特許第6876346号(P6876346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6876346
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】遮音板の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   E01F8/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-53917(P2020-53917)
(22)【出願日】2020年3月25日
【審査請求日】2020年8月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515113042
【氏名又は名称】株式会社ビーエステクノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小幡 仁寿
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智幸
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−138650(JP,U)
【文献】 特開2017−137704(JP,A)
【文献】 特開2017−150198(JP,A)
【文献】 特開2008−013991(JP,A)
【文献】 実開昭49−134911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮音板の側縁部を支柱に固定する遮音板の固定構造であって、
互いに対向する一対のフランジにより両フランジの内側に溝部が形成されていて、該溝部に前記遮音板の側縁部が挿入可能な支柱と、
前記支柱に連結され、前記溝部に側縁部が挿入された前記遮音板の板面に沿って該溝部の外方に延びる延出部材と、
前記延出部材に支持され、前記溝部の外方位置で前記遮音板の板面に圧接する圧接手段とを備え、
前記延出部材は、前記一方のフランジの外側面に重合した状態で連結されることを特徴とする遮音板の固定構造
【請求項2】
前記圧接手段は、前記延出部材に着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の遮音板の固定構造
【請求項3】
前記圧接手段は、前記延出部材と前記遮音板の板面との間に設けられた介装部材と、前記延出部材に進退自在に貫通支持されて前記介装部材を前記遮音板の板面に圧接させる進退部材とにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の遮音板の固定構造
【請求項4】
前記進退部材は、ねじ部材であり、
前記延出部材は、前記ねじ部材に螺合するねじ孔を備え、
前記延出部材のねじ孔に螺合した前記ねじ部材を回転操作することにより、該ねじ部材が前記介装部材を前記遮音板の板面に向かって押圧するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の遮音板の固定構造
【請求項5】
前記延出部材は、前記支柱に連結する少なくとも2つの連結部を備え、
両連結部の夫々が連結部材により連結されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の固定構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音板の側縁部を支柱に形成された溝部に挿入した状態で固定する遮音板の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速道路を走行する車両から発生する騒音や、鉄道車両の走行時に発生する騒音を遮断するために、高速道路や鉄道高架線等の車両の走行路の縁辺に沿って遮音板を設けることが行われている。
【0003】
遮音板は、車両の走行路の縁辺に沿って所定間隔を存して複数立設された支柱間に保持される。支柱は、H型鋼が用いられ、縦方向に延びる一対のフランジ間によって形成される溝部を備えている。この溝部に、遮音板の縦側縁を挿入することにより、遮音板の両側が支柱によって支持される。
【0004】
ところで、遮音板の厚み寸法は、溝部の幅寸法(H型鋼においては対向する一対のフランジの間隔寸法に相当する)よりも小さい。このため、遮音板が不用意に支柱の溝部から外れ、一対の支柱間から脱落するおそれがある。
【0005】
そこで、従来、遮音板の支柱からのはずれを防止すべく、支柱に遮音板を固定する固定具が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この種の固定具は、支柱であるH型鋼の一方のフランジと遮音板との隙間に設けた可動部と、当該フランジを貫通して可動部材を遮音板に向かって進退する進退部材であるボルトとを備えている。この固定具は、フランジを貫通するボルトを可動部に向かって伸長させることにより、ボルトの先端が可動部を押圧し、可動部を遮音板に圧接させて溝部に遮音板を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−137704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の固定具では、フランジ(溝部の内側面)と遮音板との隙間が小さい場合や、フランジの長さ(溝部の深さ)が小さい場合には、隙間に合わせて可動部も小さくする必要があり、可動部による遮音板の固定力が十分に得られず、支柱間からの遮音板の脱落を確実に防止することができない不都合がある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、支柱の溝部の大きさに殆ど影響を受けることなく支柱に遮音板を確実に固定することができる遮音板の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、遮音板の側縁部を支柱に固定する遮音板の固定構造であって、互いに対向する一対のフランジにより両フランジの内側に溝部が形成されていて、該溝部に前記遮音板の側縁部が挿入可能な支柱と、前記支柱に連結され、前記溝部に側縁部が挿入された前記遮音板の板面に沿って該溝部の外方に延びる延出部材と、前記延出部材に支持され、前記溝部の外方位置で前記遮音板の板面に圧接する圧接手段とを備え、前記延出部材は、前記一方のフランジの外側面に重合した状態で連結されることを特徴とする。
【0011】
本発明は、延出部材を支柱に連結し、延出部材に圧接手段を支持する。これにより、溝部と遮音板の板面との隙間に依存せずに、延出部材と遮音板の板面との間に圧接手段を設けることができる。よって、溝部の大きさに殆ど影響を受けることなく支柱に遮音板を確実に固定することができる。
【0012】
本発明において、前記圧接手段は、前記延出部材に着脱自在に支持されていることが好ましい。
【0013】
圧接手段を延出部材に着脱自在に設けたことにより、支柱に予め延出部材を取り付けておき、延出部材と遮音板の板面との隙間に対応する圧接手段を後付けすることができるので、施工容易性も向上する。
【0014】
また、本発明において、前記圧接手段は、前記延出部材と前記遮音板の板面との間に設けられた介装部材と、前記延出部材に進退自在に貫通支持されて前記介装部材を前記遮音板の板面に圧接させる進退部材とにより構成されることが挙げられる。
【0015】
これによれば、圧接手段を介装部材と進退部材とにより構成して、延出部材に組み付ければ、延出部材を支柱に取り付けるだけでよいので、施工容易となる。
【0016】
また、このとき、前記進退部材は、ねじ部材であり、前記延出部材は、前記ねじ部材に螺合するねじ孔を備え、前記延出部材のねじ孔に螺合した前記ねじ部材を回転操作することにより、該ねじ部材が前記介装部材を前記遮音板の板面に向かって押圧するように構成されていることが好ましい。
【0017】
このように、延出部材にねじ孔を形成しておくことで、例えば、ねじ部材に螺合するナット等の雌ねじ部材を設ける必要がなく、安価に形成することができる。
【0018】
また、本発明において、前記延出部材は、前記支柱に連結する少なくとも2つの連結部を備え、両連結部の夫々が連結部材により連結されることを特徴とする。
【0019】
これによれば、少なくとも2つの連結部を設けたにより、支柱に対する延出部材の回転を防止した状態で延出部材を連結することができ、安定した固定状態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の固定構造を用いた遮音壁を模式的に示す説明図。
図2】固定具の構成を示す説明図。
図3】固定具による遮音板の固定状態を示す説明図。
図4】延出部材の平面図。
図5】圧接手段の側面図。
図6】座金の平面図。
図7】介装部材の外側片部の説明的平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態で用いた固定具1は、図1に示すように、遮音壁Aに設けられる。遮音壁Aは、所定間隔を存して鉄道高架線Bの縁辺に沿って所定間隔を存して立設された複数の支柱2と、各支柱2間に支持された遮音板3とを備えている。
【0022】
固定具1は、図2及び図3に示すように、H型鋼を採用した支柱2に遮音板3を固定するものであり、延出部材4と、延出部材4に支持された圧接手段5とを備えている。
【0023】
支柱2には、互いに対向する一対のフランジ6によって溝部7が形成されている。溝部7には、遮音板3の一側端部が挿入される。このような構造により、遮音板3は、溝部7を互いに対向させて立設された複数の支柱2間に取り付けられる。
【0024】
固定具1は、延出部材4を支柱2の一方のフランジ6に連結することにより、支柱2と一体的に取り付けられ、延出部材4に支持された圧接手段5が遮音板3に圧接することにより、遮音板3を支柱2に固定する。
【0025】
固定具1の構成を詳説すれば次の通りである。図2及び図4に示すように、延出部材4は、所定の厚みを有する矩形板状に形成されており、厚み方向に貫通する2つの貫通孔8と、1つのねじ孔9とを備えている。図2及び図3に示すように、各貫通孔8には、締結ボルト10が挿通され、ねじ孔9には、後述する進退ボルト11が螺合する。
【0026】
支柱2の一方のフランジ6には、延出部材4の取り付け重合位置に対応して、延出部材4の各貫通孔8に連通する一対の取り付け孔12が形成されている。取り付け孔12は、貫通孔8と連通して締結ボルト10が挿通される。
【0027】
貫通孔8と取り付け孔12とを貫通した締結ボルト10は、その先端がナット13にねじ込まれ、支柱2の一方のフランジ6と延出部材4が締結される。延出部材4の2つの貫通孔8は、本発明の連結部に相当する。また、締結ボルト10とナット13とは、本発明の連結部材に相当する。
【0028】
固定具1の延出部材4は、2つの貫通孔8が2つの締結ボルト10により連結されるので、支柱2のフランジ6に対する延出部材4の回転が防止され、遮音板3を安定して固定することができる。
【0029】
なお、固定具1の延出部材4は、図1に示すように、鉄道高架線Bの縁辺に沿って遮音板3を設ける場合に、鉄道線路側でなく、鉄道線路と反対側となる外側に位置するフランジ6に連結することが好ましい。これにより、遮音板3が車両から風圧を受けても、その影響による高架線Bの外側への外れや脱落を確実に防止することができる。
【0030】
図2及び図3に示すように、圧接手段5は、鋼板を曲げ加工して形成された介装部材14と、延出部材4を厚み方向に貫通するようにして延出部材4に螺合する進退ボルト11とを備えている。進退ボルト11は、本発明の進退部材としてのねじ部材に相当する。
【0031】
介装部材14は、図5に示すように、延出部材4の一端部の内外両面を挟持するコ字形の挟持部15を備えている。挟持部15は、外側片部16と内側片部17とが対向することによって構成されている。
【0032】
挟持部15には、外側片部16と内側片部17との夫々に挿通孔18が形成されている。挿通孔18は、進退ボルト11を延出部材4のねじ孔9に螺合させたときに、進退ボルト11が挿通する。これにより、圧接手段5は、延出部材4に連結された状態となる。
【0033】
挟持部15の内側片部17には、遮音板3の板面に当接する当接片部19が連設されている。当接片部19は、内側片部17に対向する側に折り返して延びている。
【0034】
更に、当接片部19には、内側片部17と当接片部19との間に向かって折り返された入力部20が連設されている。図2及び図3に示すように、入力部20は、延出部材4に螺合する進退ボルト11の先端部が当接する。
【0035】
進退ボルト11の先端には先細りテーパ状の突起11aが形成されている。介装部材14の入力部20には進退ボルト11の先端の突起11aが嵌り込む受け孔21が形成されている。受け孔21に嵌り込む進退ボルト11の突起11aがテーパ状であることにより、進退ボルト11の回動は阻害されない。
【0036】
入力部20に受け孔21を設けたことにより、進退ボルト11の先端が、入力部に対して定位置で押圧することができ、進退ボルト11の押圧力を確実に当接片部19に伝達させることができる。
【0037】
そして、進退ボルト11が延出部材4に螺合され、進退ボルト11を延出部材4に対して回動させるだけで、進退ボルト11の進退が可能となる。これにより、ナット等の別部材を設けることが不要となるので、部品点数が少なく、部品コスト及び製造コストの増加を抑えることができる。
【0038】
進退ボルト11の頭部11bと、介装部材14の外側片部16との間には、座金22が取り付けられている。座金22は、図6に示すように、外方に突出する一対の凸片23と、図2及び図6に示すように、進退ボルト11の頭部11bを囲うように起立する抱持片24とを備えている。抱持片24に進退ボルト11の頭部11bが嵌り込むことで、座金22が進退ボルト11と一体的に回動する。
【0039】
座金22に対応して、介装部材14の外側片部16には、図7に示すように、挿通孔18の近傍位置に一対の爪片25が切起こして形成されている。両爪片25は、復元弾性をもって外側片部16上に突出している。
【0040】
そして、両爪片25は、進退ボルト11の締め込み方向への回転に対しては座金22の凸片23に押圧されて許容し、緩み方向への逆回転に対しては座金22の凸片23に当接して阻止する、所謂ワンウエイクラッチとして機能する。これにより、図3に示す遮音板3の固定状態においては、進退ボルト11の緩みが防止される。
【0041】
以上の構成の固定具1によれば、図2及び図3に示すように、介装部材14がフランジ6よりも外側位置で、遮音板3に圧接して支柱2に遮音板3を固定する。即ち、介装部材14は、延出部材4と遮音板3との間に位置する。
【0042】
これにより、フランジ6と遮音板3との間に介装部材14を設ける場合に比べて、介装部材14を大きくして遮音板3に対して十分な圧接力を得ることができる。或いは、フランジの大きなH型鋼を用いる必要がなく、比較的小さなフランジ6を有するH型鋼を用いた支柱2を採用することができるので、遮音板3の取り付けるための支柱2の軽量化やコストの低減が可能となる。
【0043】
また、延出部材4と圧接手段5の介装部材14とは、別部材で形成されていて、進退ボルト11により連結状態となっている。このため、遮音壁Aの設置施工時には、支柱2に予め延出部材4を取り付けておき、延出部材4と遮音板3の板面との隙間に対応する圧接手段5を後付けすることで、設置施工作業を容易に行うことが可能となる。
【0044】
なお、本実施形態においては、H型鋼による支柱2を採用した例を示したが、支柱はH型鋼でなくてもよく、例えば、角柱状に形成されていて側面に長手方向(縦方向)に延びる凹状の溝部を備えているものでもよい。この場合には、図示しないが、延出部材の一端部に鍔状の連結片を設けて、この連結片に連結部を設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、本発明の固定構造の好ましい適用例として、固定具1を鉄道高架線Bの縁辺に設けたものを述べているが、本発明の固定構造は、これに限るものではない。例えば、自動車専用道路の縁辺に沿って遮音板を設置する場合や、建設現場の周囲に遮音板を設置する場合等においても、本発明の固定構造を好適に採用することができる。
【0046】
更に、本実施形態においては、固定具1の延出部材4を支柱2の一方のフランジ6にのみ連結した例を示したが、これに限るものではなく、図示しないが、互いに対向する一対のフランジの両方に固定具1を設けてもよい。この場合には、支柱の溝部を構成する一対のフランジの間隔寸法に比べて、厚み寸法が極度に小さい(薄い)遮音板を当該支柱に固定する場合に有効である。
【符号の説明】
【0047】
1…固定具、2…支柱、3…遮音板、4…延出部材、5…圧接手段、6…フランジ、7…溝部、8…貫通孔(連結部)、9…ねじ孔、10…締結ボルト(連結部材)、11…進退ボルト(進退部材・ねじ部材)、14…介装部材。
【要約】
【課題】支柱の溝部の大きさに殆ど影響を受けることなく支柱に遮音板を確実に固定することができる遮音板の固定具を提供する。
【解決手段】遮音板3の側縁部を支柱2に形成された溝部7に挿入した状態で固定する固定具1であって、支柱2に連結され、溝部7に側縁部が挿入された遮音板3の板面に沿って溝部7の外方に延びる延出部材4と、延出部材4に支持され、溝部7の外方位置で遮音板3の板面に圧接する圧接手段5とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7