均一に混合し、本発明の分散助剤(3)を得た。
【0050】
<実施例4>
製造例4で得たポリオキシアルキレン化合物(X4)95部と製造例8で得たポリオキシアルキレン化合物(Y4)5部を均一に混合し、本発明の分散助剤(4)を得た。
【0051】
<リン酸アルミニウムの分散性評価>
水40部、SNディスパーサント5040(ポリアクリル酸塩型分散剤の40%水溶液、サンノプコ株式会社)2部、消泡剤(SNデフォーマー399:サンノプコ株式会社)0.3部及び評価試料{分散助剤(1)〜(4)のいずれか}1部をホモジナイザーで均一混合した後、攪拌しつつ、リン酸アルミニウム(第三リン酸アルミニウム「AlPO」、関東化学株式会社)100部を添加し、3,000rpmにて10分間攪拌を行い、リン酸アルミニウムスラリーを調製した。得られたスラリーを25℃に温調し、スラリーの粘度をB型粘度計(TVB−20L、株式会社トキメック、以下、同様である。)を用い回転速度60rpmにて測定した。また、ブランクとして、評価試料(分散助剤)を水に変更したこと以外上記と同様にして、リン酸アルミニウムスラリーを調製した。これらの粘度を下表に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
<炭酸カルシウムの分散性評価>
水20部、SNディスパーサント5040(ポリアクリル酸塩型分散剤の40%水溶液、サンノプコ株式会社)0.8部、消泡剤(SNデフォーマー399:サンノプコ株式会社)0.3部、評価試料{分散助剤(1)〜(4)のいずれか}0.1部をホモジナイザーで均一混合した後、攪拌しつつ、重質炭酸カルシウム(サンライトSL−300、体積平均粒子径5μm、:竹原化学工業株式会社、「サンライト」は協栄産業株式会社の登録商標である。)100部を添加し、3,000rpmにて10分間攪拌を行い、炭酸カルシウムスラリーを調製した。得られたスラリーを25℃に温調し、スラリーの粘度をB型粘度計を用い回転速度60rpmにて測定した。また、ブランクとして、評価試料(分散助剤)を水に変更したこと以外上記と同様にして、炭酸カルシウムスラリーを調製した。これらの粘度を下表に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
<酸化チタンの分散性評価>
水30部、アクリル酸/マレイン酸(モル比100/25)共重合体のナトリウム塩40%水溶液(アクリル酸−マレイン酸共重合塩型分散剤、重量平均分子量4000、特許文献2に記載された実施試料No.7と同等品)1.2部、消泡剤(SNデフォーマー399:サンノプコ株式会社)0.3部、評価試料{分散助剤(1)〜(4)のいずれか}0.1部をホモジナイザーで均一混合した後、攪拌しつつ、酸化チタン(タイペークR−820、体積平均粒子径0.3μm:石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。)100部を添加し、3,000rpmにて10分間攪拌を行い、酸化チタンスラリーを調製した。得られたスラリーを25℃に温調し、スラリーの粘度をB型粘度計を用い回転速度60rpmにて測定した。また、ブランクとして、評価試料(分散助剤)を水に変更したこと以外上記と同様にして、酸化チタンスラリーを調製した。これらの粘度を下表に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
<親水性シリカの分散性評価>
水60部、SNディスパーサント7347−C(第4級アンモウニウム塩型分散剤の20%水溶液、サンノプコ株式会社)10部、消泡剤(SNデフォーマー399:サンノプコ株式会社)0.3部、評価試料{分散助剤(1)〜(4)のいずれか}5部をホモジナイザーで均一攪拌した後、攪拌しつつ、親水性シリカ(ニップシールNA、体積平均粒子径9μm:東ソー・シリカ株式会社、「ニップシール」は同社の登録商標である。製)100部を添加し、3,000rpmにて10分間攪拌を行い、親水性シリカスラリーを調製した。得られたスラリーを25℃に温調し、スラリーの粘度をB型粘度計を用い回転速度60rpmにて測定した。また、ブランクとして、評価試料(分散助剤)を水に変更したこと以外上記と同様にして、酸化チタンスラリーを調製した。これらの粘度を下表に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
本発明の分散助剤(1)〜(4)は、粉体用水系分散剤と組み合わせて使用することにより、スラリー粘度をより低減することができた。すなわち、本発明の分散助剤は、粉体用水系分散剤と組み合わせて使用することにより、粉体用水系分散剤の分散性を最大限に引き出すことができた。