特許第6876373号(P6876373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876373光モジュール、及び光モジュールの調心方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876373
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】光モジュール、及び光モジュールの調心方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20210517BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20210517BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20210517BHJP
【FI】
   G02B6/42
   H01S5/022
   H01L31/02 D
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-63802(P2016-63802)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-181554(P2017-181554A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 直彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
(72)【発明者】
【氏名】菊池 知直
(72)【発明者】
【氏名】山田 靖浩
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−104983(JP,A)
【文献】 特開2004−179559(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0215240(US,A1)
【文献】 特開2002−333553(JP,A)
【文献】 特開2015−032658(JP,A)
【文献】 特開2010−061139(JP,A)
【文献】 特開平11−258453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1光素子部と、
前記複数の第1光素子部それぞれと光学的に接合する、第2光素子部と、を備える、光モジュールであって、前記複数の第1光素子部それぞれは、
光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する変換光素子と、
先端が前記第2光素子部と接して光学的に接合するフェルールと、
前記フェルールと前記変換光素子とを、光学的に調整する位置に配置される、第1光学系と、を備え、前記第2光素子部は、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記フェルールの先端と接合箇所にて接触して接合する、複数の接合部と、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、光学的に接合する、波長多重光素子と、
前記波長多重光素子と、前記複数の接合部それぞれの前記接合箇所とを、光学的に調整する位置にそれぞれ配置される、複数の第2光学系と、を備え、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、前記複数の接合部の対応する1つと、前記波長多重光素子は、互いに平行な複数の直線の対応する1つに沿って一直線に配列されている、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子は、電気信号から光信号に変換する発光素子である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子は、光信号から電気信号に変換する受光素子である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第2光素子部の前記複数の第2光学系それぞれは、凸レンズである。
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記複数の第1光素子部は、4つの第1光素子部であり、
前記第2光素子部の前記複数の接合部は、4つの接合部である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の光モジュールであって、
前記4つの接合部は、縦2つ及び横2つに並ぶ、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の光モジュールであって、
前記複数の接合部それぞれは、スリーブ機構を有する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項8】
複数の第1光素子部と、
前記複数の第1光素子部それぞれと光学的に接合する、第2光素子部と、を備える、光モジュールの調心方法であって、前記複数の第1光素子部それぞれは、
光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する変換光素子と、
先端が前記第2光素子部と接して光学的に接合するフェルールと、
前記フェルールと前記変換光素子とを、光学的に接合するための、第1光学系と、を備え、前記第2光素子部は、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記フェルールの先端と接合箇所にて接触して接合する、複数の接合部と、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、光学的に接合する、波長多重光素子と、
前記波長多重光素子と、前記複数の接合部それぞれの前記接合箇所とを、光学的に接合するための、複数の第2光学系と、を備え、
前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、前記複数の接合部の対応する1つと、前記波長多重光素子は、互いに平行な複数の直線の対応する1つに沿って一直線に配列され、
前記複数の第1光素子部のうち1つの第1光素子部を調心する第1光素子部調心ステップと、
前記第2光素子部を調心する第2光素子部調心ステップと、を備え、
前記第1光素子部調心ステップは、
前記1つの第1光素子部の前記フェルールの先端と接触して接合する第1接続端子を有する、第1調心用光学器を、前記1つの第1光素子部に接続するステップと、
前記1つの第1光素子部の前記変換光素子と、前記第1光学系と、のいずれか又は両方の位置を調整するステップと、を含み、
前記第2光素子部調心ステップは、
前記第2光素子部の前記複数の接合部のうち1つの接合部と接触して接合する第2接続端子を有する、第2調心用光学器を、前記1つの接合部に接続するステップと、
前記複数の第2光学系のうち前記1つの接合部に対応する1つの第2光学系と、前記波長多重光素子と、のいずれか又は両方の位置を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする、光モジュールの調心方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール、及び光モジュールの調心方法に関し、特に、光波長多重通信に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光モジュールのWDM(光波長多重通信)化が求められている。特許文献1に、WDM用小型光トランシーバにおいて、高密度実装を可能とする光モジュールが開示されている。特許文献1の図6に記載のTOSA30は、TOSAベース31と、4つのCANパッケージ32A〜Dと、TOSAベース31内に設置される複数の光部品(ミラー、フィルター、コリメータレンズ)と、スリーブ33とを備えている。CANパッケージ32A〜Dそれぞれの直下にミラーが配置され、光通路に設置されたコリメータレンズを通過して平行光とされ、さらにミラー又はフィルタによって反射され、必要に応じフィルタを通過する。そして、各光(4波)が合成されて波長多重光となり、これがミラーで反射されて方向を変え、最終的にスリーブ33を経て出射される。
【0003】
また、特許文献2に、調心精度の許容範囲を大きくし、調心作業を容易にした、四波多重信号を合分波する光モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−232514号公報
【特許文献2】特開2010−61139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光モジュール1のTOSA30では、4つの光サブアセンブリ(CANパッケージ32A〜D)を用いている。前述の通り、TOSAベース31の内部に複数の光部品が配置されている。調心について特許文献1には特に記載はないが、TOSAベース31に、CANパッケージ32A〜Dをそれぞれ設置する際に、光を合波する合分波フィルタに対して、CANパッケージ32A〜Dそれぞれを調心する必要があるものと考えられる。それゆえ、光モジュール1のTOSA30の組立作業に長時間を必要とし、それによりコスト増大となる。
【0006】
特許文献2に開示される、4つの光サブアセンブリを備える光モジュール10では、2つずつ2組に分け、それぞれの組において独立して調心することが出来ている。しかしながら、特許文献2の図1に示す通り、各組において、一方の光サブアセンブリの光軸と他方の光サブアセンブリの光軸とが90度で交差するように配置されており、多数の光部品を必要とする複雑な構造となり、小型化を阻害している。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、容易に調心をすることが出来る、光モジュール、及び光モジュールの調心方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光モジュールは、複数の第1光素子部と、前記複数の第1光素子部それぞれと光学的に接合する、第2光素子部と、を備える、光モジュールであって、前記複数の第1光素子部それぞれは、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する変換光素子と、先端が前記第2光素子部と接して光学的に接合するフェルールと、前記フェルールと前記変換光素子とを、光学的に調整する位置に配置される、第1光学系と、を備え、前記第2光素子部は、前記複数の第1光素子部それぞれの前記フェルールの先端と接合箇所にて接触して接合する、複数の接合部と、前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、光学的に接合する、波長多重光素子と、前記波長多重光素子と、前記複数の接合部それぞれの前記接合箇所とを、光学的に調整する位置にそれぞれ配置される、複数の第2光学系と、を備える。
【0009】
(2)上記(1)に記載の光モジュールであって、前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子は、電気信号から光信号に変換する発光素子であってもよい。
【0010】
(3)上記(1)に記載の光モジュールであって、前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子は、光信号から電気信号に変換する受光素子であってもよい。
【0011】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第2光素子部の前記複数の第2光学系それぞれは、凸レンズであってもよい。
【0012】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記複数の第1光素子部は、4つの第1光素子部であり、前記第2光素子部の前記複数の接合部は、4つの接合部であってもよい。
【0013】
(6)上記(5)に記載の光モジュールであって、前記4つの接合部は、縦2つ及び横2つに並んでいてもよい。
【0014】
(7)上記(1)乃至(6)に記載の光モジュールであって、前記複数の接合部それぞれは、スリーブ機構を有していてもよい。
【0015】
(8)本発明に係る光モジュールの調心方法は、複数の第1光素子部と、前記複数の第1光素子部それぞれと光学的に接合する、第2光素子部と、を備える、光モジュールの調心方法であって、前記複数の第1光素子部それぞれは、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する変換光素子と、先端が前記第2光素子部と接して光学的に接合するフェルールと、前記フェルールと前記変換光素子とを、光学的に接合するための、第1光学系と、を備え、前記第2光素子部は、前記複数の第1光素子部それぞれの前記フェルールの先端と接合箇所にて接触して接合する、複数の接合部と、前記複数の第1光素子部それぞれの前記変換光素子と、光学的に接合する、波長多重光素子と、前記波長多重光素子と、前記複数の接合部それぞれの前記接合箇所とを、光学的に接合するための、複数の第2光学系と、を備え、前記複数の第1光素子部のうち1つの第1光素子部を調心する第1光素子部調心ステップと、前記第2光素子部を調心する第2光素子部調心ステップと、を備え、前記第1光素子部調心ステップは、前記1つの第1光素子部の前記フェルールの先端と接触して接合する第1接続端子を有する、第1調心用光学器を、前記1つの第1光素子部に接続するステップと、前記1つの第1光素子部の前記変換光素子と、前記第1光学系と、のいずれか又は両方の位置を調整するステップと、を含み、前記第2光素子部調心ステップは、前記第2光素子部の前記複数の接合部のうち1つの接合部と接触して接合する第2接続端子を有する、第2調心用光学器を、前記1つの接合部に接続するステップと、前記複数の第2光学系のうち前記1つの接合部に対応する1つの第2光学系と、前記波長多重光素子と、のいずれか又は両方の位置を調整するステップと、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、容易に調心をすることが出来る、光モジュール、及び光モジュールの調心方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光モジュールの構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る光送信モジュール/光受信モジュールの構成を示す模式斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る光送信モジュール/光受信モジュールの構成を示す模式斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るLDモジュール/PDモジュールの構成を示す模式断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態にかかる光MUXモジュール/光DeMUXモジュールの構造を示す模式断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態にかかる光MUXモジュール/光DeMUXモジュールの構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光モジュール1の構成を示す模式図である。当該実施形態に係る光モジュール1は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバであり、光送信モジュール2Aと、光受信モジュール2Bと、フレキシブル基板3A,3Bと、プリント回路基板4と、電気コネクタ5と、を備えている。
【0020】
伝送装置100に、複数の光モジュール1が、電気コネクタ5によりそれぞれ接続されている。伝送装置100は、例えば、大容量のルータやスイッチである。伝送装置100は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。伝送装置100は、光モジュール1より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、該当する光モジュール1へそのデータを伝達する。
【0021】
光モジュール1の光送信モジュール2Aは、送信用の電気信号を波長多重光信号に変換し、光ファイバ101Aへ送信する。光モジュール1の光受信モジュール2Bは、光ファイバ101Bを介して受信する波長多重光信号を受信用の電気信号に変換する。プリント回路基板4と、光送信モジュール2A及び光受信モジュール2Bとは、それぞれフレキシブル基板3A,3Bを介して接続されている。プリント回路基板4より送信用の電気信号がフレキシブル基板3Aを介して光送信モジュール2Aへ伝送される。光受信モジュール2Bより受信用の電気信号がフレキシブル基板3Bを介してプリント回路基板4へ伝送される。
【0022】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の光モジュール1と、2個以上の伝送装置100と、1個以上の光ファイバ101を含む。各伝送装置100に、1個以上の光モジュール1が接続される。2個の伝送装置100にそれぞれ接続される光モジュール1の間を、光ファイバ101が接続している。一方の伝送装置100が生成した送信用のデータが接続される光モジュール1によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ101へ送信される。光ファイバ101上を伝送する光信号は、他方の伝送装置100に接続される光モジュール1によって受信され、光モジュール1が光信号を電気信号へ変換し、受信用のデータとして当該他方の伝送装置100へ伝送する。
【0023】
当該実施形態に係る光モジュール1は、ビットレートが100Gbit/s級のものであり、CFP系、QSFP28(各MSA規格)に最適である。CFP系、QSFP28においては、光モジュール1は、送信用が4チャネル(光送信モジュール2A)、受信用が4チャネルであり(光受信モジュール2B)、ともにWDM用途に使用されている。各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは25Gbit/s乃至28Gbit/sである。
【0024】
図2は、当該実施形態に係る光送信モジュール2A/光受信モジュール2Bの構成を示す模式斜視図である。ここでは、光送信モジュール2Aについて説明する。当該実施形態に係る光送信モジュール2Aは、複数の第1光素子部と、第2光素子部と、を備える。ここで、複数の第1光素子部は、4つのLDモジュール11A,12A,13A,14A(LD:Laser Diode)である。また、第2素子部は、光MUXモジュール15Aである(MUX:Multiplexer)。光MUXモジュール15Aは、光送信モジュール2Aの光合波機能を内蔵し、合波される光(波長多重光信号)を外部の光ファイバ101Aへ接続するためのスリーブアセンブリ16を備えている。4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aは、互いに異なる波長の光信号をそれぞれ出射する。例えば、CWDM用途では、4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aは、1271nm帯、1291nm帯、1311nm帯、及び1331nm帯の4つの波長帯の光波長の光信号をそれぞれ出射する。
【0025】
図3は、当該実施形態に係る光送信モジュール2A/光受信モジュール2Bの構成を示す模式斜視図である。図3は、図2に示す光送信モジュール2A(又は、光受信モジュール2B)から、LDモジュール11A,12A,13A,14A(又は、PDモジュール11B,12B,13B,14B)を取り外した状態を示している。ここでは、光送信モジュール2Aについて説明する。後述する通り、4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aそれぞれは、フェルール25を備えている。光MUXモジュール15Aは、複数の第1光素子部それぞれのフェルールの先端と接合箇所にて接触して接合する、複数の接合部を、備えている。ここで、複数の接合部は、4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aそれぞれのフェルール25の先端と接合箇所にて接触して接合する、4つの設置部21,22,23,24であり、各設置部はLDモジュールを保持固定する機能を有している。
【0026】
図4は、当該実施形態に係るLDモジュール11A/PDモジュール11Bの構成を示す模式断面図である。他のLDモジュール12A,13A,14A(又は、他のPDモジュール12B,13B,14B)も同じ構造をしている。ここでは、LDモジュール11Aについて説明する。複数の第1光素子部それぞれは、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する変換光素子と、先端が第2光素子部と接して光学的に接合するフェルールと、フェルールと変換光素子とを、光学的に調整する位置に配置される、第1光学系と、を備えている。ここで、変換光素子は、電気信号から光信号に変換する発光素子であり、LD素子26Aである。第1光学系は、集光レンズ27であり、フェルールと変換光素子とを、光学的に接合するために配置される。なお、簡単な構成では、第1光学系は1つの凸レンズで実現できる。第1光学系を1つの凸レンズで構成することにより、第1光素子部の小型化が実現される。ただし、第1光学系は、集光レンズに代えて、他のレンズ構成であってもよい。例えば、第1光学系は、2枚のコリメータレンズを用いて構築される光学系であってもよい。
【0027】
フェルールは、一般には、光ファイバと光ファイバとを接合するために用いられる。フェルールは、光ファイバと同様に、中心部のコアと、その周囲を覆うクラッドとを含んでいる。そして、例えば高精度な金属製パイプに、コアとクラッドが収納されることにより、コアとクラッドの配置が固定され、コアの中心位置を高精度で制御することができる。2つのフェルールの接続には、スリーブが用いられ、スリーブにより、2つのフェルールそれぞれのコアの中心位置を高精度で近づけることが出来る。理想的には、2つのフェルール両方のコアの中心位置を一致させる。
【0028】
当該実施形態では、フェルールを光ファイバに接続するのではなく、交換光素子との光学的接合に用いる。当該実施形態に係る第1光素子部では、第1光学系が、交換光素子とフェルールの一端とを光学的に接合する。集光レンズ27は、LD素子26Aより出射される光信号を集光して、フェルール25の一端(図4に示す左端)へ入射させる。すなわち、集光レンズ27は、LD素子26Aから出射される光をフェルール25へ調心する。その結果、集光レンズ27は、フェルール25とLD素子26Aとを、光学的に調整する位置に配置される。フェルール25の一端より入射する光信号は、フェルール25内部のコアを伝搬して、他端(図4に示す右端:先端)より出射される。フェルール25の先端(図4にPで示す部分)は、光信号が出射する部分であり、光MUXモジュール15Aの設置部21の接合箇所に接触して接合される。
【0029】
当該実施形態において、複数の第1光素子部のフェルールはともに共通する構造であり、所定の精度の範囲内にある外径寸法となっている。同様に、第2光素子部の複数の接合部のうち、フェルールと嵌合する部分はともに共通する構造であり、所定の精度の範囲内にある外径寸法となっている。これにより、複数の第1光素子部は、第2光素子部の複数の接合部のいずれとも接続することが出来る。
【0030】
図5は、当該実施形態にかかる光MUXモジュール15A/光DeMUXモジュール15Bの構造を示す模式断面図である。断面構造を容易に理解するために、光MUXモジュール15A/光DeMUXモジュール15Bの主要部については、図3にVA−VA線で示す断面を、スリーブアセンブリ16については、図3にVB−VB線で示す断面を、それぞれ示している。すなわち、VA−VA線で示す断面は、横方向に並ぶLDモジュール12A,13A(又は、PDモジュール12B,13B)の縦方向の中心を貫く断面であり、設置部22,23の縦方向の中心を貫いている。また、VB−VB線で示す断面は、スリーブアセンブリ16の縦方向の中心を貫く断面である。ここでは、光MUXモジュール15Aについて説明する。
【0031】
図3に示す通り、当該実施形態に係る複数の第1光素子部は、4つの第1光素子部であり、第2光素子部の複数の接合部は、4つの接合部である、当該実施形態に係る光モジュール1は、CFP2,CFP4など、4チャネルのWDM用途に使用するのが望ましい。4つの接合部は、縦2つ及び横2つに並んでいる。4つの接合部は、2×2の正方格子状に配置されているのが望ましい。4つの接合部をかかる配置とすることにより、4つの第1光素子部を高密度に実装することができる。第2光素子部の複数の接合部に、複数の第1光素子部が収納される。接合部は第1素子部のフェルールと嵌合しており、接合部のうち、第1光素子部のフェルールが嵌合する部分は高精度に加工されている。かかる部分とフェルールの外形とが高精度に形成されていることにより、複数の第1光素子部が第2光素子部に収納されると、各第1光素子部のフェルールの先端にあるコアの中心位置が所望の範囲にあるように制御される。
【0032】
図4に示す第1光素子部のフェルール25の先端(図3にPで示す部分)が、図5に示す第2光素子部の複数の接合部それぞれの接合箇所(図5にQで示す部分)と接触するよう、複数の第1光素子部は、第2光素子部に搭載される。
【0033】
第2光学素子部は、波長多重光素子と、複数の第2光学系と、をさらに備える。波長多重光素子は、複数の第1光素子部それぞれの変換光素子と、光学的に接合される。ここで、波長多重光素子は、光合分波器31であり、ここでは、光合分波器31を、複数の接合部より入射され、互いに異なる波長の複数の光信号を合波して、波長多重光信号を出力する、合波機構として用いている。4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aが、それぞれのフェルール25の先端から出射する光信号を、光合分波器31は合波して、波長多重光信号を出射する。また、複数の第2光学系は、波長多重光素子と、複数の接合部それぞれの接合箇所とを、光学的に調整する位置にそれぞれ配置されている。複数の第2光学系は、波長多重光素子と、複数の接合部それぞれの接合箇所とを、光学的に接合するために配置される。ここで、複数の第2光学系それぞれは、4つのLDモジュール11A,12A,13A,14Aが、それぞれのフェルール25の先端から出射する光信号(すなわち、設置部の接合箇所から出射される光信号)を、平行化して光合分波器31へ入射させる(導く)、レンズ32である。簡単な構成では、第2光学系は1つの凸レンズで実現できる。第2光学系を1つの凸レンズで構成することにより、第2光素子部の小型化が実現される。レンズ32は、設置部の接合箇所から出射される光信号を光合分波器31へ調心する。その結果、レンズ32は、設置部の接合箇所と光合分波器31とを、光学的に調整する位置に配置される。第2光学系は、光信号を平行化するコリメータレンズが望ましいが、これに限定されることはない。光合分波器31の構成に応じて、適宜望ましい光部品を選択すればよい。例えば、フェルール25の先端から出射される光信号(設置部の接合箇所から出射される光信号)の発散を抑制する、又は、集光する凸レンズであってもよい。また、第2光学系は、当該実施形態にように、簡便に1つのレンズによって実現しているのが小型化の観点からは望ましいが、これに限定されることなく、ミラーをさらに含むなど複数の光部品を含んでいてもよい。
【0034】
第2光学素子部は、外部の光ファイバなどと光学的に接合される、接続端子をさらに備える。ここで、接続端子はスリーブアセンブリ16である。スリーブアセンブリ16は、集光レンズ33と、光アイソレータ34と、光ファイバスタブ35と、スリーブ36と、を備えている。集光レンズ33は、光合分波器31より出射され光導波路を伝搬される波長多重光信号を集光して、光ファイバスタブ35の一端(図5に示す下端)へ入射させる。すなわち、集光レンズ33は、光合分波器31と光ファイバスタブ35の一端とを光学的に接合していている。なお、光ファイバスタブ35はスリーブ36に収納されているのでこのように呼ばれるが、光ファイバスタブ35の構造は前述のフェルール25と同じ構造である。光アイソレータ34は、光送信モジュール2より出射した光の戻り光を抑制する。スリーブ36は、例えば、割スリーブであり、光ファイバスタブ35と、外部の光ファイバ101Aの一端に配置されるフェルールとを接続する。
【0035】
当該実施形態に係る光モジュールの主な特徴は、複数の第1光素子部それぞれがフェルールを備え、第2光素子部が複数の接合部を備え、複数のフェルールの先端と、第2光素子部の複数の接合部の接合箇所とが、それぞれ接触して接合されることにある。これにより、各第1光素子部と、第2光素子部とを、それぞれ独立して調心することが出来ており、容易に調心をすることが出来る。さらに、光モジュールの作製工程の簡便、作業時間の短縮、低コスト化を実現することができる。複数の第1光素子部それぞれは、第1光学系により、交換光素子とフェルールとが光学的に接合するよう、光学調心されている。第2光学素子部は、対応する第2光学系により、複数の接合部それぞれの接合箇所と波長多重光素子とが光学的に接合するよう、光学調心されている。
【0036】
第2光素子部の調心を、第1光素子部とは独立して行うことができる。それゆえ、第2光素子部の調心に、第1光素子部を用いてもよいし、他の光素子を用いてもよい。第2光素子部の調心に用いる光素子を調心用光学器(後述する第2調心用光学器)とすると、調心用光学器は、第1光素子部であってもよいし、他の光素子であってもよい。
【0037】
調心用光学器は、例えば、第1光素子部のフェルールと共通する構造のフェルールと、該フェルールに接続される光ファイバと、光源(発光素子)と、を含んで構成される。該フェルールの外形は、第1光素子部のフェルールの外形に近づくよう(理想的には一致するよう)高精度に形成されており、該フェルールは、第1光素子と同様に、接合部に嵌合されて収納される。光源は、第1光素子部の光信号の波長の光を出射する光源であればよく、例えば固定波長光源である。第2光素子部を、第1光素子部とは異なる他の光素子(調心用光学器)を用いて、調心することができる。
【0038】
特許文献1に記載の光モジュール1のTOSA30では、4つの光サブアセンブリのうちの一部に、光モジュール1に必要な特性である光マスク特性を満たしていないなど、不具合がある場合、当該一部の光サブアセンブリを交換することとなる。しかしながら、交換する光サブアセンブリをTOSAベース31に設置する際に、再度、調心をする必要が生じ、組立作業の長時間化と高コスト化を招くこととなる。これに対して、当該実施形態に係る光モジュールでは、複数の第1光素子部それぞれと、第2光素子部とが、それぞれ互いに独立可能な光結合系とすることができている。よって、複数の第1光素子部が第2光素子部に収納されて、光モジュールを使用している際に(又は、使用する前に)、複数の第1光素子部のうち、一部(例えば1つ)の第1光素子部に不具合がある場合であっても、該当する第1光素子部のみを交換すればよい。すなわち、交換に際して、該当する第1光素子部を第2光素子部に搭載する際に、新たな調心を必要とせず、当該実施形態に係る光モジュールは顕著な効果を奏している。
【0039】
図5に示す通り、当該実施形態に係る光送信モジュール2Aでは、光アイソレータ34はスリーブアセンブリ16に配置されている。ここで、光アイソレータ34は、集光レンズ33と光ファイバスタブ35との間に配置されている。しかしながら、光アイソレータはこの配置に限定されることはなく、レンズよりも光合分波器側に配置されてもよく、さらに、光MUXモジュール15Aの内部であれば、スリーブアセンブリ16に配置されていなくてもよい。光アイソレータをさらに、各LDモジュール11A,12A,13A,14Aそれぞれに配置してもよく、光アイソレータが各LDモジュール11A,12A,13A,14Aそれぞれに配置されるのであれば、光アイソレータが光MUXモジュール15Aに配置されなくてもよい。また、LDモジュールのLD素子の反射耐力が十分であれば、光アイソレータを用いなくてもよい。
【0040】
以上、光モジュール1が、複数の第1光素子部と、第2光素子部とを含んで構成される光送信モジュール2Aを備える場合について説明した。以下に、光モジュール1は、複数の第1光素子部と、第2光素子部とを含んで構成される光受信モジュール2Bを備える場合について説明する。光受信モジュール2Bは、各第1光素子部(LDモジュール)の変換光素子を、発光素子から受光素子に置き換えたものであり、第2光素子部(光MUXモジュール15A)を、光分波機能を有するDeMUXモジュール15B(DeMUX:Demultiplexer)に置き換えたものである。なお、受光素子は、光信号から電気信号に変換する素子である。当該実施形態に係る光受信モジュール2Bにおいて、複数の第1光素子部は、4つのPDモジュール11B,12B,13B,14B(PD:Photodiode)である。例えば、4つのPDモジュール11B,12B,13B,14Bは、1271nm帯、1291nm帯、1311nm帯、及び1331nm帯の4つの波長帯の光波長の光信号をそれぞれ受光する。光DeMUXモジュール15Bは、複数の接合部を備えている。ここで、複数の接合部は、4つのPDモジュール11B,12B,13B,14Bそれぞれのフェルール25の先端と接合箇所にて接触して接合する、4つの設置部21,22,23,24であり、各設置部はPDモジュールを保持固定する機能を有している。
【0041】
図4に示す通り、PDモジュール11Bに備えられる受光素子は、PD素子26Bである。なお、受光素子はPD素子に限定されることはなく、APD(Avalanche Photodiode)素子など、他の素子であってもよい。フェルール25の先端(図4に示す右端:他端)に入射される光信号は、フェルール25内部のコアを伝搬して、他方の端(図4に示す左端:一端)より出射される。集光レンズ27は、フェルール25から出射される光信号を集光して、PD素子26Bへ入射させる。すなわち、集光レンズ27は、フェルール25から出射される光をPD素子26Bへ調心する。その結果、集光レンズ27は、フェルール25とPD素子26Bとを、光学的に調整する位置に配置される。フェルール25の先端(図4にPで示す部分)は、光信号を受光する部分であり、光DeMUXモジュール15Bの設置部21の接合箇所に接触して接合される。
【0042】
当該実施形態に係る光DeMUXモジュール15Bは、光アイソレータ34が不要であるので、光アイソレータ34が配置されないことを除いて、光MUXモジュール15Aと同じ構造をしている。すなわち、光DeMUXモジュール15Bは、図5に示す構造から光アイソレータ34を削除したものである。ここでは、光合分波器31を、外部より入力される波長多重光信号を分波して、互いに異なる波長の複数の光信号を出力する、分波機能として用いている。外部の光ファイバ101Bがスリーブ36に接続され、外部より入力される波長多重光信号を、光合分波器31は分波して、レンズ32へ出射する。複数の第2光学系(レンズ32)それぞれは、光合分波器31から出射される光信号を、集光して、フェルール25の先端(設置部の接合箇所)へ入射させる。レンズ32は、光合分波器31から出射される光信号を対応する設置部の接合箇所へ調心する。その結果、レンズ32は、設置部の接合箇所と光合分波器31とを、光学的に調整する位置に配置される。
【0043】
スリーブアセンブリ16は、集光レンズ33と、光ファイバスタブ35と、スリーブ36と、を備えている。前述の通り、通常、光アイソレータは不要である。集光レンズ33は、光ファイバスタブ35の一端(図5に示す下端)より出射される波長多重光信号を集光して、光合分波器31へ入射させる。以上、光受信モジュール2Bについて説明した。当該実施形態に係る光モジュールは、複数の第1光素子部と、第2光素子部とを含んで構成される光送信モジュール2Aと、複数の第1光素子部と、第2光素子部とを含んで構成される光受信モジュールと、の両方を備えているが、いずれか一方を備えていてもよい。
【0044】
次に、当該実施形態に係る光モジュール1の調心方法について説明する。当該実施形態に係る光モジュールの調心方法の主な特徴は、複数の第1光素子部のうち1つの第1光素子部を調心する第1光素子部調心ステップと、第2光素子部を調心する第2光素子部調心ステップと、を含むことにある。第1光素子部調心ステップと、第2光素子部調心ステップとは、互いに独立して実行することが可能である。複数の第1光素子部それぞれを、第1光素子部調心ステップにより調心する。第1光素子部調心ステップと、第2光素子部調心ステップと、が独立して存在することにより、光モジュール1を容易に調心することが出来る。
【0045】
最初に、第1光素子部の調心方法(第1光素子部調心ステップ)について説明する。第1に、第1光素子部と、第1光素子部を調心するための第1調心用光学器を準備する。ここで、第1光素子部の変換光素子が発光素子の場合は、第1調心用光学器は受光素子を含み、第1光素子部の変換光素子が受光素子の場合は、第1調心用光学器は発光素子を含む。また、第1調心用光学器は、第1光素子部のフェルールの先端と接触して接合する第1接続端子を有する。第1調心用光学器は、例えば、第1光素子部のフェルールと共通する構造の第1フェルールと、第1フェルールに接続される光ファイバと、第1フェルールと第1光学素子部のフェルールとを接続するための第1スリーブと、光学素子(発光素子又は受光素子)と、を含んで構成される。第1スリーブは、第1フェルール及び第1光学素子部のフェルールそれぞれと嵌合し、第1フェルール及び第1光学素子部のフェルールとを光学的に接合する。
【0046】
第2に、第1光素子部に、第1調心用光学器を接続し、第1光素子部及び第1調心用光学器を駆動させる。なお、第1光素子部の変換光素子と第1光学系とのいずれか又は両方は、完全に固定されておらず、調心のために移動させることができる。第1光素子部の変換光素子が発光素子の場合は、交換光素子が光を出射し、第1調心用光学器の受光素子が該光を受光する。第1光素子部の変換光素子が受光素子の場合は、第1調心用光学器の発光素子が光を出射し、第1光素子部の変換光素子が該光を受光する。
【0047】
第3に、変換光素子と第1光学系とのいずれか又は両方の位置を調整する。第1光素子部の変換光素子が発光素子の場合は、第1調心用光学器の受光素子の受光信号が所望の値となるように、望むべくは最大となるように、変換光素子と第1光学系とのいずれか又は両方の位置を調整する。変換光素子と第1光学系のうち、調心のために移動することができる素子(又は、素子に含まれる光部品)の位置を移動させる。第1光素子部の変換光素子が受光素子の場合は、変換光素子の受光信号が所望の値となるように、望むべくは最大となるように、変換光素子と第1光学系とのいずれか又は両方の位置を調整する。
【0048】
第4に、変換光素子と第1光学系を固定する。ここで、変換光素子と第1光学系のうち、調心のために移動することができる素子(又は、素子に含まれる光部品)の位置を固定する。以上により、第1光学系を、フェルールと変換光素子とを光学的に調整する位置に配置することが出来る。複数の第1光素子部それぞれに対して、第1光素子部調心ステップを実行することにより、複数の第1光素子部すべてを調心することが出来る。
【0049】
次に、第2光素子部の調心方法(第2光素子部それぞれを調心するステップ)について説明する。第1に、第2光素子部と、第1光素子部を調心するための第2調心用光学器及び第3調心用光学機器を準備する。第2調心用光学器は、第2光素子部の複数の接合部のうち1つの接合部と接触して接合する第2接続端子を有する。第2接続端子は、対応する接合部の接合箇所と接触して接合することができる。複数の接合部は共通する構造を有しているので、第2接続端子は、複数の接合部いずれの接合箇所とも接触して接合することが出来るのが望ましい。第3調心用光学器は、第2光素子部の接続端子(スリーブアセンブリ16)と接触して接合する第3接続端子を有する。ここで、第2光素子部の波長多重光素子が光合分波器31のように、合波機能としても分波機能としても用いることができる場合は、第2光素子部が光MUXモジュール15Aであっても光DeMUXモジュール15Bであっても、簡便な調心方法を選択することが出来る。ここで、第2調心用光学器の第2接続端子は第1光素子部のフェルールと共通する構造の第2フェルールであり、例えば、第2調心用光学器は、第2フェルールと、第2フェルールに接続される光ファイバと、光源(発光素子)と、を含んでいる。第3調心用光学器の第3接続端子は、第2光素子部の接続端子(スリーブアセンブリ16)に接触して接合する第3フェルールであり、スリーブアセンブリ16のスリーブ36と嵌合して、光ファイバスタブ35と光学的に接合する。例えば、第3調心用光学器は、第3フェルールと、第3フェルールに接続される光ファイバと、受光素子と、を含んでいる。
【0050】
なお、第2光素子部の波長多重光素子が分波機能のみを有する場合は、第2調心用光学器が受光素子を有し、第3調心用光学器が発光素子を有していればよい。いずれの場合であっても、第2調心用光学器又は第3調心用光学器のいずれかに備えられる発光素子(光源)は、第1光素子部の光信号の波長の光を出射する光源であればよく、例えば固定波長光源である。
【0051】
第2に、第2光素子部の複数の接合部のいずれかに第2調心用光学器を接続し、第2光素子部の接続端子に第3調心用光学器を接続し、第2光素子部、第2調心用光学器、及び第調心用光学器を駆動させる。なお、第2光素子部の第2光学系と波長多重光素子とのいずれか又は両方は、完全に固定されておらず、調心のために移動させることができる。第2調心用光学器又は第3調心用光学器のいずれか一方に備えられる発光素子(光源)が対応する波長の光を出射し、他方に備えられる受光素子が該光を受光する。
【0052】
第3に、第2光学系と波長多重光素子とのいずれか又は両方の位置を調整する。当該第2光学系は、複数の第2光学系のうち、接続する接合部に対応する1つの第2光学系である。第2調心用光学器又は第3調心用光学器のいずれか他方の受光素子の受光信号が所望の値となるように、望むべくは最大となるように、第2光学系と波長多重光素子とのいずれか又は両方の位置を調整する。第2光学系と波長多重光素子のうち、調心のために移動することができる素子(又は、素子に含まれる光部品)の位置を移動させる。波長多重光素子は、入力される光信号を合波又は分波するために、ミラー、レンズ(コリメータレンズ)、フィルタなど複数の光部品を含んでいる。これら光部品の位置を調整する。
【0053】
第2光素子部の複数の接合部のいずれかに、第2調心用光学器を接続し、第2光学系と波長多重光素子とのいずれか又は両方の位置を調整し、これを順に、複数の接合部すべてに対して繰り返す。波長多重光素子自体の調心がすでに完了している場合は、波長多重光素子と複数の第2光学系の相対的な位置のみを調整すればよい。波長多重光素子自体の調心がすでに完了していない場合は、波長多重光素子の複数の光部品の位置も調整することとなる。
【0054】
第4に、第2光学系と波長多重光素子を固定する。ここで、調心のために移動することができる素子の位置を固定する。以上により、各第2光学系を、波長多重光素子と対応する接合箇所とを光学的に調整する位置に配置することが出来る。
【0055】
以上、当該実施形態に係る光モジュール1の調心方法について説明した。上記調心方法により、第1光学系を、フェルールと変換光素子とを光学的に調整する位置に配置することにより、第1光素子部を製造することが出来る。同様に、複数の第2光学系それぞれを、波長多重光素子と対応する接合箇所とを光学的に調整する位置に配置することにより、第2光素子部を製造することが出来る。よって、当該実施形態に係る光モジュールを製造することが出来る。
【0056】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる光MUXモジュール15A/光DeMUXモジュール15Bの構造を示す模式断面図である。当該実施形態に係る光モジュール1は、第2光素子部の複数の接合部の構造が異なっている以外は、第1の実施形態と同じである。図6に示す通り、複数の接合部(例えば、設置部22,23)は、第1光素子部のフェルールと光学的に結合するためのスリーブ機構を有している。ここで、スリーブ機構は、光ファイバスタブ37と、スリーブ38と、を備え、光ファイバスタブ37の一端(図6に示す下端:Qで示す部分)が、第1光素子部のフェルールの先端(図3にPで示す部分)と接触するよう、光学的に接合される。スリーブ38は、例えば、割スリーブである。複数の第1光素子部が第2光素子部に収納されると、第1光素子部のフェルールの先端にあるコアの中心位置光ファイバスタブ37の一端にあるコアの中心位置とを高精度で近づけるよう制御できる。理想的には、両方のコアの中心位置を一致させることができる。これにより、第1光素子部のフェルールと第2光素子部の接合部とを、さらに高精度で光学的に接合することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態に係る光モジュールについて説明した。本発明は上記実施形態に限定されることなく、WDM用途の光モジュールに広く適用することができる。すなわち、第1光素子部の変換光素子が発光素子である場合の例として、LD素子を示したが、これに限定されることはなく、WDM用途で用いられる発光素子のいずれにも適用することが出来る。同様に、変換光素子が受光素子である場合の例として、PD素子とAPD素子を示したが、これに限定されることはなく、WDM用途で用いられる受光素子のいずれにも適用することが出来る。第2光素子部の波長多重光素子の例として、光合分波器を示したが、これに限定されることはく、WDM用途で用いられる波長多重光素子のいずれにも適用することが出来る。第2光素子部の接続端子の例として、スリーブアセンブリを示したが、これに限定されることはなく、外部の光ファイバと接続するための接続端子に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 光モジュール、2A 光送信モジュール、2B 光受信モジュール、3A,3B フレキシブル基板、4 プリント回路基板、5 電気コネクタ、11A,12A,13A,14A LDモジュール、11B,12B,13B,14B PDモジュール、15A 光MUXモジュール、15B 光DeMUXモジュール、16 スリーブアセンブリ、
21,22,23,24 設置部、25 フェルール、26A LD素子、26B PD素子、27 集光レンズ、31 光合分波器、32 レンズ、33 集光レンズ、34 光アイソレータ、35,37 光ファイバスタブ、36,38 スリーブ、100 伝送装置、101,101A,101B 光ファイバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6