【実施例1】
【0054】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜4において、本発明に係るコンクリートブロックの連結装置(以下連結装置という)1は、連結面相互が当接状態にある複数個のコンクリートブロック2を一纏まりとして、該コンクリートブロック2の夫々に設けられている挿通孔3を挿通する線状の緊締材5で連結するものである。該連結装置1 を用いて行うコンクリートブロック2,2相互の連結は、地上或いは地中で行うことができる他、水中で行うこともできる。
【0055】
該連結装置1は、両端に位置するコンクリートブロック2a,2aの夫々に連結用凹部6を設け、該連結用凹部6を、前記緊締材5を挿通させる前記挿通孔3で連通せしめ、該挿通孔3を挿通する該緊締材5の両端部分7,7の夫々が、該連結用凹部6の内側面部9に設けられている挿通孔開放端10(
図2〜3)を通して該連結用凹部6に突出する如くなされている。そして
図3に示すように、該突出する端部分7を、該内側面部9に当接する支持プレート12の通孔13に挿通させて該連結用凹部6に突出させるものとなされており、且つ該緊締材5が緊張された状態において、
図3〜4に示すように、前記両端部分7,7の夫々が、該支持プレート12,12で支持される定着具15により前記コンクリートブロック2に定着される如くなされている。そして
図4に示すように、該連結用凹部6の開放端16はカバー部材17で閉塞される如くなされている。
【0056】
図1は、前記連結装置1を用いて、ボックスカルバート19としてのコンクリートブロック2,2相互を連結して例えば水路20を構築する場合を示す。
【0057】
又
図4、
図9は、例えばボックスカルバート19としてのコンクリートブロック2の所要個数を前記と同様にして連結して構成されたブロックの連結体21の端部22を端面版23としてのコンクリートブロック2で閉塞して貯水槽25を構築する場合を示す。
【0058】
図5は、かかる水路20や貯水槽25を構築する場合において、中間に配置されるボックスカルバート19bを示し、前記連結用凹部6は設けられていない。
【0059】
図6は、かかる水路20や貯水槽25を構築する場合において、中間又は端部に配置され且つ、前記連結用凹部6を有するボックスカルバート19aを示している。
【0060】
前記連結用凹部6を有さない、中間に配置される前記コンクリートブロック( ボックスカルバート19a) 2bは、
図5に示すように、線状の前記緊締材5を挿通させるための挿通孔3が四隅部分に貫設されている。又、両端に位置するコンクリートブロック(ボックスカルバート19a)2aは、
図6に示すように、該緊締材5を挿通させるための挿通孔3が四隅部分に貫設されると共に、該ボックスカルバー19aの入隅部分27の、その長さ方向で見た中央部位に、矩形状をなす前記連結用凹部6が凹設され、前記挿通孔3が該連結用凹部6で開放されている。そして該連結用凹部6の前記開放端16は
図4、
図7〜8に示すように、矩形板状をなす前記カバー部材17で閉塞する如くなされる。該連結用凹部6の該開放端16の周縁部分は欠切されて、該周縁部分の延長方向に連続する周縁欠切凹部30が設けられており、該周縁欠切凹部30の側面31は、その先端縁32からその基端縁33に向けて且つ、内方側に向けて傾斜した傾斜面35として構成されている。又
図3に示すように、前記周縁欠切凹部30の底面36の四隅にはネジ孔37,37,37,37が設けられている。
【0061】
前記端面版23は、
図4、
図11に示すように、その四隅部分に、前記緊締材5を挿通させ得る挿通孔3を具えると共に、その外端には、該挿通孔3が連通する前記連結用凹部6が凹設されている。該連結用凹部6の開放端16の周縁部分は欠切されて、該周縁部分の延長方向に連続する周縁欠切凹部30が設けられており、その側面31は、その先端縁32からその基端縁33に向けて且つ、内方側に向けて傾斜した傾斜面35として構成されている。又、前記周縁欠切凹部30の底面36の四隅にはネジ孔37,37,37,37が設けられている。
【0062】
前記支持プレート12は、本実施例においては例えば
図2、
図4に示すように正方形板状を呈しており、前記連結用凹部6と前記挿通孔3とを連通させる連通孔50が設けられている。又は
図12に示すように、前記支持プレート12と前記連結用凹部6の前記内側面部9との間に、前記連結用凹部6と前記挿通孔3とを連通させる連通孔50が設けられている。
【0063】
又、前記連結用凹部6の開放端16は、
図7〜8、
図4、
図9に示すように、矩形板状を呈する前記カバー部材17で閉塞する如くなされている。
【0064】
該カバー部材17は、繊維補強の、例えば矩形板状に形成されており、セメントを30〜40重量%と、ポゾラン質微粉末を10〜15重量%と、粒径0.1〜1.0mmの骨材を50〜60重量%と、化学混和剤を0.15〜0.65重量%を含む粉体に、水が該セメントに対する重量比で30〜40%含有されて練り混ぜられると共に、短繊維が、該粉体に対する体積比で1.0〜2.5%練り混ぜられてなるモルタル組成物を用いて構成されている。
【0065】
そして
図4、
図7〜8に示すように、前記カバー部材17の外面51は平面状に形成されており、又該外面51が、前記連結用凹部6の前記開放端16の周辺部52と面一状態に形成されている。該カバー部材17で閉塞された該連結用凹部6の、該カバー部材17を含む壁部53には、閉塞された該連結用凹部6の下端側に位置させて、該連結用凹部6に連通し且つブロック外に開放する流入孔55が設けられると共に、該連結用凹部6の最上端に連通し且つブロック外に開放する流出孔56が設けられている。そして、該カバー部材17で開放端16が閉塞されてなる前記連結用凹部6にはグラウトが注入される。
【0066】
ここで、前記流入孔55を設ける部位と前記流出孔56を設ける部位について、場合を分けて説明する。
【0067】
前記連結装置1を用いて行うコンクリートブロック2,2相互の連結が地上又は地中で行われる場合において、即ち、水の影響を受けないで行われる場合において、前記コンクリートブロック2が前記ボックスカルバート19であるときは、下の入隅部分27aに設けられている連結用凹部6にあっては、
図7(A)に示すように、前記流入孔55は、前記カバー部材17の下端部分59に連通する如く設けられる。一方前記流出孔56は、前記カバー部材17の上端部分60に設けられる。又、該ボックスカルバート19の上の入隅部分27bに設けられている連結用凹部6にあっては、
図8(A)に示すように、前記流入孔55は、前記カバー部材17の下端部分61に設けられる。一方前記流出孔56は、前記連結用凹部6の最上端に連通して上方に延びてブロック外に開放する如く設けられている。本実施例においては
図8に示すように、該カバー部材17には流入孔55は設けられているが前記のような流出孔56は設けられていない。
【0068】
又、コンクリートブロック2,2相互の連結が地上又は地中で行われる場合において前記コンクリートブロック2が前記端面版23である場合は、
図4に示すように、前記流入孔55は、前記カバー部材17の下端部分57において前記連結用凹部6の最下端59に連通する如く設けられる。一方前記流出孔56は、前記カバー部材17の上端部分60において該連結用凹部6の最上端62に連通する如く設けられる。
【0069】
又、前記連結装置1を用いて行うコンクリートブロック2,2相互の連結が水中で行われる場合において、前記コンクリートブロック2が前記ボックスカルバート19であるときは、下の入隅部分27aに設けられている連結用凹部6にあっては、前記流入孔5は、例えば
図28に示すように、該連結用凹部6の最下端59に連通してブロック外に開放する(例えば水平に延長してブロック外に開放する)如く設けられている。又前記流出孔56は、前記連結用凹部6の最上端62に連通して上方に延びてブロック外に開放する如く設けられている。
【0070】
前記コンクリートブロック2が前記端面版23である場合は、
図4に示すように、前記流入孔55は、前記カバー部材17の下端部分57において前記連結用凹部6の最下端59に連通する如く設けられる。一方前記流出孔56は、前記カバー部材17の上端部分60において該連結用凹部6の最上端62に連通する如く設けられる。
【0071】
〔カバー部材17のより具体的な構成について〕
【0072】
1.カバー部材17の形態上の構成について
ここで前記カバー部材17の構成をより詳しく説明する。
図13は、前記入隅部分27に用いられるカバー部材17を示し、
図14は、前記端面版23に用いられるカバー部材17を示す。これらのカバー部材17は、無鉄筋の例えば矩形板状に形成されており、前記のように、その外面51は平面状に形成され
図4、
図7、
図8に示すように、該外面51が前記連結用凹部6の前記開放端の周辺部52(
図7〜8)と面一状態を呈するようになされている。
【0073】
そして、前記連結用凹部6の内部に面する内面部63の外周部分には、前記周縁欠切凹部30に嵌まり合う台形状の突条部65が該外周部分に連続して設けられている。該突条部65の、該内面部63の内方側に存する内側面66は、その先端縁67から、前記内面部63に接する基端縁69に向けて且つ、該内方側に向けて傾斜した傾斜面70として構成されており、前記カバー部材17の前記突条部65が前記周縁欠切凹部30に嵌まり合った状態で、前記突条部65の前記傾斜面70が前記周縁欠切凹部30の前記傾斜面35に当接し且つ前記突条部65の底面71が前記周縁欠切凹部30の底面36に当接する。
【0074】
そして、
図13〜17に示すように、前記突条部65には、前記周縁欠切凹部30の底面36に設けられた前記ネジ孔37に螺合し得る固定ボルト73を挿通させるボルト孔75が設けられており、該突条部65の外面(前記カバー部材17の外面)51には、該ボルト孔75を挿通する該固定ボルト73のボルト頭76の全体を収納するためのボルト頭収納凹部77が設けられている。
【0075】
そして、前記中間に位置するコンクリートブロック2bに設けられている前記連結用凹部6の開放端16を覆うカバー部材17には、
図8、
図13に示すように、その内面部63の、前記軸線方向で見た両端側部分79,79に、前記緊締材5の端部分を支持した状態にある左右の支持プレート12,12の前記開放端側の先端部分80,80を収容させ得る収容凹部81,81が設けられている。これによって、前記連結用凹部6に収容される前記支持プレート12や前記定着具15(
図4)のサイズが大きくなってもこれらを該連結用凹部6に収容できるため、コンクリートブロック2,2相互の連結による、水路や貯水槽等の構築物の耐震性向上、又、水路や貯水槽の大型化の要請に応えることができる。
【0076】
本実施例においては、
図13(B)に示すように、該両収容凹部81,81が中間凹部82で連通されて一連の凹部83とされている。これによって、該カバー部材17の前記環状の突条部65で囲まれた部分の底部は平坦面として形成されている。そして、前記突条部65には、前記周縁欠切凹部30の前記底面36に設けられた前記ネジ孔37に螺合し得る固定ボルト73を挿通させるボルト孔75が設けられており、該突条部65の外面(前記カバー部材17の外面)51には、該ボルト孔75を挿通する該固定ボルト73のボルト頭76の全体を収納するための前記ボルト頭収納凹部77が設けられている。
【0077】
本実施例においては、前記突条部65が設けられている前記外周部分(
図13、
図14)85の厚さは、例えば15〜20mm程度に設定され、又前記収容凹部81が設けられている部分86(
図13、
図14)の厚さは、例えば5〜8mm程度に設定されている。
【0078】
かかる構成を有するカバー部材17の下端部分61に設けられている前記流入孔55と前記流出孔56は、
図4、
図13〜14、
図7〜8に示すように、前記突条部65を貫通する如く設けられている。特に下の入隅部分27aに設けられた前記下の連結用凹部6aを閉塞するカバー部材17については、該流入孔55と該流出孔56が上下対称の配置で設けられている。そして該流入孔55は、
図4、
図7に示すように、前記外面51と直交する直線89に対して下向きに45度傾斜しており、又該流出孔56は該直線89に対して上向きに45度傾斜している。従って該流入孔55は
図7(A)においては、その軸線が水平状態を呈し、又前記流出孔56の軸線は、
図7(A)においては垂直状態を呈する。
【0079】
又、前記流出孔56を、特に前記突条部65において設けているのは、該流出孔56の長さをより長くするためである。
【0080】
2.カバー部材17の組成上の構成について
次に、かかる構成を有するカバー部材17の組成上の構成をより具体的に説明する。先ず、前記した課題を解決するために該カバー部材17が具備すべき条件は、
(1)鉄筋を入れることなくモルタル組成物のみを以て製造できること、(2)前記グラウトの注入時の圧力によってひび割れを生じさせず、然も曲げ強度が大きいことと、(3)前記グラウト注入によるグラウト圧によってひび割れが発生することなく、曲げ強度が高いことと、(4)薄肉に形成できると共に、部分的に薄肉化することも可能であることと、(5)酸素や二酸化炭素、塩化物イオン等の、鋼製の前記定着具15を錆びさせる物質の透過を良好に抑制し得る防錆作用を発揮すること、である。
【0081】
そのために前記モルタル組成物は、水セメント比を小さくする。これにより、該モルタル組成物の収縮量を小さくでき、前記カバー部材のひび割れ発生を抑制でき、又曲げ強度を大きくできる。
【0082】
そして前記モルタル組成物を、短繊維が内蔵されたものとする。これにより、該短繊維の引っ張り力によって、前記カバー部材の製造時の乾燥収縮に伴うひび割れ発生、及び、カバー部材の使用時におけるひび割れ抑制と曲げ強度の向上を期し得ることとなる。このようにカバー部材を繊維で補強するため、該カバー部材の耐摩耗性を向上させることができ、該カバー部材が水路構築に応用された場合は、かかる耐摩耗性を有することによってカバー部材の薄肉化を達成できることとなる。
【0083】
又、前記の骨材の粒径を小さくすることによって、骨材の夫々にかかる荷重負担を小さくなし得て骨材の界面での破壊を小さくでき、これによって、カバー部材のひび割れ抑制と曲げ強度の向上を期し得ることとなる。そして、該骨材の粒径を小さくすることは、前記カバー部材を薄肉化できることともなる。
【0084】
そして前記のように、第1には、水セメント比を小さくすることと、短繊維を内蔵されたものとすることと、骨材の粒径を小さくすることによって前記カバー部材のひび割れを抑制できること、第2には、水セメント比を小さくすることによって、酸素や二酸化炭素、塩化物イオン等の鋼材を錆させる物質が前記カバー部材17を透過するのを抑制できることによって、前記支持プレート12や前記定着具15の防錆を図り得る。
【0085】
前記モルタル組成物の好ましい配合は前記した通りであり、前記セメントとしては、ポルトランドセメント等の普通セメントと通常呼ばれているセメントを用いることができる。その配合比率は前記のように30〜40重量%とするのがよい。30重量%よりも少ないと、製造した繊維補強モルタルの硬化体に所望強度を付与しにくくなるために好ましくない。又40重量%よりも多いと、繊維補強モルタルの硬化体の強度を向上させることはできるが前記練り混ぜが難しくなるために好ましくない。
【0086】
前記ポゾラン質微粉末としてはシリカフユームが好ましいが、フライアッシュ等を用いることもできる。
【0087】
その配合比率は10〜15重量%に設定するのが好ましい。10重量%よりも少ないと前記繊維補強モルタルの硬化体の強度を所要に確保できず、15重量%よりも多いと前記化学混和剤の必要量が多くなって製造コストが高くなり、好ましくない。
【0088】
前記骨材としては、珪砂、フェロニッケルスラグ、細骨材等を用いることができる。そして該骨材の粒径は0.1〜1.0mmに設定し、その配合比率は50〜60重量%に設定するのがよい。該骨材の粒径を0.1mmよりも小さくせんとすれば、破粒微粉化処理が必要となってコスト上昇を招く他、前記練り混ぜのための水もより多く必要となるために好ましくない。又1.0mmよりも大きいと、骨材の夫々に掛かる荷重負担が大きくなるために前記カバー部材の強度低下を招きやすい。又、該骨材の配合比率が50重量%よりも少ないと、その分、セメントの配合比率を増大させることが必要となってコスト上昇を招きやすく、60重量%よりも多いと、前記硬化体の強度不足が生じやすい。
【0089】
前記化学混和剤としては、界面活性剤や減水剤等を例示でき、消泡剤が併用されるとよい。該化学混和剤の配合比率は、前記のように0.15〜0.65重量%に設定するのが好ましい。0.15重量%よりも少ないと、モルタル組成物の流動性が悪くなり、これを型枠に流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましくない。そのために、バイブレーターによって該モルタルに振動を与える工程が必要となるが、かかる余分の工程を付与すると生産性低下を招くことになって好ましくない。又、バイブレーターで振動を与えることで、前記繊維が分離し易くなり前記カバー部材の強度低下を招くことになるために好ましくない。又0.65重量%よりも多いと、前記モルタルの流動性が高まって前記繊維が分離し易くなり、前記カバー部材の強度低下を招くことになって好ましくない。又、該化学混和剤は高価であるため前記モルタル組成物の製造コストの上昇を招くことになって好ましくない。
【0090】
前記セメントと前記ポゾラン質微粉末と前記骨材と前記化学混和剤とを含む粉体に混合される水は、前記のように、該セメントに対する重量比で30〜40%に設定するのがよい。30%よりも少ないと、前記カバー部材17の強度を向上させることはできるが、モルタル組成物の流動性が悪くなり、これを型枠に流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましくない。又、40%よりも多いと、前記モルタル組成物の流動性が良好となって作業性は向上するが、前記繊維の分離を招いて前記カバー部材17の強度を低下させることになるために好ましくない。
【0091】
前記短繊維としては、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の樹脂繊維や炭素繊維を用いることができる他、金属繊維を用いることもできる。該短繊維は、前記粉体に対する体積比で、前記のように1.0〜2.5%練り混ぜられている。1.0%よりも少ないと繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなって、前記カバー部材の強度低下を招くために好ましくない。又2.5%よりも多いと、流動性が悪くなるので、これを改善するために高価な化学混和剤の使用量を増やさざるを得ないことになり、該カバー部材の製造コストの上昇を招くことになって好ましくない。
【0092】
3.金属繊維を短繊維として用いたカバー部材17の組成上の構成について
ここで、前記短繊維として金属繊維を用いる場合のカバー部材17の組成上の構成について説明すれば以下の通りである。金属繊維を用いれば、カバー部材の引張強度をより高めることができるので、金属繊維を用いることは、コンクリートブロックの連結に際して用いられる該コンクリートブロックのサイズに応じてより大きなカバー部材を用いざるを得ない場合は、好適と言える。
【0093】
該金属繊維を用いてなるモルタル組成物は、セメントを30〜40重量%と、ポルトランド質微粉末を10〜15重量%と、粒径0.1〜1.0mmの骨材を45〜55重量%と、化学混和剤を0.55〜0.65重量%とを含む粉体に、水が該セメントに対する重量比で30〜40%含有されて練り混ぜられる。そして、直径が0.15〜0.3mmで引張強度が2000〜3500N/mm
2 である金属繊維を用いて湾曲形成された湾曲繊維片92が、該粉体に対する体積比で1.5〜2.0%練り混ぜられており、該湾曲繊維片92の両端93,93を結ぶ直線の長さL1は10〜20mmに設定されると共に該直線に対する該湾曲繊維片92の最大深さL2が0.5〜1.5mmに設定されるものである。
図18(A)(B)(C)に示す湾曲繊維片85は、その両端93,93を結ぶ直線の長さL1が15mm設定されており、
図19(A)(B)(C)に示す湾曲繊維片92は、その両端93,93を結ぶ直線長さL1が10mmに設定されている。そして、前記最大深さL2は、
図18(A)、
図19(A)にあっては0.5mmに設定され、
図18(B)、
図19(B)にあっては1mmに設定され、
図18(C)、
図19(C)にあっては1.5mmに設定されている。
【0094】
以下、これをより具体的に説明する。
前記セメントとしては、ポルトランドセメント等の、普通セメントと通常呼ばれているセメントを用いることができ、その配合比率は、前記のように30〜40重量%である。30重量%より少ないと、該高強度繊維補強モルタルを用いて製造した高強度繊維補強モルタルの硬化体(前記カバー材17)に所望強度を付与しにくくなるために好ましくない。又40重量%より多いと、高強度繊維補強モルタルの硬化体の強度を向上させることはできるが前記練り混ぜが難しくなるために好ましくない。
【0095】
前記ポゾラン質微粉末としてはシリカフュームが好ましいが、フライアッシュや高炉スラグ微粉末等を用いることもできる。その配合比率は、前記のように10〜15重量%に設定するのが好ましい。10重量%よりも少ないと、前記金属繊維を用いてなる前記カバー部材の強度を所要に確保できず、15重量%よりも多いと前記化学混和剤の必要量が多くなって製造コストが高くなり、好ましくない。
【0096】
前記骨材としては、前記のように、珪砂、フェロニッケルスラグ細骨材等を用いることができる。そして該骨材の粒径は、前記したように0.1〜1.0mmに設定し、その配合比率は45〜55重量%に設定するのがよい。該骨材の粒径が0.1mmよりも小さいと破粒微粉化処理が必要となってコスト上昇を招くほか、前記練り混ぜのための水もより多く必要となって好ましくない。又1.0mmよりも大きいと、骨材の夫々にかかる荷重負担が大きくなるためにカバー部材17の強度低下を招きやすい。又、該骨材の配合比率が45重量%よりも少ないと、その分、セメントの配合比率を増大させることが必要となってコスト上昇を招きやすく、55重量%よりも多いと、前記モルタル硬化体の強度不足が生じやすい。
【0097】
前記化学混和剤としては、前記のように、界面活性剤や減水剤等を例示でき、消泡剤を併用するとよい。該化学混和剤の配合比率は、前記したように、0.55〜0.65重量%に設定するのが好ましい。0.55重量%よりも少ないと、高強度繊維補強モルタルの流動性が悪くなり、これを型枠に流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましくない。そのために、バイブレーターによって該モルタルに振動を与える工程が必要となるが、かかる余分の工程を付与すると生産性低下を招くことになって好ましくない。又、バイブレーターで振動を与えることで、前記金属繊維が分離して沈降し易くなり前記硬化体の強度低下を招くことになるため好ましくない。又、0.65重量%よりも多いと、前記モルタルの流動性が高まって前記金属繊維が分離して沈降し易くなり、前記カバー部材17の強度低下を招くことになって好ましくない。又、該化学混和剤は高価であるため前記カバー部材の製造コストの上昇を招くことになって好ましくない。
【0098】
前記セメントと前記ポゾラン質微粉末と前記細骨材と前記化学混和剤とを含む粉体に混入される水は、該セメントに対する重量比で、前記したように30〜40%に設定するのがよい。30%よりも少ないと、前記カバー部材17の強度を向上させることはできるが、高強度繊維補強モルタルの流動性が悪くなり、これを型枠に流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましくない。又、40%よりも多いと、前記モルタルの流動性が良好となって作業性は向上するが、金属繊維の沈降を招いて前記カバー部材17の強度を低下させることになるために好ましくない。
【0099】
前記金属繊維は、前記カバー部材17の曲げ靱性を向上させるために添加されるものであり、引張強度が、前記したように2000〜3500N/mm
2 である鋼繊維(例えばピアノ線)を用いるのがよい。該金属繊維の直径は0.15〜0.3mmで、該湾曲繊維片92の両端93,93を結ぶ直線の長さL1は10〜20mmに設定するのがよい。そして、該両端を結ぶ直線に対する該湾曲繊維片92の最大深さL2は0.5〜1.5mmに設定するのがよい。該湾曲繊維片は、例えば、鋼繊維を用いて製造された縒り線を10〜20mmの長さに切断することによって量産できる。
【0100】
該湾曲繊維片の前記粉体に対する体積比は、前記したように1.5〜2.0%に設定する。1.5%よりも少ないと金属繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなって、前記カバー部材17の強度低下を招くために好ましくない。又2.0%よりも多いと、高価な金属繊維の使用量が増えることや、流動性が悪くなるのでこれを改善するために高価な化学混和剤の使用量を増やさざるを得ないことによって、モルタル組成物の製造コストの上昇を招く、従って前記カバー部材17の製造コストの上昇を招くことになり好ましくない。
【0101】
該金属繊維を、特許文献2、3におけるような波形ではなく半円弧状や弓形を呈する如く湾曲させているのは、金属繊維を前記のように練り混ぜる際に、これらが絡みにくくして該金属繊維が均一な分散状態となるようにするためである。
【0102】
前記カバー部材17の内部に微細なひび割れ95が発生した場合は、
図20に示すように、前記湾曲繊維片92の両側のアンカー部分96,96が、該ひび割れ95の両側部分でセメントマトリックスに固定状態となる。該両側のアンカー部分96,96が湾曲状態にあるため、良好なアンカ−作用が発揮され、該アンカー部分96,96がセメントマトリックスから抜けにくい。そして、この状態でひび割れが大きくなったときは、該金属繊維の引張強度によってひび割れの拡大に抵抗でき、これによってカバー部材17の曲げ強度を増大させることができる。
【0103】
然して、前記金属繊維の直径が0.15mmよりも細径になると、金属繊維の単位体積当たりの混入本数が増えるが、該金属繊維の練り混ぜが難しくなり、金属繊維の分散性が悪くなって前記曲げ強度の低下を招き易い。又、0.3mmよりも太径になると、金属繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなるので、前記ひび割れが発生した部分における金属繊維の密度が低下してひび割れの拡大を抑制しにくくなるために好ましくない。前記金属繊維の前記長さL1が10mmよりも短いと前記アンカー作用が不十分となって前記両側アンカー部分96,96がセメントマトリックスから抜けやすくなるために好ましくない。又、該直線の長さL1が20mmよりも長いと、フロー値が悪くなって湾曲繊維片の分散が不十分となるために好ましくない。又、該直線長さL1が20mmよりも長いと、金属繊維の混入密度が低くなりひび割れの拡大を抑制できないことになり、前記アンカー作用が不十分となって好ましくない。又、該湾曲繊維片の最大深さL2が0.5mmよりも小さいと前記アンカー作用が不十分となって好ましくなく、該最大深さL2が1.5mmよりも大きいと、前記練り混ぜ時に湾曲繊維片同士が絡み合い易くなって前記モルタル組成物中に湾曲繊維片が均等に分散しなくなり、従って、前記カバー部材の強度低下を招くために好ましくない。
【0104】
〔金属繊維を用いてなるカバー部材17に要求される特性について〕
次に、かかる構成を有する、金属繊維を用いてなるモルタル組成物を用いて製造されたカバー部材17の特性を説明する。該モルタル組成物を用いて製造されたカバー部材17の靱性向上と耐力向上が確保されるためには、金属繊維が該カバー部材17の内部に均等に分散していることが要求され(均等分散性の要求事項)、該金属繊維の密度が所要に確保されていることが要求され(所要密度確保の要求事項)、又、該金属繊維がセメントマトリックスから抜けにくいアンカー作用が要求され(アンカー効果向上の要求事項)、更に、該金属繊維が破断しにくいことが要求される(破断耐力向上の要求事項)ため、該カバー部材の特性を該四つの要求事項と関連付けて説明する。
【0105】
〔均等分散性の要求事項の充足について〕
金属繊維として湾曲繊維片92を用いることとし、該湾曲繊維片92の両端93,93を結ぶ直線に対する該湾曲繊維片92の最大深さを0.5〜1.5mmに設定しているため、金属繊維を前記のように練り混ぜる際にこれらが絡みにくく、分散性が良好である。
【0106】
〔所要密度確保の要求事項の充足について〕
金属繊維の直径を0.15〜0.3mmに設定しているため、金属繊維の単位体積当たりの混入本数を所要に確保できる。金属繊維の直径が0.3mmよりも太径になると、金属繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなるのでその密度低下を招く。密度が低下すると、カバー部材17の内部に発生した前記ひび割れ部分に架け渡される金属繊維の本数が減少するので、ひび割れの拡大を抑制しにくくなる。
【0107】
〔アンカー効果向上の要求事項の充足について〕
前記湾曲繊維片の両側のアンカー部分が、真っ直ぐな状態ではなく湾曲状態にあるため、セメントマトリックスに対する該アンカー部分の付着強度が高く、良好なアンカ−作用が発揮される。
【0108】
〔破断耐力向上の要求事項の充足について〕
金属繊維の引張強度が2000〜3500N/mm
2 と高強度であるため、前記カバー部材17の内部に微細なひび割れ(溝幅が0.05mm未満)が発生した場合、該カバー部材17の内部に良好な分散状態にある前記湾曲繊維片の両側のアンカー部分が該ひび割れの両側部分でセメントマトリックスに固定状態となり得るので、該金属繊維の引張強度によってひび割れの拡大に抵抗できる。これによって破断耐力の向上を図り得る。
【0109】
そして前記のように、該金属繊維の均等分散性によってカバー部材の内部の金属繊維密度が所要に確保されていることから、前記ひび割れ部分に何本もの金属繊維が架け渡された状態となり易い。従って、該架け渡された金属繊維の総本数で引張応力度に抵抗することになるため、ひび割れが拡大するのを抑制できることとなる。
【0110】
ここで、本発明に係るカバー部材における前記湾曲繊維片のアンカー効果と、特許文献2、特許文献3に係るカバー部材における真っ直ぐな金属繊維片のアンカー効果とを比較する。
【0111】
真っ直ぐな金属繊維片が混入されているカバー部材にあっては、前記アンカー部分が、付着力だけでセメントマトリックスに付着しているに過ぎず、該付着力は小さいために、該アンカー部分がセメントマトリックスから引き抜かれ易い。該付着力だけでも金属繊維が引き抜かれないようにしようとすれば、モルタル硬化体の圧縮強度を大きく設定せざるを得ない。例えば特許文献2、3にあっては、この圧縮強度を150N/mm
2 と不必要に大きく設定しているが、そのためには高品質なポゾラン質微粉末(例えば、シリカフュ−ム)を用いる必要があり、又、セメントマトリックスに微細なひび割れが発生しにくくするために特別な曲げ靱性改善剤を配合する必要があって、モルタル組成物の製造コストの上昇を招く問題があった。これに対して本発明によるときは、前記湾曲状態のアンカー部分が良好なアンカ−作用を発揮するために、カバー部材の圧縮強度をそれほど高める必要はなく、又、前記湾曲繊維片のアンカー効果が良好に発揮されるために、直線状の金属繊維片を分散混合させる場合に比し、高価な金属繊維の使用量を減少させることもできるので、カバー部材の製造コストの低減を期し得ることとなる。
【0112】
4.ここで、前記カバー部材15の好ましい一態様を例示すれば次のようである。
セメントとしてポルトランドセメントを用い、その配合比率を30.6重量%とし、混和材として、膨張材が2.9重量%と焼成カオリンが1.6重量%とし、骨材として粒径0.1〜1.0mmの珪砂を用い、その配合比率を52.95重量%とし、又化学混和剤として、高性能減水剤を0.16重量%とした粉体を作成した。該粉体に、水を前記セメントに対する重量比で36.1%加えると共に、ビニロン繊維を、粉体に対する体積比で1. 45%加え、全体を練り混ぜてなる繊維補強モルタル組成物を作成した。
【0113】
その後、モルタル組成物をカバー部材形成用の型枠に流し込み、打設面をコテ仕上げして後、型枠全体を1次促進養生(40℃で6時間)し、その後に脱型し、モルタルの硬化体を材齢14日まで気中養生して前記カバー部材17を作成した。該カバー部材は、無鉄筋の板状を呈している。
【0114】
このようにして作成されたカバー部材17は、圧縮強度が70〜90N/mm
2 で、曲げ強度試験における曲げ強度が10〜12N/mm
2 で、割裂引張強度が6〜8N/mm
2 の強度特性をなした。
【0115】
〔地上又は地中で施工するブロックの連結工法について〕
図1、
図21は、前記連結装置1を用いて、前記構成のコンクリートブロック(ボックスカルバート)2,2相互を地上又は地中で連結する場合のブロック連結工法を示すものであり、例えば水路20を構成する場合に関するものである。
【0116】
先ず、連結されるべきコンクリートブロック2,2を、連結面相互を当接状態にして後、これらのブロックに設けられている挿通孔3に緊締材5を挿通し且つその両端部分7,7を連結用凹部6,6内に突出状態とする。該突出する端部分7,7を前記支持プレート12の前記通孔3に挿通させて該支持プレート12を前記内側面部9に当接させると共に、該緊締材5を緊張状態とする。そして、該両端部分7,7を、該支持プレート12で支持される定着具(例えば、
図3に示すような楔部材97と受け筒部材99とからなるものやナット等)15により該コンクリートブロック2に定着せしめて後(
図3、
図22)、
図23〜25に示し、又
図4、
図7〜8に示すように、一方の連結用凹部6aをカバー部材17で閉蓋する。
【0117】
一方の該連結用凹部6aを該カバー部材17で覆う際に、
図7(A)、
図8(A)に示すように、前記カバー部材17の前記突条部65を前記周縁欠切凹部30に嵌合させると共に両支持プレート12,12の前記開放端側の両先端部分80,80を前記収容凹部81,81に収容させる。
【0118】
然る後、一方の前記連結用凹部6aに係る前記流入孔55(
図7(A))を栓(図示せず)で閉鎖して後、他方の連結用凹部6bにおける支持プレート12の連通孔50(
図3)よりグラウト102を注入し、このグラウト102を、前記挿通孔3及び、前記一方の支持プレート12a(
図7(A))の連通孔50を経て一方の前記連結用凹部6a内に流入せしめ、この流入したグラウト102が前記流出孔56より溢流したことを以てグラウト102の注入を完了する(
図26)。その後、他方の連結用凹部6bを前記カバー部材17で覆い、前記流入孔55よりグラウト102を注入する。この注入したグラウト102が流出孔56より溢流したことを以てグラウト102の注入を完了する。これにより、
図26に示すと同様に、挿通孔3及び該連結用凹部6bの全体にグラウト102が充填された状態となし得る。
【0119】
図27は、ブロック連結体の端部に位置するコンクリートブロック2aの挿通孔3の外端部分を栓103で塞ぐと共に、そのブロックの連結用凹部6を前記カバー部材17で密閉状態に覆い、且つ前記流入孔55よりグラウト102を注入し、これが前記流出孔56より溢流したことを以てグラウト注入を完了した状態を示す。
【0120】
図4、
図9は、前記ボックスカルバート19としてのコンクリートブロック2,2相互を連結して貯水槽25を構築する場合を示すものであり、該コンクリートブロック2の連結体の端部を前記端面版23としてのコンクリートブロック2で閉塞する。この場合は
図4に示すように、該端面版23と前記コンクリートブロック2の挿通孔3,3に緊締材5を挿通して後、その両端部分7,7を両連結用凹部6,6内に突出させる。その後、該突出する端部分7を前記通孔13に挿通させて前記支持プレート12を前記内側面部9に当接させると共に、前記緊締材5を緊張状態とし、その両端部分7,7を、該支持プレート12で支持される定着具15によりコンクリートブロック2に定着させる。その後、一方の連結用凹部6aをカバー部材17で閉塞すると共に、該連結用凹部6aに連通する流入孔55を栓で塞ぐ。その後、他方の連結用凹部6bにおける前記連通孔50よりグラウトを注入し、このグラウトを、前記挿通孔3及び、一方の前記連通孔50を経て一方の前記連結用凹部6a内に流入させる。そして、該グラウトが前記流出孔56より溢流したことを以てグラウト注入を完了したことを確認できる。その後、他方の前記連結用凹部6bをカバー部材17で覆い、流入孔55よりグラウトを注入し、同様にして前記流出孔56よりグラウトが溢流したことを以てグラウト注入を完了する。
【0121】
(水中で施工するブロックの連結工法について)
次に前記連結装置1を用いるコンクリートブロック2,2相互の連結を水中で行う場合のブロック連結工法の一例を説明する。水中で施工する場合に用いられる、前記ボックスカルバート19としてのコンクリートブロック2は、下の入隅部分27aに設けられる連結用凹部6aの下端に連通されている前記流入孔55が、
図28に示すように、略水平に延びてブロック外に開放されている。そしてこの場合は、前記カバー部材17には前記流入孔55が設けられていない。
【0122】
前記連結装置1を用いるコンクリートブロック2,2相互の連結を水中で行う場合は、先ず、
図1、
図21に示すと同様に、中間に位置するコンクリートブロック2aの両端に位置させて、連結用凹部6を有するコンクリートブロック2a,2aを配置し、ブロック相互を当接状態にする。その際、ブロックの当接部分において、前記挿通孔3の連通部分を止水するために、該挿通孔3を囲む状態で、リング状の弾性軟質止水材(図示せず)を介在させる。ブロックの当接部分において、以下同様である。
【0123】
その後、
図1、
図22に示すと同様にして、連通状態にある挿通孔3,3,3,3に緊締材5を挿通せしめ、その両端部分7,7を両連結用凹部6,6内に突出させる。然る後
図3に示すと同様にして、該突出する端部分7に前記支持プレート12を嵌めると共に、前記緊締材5を前記と同様にして緊張状態とし、該緊締材5の端部分7を定着具15でコンクリートブロック2に定着せしめる。その後、
図23〜24、
図28、
図7〜8に示すと同様に、一方の連結用凹部6aの全体を前記カバー部材17で密閉状態に覆うと共に、前記流出孔56(
図28、
図8(A)、
図23)を栓で閉鎖し、他方の連結用凹部6bにおける支持プレート12の連通孔50より、
図3に矢印で示すように空気を注入する。これにより、挿通孔3から前記連結用凹部6a内に空気が入り込み、該連結用凹部6aの内圧が高まり、前記流入孔55(
図28、
図8(A))より徐々に水が排除される。
【0124】
然る後、前記流入孔55(
図28、
図8(A))を栓で塞ぐと共に前記流出孔56の前記栓を取り外し、他方の連結用凹部6bにおける前記支持プレート12の前記連通孔50より、矢印で示すようにグラウトを注入し、このグラウトを、挿通孔3、一方の支持プレートの連通孔50を経て前記一方の連結用凹部6a内に流入せしめ、この流入したグラウトが前記流出孔56(
図28、
図8(A))より溢流したことを以てグラウトの注入を完了する。これにより、挿通孔3及び一方の連結用凹部6aの全体にグラウト102が充填された状態となし得る。
【0125】
このように連結されたコンクリートブロックの連結体に、更に他のコンクリートブロックを連結する場合は、
図1に示し、又
図21に一点鎖線で示すように、前記中間のボックスカルバートと同様構成のボックスカルバート2bを介在させ、これに、連結用凹部6を具える前記コンクリートブロック2aを連設する。その後前記と同様にして、4個のコンクリートブロックに関し、連通状態にある挿通孔3,3,3,3に緊締材5 を挿通せしめ、その両端部分7,7を、両連結用凹部6b,6c内に突出させる。然る後、前記と同様に、該突出する端部7,7に支持プレート12,12を嵌め且つ、緊締材5を緊張状態として前記定着具15を定着させ、コンクリートブロックの連結を図る(
図22に示す状態と同様)。
【0126】
その後、2本の緊締材5,5が突き合わせられてなる連結用凹部6の全体を、
図28、
図8(A)に示すと同様に、前記と同様構成のカバー部材17で密閉状態に覆い、且つ前記のように、そのボルト孔75を挿通する前記固定ボルト73を前記ネジ孔37に螺合し緊締して、該カバー部材17をコンクリートブロック2に固定する。該連結用凹部6を該カバー部材17で閉蓋する際、前記突条部65を前記周縁欠切凹部30に嵌合させると共に、両支持プレート12,12の前記開放端側の両先端部分80,80を前記収容凹部81,81に収容させる(
図28、
図8(A))。
【0127】
その後、前記流出孔56(
図28、
図8(A))を栓で閉鎖すると共に、
図3に矢印で示すと同様にして、新たに設置したコンクリートブロックの連結用凹部6c(
図1)における支持プレート12の連通孔50より空気を注入する。これによって、挿通孔3から前記連結用凹部6b(
図23)内に空気が入り込み、該連結用凹部6bの内圧が高まり、前記流入孔55(
図55、
図8(A))より徐々に水が排除され、該連結用凹部6b内の水が空気と入れ代わる。
【0128】
然る後、前記流入孔(
図28、
図8(A))を栓で塞ぐと共に前記流出孔56の栓を取り外し、連結用凹部6c(
図1)における支持プレート12の連通孔50より、
図3に矢印で示すと同様にグラウトを注入し、このグラウトを、挿通孔3、前記連結用凹部6bに係る支持プレート12の連通孔50を経て該連結用凹部6b内に流入せしめ、この流入したグラウトが前記流出孔56より溢流したことを以て、グラウトの注入を完了する。これにより挿通孔3及び連結用凹部6bの全体にグラウト23が充填された状態となし得る。これを繰り返してコンクリートブロック相互を順次連結していく。
【0129】
水中施工の場合も、
図9、
図4に示すと同様に、前記ブロック連結体の端部を端面版23としてのコンクリートブロック2で閉塞する場合がある。然して、該端面版23と前記コンクリートブロック2の連通する挿通孔3,3に緊締材5を挿通して後、その両端部分7,7を両連結用凹部6,6内に突出させる。然る後
図3に示すと同様にして、該突出する端部分7に前記支持プレート12を嵌めると共に、前記緊締材5を前記と同様にして緊張状態とし、該緊締材5の端部分7を定着具15でコンクリートブロック2に定着せしめる。
【0130】
その後、2本の緊締材3,3が突き合わせられてなる連結用凹部6dの全体を、
図16〜17に示すように、前記と同様構成のカバー部材17で密閉状態に覆い、且つそのボルト孔75を挿通する固定ボルト73をネジ孔37に螺合し緊締して、該カバー部材17をコンクリートブロックに固定する。
【0131】
その後、前記ボックスカルバート19としてのコンクリートブロック2aの前記流出孔56を栓で閉鎖すると共に、端面版23の連結用凹部6e(
図4)における支持プレート12の連通孔50より空気を注入する。これによって、挿通孔3から、該連結用凹部6eに隣り合う連結用凹部6d(
図4)内に空気が入り込み、該連結用凹部6dの内圧が高まり、該連結用凹部6d(
図28、
図8)より徐々に水が排除され、該連結用凹部6d内の水が空気と入れ代わる。
【0132】
然る後、前記コンクリートブロック2aの前記流入孔55(
図28、
図8)を栓で塞ぐと共に、前記流出孔56の栓を取り外し、前記端面版23の連結用凹部6eにおける支持プレート12の連通孔50よりグラウトを注入し、このグラウトを、挿通孔3、前記連結用凹部6dに係る支持プレート12の連通孔50を経て該連結用凹部6d内に流入せしめ、前記流出孔56よりグラウトが溢流したことを以てグラウトの注入を完了する。
【0133】
その後、
図4に示すように、該端面版23に設けた連結用凹部6eをカバー部材17で塞ぎ且つそのボルト孔75を挿通する固定ボルト73を、該端面版23に埋設したネジ孔37に螺合し緊締することにより該カバー部材17を該端面版23に固定する。そして前記流出孔56より空気を注入すると、該連結用凹部内の6e内の内圧が高まり、前記流入孔55より徐々に水が排除され、該連結用凹部6e内の水が空気と入れ代わる。然る後、前記カバー部材17の前記流入孔55よりグラウトを注入して該連結用凹部6e内に流入せしめ、この流入したグラウトが前記流出孔56より溢流したことを以て、グラウトの注入を完了する。これにより、該連結用凹部6eの全体にグラウトが充填された状態となし得る。これを繰り返してコンクリートブロック相互を順次連結していく。
【0134】
前記のようにグラウト102の注入を完了する際、本実施例においては例えば
図7に示すように、前記流出孔56が前記突条部65において設けられていてその長さが長く、且つ垂直状態を呈することから、前記連結用凹部6a内に流入したグラウトが該連結用凹部6a内に完全に充填された後における液位の上昇を、該流出孔56における液位の上昇によって確認して、該流出孔56を上昇するグラウトが溢流する直前に該グラウトの注入を止めることも可能である。これによってグラウトの注入を完了できる。
【0135】
以上述べた、地上又は地中で施工するブロックの連結工法及び、水中で施工するブロックの連結工法において、充填されたグラウトの硬化によって形成された挿通孔3における硬化物は、緊締材5の周囲の隙間を埋めて該緊締材5をブロックと一体化させ得る。これにより、ブロックの接合部分が外力を受けてずれるのを確実に防止し得ると共に、前記緊締材5を剪断補強材として有効に機能させ得る。
【0136】
又、前記挿通孔3や前記連結用凹部6におけるグラウト硬化物は、前記緊締材5や前記支持プレート12、前記定着具15を被覆して防錆機能を発揮すると共に、凹陥部としての前記連結用凹部6をコンクリートブロック2と一体化させ該連結用凹部6を補強する。
【0137】
更に、前記カバー部材17は前記構成を有して薄肉に構成されているため次のような独特の作用効果を奏する。即ち、前記グラウト注入の際のグラウト圧力に耐え得る強度を有し、且つ該グラウト圧力によってひび割れが発生する恐れがない。又薄肉であっても、酸素や二酸化炭素、塩化物イオン等の鋼材を錆びさせる物質の透過・侵入を良好に抑制できるため、前記連結用凹部6に収容されている前記定着具15の腐食防止を図ることができる。加えて、前記連結工法を水路構築に応用した場合は、流水中のごみ等が前記カバー部材17に引っ掛かる等の問題を生じさせることがない。又、前記連結工法を貯水槽構築に応用した場合は、前記カバー部材17が該貯水槽の容積を減少させることがない。更に、前記カバー部材17を前記端面版23の外面に付設したときも、貯水槽を構築後に該貯水槽を土砂で埋め戻す際に該カバー部材17の下側部分に空洞を生じさせることがない。更に加えて、前記連結用凹部6に収容される前記支持プレート12や前記定着具15のサイズが大きくなってもこれらを所要に収容可能となし得るため、コンクリートブロック相互の連結による、水路や貯水槽などの構築物の耐震性向上、又、水路や貯水槽の大型化の要請に応えることができる。