特許第6876368号(P6876368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876368生体信号を利用したユーザ認証方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876368
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】生体信号を利用したユーザ認証方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20210517BHJP
   A61B 5/117 20160101ALI20210517BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20210517BHJP
【FI】
   G06F21/32
   A61B5/117
   A61B5/04 310M
【請求項の数】23
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-244042(P2015-244042)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-126775(P2016-126775A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2018年11月22日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0194107
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベ 致 成
(72)【発明者】
【氏名】任 海 兵
(72)【発明者】
【氏名】冀 永 楠
(72)【発明者】
【氏名】馮 雪 涛
(72)【発明者】
【氏名】汪 彪
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 駿
【審査官】 吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−176106(JP,A)
【文献】 特開2013−239125(JP,A)
【文献】 特表2008−518709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
A61B 5/117
A61B 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体信号から複数の認証波形を抽出して認証データセットを生成するデータセット生成部と、
前記抽出された認証波形のそれぞれをメモリに格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形のそれぞれとマッチングして前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算する類似度演算部と、
前記抽出された認証波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算する予備類似度演算部と、
前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証する認証部と、を備え、
前記類似度演算部、前記抽出された各認証波形がM個であり、前記複数の登録された波形がN個である場合、M×N回マッチングを行い、M個の抽出された認証波形のそれぞれとN個の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算することを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記メモリは、前記データセット生成部が前記認証データセットを生成する前の登録の間に、ユーザの生体信号から抽出された複数の登録された波形を含む登録データセットを格納することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記類似度演算部は、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴及び前記登録された波形のそれぞれの特徴を抽出し、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴と前記登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を算出することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項4】
前記類似度演算部は、
前記抽出された認証波形及び前記登録された波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換し、
前記抽出された認証波形が変換された特徴ベクトルのそれぞれと前記登録された波形が変換された特徴ベクトルのそれぞれとの間の類似度を算出することを特徴とする請求項3に記載の認証装置。
【請求項5】
前記類似度演算部は、前記抽出された認証波形及び前記登録された波形のそれぞれの次元を減少させて前記抽出された認証波形及び前記登録された波形のそれぞれを前記特徴ベクトルに変換することを特徴とする請求項4に記載の認証装置。
【請求項6】
前記類似度演算部は、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴パラメータ及び前記登録された波形のそれぞれの特徴パラメータを抽出し、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴パラメータと前記登録された波形のそれぞれの特徴パラメータとの間の類似度を算出することを特徴とする請求項3に記載の認証装置。
【請求項7】
前記特徴パラメータは、前記抽出された認証波形又は前記登録された波形のそれぞれのPRインターバル、PRセグメント、QRSコンプレックス、STセグメント、STインターバル、QTインターバル、RRインターバル、振幅、又は雑音電力のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の認証装置。
【請求項8】
前記予備類似度演算部は、
前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形の特徴を抽出し、
前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を算出することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項9】
前記予備類似度演算部は、
前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換し、
前記代表的な認証波形が変換された特徴ベクトルと前記代表的な登録波形が変換された特徴ベクトルとの間の類似度を算出することを特徴とする請求項8に記載の認証装置。
【請求項10】
前記予備類似度演算部は、
前記代表的な認証波形の特徴パラメータ及び前記代表的な登録波形の特徴パラメータを抽出し、
前記代表的な認証波形の特徴パラメータと前記代表的な登録波形の特徴パラメータとの間の類似度を算出することを特徴とする請求項8に記載の認証装置。
【請求項11】
前記認証部は、前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を用いてユーザが前記登録データセットのユーザと一致するか否かを判断することを特徴とする請求項8に記載の認証装置。
【請求項12】
前記認証部は、前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を正規化することを特徴とする請求項11に記載の認証装置。
【請求項13】
前記認証部は、前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度の重みを異なるように設定してユーザが前記登録データセットのユーザと一致するか否かを判断することを特徴とする請求項11に記載の認証装置。
【請求項14】
前記認証部は、分類器に前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を適用して前記抽出された認証波形と前記登録された波形とが対応するか否かを判断することを特徴とする請求項11に記載の認証装置。
【請求項15】
前記分類器は、SVM(Support Vector Machine)又はNN(Nearest Neighbor)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項14に記載の認証装置。
【請求項16】
前記認証部でユーザが前記登録データセットのユーザと一致しないと判断された場合、前記データセット生成部、前記類似度演算部、前記予備類似度演算部、及び前記認証部の動作を繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の認証装置。
【請求項17】
前記認証部は、前記データセット生成部、前記類似度演算部、前記予備類似度演算部、及び前記認証部の動作を繰り返した反復回数が所定の臨界の反復回数を超過した場合、ユーザが前記登録データセットのユーザと一致しないと判断することを特徴とする請求項16に記載の認証装置。
【請求項18】
ユーザの生体信号を感知するセンサと、
前記生体信号から複数の認証波形を抽出して認証データセットを生成し、
前記生成された認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれをメモリに格納された複数の登録された波形のそれぞれとマッチングして前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算し、
前記抽出された認証波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算し、
前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証するプロセッサと、を備え、
前記類似度を演算する際に、前記抽出された各認証波形がM個であり、前記複数の登録された波形がN個である場合、M×N回マッチングを行い、M個の抽出された認証波形のそれぞれとN個の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算することを特徴とする認証装置。
【請求項19】
前記生体信号は、心電図信号を含むことを特徴とする請求項1又は18に記載の認証装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴及び前記登録された波形のそれぞれの特徴を抽出し、
前記抽出された認証波形のそれぞれの特徴と前記登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を算出することを特徴とする請求項18に記載の認証装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、
前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形の特徴を抽出し、
前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を算出することを特徴とする請求項18に記載の認証装置。
【請求項22】
ユーザ認証装置の認証方法であって、
ユーザの生体信号から複数の認証波形を抽出して認証データセットを生成するステップと、
前記生成された認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれをメモリに格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形のそれぞれとマッチングして前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算するステップと、
前記抽出された認証波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算するステップと、
前記抽出された認証波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証するステップと、を有し、
前記類似度を演算するステップ、前記抽出された各認証波形がM個であり、前記複数の登録された波形がN個である場合、M×N回マッチングを行い、M個の抽出された認証波形のそれぞれとN個の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算することを特徴とする認証方法。
【請求項23】
請求項22に記載の認証方法を認証装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号を利用したユーザ認証方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体から抽出される様々な信号やデータを活用してこれを各種システムで用いる技術が発展している。特に、生体信号やデータを用いてセキュリティシステムを構築する生体認証技術が脚光を浴びている。生体認証技術とは、ユーザから生体に関する信号やデータを抽出し、これを既に格納されたデータと比較して本人であることを確認してユーザを認証する技術をいう。代表的に、生体認証技術分野のうちの1つとして個人の心電図信号を用いてユーザを認証する技術が開発されている。
【0003】
生体認証技術は、個人の固有生体信号を用いるため、盗難や紛失の虞がなく、偽造又は変造が難しいため、セキュリティ分野で脚光を浴びている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、生体信号を用いてユーザを正確に認証するユーザ認証方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による認証装置は、ユーザの生体信号から複数の波形を抽出して認証データセットを生成するデータセット生成部と、抽出された波形のそれぞれをメモリに格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形とをマッチングして前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度を演算する類似度演算部と、前記抽出された波形の代表波形を示す代表的な認証波形(representative authentication waveform)及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形(representative registration waveform)を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算する予備類似度演算部(auxiliary similarity calculator)と、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証する認証部と、を備える。
【0006】
前記生体信号は、心電図信号を含み得る。
前記メモリは、前記データセット生成部が前記認証データセットを生成する前の登録の間に、ユーザの生体信号から抽出された複数の登録された波形を含む登録データセットを格納し得る。
前記類似度演算部は、前記抽出された波形のそれぞれの特徴及び前記登録された波形のそれぞれの特徴を抽出し、前記抽出された波形のそれぞれの特徴と前記登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を算出し得る。
前記類似度演算部は、前記抽出された波形及び前記登録された波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換し、前記抽出された波形が変換された特徴ベクトルのそれぞれと前記登録された波形が変換された特徴ベクトルのそれぞれとの間の類似度を算出し得る。
前記類似度演算部は、前記抽出された波形及び前記登録された波形のそれぞれの次元を変更して前記抽出された波形及び前記登録された波形のそれぞれを前記特徴ベクトルに変換し得る。
前記類似度演算部は、前記抽出された波形のそれぞれの特徴パラメータ及び前記登録された波形のそれぞれの特徴パラメータを抽出し、前記抽出された波形のそれぞれの特徴パラメータと前記登録された波形のそれぞれの特徴パラメータとの間の類似度を算出し得る。
前記特徴パラメータは、前記抽出された波形又は前記登録された波形のそれぞれのPRインターバル(PR interval)、PRセグメント(PR segment)、QRSコンプレックス(QRS complex)、STセグメント(ST segment)、STインターバル(ST interval)、QTインターバル(QT interval)、RRインターバル(RR interval)、振幅、又は雑音電力(noise power)のうちの少なくとも1つを含み得る。
前記予備類似度演算部は、前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形の特徴を抽出し、前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を算出し得る。
前記予備類似度演算部は、前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換し、前記代表的な認証波形が変換された特徴ベクトルと前記代表的な登録波形が変換された特徴ベクトルとの間の類似度を算出し得る。
前記予備類似度演算部は、前記代表的な認証波形の特徴パラメータ及び前記代表的な登録波形の特徴パラメータを抽出し、前記代表的な認証波形の特徴パラメータと前記代表的な登録波形の特徴パラメータとの間の類似度を算出し得る。
前記認証部は、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を用いてユーザが前記登録データセットのユーザと一致するか否かを判断し得る。
前記認証部は、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を正規化し得る。
前記認証部は、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度の重みを異なるように設定してユーザが前記登録データセットのユーザと一致するか否かを判断し得る。
前記認証部は、分類器に前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を適用して前記抽出された波形と前記登録された波形とが対応するか否かを判断し得る。
前記分類器は、SVM(Support Vector Machine)又はNN(Nearest Neighbor)のうちの少なくとも1つを含み得る。
前記認証装置は、前記認証部でユーザが前記登録データセットのユーザと一致しないと判断された場合、前記データセット生成部、前記類似度演算部、前記予備類似度演算部、及び前記認証部の動作を繰り返し得る。
前記認証部は、前記データセット生成部、前記類似度演算部、前記予備類似度演算部、及び前記認証部の動作を繰り返した反復回数が所定の臨界の反復回数を超過した場合、ユーザが前記登録データセットのユーザと一致しないと認証し得る。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による認証装置は、ユーザの生体信号を感知するセンサと、前記生体信号から複数の波形を抽出して認証データセットを生成し、抽出された波形のそれぞれをメモリに格納された複数の登録された波形とマッチングして前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度を演算し、前記抽出された波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算し、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証するプロセッサと、を備える。
【0008】
前記生体信号は、心電図信号を含み得る。
前記プロセッサは、前記抽出された波形のそれぞれの特徴及び前記登録された波形のそれぞれの特徴を抽出し、前記抽出された波形のそれぞれの特徴と前記登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を算出し得る。
前記プロセッサは、前記代表的な認証波形及び前記代表的な登録波形の特徴を抽出し、前記代表的な認証波形の特徴と前記代表的な登録波形の特徴との間の類似度を算出し得る。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるユーザ認証装置の認証方法は、ユーザの生体信号から複数の波形を抽出して認証データセットを生成するステップと、抽出された波形のそれぞれをメモリに格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形とマッチングして前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度を演算するステップと、前記抽出された波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び前記登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出して前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を演算するステップと、前記抽出された波形のそれぞれと前記登録された波形との間の類似度及び前記代表的な認証波形と前記代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のユーザ認証方法及び装置によれば、複数の認証波形を含む認証データセット又は複数の登録された波形を含む登録データセットの波形のうちの特異性が大きい波形がユーザの認証に及ぼす影響を減少させることで、誤認識率、誤拒否率を減少させることができるため、生体信号を用いてユーザを正確に認証することができる。また、分類器に複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度だけでなく代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を適用することで、誤認識率、誤拒否率を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は一実施形態による認証装置を示すブロック図であり、(b)は心電図信号の一例を説明するための図である。
図2】他の実施形態による認証装置を示すブロック図である。
図3】更に他の実施形態による認証装置を示すブロック図である。
図4】更に他の実施形態による認証装置を示すブロック図である。
図5】(a)、(b)は一実施形態による認証装置のユーザ認証を説明するための図である。
図6】一実施形態による抽出された波形と登録された波形との間の類似度の演算を説明するための図である。
図7】一実施形態による抽出された波形と登録された波形とのマッチングを説明するための図である。
図8】一実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。
図9】他の実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。
図10】更に他の実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。
図11】一実施形態による認証方法を示す動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面で提示する同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0013】
以下で説明する実施形態は様々な変更が加えられ得る。以下で説明する実施形態は、本実施形態を限定しようとするものではなく、これらに対する全ての変更、均等物ないし代替物を含む。
【0014】
本実施形態で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いるものであり、本実施形態を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上明白に異なるものを意味しない限り複数の表現を含む。本明細書で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しない。
【0015】
異なるものとして定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義されるような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈され、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0016】
また、図面を参照する説明において、図面符号に関係なく同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、それに対する重複説明は省略する。本実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0017】
図1(a)は、一実施形態による認証装置を示すブロック図であり、図1(b)は、心電図信号の一例を説明するための図である。
【0018】
図1(a)を参照すると、認証装置100は、データセット生成部110、類似度演算部120、及び認証部130を含む。データセット生成部110、類似度演算部120、及び認証部130は、1つ以上のプロセッサ又はメモリを含む。
【0019】
データセット生成部110は、ユーザの生体信号からユーザの認証のための複数の波形を抽出して認証データセットを生成し、メモリに認証データセットを格納する。ここで、生体信号は人体から感知される信号を示すものであって、例えば生体信号は、心電図(Electro Cardio Gram:ECG)信号、脳電図(Electro Encephalo Gram:EEG)信号、筋電図(Electro Myo Gram:EMG)信号、眼電図(Electro Oculo Gram:EOG)を含む。また、生体信号は上記列挙した例示以外の他の生体信号を含み得る。データセット生成部110は、センサ(例えば、心電図センサ、脳電図センサ、筋電図センサ、眼電図センサ)から生体信号を受信する。ここで、センサはハードウェアデバイスである。センサは、認証装置100に含まれるか、或いは認証装置100以外の外部装置である。また、認証装置100は、専門医療機器用センサだけでなく、ウェアラブル機器又はモバイル機器に含まれるセンサから生体信号を受信し得る。
【0020】
以下、説明の便宜のために心電図信号に基づいて本明細書を説明する。勿論、本明細書に用いられる生体信号は、心電図信号に限らず、他の生体信号も用いられる。
【0021】
一実施形態で、心電図センサは、複数の電極、増幅器、及びデジタルフィルタを含む。複数の電極は、ユーザの肌(例えば、指)に接触してユーザの心電図信号を感知する。増幅器は、複数の電極で感知された心電図信号を増幅する。一実施形態で、増幅器は、アナログフロントエンド(Analog Front End:AFE)と表現される。デジタルフィルタは、増幅された心電図信号をデジタル信号に変換する。これにより、心電図信号の信号対雑音比(Signal−to−Noise Ratio:SNR)が向上する。
【0022】
他の実施形態で、心電図センサは、複数の電極のみを用いてユーザの心電図信号を感知する。
【0023】
データセット生成部110は、心電図信号から認証のための複数の認証波形を抽出する。データセット生成部110は、心電図信号を心拍数に基づいて分割して、P波、QRS波、T波、及びU波を含む波形のセットを抽出する。P波、QRS波、T波、及びU波の一例を図1(b)に示す。また、データセット生成部110は、抽出された波形の品質(例えば、SNR)を評価し、予め設定された品質値より低い品質の波形を認証波形として抽出しない。
【0024】
本実施形態におけるデータセット生成部110は、複数の抽出された認証波形の主な雑音を除去する前処理過程を行う。例えば、前処理過程で、データセット生成部110は、複数の抽出された認証波形から0.5Hz〜40Hzの複数の抽出された認証波形のみを抽出する。また、データセット生成部110は、複数の抽出された認証波形のDCベースラインワンダリング(DC baseline wandering)、電力雑音(power noise)(例えば、50Hz〜60Hzの周波数帯域の心電図波形)、及びモーションアーチファクト(motion artifact)のような主な雑音を除去する。
【0025】
また、データセット生成部110は、Rピークを基準として複数の抽出された認証波形を整列する。
【0026】
データセット生成部110は、複数の抽出された認証波形を認証データセットに含む。ここで、認証データセットは、ユーザの認証を行うために当該ユーザの認証波形として構成されたセットを意味する。一例として、認証データセットは、プローブセット(probe set)と表現される。データセット生成部110は、認証データセットに当該ユーザの心電図波形を累積し、ユーザの認証が終了した後、認証データセットを削除する。
【0027】
また、認証装置100は、メモリ格納部(図示せず)を含む。メモリ格納部(図示せず)は、登録の間に、予め登録されたユーザの生体信号から抽出された複数の登録された波形を含む登録データセットを予め格納する。ここで、登録データセットは、ユーザの登録を行うために当該ユーザの登録波形として構成されたデータセットを意味する。一実施形態で、認証装置100は、登録を行おうとするユーザの生体信号を取得し、取得された生体信号からユーザの登録のための複数の波形を抽出して登録データセットを生成する。或いは、認証装置100は、認証を行う前に認証装置100に格納されたユーザの生体信号から複数の波形を抽出して登録データセットを生成する。他の実施形態で、認証装置100は、外部装置から登録データセットを受信する。
【0028】
類似度演算部120は、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれを、登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングを行い、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。即ち、類似度演算部120は、認証データセットと登録データセットとをマッチングして複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。一例として、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形がM個であり、登録データセットに含まれる複数の登録された波形がN個である場合、類似度演算部120は、M×N回マッチングを行い、M個の抽出された認証波形のそれぞれとN個の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を演算する。また、類似度演算部120は、M個の抽出された認証波形のそれぞれとN個の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を示すM×N個のヒストグラムを生成する。
【0029】
類似度演算部120は、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形から代表的な認証波形を抽出せず、また登録データセットに含まれる複数の登録された波形から代表的な登録波形を抽出せずに、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形全体を登録データセットに含まれる複数の登録された波形全体と一対一でマッチングする。これにより、代表的な認証波形又は代表的な登録波形を抽出することで発生する情報の損失が防止され、認証データセット又は登録データセットに含まれる波形のうちの特異性が大きい波形がユーザの認証に及ぼす影響を減少させることができる。例えば、認証データセットに含まれる4つの抽出された波形のうちの1つが多くの雑音を含む場合、4つの抽出された認証波形から抽出された代表的な認証波形は、多くの雑音を含む1つの波形により歪曲されることがある。類似度演算部120は、認証データセットに含まれる4つの抽出された認証波形から代表的な認証波形を抽出せずに、4つの認証波形のそれぞれを登録データセットに含まれる複数の登録された波形のそれぞれとマッチングすることで、多くの雑音を含む1つの波形による認証エラーを減少させることができる。
【0030】
類似度を演算するために、類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴及び複数の登録された波形のそれぞれの特徴を抽出する。ここで、特徴は、波形の特性を示すものであって、特徴点とも表現される。本実施形態において、特徴は、特徴ベクトル又は特徴パラメータを含む。また、これに限らず、特徴は、波形の特性を示す全ての構成を含み得る。
【0031】
本実施形態における類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換する。類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれの次元を変更して複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれを特徴ベクトルに変換する。例えば、類似度演算部120は、AC/DCT(Auto−correction/Discrete Cosine Transform)、STFT(Short Time Fourier Transform)、MFCC(Mel−frequency Cepstral Coefficient)、Wavelet、LPC/LPCC(Linear Predictive Coding/Linear Predictive Spectrum Coefficient)、又はLSP(Line Spectrum Pair)を用いて、複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれを周波数領域に変換する。類似度演算部120は、PCA(Principle Component Analysis)、LDA(Linear Discriminative Analysis)、又はERE(Eigenfeature Regularization and Extraction)に基づいて周波数領域に変換された複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれの特徴成分を選択して複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれの次元を減少させ、次元が減少した複数の抽出された認証波形及び複数の登録された波形のそれぞれから特徴ベクトルを生成する。
【0032】
本実施形態における類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴パラメータ及び複数の登録された波形のそれぞれの特徴パラメータを抽出する。ここで、特徴パラメータは、心電図波形のPRインターバル、PRセグメント、QRSコンプレックス、STセグメント、STインターバル、QTインターバル、RRインターバル、振幅、又は雑音電力のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と複数の登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を演算する。一例として、類似度演算部120は、関連性(correlation)、コサイン類似度(cosine similarity)、ユークリッド距離(Euclidean distance)、L1ノーム(norm)、P−ノーム、又は平均二乗平方根誤差(Root Mean Square Error:RMSE)を用いて、複数の抽出された認証波形が変換された複数の特徴ベクトルのそれぞれと複数の登録された波形が変換された複数の特徴ベクトルのそれぞれとの間の類似度、又は複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴パラメータと複数の登録された波形のそれぞれの特徴パラメータとの間の類似度を抽出する。ここで、関連性又はコサイン類似度は、その値が大きいほど類似度が高く、ユークリッド距離又は平均二乗平方根誤差は、その値が小さいほど類似度が高い。また、その他にも、類似度演算部120は、特徴を比較可能な全ての方式を用いて複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と複数の登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を抽出し得る。
【0034】
本実施形態における類似度演算部120は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と複数の登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度をヒストグラム、特徴ベクトル、又は値(value)の形態で示す。
【0035】
認証部130は、類似度を用いてユーザを認証する。認証部130は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を用いてユーザが登録データセットのユーザと一致するか否かを判断する。
【0036】
一実施形態で、認証を行うために、認証部130は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を正規化する。ここで、認証部130は、min−max、Tanh−estimator、又はz−scoreなどの正規化関数を用いて複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を正規化する。
【0037】
認証部130は、分類器(図示せず)に複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を適用して複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応するか否かを判断する。複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応すると判断された場合、認証部130は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致すると認証し、複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形が対応しないと判断された場合、認証部130は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致しないと認証する。
【0038】
一例として、分類器は、SVM(Support Vector Machine)又はNN(Nearest Neighbor)であり、認証部は、SVM又はNNに複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度を適用して複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応するか否かを判断する。
【0039】
認証部130で複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応しないと判断された場合、認証装置100は、データセット生成部110、類似度演算部120、及び認証部130の動作を繰り返す。例えば、複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応しないと判断された場合、データセット生成部110は、認証を試みるユーザの心電図信号を再び取得し、再取得された心電図信号から複数の認証波形を抽出して新しい認証データセットを生成する。類似度演算部120は、新しい認証データセットに含まれる複数の新しく抽出された認証波形のそれぞれを登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして複数の新しく抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算し、認証部130は、新しく演算された類似度を用いてユーザを認証する。ここで、認証部130は、データセット生成部110、類似度演算部120、及び認証部130の動作を繰り返した反復回数が所定の臨界の反復回数を超過した場合、ユーザを登録データセットのユーザと一致しないと認証する。
【0040】
このようなデータセット生成部110、類似度演算部120、及び認証部130の動作により、認証装置100は、代表的な認証波形又は代表的な登録波形を抽出することで発生する情報の損失を防止し、認証データセット又は登録データセットに含まれる波形のうちの特異性が大きい波形がユーザの認証に及ぼす影響を減少させることで、誤認識率(False Acceptance Rate:FAR)、誤拒否率(False Rejection Rate:FRR)を減少させることができる。
【0041】
図2は、他の実施形態による認証装置を示すブロック図である。
【0042】
図2を参照すると、認証装置200は、データセット生成部210、類似度演算部220、予備類似度演算部230、及び認証部240を含む。データセット生成部210、類似度演算部220、予備類似度演算部230、及び認証部240は、1つ以上のプロセッサ又はメモリを含む。
【0043】
データセット生成部210は、ユーザの生体信号からユーザの認証のための複数の波形を抽出して認証データセットを生成する。
【0044】
類似度演算部220は、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれを、登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。
【0045】
データセット生成部210及び類似度演算部220には、図1(a)に示すデータセット生成部110及び類似度演算部120を説明した内容がそのまま適用されるため、より詳しい説明を省略する。
【0046】
予備類似度演算部230は、認証データセットの代表的な認証波形及び登録データセットの代表的な登録波形の特徴を抽出し、代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似性を示す類似度を抽出する。ここで、代表的な認証波形は認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形の代表波形を示し、代表的な登録波形は登録データセットに含まれる複数の登録された波形の代表波形を示す。一例として、予備類似度演算部230は、複数の抽出された認証波形の平均値を演算して代表的な認証波形を生成し、複数の登録された波形の平均値を演算して代表的な登録波形を生成する。或いは、これに限らず、予備類似度演算部230は、他の統計的方法を用いて代表的な認証波形及び代表的な登録波形を抽出し得る。
【0047】
予備類似度演算部230は、代表的な認証波形及び代表的な登録波形の特徴を抽出する。
【0048】
本実施形態における予備類似度演算部230は、代表的な認証波形及び代表的な登録波形を特徴ベクトルに変換する。予備類似度演算部230は、代表的な認証波形及び代表的な登録波形の次元を変更して代表的な認証波形及び代表的な登録波形を特徴ベクトルに変換する。例えば、予備類似度演算部230は、AC/DCT、STFT、MFCC、Wavelet、LPC/LPCC、又はLSPを用いて、代表的な認証波形及び代表的な登録波形を周波数領域に変換する。予備類似度演算部230は、PCA、LDA、又はEREに基づいて周波数領域に変換された代表的な認証波形及び代表的な登録波形の特徴成分を選択して代表的な認証波形及び代表的な登録波形の次元を減少させ、次元が減少した代表的な認証波形及び代表的な登録波形から特徴ベクトルを生成する。
【0049】
本実施形態における予備類似度演算部230は、代表的な認証波形及び代表的な登録波形の特徴パラメータを抽出する。例えば、予備類似度演算部230は、代表的な認証波形及び代表的な登録波形のPRインターバル、PRセグメント、QRSコンプレックス、STセグメント、STインターバル、QTインターバル、RRインターバル、振幅、又は雑音電力のうちの少なくとも1つを特徴パラメータとして抽出する。
【0050】
予備類似度演算部230は、代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似度を演算する。例えば、予備類似度演算部230は、関連性、コサイン類似度、ユークリッド距離、L1ノーム、P−ノーム、又は平均二乗平方根誤差を用いて、代表的な認証波形が変換された特徴ベクトルと代表的な登録波形が変換された特徴ベクトルとの間の類似度、又は代表的な認証波形の特徴パラメータと代表的な登録波形の特徴パラメータとの間の類似度を抽出する。また、その他にも、予備類似度演算部230は、特徴を比較可能な全ての方式を用いて代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似度を抽出し得る。
【0051】
本実施形態における予備類似度演算部230は、代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似度をヒストグラム、特徴ベクトル、又は値の形態で示す。
【0052】
認証部240は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザが登録データセットのユーザと一致するか否かを判断する。
【0053】
一実施形態で、認証を行うために、認証部240は、min−max、Tanh−estimator、又はz−scoreなどの正規化関数を用いて複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を正規化する。
【0054】
また、認証部240は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度の重みを異なるように設定してユーザの認証を行う。例えば、認証部240は、重みを予め設定し、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を比較して重みを設定する。一例として、認証部240は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度の平均及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度のうちの値が高い類似度に相対的に高い重みを付与し、値が低い類似度に相対的に低い重みを付与する。
【0055】
本実施形態における認証部240は、分類器に複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を適用して複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形が対応するか否かを判断する。一例として、分類器はSVM又はNNである。複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応すると判断された場合、認証部240は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致すると認証し、複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応しないと判断された場合、認証部240は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致しないと認証する。ユーザの認証に複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度だけでなく、代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を共に分類器に適用することで、誤認識率、誤拒否率を減少させることができる。
【0056】
認証部240で複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形とが対応しないと判断された場合、認証装置200は、データセット生成部210、類似度演算部220、予備類似度演算部230、及び認証部240の動作を繰り返す。この場合、認証部240は、データセット生成部210、類似度演算部220、予備類似度演算部230、及び認証部240の動作を繰り返した反復回数が所定の臨界の反復回数を超過した場合、ユーザが登録データセットのユーザと一致しないと認証する。
【0057】
図3及び図4は、更に他の実施形態による認証装置を示すブロック図である。
【0058】
図3を参照すると、認証装置300は、第1特徴抽出部310、第2特徴抽出部320、予備特徴抽出部330、マッチング部340、及び認証部350を含む。第1特徴抽出部310、第2特徴抽出部320、予備特徴抽出部330、マッチング部340、及び認証部350は、1つ以上のプロセッサ又はメモリを含む。
【0059】
本実施形態における認証装置300は、動作モードに従って動作する。動作モードは登録モード及び認証モードを含む。登録モードで、認証装置300は、登録を行うユーザを示す登録ユーザの生体信号を登録する動作を行い、認証モードで、認証装置300は、認証を行うユーザを示す認証ユーザの生体信号を用いてユーザを認証する動作を行う。
【0060】
以下、認証モードで動作する認証装置300を説明する。
【0061】
第1特徴抽出部310は、登録されたユーザの心電図信号から抽出された複数の登録された波形の特徴を抽出する。第1特徴抽出部310は、登録モードで取得した登録されたユーザの心電図信号から複数の登録された波形を抽出する。第1特徴抽出部310は、心電図信号を心拍数に基づいて分割してP波、QRS波、T波、及びU波を1つの登録された波形から抽出する。第1特徴抽出部310は、複数の抽出された登録された波形を登録データセットに含む。
【0062】
また、第1特徴抽出部310は、複数の登録された波形のそれぞれの特徴を抽出する。一例として、第1特徴抽出部310は、複数の登録された波形のそれぞれの特徴ベクトル又は特徴パラメータを抽出する。
【0063】
第2特徴抽出部320は、認証ユーザの心電図信号から抽出された複数の認証波形の特徴を抽出する。第2特徴抽出部320は、認証モードで取得した認証ユーザの心電図信号から複数の認証波形を抽出する。第2特徴抽出部320は、心電図信号を心拍数に基づいて分割してP波、QRS波、T波、及びU波を1つの登録された波形から抽出する。第2特徴抽出部320は、複数の抽出された認証波形を認証データセットに含む。
【0064】
また、第2特徴抽出部320は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴(例えば、特徴ベクトル又は特徴パラメータ)を抽出する。
【0065】
図3に示す例で、第1特徴抽出部310と第2特徴抽出部320は、分離したものとして表現したが、第1特徴抽出部310と第2特徴抽出部320は、分離したユニットであるか又は1つのユニットである。
【0066】
マッチング部340は、複数の登録された波形のそれぞれの特徴を複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と一対一でマッチングして、複数の登録された波形のそれぞれの特徴と複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴との間の類似度を演算する。複数の抽出された認証波形がM個であり、登録データセットに含まれる複数の登録された波形がN個である場合、マッチング部340は、M×N回マッチングを行い、M×N個の類似度を演算する。
【0067】
一例として、マッチング部340は、関連性、コサイン類似度、ユークリッド距離、L1ノーム、P−ノーム、又は平均二乗平方根誤差を用いて、複数の抽出された認証波形が変換された複数の特徴ベクトルのそれぞれと複数の登録された波形が変換された複数の特徴ベクトルのそれぞれとの間の類似度、又は複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴パラメータと複数の登録された波形のそれぞれの特徴パラメータとの間の類似度を抽出する。
【0068】
予備特徴抽出部330は、登録データセットに含まれる複数の登録された波形のうちの代表的な登録波形及び認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のうちの代表的な認証波形の特徴を抽出して、代表的な登録波形の特徴と代表的な認証波形の特徴との間の類似度を抽出する。一実施形態で、登録データセットに含まれる複数の登録された波形の平均値を演算して代表的な登録波形を抽出し、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形の平均値を演算して代表的な認証波形を抽出する。予備特徴抽出部330は、代表的な登録波形の特徴(例えば、特徴ベクトル又は特徴パラメータ)及び代表的な認証波形の特徴を抽出する。
【0069】
また、予備特徴抽出部330は、代表的な登録波形の特徴と代表的な認証波形の特徴との間の類似度を演算する。登録データセットで代表的な登録波形は1つであり、認証データセットで代表的な認証波形は1つであるため、予備特徴抽出部330は、1つの類似度を演算する。一例として、マッチング部は、関連性、コサイン類似度、ユークリッド距離、L1ノーム、P−ノーム、又は平均二乗平方根誤差を用いて代表的な登録波形の特徴ベクトルと代表的な認証波形の特徴ベクトルとの間の類似度、又は代表的な登録波形の特徴パラメータと代表的な認証波形の特徴パラメータとの間の類似度を抽出する。
【0070】
認証部350は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザが登録データセットのユーザと一致するか否かを判断する。
【0071】
本実施形態における認証部350は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を正規化し、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度の重みを異なるように設定する。
【0072】
認証部350は、分類器(例えば、SVM、NN)に複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を適用して複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形が対応するか否かを判断する。
【0073】
複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形が対応すると判断された場合、認証部350は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致すると認証し、複数の抽出された認証波形と複数の登録された波形が対応しないと判断された場合、認証部350は、認証データセットのユーザが登録データセットのユーザと一致しないと認証する。
【0074】
他の実施形態において、認証部350は、分類器に複数の登録された波形のそれぞれと複数の抽出された認証波形のそれぞれとの間の類似度を適用した後に代表的な登録波形と代表的な認証波形との間の類似度を適用し、分類器に代表的な登録波形と代表的な認証波形との間の類似度を適用した後に複数の登録された波形のそれぞれと複数の抽出された認証波形のそれぞれとの間の類似度を適用する。例えば、認証部350は、分類器に複数の登録された波形のそれぞれと複数の抽出された認証波形のそれぞれとの間の類似度を適用して複数の登録波形と複数の認証波形とが対応するか否かを判断し、複数の登録波形と複数の認証波形とが対応すると判断された場合、分類器に代表的な登録波形と代表的な認証波形との間の類似度を適用して代表的な登録波形と代表的な認証波形とが対応するか否かを判断する。ここで、分類器に複数の登録された波形のそれぞれと複数の抽出された認証波形のそれぞれとの間の類似度を適用して複数の登録された波形と複数の抽出された認証波形とが対応しないと判断された場合、認証部350は、ユーザが登録データセットのユーザと一致しないと認証する。
【0075】
他の例として、認証部350は、分類器に代表的な登録波形と代表的な認証波形との間の類似度を適用して代表的な登録波形と代表的な認証波形とが対応するか否かを判断し、代表的な登録波形と代表的な認証波形とが対応すると判断された場合、認証部350は、分類器に複数の登録された波形のそれぞれと複数の抽出された認証波形のそれぞれとの間の類似度を適用して複数の登録された波形と複数の抽出された認証波形とが対応するか否かを判断する。複数の登録された波形と複数の抽出された認証波形とが対応すると判断された場合、認証部350は、ユーザが登録データセットのユーザと一致すると認証する。
【0076】
ユーザの認証に、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形のそれぞれとの間の類似度だけでなく、代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を共にユーザの認証に利用することで、誤認識率又は誤拒否率を減少させることができる。
【0077】
図4を参照すると、認証装置400は、センサ410、メモリ420、プロセッサ430、及びディスプレイ440を含む。センサ410、メモリ420、プロセッサ430、及びディスプレイ440のそれぞれは、1つ以上のハードウェアコンポーネントを含む。
【0078】
センサ410は、心電図センサ、脳電図センサ、筋電図センサ、及び/又は眼電図センサを含む。また、センサ410は、人体から感知される信号を抽出可能な異なるセンサを含み得る。センサ410が心電図センサを含む場合、心電図センサは、第1電極、第2電極、及び第3電極を用いてユーザの心電図波形を測定する。本実施形態における心電図センサは、第1電極〜第3電極、増幅器、及びデジタル変換器を含む。第1電極〜第3電極は、ユーザの皮膚に接触してユーザの心電図信号を測定する。増幅器は、第1電極〜第3電極で測定された心電図信号を増幅する。デジタル変換器は、増幅された心電図信号をデジタル信号に変換して心電図波形を抽出する。
【0079】
メモリ420は、予め登録されたユーザの生体信号から抽出された複数の登録された波形を含む登録データセットを予め格納する。
【0080】
プロセッサ430は、生体信号からユーザの認証のための複数の認証波形を抽出して認証データセットを生成し、複数の抽出された認証波形のそれぞれを、予め格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。
【0081】
本実施形態におけるプロセッサ430は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴及び複数の登録された波形のそれぞれの特徴を抽出し、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と複数の登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度を演算する。また、プロセッサ430は、複数の抽出された認証波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び複数の登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形の特徴を抽出し、代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似度を演算する。
【0082】
プロセッサ430は、複数の抽出された認証波形のそれぞれの特徴と複数の登録された波形のそれぞれの特徴との間の類似度又は代表的な認証波形の特徴と代表的な登録波形の特徴との間の類似度のうちの少なくとも1つを用いてユーザを認証する。
【0083】
また、プロセッサ430は、ディスプレイ440によって、ユーザの認証に関する情報を表示する。例えば、プロセッサ430は、ディスプレイ440によって、ユーザの生体信号に関する情報、抽出された認証波形に関する情報、登録された波形に関する情報、又はユーザの認証結果に関する情報を表示する。
【0084】
プロセッサ430には、図1に示すデータセット生成部110、類似度演算部120、認証部130、図2に示すデータセット生成部210、類似度演算部220、予備類似度演算部230、認証部240、図3に示す第1特徴抽出部310、第2特徴抽出部320、予備特徴抽出部330、マッチング部340、及び認証部350によって説明した内容がそのまま適用されるため、より詳しい説明を省略する。
【0085】
図5(a)及び(b)は、一実施形態による認証装置のユーザ認証を説明するための図である。
【0086】
図5を参照すると、図5(a)及び(b)は、認証を行うユーザの心電図信号から抽出された心電図波形を示す。図5(a)及び(b)の横軸は時間を示し、縦軸は心電図波形の大きさを示す。
【0087】
図5(a)は、ユーザの呼吸が安定した場合の心電図波形を示す。認証装置は、図5(a)の心電図波形を心拍数に基づいて分割して心電図波形511〜519のそれぞれを抽出し、心電図波形511〜519のそれぞれをメモリに格納された認証データセットに格納する。認証装置は、心電図波形511〜519のそれぞれをメモリに予め格納された登録データセットに含まれる複数の心電図波形と一対一でマッチングして、心電図波形511〜519のそれぞれと登録データセットに含まれる複数の心電図波形との間の類似度を演算し、類似度を用いてユーザを認証する。
【0088】
図5(b)は、ユーザの呼吸が安定した後に不安定になる場合の心電図波形を示す。区間520でユーザの呼吸は安定し、区間530でユーザの呼吸は不安定である。
【0089】
認証装置は、図5(b)の心電図波形を心拍数に基づいて分割して心電図波形541〜549を抽出する。ユーザの呼吸が安定することにより心電図波形541〜546の偏差は比較的小さいが、ユーザの呼吸が不安定になることにより心電図波形547〜549の偏差は比較的大きくなる。認証装置は、心電図波形541〜549のそれぞれを認証データセットに格納する。認証装置は、心電図波形541〜549を用いてユーザを認証する。ここで、認証装置が心電図波形541〜549から代表的な心電図波形を抽出した後、代表的な心電図波形のみを用いてユーザの認証を行うと、他の心電図波形541〜546との偏差が大きい心電図波形547〜549によって代表的な心電図波形が歪曲され、これにより、誤認識率又は誤拒否率が増加する。従って、誤認識率又は誤拒否率を減少させるために、認証装置は、心電図波形541〜549のそれぞれを予め格納された登録データセットに含まれる複数の心電図波形と一対一でマッチングして、心電図波形541〜549のそれぞれと登録データセットに含まれる複数の心電図波形との間の類似度を演算し、類似度を用いてユーザを認証する。
【0090】
図6は、一実施形態による抽出された認証波形と登録された波形との間の類似度の演算を説明するための図である。
【0091】
図6を参照すると、心電図波形610は、登録データセットに含まれる登録された波形を示し、心電図波形650は、認証データセットに含まれる抽出された認証波形を示す。
【0092】
認証装置は、登録された波形610を周波数領域に変換する。一例として、認証装置は、STFTを用いて登録された波形610を周波数領域に変換する。また、認証装置は、周波数領域に変換された登録された波形620の次元を減少させて特徴ベクトルを生成する。一例として、認証装置は、LDAを用いて周波数領域に変換された登録された波形620で特徴成分631、632、633、634、635を選択して周波数領域に変換された登録された波形620の次元を減少させ、次元が減少した登録された波形630から特徴ベクトル681を取得する。
【0093】
また、認証装置は、抽出された認証波形650を周波数領域に変換する。一例として、認証装置は、STFTを用いて抽出された認証波形650を周波数領域に変換する。また、認証装置は、LDAを用いて周波数領域に変換された抽出された認証波形660で特徴成分671、672、673、674、675を選択して周波数領域に変換された抽出された認証波形660の次元を減少させ、次元が減少した抽出された認証波形670から特徴ベクトル682を取得する。
【0094】
認証装置は、登録された波形610から取得された特徴ベクトル681と抽出された認証波形650から取得された特徴ベクトル682との間の類似度を演算する。例えば、認証装置は、コサイン類似度を用いて特徴ベクトル681と特徴ベクトル682との間の類似度683を演算する。
【0095】
図7は、一実施形態による抽出された認証波形と登録された波形とのマッチングを説明するための図である。
【0096】
図7を参照すると、認証装置は、認証データセット710に含まれる3つの抽出された認証波形711、712、713のそれぞれと登録データセット720に含まれる4つの登録された波形721、722、723、724のそれぞれとを一対一でマッチングして12回マッチングを行う。図7で、抽出された認証波形711、712、713及び登録された波形721、722、723、724は、特徴ベクトル又は特徴パラメータを示す。マッチングにより、認証装置は、抽出された認証波形711、712、713のそれぞれと登録された波形721、722、723、724のそれぞれとの間の類似度を演算する。例えば、抽出された認証波形711の場合、認証装置は、抽出された認証波形711と登録された波形721との間の類似度、抽出された認証波形711と登録された波形722との間の類似度、抽出された認証波形711と登録された波形723との間の類似度、及び抽出された認証波形711と登録された波形724との間の類似度を演算する。
【0097】
本実施形態における認証装置は、関連性、コサイン類似度、ユークリッド距離、L1ノーム、P−ノーム、又は平均二乗平方根誤差を用いて、抽出された認証波形711、712、713のそれぞれと登録された波形721、722、723、724のそれぞれとの間の類似度を演算する。
【0098】
図8は、一実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。
【0099】
図8を参照すると、モバイル端末810は、心電図信号をセンシングするための陽極電極821、リファレンス電極822、及び陰極電極830を含む。本実施形態における陽極電極821及びリファレンス電極822は、モバイル端末810の側面に位置し、陰極電極830は、モバイル端末810の下段に位置する。
【0100】
ユーザが複数の電極(821、822、830)に指を接触すると、モバイル端末810は、心電図信号をセンシングする。モバイル端末810は、心電図信号を、増幅器を用いて増幅し、デジタルフィルタを用いてデジタル信号に変換する。モバイル端末810は、変換されたデジタル信号から心電図波形を抽出する。
【0101】
心電図波形が登録される場合、登録の間に、モバイル端末810は、複数の電極(821、822、830)を用いてユーザの心電図信号を取得し、取得された心電図信号を心拍数に基づいて分割して登録のための複数の波形を抽出する。モバイル端末810は、抽出された波形を登録データセットに含む。モバイル端末810は、登録データセットをメモリに格納する。
【0102】
ユーザが認証を行う場合、モバイル端末810は、複数の電極(821、822、830)を用いてユーザの心電図信号を取得し、取得された心電図信号を心拍数に基づいて分割して複数の認証波形を抽出する。モバイル端末810は、複数の抽出された認証波形を認証データセットに含む。モバイル端末810は、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれを登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。また、モバイル端末810は、複数の抽出された認証波形から代表的な認証波形を抽出し、複数の登録された波形から代表的な登録波形を抽出し、代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を演算する。モバイル端末810は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を用いて、認証を行うユーザが予め登録されたユーザと一致するか否かを認証する。
【0103】
図9は、他の実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。
【0104】
図9を参照すると、ウェアラブル端末910は、心電図信号をセンシングするための陽極電極921、リファレンス電極922、及び陰極電極931を含む。一実施形態で、陽極電極921及びリファレンス電極922は、ウェアラブル端末910の後面に位置し、陰極電極931は、ウェアラブル端末99の前面に位置する。
【0105】
図8に示すモバイル端末810と同様に、ウェアラブル端末910は、複数の電極(921、922、931)を用いてユーザの心電図信号を取得し、心電図信号から心電図波形を抽出して、抽出された心電図波形をフィルタリングする。また、ウェアラブル端末910は、図8に示すモバイル端末810と同一の動作を行い、ユーザの心電図波形を予め登録するか、又は認証を行うユーザが予め登録されたユーザと一致するか否かを認証する。
【0106】
図10は、更に他の実施形態による認証装置の一例を説明するための図である。図10の認証装置は、モバイル端末である。
【0107】
図10を参照すると、モバイル端末1010は、心電図信号をセンシングするための陽極電極1021、リファレンス電極1022、及び陰極電極1030を含む。本実施形態における陽極電極1021及びリファレンス電極1022は、モバイル端末1010の側面に位置し、陰極電極1030は、モバイル端末1010の下段に位置する。
【0108】
モバイル端末1010は、複数の電極(1021、1022、1030)を用いてユーザの心電図信号を取得し、取得された心電図信号を心拍数に基づいて分割して複数の認証波形を抽出する。モバイル端末1010は、複数の抽出された認証波形を認証データセットに含む。
【0109】
本実施形態におけるモバイル端末1010は、通信インターフェースによって、サーバ1040から登録データセットに関する情報を受信する。ここで、通信インターフェースは、WLAN(Wireless LAN)、WiFi(Wireless Fidelity)Direct、DLNA(Digital Living Network Alliance)、Wibro(Wireless broadband)、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)などの無線インターネットインターフェースと、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)、UWB(Ultra Wideband)、ZigBee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの近距離通信インターフェースを含む。それだけでなく、通信インターフェースは、サーバ1040と通信を行うことが可能な全てのインターフェース(例えば、有線インターフェース)を含み得る。
【0110】
モバイル端末1010は、認証データセットに含まれる複数の抽出された認証波形のそれぞれを登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する。また、モバイル端末1010は、複数の抽出された認証波形から代表的な認証波形を抽出し、複数の登録された波形から代表的な登録波形を抽出し、代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を演算する。モバイル端末1010は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を用いて、認証を行うユーザが予め登録されたユーザと一致するか否かを認証する。
【0111】
モバイル端末1010は、通信インターフェースによって、ユーザの心電図信号に関する情報、抽出された認証波形に関する情報、又はユーザの認証結果に関する情報をサーバ1040に送信する。本実施形態におけるサーバ1040は、モバイル端末1010から受信した認証結果に関する情報を用いてユーザのサーバ1040に対するアクセスを許容する。
【0112】
図11は、一実施形態による認証方法を示す動作フローチャートである。
【0113】
図11を参照すると、認証装置は、ユーザの生体信号からユーザの認証のための複数の認証波形を抽出して認証データセットを生成する(ステップS1110)。
【0114】
次に、認証装置は、複数の抽出された認証波形のそれぞれを、予め格納された登録データセットに含まれる複数の登録された波形と一対一でマッチングして、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度を演算する(ステップS1120)。
【0115】
次に、認証装置は、複数の抽出された認証波形の代表波形を示す代表的な認証波形及び複数の登録された波形の代表波形を示す代表的な登録波形を抽出し、代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を演算する(ステップS1130)。
【0116】
最後に、認証装置は、複数の抽出された認証波形のそれぞれと複数の登録された波形との間の類似度及び代表的な認証波形と代表的な登録波形との間の類似度を用いてユーザを認証する(ステップS1140)。
【0117】
図11に示した一実施形態による認証方法には、図1図10を参照して説明した内容がそのまま適用されるため、より詳細な説明を省略する。
【0118】
上述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合わせで具現させる。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、或いは命令(instruction)を実行して応答する異なる全ての装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つ使用されるものと説明する場合もあるが、当該技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)又は複数類型の処理要素を含むことが分かる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成(processing configuration)も可能である。
【0119】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令(instruction)、又はこれらのうちの1つ以上の組み合わせを含み、希望通りに動作するように処理装置を構成して独立的若しくは結合的に(collectively)処理装置に命令する。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されるか又は処理装置に命令若しくはデータを提供するために全ての類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、或いは送信される信号波(signal wave)によって永久的又は一時的に具現化される。ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法で格納されるか又は実行される。ソフトウェア及びデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納される。
【0120】
本実施形態による方法は、多様なコンピュータ手段を介して実行されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合わせて含む。記録媒体に記録されるプログラム命令は、本実施形態のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェアの当業者に公知されて使用されるものでもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)・光ディスクのような光磁器媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードが含まれる。ハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0121】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
100、200、300、400 認証装置
110、210 データセット生成部
120、220 類似度演算部
130、240、350 認証部
230 予備類似度演算部
310 第1特徴抽出部
320 第2特徴抽出部
330 予備特徴抽出部
340 マッチング部
410 センサ
420 メモリ
430 プロセッサ
440 ディスプレイ
511〜519、541〜549 心電図波形
520、530 区間
610、620、630、721〜724 登録された波形
650、660、711〜713 抽出された認証波形
631〜635、671〜675 特徴成分
681、682 特徴ベクトル
710 認証データセット
720 登録データセット
810、1010 モバイル端末
821、921、1021 陽極電極
822、922、1022 リファレンス電極
830、931、1030 陰極電極
910 ウェアラブル端末
1040 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11