特許第6876419号(P6876419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876419
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20210517BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   E05B85/16 B
   B60J5/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-236558(P2016-236558)
(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公開番号】特開2018-91082(P2018-91082A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】藪本 和久
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 和也
(72)【発明者】
【氏名】蟹和 一彦
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−308148(JP,A)
【文献】 特開2006−118349(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0001467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開放操作時の手掛けを提供するハンドル本体を有して車両のドアに固定され、ドアへの固定状態においてドア表面から外側に電子部品を配置した車両のドアハンドルであって、
前記電子部品に接続される制御回路が実装された実装基板が、ハンドル本体のドアへの固定状態においてドア内に配置される基板保持部に固定され、
かつ、前記基板保持部はハンドル本体から一端を自由端とした片持梁形状に形成される車両のドアハンドル。
【請求項2】
前記基板保持部は固定壁の両側縁から立ち上がり壁を立設して断面コ字形状に形成されるとともに、
前記実装基板は、前記基板保持部の固定壁と、基板保持部に嵌合固定される固定部材とに挟まれて固定される請求項1記載の車両のドアハンドル。
【請求項3】
前記ハンドル本体は、車両のドアに対して回転操作自在に装着され、
前記基板保持部はハンドル本体の回転中心近傍に形成される請求項1または2記載の車両のドアハンドル。
【請求項4】
ドアパネル裏面に固定されるハンドルベースを有するとともに、
前記ハンドル本体の一端部には、ハンドルベース内に挿通して該ハンドルベースとの間で回転中心を形成するヒンジ用突片が形成され、
前記基板保持部が前記ヒンジ用突片に形成される請求項3記載の車両のドアハンドル。
【請求項5】
前記基板保持部は、前記ハンドル本体の回転中心近傍から車幅方向に延設される請求項1から4のいずれかに記載の車両のドアハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアを開閉操作するための車両用ドアハンドルとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、ドアハンドルは、第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とを連結して中空状に形成され、中空部に電子部品が収容される。
【0003】
第1ハンドル部材には、上記電子部品に接続される制御回路を実装した実装基板が水平姿勢で固定され、該実装基板に外部配線とプラグイン接続するためのコネクタが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-254995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、実装基板は第2ハンドルにより覆われてハンドル全体の造形面が構成される領域に配置されるために、実装基板の大きさ等に造形上の要求からの制限が発生してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、ハンドル本体の造形上の制約を受けることなく実装基板を設定することのできる車両のドアハンドルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
車両のドア開放操作時の手掛けを提供するハンドル本体1を有して車両のドアに固定され、ドアへの固定状態においてドア表面から外側に電子部品2を配置した車両のドアハンドルであって、
前記電子部品2に接続される制御回路が実装された実装基板3が、ハンドル本体1のドアへの固定状態においてドア内に配置される基板保持部4に固定され、
かつ、前記基板保持部4はハンドル本体1から一端を自由端とした片持梁形状に形成される車両のドアハンドルを提供することにより達成される。
【0008】
ドアハンドルは、直接に、あるいはハンドルベース8を介してドアに固定されてドアへの開放操作時の手掛けとなるハンドル本体1を有しており、このハンドル本体1にはドアの動作等、適宜の制御対象を制御するための電子部品2が搭載される。
【0009】
電子部品2はドア外部からの操作等が可能なように、ドアへの固定状態においてドア表面から外部に配置されており、電子部品2からの出力に対する演算処理等は、ハンドル本体1上に実装される制御回路により行われる。
【0010】
制御回路が実装される実装基板3を造形用にはなりえないハンドル本体1のドア内への進入領域に固定する本発明において、造形上の制約を受けることなく実装基板3を設定することが可能になる。
【0012】
基板保持部4がハンドル本体1からの片持梁形状に形成される本発明において、ハンドル本体1に過大な操作力が負荷されて変形等が発生した場合であっても、基板保持部4への変形は発生しないために、実装基板3に外力が負荷されてプリント配線の断裂、実装素子の脱離、ランドとの接触不良等が発生することがない。
【0013】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記基板保持部4は固定壁5の両側縁から立ち上がり壁6を立設して断面コ字形状に形成されるとともに、
前記実装基板3は、前記基板保持部4の固定壁5と、基板保持部4に嵌合固定される固定部材7とに挟まれて固定される車両のドアハンドルを構成することができる。
【0014】
本発明において、実装基板3は表裏両面が基板保持部4の固定壁5と固定部材7とにより、両側面が基板保持部4の立ち上がり壁6により囲まれた状態で固定されるために、組立作業時の他の部品との衝接等による実装基板3の損傷を確実に防止することが可能になる。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記ハンドル本体1は、車両のドアに対して回転操作自在に装着され、
前記基板保持部4はハンドル本体1の回転中心近傍に形成される車両のドアハンドルを構成することができる。
【0016】
本発明において、基板保持部4がハンドル本体1の回転中心近傍に配置されるために、ハンドル本体1に対する回転操作時の移動距離が少なくなるために、ドア内に大きな移動スペースを確保する必要がなくなる。
【0017】
さらに、前記基板保持部4は、前記ハンドル本体1の回転中心近傍から車幅方向に延設される車両のドアハンドルを構成した場合には、車両に側方衝突力が負荷された際の基板保持部4、および実装基板3に発生する回転モーメントを可及的に小さくすることが可能になる。この結果、側方衝突によるハンドル本体1に発生するドア開放操作方向の慣性力をカウンターウエイト10bにより打ち消すような構成を取る場合にはカウンターウエイト10bの重量を軽くすることができるために車両全体の軽量化に貢献することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ハンドル本体に形成されて実装基板が固定される基板保持部をドアへの固定時においてドア内に位置する部位に配置したので、ハンドル本体の造形上の制約を受けることなく実装基板を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を示す正面図である。
図2図1の2A-2A線断面図である。
図3図1の斜視図である。
図4】ハンドル本体の裏面方向から見た斜視図である。
図5】裏面カバーへの静電容量センサの組み込み工程を示す分解斜視図である。
図6】ハンドル本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1以下に示すように、ドアハンドルは車両用ドアの外壁を形成するドアアウターパネルの裏面に固定されるハンドルベース8にハンドル本体1を連結して形成される。
【0021】
図2に示すように、ハンドルベース8は、前後端部に前方開口8a、および後方開口8bを備えるとともに、後端部に軸長方向を前後方向に向けた回転軸(C10)周りに回転自在な作動レバー10を備える。なお、本明細書において、車両への取り付け状態を基準に図1における左側を「前方」、紙面手前側を「表面」、反対側を「裏面」、紙面上部を「上方」とする。
【0022】
ハンドル本体1は、裏面カバー11の表面を表面カバー12により覆って形成される。裏面カバー11は、前端部に一旦裏面側に突出した後、前方に延設されるヒンジ用突片9を、後端部に裏面側に突出する作動脚13を各々備えており、表面カバー12を連結したハンドル本体1の装着は、ヒンジ用突片9をハンドルベース8の前方開口8aに通過させてドア内に挿入させた後、前方にスライドさせて行われる。スライド位置からの挿入開始位置への復帰を規制し、ハンドル本体1のハンドルベース8からの離脱を規制するために、ハンドルベース8にはストッパブロック14が固定される。
【0023】
本例においてストッパブロック14としてシリンダ錠が使用されており、裏面端部をハンドルベース8の後部開口8bからドア内に挿入した後、止着子15を使用してハンドルベース8に固定される(図2参照)。また、ストッパブロック14の表面部には、キャップ部材16が配置される。
【0024】
なお、本例においてストッパブロック14としてシリンダ錠を使用した場合が示されているが、後述するように施解錠操作を電子的手段にのみ行う場合には、表層部には意匠的処理を施したブロック状部材をストッパブロック14として使用することができる。
【0025】
以上のようにしてハンドルベース8に連結した状態においてハンドル本体1の作動脚13に形成される作動段部13a上に作動レバー10のアーム部10aが載った状態となり、ハンドル本体1の後方への移動は、作動脚13の後端面がストッパブロック14のストッパ突起14aに当接して、前方への移動は、作動脚13の前端面が作動レバー10のアーム部10aに当接して各々規制される。
【0026】
また、作動脚13の後端面13bは円弧面により形成されており、ハンドル本体1は、上記円弧面の中心を回転中心とする回転方向への自由度が与えられる。さらに、ハンドル本体1は、トーションスプリング17が作動レバー10に与える付勢力により裏面側に押し付けられて図2に示す初期回転位置に保持される。
【0027】
したがって本例において、上記付勢力に抗してハンドル本体1を作動方向、すなわち、図2において回転中心(C1)周りに反時計方向に回転操作すると、作動レバー10が回転する。図1に示すように、作動レバー10は操作力伝達ケーブル18を介してドアラッチ装置19に連結されており、作動レバー10の回転に伴って該ドアラッチ装置のラッチ解除動作が行われる。
【0028】
また、上記作動レバー10にはカウンターウエイト10bが連結される。カウンタウエイト10bは、車両に側方衝突力が負荷された際にハンドル本体1に発生するドア開放操作方向の慣性力を打ち消すに十分な慣性力を有するように設定されており、側方衝突時にハンドル本体1に発生する慣性力によるドアの開放が防止される。
【0029】
また、ストッパブロック14にシリンダ錠を使用する本例において、上記作動レバー10、すなわち、ハンドル本体1への回転操作によるドアラッチ装置19のラッチ解除動作は、シリンダ錠が解錠状態にあるときにのみ許容され、施錠状態において拒絶される。
【0030】
以上のように構成されるハンドル本体1には電子部品2が搭載される。本例において、電子部品2として押しボタンスイッチ2Pと静電容量センサ2Sが搭載されており、押しボタンスイッチ2Pはドアラッチ装置19に対する施錠指令のトリガスイッチとして、静電容量センサ2Sは、ドアラッチ装置19に対する解錠指令のトリガスイッチとして使用される。
【0031】
上記押しボタンスイッチ2Pは、裏面カバー11の後端部に固定されており、操作ボタン部2aが表面カバー12に開設されたボタン開口12aから露出する。
【0032】
静電容量センサ2Sは、静電電極2bと静電電極2bにおける静電容量の変化から断接信号を生成する制御部とから構成され、静電電極2bは裏面カバー11の中央部、正確には、裏面カバー11に形成された手掛用凹部11aに対応した位置で、該手掛用凹部11aへのての接触検出精度を高めるために、裏面カバー11の裏面壁面に近接した位置に配置される。
【0033】
これら静電電極2b、および押しボタンスイッチ2Pには配線20が接続され、各配線20の一端が基板保持部4に固定される実装基板3に接続される。実装基板3には制御装置21に接続される外部配線22にプラグイン接続されるコネクタ23が固定されるとともに、上述した静電容量センサ2Sの制御部、あるいは押しボタンスイッチ2Pの配線20とコネクタ23とを接続するプリント配線、さらには、必要に応じて制御装置21とのインターフェイス回路等の制御回路が実装される。
【0034】
上記基板保持部4は、上記裏面カバー11のヒンジ用突片9の前端から裏面方向に向けて突設される。この基板保持部4は固定壁5の両側縁から立ち上がり壁6を突設することにより後方に向けて開放されるコ字状断面形状に形成されており、ヒンジ用突片9との境界壁には前後方向に延びる配線通過用凹凸条4aが形成される(図5参照)。
【0035】
本例において基板保持部4は、ハンドル本体1の回転中心(C1)から裏面方向、正確には、ドアに固定した状態で車幅方向に向かう方向に突設される。この結果、車両に室内側に向いた側方衝突力が負荷された場合にも、基板保持部4、およびこれに沿って固定される実装基板3に発生するハンドル本体1を作動方向に回転させる慣性力を可及的に小さくすることができる。
【0036】
このように基板保持部4等に起因する慣性力を小さくすることにより、作動レバー10に連結されるカウンターウエイト10bの重量も小さく設定することができるために、ハンドル装置全体の軽量化を図ることができる。
【0037】
図2に示すように、実装基板3は実装面を固定壁5に対峙させた姿勢で立ち上がり壁6間に挟まれる状態で装着され、背面を直方体状の固定部材7により固定される。なお、固定部材7には、経時固化性の充填樹脂を使用することで、実装基板3の防水をしつつ、基板保持部4に固定することができる。
【0038】
図2の拡大図に示すように、本例において、基板保持部4の固定壁5には実装基板3の表面側端縁隅部と、裏面側辺縁から突出するスペーサ突起5aが設けられており、表面側端縁隅部のスペーサ突起5aを実装基板3の隅部に、裏面側辺縁のスペーサ突起5aをコネクタ23に当接させることにより固定壁5と実装基板3との間に実装基板3上の素子を収容するスペースが形成される。
【0039】
以上の構成の下、ハンドル本体1の手掛用凹部11aに指がかけられて静電容量センサ2Sにより検出されると実装基板3からドア制御装置として構成される制御装置21に解錠要求信号が出力され、制御装置21による操作者が所持する携帯器の認証動作が開始される。認証動作により認証が成立すると、制御装置21はドアラッチ装置19に解錠信号を出力してドアラッチ装置19を解錠状態に移行させる。
【0040】
この後、ハンドル本体1を回転操作すると、作動レバー10の変位がドアラッチ装置19に伝達され、ドアラッチ装置19のラッチ解除動作が行われる。また、ハンドル本体1への回転操作時において、コネクタ23の連結部はハンドル本体1の回転中心から裏面側に降ろした垂線上で、かつ、回転中心近傍に位置しているために、コネクタ23の振り幅が可及的に小さなために、コネクタ23に接続される外部配線20の移動量も小さくなり、外部配線20への負荷、コネクタ23の緩みの原因となることがない。
【0041】
さらに、閉扉、解錠状態において押しボタンスイッチ2Pが押下されて制御回路により生成されたON信号が制御装置21に出力されると、認証成立を条件としてドアラッチ装置19が施錠状態に移行する。
【符号の説明】
【0042】
1 ハンドル本体
2 電子部品
3 実装基板
4 基板保持部
5 固定壁
6 立ち上がり壁
7 固定部材
8 ハンドルベース
9 ヒンジ用突片
図1
図2
図3
図4
図5
図6