特許第6876352号(P6876352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6876352
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】爪形態保持具、及び、巻き爪矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A61F5/11
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-541457(P2020-541457)
(86)(22)【出願日】2020年5月19日
(86)【国際出願番号】JP2020019731
【審査請求日】2020年7月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592128755
【氏名又は名称】株式会社鹿浜製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】鹿濱 茂
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6085731(JP,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0137288(KR,A)
【文献】 英国特許出願公開第02226249(GB,A)
【文献】 米国特許第01772130(US,A)
【文献】 特開2014−138690(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0091442(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0060733(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に爪の左右の爪側縁の一方に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を一方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において他方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第一パーツと、
一端に他方の前記爪側縁に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を他方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において一方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第二パーツとからなる、巻き爪矯正後の爪形態保持具であって、
前記第二パーツの側部に形成された被係合部に、前記第一パーツの側部に形成された係合部を係合させることで、前記第一パーツの前記引っかけ部と前記第二パーツの前記引っかけ部との間の距離を一定に保って前記第一パーツと前記第二パーツとが一体化されるようになっていると共に、
前記係合部及び前記被係合部はそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としており、
前記係合部と前記被係合部とが、これらの一方を構成する歯部をこれらの他方を構成する隣り合う歯部間に相補的に納めて係合されるようにしてなり、
前記係合部を構成する前記歯部は、前記第一パーツの前記引っかけ部側に向けられる係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第一パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させていると共に、
前記被係合部を構成する前記歯部は、前記第二パーツの前記引っかけ部側に向けられる被係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第二パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させてなり、
しかも、前記係合面及び前記被係合面の一方に、前記歯部の歯先から根本に続く突条を設けると共に、
前記係合面及び前記被係合面の他方に、前記歯部の歯先から根本に続く前記突条の受け入れ溝を設けさせてなる、爪形態保持具。
【請求項2】
前端部及び後端部を備えたベース部材と、
自由端に爪の左側の爪側縁に対するフック部を備えた左側アームと、
自由端に爪の右側の爪側縁に対するフック部を備えた右側アームと、
左側アームと右側アームとの間にあって下端部を爪に対する当接部とした支点部材とを備えており、
前記左側アーム及び右側アームはそれぞれ、その上端部を前記ベース部材の前記前端部に回動可能に組み合わせており、
前記支点部材は、前記ベース部材の前記前端部と前記後端部との間において前記ベース部材に対し上下方向に螺進退可能に組み合わされた軸体下に前記当接部を配させており、
かつ、前記ベース部材の前記後端部側に、指における前記爪より指の付け根側となる箇所に巻き付けられる巻き付け部材に対する連繋部を備えてなり、
しかも、前記左側の爪側縁に対する挟持部と前記左側アームの前記フック部に対する被引っかけ部を備えた左側クリップと、
前記右側の爪側縁に対する挟持部と前記右側アームの前記フック部に対する被引っかけ部を備えた右側クリップとを含んでなる、巻き爪矯正具。
【請求項3】
爪形態保持具と、巻き爪矯正具とからなる、装置であって、
前記爪形態保持具は、一端に爪の左右の爪側縁の一方に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を一方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において他方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第一パーツと、
一端に他方の前記爪側縁に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を他方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において一方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第二パーツとからなると共に、
前記第二パーツに形成された被係合部に、前記第一パーツに形成された係合部を係合させることで、前記第一パーツの前記引っかけ部と前記第二パーツの前記引っかけ部との間の距離を一定に保って前記第一パーツと前記第二パーツとが一体化されるようになっており、
前記巻き爪矯正具は、
前端部及び後端部を備えたベース部材と、
自由端に爪の左側の爪側縁に対するフック部を備えた左側アームと、
自由端に爪の右側の爪側縁に対するフック部を備えた右側アームと、
左側アームと右側アームとの間にあって下端部を爪に対する当接部とした支点部材とを備えており、
前記左側アーム及び右側アームはそれぞれ、その上端部を前記ベース部材の前記前端部に回動可能に組み合わせており、
前記支点部材は、前記ベース部材の前記前端部と前記後端部との間において前記ベース部材に対し上下方向に螺進退可能に組み合わされた軸体下に前記当接部を配させており、
かつ、前記ベース部材の前記後端部側に、指における前記爪より指の付け根側となる箇所に巻き付けられる巻き付け部材に対する連繋部を備えており、
前記左側アーム及び前記右側アームの前記フック部と前記当接部との間に前記保持具を取り付け可能な間隔を形成させるようにしてなる、巻き爪の矯正と矯正後の爪の形態の保持とを実現可能とする装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
巻き爪矯正具として、本出願人提案の特許文献1及び特許文献2に示されるものがある。
【0002】
これらの矯正具は、左側の爪側縁への引っかけ部を備えた左側アームと、右側の爪側縁への引っかけ部を備えた右側アームと、 左側アームと右側アームとの間にあって下端部を爪に対する当接部とした支点部材とを有している。支点部材はベース体に対し上下方向に螺進退可能に組み合わされている。これらの矯正具にあっては、左側アームの引っかけ部を左側の爪側縁に引っかけ、右側アームの引っかけ部を右側の爪側縁に引っかけると共に、支点部材の当接部を爪に突き当てた装着状態から、支点部材を下方に向けて螺進させるように操作することで、巻き爪を効果的に矯正可能となっている。
【0003】
かかる矯正は、典型的には、爪に適度な吸湿をさせて爪を軟化させた上で、前記のように矯正具を爪に装着し支点部材を操作することでなされる。
【0004】
なお、一方の爪側縁に対するフック部を備えたバンド状体と、他方の爪側縁に対するフック部を備えた前記バンド状体の挿通体とを、バンド状体に形成されたセレーション部(鋸歯状部)を挿通体内に形成させた爪に係合させて一体化させるようにした矯正具として、特許文献3及び4に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−138690号公報
【特許文献2】特許第5684437号公報
【特許文献3】特許第6085731号公報
【特許文献4】米国特許明細書第2567601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、巻き爪の矯正をより効果的に実現する点にある。
【0007】
具体的には、この発明が解決しようとする主たる問題点は、巻き爪矯正後の爪の形態を保持することに適した保持具を提供する点、および、矯正具を爪に装着させた状態下において、この爪に前記保持具を取り付ける作業を行いやすくする構造を備えた矯正具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、爪形態保持具を、一端に爪の左右の爪側縁の一方に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を一方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において他方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第一パーツと、
一端に他方の前記爪側縁に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を他方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において一方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第二パーツとからなる、巻き爪矯正後の爪形態保持具であって、
前記第二パーツの側部に形成された被係合部に、前記第一パーツの側部に形成された係合部を係合させることで、前記第一パーツの前記引っかけ部と前記第二パーツの前記引っかけ部との間の距離を一定に保って前記第一パーツと前記第二パーツとが一体化されるようになっていると共に、
前記係合部及び前記被係合部はそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としており、
前記係合部と前記被係合部とが、これらの一方を構成する歯部をこれらの他方を構成する隣り合う歯部間に相補的に納めて係合されるようにしてなる、ものとした。
【0009】
前記係合部を構成する前記歯部は、前記第一パーツの前記引っかけ部側に向けられる係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第一パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させていると共に、
前記被係合部を構成する前記歯部は、前記第二パーツの前記引っかけ部側に向けられる被係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第二パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させてなる、ものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記係合面及び前記被係合面の一方に、前記歯部の歯先から根本に続く突条を設けると共に、
前記係合面及び前記被係合面の他方に、前記歯部の歯先から根本に続く前記突条の受け入れ溝を設けさせてなる、ものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0011】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第二の観点から、爪形態保持具を、一端に爪の左右の爪側縁の一方に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を一方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において他方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第一パーツと、
一端に他方の前記爪側縁に対する引っかけ部を備え、この引っかけ部を他方の前記爪側縁に引っかけて前記爪上において一方の前記爪側縁側に延びる長さを持った第二パーツとからなる、巻き爪矯正後の爪形態保持具であって、
前記第二パーツの下部に形成された被係合部に、前記第一パーツの上部に形成された係合部を係合させることで、前記第一パーツの前記引っかけ部と前記第二パーツの前記引っかけ部との間の距離を一定に保って前記第一パーツと前記第二パーツとが一体化されるようになっていると共に、
前記係合部及び前記被係合部はそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としており、
前記係合部と前記被係合部とが、これらの一方を構成する歯部をこれらの他方を構成する隣り合う歯部間に相補的に納めて係合されるようにしてなる、ものとした。
【0012】
この第二の観点にかかる爪形態保持具において、前記係合部を構成する前記歯部は、前記第一パーツの前記引っかけ部側に向けられる係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第一パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させていると共に、
前記被係合部を構成する前記歯部は、前記第二パーツの前記引っかけ部側に向けられる被係合面を前記歯部の歯先に近づくに連れて前記第二パーツの前記引っかけ部側に近づく向きに傾斜させてなる、ものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0013】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第三の観点から、巻き爪矯正具を、
前端部及び後端部を備えたベース部材と、
自由端に爪の左側の爪側縁に対するフック部を備えた左側アームと、
自由端に爪の右側の爪側縁に対するフック部を備えた右側アームと、
左側アームと右側アームとの間にあって下端部を爪に対する当接部とした支点部材とを備えており、
前記左側アーム及び右側アームはそれぞれ、その上端部を前記ベース部材の前記前端部に回動可能に組み合わせており、
前記支点部材は、前記ベース部材の前記前端部と前記後端部との間において前記ベース部材に対し上下方向に螺進退可能に組み合わされた軸体下に前記当接部を配させており、
かつ、前記ベース部材の前記後端部側に、指における前記爪より指の付け根側となる箇所に巻き付けられる巻き付け部材に対する連繋部を備えてなる、ものとした。
【0014】
この第三の観点にかかる爪形態保持具において、前記左側の爪側縁に対する挟持部と前記左側アームの前記フック部に対する被引っかけ部を備えた左側クリップと、
前記右側の爪側縁に対する挟持部と前記右側アームの前記フック部に対する被引っかけ部を備えた右側クリップとを含んでなる、ものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかる保持具によれば、巻き爪矯正後の爪の形態を適切に保持することが可能となる。
また、この発明にかかる矯正具によれば、矯正具を爪に装着させた状態下において、この爪に前記保持具を取り付ける作業を容易化可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる保持具(第一例)の平面図である。
図2図2は、前記第一例を構成する第一パーツの側面図である。
図3図3は、前記第一例を構成する第二パーツの側面図である。
図4図4は、前記第一例を構成する第一パーツの係合部及び第二パーツの被係合部の要部斜視図である。
図5図5は、前記第一例を構成する第一パーツを爪上に位置づけた状態を示した平面図である。
図6図6は、図5の状態から前記第一例を構成する第一パーツに第二パーツを係合させて両パーツにより巻き爪矯正後の爪の形態を保持した様子を示した平面図である。
図7図7は、図6の状態を指の指先側から見て示した側面図である。
図8図8は、この発明の一実施の形態にかかる保持具(第二例)を構成する第一パーツの平面図である。
図9図9は、前記第二例を構成する第一パーツの側面図である。
図10図10は、図9におけるA−A線位置での断面図である。
図11図11は、前記第二例を構成する第二パーツの側面図である。
図12図12は、前記第二例を構成する第二パーツの底面図である。
図13図13は、前記第二例を構成する第一パーツを爪上に位置づけた状態を示した平面図である。
図14図14は、図13の状態から前記第二例を構成する第一パーツに第二パーツを係合させて両パーツにより巻き爪矯正後の爪の形態を保持した様子を示した平面図である。
図15図15は、図14の状態を指の指先側から見て示した側面図である。
図16図16は、前記第二例及び前記第二例の爪への装着を容易化する工具の側面図である。
図17図17は、前記工具の要部平面図である。
図18図18は、この発明の一実施の形態にかかる矯正具の斜視図である。
図19図19は、前記矯正具を構成するクリップの分解斜視図である。
図20図20は、前記矯正具の使用状態を示した正面図である。
図21図21は、前記矯正具の使用状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図21に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0018】
この実施の形態にかかる保持具1は、巻き爪矯正後の爪Nに取り付けられて、この矯正後の爪Nの形態を保持するために用いられるものである。
【0019】
また、この実施の形態にかかる矯正具2は、巻き爪となっている爪Nに装着されて、この爪Nを正常な状態に矯正するために用いられるものである。特に、この実施の形態にかかる矯正具2は、この矯正具2を爪Nに装着させた状態下において、この爪Nに前記保持具1を取り付ける作業を行いやすくする構造を備えたものとなっている。
【0020】
かかる保持具1と矯正具2とによって、巻き爪の矯正と矯正後の爪Nの形態の保持とを同時に実現可能な装置ないしシステムが構成される。
【0021】
前記保持具1は、第一パーツ3と第二パーツ4とから構成されている。
【0022】
第一パーツ3は、一端3dに爪Nの左右の爪側縁Naの一方に対する引っかけ部3aを備え、この引っかけ部3aを一方の前記爪側縁Naに引っかけて前記爪N上において他方の前記爪側縁Na側に延びる長さを持っている。
【0023】
一方、第二パーツ4は、一端4dに他方の前記爪側縁Naに対する引っかけ部4aを備え、この引っかけ部4aを他方の前記爪側縁Naに引っかけて前記爪N上において一方の前記爪側縁Na側に延びる長さを持っている。
【0024】
前記爪側縁Naは、指Fの指先側に位置される爪先Nbと、これと反対の爪Nの基部Ncの間に亘る、爪Nの側縁を意味する。
【0025】
そして、図1図7に示される第一例では、前記第二パーツ4の側部4hに形成された被係合部4bに、前記第一パーツ3の側部3hに形成された係合部3bを係合させることで、前記第一パーツ3の前記引っかけ部3aと前記第二パーツ4の前記引っかけ部4aとの間の後述の距離D(図7参照)を一定に保って前記第一パーツ3と前記第二パーツ4とが一体化されるようになっている。
【0026】
また、図8図15に示される第二例では、前記第二パーツ4の下部4fに形成された被係合部4bに、前記第一パーツ3の上部3gに形成された係合部3bを係合させることで、前記第一パーツ3の前記引っかけ部3aと前記第二パーツ4の前記引っかけ部4aとの間の後述の距離D(図15参照)を一定に保って前記第一パーツ3と前記第二パーツ4とが一体化されるようになっている。
【0027】
典型的には、保持具1は、以下の手順で巻き爪矯正後の爪Nに取り付けられる。
(1)第一パーツ3の引っかけ部3aを一方の爪側縁Naに引っかけて、爪N上に第一パーツ3を位置づける(図5図13)。
(2)第二パーツ4の引っかけ部4aを他方の爪側縁Naに引っかけて、爪N上に第二パーツ4を位置づける。
(3)第二パーツ4の引っかけ部4aと反対の他端4eをラジオペンチ等の工具で挟み付けて第二パーツ4に引っ張り力を作用させながら、第二パーツ4を第一パーツ3に近接させて第二パーツ4の被係合部4bに第一パーツ3の係合部3bを係合させる(図6図14)。第一例では第一パーツ3の側部3hに第二パーツ4の側部4hを接しさせる位置まで爪Nの表面に沿った横向きに第二パーツ4を移動させ、第二例では第一パーツ3の上部3gに第二パーツ4の下部4fを接しさせる位置まで縦向きに第二パーツ4を移動させる。
【0028】
前記係合によって、第一パーツ3の引っかけ部3aと第二パーツ4の引っかけ部4aとの間の距離Dを一定に保った状態で第一パーツ3と第二パーツ4とは一体化され、このように爪Nに取り付けられた保持具1によって矯正後の爪Nの形態を保持することが可能となる。この爪Nへの取り付け状態において、第一パーツ3及び第二パーツ4は必要に応じて一部を切除して長さを調整する(図5図6図15において、かかる切除部分を想像線で示す。)。
【0029】
第一パーツ3と第二パーツ4の全長とこれらに形成される係合部3b及び被係合部4bの長さとを一定化した場合、爪Nの幅が大きくなればなるほど、第一パーツ3の係合部3bと第二パーツ4の被係合部4bのラップ寸法は小さくなり、爪Nの幅が小さくなればなるほど、第一パーツ3の係合部3bと第二パーツ4の被係合部4bのラップ寸法は大きくなる。
【0030】
具体的には、第一パーツ3及び第二パーツ4はそれぞれ、長さを持った主体部3c、4cの一端3d、4dに前記引っかけ部3a、4aを形成させた構成となっている。
主体部3cは、爪N側に向けられる下部3f、4fと、これと反対の上部3g、4gと、二つの側部3h、4hとを備えている。
引っかけ部3a、4aは、フック状をなしている。引っかけ部3a、4aは、主体部3c、4cの一端3d、4dにおいて主体部3c、4cの下部3f、4fに直交する向きに突き出すフック基部3i、4iと、このフック基部3i、4iの突き出し端に続き主体部3cの他端3e、4e側に向けて突き出すフック先端部3j、4jとを備えている。
【0031】
第一パーツ3及び第二パーツ4はそれぞれ、主体部3c、4cを爪N上に位置させ、引っかけ部3a、4aのフック基部3i、4iを爪側縁Naの側方に位置させ、フック先端部3j、4jを爪Nの裏側に入り込ませるようにして、引っかけ部3a、4aを爪側縁Naに引っかけるようになっている(図7図15参照)。
【0032】
かかる第一パーツ3及び第二パーツ4は、爪Nへの前記取り付け状態において、爪Nの湾曲に沿った一定の弾性変形を生じる硬さを持った合成樹脂から構成することが好ましい。
【0033】
第一パーツ3と第二パーツ4とは、爪Nへの装着状態において、第一パーツ3の引っかけ部3aと第二パーツ4の引っかけ部4aとの間における爪Nの表面を通る仮想の円弧上の距離Dを12mm〜27mmの範囲で調整可能な長さに構成することが好ましい。
【0034】
(第一例)
第一例では、第一パーツ3及び第二パーツ4は、その主体部3cを、いずれも幅方向の断面を実質的に四角形とした紐状としている。
【0035】
また、前記係合部3b及び前記被係合部4bはそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としている。
そして、前記係合部3bと前記被係合部4bとは、これらの一方を構成する歯部5、7をこれらの他方を構成する隣り合う歯部5、7間に相補的に納めて係合されるようになっいている。
図示の例では、係合部3bを構成する後述の歯部5の数が被係合部4bを構成する後述の歯部7の数よりも多く、これにより、係合部3bの全長が被係合部4bの全長より長くなっている。
【0036】
係合部3bは、第一パーツ3の主体部3cにおける二箇所の側部3hの一方に形成されている。係合部3bは、主体部3cの上部3gと下部3fとに亘る溝部6を隣り合う歯部5間に形成するようにして、主体部3cの側部3hの一方にこの側部3hから突き出す複数の歯部5を形成することで構成されている。複数の歯部5はどれも他の歯部5と同寸同形であり、隣り合う歯部5間に形成される溝部6も他の溝部6と同じ寸法となっている。
【0037】
被係合部4bは、第二パーツ4の主体部4cにおける二箇所の側部4hの一方に形成されている。被係合部4bは、主体部4cの上部4gと下部4fとに亘る溝部8を主体部4cの隣り合う歯部7間に形成するように、主体部4cの側部4hの一方にこの側部4hから突き出す複数の歯部7を形成することで構成されている。複数の歯部7はどれも他の歯部7と同寸同形であり、隣り合う歯部7間に形成される溝部8も他の溝部8と同じ寸法となっている。
【0038】
第一パーツ3の係合部3bを構成する溝部6は、第二パーツ4の被係合部4bを構成する歯部7が相補的に収まる形態となっている。また、第二パーツ4の被係合部4bを構成する溝部8は、第一パーツ3の係合部3bを構成する歯部5が相補的に収まる形態となっている。これにより、第一パーツ3と第二パーツ4とは、係合部3bを構成する歯部5を被係合部4bを構成する溝部8に納め、かつ、係合部3bを構成する溝部6に被係合部4bを構成する歯部7を納めた状態で、強固に一体化可能となっている。第一パーツ3の係合部3bにおける第二パーツ4の被係合部4bの溝部8に入り込む歯部5の数、及び、第二パーツ4の被係合部4bにおける第一パーツ3の係合部3bの溝部6に入り込む歯部7の数は、保持具1の取り付け対象となる爪Nの幅に応じて変わることとなる。
【0039】
また、前記第一パーツ3の前記係合部3bを構成する前記歯部5は、前記第一パーツ3の前記引っかけ部3a側に向けられる係合面5aを前記歯部5の歯先5bに近づくに連れて前記第一パーツ3の前記引っかけ部3a側に近づく向きに傾斜させていると共に、
前記第二パーツ4の前記被係合部4bを構成する前記歯部7は、前記係合面5aに係合される面としての、第二パーツ4の前記引っかけ部4a側に向けられる被係合面7aを、前記歯部7の歯先7bに近づくに連れて前記第二パーツ4の前記引っかけ部4a側に近づく向きに傾斜させている(図1参照)。
これにより、前記係合により一体化された第一パーツ3及び第二パーツ4の前記歯部5、7は、第一パーツ3に対してはこの第一パーツ3の引っかけ部3a側に引っ張る力が作用されればされるほど、第二パーツ4に対してはこの第二パーツ4の引っかけ部4a側に引っ張る力が作用されればされるほど、前記係合面5a及び前記被係合面7aによって前記溝部6、8に入り込ませる向きに案内され、前記引張り力が作用されればされるほど第一パーツ3と第二パーツ4との係合状態はより強固になるようになっている。
【0040】
また、第一例にあっては、前記係合面5a及び前記被係合面7aの一方に、前記歯部5、7の歯先5b、7bから根本5c、7cに続く突条9を設けると共に、
前記係合面5a及び前記被係合面7aの他方に、前記歯部5、7の歯先5b、7bから根本5c、7cに続く前記突条9の受け入れ溝10を設けさせている。
図示の例では、第一パーツ3の係合部3bを構成する歯部5における係合面5aに受け入れ溝10を形成させ、第二パーツ4の被係合部4bを構成する歯部7における被係合面7aに突条9を形成させている。
【0041】
受け入れ溝10は、第一パーツ3の係合部3bを構成する歯部5を、その突き出し方向に直交する向きに断面にしたときに、この歯部5の幅方向中程の位置に最深部10aを位置させたV字形状を呈している。
【0042】
一方、突条9は、第二パーツ4の被係合部4bを構成する歯部7を、その突き出し方向に直交する向きに断面にしたときに、この歯部7の幅方向中程の位置に頂部9aを位置させた山形状を呈している。
【0043】
これにより、この第一例にあっては、第一パーツ3と第二パーツ4とを、前記係合部3bの歯部5の受け入れ溝10に、前記被係合部4bの歯部7の突条9を導入させた状態で、係合・一体化させることができ、この一体化状態において第一パーツ3と第二パーツ4とには上下方向x(図7参照)のズレが生じることがないようになっている。
【0044】
なお、この第一例では、第一パーツ3及び第二パーツ4はいずれも、引っかけ部3a、4aが形成された一端3d、4d側を、この一端3d、4d側に位置される係合部3b及び被係合部4bの端末3k、4k近傍において屈曲させて、係合部3b及び被係合部4bを構成する歯部5、7の歯先5b、7bが位置する仮想の直線L1、L2に引っかけ部3a、4aが近接するようにしている(図1参照)。
【0045】
(第二例)
第二例では、第一パーツ3及び第二パーツ4は、その主体部3cを、上部3g、4gと下部3f、4fとを幅広にし、側部3h、4hを厚さとした、帯紐状としている。
【0046】
また、前記係合部3b及び前記被係合部4bはそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としている。
そして、前記係合部3bと前記被係合部4bとは、これらの一方を構成する歯部5、7をこれらの他方を構成する隣り合う歯部5、7間に相補的に納めて係合されるようになっいている。
【0047】
図示の例では、係合部3bを構成する歯部5の数が被係合部4bを構成する歯部7の数よりも多く、これにより、係合部3bの全長が被係合部4bの全長より長くなっている。
【0048】
係合部3bは、第一パーツ3の主体部3cにおける上部3gに形成されている。第一パーツ3の上部3gには、その長さ方向に沿った縁部にそれぞれ、規制凸条11が形成されている。係合部3bは、一対の規制凸条11間に亘る溝部6を隣り合う歯部5間に形成するようにして、主体部3cの上部3gにこの上部3gから突き出す複数の歯部5を形成することで構成されている。複数の歯部5はどれも他の歯部5と同寸同形であり、隣り合う歯部5間に形成される溝部6も他の溝部6と同じ寸法となっている。
【0049】
被係合部4bは、第二パーツ4の主体部4cにおける下部4fに形成されている。被係合部4bは、主体部4cの下部4fの幅方向に亘る溝部8を隣り合う歯部7間に形成するようにして、主体部4cの下部4fにこの下部4fから突き出す複数の歯部7を形成することで構成されている。複数の歯部7はどれも他の歯部7と同寸同形であり、隣り合う歯部7間に形成される溝部8も他の溝部8と同じ寸法となっている。
【0050】
第一パーツ3の係合部3bを構成する溝部6は、第二パーツ4の被係合部4bを構成する歯部7が相補的に収まる形態となっている。また、第二パーツ4の被係合部4bを構成する溝部8は、第一パーツ3の係合部3bを構成する歯部5が相補的に収まる形態となっている。これにより、第一パーツ3と第二パーツ4とは、係合部3bを構成する歯部5を被係合部4bを構成する溝部8に納め、かつ、係合部3bを構成する溝部6に被係合部4bを構成する歯部7を納めた状態で、強固に一体化可能となっている。第一パーツ3の係合部3bにおける第二パーツ4の被係合部4bの溝部8に入り込む歯部5の数、及び、第二パーツ4の被係合部4bにおける第一パーツ3の係合部3bの溝部6に入り込む歯部7の数は、保持具1の取り付け対象となる爪Nの幅に応じて変わることとなる。
【0051】
また、前記第一パーツ3の前記係合部3bを構成する前記歯部5は、前記第一パーツ3の前記引っかけ部3a側に向けられる係合面5aを前記歯部5の歯先5bに近づくに連れて前記第一パーツ3の前記引っかけ部3a側に近づく向きに傾斜させていると共に、
前記第二パーツ4の前記被係合部4bを構成する前記歯部7は、前記係合面5aに係合される面としての、第二パーツ4の前記引っかけ部4a側に向けられる被係合面7aを、前記歯部7の歯先7bに近づくに連れて前記第二パーツ4の前記引っかけ部4a側に近づく向きに傾斜させている(図10図11参照)。
これにより、前記係合により一体化された第一パーツ3及び第二パーツ4の前記歯部5、7は、第一パーツ3に対してはこの第一パーツ3の引っかけ部3a側に引っ張る力が作用されればされるほど、第二パーツ4に対してはこの第二パーツ4の引っかけ部4a側に引っ張る力が作用されればされるほど、前記係合面5a及び前記被係合面7aによって前記溝部6、8に入り込ませる向きに案内され、前記引張り力が作用されればされるほど第一パーツ3と第二パーツ4との係合状態はより強固になるようになっている。
【0052】
この第二例にあっては、第一パーツ3の上部3gに形成された一対の規制凸条11間において、第二パーツ4の被係合部4bの歯部7が第一パーツ3の係合部3bの溝部6に入り込み係合するようになっている。これにより第二例にあっては、第一パーツ3と第二パーツ4とを、係合・一体化させた状態において、第一パーツ3と第二パーツ4とには前後方向y(図13参照)のズレが生じることがないようになっている。
【0053】
また、この第二例にあっては、第一パーツ3の二箇所の側部3hにそれぞれ、その長さ方向に隣り合うボス部12との間に間隔を開けて、複数のボス部12が形成されている。各ボス部12はそれぞれ、引っかけ部3aの側にボス部12の突き出し方向に直交する向きの断面においてV字状をなす溝13を備えた形態となっている。
なお、この第二例では、第二パーツ4は、引っかけ部4aが形成された一端4d側を、この一端4d側に位置される被係合部4bの端末4k近傍において屈曲させて、第一パーツ3の上部3gに第二パーツ4の下部4fを接しさせて前記係合部3bと被係合部4bとを係合させた状態において、第一パーツ3の引っかけ部3aと第二パーツ4の引っかけ部4aとが実質的に同じレベルに位置されるようにしている(図15参照)。
【0054】
この第二例にあっては、例えば、図16及び図17に示される工具14を利用して、爪Nに保持具1を装着することができるようになっている。
図16中符号14aで示されるのは前記工具14の握り部、符号14bで示されるのは前記工具14のヘッド部、符号14cで示されるのはヘッド部14bの下部前側に形成された握り部14a側に突き出す爪部、符号14c’で示されるのはヘッド部14bの下部後側に形成された握り部14a側に突き出す爪部、符号14dで示されるのはヘッド部14bを上下に貫通する覗き窓である。
図16に示されるように、爪N上の第一パーツ3が前記工具14の前後の爪部14c、14c’間に位置づけられ、かつ、前記工具14の前後の爪部14c、14c’が第一パーツ3のボス部12の溝13にそれぞれ入り込み引っかけられるようにする。その上で、第一パーツ3の上側で且つ前記工具14のヘッド部における前後の爪部14c、14c’間に握り部14a側から第二パーツ4を挿通させる。これにより、前記工具14を利用して第一パーツ3に引張り力(その向きを図16において符号f1で示す。)を作用させ、かつ、これと逆向きの引張り力(その向きを図16において符号f2で示す。)を第二パーツ4に作用させながら、この第一パーツ3と第二パーツ4とを前記のように係合させる作業を容易に行うことが可能となる。
【0055】
(巻き爪矯正具2)
一方、前記矯正具2は、
前端部15a及び後端部15bを備えたベース部材15と、
自由端に爪Nの左側の爪側縁Naに対するフック部16aを備えた左側アーム16と、
自由端に爪Nの右側の爪側縁Naに対するフック部16aを備えた右側アーム16と、
左側アーム16と右側アーム16との間にあって下端部を爪Nに対する当接部17aとした支点部材17とを備えている。
典型的には、矯正具2は、当接部17aを合成樹脂により、それ以外の部分を金属によって構成される、
【0056】
前記ベース部材15は、前後方向yに長い棒状部15cと、左右方向zに長い板状部15eとを、板状部15eの左右方向中程の位置に棒状部15cの一端を一体化させた形態となっている。かかる板状部15eによって、ベース部材15の前端部15aが構成されている。
【0057】
前記左側アーム16及び右側アーム16はそれぞれ、その上端部16bを前記ベース部材15の前記前端部15aに回動可能に組み合わせている。
図示の例では、前記左側アーム16は、その上端部16bを、前後方向yに沿った軸16cにより、ベース部材15の板状部15eの左端に対し回動可能に組み合わせており、自由端を左右方向zに揺動可能としている。
また、前記右側アーム16は、その上端部16bを、前後方向yに沿った軸16cにより、ベース部材15の板状部15eの右端に対し回動可能に組み合わせており、自由端を左右方向zに揺動可能としている。
図示の例では、前記左側アーム16及び右側アーム16はそれぞれ、その自由端であって、前記支点部材17が配される側に、上方に鈎先を向けるように形成されたフック部16aを備えている。
また、図示の例では、前記左側アーム16及び右側アーム16はそれぞれ、上下方向中程の位置に設けられた前後方向yに沿った軸16dを中心にその長さ方向中程の位置で屈曲可能に構成されている。
【0058】
前記支点部材17は、前記ベース部材15の前記前端部15aと前記後端部15bとの間において前記ベース部材15に対し上下方向に螺進退可能に組み合わされた軸体17b下に前記当接部17aを配させている。
図示の例では、支点部材17を構成する軸体17bの外周部には、ベース部材15の棒状部15cの前後方向中程の位置に形成された雌ネジ孔15dにかみ合う雄ネジ17cが形成されており、この雌ネジ孔15dに雄ネジ17cをかみ合わせた状態で支点部材17を構成する軸体17bがベース部材15によってベース部材15に直交する向きに支持されている。
図示の例では、軸体17bの下端には球状頭部17dが形成されている。一方、前記当接部17aは、左右方向に長い主体部17eの左端及び右端に下方に突き出す爪Nへの接触部17fを形成させると共に、前記主体部17eの左右方向z中程の位置に上方に突き出す前記球状頭部17dの受容部17gを備えた構成となっている。かかる受容部17gの内部は前記球状頭部17dの形状に倣った凹球面状をなしており、これにより、軸体17bに当接部17aが枢支されている。
【0059】
前記ベース部材15の前記後端部15b側には、指Fにおける前記爪Nより指Fの付け根側となる箇所に巻き付けられる巻き付け部材Bに対する連繋部18が備えてられている。
図示の例では、連繋部18は、ベース部材15を構成する棒状部15cの他端に外周部を一体化させた環状体18aにより構成されている。図示の例では、環状体18aは、左右方向に環内空間を開放させる向きに配されている。
【0060】
図示の例では、巻き付け部材Bの一例としての結束バンドBaのヘッドBbに形成された穴Bcと、前記連繋部18とに同時に通されるリングRを介して、前記ベース部材15と前記巻き付け部材Bの一例としての結束バンドBaとを連繋させるようにしている。
【0061】
かかる矯正具2によれば、支点部材17の当接部17aが爪Nに当接される位置より前方において、左側アーム16のフック部16aを爪Nの左側の爪側縁Naに引っかけ、右側アーム16のフック部16aを爪Nの右側の爪側縁Naに引っかけることができる。また、これと同時に、支点部材17の当接部17aが爪Nに当接される位置より後方において、指Fに対して巻き付けられる巻き付け部材Bとの連繋により矯正具2を支持させることができる。
このように指Fに矯正具2を装着した状態から、支点部材17を下方に向けて螺進操作することで、左側アーム16及び右側アーム16のフック部16aと当接部17aの接触部との間で、爪Nの爪側縁Naを持ち上げる巻き爪矯正(図20における矢印の向きへの矯正)が可能となる。
前記のように指Fに矯正具2を装着した状態において、左側アーム16及び右側アーム16のフック部16aと当接部17aとの間には、前後方向yにおいて間隔S(図21参照)が形成されることとなるが、前記連繋により矯正具2の装着状態は安定的に維持され、特に支点部材17の前記螺進操作時に矯正具2が前方(指先側)に倒れてしまうような事態は効果的に防止される。
また、前記間隔Sを利用して、この矯正具2を爪Nに装着して巻き爪矯正を施している状態下において、この爪Nに前記保持具1を容易に取り付けることが可能となる。
【0062】
また、この実施の形態にあっては、前記矯正具2は、前記左側の爪側縁Naに対する挟持部19aと前記左側アーム16の前記フック部16aに対する被フック部19bを備えた左側クリップ19と、
前記右側の爪側縁Naに対する挟持部19aと前記右側アーム16の前記フック部16aに対する被フック部19bを備えた右側クリップ19とを含んだものとなっている。
【0063】
図示の例では、左側クリップ19と右側クリップ19とはいずれも、長さをもった一対の板体19cを、その長さ方向中程の位置で回動可能に組み合わせて、前記挟持部19aとなる一端側を接離可能にさせた構成となっている。一対の板体19cの一方の外面部には前記被フック部19bとなる穴を持ったタブ部19dが形成されている。また、一対の板体19cの一方には前記挟持部19a側と反対の側においてネジ体19fを螺進退可能に挿通させたネジ孔19eが形成されている。
これにより、左側クリップ19と右側クリップ19とはいずれも、挟持部19aに爪側縁Naを入れ込んだ状態から前記ネジ体19eを螺進させることで、挟持部19aを構成する板体19cの一端間の距離を狭めて爪側縁Naに装着可能となっている。
そして、このように装着された左側クリップ19の被フック部19bに左側アーム16のフック部16aを引っかけ、かつ、このように装着された右側クリップ19の被フック部19bに右側アーム16のフック部16aを引っかけることで、左側クリップ19と右側クリップ19とを介して爪Nに巻き爪を矯正する力を作用可能となっている。
【0064】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0065】
N 爪
Na 爪側縁
Nb 先端
Nc 基部
F 指
D 距離
x 上下方向
y 前後方向
z 左右方向
B 巻き付け部材
Ba 結束バンド
Bb ヘッド
Bc 穴
R リング
S 間隔
1 保持具
2 矯正具
3 第一パーツ
3a 引っかけ部
3b 係合部
3c 主体部
3d 一端
3e 他端
3f 下部
3g 上部
3h 側部
3i フック基部
3j フック先端部
3k 端末
4 第二パーツ
4a 引っかけ部
4b 被係合部
4c 主体部
4d 一端
4e 他端
4f 下部
4g 上部
4h 側部
4i フック基部
4j フック先端部
4k 端末
5 歯部(係合部を構成する)
5a 係合面
5b 歯先
5c 根本
6 溝部(係合部を構成する)
7 歯部(被係合部を構成する)
7a 被係合面
7b 歯先
7c 根本
8 溝部(被係合部を構成する)
9 突条
9a 頂部
10 受け入れ溝
10a 最深部
11 規制凸条
12 ボス部
13 溝
14 工具
14a 握り部
14b ヘッド部
14c、14c’ 爪部
14d 覗き窓
15 ベース部材
15a 前端部
15b 後端部
15c 棒状部
15d 雌ネジ孔
15e 板状部
16 アーム
16a フック部
16b 上端部
16c 軸
16d 軸
17 支点部材
17a 当接部
17b 軸体
17c 雄ネジ
17d 球状頭部
17e 主体部
17f 接触部
17g 受容部
18 連繋部
18a 環状体
19 クリップ
19a 挟持部
19b 被フック部
19c 板体
19d タブ部
19e ネジ孔
19f ネジ体
【要約】
一端に爪の左右の爪側縁の一方に対する引っかけ部を備えた第一パーツと、一端に他方の爪側縁に対する引っかけ部を備えた第二パーツとからなる、巻き爪矯正後の爪形態保持具である。前記第二パーツの側部に形成された被係合部に、前記第一パーツの側部に形成された係合部を係合させることで、前記第一パーツの前記引っかけ部と前記第二パーツの前記引っかけ部との間の距離を一定に保って前記第一パーツと前記第二パーツとが一体化されるようになっている。前記係合部及び前記被係合部はそれぞれ、前記長さ方向に沿った断面を鋸歯状としており、前記係合部と前記被係合部とが、これらの一方を構成する歯部をこれらの他方を構成する隣り合う歯部間に相補的に納めて係合されるようにしてなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21