(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6876356
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】安全柵転倒防止装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/00 20060101AFI20210517BHJP
B66B 13/30 20060101ALN20210517BHJP
B66B 29/00 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
E01F13/00 301
!B66B13/30 Q
!B66B29/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-39211(P2020-39211)
(22)【出願日】2020年3月6日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弥槻
(72)【発明者】
【氏名】白石 賢二
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−196772(JP,A)
【文献】
特開平10−018248(JP,A)
【文献】
特開平09−059946(JP,A)
【文献】
米国特許第5356119(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0503906(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E01F 13/00−1/14
B66B 13/00−13/30
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の底盤に取り付けられ、折り畳み式の安全柵の脚が押し付けられる受け板を有する脚受け部と、
前記底盤に取り付けられるとともに前記受け板に対向するクランプ部材と、前記クランプ部材を前記受け板側に付勢する付勢部材と、を有する固定部と、を備え、
前記受け板と前記クランプ部材の間で前記安全柵の前記脚を挟持するようにしたことを特徴とする安全柵転倒防止装置。
【請求項2】
前記クランプ部材は、前記安全柵の前記脚を押圧する第1面部と、前記クランプ部材を前記付勢部材に抗して開くための踏み面となる第2面部と、とを有する横断面L字形の部材からなり、前記クランプ部材は、前記付勢部材を有する蝶番によって前記底盤に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の安全柵転倒防止装置。
【請求項3】
前記クランプ部材の前記踏み面を押し下げることにより、前記受け板と前記第1面部の間に前記脚を挿入可能な脚受入空間が形成されることを特徴とする請求項2に記載の安全柵転倒防止装置。
【請求項4】
前記クランプ部材の前記踏み面には、先記クランプ部材が開かないように固定するロックボルトが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の安全柵転倒防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、安全柵転倒防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータやエスカレータの保守点検や整備を実施するにあたっては、作業区画を安全柵で囲み、第三者の進入を防止し、作業スペースを確保している。例えば、エレベータの定期点検の場合、乗場では開いた乗場ドアを取り囲むように安全柵が設置される。
【0003】
この種の安全柵には、単体の安全柵をジョイント等で複数枚連結した折り畳み式の安全柵が広く用いられている。折り畳み式の安全柵では、設置や撤収を容易に行え、また、安全柵の数、折り曲げ方によって、作業区画の形や面積の変化に柔軟に対応することができる。
【0004】
従来の折り畳み式の安全柵に関する先行技術としては、例えば、特許文献1、2に記載されたものを挙げることができる。
特許文献1には、縦部材と横部材とからなる柵本体に下辺部材を設け、この下辺部を錘で固定するようにした折り畳み式安全柵が開示されている。
また、特許文献2には、つづら折りの状態に立てた安全柵に、安全柵の開き角度を保持する転倒防止具を設けた折り畳み式の安全柵が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−178933号公報
【特許文献2】特開平9−142767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の折り畳み式の安全柵では、狭い区画から広い区画まで容易に設置できる利点がある半面、短所としては、安全柵が不安定で転倒し易いという問題がある。例えば、安全柵の脇を通行する人の体が当たって倒れたり、風であおられて転倒してしまうことがある。
安全柵の転倒防止対策は、従来から色々と試みられている。例えば、特許文献1の安全柵では、安全柵の下辺部材を錘で押さえ付けることで転倒防止を図っている。また、引用文献2の安全柵では、つづら折りになった安全柵の開き角度を固定することで転倒防止を図っている。しかし、いずれも転倒防止に十分とはいえない。
【0007】
他方、折り畳み式の安全柵の場合、安全柵を一直線状にしては立たないので、つづら折りの状態で立てなければならない。また安全柵の作業区画内側に突き出た部分は、限られた作業スペースを圧迫してしまうという問題がある。
本開示の実施の形態は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、折り畳み式の安全柵をつづら折りにすることなく、一直線状に転倒することなく安定して設置できるようにした安全柵転倒防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る安全柵転倒防止装置は、板状の底盤に取り付けられ、折り畳み式の安全柵の脚が押し付けられる受け板を有する脚受け部と、前記底盤に取り付けられるとともに前記受け板に対向するクランプ部材と、前記クランプ部材を前記受け板側に付勢する付勢部材と、を有する固定部と、を備え、前記受け板と前記クランプ部材の間で前記安全柵の前記脚を挟持するようにしたことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態による安全柵転倒防止装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】固定部が取り外された底盤と脚受け部を示す安全柵転倒防止装置の斜視図である。
【
図5】折り畳み式の安全柵で取り囲まれた作業区画を示す模式図である。
【
図6】安全柵の脚を差し込んだ状態を示す安全柵転倒防止装置の側面図である。
【
図7】安全柵の脚が固定されている状態を示す安全柵転倒防止装置の側面図である。
【
図8】本開示の第2実施形態による安全柵転倒防止装置を示す側面図である。
【
図9】安全柵の脚が固定されている状態の第2実施形態による安全柵転倒防止装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による安全柵転倒防止装置の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による安全柵転倒防止装置10の全体構成を示す斜視図である。
【0011】
安全柵転倒防止装置10は、折り畳み式の安全柵を用いて作業区画を囲む場合に、安全柵が倒れないように支持するために用いられる。本実施形態による安全柵転倒防止装置10は、安全柵の脚の下端部を受ける脚受け部14と、安全柵の脚の下端部を脚受け部14に対して押し付けてこれをクランプする固定部16と、を備えている。脚受け部14と、固定部16は、底盤12に取り付けられている。
【0012】
ここで
図5は、折り畳み式の安全柵40で取り囲まれた作業区画50を示す模式図である。作業区画50は、例えば、エレベータの定期点検時に、第三者の進入を防止するために、折り畳み式の安全柵40で囲った乗場ドア前の作業区画である。安全柵転倒防止装置10は、作業区画50の四隅および長手方向の外縁中央に配置され、安全柵40が転倒しないように支持するようになっている。この作業区画50では、長手方向の辺の中央にも安全柵転倒防止装置10は設置されている。
【0013】
次に、
図2乃至
図4を参照しながら、安全柵転倒防止装置10の詳細について説明する。
図2は、固定部16が取り外された底盤12と脚受け部14を示す斜視図であり、
図3は、固定部16を示す斜視図である。
【0014】
底盤12は、この実施形態では、矩形の金属板から構成されており、脚受け部14の寸法と較べると、縦、横寸法とも大きな寸法の金属板である。底盤12の形状としては、矩形に限られるものではなく、円形や三角形、台形等の多角形であってもよい。底盤12の端には、脚受け部14を構成する受け板13が垂直に立ち上がるように取り付けられている。この受け板13の左右の端縁部には、側板15a、15bが直角に形成されている。
【0015】
次に、固定部16について説明する。
底盤12の上には、ブラケット19が固定されており、このブラケット19には、蝶番20を用いてクランプ部材18が回動可能に取り付けられている。この実施形態では、クランプ部材18は、横断面L字形の部材からなり、受け板13に対向する第1面部18aと、第1面部18aに対して直角な第2面部18bとを有している。蝶番20の関節部には、コイルバネ等の付勢部材21が組み込まれており、この付勢部材21の弾性力によって、クランプ部材18は、矢印方向、すなわち受け板13側に向かって付勢されている。
【0016】
ここで、
図4は、安全柵転倒防止装置10を上から見た図である。
受け板13に対して、クランプ部材18は、その第1面部18aが平行に向き合うように配置されており、受け板13と第1面部18aとによって、上からみると、受け板13と平行な長手方向をもつ長方形の脚受入空間が形成されている。受け板13と、クランプ部材18の第1面部18aの間隔Xは、安全柵の脚30を収容可能な寸法に設定されている。また、受け板13と平行な方向のクランプ部材18の幅をY1、受け板13の側板15a、15bの間隔をY2とすると、脚受入空間の長方形の長辺は幅Y1で、短辺は間隔Xであり、幅Y1よりも間隔Y2が大きくなるように設定されている。受け板13側にクランプ部材18が付勢部材21の弾性力によって押し付けられた際には、クランプ部材は、受け板13の側板15a、15bが干渉することなく、受け板13に当接するまで最大限回動可能である。
【0017】
次に、本実施形態による安全柵転倒防止装置10の使用手順について、
図5乃至
図7を参照しながら説明する。
図6は、安全柵の脚30を差し込んだ状態の安全柵転倒防止装置10の側面を示す図である。
クランプ部材18の第2面部18bは、作業員が足のつま先で踏み付ける踏み面になり、この踏み面を踏むことにより、クランプ部材18を付勢部材21の弾性力に抗して回動させると、受け板13と第1面部18aの間隔が拡がって脚受入空間が開き、安全柵の脚30を差し込むことができる。
【0018】
図7は、安全柵の脚30が固定されている状態の安全柵転倒防止装置10の側面を示す図である。
クランプ部材18の第2面部18bから足を離すと、第1面部18aが押圧面になって、付勢部材21の弾性力によって安全柵の脚30は受け板13に対して押し付けられる。安全柵の脚30は、
図7に示されるように、受け板13とクランプ部材18の第1面部18aとによって強固に挟持されるので、安全柵の転倒を防止することができる。
【0019】
このように本実施形態の安全柵転倒防止装置10では、安全柵の脚30を受け板13とクランプ部材18の間で挟持する構成を採用しているので、安全柵の脚30の太さや形状が変わっても汎用的に対応可能である。また、隣り合う安全柵の脚30が2本になる場合(
図5における長手方向の辺の中央に設置された安全柵転倒防止装置10)であっても、確実に挟持することができる。なお、受け板13の両側にある側板15a、15bは、安全柵の脚30の下端部を差し込む際に、脚30の下端部が受け板13とクランプ部材18の第1面部18aの間から外れないように規制するようになっている。
【0020】
ここで、
図5に示されるように、本実施形態の安全柵転倒防止装置10を複数箇所に配置すれば、作業区画50を取り囲むように折り畳み式の安全柵40を設置することができる。この場合、安全柵40は、安全柵転倒防止装置10によって倒れないように安定して支持されるので、従来のようにつづら折りの状態で立てる必要はなく、安全柵40を一直線状に開いた状態で設置することができる。このようにして、設置した安全柵40は作業区画50内に収まるため、作業区画の周囲を通行する第三者の往来を妨げることはなく作業区画50の内側の作業スペースを圧迫することもない。また、安全柵転倒防止装置10の底盤12は、接地面積が広く安全柵40を安定させるのに役立つとともに、薄い板状の部材であり、作業区画50回りを通行する第三者がつまずく虞もない。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による安全柵転倒防止装置について、
図8、
図9を参照して説明する。
図8は、本発明の第2実施形態による安全柵転倒防止装置10を示す側面図である。この第2実施形態では、第1実施形態において、受け板13とクランプ部材18で安全柵の脚30の下端部を挟持した後、クランプ部材18をロックするロックボルト32を付け加えた実施形態である。ロックボルト32以外の構成は、第1実施形態と同様であり、同一の構成要素には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
図8において、ロックボルト32は、クランプ部材18の第2面部18bに垂直に螺入されており、ロックボルト32の下端は、底盤12に当接するようになっている。第2面部18bが踏み面になるのは第1実施形態と同様であり、この踏み面を作業員が足のつま先で踏んで、クランプ部材18を付勢部材21の弾性力に抗して回動させると、受け板13と第1面部18aの間隔が拡がって脚受入空間が開き、安全柵の脚30を差し込むことができる。
【0023】
図9は、安全柵の脚30が固定されている状態の第2実施形態による安全柵転倒防止装置10の側面を示す図である。
クランプ部材18の第2面部18bから足を離すと、第1面部18aが押圧面になって、付勢部材21の弾性力によって安全柵の脚30は受け板13に対して押し付けられる。安全柵の脚30は、受け板13とクランプ部材18の第1面部18aとによって強固に挟持されるので、安全柵の転倒を防止することができる。
【0024】
第2実施形態では、さらにロックボルト32をねじ込むことにより、ロックボルト32が突っ張りとなって、クランプ部材18が開かないようにロックすることができる。このため、クランプ部材18が開こうとしてもロックボルト32により規制されるので、安全柵の転倒をより確実に防止することができる。
【0025】
以上、本開示による安全柵転倒防止装置について、好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
【符号の説明】
【0026】
10…安全柵転倒防止装置、12…底盤、13…受け板、14…脚受け部、15a、15b…側板、16…固定部、18…クランプ部材、18a…第1面部、18b…第2面部、19…ブラケット、20…蝶番、21…付勢部材、30…脚、32…ロックボルト、40…安全柵、50…作業区画
【要約】 (修正有)
【課題】折り畳み式の安全柵をつづら折りにすることなく、一直線状に転倒することなく安定して設置できる、安全柵転倒防止装置を提供する。
【解決手段】安全柵転倒防止装置10は、板状の底盤12に取り付けられ、折り畳み式の安全柵の脚が押し付けられる受け板13を有する脚受け部14と、底盤12に取り付けられるとともに受け板13に対向するクランプ部材18と、クランプ部材18を受け板13側に付勢する付勢部材と、を有する固定部16と、を備え、受け板13とクランプ部材18の間で安全柵の脚を挟持する。
【選択図】
図1