(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876375
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置のファン駆動回路
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20210517BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20210517BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
F25B49/02 Z
F25B49/02 520M
F24F11/74
F25B1/00 396A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-83088(P2016-83088)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-194187(P2017-194187A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年2月20日
【審判番号】不服2020-7416(P2020-7416/J1)
【審判請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌由
(72)【発明者】
【氏名】前田 和重
【合議体】
【審判長】
松下 聡
【審判官】
槙原 進
【審判官】
平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−126253(JP,A)
【文献】
特開平10−248252(JP,A)
【文献】
特開2006−115592(JP,A)
【文献】
特開2005−201681(JP,A)
【文献】
特開2012−229863(JP,A)
【文献】
特開平4−225769(JP,A)
【文献】
特開平5−133629(JP,A)
【文献】
特開平11−190564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気よりも比重の大きな微燃性ないしは可燃性冷媒を使用する熱交換器により熱交換された空気をファンにより吹出口から吹き出すヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)であって、
前記ヒートポンプ装置から漏洩する冷媒が可燃濃度に達するのを防止する保護装置が当該ヒートポンプ装置に接続されているのを検知することができないという事象により前記ファンを運転させる強制運転回路と、
前記保護装置と連動して作動するリレー(5)と、を備えており、
前記リレー(5)は、前記保護装置の前記ヒートポンプ装置への接続が検知できない場合に前記強制運転回路を閉回路とするヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)。
【請求項2】
前記ヒートポンプ装置の運転スイッチ(4)よりも電源側で前記強制運転回路を閉回路とする、請求項1に記載のヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)。
【請求項3】
空気よりも比重の大きな微燃性ないしは可燃性冷媒を使用する熱交換器により熱交換された空気をファンにより吹出口から吹き出すヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)であって、
前記ヒートポンプ装置から漏洩する冷媒が可燃濃度に達するのを防止する保護装置が当該ヒートポンプ装置に接続されているのを検知することができないという事象により前記ファンを運転させる強制運転回路を備え、
前記保護装置がヒートポンプ装置に接続されており、前記保護装置が前記ヒートポンプ装置から漏洩する冷媒を検知していない場合に、前記強制運転回路を開状態にするリレー(5)を備えているヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)。
【請求項4】
前記保護装置が、前記熱交換器または当該熱交換器に接続される冷媒配管からの冷媒の漏洩を検知する冷媒センサ(2)である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)。
【請求項5】
前記保護装置が前記ヒートポンプ装置に接続されていない場合には当該ヒートポンプ装置を通常運転させない、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のヒートポンプ装置のファン駆動回路(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ装置のファン駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって室内の冷暖房を行う空気調和装置においては、地球温暖化係数の低いR32冷媒の採用が進んでいる。しかし、R32冷媒は僅かな可燃性(微燃性)を有しており、特に、床置き型の室内機の場合、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると床面付近に漏洩冷媒が滞留し、可燃濃度に達する可能性がある。
【0003】
漏洩冷媒が滞留して可燃濃度に達するのを防止するために、種々の保護装置または保護機構(以下、「保護装置」で代表させる)が考えられる。例えば、冷媒回路からの漏洩の有無を判定するために保護装置としての冷媒センサを室内機内に配置し、この冷媒センサが冷媒の漏れを検知すると、室内機に設けられた室内ファンを駆動させて当該漏洩冷媒を拡散させることが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。特許文献1〜2記載の室内機によれば、漏洩冷媒を送風により拡散させることで冷媒が可燃濃度に達するのを防止することができ、冷媒漏洩時における室内居住者に対する安全性を確保することができる。
【0004】
また、冷媒センサ以外の保護装置として、音や光などで冷媒の漏洩をユーザーに知らせる警報器や、漏洩冷媒を含む室内の空気を強制的に室外に排出する換気装置などが考えられる。これらの保護装置を単独でまたは組み合わせて用いることで、室内機からの漏洩冷媒が滞留して空調室の床面などにおいて可燃濃度に達するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−37619号公報
【特許文献2】国際公開第WO/2015/194596号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した各種の保護装置は室内機に適式に接続されている場合にその機能を発揮して、漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止することができるが、室内機との接続がはずれた場合には、保護機能を発揮することができず、漏洩冷媒が可燃濃度に達することも考えられる。なお、本明細書における「接続」には、室内機と保護装置とが有線で接続されている状態だけでなく、無線により互いに通信可能である状態も含まれる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、保護装置と室内機などのヒートポンプ装置との接続がはずれている場合に、万一冷媒が漏洩したとしても漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止することができる、ヒートポンプ装置のファン駆動回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のヒートポンプ装置のファン駆動回路(以下、単に「ファン駆動回路」ともいう)は、
(1)空気よりも比重の大きな微燃性ないしは可燃性冷媒を使用する熱交換器により熱交換された空気をファンにより吹出口から吹き出すヒートポンプ装置のファン駆動回路であって、
前記ヒートポンプ装置からの漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止する保護装置が当該ヒートポンプ装置に接続されているのを検知することができないという事象により前記ファンを運転させる強制運転回路を備えている。
【0009】
本発明のファン駆動回路は強制運転回路を備えており、当該強制運転回路により、ヒートポンプ装置からの漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止する保護装置が当該ヒートポンプ装置に接続されているのを検知することができないという事象によりファンを運転させる。すなわち、冷媒センサなどの保護装置とヒートポンプ装置との接続がはずれており当該保護装置の保護機能が発揮できない場合に、フェールセーフでファンを強制運転させるように構成されている。これにより、保護装置とヒートポンプ装置との接続がはずれている状態で万一冷媒が漏洩したとしても、ファンの強制運転により漏洩冷媒を拡散させ、当該漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができ、冷媒漏洩時における室内居住者などに対する安全性を確保することができる。なお、本明細書における「ヒートポンプ装置」とは、冷媒と熱交換器を用いて熱の移動を行う装置のことであり、前述した空気調和機の室内機だけでなく、当該空気調和機の室外機、給湯を行う給湯機などを含む概念である。
【0010】
(2)前記(1)のファン駆動回路において、前記ヒートポンプ装置の運転スイッチよりも電源側で前記強制運転回路を閉回路とすることができる。この場合、ヒートポンプ装置が運転状態にあるか否かに関わらず、保護装置が当該ヒートポンプ装置に接続されているのを検知することができないという事象によりファンを運転させることで、保護装置とヒートポンプ装置との接続がはずれている状態で万一冷媒が漏洩したとしても、ファンの強制運転により漏洩冷媒を拡散させ、漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを常時防止することができる。
【0011】
(3)前記(1)又は(2)のファン駆動回路において、前記保護装置がヒートポンプ装置に接続されている場合に前記強制運転回路を開状態にするリレーを備えることができる。この場合、保護装置がヒートポンプ装置に接続されている正常な状態では、強制駆動回路を開閉制御することができる。
【0012】
(4)前記(1)〜(3)のファン駆動回路において、前記保護装置を、前記熱交換器または当該熱交換器に接続される冷媒配管からの冷媒の漏洩を検知する冷媒センサとすることができる。この場合、冷媒センサとヒートポンプ装置との接続がはずれており当該冷媒センサの機能が発揮できない場合に、フェールセーフでファンを強制運転させるので、万一冷媒が漏洩したとしても、ファンの強制運転により漏洩冷媒を拡散させることで当該漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のファン駆動回路によれば、保護装置とヒートポンプ装置との接続がはずれている場合に、万一冷媒が漏洩したとしても漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(電源投入前)である。
【
図2】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機停止中、センサ未検知)である。
【
図3】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機停止中、センサ検知)である。
【
図4】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機停止中、センサ非接続)である。
【
図5】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機運転中、センサ未検知)である。
【
図6】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機運転中、センサ検知)である。
【
図7】本発明のファン駆動回路の一実施形態の説明図(室内機運転中、センサ非接続)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のファン駆動回路を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本発明の一実施形態に係るファン駆動回路1の説明図であり、ヒートポンプ装置である室内機および保護装置としての冷媒センサ2にそれぞれ電源が投入される前の状態のファン駆動回路1を示している。
図2〜4は、室内機および冷媒センサ2に電源が投入されているが、室内機の運転が停止中のファン駆動回路1の説明図である。
図5〜7は、室内機および冷媒センサ2に別電源が投入されており、室内機が運転中のファン駆動回路1の説明図である。
【0016】
本実施形態に係るファン駆動回路1は、室内機および室外機を備えた空調機ないしは空気調和機における当該室内機内に設けられる室内ファンを駆動させる回路である。室内機は、前記室内ファン以外に熱交換器などを備えており、当該熱交換器により熱交換された調和空気を前記室内ファンにより吹出口から吹き出す。熱交換器は空気よりも比重の大きな微燃性ないしは可燃性冷媒である、例えばR32冷媒を使用して室内ファンにより機内に吸い込まれた空気との熱交換を行う。
【0017】
本発明のファン駆動回路は、微燃性ないしは可燃性の冷媒が熱交換器または当該熱交換器に接続された冷媒配管から漏洩し、漏洩した冷媒が、室内機が配設されている居室などの空調室の床面などに滞留して可燃濃度に達するのを防止する回路である。したがって、本発明のファン駆動回路は、漏洩した冷媒が床面などに滞留する可能性が比較的大きいと考えられる床置き型の室内機に好適に適用することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば天吊り型の室内機や、壁掛け型の室内機など他の室内機、さらには室外機や給湯機など他のヒートポンプ装置にも適用することができる。また、人が滞在する居室の空調を行う室内機だけでなく、サーバールームやクリーンルームなど主として機械や機器が配設された空間の空調を行う室内機にも適用することができる。
【0018】
ファン駆動回路1と冷媒センサ2とは有線または無線により互いに通信可能に接続されている。無線による通信としては、例えば赤外線を利用して通信を行うことができる。冷媒センサ2は、例えば熱交換器の下方、または当該熱交換器と冷媒配管との接続部の下方など室内機内に設けることができるが、冷媒が漏洩した場合に当該冷媒が滞留すると想定される空調室内の適宜の場所に設けることもできる。後者の場合、通常、冷媒センサ1と室内機とは無線により互いに通信可能に接続される。
本実施形態における冷媒センサ2は、冷媒を検知すると、当該冷媒センサ2の接点2aが開き、冷媒センサ2を含む回路を開状態にする(
図3参照)。
【0019】
ファン駆動回路1は、冷媒センサ2が室内機に接続されているのを検知することができないという事象により室内ファンのファンモータ3を運転させる強制運転回路を備えている。前記強制運転回路は、室内機の運転スイッチ4よりも電源側で閉回路とすることができる。具体的に、強制運転回路は、運転スイッチ4よりも電源側において冷媒センサ2、ファンモータ3および第1リレー5を含む閉回路とすることができる。
【0020】
第1リレー5は冷媒センサ2と連動して作動する。第1リレー5は、室内機の運転スイッチ4よりも電源側でファンモータ3を含む閉回路を構成するb接点5aを備えている。また、ファン駆動回路1は、第2リレー6を備えている。この第2リレー6は、室内機の制御側のリレーであり、通電されることで「閉」となるa接点6aを備えている。リモコンなどの操作により室内機、すなわち空調機の運転スイッチ4が「入」の状態になると、当該空調機におけるマイコンなどの制御部の指示により接点7が閉じられ、これにより第2リレー6が通電される。第2リレー6が通電されると、当該第2リレー6のa接点6aは閉状態となり、ファンモータ3は室内機の通常の制御に従い駆動する(
図5参照)。
【0021】
〔室内機停止中のファン駆動回路〕
図2は、室内機および冷媒センサ2に電源が投入されているが、室内機の運転が停止中であり、かつ、冷媒センサ2は冷媒を検知していない状態を示している。
室内機の運転が停止している状態において、
図3に示されるように、冷媒センサ2が冷媒を検知すると、前述したように当該冷媒センサ2の接点2aが開き、第1リレー5は非通電状態になる。第1リレー5が非通電状態になると、当該第1リレー5のb接点5aは閉じられ、室内機は、マイコン制御による通常の運転は停止中であるが、ファンモータ3が駆動して室内ファンは強制運転させられる。このため、室内機が運転停止中であっても、冷媒センサ2が漏洩冷媒を検知すると室内ファンが強制運転させられるので、漏洩した冷媒を拡散させることができ、漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができる。
【0022】
本実施形態では、室内機の運転停止中に冷媒センサ2が冷媒を検知した場合だけでなく、室内機の運転停止中に冷媒センサ2と室内機との接続が外れて当該接続を検知することができないという事象になり、冷媒センサ2による漏洩冷媒の検知機能が発揮できない場合でも、室内ファンを強制運転させることができる。具体的に、
図4に示されるように、冷媒センサ2が室内機から外れると第1リレー5は非通電状態になる。第1リレー5が非通電状態になると、当該第1リレー5のb接点5aは閉じられ、室内機は運転停止中ではあるが、ファンモータ3が駆動して室内ファンは強制運転させられる。
【0023】
本実施形態に係るファン駆動回路は、室内機の運転停止中でも、フェールセーフにより安全側に働くように構成されている。これにより、冷媒センサ2と室内機との接続が外れている状態で万一冷媒が漏洩したとしても、室内ファンを強制運転させることで漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができる。その結果、冷媒漏洩時における室内居住者や室内に配設されている機械および機器類の安全性を確保することができる。
【0024】
〔室内機運転中のファン駆動回路〕
図5は、室内機が運転中であり、かつ、冷媒センサ2が冷媒を検知していない状態におけるファン駆動回路1を示している。前述したように、リモコンなどの操作により室内機、すなわち空調機の運転スイッチ4が「入」の状態になると、当該空調機におけるマイコンなどの制御部の指示により接点7が閉じられ、これにより第2リレー6が通電される。第2リレー6が通電されると、当該第2リレー6のa接点は閉状態となり、ファンモータ3は室内機の通常の制御に従い駆動し、また室外機における圧縮機の運転も可能な状態になる。
【0025】
室内機が運転している状態において、
図6に示されるように、冷媒センサ2が冷媒を検知すると、前述したように当該冷媒センサ2の接点2aが開き、第1リレー5は非通電状態になる。第1リレー5が非通電状態になると、当該第1リレー5のb接点5aは閉じられ、室内ファンは通常制御による運転モード(
図5)から強制運転モードに切り替えられる。このため、例えば室内機が通常制御による運転モードにより「風速小」の状態で運転されていたとしても、冷媒センサ2が漏洩冷媒を検知すると室内ファンが、例えば「風速大」の状態で強制運転させられるので、漏洩した冷媒を拡散させることができ、漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができる。
【0026】
本実施形態では、室内機の運転中に冷媒センサ2が冷媒を検知した場合だけでなく、室内機の運転中に冷媒センサ2と室内機との接続が外れて当該接続を検知することができないという事象になり、冷媒センサ2による漏洩冷媒の検知機能が発揮できない場合でも、室内ファンを強制運転させることができる。具体的に、
図7に示されるように、冷媒センサ2が室内機から外れると第1リレー5は非通電状態になる。第1リレー5が非通電状態になると、当該第1リレー5のb接点5aは閉じられ、室内ファンは通常制御による運転モード(
図5)から強制運転モードに切り替えられ、強制運転させられる。なお、冷媒センサ2と室内機との接続が外れた状態では、接点7は「開」状態になり圧縮機の運転はできない。
【0027】
本実施形態に係るファン駆動回路1は、フェールセーフにより安全側に働くように構成されている。これにより、冷媒センサ2と室内機との接続が外れている状態で万一冷媒が漏洩したとしても、室内ファンを強制運転させることで漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができる。その結果、冷媒漏洩時における室内居住者や室内に配設されている機械および機器類の安全性を確保することができる。
【0028】
本実施形態に係るファン駆動回路1は、保護装置としての冷媒センサ2が室内機に接続されておれば空調機を通常運転させることができるが、冷媒センサ2が室内機に接続されていなければ空調機を通常運転させることができないように構成されている。また、冷媒センサ2が漏洩冷媒を検知していない状態では室内ファンは通常制御により運転させられるが、冷媒センサ2が漏洩冷媒を検知すると室内ファンは強制運転させられるように構成されている。これにより、漏洩冷媒が可燃濃度に達するのを防止することができる。
【0029】
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、保護装置として冷媒センサを採用し、この冷媒センサによって室内機からの漏洩冷媒が検知されると室内ファンを強制運転させて漏洩冷媒を拡散させるようにしているが、保護装置としては、かかる冷媒センサ以外に、例えば漏洩冷媒を検知すると音や光などで冷媒の漏洩をユーザーに知らせる警報器や、漏洩冷媒を含む室内の空気を強制的に室外に排出する換気装置を用いることもできる。冷媒センサ、警報器および換気装置は、単独で用いることもできるし、また、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
保護装置として警報器を用いる場合も、換気装置を用いる場合も、警報器または換気装置とヒートポンプ装置との接続が外れると、それぞれの機能を発揮することができず、前者の場合は、漏洩冷媒の存在をユーザーに知らせることができず、後者の場合は、漏れた冷媒が存在している空調室の空気を外部に排出することができない。しかし、本発明のファン駆動回路では、警報器または換気装置とヒートポンプ装置との接続が外れた場合に、フェールセーフでヒートポンプ装置のファンを運転させる強制運転回路を備えている。このため、警報器または換気装置とヒートポンプ装置との接続がはずれている状態で万一冷媒が漏洩したとしても、漏洩冷媒が空調室の床面などで滞留して可燃濃度に達するのを防止することができ、冷媒漏洩時における室内居住者などに対する安全性を確保することができる。また、換気装置や警報器がヒートポンプ装置に接続されている状態で当該ヒートポンプ装置の運転が可能であるので、冷媒の漏洩を抑制することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 :ファン駆動回路
2 :冷媒センサ
2a:接点
3 :ファンモータ
4 :運転スイッチ
5 :第1リレー
5a:b接点
6 :第2リレー
6a:a接点
7 :接点