特許第6876382号(P6876382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876382
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】コイル試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/72 20200101AFI20210517BHJP
【FI】
   G01R31/72
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-104765(P2016-104765)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-211280(P2017-211280A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】北澤 正美
(72)【発明者】
【氏名】小川 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 力
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−185861(JP,A)
【文献】 特開平2−224306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0046619(US,A1)
【文献】 特開昭61−162755(JP,A)
【文献】 特開昭60−8760(JP,A)
【文献】 特開2005−331340(JP,A)
【文献】 特開2013−24850(JP,A)
【文献】 特開2012−242377(JP,A)
【文献】 特開2012−58221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50−31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象のコイルに並列接続されるキャパシタンスCが既知のコンデンサ回路と、インパルス電圧信号を発生させて前記コイルおよび前記コンデンサ回路に供給するインパルス電圧発生部と、前記インパルス電圧信号の供給によって前記コイルの両端間に発生する減衰振動電圧の信号波形を測定する測定部と、前記信号波形をサンプリングして当該信号波形の瞬時値を示す波形データに変換するA/D変換部と、前記減衰振動電圧の発生時における前記コイルおよび前記コンデンサ回路で構成される回路についての等価回路定数としての前記コイルのインダクタンスL、当該コイルのレジスタンスRおよび前記コンデンサ回路の前記キャパシタンスCのうちの当該インダクタンスLおよび当該キャパシタンスCの乗算値LCと当該レジスタンスRおよび当該キャパシタンスCの乗算値RCとを状態情報特徴量として前記波形データに基づいて算出する状態情報算出処理、並びに当該状態情報特徴量LC,RCを診断情報特徴量LCref,RCrefと比較して前記コイルの良否を判別するコイル試験処理を実行する処理部とを備えているコイル試験装置であって、
前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するための前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての上限値および下限値と、当該診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するための前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての基準値および許容差とのうちのいずれかを前記処理部に入力するための入力部を備えているコイル試験装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記入力部から前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての前記上限値および前記下限値を入力したときには、当該上限値、当該下限値および前記キャパシタンスCに基づいて前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行する請求項1記載のコイル試験装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記入力部から前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての前記基準値および前記許容差を入力したときには、当該基準値、当該許容差および前記キャパシタンスCに基づいて前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行する請求項1記載のコイル試験装置。
【請求項4】
表示部を備え、
前記処理部は、乗算値LCおよび乗算値RCのうちの一方を縦軸とし、当該乗算値LCおよび当該乗算値RCのうちの他方を横軸とする特徴量空間を前記表示部の画面上に表示させ、かつ当該特徴量空間上における前記算出した診断情報特徴量LCref,RCrefで規定される位置に前記コイルについての判定エリアを示すエリア画像を表示させると共に前記算出した状態情報特徴量LC,RCで規定される位置に状態情報画像を表示させる請求項2または3記載のコイル試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験対象のコイルにコンデンサを並列に接続すると共に、この接続状態でのコイルにインパルス電圧を印加したときにコイルの両端間に発生する減衰振動波形に基づいてコイルを試験するコイル試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコイル試験装置の一例として、下記の特許文献1に開示されたコイル試験装置(巻線診断システム)が知られている。このコイル試験装置は、コイル(巻線)に所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス発生回路と、インパルス電圧が印加されたときにコイルの両端に発生する電圧(減衰振動電圧)を計測する電圧計測部と、この計測されたアナログ信号である電圧をデジタル信号に変換して出力するA/D変換回路と、A/D変換回路から出力されたデジタル信号に基づいて特徴量LC,RCを算出すると共にこの算出した特徴量LC,RCを記憶部に設けた特徴量空間(例えば、特徴量LCを横軸とし、特徴量RCを縦軸とする座標空間)に記憶させる(例えば、特徴量LC,RCを各軸についての座標値とする点(特徴点)として記憶させる)診断部とを備えている。
【0003】
ここで、コイルとインパルス発生回路とから構成される回路の等価回路定数をインダクタンスL、キャパシタンスCおよびレジスタンスRとしたときに、インダクタンスLおよびキャパシタンスCの乗算値LCとレジスタンスRおよびキャパシタンスCの乗算値RCとで特徴量LC,RCが構成されている。なお、キャパシタンスCは、コイル自体の等価回路定数(つまり、コイルの浮遊容量)だけで構成することもできるが、この浮遊容量は一般的に容量値が小さいことから、減衰振動電圧の周波数(共振周波数)が高くなり過ぎてA/D変換回路において正確にデジタル信号に変換できない場合もある。このため、通常は、インパルス発生回路内に、コイルと並列接続されるキャパシタを別途配置して、このキャパシタの容量値を上記の等価回路定数であるキャパシタンスCとしている。
【0004】
このコイル試験装置を用いて診断対象(試験対象)のコイル(診断対象巻線)を診断する場合には、診断の際に必要となる診断情報を学習用のコイル(学習用巻線)を用いて予め取得する。具体的には、正常状態、および想定される種々の不良状態(例えば、1ターン短絡、2ターン短絡、層間短絡、断線等)のそれぞれの状態に設定した学習用のコイルを用意し、診断部に、これらの学習用のコイルをコイル試験装置に接続したときのそれぞれについての特徴量LC,RCを算出させると共に、算出された各特徴量LC,RCを学習用のコイルの上記の各状態(正常状態、種々の不良状態)に対応させて診断情報特徴量として、記憶部に設けた特徴量空間に記憶させる。
【0005】
次いで、診断対象のコイルをコイル試験装置に接続すると共に、このときの特徴量LC,RCを診断部に状態情報特徴量として算出させる。また、診断部に、記憶部に設けた特徴量空間上において、上記の各診断情報特徴量のうちから、算出した診断対象のコイルについての状態情報特徴量と最も近い診断情報特徴量をサーチさせ、サーチによって得られた診断情報特徴量が学習用のコイルの上記の各状態(正常状態、種々の不良状態)のいずれに対応するものかに基づいて、診断対象のコイルの状態を診断(試験)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−58221号公報(第7−12頁、第1−9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したコイル試験装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、このコイル試験装置では、診断情報特徴量を算出するために学習用のコイルを予め複数用意する必要がある。このため、このコイル試験装置には、診断対象のコイルの良否を試験するだけの場合(正常ではないときに、不良状態の種類を判別する必要の無い場合)であっても、正常状態の学習用のコイルについては用意しなければならないため、手間がかかるという改善すべき課題が存在している。
【0008】
本発明は、かかる課題を改善するためになされたものであり、手間をかけずに試験対象のコイルの良否を試験し得るコイル試験装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1記載のコイル試験装置は、試験対象のコイルに並列接続されるキャパシタンスCが既知のコンデンサ回路と、インパルス電圧信号を発生させて前記コイルおよび前記コンデンサ回路に供給するインパルス電圧発生部と、前記インパルス電圧信号の供給によって前記コイルの両端間に発生する減衰振動電圧の信号波形を測定する測定部と、前記信号波形をサンプリングして当該信号波形の瞬時値を示す波形データに変換するA/D変換部と、前記減衰振動電圧の発生時における前記コイルおよび前記コンデンサ回路で構成される回路についての等価回路定数としての前記コイルのインダクタンスL、当該コイルのレジスタンスRおよび前記コンデンサ回路の前記キャパシタンスCのうちの当該インダクタンスLおよび当該キャパシタンスCの乗算値LCと当該レジスタンスRおよび当該キャパシタンスCの乗算値RCとを状態情報特徴量として前記波形データに基づいて算出する状態情報算出処理、並びに当該状態情報特徴量LC,RCを診断情報特徴量LCref,RCrefと比較して前記コイルの良否を判別するコイル試験処理を実行する処理部とを備えているコイル試験装置であって、前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するための前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての上限値および下限値と、当該診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するための前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての基準値および許容差とのうちのいずれかを前記処理部に入力するための入力部を備えている。
【0010】
請求項2記載のコイル試験装置は、請求項1記載のコイル試験装置において、前記処理部は、前記入力部から前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての前記上限値および前記下限値を入力したときには、当該上限値、当該下限値および前記キャパシタンスCに基づいて前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行する。
【0011】
請求項3記載のコイル試験装置は、請求項1記載のコイル試験装置において、前記処理部は、前記入力部から前記インダクタンスLおよび前記レジスタンスRのそれぞれについての前記基準値および前記許容差を入力したときには、当該基準値、当該許容差および前記キャパシタンスCに基づいて前記診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行する。
【0012】
請求項4記載のコイル試験装置は、請求項2または3記載のコイル試験装置において、表示部を備え、前記処理部は、乗算値LCおよび乗算値RCのうちの一方を縦軸とし、当該乗算値LCおよび当該乗算値RCのうちの他方を横軸とする特徴量空間を前記表示部の画面上に表示させ、かつ当該特徴量空間上における前記算出した診断情報特徴量LCref,RCrefで規定される位置に前記コイルについての判定エリアを示すエリア画像を表示させると共に前記算出した状態情報特徴量LC,RCで規定される位置に状態情報画像を表示させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のコイル試験装置では、診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するためのインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての上限値および下限値と、診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するためのインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての基準値および許容差のうちのいずれかを処理部に入力するための入力部を備えている。
【0016】
したがって、このコイル試験装置によれば、試験対象のコイルを試験する際に、診断情報特徴量を算出するために学習用のコイルを予め用意する必要が無いため、手間をかけずに試験対象のコイルの良否(良品(正常)状態であるか不良(異常)状態であるか)を試験することができる。
【0017】
請求項2,3記載の測定装置によれば、処理部によって診断情報特徴量LCref,RCrefが自動的に算出されるため、試験者が自ら診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する構成と比較して、一層手間をかけずに試験対象のコイルの良否を試験することができる。
【0018】
請求項4記載の測定装置によれば、表示部の画面上に表示された特徴量空間に、コイルについての判定エリアを示すエリア画像と共に状態情報画像が表示されるため、これらの画像に基づいて試験対象のコイルの良否を目視にて試験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】コイル試験装置1の構成図である。
図2】特徴量空間における各乗算値LCref,RCrefと方形の判定エリアARとの関係、およびこの判定エリアARと状態情報特徴量LCte,RCteとの関係を示す説明図である。
図3】特徴量空間における各乗算値LCref,RCrefと円形の判定エリアARとの関係、およびこの判定エリアARと状態情報特徴量LCte,RCteとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、コイル試験装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
最初に、コイル試験装置としてのコイル試験装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0022】
コイル試験装置1は、図1に示すように、一対の接続端子2a,2b、コンデンサ回路3、スイッチ4、インパルス電圧発生部5、測定部6、A/D変換部7、処理部8、記憶部9、出力部10および操作部11を備え、一対の接続端子2a,2b間に接続(直接的に接続、または不図示のプローブなどを介して間接的に接続)された試験対象のコイル(巻線)51を試験する(絶縁耐力が不足しているか否かをチェックするための試験を行う)ことが可能に構成されている。また、本例のコイル試験装置1は、等価回路定数(インダクタンスLおよびレジスタンスR)の異なる複数種類のコイル51(本例では一例として、インダクタンスLaおよびレジスタンスRaのコイル51a、およびインダクタンスLbおよびレジスタンスRbのコイル51bの2種類のコイル51を挙げて説明するが、3種類以上であってもよい)を試験対象として試験可能に構成されている。
【0023】
なお、インダクタンスLa,Lbについて特に区別しないときにはインダクタンスLともいい、レジスタンスRa,Rbについて特に区別しないときにはレジスタンスRともいい、コイル51a,51bについて特に区別しないときにはコイル51ともいう。また、コイル51には、浮遊容量も存在していることから、コイルの等価回路定数には、上記のインダクタンスLおよびレジスタンスRに加えてキャパシタンスも存在している。しかしながら、このコイル51に対して並列接続されるコンデンサ回路3の後述するキャパシタンス(容量値)Cの設計値(基準値)Crがこの浮遊容量に対して十分に大きな値に規定されているため、この浮遊容量は無視するものとする。
【0024】
また、コイル51aについての良品時(良品状態のとき)のインダクタンスLaおよびレジスタンスRa(例えばインダクタンスLaおよびレジスタンスRaの各設計値(基準値)Lar,Rar)は既知であるものとする。また、コイル51bについての良品時(良品状態のとき)のインダクタンスLbおよびレジスタンスRb(例えばインダクタンスLbおよびレジスタンスRbの各設計値(基準値)Lbr,Rbr)も既知であるものとする。また、インダクタンスLの各設計値(基準値)Lar,Lbrについて特に区別しないときには、設計値(基準値)Lrともいい、レジスタンスRaの各設計値(基準値)Rar,Rbrについて特に区別しないときには、設計値(基準値)Rrともいう。
【0025】
また、コイル51aの良品時におけるそのインダクタンスLaのばらつきの範囲(インダクタンス許容範囲)についても既知であるものとする。具体的には、設計値Larを基準とする下側の許容差ΔLa1および上側の許容差ΔLa2の組、並びにインダクタンス許容範囲の下限値(最小値)Lamin(=Lar−ΔLa1)および上限値(最大値)Lamax(=Lar+ΔLa2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。また、コイル51aの良品時におけるそのレジスタンスRaのばらつきの範囲(レジスタンス許容範囲)についても既知であるものとする。具体的には、設計値Rarを基準とする下側の許容差ΔRa1および上側の許容差ΔRa2の組、並びにレジスタンス許容範囲の下限値(最小値)Ramin(=Rar−ΔRa1)および上限値(最大値)Ramax(=Rar+ΔRa2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。
【0026】
また、コイル51bについても、その良品時におけるそのインダクタンスLbのばらつきの範囲(インダクタンス許容範囲)が既知であるものとする。具体的には、設計値Lbrを基準とする下側の許容差ΔLb1および上側の許容差ΔLb2の組、並びにインダクタンス許容範囲の下限値(最小値)Lbmin(=Lbr−ΔLb1)および上限値(最大値)Lbmax(=Lbr+ΔLb2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。また、コイル51bの良品時におけるそのレジスタンスRbのばらつきの範囲(レジスタンス許容範囲)についても既知であるものとする。具体的には、設計値Rbrを基準とする下側の許容差ΔRb1および上側の許容差ΔRb2の組、並びにレジスタンス許容範囲の下限値(最小値)Rbmin(=Rbr−ΔRb1)および上限値(最大値)Rbmax(=Rbr+ΔRb2)の組の少なくとも一方の組が既知であるものとする。
【0027】
なお、設計値Lrの各下側の許容差ΔLa1,ΔLb1について特に区別しないときには許容差ΔL1ともいい、各上側の許容差ΔLa2,ΔLb2について特に区別しないときには許容差ΔL2ともいう。また、設計値Rrの各下側の許容差ΔRa1,ΔRb1について特に区別しないときには許容差ΔR1ともいい、各上側の許容差ΔRa2,ΔRb2について特に区別しないときには許容差ΔR2ともいう。また、インダクタンス許容範囲の各下限値Lamin,Lbminについて特に区別しないときには下限値Lminともいい、各上限値Lamax,Lbmaxについて特に区別しないときには上限値Lmaxともいう。また、レジスタンス許容範囲の各下限値Ramin,Rbminについて特に区別しないときには下限値Rminともいい、各上限値Ramax,Rbmaxについて特に区別しないときには上限値Rmaxともいう。
【0028】
一対の接続端子2a,2bのうちの一方の接続端子2aは、スイッチ4を介してインパルス電圧発生部5の一対の出力端子5a,5bのうちの一方の出力端子5aに接続されている。また、他方の接続端子2bは、インパルス電圧発生部5の他方の出力端子5bに接続されている。
【0029】
コンデンサ回路3は、1または2以上の不図示のコンデンサで構成されて、全体としてのキャパシタンス(容量値)Cの設計値(基準値)Crが一定(既知)であって、かつこのキャパシタンスCのばらつきの範囲(キャパシタンス許容範囲)の下限値(最小値)Cmin(≫コイル51の浮遊容量)および上限値(最大値)Cmax(>Cr>Cmin)も既知であるものとする。また、コンデンサ回路3は、一対の接続端子2a,2b間に接続されている。
【0030】
スイッチ4は、一端が接続端子2aに接続され、他端がインパルス電圧発生部5の一方の出力端子5aに接続されている。また、スイッチ4は、例えば、リレーで構成されて、処理部8によってオン・オフ状態が制御可能となっている。
【0031】
インパルス電圧発生部5は、予め規定された高電圧値のインパルス電圧信号Vpを一対の出力端子5a,5b間から出力可能に構成されている。また、インパルス電圧発生部5は、一例として、処理部8からの出力開始指示を入力したタイミングでインパルス電圧信号Vpを出力する。
【0032】
測定部6は、一対の接続端子2a,2b間に発生する電圧(後述する減衰振動電圧)vについての信号波形を測定すると共に、測定した信号波形を予め規定された増幅率で増幅することにより、振幅が後段のA/D変換部7の入力定格内となる検出信号Saとして出力する。A/D変換部7は、入力した検出信号Saを予め規定されたサンプリング周期でサンプリングすることにより、検出信号Saの信号波形の瞬時値を示す波形データD1(測定部6での増幅率やA/D変換部7の分解能(1ビット当たりの電圧値)が既知であることから、減衰振動電圧vの瞬時値を示す波形データD1とも言える)に変換して出力する。
【0033】
処理部8は、例えばCPUで構成されて、記憶部9に記憶されている動作プログラムに基づいて動作して、スイッチ4に対する制御処理、インパルス電圧発生部5に対する制御処理、試験対象のコイル51を試験するための基準となる診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理、試験対象のコイル51から得られたコイルの状態を示す特徴量である状態情報特徴量LCte,RCteを算出する状態情報算出処理、およびコイル試験処理を実行する。
【0034】
記憶部9は、ROMおよびRAMなどの種々の半導体メモリや、ハードディスクおよびフラッシュメモリなどを用いたドライブ装置で構成されている。この記憶部9には、処理部8を構成するCPUのための動作プログラム、コンデンサ回路3のキャパシタンスCについての下限値Cminおよび上限値Cmaxが予め記憶されている。また、記憶部9には、状態情報特徴量LCte,RCteおよび診断情報特徴量LCref,RCrefを記憶するための特徴量空間が設けられている。この特徴量空間とは、後述するインダクタンスLおよびキャパシタンスCの乗算値LCを横軸および縦軸のうちの一方の軸(本例では横軸)とし、レジスタンスRおよびキャパシタンスCの乗算値RCを横軸および縦軸のうちの他方の軸(本例では縦軸)とする座標空間(直交座標空間)である。
【0035】
また、このコイル試験装置1では、一対の接続端子2a,2b間に試験対象のコイル51が接続されたときには、このコイル51とコンデンサ回路3とが並列接続状態となる。そして、このコイル51およびコンデンサ回路3にオン状態のスイッチ4を介してインパルス電圧発生部5からインパルス電圧信号Vpが供給された直後に、スイッチ4がオフ状態に制御されたときには、コイル51およびコンデンサ回路3で構成される回路(コイル51についての等価回路のインダクタおよびレジスタと、コンデンサ回路3のキャパシタとからなるLCR直列回路)に、インパルス電圧信号Vpの供給に起因して、不図示の減衰振動電流が流れ、この減衰振動電流がコイル51を流れることで、コイル51の両端間(つまり、接続端子2a,2b間)に減衰振動電圧vが発生する。また、この減衰振動電圧vについては、背景技術で説明した上記の特許文献1に開示されている等式(同公報中の式(1))と同じ下記の式(1)が成り立つ。
LC・dv/dt+RC・dv/dt+v=0 ・・・ (1)
ここで、L,R,Cは、コイル51およびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるが、上記したようにコイル51に対して並列接続されるコンデンサ回路3のキャパシタンスCの設計値(基準値)Crはコイル51の浮遊容量に対して十分に大きな値に規定されているため、この浮遊容量は無視できる。このことから、このLおよびRは、コイル51の等価回路定数であるインダクタンスLおよびレジスタンスRであり、このCは、コンデンサ回路3のキャパシタンスCである。
【0036】
また、上記の特許文献1に開示されている等式と同じ上記式(1)が成り立つことから、本例のコイル試験装置1の処理部8でも、動作プログラムの実行の際に、公知の手法(例えば、特許文献1に開示されている式(同公報中の式(3))と同じ式を使用する手法)を用いて、コイル51およびコンデンサ回路3で構成される回路(上記のLCR直列回路)についての等価回路定数であるインダクタンスLおよびキャパシタンスCの乗算値LC、並びにレジスタンスRおよびキャパシタンスCの乗算値RC、つまり特徴量LC,RCを算出することが可能となっている。
【0037】
出力部10は、一例として、LCDなどのディスプレイ装置を有する表示部として構成されて、処理部8から出力されたコイル51についての試験結果を画面に表示する。なお、出力部10は、ディスプレイ装置に代えて、種々のインターフェース回路で構成してもよく、例えば、メディアインターフェース回路としてリムーバブルメディアに試験結果を記憶させたり、ネットワークインターフェース回路としてネットワーク経由で外部装置に試験結果を伝送させたりする構成を採用することもできる。
【0038】
操作部11は、入力部の一例であって、例えば、押下されたときに試験開始指示を示す信号を処理部8に出力可能なスタートキーと、試験対象としてコイル試験装置1に接続されるコイル51についての良品時のインダクタンスLのばらつきの範囲およびレジスタンスRのばらつきの範囲を特定するための範囲情報(設計値Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2、または下限値Lmin,Rminおよび上限値Lmax,Rmax)を入力するためのテンキー等を備えている。なお、入力部は、操作部11に限定されず、例えば、外部装置とデータ通信可能な通信部として、この外部装置から通信部を介して処理部8に、上記の試験開始指示や、上記の範囲情報を入力する構成を採用することもできる。
【0039】
次に、コイル試験装置1を用いたコイル51の試験方法について、コイル試験装置1の動作と共に説明する。なお、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する例を挙げて説明する。
【0040】
最初に、試験対象としてコイル51aを試験する場合について説明する。まず、試験する者(以下、試験者ともいう)は、コイル51aをコイル試験装置1の一対の接続端子2a,2b間に接続する。
【0041】
次いで、試験者は、操作部11を操作することにより、試験対象であるコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmax(この例では、コイル51aについてのインダクタンスLaおよびレジスタンスRaの各下限値Lamin,Raminおよび各上限値Lamax,Ramax)を処理部8に入力する。処理部8は、入力した各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmax(この例では、各下限値Lamin,Raminおよび各上限値Lamax,Ramax)を記憶部9に記憶させる。
【0042】
続いて、処理部8は、診断情報算出処理を実行する。この診断情報算出処理では、処理部8は、記憶部9に記憶されているインダクタンスLおよびレジスタンスRについての各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxと、キャパシタンスCについての下限値Cminおよび上限値Cmaxとに基づいて、診断情報特徴量LCref,RCrefを算出して記憶部9の特徴量空間に記憶させる。
【0043】
具体的には、処理部8は、インダクタンスLの下限値LminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値LCref1(=Lmin×Cmin)、およびレジスタンスRの下限値RminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値RCref1(=Rmin×Cmin)を算出して、これらを診断情報特徴量LCref,RCrefの1つである第1診断情報特徴量LCref1,RCref1として記憶部9に記憶させる。また、処理部8は、インダクタンスLの上限値LmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値LCref2(=Lmax×Cmax)、およびレジスタンスRの上限値RmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値RCref2(=Rmax×Cmax)を算出して、これらを診断情報特徴量LCref,RCrefの他の1つである第2診断情報特徴量LCref2,RCref2として記憶部9に記憶させる。これにより、診断情報算出処理が完了する。
【0044】
次いで、操作部11に対する操作が行われて(スタートボタンが操作されて)、試験開始指示を示す信号が処理部8に出力されると、処理部8は、この信号の入力を検出して、状態情報算出処理を実行し、次いでコイル試験処理を実行する。
【0045】
この状態情報算出処理では、処理部8は、まず、スイッチ4に対する制御を実行して、オン状態に移行させる。次いで、処理部8は、インパルス電圧発生部5に対して出力開始指示を出力してインパルス電圧信号Vpを出力させると共に、インパルス電圧信号Vpの出力が完了した直後にスイッチ4に対する制御を実行してオフ状態に移行させる。これにより、コイル51の両端間(接続端子2a,2b間)には、インパルス電圧信号Vpの印加に起因して、コイル51とコンデンサ回路3とで形成される直列共振回路に基づく減衰振動電圧vが発生する。
【0046】
測定部6は、この減衰振動電圧vについての信号波形を測定すると共に、検出信号Saを生成してA/D変換部7に出力する。A/D変換部7は、この検出信号Saをサンプリングして波形データD1に変換し、処理部8に出力する。処理部8は、この波形データD1を取得(例えば、1周期分程度取得)して、記憶部9に記憶させる。
【0047】
続いて、処理部8は、記憶部9に記憶されている波形データD1に基づいて、コイル51およびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるインダクタンスLとキャパシタンスCとの乗算値LC、およびレジスタンスRとキャパシタンスCとの乗算値RCを算出して、これらを状態情報特徴量LCte,RCteとして記憶部9の特徴量空間に記憶させる。これにより、状態情報算出処理が完了する。
【0048】
次に実行するコイル試験処理では、処理部8は、記憶部9の特徴量空間に記憶されている診断情報特徴量LCref,RCref(この例では、第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、第2診断情報特徴量LCref2,RCref2の2つ)と、状態情報特徴量LCte,RCteとに基づいて、試験対象としてコイル試験装置1に接続されているコイル51aの良否を試験(診断)する。
【0049】
具体的には、処理部8は、図2に示すように、記憶部9に設けられた特徴量空間に記憶されている第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、第2診断情報特徴量LCref2,RCref2とで規定されるコイル51aについての判定エリアARa(同図に示すように、この乗算値LCを横軸とし、かつ乗算値RCを縦軸とする特徴量空間における座標値(LCref1,0)を通って縦軸と平行な直線S1、座標値(LCref2,0)を通って縦軸と平行な直線S2、座標値(0,RCref1)を通って横軸と平行な直線S3、および座標値(0,RCref2)を通って横軸と平行な直線S4で囲まれた方形のエリア(実線で囲まれて、内部に斜線が付されたエリア))内に状態情報特徴量LCte,RCteが含まれているか否かを判別して、符号P1で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARa内に含まれているときには、コイル51aは良品状態にあると診断し、一方、符号P2で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARa内に含まれていないときには、コイル51aは不良状態(異常状態)にあると診断する。また、処理部8は、この診断(試験)結果を記憶部9に記憶させると共に、出力部10に出力して画面に表示させる。これにより、コイル51aについてのコイル試験処理が完了する。
【0050】
次に、新たなコイル51bを試験対象として試験する場合には、上記したコイル51aのときと同様にして、試験者は、まず、コイル51bをコイル試験装置1の一対の接続端子2a,2b間に接続し、次いで、操作部11を操作することにより、試験対象であるコイル51bについてのインダクタンスLbおよびレジスタンスRbの各下限値Lbmin,Rbminおよび各上限値Lbmax,Rbmax)を処理部8に入力し、続いて、操作部11を操作することにより、試験開始指示を示す信号を処理部8に入力する。
【0051】
これにより、処理部8が、診断情報算出処理を実行して、記憶部9に記憶されている各下限値Lbmin,Rbminおよび各上限値Lbmax,Rbmaxと、下限値Cminおよび上限値Cmaxとに基づいて、新たな診断情報特徴量LCref,RCrefを算出して記憶部9の特徴量空間に記憶させる。
【0052】
この場合、処理部8は、インダクタンスLbの下限値LbminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値LCref1(=Lbmin×Cmin)、およびレジスタンスRbの下限値RbminとキャパシタンスCの下限値Cminとの乗算値RCref1(=Rbmin×Cmin)を新たに算出して、これらを新たな第1診断情報特徴量LCref1,RCref1として記憶部9に記憶させる。また、処理部8は、インダクタンスLbの上限値LbmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値LCref2(=Lbmax×Cmax)、およびレジスタンスRbの上限値RbmaxとキャパシタンスCの上限値Cmaxとの乗算値RCref2(=Rbmax×Cmax)を新たに算出して、これらを新たな第2診断情報特徴量LCref2,RCref2として記憶部9に記憶させる。
【0053】
また、処理部8は、状態情報算出処理を実行して、新たな状態情報特徴量LCte,RCteを算出して記憶部9に記憶させる。この場合、処理部8は、インパルス電圧信号Vpの印加に起因して、コイル51bとコンデンサ回路3とで形成される直列共振回路に基づく減衰振動電圧vについての波形データD1から、コイル51bおよびコンデンサ回路3の直列回路についての等価回路定数であるインダクタンスLとキャパシタンスCとの乗算値LC、およびレジスタンスRとキャパシタンスCとの乗算値RCを新たに算出して、これらを新たな状態情報特徴量LCte,RCteとして記憶部9の特徴量空間に記憶させる。
【0054】
また、処理部8は、コイル試験処理を実行して、記憶部9の特徴量空間に記憶されている新たな診断情報特徴量LCref,RCref(新たな第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、新たな第2診断情報特徴量LCref2,RCref2の2つ)と、新たな状態情報特徴量LCte,RCteとに基づいて、試験対象としてコイル試験装置1に接続されているコイル51bの良否を試験(診断)する。
【0055】
この場合、図2に示すように、記憶部9に設けられた特徴量空間に記憶されている新たな第1診断情報特徴量LCref1,RCref1と、新たな第2診断情報特徴量LCref2,RCref2とにより、判定エリアARaと同様にして、コイル51bについての新たな判定エリアARb(破線で囲まれて、内部に斜線が付された方形のエリア)が規定される。処理部8は、コイル51bについての新たな状態情報特徴量LCte,RCteがこの判定エリアARb内に含まれているか否かを判別して、符号P3で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARb内に含まれているときには、コイル51bは良品状態にあると診断し、一方、符号P4で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARb内に含まれていないときには、コイル51bは不良状態(異常状態)にあると診断する。また、処理部8は、この診断(試験)結果を記憶部9に記憶させると共に、出力部10に出力して画面に表示させる。これにより、コイル51bについてのコイル試験処理が完了する。
【0056】
なお、上記のコイル試験装置1では、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する構成を採用して、処理部8が、コイル51についての判定エリアARa,ARb(以下、特に区別しないときには、判定エリアARともいう)を規定するための診断情報特徴量LCref,RCref(第1診断情報特徴量LCref1,RCref1、および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2)を、診断情報算出処理においてこの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxに基づいて算出しているが、この構成に限定されない。
【0057】
例えば、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各設計値Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2を操作部11から入力する構成を採用することもできる。この構成のコイル試験装置1では、処理部8は、インダクタンスLについての設計値Lrおよび許容差ΔL1,ΔL2に基づいて、インダクタンス許容範囲の下限値Lmin(=Lr−ΔL1)および上限値Lmax(=Lr+ΔL2)を算出すると共に、レジスタンスRについての設計値Rrおよび許容差ΔR1,ΔR2に基づいて、レジスタンス許容範囲の下限値Rmin(=Rr−ΔR1)および上限値Rmax(=Rr+ΔR2)を算出する。そして、処理部8は、コイル51についての判定エリアARを規定するための診断情報特徴量LCref,RCref(第1診断情報特徴量LCref1,RCref1、および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2)を、このようにして算出した各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxに基づいて算出する。よって、この構成においても、試験対象のコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRの各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを操作部11から入力する構成と同様にして、コイル51の良否を試験(診断)することが可能である。
【0058】
このように、このコイル試験装置1では、診断情報特徴量LCref,RCref(本例では、第1診断情報特徴量LCref1,RCref1および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2)を算出するためのコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxと、診断情報特徴量LCref,RCrefを算出するためのコイル51についてのインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての設計値(基準値)Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2のいずれか一方または双方を処理部8に入力するための操作部11などの入力部を備えて、各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxと、設計値(基準値)Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2とのいずれか一方または双方を取得する。
【0059】
したがって、このコイル試験装置1によれば、試験対象のコイル51を試験する際に、正常状態の学習用のコイルを用意する必要が無く、このコイル51についての上記の各値(下限値Lmin,Rminなど)を入力するだけでよいため、手間をかけずに試験対象のコイル51の良否(良品状態であるか不良状態であるか)を試験することができる。
【0060】
また、このコイル試験装置1では、処理部8が、操作部11などの入力部からインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての各下限値Lmin,Rminおよび各上限値Lmax,Rmaxを入力したときには、これらの各値と既知のキャパシタンスC(キャパシタンスCmax,Cmin)とに基づいて診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行し、また入力部からインダクタンスLおよびレジスタンスRのそれぞれについての設計値(基準値)Lr,Rrおよび許容差ΔL1,ΔL2,ΔR1,ΔR2を入力したときには、これらの各値と既知のキャパシタンスCに基づいて診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する診断情報算出処理を実行する。
【0061】
したがって、このコイル試験装置1によれば、処理部8によって診断情報特徴量LCref,RCrefが自動的に算出されるため、試験者が自ら診断情報特徴量LCref,RCrefを算出する構成と比較して、一層手間をかけずに試験対象のコイル51の良否を試験することができる。
【0062】
なお、上記のコイル試験装置1では、処理部8が診断情報特徴量LCref,RCrefを自動的に算出する好ましい構成を採用しているが、試験者が自ら診断情報特徴量LCref,RCrefを算出すると共に、算出した診断情報特徴量LCref,RCref(つまり、既知の診断情報特徴量LCref,RCref)を操作部11などの入力部を介して処理部8に入力する構成を採用することもできる。
【0063】
また、上記のコイル試験装置1では、処理部8は、図2に示すように、特徴量空間において判定エリアARを方形のエリアとして規定しているが、この構成に限定されず、例えば、図3に示すように、判定エリアARを円形のエリアとして規定する構成を採用することもできる。この場合、処理部8は、一例として、診断情報特徴量LCref,RCrefとしての2つの第1診断情報特徴量LCref1,RCref1および第2診断情報特徴量LCref2,RCref2を結ぶ特徴量空間での不図示の線分を直径とする円を判定エリアARとして規定することができる。そして、この構成においても、処理部8は、符号P1で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARa内に含まれていないコイル51については不良状態にあると診断することができ、一方、符号P2で示される状態情報特徴量LCte,RCteのように判定エリアARa内に含まれているコイル51については良品状態にあると診断することができる。
【0064】
また、上記のコイル試験装置1では、試験対象であるコイル51が良品状態であるか不良状態であるかの診断(試験)結果を処理部8が出力部10を構成する表示部の画面上に表示させる構成を採用しているが、図2,3に図示されている内容を表示部の画面上に画像として表示させる構成、つまり、乗算値LCおよび乗算値RCのうちの一方を縦軸とし、乗算値LCおよび乗算値RCのうちの他方を横軸とする特徴量空間を画面上に表示させ、かつこの特徴量空間上における算出した診断情報特徴量LCref,RCrefで規定される位置にコイル51についての判定エリアARを示すエリア画像(例えば、図2,3に示すようにエリアの外縁が実線や破線で表示され、かつこのエリア内に斜線が表示された画像)を表示させると共に、算出した状態情報特徴量LC,RC(LCte,RCte)で規定される位置に状態情報画像(例えば、図2,3に示すように白丸の画像)を表示させる構成を採用することもできる。この構成を採用することにより、試験者は、画面に表示されているこれらの画像に基づいて試験対象のコイル51の良否を目視にて診断(試験)することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 コイル試験装置
3 コンデンサ回路
5 インパルス電圧発生部
6 測定部
7 A/D変換部
8 処理部
51 コイル
C キャパシタンス
D1 波形データ
f 振動周波数
L インダクタンス
R レジスタンス
v 減衰振動電圧
Vp インパルス電圧信号
図1
図2
図3