(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動電極から発生した電気力線を受信できる範囲内かつ前記回路基板上に取り付けられており、前記第1検出電極よりも短い長さの第2検出電極をさらに備える、請求項1に記載のアンテナユニット。
ブリッジ状の連結部によって駆動電極と第1検出電極とが連結され、突状のアンテナ取付片および基板取付片が形成された電極対と、アンテナ取付孔が形成されたボビンを有するアンテナと、検出回路が印刷され基板取付孔を有する回路基板と、射出成型用の金型と、前記金型内に突出可能に設けられた切断装置とを準備し、
前記電極対の前記アンテナ取付片を前記アンテナの前記アンテナ取付孔に挿入し、前記アンテナを前記電極対に取り付けし、
前記回路基板の前記基板取付孔に前記電極対の前記基板取付片を挿入し、前記回路基板を前記電極対に取り付けし、
前記電極対と前記アンテナと前記回路基板とを前記金型内に位置決めして配置し、
前記金型内に溶融樹脂を射出し、少なくとも前記アンテナと前記回路基板とを覆う樹脂モールドを形成して前記電極対と前記アンテナと前記回路基板とを一体化すると共に、前記切断装置により前記連結部を切断する
ことを含む、アンテナユニットの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような自己容量方式を採用したアンテナユニットでは、1つの電極のみで人体の接近を検知しているため、誤検知する場合がある。これに対し、アンテナユニットに相互容量方式を採用することが考えられる。相互容量方式のアンテナユニットでは、2つの電極が使用され、2つの電極に指が接近することにより誘起される電圧の変化により人体の接近を検知する。相互容量方式は、一般に自己容量方式よりも高精度に人体の接近を検知できるが、このような相互容量方式を採用してもなお誤検知する場合がある。さらに、相互容量方式は2つの電極を使用するため、自己容量方式の場合と比較してアンテナユニットが大型化する傾向がある。
【0006】
本発明は、人体の接近または接触を高精度に検知でき、小型化されたアンテナユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のアンテナユニットは、検出回路が印刷された回路基板と、前記検出回路に電気的に接続された駆動電極と、前記駆動電極から発生した電気力線を受信する第1検出電極とを有する近接センサと、ユーザが所有する携帯機との間で信号を送受信するアンテナとを備え、前記アンテナでは、棒状のフェライトからなるコア部を収容する絶縁性のボビンに巻線導体が巻回され、前記駆動電極および前記第1検出電極が、共に平板状に形成され、相対向して配置され、且つ、
前記駆動電極および前記第1検出電極の間に前記アンテナ
を挟んで配置され
、前記ボビンは、アンテナ取付孔を有し、前記回路基板は、基板取付孔を有し、前記駆動電極および前記第1検出電極は、前記ボビンの前記アンテナ取付孔に挿入される突状のアンテナ取付片と、前記回路基板の前記基板取付孔に挿入される突状の基板取付片とを備える。
【0008】
この構成では、人体の接近または接触を高精度に検知するための近接センサとして、相互容量方式が採用されている。アンテナユニットに人体が接近すると、駆動電極と第1検出電極の間に発生する電気力線の数が減少し、第1検出電極に誘起される電圧が減少する。この電圧の減少を検知することで、アンテナユニットへの人体の接近または接触を検知できる。また、駆動電極および第1検出電極が、アンテナを挟んで相対向して配置されていることで、空間を有効に利用し、アンテナユニットを小型化している。
また、駆動電極および第1検出電極に対してアンテナおよび回路基板を簡単に位置決めして固定できる。これにより、位置決め構造と固定構造を別に設ける必要がないため、構成を簡素化できる。
【0011】
前記駆動電極から発生した電気力線を受信できる範囲内かつ前記回路基板上に取り付けられており、前記第1検出電極よりも短い長さの第2検出電極をさらに備えてもよい。
【0012】
この構成によれば、2つの検出電極に対して1つの駆動電極が設けられている。即ち駆動電極が共有されている。そのため、1つの駆動電極で2つのコンデンサを構成できるため、アンテナユニットを小型化できる。ただし、2つのコンデンサが駆動電極を共有すると、2つのコンデンサによる検出範囲が重複するおそれがある。これに対して、第1検出電極の長さよりも第2検出電極の長さを短くすることで、第2検出電極の検出範囲を限定し、検出範囲の重複を防止している。そのため、例えば、第1検出電極を利用して車両のドアの開動作を検出し、第2検出電極を利用して車両のドアの閉動作を検出するようにしてもよい。従って、ユーザの操作意思を区別してアンテナユニットへの人体の接近または接触を検出できる。
【0013】
前記アンテナおよび前記回路基板が配置されていない前記駆動電極および前記第1検出電極の中間部分に弾性平板部をさらに備えてもよい。
【0014】
この構成によれば、アンテナユニットに外力が付加された場合でも弾性平板部がその負荷を吸収して湾曲するため、アンテナおよび近接センサに対してかかる負荷が少なくなり、内部部品の破損を防止できる。
【0015】
本発明の第2の態様のドアハンドル装置は、請求項4に記載のアンテナユニットが車両のドアのドアハンドル内に組み込まれ、ユーザが前記ドアハンドルを引いた際の前記ドアハンドルの変形の屈曲点となる位置に前記弾性平板部が配置されている。
【0016】
この構成によれば、ドアハンドルの屈曲点での変形に伴うアンテナユニットへの負荷をアンテナユニットの弾性平板部が吸収して湾曲するため、アンテナユニット20の内部部品に対してかかる負荷が少なく、これらの破損を防止できる。また、アンテナユニットをドアハンドルに内蔵した際にドアハンドルの形状に沿って、アンテナユニットを湾曲させて配置することもできる。
【0017】
本発明の第3の態様のアンテナユニットの製造方法は、ブリッジ状の連結部によって駆動電極と第1検出電極とが連結され、突状のアンテナ取付片および基板取付片が形成された電極対と、アンテナ取付孔が形成されたボビンを有するアンテナと、検出回路が印刷され基板取付孔を有する回路基板と、射出成型用の金型と、前記金型内に突出可能に設けられた切断装置とを準備し、前記電極対の前記アンテナ取付片を前記アンテナの前記アンテナ取付孔に挿入し、前記アンテナを前記電極対に取り付けし、前記回路基板の前記基板取付孔に前記電極対の前記基板取付片を挿入し、前記回路基板を前記電極対に取り付けし、
前記電極対と前記アンテナと前記回路基板とを前記金型内に位置決めして配置し、前記金型内に溶融樹脂を射出し、少なくとも前記アンテナと前記回路基板とを覆う樹脂モールドを形成して前記電極対と前記アンテナと前記回路基板とを一体化すると共に、前記切断装置により前記連結部を切断することを含む。
【0018】
この方法によれば、駆動電極および第1検出電極を連結部で連結しているため、組み立ての際に電極対に位置ずれが生じない。また、射出成型過程で連結部が切断されるため、工程が増加することなく、駆動電極と第1検出電極を分離できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アンテナユニットにおいて、相互容量方式を採用して人体の接近または接触を高精度に検知でき、さらに駆動電極および第1検出電極がアンテナを挟んで相対向して配置されることで空間を有効利用して小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のドアハンドル(ドアハンドル装置)10は、図示しない車両のドアに取り付けられる。ドアハンドル10の内部には、アンテナユニット20が組み込まれている。
【0023】
まず、ドアハンドル10の構成を説明する。
【0024】
ドアハンドル10は、車両前後方向(両矢印A方向)に長いハンドル本体11と、ハンドル本体11の表面を覆うハンドルカバー12とによって構成されている。ハンドルカバー12は、図示しないビスによってハンドル本体11に締結されている。ハンドル本体11とハンドルカバー12との間には空間Sが設けられており、空間Sにアンテナユニット20が配置されている。ここで、ハンドル本体11およびハンドルカバー12は共に樹脂製である。
【0025】
ハンドル本体11の前端と後端からはアーム13と作動部14が略直角にそれぞれ突設されており、平面視L字状を成すアーム13の先端には軸孔13Aが形成されている。軸孔13Aには車両本体側に設けられた支軸15が嵌合している。ハンドル本体11は、ハンドルカバー12と共に支軸15を中心として
図1の矢印B方向に回動できる。
【0026】
ハンドル本体11の後端部に突設された作動部14には係合凹部14Aが形成されており、係合凹部14Aにはハンドルレバー16が係合している。なお、ハンドルレバー16は、車体に組み込まれた図示しないドアロック装置を作動させるためのものである。支軸15を中心としてハンドル本体11を
図1の矢印B方向に回動操作すると、ハンドル本体11の作動部14の移動に伴ってハンドルレバー16も同方向に移動する。これによりドアロック装置が作動してドアのロックが解錠される仕組みとなっている。
【0027】
次に、アンテナユニット20の構成を説明する。
【0028】
図2に示すアンテナユニット20は、樹脂モールド21によって各部品が一体化されている。樹脂モールド21には、その長手方向両端部(前端部と後端部)において、内面側(ハンドル本体11側)と外面側(ハンドルカバー12側)に支持凸部21A,21Bが一体的にそれぞれ突設されている。支持凸部21A,21Bがハンドル本体11とハンドルカバー12とにそれぞれ当接して挟持されることにより、アンテナユニット20はドアハンドル10内で支持されている(
図1参照)。アンテナユニット20は、その長手方向中央部においてハンドル本体11およびハンドルカバー12の各内面に接触しないように配置されている。
【0029】
図3に示すように、アンテナユニット20は、ベースプレート30と、ロック電極(第2検出電極)22と、アンテナ23と、回路基板24とを備える。アンテナユニット20は、これらの部品が組み付けられた後、樹脂モールド21によって一体化される(
図2参照)。樹脂モールド21は箱型に成型されており、外面として、平行な底面21Cおよび天面21D、2つの平行な側面21E,21F、前面21G、並びに後面21Hを有している。
【0030】
図3に示すように、ベースプレート30は、金属板をプレス成型して形成されており、回路基板24を配置するための回路基板収容部31と、アンテナ23を配置するためのアンテナ収容部32と、回路基板収容部31およびアンテナ収容部32とを接続する弾性平板部33とを備える。
【0031】
回路基板収容部31は、回路基板24が平行に配置される平板状の底面部34Aと、底面部34Aの両側が相対向するように垂直に折り曲げられて形成された平板状の2つの電極35A,36Aとを有する。2つの電極35A,36Aは、互いに平行に配置されており、一方は駆動電極35の一部を構成し、他方はアンロック電極(第1検出電極)36の一部を構成している。また、底面部34Aおよび弾性平板部33には、その中央に長手方向にわたって延びる開口31Aが設けられている。開口31Aの長手方向における両端部にはブリッジ状の第1連結部37Aおよび第2連結部37Bが形成されている。第2連結部37Bは、弾性平板部33に設けられている。換言すると、2つの電極35A,36Aは、底面部34Aおよび弾性平板部33によって連結されておらず、ブリッジ状の第1連結部37Aおよび第2連結部37Bによって連結されている。また、回路基板収容部31は、底面部34Aの一部が垂直に折り曲げられて形成された4つの基板取付片38を備える。4つの基板取付片38は、2つの電極35A,36Aと平行に形成されている。
【0032】
アンテナ収容部32は、アンテナ23が配置される平板状の底面部34Bと、底面部34Bの両側が相対向するように垂直に折り曲げられて形成された平板状の2つの電極35B,36Bとを有する。2つの電極35B,36Bは、互いに平行に配置されており、一方は駆動電極35の一部を構成し、他方はアンロック電極(第1検出電極)36の一部を構成している。底面部34Bには、その中央に長手方向にわたって延びる開口32Aが設けられている。開口32Aの長手方向における両端部にはブリッジ状の第2連結部37Bおよび第3連結部37Cが形成されている。換言すると、2つの電極35B,36Bは、底面部34Bおよび弾性平板部33によって連結されておらず、ブリッジ状の第2連結部37Bおよび第3連結部37Cによって連結されている。また、アンテナ収容部32は、底面部34Bの一部が垂直方向に折り曲げられて形成された4つのアンテナ取付片39を備える、4つのアンテナ取付片39は、2つの電極35B,36Bと平行に形成されている。また、アンテナ収容部32における回路基板収容部31と反対側の端部には、アンテナ23および回路基板24の入出力ケーブル23A,24Aを支持するための4つの切欠部40Aが形成されたケーブル支持部40が設けられている。
【0033】
弾性平板部33は、回路基板収容部31およびアンテナ収容部32の間に設けられた平板状の部分である。弾性平板部33は、底面部34Aおよび底面部34Bがそれぞれ延長され、延長された底面部34Aおよび底面部34Bが接続されて形成されている。前述のように、弾性平板部33には、ブリッジ状の第2連結部37Bが形成されている。第2連結部37Bは、第1連結部37Aおよび第3連結部37Cと共に、駆動電極35とアンロック電極36とを連結している。
【0034】
駆動電極35は2つの電極35A,35Bが一体として1つの電極として構成され、アンロック電極36は2つの電極36A,36Bが一体として1つの電極として構成される。
図3に示す組み立て前の状態では、駆動電極35およびアンロック電極36は、第1〜第3連結部37A〜37Cによって連結されている。後述するように、第1〜第3連結部37A〜37Cが切断されることで、駆動電極35とアンロック電極36が分離され、駆動電極35およびアンロック電極36によってコンデンサ25が構成される。コンデンサ25では、アンロック電極36は駆動電極35から発生した電気力線を受信する。コンデンサ25は、回路基板24と共にドアを解錠するときにユーザがドアハンドル10に接近または接触することを検知するための近接センサとして機能する。
【0035】
ロック電極22は、アンロック電極36よりも短い長さに金属板をプレス成型して形成されており、プレート本体部22Aと、プレート本体部22Aの一部を垂直に折り曲げて形成された4つのプレート取付片22Bとを有する。ロック電極22は駆動電極35に対応して設けられており、ロック電極22および駆動電極35によってコンデンサ26が構成されている。コンデンサ26では、ロック電極22は、駆動電極35から発生した電気力線を受信する。コンデンサ26は、回路基板24と共にドアを施錠するときにユーザがドアハンドル10に接近または接触することを検知するための近接センサとして機能する。
【0036】
アンテナ23は、図示しないユーザの携帯機と通信するために電磁波を送受信するためのものである。アンテナ23は、棒状のフェライトからなるコア部(図示せず)を収容する絶縁性のボビン23Bと、ボビン23Bに巻回された巻線導体23Cと、ボビン23Bから延びる2本の入出力ケーブル23Aとを備える。ボビン23Bには、4つのアンテナ取付孔23Dが形成されている。4つのアンテナ取付孔23Dはアンテナ取付片39に対応して形成されており、アンテナ取付片39が挿入可能な構成となっている。アンテナ23は、ベースプレート30のアンテナ収容部32に配置可能なサイズである。
【0037】
回路基板24には、2つのコンデンサ25,26と電気的に接続され、これらに誘起される電圧変化を検出および出力するための検出回路が印刷されている。回路基板24は、四角形の板状であり、ベースプレート30の回路基板収容部31に配置可能なサイズである。回路基板24は、ロック電極22の4つのプレート取付片22Bに対応して設けられた3つのセンサ取付孔24Bおよび1つの端部の切欠部24Cと、ベースプレート30の4つのアンテナ取付片39に対応して設けられた4つの基板取付孔24Dとを有する。また、回路基板24には、2つの入出力ケーブル24Aが接続されている。
【0038】
図3を参照して、アンテナユニット20の組み付け手順を説明する。
【0039】
第1に、ロック電極22を回路基板24に組み付けて第1組立体U1(22,24)を構成する。具体的には、ロック電極22のプレート取付片22Bを回路基板24のセンサ取付孔24Bおよび切欠部24Cに差し込み、これらをハンダ付けにより電気的に接続すると共に固定する。
【0040】
第2に、アンテナ23をベースプレート30のアンテナ収容部32に組み付けて第2組立体U2(23,30)を構成する。具体的には、アンテナ収容部32のアンテナ取付片39をアンテナ23のアンテナ取付孔23Dに圧入し、アンテナ23をベースプレート30のアンテナ収容部32に組み付ける。アンテナ23がアンテナ収容部32に組み付けられた第2組立体U2の状態では、アンテナ23の2本の入出力ケーブル23Aがベースプレート30のケーブル支持部40の切欠部40A内に配置されて支持される。
【0041】
第3に、第1組立体U1を第2組立体U2に組み付けて第3組立体U3(22,23,24,30)を構成する。具体的には、第2組立体U2のベースプレート30の回路基板収容部31に形成されたアンテナ取付片39を第1組立体U1の回路基板24に形成された基板取付孔24Dに差し込み、第1組立体U1を第2組立体U2に組み付ける。第1組立体U1が第2組立体U2に組み付けられた状態では、回路基板24の2本の入出力ケーブル24Aがそれぞれアンテナ23の両側を通過して延び、ベースプレート30のケーブル支持部40の切欠部40A内に配置され支持される。第3組立体U3の状態では、ロック電極22は、駆動電極35から発生した電気力線を受信できる範囲内かつ回路基板24上に取り付けられている。
【0042】
第4に、第3組立体U3を図示しない金型内に配置して射出成型により一体化する。射出成型後は、
図2に示すように、樹脂モールド21によって一体化されたアンテナユニット20が形成される。このようにして形成されたアンテナユニット20では、樹脂モールド21の表面から駆動電極35とロック電極22とアンロック電極36とが露出している。このように一体化された状態では、回路基板24(
図3参照)は樹脂モールド21の底面21Cおよび天面21Dに平行に配置されており、駆動電極35およびアンロック電極36はアンテナ23および回路基板24を挟んで両側で樹脂モールド21の2つの側面21E,21Fと平行に配置されている。
【0043】
図4Aに示すように、通常の射出成型の際、第1連結部37Aが金型によって挟み込まれて固定された状態で成型されると、樹脂モールド21には第1連結部37Aに通じる孔部21Iが形成される。しかし、本実施形態では、
図4Bに示すように、射出成型時の樹脂の射出と同時に図示しない切断装置が金型内に突出して第1連結部37Aを切断する。また、第2,3連結部37B,37C(
図3参照)も同様に切断する。これにより、ベースプレート30の駆動電極35とアンロック電極36は、完全に分離され、2枚の電極が形成される。なお、この状態では、アンテナ23と回路基板24によって2枚の電極(駆動電極35およびアンロック電極36)は固定されているため、位置がずれることはない。また、第1〜第3連結部37A〜37Cに通じる孔部は、第1〜第3連結部37A〜37Cの切断後に切断装置を移動させて樹脂モールド21によって埋められる。ただし、それらの孔部を樹脂モールド21によって埋めることは必須ではなく、切断された第1〜第3連結部37A〜37Cは露出していてもよい。
【0044】
このように、駆動電極35およびアンロック電極36を第1〜第3連結部37A〜37Cで連結しているため、組み立ての際に電極対35,36に位置ずれが生じない。また、射出成型過程で第1〜第3連結部37A〜37Cが切断されるため、工程が増加することなく、駆動電極35とアンロック電極36を分離できる。
【0045】
以上の要領で製造されたアンテナユニット20は、ハンドル本体11およびハンドルカバー12によって画定される空間S内に収容され、本実施形態のドアハンドル10が形成される(
図1参照)。このとき、回路基板24およびアンテナ23は、樹脂モールド21の底面21Cおよび天面21Dに平行に配置され、且つドアハンドル10の長手方向に一列に並べられている。ドアハンドル10には、ユーザがドアを開けるためにドアハンドル10を引いた際の変形の屈曲点となる位置Pがある。本実施形態では、位置Pに弾性平板部33が配置されている(
図1参照)。
【0046】
以上の構成から導かれる本実施形態のアンテナユニット20およびドアハンドル10の作用効果について説明する。
【0047】
本実施形態の構成では、人の手の接近または接触を検知するための近接センサとして、相互容量方式が採用されている。
図5A,5Bに示すように、アンテナユニット20内のコンデンサ25(26)に人の手の指50が接近すると、コンデンサ25(26)の駆動電極35と検出電極36(22)の間に発生する電気力線の数が減少し、検出電極36(22)に誘起される電圧が減少する。
図5A,5Bでは、駆動電極35に対して3Vの電圧を入力したとき、検出電極36(22)に誘起される電圧は、指50が接近していない場合50mVであるが(
図5A参照)、指50が接近している場合30mVまで減少している(
図5B参照)。この電圧変化を検知することで、アンテナユニット20への人体の接近または接触を検知できる。
【0048】
また、駆動電極35およびアンロック電極36が、アンテナ23を挟んで相対向して配置されていることで、空間を有効に利用し、アンテナユニット20を小型化している。
【0049】
また、前述のアンテナ23および回路基板24のベースプレート30への組み付け構造によれば、駆動電極35およびアンロック電極36に対してアンテナ23および回路基板24を簡単に位置決めして固定できる。これにより、位置決め構造と固定構造を別に設ける必要がないため、構成を簡素化している。
【0050】
また、上記構成によれば、2つの検出電極22,36に対して1つの駆動電極35が設けられている。即ち駆動電極35が共有されている。そのため、1つの駆動電極35で2つのコンデンサ25,26を構成できるため、アンテナユニット20を小型化できる。ただし、2つのコンデンサ25,26が駆動電極35を共有すると、2つのコンデンサ25,26による検出範囲が重複するおそれがある。これに対してアンロック電極36の長さよりもロック電極22の長さを短くすることで、ロック電極22の検出範囲を限定し、検出範囲の重複を防止してもよい。従って、ユーザの操作意思を区別してアンテナユニット20への人体の接近または接触を検出できる。
【0051】
また、ドアハンドル10の変形の屈曲点となる位置Pに弾性平板部33が配置されているため(
図1参照)、アンテナユニット20に外力が付加された場合でも弾性平板部33がその負荷を吸収して湾曲するため、アンテナユニット20の内部部品に対してかかる負荷が少なくなり、内部部品の破損を防止できる。
【0052】
(第2実施形態)
図6に示す第2実施形態のアンテナユニット20の分解図では、ベースプレート30に関する構成以外は、
図3の第1実施形態の構成と同様である。従って、
図3に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、ベースプレート30が、回路基板収容部31の底面部34A(
図3参照)と、アンテナ収容部32の底面部34B(
図3参照)とを有していない。また、回路基板収容部31におけるアンテナ取付片39の態様が第1実施形態と異なっている。具体的に本実施形態では、駆動電極35およびアンロック電極36が部分的に4か所で折り曲げられることでアンテナ取付片39が形成されている。従って、第1実施形態では
図3において上方から回路基板24を回路基板収容部31に組み付けるが、本実施形態では
図6において下方から回路基板24を回路基板収容部31に組み付ける。また、本実施形態では、ケーブル支持部40がベースプレート30とは別部品で独立して構成されている。
【0054】
以上のように、ベースプレート30は底面部34A,34B(
図3参照)を有していなくてもよく、回路基板24のベースプレート30に対する組み付け方向は限定されない。さらに、ケーブル支持部40の態様も特に限定されない。
【0055】
本実施形態の構成から導かれる作用および効果は、第1実施形態と同じである。