特許第6876367号(P6876367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876367人工ケーシング及びそれを用いた加工食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876367
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】人工ケーシング及びそれを用いた加工食品
(51)【国際特許分類】
   A22C 13/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A22C13/00 Z
   A22C13/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-227232(P2015-227232)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-93328(P2017-93328A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月19日
【審判番号】不服2020-2661(P2020-2661/J1)
【審判請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】中谷 丈史
(72)【発明者】
【氏名】石塚 一彦
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 平城 俊雅
【審判官】 槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−500070(JP,A)
【文献】 特開2012−229350(JP,A)
【文献】 特開2013−236585(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/107995(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 13/00
C08B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均アスペクト比が50以上1000以下であるセルロースナノファイバーをケーシングの全絶乾重量に対して0.05重量%以上50重量%以下含み、厚さが0.01〜1.0mmであることを特徴とする加工食品用人工ケーシング。
【請求項2】
セルロースナノファイバーをケーシングの全絶乾重量に対して0.05重量%以上1重量%以下含むことを特徴とする、請求項1に記載の加工食品用人工ケーシング。
【請求項3】
前記セルロースナノファイバーが、化学変性されたセルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項1ないし2に記載の加工食品用人工ケーシング。
【請求項4】
前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gである酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項3に記載の加工食品用人工ケーシング。
【請求項5】
前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項3に記載の加工食品用人工ケーシング。
【請求項6】
さらにコラーゲンを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の加工食品用人工ケーシング。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の人工ケーシングを用いた加工食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソーセージ等の加工食品用の人工ケーシング(以下、ケーシングということがある)及びそれを用いた加工食品に関する。より詳しくは、コラーゲン等からなる人工ケーシング及びそれを用いた加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから、ハム、ソーセージ等の食肉加工品においては、食肉具材の表面を覆うための被膜組成物すなわちケーシングとして、羊や豚、牛、馬等の動物の腸や膀胱膜等の天然のコラーゲン膜等の天然ケーシングが利用されてきた。しかしながら、これらは食感や見栄えは良好であるものの、サイズ、供給量、衛生面等での安定性に欠けるため、これらの点で優れている人工ケーシングが使われるようになってきた。これら人工ケーシングに求められる品質は、具材と密着する密着性、具材を充填する際に破れにくいすなわち高い引張強度を持つこと、燻製する場合は燻煙が入る透過性、可食性ケーシングの場合はケーシングを含む食品が良好な歯切れ、硬さ等の食感を有することなどである。一方で、製造コスト削減の観点から、軽量化すなわち薄膜化も同時に求められているが、上記の品質のうち、引張強度および食感は薄膜化と相反するものであり、これらを高い水準で両立することは困難である。
【0003】
これを改善するための方法として、特許文献1では、コラーゲンに卵由来蛋白質等を混合することにより、コラーゲンケーシングを用いたソーセージの食感を改善する方法が例示されている。また、特許文献2では、粉末セルロースをコラーゲン、プラスチック、再生セルロースに添加することにより、得られるフィルム(ケーシング)の引張強度を改善する方法が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3408870号
【特許文献2】特開2015−183021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、食感に対しては一定の改善効果があるものの十分とはいえず、また引っ張り強度の改善については記載がない。また、特許文献2の方法では、引張強度に対しては一定の改善効果があるものの十分とはいえず、また摂取した際にザラツキ感があるといった課題があった。そこで、本発明は、引張強度および食感を改善し、特に、薄膜化した場合でも十分な強度を維持した加工食品用人工ケーシング及びそれを用いた加工食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下を提供する。
[1] セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする人工ケーシング。
[2] [1]に記載のセルロースナノファイバーが、化学変性されたセルロースナノファイバーであることを特徴とする、[1]に記載の人工ケーシング。
[3] 前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gである酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、[2]に記載の人工ケーシング。
[4] 前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、[2]に記載の人工ケーシング。
[5] さらにコラーゲンを含むことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の人工ケーシング。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の人工ケーシングを用いた加工食品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、食感を改善し、薄膜化した場合でも十分な強度を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の人工ケーシング及びそれを用いた加工食品ついて詳細に説明する。
【0009】
<加工食品>
本発明に適用される加工食品は、ソーセージ(ボローニャ、フランクフルト、ウインナー、チョリソー、台湾ソーセージ、サルシッチャ、リングイッサ、ヴァイスブルスト、ビアシンケン、リオナソーセージ、クラコウ、モルタデラ、ビアブルスト、ブラートブルスト、チューリンガー、アンデューイソーセージ、ヤークトブルスト、ブーダンブラン、ボックブルスト等)、ハム(ロースハム、生ハム、ボンレスハム、ショルダーハム、骨付きハム、ポークハム、ベリーハム、ヒレハム等)、サラミ(セルベラート、ペパロニ、カルパス等)に代表されるように、調味した挽肉あるいは刻んだ肉を具材としてケーシングに充填する製造工程を含むものである。具材には、豚、牛、鳥、馬等の畜肉の他、魚肉ソーセージのように魚肉を用いてもよく、野菜ソーセージのように、野菜を潰してペースト状にしたものを用いてもよい。いずれの場合においても、ケーシングと具材が密着することが好ましく、そのために具材はある程度の流動性を持つことが好ましい。
【0010】
<人工ケーシング>
本発明における人工ケーシングは、可食性のものであり、例えばコラーゲンケーシングに対して好適に用いることができ、ケーシングの引張強度および食感を改善できる。ケーシングの厚さは、通常0.01〜1.0mm程度であり、本発明のケーシングは通常の範囲で好適に使用することができる。特に0.5mm以下の比較的薄い場合においても、加工に十分な引張強度を維持でき好ましい。
【0011】
本発明によりケーシングの引張強度および食感が改善される理由は定かではないが、次のように推測される。まず、引張強度については、ケーシング中に含まれるセルロースナノファイバーが、ケーシング中に存在することより三次元構造を取り、それが骨格として働くことによりケーシングの弾性率が高まり、セルロースナノファイバーが均一に分散することにより、引張強度が改善されると推測される。次に、食感については、セルロースナノファイバーの特徴として、剪断応力を受け続けると粘度が次第に低下する、いわゆるチキソトロピー性を有していることが、食感に対しよい影響を与えていると推測される。
【0012】
<セルロースナノファイバー>
本発明の加工食品用人工ケーシングは、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。セルロースナノファイバーとは、植物繊維をナノレベルまで細かくほぐすことによって製造される素材のことであり、一般に平均繊維径が3〜500nm程度、平均アスペクト比が50以上の微細繊維である。アスペクト比の上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0013】
セルロースナノファイバーは、セルロース原料を未変性のまま、あるいは化学変性を施してから、強いせん断力をかけることにより製造することができる。
【0014】
<セルロース原料>
本発明において、セルロースナノファイバーを製造するためのセルロース原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
【0015】
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30〜60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10〜30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度にすることが好ましい。
【0016】
<化学変性>
本発明においては、セルロース原料は未変性であっても、化学変性されていてもよいが、化学変性されている方がより好ましい。化学変性を施したセルロース原料を用いて製造されたセルロースナノファイバーは、未変性のセルロース原料を用いて製造されたセルロースナノファイバーに対し、繊維長・繊維径が均一になるため、水中分散性が安定であり、より優れた効果を発揮すると推測される。化学変性の方法は特に制限されないが、例えば、酸化、エーテル化、リン酸化、エステル化、リン酸エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化などを行うことができる。中でも、N−オキシル化合物を用いた酸化、カルボキシメチル化、カチオン化のいずれかであることが好ましく、食品用途であることから、カルボキシメチル化または酸化であることが特に好ましい。
【0017】
<酸化>
本発明において、セルロース原料の酸化は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gになるように調整することが好ましい。
【0018】
その一例として、セルロースをN−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することにより、得ることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系ファイバーを得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
【0019】
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.02〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度がよい。
【0020】
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
【0021】
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
【0022】
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
【0023】
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
【0024】
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100重量%とした際に、0.1〜30重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
【0025】
セルロース系ファイバーのカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間をコントロールすることで調整することができる。
カルボキシル基量の測定方法は例えば、酸化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出することができる:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又はセルロースナノファイバー〕=a〔ml〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕。
【0026】
<カルボキシメチル化>
本発明において、セルロース原料のカルボキシメチル化は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるように調整することが好ましい。その一例として次のような製造方法を挙げることができるが、従来公知の方法で合成してもよく、市販品を使用してもよい。セルロースを発底原料にし、溶媒に3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度は通常0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間は通常15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間の範囲でマーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度は通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間は通常30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間の範囲でエーテル化反応を行う。
【0027】
グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定方法としては、例えば、次の方法によって得ることができる。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースにする。3)水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
【0028】
<カチオン化>
本発明において、セルロース原料のカチオン化は公知の方法を用いて行うことができ、カチオン化により例えば、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基をセルロース分子に有することができるが、アンモニウムを有する基が好ましく、特に、四級アンモニウムを含む基が好ましい。具体的なカチオン化の方法としては、特に限定されるものではないが、一例として、セルロース原料にグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト又はそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって、四級アンモニウムを含む基を有する、カチオン変性されたセルロースを得ることができる。カチオン化剤の量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。上限は通常800重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。触媒の量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上である。上限は通常7重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。アルコールの量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して50重量%以上であり、より好ましくは100重量%以上である。上限は通常50000重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。
【0029】
カチオン化の際の反応温度は通常10℃以上、好ましくは30℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、通常10分以上であり、好ましくは30分時間以上である。上限は、通常は10時間以下、好ましくは5時間以下である。カチオン化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。なお、この方法において、得られるカチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、調整することができる。ここでいう置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を示す。言い換えると、「導入された置換基のモル数を、グルコピラノース環の水酸基の総モル数で割った値」として定義する。純粋セルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、本発明のセルロース繊維の置換度の理論最大値は3(最小値は0)である。
【0030】
本発明において、カチオン化されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は0.01〜0.40であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.01より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、繊維形態を維持できなくなり、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。グルコース単位当たりのカチオン置換度は、試料(カチオン変性されたセルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN−10(三菱化学)で窒素含有量を測定し、次式により算出することができる。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
カチオン置換度=(162×N)/(1−151.6×N)
N:窒素含有量
【0031】
<リン酸エステル化>
本発明において、セルロース原料のリン酸エステル化は公知の方法を用いて行うことができ、リン酸エステル化に用いる、リン酸としては、ポリリン酸、オルソリン酸、亜リン酸、オキソ塩化リン等であり、その無水物としては、オルソリン酸の無水物である五酸化リン等がある。また、これらリン酸類を混合して用いてもよい。また、リン酸エステルがナトリウム、カリウム、アンモニウムなどとの塩を形成しても良い。
【0032】
<解繊>
本発明において、解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、上記のセルロースナノファイバーに予備処理を施すことも可能である。
【0033】
上記の処理で解繊する場合、セルロース繊維原料としての固形分濃度は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下である。固形分濃度が低過ぎると、処理するセルロース繊維原料の量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなる。
【0034】
<セルロースナノファイバーの形態>
本発明において、セルロースナノファイバーの形態は特に限定されるものではなく、セルロースナノファイバーの分散液あるいはセルロースナノファイバーの乾燥固形物、あるいはその中間的な状態である湿潤固形物であってもよい。なお、本発明において、セルロースナノファイバーの乾燥固形物とは、セルロースナノファイバーを含む分散液を水分量12%以下に脱水・乾燥したものを意味する。セルロースナノファイバーを乾燥固形物として使用する場合、セルロースナノファイバーの分散液を乾燥させたもの、あるいはセルロースナノファイバーと水溶性高分子と混合液を乾燥させたものを例示することができる。なお、再分散性の点では後者が好ましい。上記水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物をいう。この中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩を用いることが相溶性の点から好ましい。
【0035】
上記セルロースナノファイバーの乾燥固形物は、セルロースナノファイバーの水分散液、あるいはセルロースナノファイバー分散液と水溶性高分子を含有した混合液を、pHを9〜11に調整した後に、脱水・乾燥することが再分散性の点から好ましい。セルロースナノファイバーの分散液に水溶性高分子を配合する場合、水溶性高分子の配合量は、セルロースナノファイバーの絶乾固形分に対して、5〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満であると十分な再分散性の効果が発現しない。一方、50重量%を超えるとセルロースナノファイバーの特徴である粘度特性、分散安定性の低下などの問題が生じる。
【0036】
セルロースナノファイバー分散液あるいはセルロースナノファイバー分散液と水溶性高分子を含有した混合液の脱水・乾燥方法としては、従来公知のものであれば良く、例えば、スプレードライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。本発明方法で具体的に用いる乾燥装置の例としては、以下のようなものである。すなわち、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置等、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等の乾燥装置を単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ドラム乾燥装置を用いることが、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給するためエネルギー効率の点から好ましい。また、ドラム乾燥装置は必要以上に熱を加えずに、直ちに乾燥物を回収できる点からも好ましい。
【0037】
上記乾燥固形物は、必要に応じ粉砕、分級することができる。特に乾式粉砕や湿式粉砕を施すと、より微細化された添加物を得ることができ好ましい。乾式粉砕で用いる装置としてはハンマーミル、ピンミル等の衝撃式ミル、ボールミル、タワーミル等の媒体ミル、ジェットミル等が例示される。湿式粉砕で用いる装置としてはホモジナイザー、マスコロイダー、パールミル等の装置が例示される。
【0038】
<人工ケーシングおよび加工食品の製造>
本発明においては、セルロースナノファイバーと他の材料を公知の方法で混合し、公知の方法で人工ケーシングを製造することができる。セルロースナノファイバーを含むケーシングの成分を互いに均一に分散させる観点からは、ケーシングの成分を含む分散液と、セルロースナノファイバーの水分散液を、ミキサー等で撹拌する方法が好ましい。
【0039】
本発明において、ケーシング中におけるセルロースナノファイバーの添加量は、ケーシングの全絶乾重量に対し、絶乾重量で0.05重量%以上50重量%以下が好ましく、0.1重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。含有量が0.05重量%より少ないと十分な効果を発揮しない。50重量%より多いとケーシングの主成分どうしの結合が弱くなり、ケーシング全体の強度が低下する。
【0040】
ケーシングの製造方法の一例として、ケーシングの成分を含む分散液を、互いに逆回転する二重円筒ノズルから、飽和食塩水等の凝固浴中に筒状に押し出し、水洗後、空気を入れて乾燥することにより得ることができる。
【0041】
ケーシング中に具材を充填する方法は、公知の方法、例えば市販の充填機(スタッファー)を使って行うことができる。ここで、充填機は、押出機、および充填ノズル等から構成される。使用方法としては、充填ノズルにケーシングを装填し、ケーシングの端を閉鎖した後、具材を押し出して、ケーシングに具材を充填する。ケーシングに充填された後は、適当な長さで両端をねじることで結紮することができる。
【0042】
また、別の方法として、充填機の二重構造式のノズルの内側から具材を押し出し、同時にその周囲からケーシングの成分を含む分散液を押し出し(プロテコンシステム)、凝固円水溶液等の凝固液中に浸漬後に乾燥させるか、そのまま乾燥させる方法もある。本発明はこの方法に対しても好適に用いることができる。上記の方法で充填された後は、必要に応じ、公知の方法で加熱、乾燥、燻製、水煮、冷却することにより、本発明の加工食品を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
<酸化セルロースナノファイバーの製造>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.0g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー分散液を得た。得られた繊維は、平均繊維径が3nm、アスペクト比が250であった。
【0045】
<カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造>
パルプを混ぜることが出来る撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙株式会社製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g(発底原料の無水グルコース残基当たり2.25倍モル)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算、パルプのグルコース残基当たり1.5倍モル)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。その後、カルボキシメチル化したパルプを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、カルボキシメチル化セルロース繊維とした。得られた繊維は、平均繊維径が15nm、アスペクト比が50であった。
【0046】
なお、上記製造例におけるカルボキシル基量、カルボキシメチル置換度は、上段にて説明した方法により測定された。
【0047】
<実施例1>
脱毛処理の終った牛皮床を軽く水洗した後、皮1重量%に対し2%の石灰水溶液3重量%を加え20℃10日間石灰処理を行なった。水洗後、硫酸酸性の1%食塩水溶液に浸漬し過剰の石灰を中和し、除去し、更に水洗を行なった後1%乳酸水溶液に15℃3日間浸漬して皮を膨潤させた。これを直径12mmの孔を有するプレートを備えた肉挽き機で砕き、更にロール解繊機により処理した後、この皮1重量%と水1重量%とを混合し、リファイナーに5回通して微細化しpH3.0、濃度9%のコラーゲン繊維分散液を得た。上記の添加用セルロースナノファイバーの水分散液100gと、上記のコラーゲン繊維分散液1100g(混合分散液の全絶乾重要中におけるセルロースナノファイバーの絶乾重量で1.0%)を混合し、ミキサーで10分間撹拌することにより、セルロースナノファイバーとコラーゲンの混合分散液を得た。混合分散液の固形分濃度は8.3%であった。
この混合分散液を用いて、次に示す方法により引張強度および食感に関する試験を行った。
【0048】
<引張り強度>
上記の混合分散液から厚さ1.0mmのコラーゲンフィルムを作製し、フィルムを1.5mmの幅に切り取り、引張り試験機(東洋製機製)を用いて、引張り強度を測定した。
【0049】
<食感>
常法に従い、ソーセージを作成した。まず、具材として、ミンチした豚ウデ肉を氷水、食塩、発色剤、調味などとともにカッティングして混合した練り肉のミートエマルションを500g作成した。
【0050】
次に、充填機の二重構造式のノズルの内側から具材を押し出し、同時にその周囲から上記のセルロースナノファイバーとコラーゲンの混合分散液を押し出して、表面を乾燥後、加熱、乾燥、スモークし、その後冷却してソーセージとした。ソーセージ1個当りの重量は約40gであった。ケーシングの厚さは0.5mmであった。このソーセージを、約70℃に保温された温水浴中に20分間浸漬し、品温が約70℃に温められたソーセージについて、10人のパネラーに試食させ、皮の食感(歯切れおよび硬さ)について、下記の5点法にて評価をさせ、その平均点を評価点数とした。
(1)歯切れ
5 弾力性があり、歯切れがよくパリッと噛み切りやすい。
4 やや良い。
3 変化なし。
2 やや悪い。
1 弾力性が無く、歯切れが悪くパリッと噛み切れない。
(2)硬さ
5 咀嚼時、口の中に皮が全く残らない。
4 咀嚼時、口の中に皮がほとんど残らない。
3 咀嚼時、口の中に皮がわずかに残る。
2 咀嚼時、口の中に皮が少し残る。
1 咀嚼時、口の中に皮が大量に残る。
【0051】
<実施例2>
実施例1のセルロースナノファイバーを、上記の方法で製造したカルボキシメチル化セルロースナノファイバーに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0052】
<比較例1>
実施例1においてセルロースナノファイバーを用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0053】
<比較例2>
実施例1においてセルロースナノファイバーを粉末セルロース(KCフロック W−400G、日本製紙株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の結果から明らかなように、セルロースナノファイバーを含有している実施例1,2では、セルロースナノファイバーを含有していない比較例1、および粉末セルロースを含有した比較例2に対し、引張強度、各種食感共に良好であることが分かる。