特許第6876383号(P6876383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6876383-波長可変光源 図000002
  • 特許6876383-波長可変光源 図000003
  • 特許6876383-波長可変光源 図000004
  • 特許6876383-波長可変光源 図000005
  • 特許6876383-波長可変光源 図000006
  • 特許6876383-波長可変光源 図000007
  • 特許6876383-波長可変光源 図000008
  • 特許6876383-波長可変光源 図000009
  • 特許6876383-波長可変光源 図000010
  • 特許6876383-波長可変光源 図000011
  • 特許6876383-波長可変光源 図000012
  • 特許6876383-波長可変光源 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876383
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】波長可変光源
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20210517BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20210517BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20210517BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20210517BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20210517BHJP
   H01S 5/14 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G02F1/01 C
   G02B6/12 301
   G02B6/12 361
   G02B6/125
   H01S5/022
   H01S5/026 612
   H01S5/026 618
   H01S5/14
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-113259(P2016-113259)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-219668(P2017-219668A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年2月27日
【審判番号】不服2020-12432(P2020-12432/J1)
【審判請求日】2020年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100105337
【弁理士】
【氏名又は名称】眞鍋 潔
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【合議体】
【審判長】 山村 浩
【審判官】 星野 浩一
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−45048(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/029647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器とともに波長可変レーザを構成する共振器と、
前記半導体光増幅器および前記共振器と光学的に結合され、前記波長可変レーザ内の光の一部を2つの出力光に分岐する2×2型の光分岐器と、
前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、一方の出力光が入力される光強度モニタと、
前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、他方の出力光が入力される波長ロッカーと
を有する波長可変光源。
【請求項2】
前記光強度モニタに入力される出力光は、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、前記共振器側から出力された出力光であり、
前記波長ロッカーに入力される出力光は、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、前記半導体光増幅器側から出力された出力光である
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項3】
前記光分岐器が、方向性結合器、マルチモード干渉カプラ、或いは、交差導波路のいずれかである請求項1または請求項2に記載の波長可変光源。
【請求項4】
前記共振器が、シリコン細線導波路で形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の波長可変光源。
【請求項5】
少なくとも前記半導体光増幅器、前記共振器、前記光分岐器、及び、前記光強度モニタがIII-V族化合物半導体によりモノリシックに形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の波長可変光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長可変光源に関するものであり、例えば、光通信に用いる波長可変光源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長距離大容量光伝送システムとして市場規模が拡大しているディジタル・コヒーレント通信向けに、広い波長範囲で波長を変えられ、かつ波長線幅が100kHz以下と狭い波長可変光源(TLS:Tunable Laser Source)の開発が精力的に行なわれている。この波長可変光源の例として、シリコン系材料で構成された波長フィルタ機能を有するシリコンプラットフォームと化合物半導体で構成された半導体光増幅器(SOA)を組み合わせた波長可変レーザがある。
【0003】
図10は、従来の波長可変光源の概念的構成図である。半導体光増幅器71と共振器72により波長可変レーザ70を構成する。共振器72は、SOI基板に形成されたシリコン細線からなる光導波路、リング共振器及びループミラーの組み合わせからなる。この場合、半導体光増幅器71の出力端側の劈開面とループミラーによりレーザ共振器が形成され、半導体光増幅器71で発する光を共振器72に入力し、特定の波長を共振させて増幅する。増幅した光の一部を半導体光増幅器71の一端から出力し、これを出力光とする。共振器72のリング共振器等をリング共振器等上に設けたをヒータ等で制御することによって、出力光の波長を変化させることができる。
【0004】
波長可変光源では出力パワーと波長の制御が必要である。そのため、出力光のパワーと波長をモニタする機構を設ける。具体的には、出力光の一部を第1光分岐器(Tap1)73で分岐し、さらに第2光分岐器(Tap2)74で分岐し、第2光分岐器74で分岐した2つの光をそれぞれパワーモニタ75と波長ロッカー76に入力する。波長ロッカー76で波長の変化を検出した場合には、その出力によって共振器72に設けたヒータを駆動して波長変動を相殺する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0316074号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0035449号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図10に示した従来構成では、波長可変レーザ70、第1光分岐器73、第2光分岐器74、パワーモニタ75及び波長ロッカー76をそれぞれ別のチップとしていたため、モジュールのサイズが大きいという問題があった。
【0007】
そこで、図11に示すように、これらを全て1つのチップ上に集積することで、モジュールを小型化することができる。この場合のチップの材料としては平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)が挙げられるが、小型化の点からシリコンを用いるのが望ましい。
【0008】
一方で、半導体光増幅器71、パワーモニタ75及び波長ロッカー76内のフォトダイオード(PD)はInPなどの化合物半導体を用いるので、SOI基板上に半導体光増幅器71とPDチップを実装するか、若しくは光分岐器や共振器も含めて全て化合物半導体で構成することで実装コストを下げることも可能である。
【0009】
チップ上で光分岐を行う場合、図12に示すように光導波路に光分岐器としてY分岐を設けることが考えられる。半導体光増幅器81と共振器82とからなる波長可変レーザ80の出力光の分岐を第1Y分岐83と第2Y分岐84の2段にし、第2Y分岐84で分岐した2つの光をそれぞれパワーモニタ85と波長ロッカー86に入力する。
【0010】
Y分岐が対称の場合は光が等分されるので、対称Y分岐を用いるとパワーモニタ85と波長ロッカー86にはそれぞれ半導体光増幅器81から出力されるパワーの1/4が入力される。一方、第1Y分岐83から外部に出力される出力光のパワーは半導体光増幅器81から出力されるパワーの1/2になる。
【0011】
パワーモニタ85と波長ロッカー86で必要とされる光パワーはそれほど大きくなく、また、パワーモニタ85と波長ロッカー86で必要とするパワーは異なる。したがって、波長ロッカー86およびパワーモニタ85でそれぞれ必要とされる受光感度に応じて第1Y分岐83及び第2Y分岐84の分岐比を夫々調整し、それ以外を出力光パワーに振り分ける方が、低消費電力化の観点から望ましい。
【0012】
分岐比を調整するにはY分岐導波路を非対称にすれば良い。しかしながら、非対称Y分岐は損失が大きく、分岐を2段にするとさらに損失が大きくなってしまうという問題がある。また、分岐を2段にする場合、1段目の分岐後の2本の導波路が互いに干渉しない程度まで十分離した後に2段目の第2Y分岐84を挿入しなければならない。したがって、サイズが大きくなるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、パワーモニタと波長ロッカー機能を有する波長可変光源において、低損失化と小型化を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一つの態様では、波長可変光源は、半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器とともに波長可変レーザを構成する共振器と、前記半導体光増幅器および前記共振器と光学的に結合され、前記波長可変レーザ内の光の一部を2つの出力光に分岐する2×2型の光分岐器と、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、一方の出力光が入力される光強度モニタと、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、他方の出力光が入力される波長ロッカーとを有する。
【発明の効果】
【0015】
一つの側面としてパワーモニタと波長ロッカー機能を有する波長可変光源において、低損失化することと小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態の波長可変光源の概念的構成図である。
図2】本発明の実施例1の波長可変光源の概念的構成図である。
図3】Si導波路プラットフォームに形成した共振器の説明図である。
図4】本発明の実施例1の波長可変光源に用いるSOAの一例を示す概略的斜視図である。
図5】本発明の実施例1の波長可変光源に用いる波長ロッカーの一例を示す概念的構成図である。
図6】本発明の実施例2の波長可変光源の概念的構成図である。
図7】本発明の実施例3の波長可変光源の概念的構成図である。
図8】本発明の実施例4の波長可変光源の概念的構成図である。
図9】本発明の実施例5の波長可変光源の概念的構成図である。
図10】従来の波長可変光源の概念的構成図である。
図11】集積化した場合の波長可変光源の概念的構成図である。
図12】光分岐器としてY分岐を用いた場合の波長可変光源の概念的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、図1を参照して、本発明の実施の形態の波長可変光源を説明する。図1は、本発明の実施の形態の波長可変光源の概念的構成図である。本発明の実施の形態の波長可変光源は、半導体光増幅器2と、半導体光増幅器2の間で波長可変レーザ1を構成する共振器3を有する。また、波長可変レーザ1の出力光の一部を分岐する2×2型の光分岐器4と、光分岐器4で2つに分岐した出力光の内の一方を入力する光強度モニタ5と、光分岐器4で2つに分岐した出力光の内の他方を入力する波長ロッカー6とを有する。2×2(2入力2出力)型の光分岐器4を用いることにより、一段の光分岐器のみで良くなるので、低損失化及び小型化が可能になる。
【0018】
波長ロッカー6は干渉計を有する導波路で構成されているので、ある程度の損失を有しており、波長ロッカー6への入力は光強度モニタ5への入力よりも大きいことが望ましい。一方、共振器3においても光の損失があるため、光分岐器4への入力は、半導体光増幅器2側からの入力パワーのほうが共振器3側からの入力パワーよりも大きい。したがって、光強度モニタ5に入力する出力光を、光分岐器4で分岐された共振器3側からの出力光とし、波長ロッカー6に入力する出力光を、光分岐器42で分岐された半導体光増幅器側からの出力光とすることが望ましい。
【0019】
光分岐器としては、方向性結合器でも、マルチモード干渉(MMI)カプラでも、或いは、交差導波路でも良い。方向性結合器を用いた場合には、低損失化が可能であり、マルチモード干渉(MMI)カプラを用いた場合には、分岐比の波長特性を低減することができる。
【0020】
共振器2としては、SOI基板を用いたシリコン細線導波路で形成された共振器が小型化のためには望ましい。この場合には、光強度モニタとして、シリコン層上に積層したゲルマニウム層により形成したゲルマニウムフォトダイオードを用いても良い。なお、SOI基板を用いる場合には、化合物半導体からなる半導体光増幅器2は、SOI基板の単結晶シリコン基板の一部を掘り下げて、掘り下げた領域に実装する。
【0021】
或いは、少なくとも半導体光増幅器2、共振器3、光分岐器4、及び、光強度モニタ5をInGaAsP/InP系等のIII-V族化合物半導体によりモノリシックに形成しても良く、実装コストを低減することができる。
【0022】
共振器3の構成は任意であるが、例えば、3本の光導波路と、その間に設けた波長調整手段としてのリング共振器と、最終段の光導波路に設けた光反射手段としてのループミラーによって共振器3を形成しても良い。この場合、リング共振器及び光導波路に共振波長或いは位相を調整するためのヒータを設けておくことが望ましい。
【0023】
また、波長ロッカー6の構成も任意であるが、例えば、光分岐器4からのモニタ出力をハーフミラーやビームスプリッタ等で分岐し、一方の出力をフォトダイオードでモニタし、他方向の出力をエタロンを通して他のフォトダイオードで受光する。両方のフォトダイオードの検出出力を比較して波長変動を検出する。
【0024】
本発明の実施の形態によれば、光分岐器として2×2型の光分岐器4を用いることにより、光強度モニタ5に入力する光と波長ロッカー6に入力する光を一つの光分岐器4によって得ることができる。それによって、波長可変光源の小型化と低損失化を両立することができる。
【実施例1】
【0025】
次に、図2乃至図5を参照して、本発明の実施例1の波長可変光源を説明する。図2は、本発明の実施例1の波長可変光源の概念的構成図であり、SOI基板を用いたSi導波路プラットフォーム10に形成した共振器20と利得導波路となるMQW活性層を備えたSOA40とにより、波長可変レーザが形成される。Si導波路プラットフォーム10には、パワーモニタ50と波長ロッカー60が設けられており、方向性結合器30を介して波長可変レーザと光学的に結合しており、全体でTLSチップを構成している。
【0026】
図3は、Si導波路プラットフォームに形成した共振器の説明図であり、SiOで形成されたBOX層とSiOで形成された上部クラッド層で挟まれたSi細線導波路で形成される光導波路21,23,25及び波長を選択するバーニア効果を得るための曲率半径が異なる2つのリング共振器22,24を備えている。また、光導波路25の端部には全反射ミラーとしてのループミラー26を備えている。なお、Si細線導波路のサイズは任意であるが、ここでは、厚さ250nm、幅500nmとする。
【0027】
また、2つのリング共振器22,24には屈折率を変化させて波長チューニングを行なうためにヒータ27,28が設けられており、光導波路25のループミラー26の直前には位相調整用ヒータ29が設けられている。また、光導波路21には、結合導波路31を近接配置して方向性結合器30を形成している。
【0028】
図4は、本発明の実施例1の波長可変光源に用いるSOAの一例を示す概略的斜視図であり、n型InP基板41上にn型InPクラッド層42、MQW活性層43、p型InPクラッド層44及びp型InGaAsコンタクト層45を順次堆積する。次いで、p型InGaAsコンタクト層45乃至n型InP基板41の一部をストライプ状にエッチングしてメサ構造を形成し、このストライプ状メサ構造をFeドープInP埋込層46で埋め込む。n型InP基板41の裏面にはn側電極47を形成し、p型InGaAsコンタクト層45にはp側電極48を設ける。MQW活性層43としては、例えば、6層の厚さが5.1nmのGaInAsP井戸層と7層の厚さが10nmのGaInAsPバリア層を交互に積層して形成する。
【0029】
図示を省略するものの、SOA40の入射端面には無反射コーティングが施されており、SOA40の出力端面である劈開端面とループミラー26が波長可変レーザの共振器を構成している。このSOA40は、SOI基板の単結晶シリコン基板の一部を掘り下げて、掘り下げた領域に実装する。
【0030】
図5は、本発明の実施例1の波長可変光源に用いる波長ロッカーの一例を示す概念的構成図である。波長ロッカー60は、ハーフミラー61、光出力モニタ用のフォトダイオード62、エタロンフィルタ63及び波長モニタ用のフォトダイオード64からなる。方向性結合器30から結合導波路31を介して入力されたモニタ光はハーフミラー61で2分岐されて、一方は、フォトダイオード62に入射して光出力をモニタする。他方はエタロンフィルタ63を透過したのちフォトダイオード64に入射する。エタロンフィルタ63は、波長透過特性が周期性を有しているので、波長可変レーザの出力光の波長が経年劣化等で変動した場合には、波長変化がフォトダイオード64により検出される。
【0031】
パワーモニタ50としては、化合物半導体で形成したフォトダイオードを用いて、SOI基板の単結晶シリコン基板の一部を掘り下げて、掘り下げた領域に実装する。なお、Si細線導波路からなる結合導波路31の延長部の単結晶シリコン層の幅を拡大して、その上にゲルマニウム層を成長させてゲルマニウムフォトダイオード形成してパワーモニタ50としても良い。なお、Si導波路プラットフォーム10は、素子温度を安定させるためのTEC(Thermo−Electric Cooler)上にマウントする。
【0032】
本発明の実施例1においては、光分岐器として2×2型の光分岐器である方向性結合器を用いているので、使用する光分岐器は1つで済み、波長可変光源の小型化と低損失化を両立することができる。また、方向性結合器は、Y分岐に比べて損失が少ないので、従来に比べて低損失化が可能である。
【実施例2】
【0033】
次に、図6を参照して、本発明の実施例2の波長可変光源を説明するが、上記の実施例1におけるSOAと共振器との間の反射を防止したものである。図6は、本発明の実施例2の波長可変光源の概念的構成図である。この実施例2においては、光導波路21の出力端側に傾斜部2110を設けるとともに、SOA40のMQW活性層43を端面の法線に対して7°の角度を有する傾斜導波路43と、屈曲導波路43と、直線導波路43により形成したものである。この結果、SOA40の入射側端面と光導波路21の出力端との間の反射を防止することができる。
【実施例3】
【0034】
次に、図7を参照して、本発明の実施例3の波長可変光源を説明するが、上記の実施例1におけるSi導波路プラットフォームを化合物半導体基板10に置き換えたものである。図7は、本発明の実施例2の波長可変光源の概念的構成図である。この実施例3においては、SOA40を形成するための積層構造を利用して、バットジョイント構造で共振器20、パワーモニタ50及び波長ロッカー60を形成したものである。
【0035】
この実施例3においては、ハイブリッド的に実装するのはエタロンフィルタだけで良いので、実装コストを低減することができる。なお、この実施例3においても、実施例2と同様に、SOA40及び光導波路21に傾斜構造を設けても良い。
【実施例4】
【0036】
次に、図8を参照して、本発明の実施例4の波長可変光源を説明するが、上記の実施例1における方向性結合器を2×2MMIカプラ32に置き換えたものである。図8は、本発明の実施例4の波長可変光源の概念的構成図である。この実施例4においては、光導波路21に2×2MMIカプラ32を設け、一方の出力ポート33にパワーモニタ50を接続し、他方の出力ポート34に波長ロッカー60を接続する。
【0037】
この実施例4においては、光分岐器として2×2MMIカプラ32を用いているので、分岐比の波長特性を小さくすることができる。なお、この実施例4においても、実施例2と同様に、SOA40及び光導波路21に傾斜構造を設けても良いし、実施例3のように全体を化合物半導体で構成しても良い。
【実施例5】
【0038】
次に、図9を参照して、本発明の実施例5の波長可変光源を説明するが、上記の実施例1における方向性結合器を交差導波路35に置き換えたものである。図9は、本発明の実施例5の波長可変光源の概念的構成図である。この実施例5においては、光分岐器として光導波路21と交差する光導波路36を設けて交差導波路35としたものである。この光導波路36の一方の端部にパワーモニタ50を接続し、他方の端部に波長ロッカー60を接続する。
【0039】
この実施例5においても、実施例2と同様に、SOA40及び光導波路21に傾斜構造を設けても良いし、実施例3のように全体を化合物半導体で構成しても良い。
【0040】
ここで、実施例1乃至実施例5を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器とともに波長可変レーザを構成する共振器と、前記半導体光増幅器および前記共振器と光学的に結合され、前記波長可変レーザ内の光の一部を2つの出力光に分岐する2×2型の光分岐器と、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、一方の出力光が入力される光強度モニタと、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、他方の出力光が入力される波長ロッカーとを有する波長可変光源。
(付記2)前記光強度モニタに入力される出力光は、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、前記共振器側から出力された出力光であり、前記波長ロッカーに入力される出力光は、前記光分岐器で分岐された前記2つの出力光の内、前記半導体光増幅器側から出力された出力光である付記1に記載の波長可変光源。
(付記3)前記光分岐器が、方向性結合器である付記1または付記2に記載の波長可変光源。
(付記4)前記光分岐器が、マルチモード干渉カプラである付記1または付記2に記載の波長可変光源。
(付記5)前記光分岐器が、交差導波路である付記1または付記2に記載の波長可変光源。
(付記6)前記共振器が、シリコン細線導波路で形成されている付記1乃至付記5のいずれか1に記載の波長可変光源。
(付記7)前記光強度モニタが、シリコン層上に積層したゲルマニウム層を有している付記6に記載の波長可変光源。
(付記8)少なくとも前記半導体光増幅器、前記共振器、前記光分岐器及び、前記光強度モニタがIII-V族化合物半導体によりモノリシックに形成されている付記1乃至付記5のいずれか1に記載の波長可変光源。
【符号の説明】
【0041】
1 波長可変レーザ
2 半導体光増幅器
3 共振器
4 光分岐器
5 光強度モニタ
6 波長ロッカー
10 Si導波路プラットフォーム
10 化合物半導体基板
20,20 共振器
21,21、23,25 光導波路
2110 傾斜部
22,24 リング共振器
26 ループミラー
27,28 ヒータ
29 位相調整用ヒータ
30,30 方向性結合器
31,31 結合導波路
32 2×2MMIカプラ
33,34 出力ポート
35 交差導波路
36 光導波路
40,40 SOA
41 n型InP基板
42 n型InPクラッド層
43 MQW活性層
43 傾斜導波路
43 屈曲導波路
43 直線導波路
44 p型InPクラッド層
45 p型InGaAsコンタクト層
46 FeドープInP埋込層
47 n側電極
48 p側電極
50,50 パワーモニタ
60,60 波長ロッカー
61 ハーフミラー
62,64 フォトダイオード
63 エタロンフィルタ
70,80 波長可変レーザ
71,81 半導体光増幅器
72,82 共振器
73 第1光分岐器
74 第2光分岐器
75,85 パワーモニタ
76,86 波長ロッカー
83 第1Y分岐
84 第2Y分岐
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12