(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876412
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/30 20060101AFI20210517BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
G01R1/30
G01R19/00 V
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-223066(P2016-223066)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-80992(P2018-80992A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】依田 元
【審査官】
田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−248092(JP,A)
【文献】
特開2002−199388(JP,A)
【文献】
特開2016−040864(JP,A)
【文献】
特開昭63−165713(JP,A)
【文献】
特開2010−204068(JP,A)
【文献】
特開2010−019554(JP,A)
【文献】
特開2010−258950(JP,A)
【文献】
特開2011−220699(JP,A)
【文献】
特表2014−521935(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0167740(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0320153(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3194953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00−19/32、
15/00−17/22、
1/00−1/04、
1/08−5/00、
5/10−9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段にそれぞれ有して当該電気信号をそれぞれ信号処理する複数の一次回路と、前記電気信号についての被測定量を測定する二次回路とを備えている測定装置であって、
前記各一次回路によってそれぞれ信号処理された複数の信号を複数の基礎絶縁素子をそれぞれ介して入力して多重化信号に多重化すると共に当該多重化信号を強化絶縁素子を介して前記二次回路に出力する中継回路を備え、
前記増幅器は、シングルエンド増幅器で構成され、
前記二次回路は、前記強化絶縁素子を介して前記中継回路から出力された前記多重化信号を前記複数の信号に分離すると共に当該分離した複数の信号を信号処理して前記電気信号についての前記被測定量を測定する測定装置。
【請求項2】
入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段にそれぞれ有して当該電気信号をそれぞれ信号処理する第1の一次回路と、前記電気信号についての被測定量を測定する二次回路とを備えている測定装置であって、
入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段に有して当該電気信号を信号処理する第2の一次回路を有する中継回路を備え、
前記中継回路は、前記第1の一次回路によって信号処理された信号を基礎絶縁素子を介して入力し、当該入力した信号と前記第2の一次回路によって信号処理された信号とを多重化信号に多重化すると共に当該多重化信号を強化絶縁素子を介して前記二次回路に出力し、
前記増幅器は、シングルエンド増幅器で構成され、
前記二次回路は、前記強化絶縁素子を介して前記中継回路から出力された前記多重化信号を前記複数の信号に分離すると共に当該分離した複数の信号を信号処理して前記電気信号についての前記被測定量を測定する測定装置。
【請求項3】
前記強化絶縁素子は、光ファイバーを用いた光ファイバー絶縁素子で構成されている請求項1または2記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力した電気信号を信号処理する複数の一次回路と、一次回路によって信号処理された信号を入力して信号処理する二次回路とを備えて被測定量を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、下記特許文献1において出願人が開示した電気計測機器が知られている。この電気計測機器は、入力端子から入力した信号を増幅する差動増幅器を有する電圧一次側回路と、電圧一次側回路から入力した信号に基づいて電力を算出する二次側回路とを備えて構成されている。この場合、入力端子と差動増幅器との間は、基礎絶縁素子(デバイス)としてのインピーダンスを介して接続されている。また、電圧一次側回路と二次側回路との間が基礎絶縁素子としてのフォトカプラを介して接続されている。つまり、この電気計測機器では、入力端子と二次側回路との間が2つの基礎絶縁素子で接続されており、この構成により、入力端子と二次側回路との間が二重絶縁されている。この場合、この種の測定装置では、安全基準を満たすために、入力端子と二次側回路との間を二重絶縁または強化絶縁することが義務付けられており、上記の電気計測機器では、上記の構成によってこの安全基準が満たされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−248092号公報(第5−6頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の電気計測機器には、改善すべき以下の課題がある。具体的には、この電気計測機器では、入力端子と差動増幅器との間に接続されたインピーダンスを基礎絶縁素子として用いて入力端子と二次側回路との間を二重絶縁している。この場合、差動増幅器は、一般的に、高周波数帯域における周波数特性が悪く(高周波数帯域で利得が低下する)、また、CMRR(同相信号除去比)が低いため、測定精度の向上が困難なことがある。この場合、CMRRについては、CMRR調整回路を設けてCMRRを向上させる構成も考えられるが、この構成では、回路構成が複雑化すると共に、煩雑な調整作業が発生するという課題が生じる。一方、CMRRが高いシングルエンド増幅器を差動増幅器に代えて用いる構成が考えられる。しかしながら、この構成では、基礎絶縁素子として機能する大きなインピーダンスを入力端子と差動増幅器との間に接続することが困難なため、一次側回路と二次側回路との間に、基礎絶縁素子を追加(上記したフォトカプラに加えて)接続する必要がある。このため、この構成を採用したときにも、回路構成が複雑化するという課題が生じる。また、シングルエンド増幅器を差動増幅器に代えて用いると共に、一次側回路と二次側回路との間に、基礎絶縁素子としてのフォトカプラに代えて、強化絶縁素子を接続して、一次側回路と二次側回路との間を、二重絶縁に代えて強化絶縁する構成も考えられるが、この構成では、一次側回路を複数備えた複数チャンネル構造としたときに、各一次側回路に1つずつ強化絶縁素子を接続する必要がある。しかしながら、強化絶縁素子は基礎絶縁素子と比較して高価なため、この構成を採用したときには、製造コストが上昇するという課題が生じる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、回路構成の複雑化や製造コストの上昇を抑えつつ測定精度を向上し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段にそれぞれ有して当該電気信号をそれぞれ信号処理する複数の一次回路と
、前記電気信号についての被測定量を測定する二次回路とを備えている測定装置であって、
前記各一次回路によってそれぞれ信号処理された複数の信号を複数の基礎絶縁素子をそれぞれ介して入力して多重化信号に多重化すると共に当該多重化信号を強化絶縁素子を介して前記二次回路に出力する中継回路を備え、前記増幅器は、シングルエンド増幅器で構成され、
前記二次回路は、前記強化絶縁素子を介して前記中継回路から出力された前記多重化信号を前記複数の信号に分離すると共に当該分離した複数の信号を信号処理して前記電気信号についての前記被測定量を測定する。
また、請求項2記載の測定装置は、入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段にそれぞれ有して当該電気信号をそれぞれ信号処理する第1の一次回路と、前記電気信号についての被測定量を測定する二次回路とを備えている測定装置であって、入力した電気信号を増幅する増幅器を入力段に有して当該電気信号を信号処理する第2の一次回路を有する中継回路を備え、前記中継回路は、前記第1の一次回路によって信号処理された信号を基礎絶縁素子を介して入力し、当該入力した信号と前記第2の一次回路によって信号処理された信号とを多重化信号に多重化すると共に当該多重化信号を強化絶縁素子を介して前記二次回路に出力し、前記増幅器は、シングルエンド増幅器で構成され、前記二次回路は、前記強化絶縁素子を介して前記中継回路から出力された前記多重化信号を前記複数の信号に分離すると共に当該分離した複数の信号を信号処理して前記電気信号についての前記被測定量を測定する。
【0007】
また、請求項
3記載の測定装置は、請求項1
または2記載の測定装置において、前記強化絶縁素子は、光ファイバーを用いた光ファイバー絶縁素子で構成されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の測定装置では、各一次回路によってそれぞれ信号処理された複数の信号を二次回路に中継する中継回路を備え、各一次回路の各増幅器がシングルエンド増幅器でそれぞれ構成され、各一次回路が基礎絶縁素子を介して信号処理した信号を中継回路にそれぞれ出力し、中継回路が各一次回路からそれぞれ出力された各信号を多重化信号に多重化すると共に多重化信号を強化絶縁素子を介して二次回路に出力する。このため、この電圧測定装置によれば、周波数特性に優れ、かつCMRRが高いシングルエンド増幅器を用いることで、測定精度を十分に向上させることができると共に、各一次回路と中継回路との間を基礎絶縁素子によって基礎絶縁し、かつ中継回路と二次回路との間を1つの強化絶縁素子によって強化絶縁したことで、回路構成の複雑化や製造コストの上昇を十分小さく抑えることができる。また、この電圧測定装置によれば、各一次回路と中継回路との間にそれぞれ基礎絶縁素子を設けたことにより、各一次回路相互間における基礎絶縁を確保することができる。
また、請求項2記載の測定装置では、上記の効果に加えて、一次回路によって信号処理された信号を一次回路から二次回路に中継する機能のみを有する中継専用の中継回路が不要な分、回路構成の複雑化や製造コストの上昇をより小さく抑えることができる。
【0010】
また、請求項
3記載の測定装置では、光ファイバーを用いた光ファイバー絶縁素子で強化絶縁素子が構成されている。この場合、光ファイバー絶縁素子は、比較的安価でありながら、十分な強化絶縁の機能を有し、かつ周波数特性に優れている。このため、光ファイバー絶縁素子を強化絶縁素子として用いるこの電圧測定装置によれば、製造コストの上昇をより小さく抑えつつ、測定精度をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、
図1に示す電圧測定装置1の構成について説明する。この電圧測定装置1は、測定装置の一例であって、同図に示すように、測定部11、表示部12、操作部13、記憶部14および制御部15を備えて構成されている。また、この電圧測定装置1は、IEC規格に規定されている絶縁性の基準に適合するように構成されている。
【0015】
測定部11は、
図2に示すように、回路基板50上に配置された複数(一例として3つ)の一次回路21、複数(この例では、一次回路21の数と同数の3つ)の基礎絶縁素子22、中継回路23、強化絶縁素子24および二次回路25を備え、入力端子20から入力した電気信号(以下、「入力信号Si」ともいう)についての電圧値(被測定量の一例)を測定行可能に構成されている。この場合、この測定部11では、複数チャンネル(この例では、各一次回路21に対応する3つのチャンネル)でそれぞれ入力した各入力信号Siについての電圧値を測定可能に構成されている。
【0016】
一次回路21は、
図3に示すように、入力段(測定部11の入力段でもある)に配設されたシングルエンド増幅器31(入力段の増幅器)、抵抗32およびAD変換器33を備えて構成されている。シングルエンド増幅器31は、入力端子20および抵抗32を介して入力した入力信号Si(シングルエンド信号)を増幅する。AD変換器33は、シングルエンド増幅器31によって増幅された入力信号SiをAD変換(アナログ−デジタル変換)して出力する。なお、AD変換器33から出力された信号が「一次回路21によって信号処理された電気信号」に相当し、以下「信号S1」ともいう。また、各一次回路21は、
図2に示すように、基礎絶縁素子22を介して基礎絶縁された状態で中継回路23にそれぞれ接続されている。
【0017】
基礎絶縁素子22は、一例として、フォトダイオードおよびフォトトランジスタ(いずれも図示せず)を有するフォトカプラで構成されている。この基礎絶縁素子22は、入力側(フォトダイオード)が一次回路21のAD変換器33に接続されると共に、出力側(フォトトランジスタ)が中継回路23に接続されて、AD変換器33から出力された信号S1を基礎絶縁した状態で中継回路23に出力する。
【0018】
中継回路23は、
図2に示すように、多重化回路34を備えて構成され、各一次回路21の各AD変換器33からそれぞれ出力された複数(この例では、3つ)の信号S1を二次回路25に中継(伝送)する機能を有している。具体的には、中継回路23は、各基礎絶縁素子22を介して基礎絶縁された状態で各一次回路21に接続されて、各基礎絶縁素子22を介してそれぞれ入力した各信号S1を多重化回路34によって多重化する(以下、多重化した信号を「多重化信号S2」ともいう)。また、中継回路23は、後述する強化絶縁素子24を介して強化絶縁された状態で二次回路25に接続されて、強化絶縁素子24を介して多重化信号S2を二次回路25に伝送する。
【0019】
強化絶縁素子24は、IEC規格で規定されている強化絶縁の機能を有して電気信号を伝送可能な素子であって、一例として、光ファイバーを用いた光ファイバー絶縁素子で構成されている。この強化絶縁素子24は、
図2に示すように、入力側が中継回路23に接続されると共に、出力側が二次回路25に接続されて、多重化回路34によって多重化された多重化信号S2を入力して、強化絶縁した状態で多重化信号S2を二次回路25に伝送する。
【0020】
二次回路25は、
図2に示すように、一次回路21から出力されて中継回路23によって中継され、その際に強化絶縁素子24によって強化絶縁された信号S1(信号S1を多重化した多重化信号S2)を入力して信号処理し、入力信号Siについての被測定量としての電圧値(例えば、電圧の実効値)を示す測定値データDmを出力端子40に出力する。具体的には、二次回路25は、多重化信号S2を多重化前の信号S1に分離(逆多重化)する多重分離回路35と、分離した各信号S1に基づいて各入力信号Siについての電圧値(電圧の実効値)を示す測定値データDmを生成して出力する処理(信号処理)を行う演算回路36とを備えて構成されている。なお、多重分離回路35を独立した回路として備えることなく、多重分離回路35および演算回路36を1つの回路で構成することもできる。
【0021】
ここで、この電圧測定装置1では、上記したように、各一次回路21が、基礎絶縁素子22を介して基礎絶縁された状態で中継回路23にそれぞれ接続されている(
図2参照)。このため、各一次回路21が、基礎絶縁素子22によって互いに基礎絶縁されている。また、この電圧測定装置1では、中継回路23が、強化絶縁素子24を介して強化絶縁された状態で二次回路25に接続されている(同図参照)。したがって、この電圧測定装置1では、各入力端子20と二次回路25との間が、1つの基礎絶縁素子22によってそれぞれ基礎絶縁されると共に1つの強化絶縁素子24によって強化絶縁されている。
【0022】
この場合、入力端子20との二次回路25との間を二重絶縁するために、入力端子20と差動増幅器との間のインピーダンスを基礎絶縁素子として用いる従来の構成では、一般的に、高周波数帯域における周波数特性が悪く、またCMRRが低い差動増幅器を用いることに起因して、測定精度の向上が困難となっている。これに対して、この電圧測定装置1では、周波数特性に優れ、かつCMRRが高いシングルエンド増幅器31を用いているため、測定精度を十分に向上させることが可能となっている。また、シングルエンド増幅器31を用いることで、各入力端子20と各シングルエンド増幅器31との間のインピーダンスを基礎絶縁素子として機能させることができないことの代替えとして、各一次回路21と中継回路23との間を1つの基礎絶縁素子22によってそれぞれ基礎絶縁すると共に中継回路23と二次回路25との間を1つの強化絶縁素子24によって強化絶縁したことで、絶縁素子の数を減らして回路構成の複雑化や製造コストの上昇を抑えることが可能となっている。
【0023】
表示部12は、制御部15の制御に従い、測定部11によって測定された電圧値を示す画像等の各種の画像を表示する。操作部13は、電源スイッチや測定開始スイッチ等を備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。記憶部14は、制御部15の制御に従い、測定部11の二次回路25から出力された測定値データDmを記憶する。制御部15は、操作部13から出力された操作信号に従って電圧測定装置1を構成する各部を制御する。
【0024】
次に、電圧測定装置1を用いて電圧値を測定する際の電圧測定装置1の動作について、図面を参照して説明する。
【0025】
例えば、3つの入力信号Siについての電圧値を同時に測定する際には、信号入力用ケーブル(図示せず)を電圧測定装置1の測定部11における各チャンネル(3つの一次回路21に対応する3つのチャンネル)の各入力端子20にそれぞれ接続する。
【0026】
次いで、操作部13の測定開始スイッチを操作する。続いて、制御部15が、操作部13から出力された操作信号に従って各部の制御を開始し、各部がそれぞれ処理を実行する。
【0027】
具体的には、測定部11における各一次回路21では、シングルエンド増幅器31が、入力端子20および抵抗32を介して入力した入力信号Siを増幅する。また、AD変換器33が、シングルエンド増幅器31によって増幅された入力信号SiをAD変換して、信号S1を出力する。この場合、シングルエンド増幅器31による入力信号Siの増幅処理、およびAD変換器33による信号S1へのAD変換処理が信号処理に相当する。
【0028】
次いで、
図2に示すように、各一次回路21に接続されている各基礎絶縁素子22が、各AD変換器33からそれぞれ出力された各信号S1を入力して、基礎絶縁した状態で中継回路23にそれぞれ伝送する。続いて、中継回路23の多重化回路34が、各基礎絶縁素子22を介してそれぞれ伝送された各信号S1を多重化して多重化信号S2を出力し(各信号S1の中継)、中継回路23に接続されている強化絶縁素子24が、多重化信号S2を強化絶縁した状態で二次回路25に伝送する。
【0029】
次いで、
図2に示すように、二次回路25が、強化絶縁素子24によって多重化された状態で中継回路23から中継(伝送)された多重化信号S2を入力する。続いて、二次回路25では、多重分離回路35が多重化信号S2を多重化前の各信号S1に分離し、演算回路36が分離された各信号S1に基づいて各入力信号Siについての電圧値(電圧の実効値)を演算して電圧値を示す測定値データDmを出力端子40に出力する。この場合、演算回路36による電圧値の演算処理および測定値データDmの出力処理が信号処理に相当する。
【0030】
続いて、制御部15が、測定部11の出力端子40から出力された測定値データDmを記憶部14に記憶させると共に、測定値データDmによって特定される電圧値(測定値)を示す画像を表示部12に表示させる。以上により測定が終了する。この場合、この電圧測定装置1では、測定部11において、各入力端子20と二次回路25との間が強化絶縁されて、IEC規格に適合する絶縁性を有しているため、例えば、使用者が出力端子40に接触したときの感電の防止等の安全性が確保されている。
【0031】
このように、この電圧測定装置1では、複数の信号S1を二次回路25に中継する中継回路23を備え、各一次回路21の各増幅器がシングルエンド増幅器31でそれぞれ構成され、各一次回路21が基礎絶縁素子22を介して信号S1を中継回路23にそれぞれ出力し、中継回路23が各信号S1を多重化信号S2に多重化すると共に多重化信号S2を強化絶縁素子24を介して二次回路25に出力する。このため、この電圧測定装置1によれば、周波数特性に優れ、かつCMRRが高いシングルエンド増幅器31を用いることで、測定精度を十分に向上させることができると共に、各一次回路21と中継回路23との間を基礎絶縁素子22によって基礎絶縁し、かつ中継回路23と二次回路25との間を1つの強化絶縁素子24によって強化絶縁したことで、回路構成の複雑化や製造コストの上昇を十分小さく抑えることができる。また、この電圧測定装置1によれば、各一次回路21と中継回路23との間にそれぞれ基礎絶縁素子22を設けたことにより、各一次回路21相互間における基礎絶縁を確保することができる。
【0032】
また、この電圧測定装置1では、光ファイバーを用いた光ファイバー絶縁素子で強化絶縁素子24が構成されている。この場合、光ファイバー絶縁素子は、比較的安価でありながら、十分な強化絶縁の機能を有し、かつ周波数特性に優れている。このため、光ファイバー絶縁素子を強化絶縁素子24として用いるこの電圧測定装置1によれば、製造コストの上昇をより小さく抑えつつ、測定精度をさらに向上させることができる。
【0033】
なお、測定装置の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、3つの一次回路21を備えた構成に適用する例について上記したが、2つまたは4つ以上の任意の数の一次回路21を備えた構成に適用することもでき、この構成においても、上記した各効果を実現することができる。
【0034】
また、上記した測定部11に代えて、
図4に示す測定部111を備えた電圧測定装置101を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した電圧測定装置1と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0035】
この電圧測定装置101では、
図4に示すように、回路基板50上に配置された複数(例えば2つ)の一次回路21
(第1の一次回路)、複数(一次回路21の数と同数の2つ)の基礎絶縁素子22、中継回路123、強化絶縁素子24および二次回路25を備えて構成されている。この場合、中継回路123は、上記した中継回路23と同様にして、各一次回路21から出力された信号S1を二次回路25に中継する機能を有し、基礎絶縁素子22を介して入力した信号S1を強化絶縁素子24を介して二次回路25に伝送する。また、中継回路123は、上記した一次回路21と同様にして、シングルエンド増幅器31、抵抗32およびAD変換器33を備えて、一次回路21
(第2の一次回路)として機能するように構成され、自ら出力した信号S1を強化絶縁素子24を介して二次回路25に伝送する。つまり、この測定部111では、3つのチャンネル(2つの一次回路21に対応する2つのチャンネル、および一次回路21として機能する中継回路123に対応する1つのチャンネル)で入力した各入力信号Siについての電圧値を測定することが可能となっている。
【0036】
この電圧測定装置101においても、周波数特性に優れ、かつCMRRが高いシングルエンド増幅器31を用いることで、測定精度を十分に向上させることができると共に、各一次回路21と中継回路123との間を1つの基礎絶縁素子22によってそれぞれ基礎絶縁し、かつ中継回路123と二次回路25との間を1つの強化絶縁素子24によって強化絶縁したことで、回路構成の複雑化や製造コストの上昇を十分小さく抑えることができる。また、この電圧測定装置101においても、電圧測定装置1と同様にして、各一次回路21と中継回路123(一次回路21でもある)との間にそれぞれ基礎絶縁素子22を設けたことにより、各一次回路21相互間における基礎絶縁を確保することができる。
【0037】
また、この電圧測定装置101によれば、シングルエンド増幅器31を有して一次回路21として機能するように中継回路123を構成したことにより、信号S1を一次回路21から二次回路25に中継する機能のみを有する中継専用の中継回路23が不要な分、回路構成の複雑化や製造コストの上昇をより小さく抑えることができる。
【0038】
また、フォトカプラを基礎絶縁素子22として用いる例について上記したが、トランス等の絶縁素子を基礎絶縁素子22として用いることもできる。また、光ファイバー絶縁素子を強化絶縁素子24として用いる例について上記したが、磁気結合方式の強化絶縁素子や、容量結合方式の強化絶縁素子を強化絶縁素子24として用いることもできる。
【0039】
また、被測定量としての電圧を測定する電圧測定装置1に適用した例について上記したが、被測定量としての電流値を測定する電流測定装置や、電圧値および電流値を測定し、電圧値と電流値とに基づいて被測定量としての電力を測定する電力測定装置などを含む各種の測定装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1,101 電圧測定装置
21 一次回路
22 基礎絶縁素子
23,123 中継回路
24 強化絶縁素子
25 二次回路
31 シングルエンド増幅器
34 多重化回路
Dm 測定値データ
Si 入力信号
S1 信号
S2 多重化信号