(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:1と配列番号:3の両方からなる群より選択されたポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の遺伝子導入マウス。
前記T細胞受容体が、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:2と配列番号:4の両方からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の遺伝子導入マウス。
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:1と配列番号:3の両方からなる群より選択されたポリヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の単離T細胞。
前記T細胞受容体が、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:2と配列番号:4の両方からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離T細胞。
前記胚が受精卵または分割球であり、前記ポリヌクレオチドの前記受精卵への導入が微量注入法によって実行され、前記ポリヌクレオチドの前記分割球への導入がレトロウイルス感染による、請求項10に記載の方法。
前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:1と配列番号:3の両方からなる群より選択されたポリヌクレオチド配列を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
前記T細胞受容体が、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:2と配列番号:4の両方からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含むゲノムを有する遺伝子導入非ヒト哺乳動物に関する。この場合の非ヒト哺乳動物のT細胞は、そのT細胞受容体を含む。
【0026】
一つの実施形態によれば、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、マウスまたはネズミ等の齧歯動物である。遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、他種の哺乳動物を含んでもよい。遺伝子導入プロシージャは、例えば、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ハムスター、ウサギ、ウシおよびモルモットを含む種々の非ネズミ哺乳動物で成功している(例えば、参照により本文に全文を援用するKim et al., 「Development of a Positive Method for Male Stem‐cell Mediated Gene‐transfer in Mouse and Pig,」 Mol.Reprod.Dev.46(4):515‐526(1997);Houdebine, 「The Production of Pharmaceutical Proteins from the Milk of Transgenic Animals,」 Reprod.Nutr.Dev.35(6):609‐617(1995);Petters, 「Transgenic Livestock as Genetic Models of Human Disease,」 Reprod.Fertil.Dev.6(5):643‐645(1994);Schnieke et al., 「Human Factor IX Transgenic Sheep Produced by Transfer of Nuclei from Transfected Fetal Fibroblasts,」 Science278(5346):2130‐2133(1997);Amoah&Gelaye, 「Biotechnology Advances in Goat Reproduction,」 J.AnimalScience75(2):578‐585(1997)を参照)。
【0027】
より詳細に下記に考察するように、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、形質移入、電気穿孔法、微量注入法、胚性幹細胞における標的遺伝子組み換え、ならびに組み換えウイルスおよびレトロウイルス感染を含む種々の異なる方法によって生成できる(例えば、参照により本文に全文を援用するLeder et al.への米国特許第4,736,866号;Beaudet et al.への米国特許第5,602,307号;Mullins et al., 「Transgenesis in Nonmurine Species,」 Hypertension22(4):630‐633(1993);Brenin et al., 「Transgenic Technology:An Overview of Approaches Useful in Surgical Research,」 Surg.Oncol.6(2)99‐110(1997);Methods in Molecular Biology,vol.62:Recombinant Gene Expression Protocols,R.Tuan(ed.)Humana Press,Inc.,Totowa,N.J.(1997);Robinson et al.への米国特許第5,489,743号;Beaudet et al.への米国特許第5,602,307号およびLois et al., 「Germline Transmission and Tissue‐Specific Expression of Transgenes Delivered by Lentiviral Vectors,」 Science295(5556):868‐872(2002)を参照)。
【0028】
一つの実施形態によれば、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含むゲノムを含む。言い換えると、遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、そのゲノムを介して、蛍光タンパク質に特異的な(例えば、抗原特異的)T細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を発現する。したがって、遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、所望のT細胞受容体を発現するリンパ細胞を含む。哺乳動物は、実質的にすべてのリンパ細胞が所望の抗原特異性T細胞受容体を発現するように生み出されてもよい。したがって、遺伝子導入哺乳動物は、非ヒト胚性幹細胞に、所望の抗原特異性T細胞受容体をコードする抗原特異性ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド送達系を接触させることを含む方法によって生み出されてもよい。一つの実施形態におけるポリヌクレオチド送達系は、レンチウイルス・ベクター等のレトロウイルス・ベクターを含む。
【0029】
代替的に、遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、リンパ細胞の亜集団のみが所望の抗原特異性T細胞受容体を発現するような様式で生み出されてもよい。この実施形態によれば、この亜集団の細胞は、独特な抗原特異性を有し、免疫応答を誘発可能な他の抗原特異性ポリペチドを全く発現しない。特に、それらリンパ細胞は、他のT細胞受容体を発現してはならない。そのような非ヒト哺乳動物は、造血幹細胞に、所望の抗原特異性ポリペプチドをコードする抗原特異性ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド送達系を接触させることによって生み出されてもよい。それら造血幹細胞は、それから、独特な抗原特異性を有するリンパ細胞へ成長する非ヒト哺乳動物へ移入される。
【0030】
本文の用語「特性」は、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体に関して用いられる場合、一つの実施形態によれば、T細胞受容体が、分子間のバックグラウンド相互作用よりも高い結合親和性で蛍光タンパク質と差別的に結合することを意味する。例えば、本発明の文脈における「バックグラウンド相互作用」は、親和性が、10E‐4 MのK
Dよりも低い相互作用である。したがって、一つの実施形態によれば、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体は、約10E‐5 MのK
Dよりも高い親和性を有する蛍光タンパク質に結合する。
【0031】
もう一つの実施形態によれば、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体は、T細胞受容体が、非蛍光タンパク質または非蛍光タンパク発現細胞に対する場合に比べ、より頻繁に、より急速に、より長期間および/または、より高い親和性で、蛍光タンパク質または蛍光タンパク発現細胞に反応する、あるいは関わることを意味する。例えば、蛍光タンパク質に特異的に結合するT細胞受容体は、他の非蛍光タンパク質に結合するのに比べ、より高い親和性、結合活性を有して、より容易におよび/またはより長期間、その蛍光タンパク質に結合する。
【0032】
一つの実施形態によれば、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体は、蛍光タンパク発現細胞を殺す能力を有してもよい。もう一つの実施形態においては、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体は、蛍光タンパク発現細胞を殺す能力を有するが、非蛍光タンパク発現細胞を殺す能力を欠いてもよい。
【0033】
一つの実施形態によれば、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体は、本文に説明の蛍光タンパク質の特定の結合部位、すなわちエピトープで、蛍光タンパク質に結合してもよい。
【0034】
本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物におけるT細胞受容体は、緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質に対して特異的である。蛍光タンパク質は、天然に存在するタンパク質、あるいは天然に存在する蛍光タンパク質の誘導体等の改変タンパク質であってもよい。模範的な蛍光タンパク質は、限定せずに、GFP等のオワンクラゲ由来のタンパク質、高感度緑色蛍光タンパク質(「eGFP」)および黄色蛍光タンパク質(「YFP」)を含む。
【0035】
緑色蛍光タンパク質は、オワンクラゲによって生成される天然蛍光タンパク質である。天然タンパク質内のいくつかのアミノ酸残基は、ポリペプチドが、内筒の軸に沿って延在するαヘリックスが通る11鎖βバレル構造へ折り畳まれるとき、蛍光体を自然発生的に形成する。広い種類のタンパク質に対してN末端およびC末端融合を許容するので、GFPは、主として蛍光タンパク質タグとして、すなわち、GFPのキメラタンパク質を他のタンパク質にリンクさせるために使用されてきた。そのリンクにおいて、GFPは、それが融合するタンパク質が、いつ、どこに、どれだけの量存在するのかを明らかにする指標として機能する。GFPは、この能力があるために、細菌、酵母、粘菌、植物、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ内で、および哺乳動物細胞内で発現させられている。
【0036】
それが単離されたクラゲにおいては、GFPは、生物発光タンパク質エクオリンとの生理的相互作用に関わり、エネルギー移動を介して、その青色光吸収を緑色光放射へ転換する。GFPの大部分の応用例では、この二重要素構成は再現されず、光学計測機器を介したGFPまたはその誘導体の励起が行われる。
【0037】
本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物のT細胞受容体が特異的な蛍光タンパク質は、以下の修飾の一つ以上を含むものである。循環配列(参照により全文が本文に援用されるBaird et al., 「Circular Permutation and Receptor Insertion Within Green Fluorescent Proteins,」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:11241‐11246(1999))、分裂(参照により全文が本文に援用されるZhang et al., 「Combinatorial Marking of Cells and Organelles with Reconstituted Fluorescent Proteins,」 Cell 119:137‐144(2004))、増強折畳み(参照により全文が本文に援用されるPedelacq et al., 「Engineering and Characterization of a Superfolder Green Fluorescent Protein,」 Nat.Biotechnol.24:79‐88(2006))、または他の修飾(参照により全文が本文に援用されるZhang et al., 「Creating New Fluorescent Probes for Cell Biology,」 Nat.Rev.Mol.CellBiol.3:906‐918(2002))。
【0038】
本発明に適切な蛍光タンパク質(およびそれらのコード化核酸)の具体的な非限定例は、限定せずに、GenBank受託番号AB195239、AY013821、AY013824、AY013825、AY013826、AY013827、AF435427、AF435428、AF435429、AF435430、AF435431、AF435433、DQ525025、X83959、X83960、X96418、BD136947、BD136948、BD136949、U73901、AF302837、AF183395、AF058694、U50963、L29345、M62653およびM62654として報告されたものを含む。
【0039】
一つの実施形態における蛍光タンパク質は、アミノ酸ドメインHYLSTQSAL(配列番号:5)を含む蛍光タンパク質である。
【0040】
もう一つの実施形態においては、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号:1(
図2)、配列番号:3(
図4)、または配列番号:1と配列番号:3の組み合わせのポリヌクレオチド配列を含む。配列番号:1および配列番号:3に記載のポリヌクレオチド配列は、模範的なものである。蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードする他のポリヌクレオチド配列も使用可能である。例えば、抗原特異性T細胞受容体に類似し、それをコードするポリヌクレオチド配列も使用可能である。そのような配列は、配列番号:1および配列番号:3に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%一致してもよい。マウスではない非ヒト哺乳動物種を用いる場合、ポリヌクレオチド配列は、典型的に、その種本来のT細胞受容体コード化配列と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%一致する。
【0041】
当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかであるが、各々のT細胞受容体遺伝子内には、「C領域」があり、その部分が、受容体の定常ドメインに対してコード化する。この領域は、蛍光タンパク質の特異性に直接的に関連しない。すべての他のドメイン(V領域、J領域、超可変領域)は可変であり、蛍光タンパク質に対する特異性を提供するのは、それらの特定の組み換えである。したがって、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含むゲノムを有する遺伝子導入非ヒト哺乳動物を生成するように、多数のポリヌクレオチド配列が設計されてもよい。この場合の非ヒト哺乳動物のT細胞は、そのT細胞受容体を含む。
【0042】
もう一つの実施形態における抗原特異性T細胞受容体は、配列番号:2(
図3)、配列番号:4(
図5AおよびB)、または配列番号:2と配列番号:4の組み合わせのアミノ酸配列を含む。配列番号:2および配列番号:4の抗原特異性T細胞受容体配列は模範的なものであり、本発明は、これらの配列のみを含む遺伝子導入非ヒト哺乳動物に限定されない。例えば、配列番号:2および配列番号:4に類似のアミノ酸配列も使用可能である。そのような配列は、配列番号:2および配列番号:4に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%一致してもよい。もう一度言うが、マウスではない非ヒト哺乳動物種を用いる場合、抗原特異性T細胞受容体は、典型的に、その種本来のT細胞受容体と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%一致する。
【0043】
一つの実施形態によれば、T細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列は、主要組織適合複合体(MHC)IまたはII内に装填された蛍光タンパク質に対して特異的である。
【0044】
本発明のもう一つの態様は、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物からの単離T細胞に関する。
【0045】
一つの実施形態によれば、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物からの単離T細胞は、精製T細胞である。本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物からの単離精製T細胞は、当該技術分野の通常の知識を有する者に既知であり利用される複数の方法によって取得できる。一つの実施形態における単離T細胞は、(例えば、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%純粋な)精製形態にある。
【0046】
本発明の更なる態様は、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現構築物を含む単離T細胞に関する。
【0047】
選択発現系内へ、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列(すなわち、核酸分子)を導入することは、従来の組み換え技術を用いて実行できる。通常、これは、分子が異種である(すなわち、通常存在しない)発現系内へポリヌクレオチド配列を挿入することを伴う。非ヒト哺乳動物宿主への特定の外来または生来の遺伝子の導入は、遺伝子配列を適切な発現構築物またはベクターへ最初に導入することによって促進される。本文の用語「構築物」または「ベクター」は、プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ウィリオン等の任意の遺伝因子を意味する。これは、適切な制御因子との関わりで複製が可能で、また、細胞間での遺伝子配列の転送が可能である。したがって、この用語は、クローン化ベクターおよび発現ベクター、また、ウイルス・ベクターをも含む。異種核酸分子は、正しいセンス(5'→3')配向および適切な解読枠で発現構築物またはベクターへ挿入される。ベクターは、挿入されたT細胞受容体コード化配列の転写および翻訳に必要な因子を含んでいる。
【0048】
参照により全文が本文に援用されるCohenおよびBoyerへの米国特許第4,237,224号は、制限酵素切断とDNAリガーゼでの連結を用いることによる組み換えプラスミドの形態での発現系の生成を説明する。これらの組み換えプラスミドは、それから、形質転換によって導入され、組織培養で増殖させた原核生物および真核細胞を含む単細胞培養物内で複製される。
【0049】
組み換え遺伝子は、また、ウイルスへ導入してもよい。それらのウイルスは、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルス(レンチウイルスを含む)を含む。組み換えウイルスは、ウイルスに感染させた細胞内へのプラスミドの形質移入によって生成可能である。
【0050】
適切なベクターは、以下のウイルス・ベクターを含むが、これらに限定されるものではない。例えば、ラムダ・ベクター系gt11、gt WES.tB、シャロン4、および、pBR322、pBR325、pACYC177、pACYC184、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19、pLG339、pR290、pKC37、pKC101、SV40、pBluescript II SK+/−またはKS+/−等のプラスミド・ベクター(参照により全文が本文に援用されるStratagene Cloning Systems Catalog(1993)from Stratagene,La Jolla,Calif.を参照)、pQE、pIH821、pGEX、pFastBacシリーズ(インビトロジェン)、pETシリーズ(参照により全文が本文に援用されるF.W.Studier et.al., 「Use of T7 RNA Polymerase to Direct Expression of Cloned Genes,」 Gene Expression Technology,185(1990)を参照)、および、それらの任意の誘導体。組み換え分子は、形質転換、特に形質導入、接合、可動化または電気穿孔を介して細胞内へ導入できる。DNA配列は、参照により全文が本文に援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Laboratory, Cold Springs Harbor,N.Y.(1989)に説明のように、当該技術分野における標準クローン化プロシージャを用いてベクター内へクローン化される。
【0051】
細胞内でT細胞受容体コード化配列を発現させるために、種々の宿主ベクター系が利用されてもよい。第一に、ベクター系には、使用宿主細胞との互換性がなければならない。宿主ベクター系は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。バクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAで形質転換させた細菌。酵母ベクターを含む酵母等の微生物。(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等の)ウイルスに感染させた哺乳動物細胞系。ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系。および細菌に感染させた植物細胞。これらベクターの発現因子は、強度および特異性が異なる。利用宿主ベクター系に応じて、多数の適切な転写および翻訳因子のいずれか一つを使用できる。
【0052】
異なる遺伝子信号および処理イベントが、多くのレベルの遺伝子発現を制御する(例えば、DNA転写およびメッセンジャーRNA(「mRNA」)翻訳)。DNAの転写は、RNAポリメラーゼの結合を指示し、それによりmRNA合成を促進するDNA配列であるプロモーターの存在に依存している。真核プロモーターのDNA配列は、原核プロモーターのものとは異なる。さらに、真核プロモーターおよび付随遺伝子信号は、原核生物系内では認識されない、あるいは原核生物系内では機能しない可能性があり、さらに、原核プロモーターは、真核細胞内では認識されず機能しない。
【0053】
同様に、原核生物におけるmRNAの翻訳は、真核生物のものとは異なる相応な原核信号の存在に依存する。原核生物におけるmRNAの効率的な翻訳は、mRNA上に、シャイン・ダルガーノ(「SD」)配列と呼ばれるリボソーム結合部位を必要とする。この配列は、そのタンパク質のアミノ末端メチオニンをコードする開始コドン、通常AUG、の前に位置するmRNAの短いヌクレオチド配列である。SD配列は、16S rRNA(リボソームRNA)の3'‐末端と相補的であり、リボソームの適切な位置決めを許容するために、おそらく、rRNAとの二本鎖形成によってmRNAのリボソームへの結合を促進する。遺伝子発現の最大化の概説に関しては、参照により全文が本文に援用されるRoberts and Lauer, Methods in Enzymology68:473(1979)を参照。
【0054】
プロモーターは、それらの「強度」(すなわち、転写促進能力)が異なる。クローン遺伝子を発現させるためには、高レベルの転写、それによる遺伝子の発現を得るよう、強力なプロモーターを使用することが望ましい。利用宿主細胞系に応じて、多数の適切なプロモーターのいずれか一つを使用してもよい。例えば、大腸菌、そのバクテリオファージまたはプラスミドにおけるクローン化の際は、例えば、PHプロモーター、T7ファージ・プロモーター、ラック・プロモーター、trpプロモーター、recAプロモーター、リボソームRNAプロモーター、限定せずにlacUV5、ompF、bla、lppを含むコリファージ・ラムダ等のP
RおよびP
Lプロモーターなどのプロモーターが、近接DNAセグメントの高レベルの転写を指令するために使用されてもよい。加えて、組み換えDNAあるいは他の合成DNA技術によって生成したハイブリッドtrp‐lacUV5(tac)プロモーターまたは他の大腸菌プロモーターが、挿入遺伝子の転写を提供するために使用されてもよい。
【0055】
特に誘発されない限りプロモーターの活性を阻止する細菌宿主細胞株および発現ベクターが選択されてもよい。ある特定のオペロンでは、挿入DNAの効率的な転写のために特異的な誘導因子の添加が必要である。例えば、ラック・オペロンは、ラクトースまたはIPTG(イソプロピルチオ‐ベータ‐D‐ガラクトシド)の添加によって誘発される。trp、pro等の種々の他のオペロンは、異なる制御下にある。
【0056】
特異的な開始信号も、原核細胞内の効率的な遺伝子転写および翻訳に必要である。これら転写および翻訳開始信号は、各々、遺伝子特異的メッセンジャーRNAおよび合成タンパク質の量によって測定される「強度」が異なってもよい。プロモーターを含むDNA発現ベクターは、種々の「強力な」転写および/または翻訳開始信号のいずれの組み合わせを含んでもよい。例えば、大腸菌の効率的な翻訳は、リボソーム結合部位を提供するための開始コドン(ATG)に対して約7〜9塩基5'側のシャイン・ダルガーノ(SD)配列を必要とする。したがって、宿主細胞リボソームによって利用可能な、いずれのSD‐ATG組み合わせを使用してもよい。そのような組み合わせは、cro遺伝子またはコリファージ・ラムダのN遺伝子からの、あるいは大腸菌トリプトファンE、D、C、BまたはA遺伝子からのSD‐ATG組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。加えて、組み換えDNAによって、あるいは合成ヌクレオチドの組み込みを伴う他の技術によって生成されたいずれのSD‐ATG組み合わせを使用してもよい。
【0057】
利用ベクター系および宿主に応じて、構成的で、誘導可能で抑制可能なプロモーターならびに最小5'プロモーター因子を含む適切な転写および/または翻訳因子をいくつでも使用してもよい。
【0058】
当該技術分野において既知である標準クローン化プロシージャ、例えば、参照により全文が本文に援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(2001)に説明のものを用いて核酸構築物を調製するために、T細胞受容体コード化核酸、選択プロモーター分子、適切な3'制御領域および、必要に応じて、レポーター遺伝子が、選択ベクター発現系へ組み入れられる。
【0059】
蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードする核酸分子が、センス(すなわち、5'→3')方向でベクターへ挿入されるので、開放解読枠は、選択プロモーター制御下での蛍光タンパク質に特異的なコード化T細胞受容体の発現のために、適切に配向される。核酸構築物を調製するために、適切なプロモーターの制御下で、単一または複数の核酸が、適切なベクター内へこのように結合されてもよい。
【0060】
蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードする単離核酸分子が発現ベクターへ挿入されると、宿主細胞への組み入れの準備が整う。組み換え分子は、形質転換、特に形質導入、接合、リポフェクション、原形質体融合、可動化、粒子衝撃または電気穿孔を介して細胞へ導入できる。DNA配列は、当該技術分野において既知である標準クローン化プロシージャ、例えば、参照により全文が本文に援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Springs Laboratory,Cold Springs Harbor,N.Y.(1989)に説明のものを用いて宿主細胞内へ組み込まれる。適切な宿主は、細菌、ウイルス、酵母、真菌、非ヒト哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
典型的に、形質転換細胞のみの選択成長に有用な抗生物質あるいは他の化合物が、培地補充物として追加される。使用すべき化合物は、宿主細胞の形質転換に用いたプラスミド内に存在する選択可能なマーカー因子に応じて決定される。適切な遺伝子は、ゲンタマイシン、G418、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールなどに耐性を与えるものである。同様に、識別可能な化合物の生成を提供する酵素をコードする「レポーター遺伝子」、または、遺伝子送達の結果に関わる関連情報を示す他のマーカーが適切である。例えば、異種遺伝子の存在が視覚的に確認できるような、種々の発光性または蛍光性レポーター遺伝子も適切である。
【0062】
本発明のもう一つの態様は、遺伝子導入非ヒト哺乳動物の作製方法に関する。この方法は、遺伝子導入胚を生み出すために、発現構築物を非ヒト哺乳動物胚へ導入することを伴う。この発現構築物は、プロモーターと機能し得るように連結された蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む。方法は、また、遺伝子導入胚を疑似妊娠非ヒト哺乳動物へ移植すること、遺伝子導入胚を成熟させること、および、前記ポリヌクレオチドを含む少なくとも1匹の遺伝子導入仔を単離することを伴う。
【0063】
この方法では、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列が、当該技術分野技術者に周知の標準的な方法によって、遺伝子導入非ヒト哺乳動物のゲノム内へ統合可能である。遺伝子導入動物の樹立系を生み出すための動物への導入遺伝子の導入には、当該技術分野において既知である種々の技術のいずれを使用することもできる(例えば、参照により全文が本文に援用されるHogan et al.,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1986;Hogan et al.,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1994;およびLazzariniへの米国特許第5,602,299号;Krimpenfortへの米国特許第5,175,384号;Ginsburgへの米国特許第6,066,778号;およびSato et alへの米国特許第6,037,521号を参照)。そのような技術は、前核微量注入法(参照によって全文が本文へ援用されるWagner et al.への米国特許第4,873,191号)、生殖細胞系へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(参照により全文が本文に援用されるVan der Putten et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:6148‐6152(1985))、胚性幹細胞における標的遺伝子導入(参照により全文が本文に援用されるThompson et al.,Cell 56:313‐321(1989))、胚の電気穿孔(参照により全文が本文に援用されるLo et al.,Mol.Cell.Biol.3:1803‐1814(1983))、および、精子媒介遺伝子導入(参照により全文が本文に援用されるLavitrano et al.,Cell 57:717‐723(1989))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
例えば、遺伝子導入動物を生み出すための遺伝子導入には、種々の発育段階にある胚細胞が使用できる。胚細胞の成長段階に応じて、異なる方法が使用される。受精卵は、微量注入法に対しての優れた標的であり、受精卵への微量注入方法は周知である(参照により全文が本文に援用されるWagner et al.への米国特許第4,873,191号を参照)。マウスでは、オス前核は、1〜2ピコリットル(pl)のDNA溶液の再現可能な注入を許容する直径約20マイクロメートルのサイズに達する。遺伝子導入の標的としての受精卵の使用には、ほとんどのケースで、注入DNAが第一卵割の前に宿主ゲノムに組み入れられるという利点がある(参照により全文が本文に援用されるBrinster et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:4438‐4442(1985))。結果として、遺伝子導入非ヒト動物のすべての細胞が、統合導入遺伝子を担持することになる。これは、生殖細胞の50%が導入遺伝子を保持することになるため、概して、樹立系の仔への導入遺伝子の効率的な伝達にも反映される。
【0065】
本発明の遺伝子導入動物は、胚性幹(「ES」)細胞への標的ベクターの導入によって生み出すこともできる。ES細胞は、適切な条件下で、着床前胚をインヴィトロで培養することにより得られる。(参照により全文が本文に援用されるEvans et al.,Nature292:154‐156(1981);Bradley et al.,Nature309:255‐258(1984);Gossler et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA83:9065‐9069(1986);および Robertson et al.,Nature322:445‐448(1986))。導入遺伝子は、当該技術分野において既知である種々の方法を用いて、DNA感染により効率的にES細胞へ導入できる。それら方法は、電気穿孔、リン酸カルシウム共沈、プロトプラストまたはスフェロプラスト融合、リポフェクションとDEAEデキストラン媒介形質移入を含む。導入遺伝子は、また、レトロウイルス媒介形質導入または微量注入法によってもES細胞へ導入できる。そのような形質移入ES細胞は、胞胚段階の胚の胞胚腔へ導入された後、胚にコロニーを形成可能であり、その結果として生じるキメラ動物の生殖細胞系に寄与する(参照により全文が本文に援用されるJaenisch,Science240:1468‐1474(1988)を参照)。胞胚腔への形質移入ES細胞の導入前に、形質移入ES細胞は、導入遺伝子を統合したES細胞を富化させるために、種々の選択プロトコルに、導入遺伝子がそのような選択手段を提供するなら、曝してもよい。代替的に、導入遺伝子を統合したES細胞についてスクリーニングを行うために、PCRを使用してもよい。この技術は、胞胚腔への移入前の適切な選択条件下で、形質移入ES細胞の成長を不要にする。
【0066】
加えて、導入遺伝子を非ヒト哺乳動物へ導入するために、レトロウイルス感染も使用できる。発育中の非ヒト胚は、胞胚段階へインヴィトロで培養できる。この間に、分割球が、レトロウイルス感染の標的となってもよい(参照により全文が本文に援用されるJanenich,Proc.Natl.Acad.Sci.USA73:1260‐1264(1976))。導入遺伝子の導入に用いられるウイルス・ベクター系は、典型的に、導入遺伝子を担持している複製能欠失型レトロウイルスである(参照により全文が本文に援用されるJahner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:6927‐6931(1985);Van der Putten et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:6148‐6152(1985))。形質移入は、ウイルス産生細胞の単層上に分割球を培養することによって、容易に、および効率的に達成できる。代替的に、後期段階で感染を実行してもよい。当該技術分野において既知である遺伝子導入動物を生み出すためにレトロウイルスまたはレトロウイルス・ベクターを用いる追加の手段は、レトロウイルス粒子、あるいは受精卵または初期胚の囲卵腔へレトロウイルスを生じるマイトマイシンC処置細胞の微量注入法を伴う(参照により全文が本文に援用されるOnionsに対するPCT公開第WO90/08832号を参照)。
【0067】
本発明は、すべての細胞内に導入遺伝子を担持する遺伝子導入非ヒト哺乳動物、および、すべての細胞にではなく、いくつかに導入遺伝子を担持する動物を提供する。すなわち、導入遺伝子の発現は、導入遺伝子の上流に配置された細胞特異性プロモーターおよび/またはエンハンサー因子によって制御される。遺伝子導入非ヒト哺乳動物における導入遺伝子発現を駆動するのに適切な発現またはクローン化構築物は、当該技術分野において周知である。発現構築物の他の構成要素は、転写産物がスプライシングされることを保証するために、強力なポリアデニル化部位、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位およびイントロンを含む。
【0068】
上記に考察したように、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチドは、いずれの非ヒト哺乳動物へ挿入されてもよい。一つの実施形態における動物は、齧歯動物、例えば、マウスである。遺伝子導入モデルの生成に一般的に使用されるマウスの適切な株は、限定せずに、CD‐1(登録商標)ヌードマウス、NU/NUマウス、BALB/Cヌードマウス、BALB/Cマウス、NIH‐IIIマウス、SCID(登録商標)マウス、非近交系SCID(登録商標)マウス、SCIDベージュ・マウス、C3Hマウス、C57BL/6マウス、DBA/2マウス、FVBマウス、CB17マウス、129マウス、SJLマウス、B6C3F1マウス、BDF1マウス、CDF1マウス、CB6F1マウス、CF‐1マウス、スイス・ウェブスター・マウス、SKH1マウス、PGPマウスおよびB6SJLマウスを含む。
【0069】
遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、表現型、例えば、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体を有するT細胞を含む動物を選択するために、スクリーニングされて評価される。導入遺伝子の統合が行われたことを検証するために動物細胞を分析するのに、蛍光検出または、例えばサザンブロット分析あるいはPCR技術を用いて、初期スクリーニングを実行してもよい。遺伝子導入動物の細胞内導入遺伝子のmRNA発現レベルは、限定せずに、蛍光検出、動物から採取した組織試料のノーザンブロット解析、原位置ハイブリッド形成分析、および逆転写酵素PCR(rt‐PCR)を含む技術を用いて査定することもできる。
【0070】
本発明のこの方法を実行する際に、遺伝子導入胚は、疑似妊娠非ヒト哺乳動物へ移植される。胚は、微量注入法による導入遺伝子の導入のための最高の標的である。遺伝子導入の標的としての胚の利用には、ほとんどのケースにおいて、注入DNAが第一卵割前に宿主遺伝子へ組み入れられるという主要な利点がある(参照により全文が本文に援用されるBrinster et al., 「Factors Affecting the Efficiency of Introducing Foreign DNA into Mice by Microinjecting Eggs,」 Proc.Nat'l Acad.Sci.USA82:4438‐4442(1985))。結果として、遺伝子導入非ヒト哺乳動物のすべての細胞が、統合導入遺伝子を担持することになる。このことは、また、概して、生殖細胞の50%が導入遺伝子を保持することになるため、樹立系の仔への導入遺伝子の効率的な伝達に反映される。
【0071】
遺伝子導入非ヒト哺乳動物(例えば、マウス)を生み出すために利用可能な一つの手段は、以下の通りである。メスマウスを掛け合わせ、その結果として生じた受精卵を、輸卵管から解剖学的に摘出する。卵は、M2培養液等の適切な培養液中に保存する(参照により全文が本文に援用されるHogan et al., 「Manipulating the Mouse Embryo,A Laboratory Manual,」 Cold Spring Harbor Laboratory(1986))。遺伝子、ミニ遺伝子または組み換え基質をコードするDNAまたはcDNAは、(プラスミド等の)ベクターから、当該技術分野における周知の方法によって精製する。導入遺伝子の発現を調整する実験的な手段を提供するために、DNAのコード領域に誘導可能なプロモーターを融合させてもよい。代替的に、あるいは追加的に、組織特異性調節因子を、導入遺伝子の組織特異性発現を許容するようコード領域に融合させてもよい。適切な緩衝溶液中のDNAを、(ピペット牽引具を用いて毛管から形成されてもよい)微量注入針へ入れ、注入を受ける卵を、陥没スライドへ入れる。針を卵の前核へ挿入し、DNA溶液を注入する。それから、注入卵を、疑似妊娠非ヒト哺乳動物(例えば、実際には妊娠していないが、妊娠を維持するよう適切なホルモンで刺激されるマウス)の輸卵管へ移入する。この場合、卵は、子宮へ進み、着床し、成熟する。この前核DNA微量注入は、遺伝子導入の典型的な方法であり、参照により全文が本文に援用されるBrem,Transgenic Animals pp.745‐832(1993); および Hammer et al., 「Production of Transgenic Rabbits,Sheep and Pigs by Microinjection,」 Nature315:680‐683(1985)に説明されている。マウスに用いるDNA微量注入の基本的な方法は、参照によって全文が本文へ援用されるRulicke et al., 「Germline Transformation of Mammals by Pronuclear Microinjection,」 Experimental Physiology85:589‐601(2000)に説明されている。しかし、この方法を利用する際には、種に特異的な、いくつかの修飾が必要である。例えば、胚の回収における微量注入プロセスとレシピエントへの注入胚の移入は、修飾を必要とすることもあり得る(参照により全文が本文に援用されるBrem,Transgenic Animals pp.745‐832(1993))。DNA微量注入は、DNAを卵細胞へ挿入するための唯一の方法ではなく、ここでは、模範的な目的でのみ使用される。
【0072】
発現構築物の導入ステップは、以下のものを含むがこれらに限らない、当該技術分野において周知の複数の方法によって実行されてもよい。(i)受精卵の前核への遺伝子の微量注入。(ii)レトロウイルスによるDNA移入。(iii)予め外来性DNAに曝した胚性幹細胞および/または胚生殖細胞の胞胚腔内への注入。(iv)体外受精中の精子媒介外来性DNA移入。(v)細胞および胚へのリポソーム媒介DNA移入。(vi)精子、卵子または胚へのDNA電気穿孔。(vii)遺伝子銃。および(viii)体細胞または胚細胞での核移入。これらは、参照により全文が本文に援用されるWheeler et al., 「Transgenic Technology and Applications in Swine,」 Theriogenology56:1345‐1370(2001);Wolf et al., 「Transgenic Technology in Farm Animals‐Progress and Perspectives,」 Exp Physiol.85.6:615‐625(2000)に説明がある。
【0073】
一つの実施形態における核酸構築物は、核酸構築物を含むウイルスで胚を感染させることによって、胚へ導入できる。細胞、例えば、卵母細胞または胚細胞あるいは1細胞胚へ、関心の導入遺伝子を送達するために、組み換えレトロウイルスが使用されてもよい。これにより、導入遺伝子および関連遺伝因子は、プロウイルスとして宿主細胞のゲノムへ統合される。細胞は、それから、遺伝子導入動物へと成長させてもよい。発育中の非ヒト哺乳動物胚は、インヴィトロで胞胚段階へと培養可能である。この間の分割球が、レトロウイルス感染の標的であってもよい(参照により全文が本文に援用されるJaenich, 「Germ Line Integration and Mendelian Transmission of the Exogenous Moloney Leukemia Virus,」 Proc Nat'l Acad SciUSA73:1260‐1264(1976))。分割球の効率的な感染は、透明帯を取り除く酵素処理によって得られる(参照によって全文が本文へ援用されるHogan, et al.,Manipulating the Mouse Embryo(1986))。導入遺伝子の導入に用いられるウイルス・ベクター系は、典型的に、導入遺伝子を担持する複製能欠失型レトロウイルスである(参照により全文が本文に援用されるJahner et al., 「Insertion of the Bacterial gptGene into the Germ Line of Mice by Retroviral Infection,」 Proc.Nat'l Acad. Sci.USA82:6927‐6931(1985);Van der Putten et al., 「Efficient Insertion of Genes into the Mouse Germ Line via Retroviral Vectors,」 Proc.Nat'lAcad.Sci.USA82:6148‐6152(1985))。形質移入は、ウイルス産生細胞の単層上に分割球を培養することによって、容易におよび効率的に得られる(参照により全文が本文に援用されるVan der Putten et al., 「Efficient Insertion of Genes into the Mouse Germ Line via Retroviral Vectors,」 Proc.Nat'l Acad.Sci.USA82:6148‐6152(1985);Stewart et al., 「Expression of Retroviral Vectors in Transgenic Mice Obtained by Embryo Infection,」 EMBOJ.6:383‐388(1987))。代替的に、感染は後期段階で実行してもよい。ウイルスまたはウイルス産生細胞は、胞胚腔へ注入できる(参照により全文が本文に援用されるJahner et al., 「Denovo Methylation and Expression of Retroviral Genomes during Mouse Embryogenesis,」 Nature298:623‐628(1982))。
【0074】
もう一つの実施形態における核酸構築物は、核酸構築物を含む胚性幹細胞を胚へ導入することによって、胚へ導入できる。導入遺伝子を導入するために、種々の発育段階の胚性幹(「ES」)細胞が使用できる。胚的細胞の成長段階に応じて、異なる方法が使用される。ES細胞は、インヴィトロで培養された着床前の胚から採取し、胚へ融合させてもよい(参照により全文が本文に援用されるEvans et al., 「Establishment in Culture of Pluripotential Cells from Mouse Embryos,」 Nature292:154‐156(1981);Gossler et al., 「Transgenesis by Means of Blastocyst‐derived Embryonic Stem Cell Lines,」 Proc.Nat'l Acad.Sci.USA83:9065‐9069(1986))。導入遺伝子は、DNA感染によって、または、レトロウイルス媒介形質導入によって、ES細胞へ効率的に導入できる。そのような形質転換ES細胞は、その後、非ヒト哺乳動物からの胞胚と組み合わせてもよい。ES細胞は、その後、胚にコロニーを形成し、結果として生まれるキメラ動物の生殖細胞系に寄与する(参照により全文が本文に援用されるJaenisch, 「Transgenic Animals,」 Science240:1468‐1474(1988))。例えば、利用可能な一つの方法は、8細胞段階胚への、同系交配または異系交配のES細胞のレーザー支援注入である(参照により全文が本文に援用されるPoueymirou et al., 「F0 Generation Mice Fully Derived from Gene‐targeted Embryonic Stem Cells Allowing Immediate Phenotypic Analyses,」 Nat.Biotech.25:91‐99(2007))。この方法は、完全にES細胞由来で健康なF0世代マウスを効率的に生み出し、100%の生殖細胞系伝達を示し、即時の表現型分析を可能とするため、遺伝子機能割当てを加速度的に促進する。
【0075】
導入遺伝子を担持する動物は、遺伝子導入構築物に含まれるレポーター遺伝子を担持する動物を識別することによって、選択されてもよい。そのような識別は、その遺伝子から発現したタンパク質をスクリーニングすることによって実行されてもよい。例えば、発現タンパク質に特異的な抗体を用いて。抗体には、検出を容易にするために化学的な、または放射性のタグ付けを行ってもよい。識別ステップも、その遺伝子から生じる表現型(例えば、蛍光)をスクリーニングすることによって実行してもよい。そのような識別は、さらに、その遺伝子、核酸ハイブリッド形成技術を利用してその遺伝子から形成された遺伝子産物またはRNA分子を直接スクリーニングすることによって実行されてもよい。
【0076】
一つの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、T細胞の少なくとも前駆細胞において発現される。
【0077】
もう一つの実施形態においては、前駆細胞は幹細胞である。
【0078】
さらにもう一つの実施形態では、T細胞は、成熟ヘルパーT細胞または成熟細胞傷害性T細胞である。
【0079】
本発明のこの方法を実行する際の胚は、受精卵または分割球であり、受精卵へのポリヌクレオチドの導入は、微量注入法によって実行され、分割球へのポリヌクレオチドの導入は、レトロウイルス感染による。
【0080】
本発明の更なる態様は、非ヒト哺乳動物の作製方法に関する。この方法は、プロモーターと機能し得るように連結された蛍光タンパク質に特異的であるT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む非ヒト哺乳動物体細胞または細胞核を提供すること、再構成細胞の形成に適切な条件下で非ヒト哺乳動物体細胞または細胞核を除核卵母細胞へ挿入すること、再構成細胞を活性化すること、2細胞発育段階を超えるまで胚を培養すること、および、胚が、非ヒト哺乳動物へ発育可能なキメラ胎仔へ成長するよう、培養胚を宿主哺乳動物へ移入することを伴う。
【0081】
遺伝子導入非ヒト哺乳動物を作製するための体細胞細胞核移入は周知である(例えば、参照により全文が本文に援用されるCibelli et al., 「Bovine Chimeric Offspring Produced By Transgenic Embryonic Stem Cells Generated From Somatic Cell Nuclear Transfer Embryos,」 Theriogenology49:236(1998);Baguisi et al., 「Production of Goats by Somatic Cell Nuclear Transfer,」 Nature Biotechnology17:456‐461(1999);Polejaeva et al., 「New Advances In Somatic Cell Nuclear Transfer:Application In Transgenesis,」 Theriogenology53:117‐126(2000)を参照)。
【0082】
本発明のもう一つの態様は、非ヒト哺乳動物における細胞の枯渇方法に関する。この方法は、一つ以上の細胞種で標的タンパク質を発現する非ヒト哺乳動物を提供すること、および、標的タンパク質に対して特異的なT細胞受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現構築物を含む単離T細胞を非ヒト哺乳動物に導入することを伴う。この場合の単離T細胞は、非ヒト哺乳動物における一つ以上の細胞種を枯渇させるために、一つ以上の細胞種を攻撃する。
【0083】
本発明のこの方法を実行する際の標的タンパク質は、一つの実施形態によれば、本文で説明するような蛍光タンパク質であり、ポリヌクレオチド配列が、蛍光タンパク質に対して抗原特異的であるT細胞受容体をコードする。
【0084】
一つの実施形態によれば、本発明のこの態様の方法を実行する際の非ヒト哺乳動物の一つ以上の細胞種は、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%枯渇する。
【0085】
本発明の更なる態様は、作用因子に対するT細胞応答の特徴づけ方法に関する。この方法は、本発明による遺伝子導入非ヒト哺乳動物を提供すること、ワクチン、ウイルス、病原体、移植細胞および癌細胞系からなる群より選択された作用因子を、遺伝子導入非ヒト哺乳動物へ導入することを伴う。この場合の作用因子は、蛍光タンパク質および/または蛍光タンパク質コード化配列を含む。この方法は、また、遺伝子導入非ヒト哺乳動物におけるT細胞応答を特徴づけるために、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体と作用因子との間の相互作用をモニターすることを伴う。
【0086】
本発明のこの方法の実行においては、蛍光タンパク質に特異的なT細胞受容体と作用因子との間の相互作用のモニタリングは、蛍光の位置および濃度、あるいは蛍光の位置および/または濃度の変化を検出することによって実行できる。蛍光は、目視によって検出できる。代替的に、蛍光検出は、分光光度計、あるいはカメラまたは光電増倍管に接続させた顕微鏡または巨視システムで実行してもよい。適切な測定器の使用と関連して、時空的情報(機能的細胞内撮像)を得るための、生体系におけるリアルタイムでの光学的読み取りが可能である。
【0087】
本発明のこれらの態様は、さらに、以下の実施例により例示する。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供するが、その範囲を限定する意図は決してない。
【実施例1】
【0089】
MHCクラスI制限GFP特異性T細胞受容体(αGFP)マウスの生成
GFP特異性TCRマウスを創出するために、体細胞核移植(SCNT)アプローチを使用した。BALB/cxC57BL/6F1(B6CF1)マウスを、GFPコード化DNAベクターで接種した。BALB/cxC57BL/6交雑種を用いることにより、H‐2K
d対立遺伝子上のGFPを識別するGFP特異性T細胞を誘発させることが可能だった。BALB/cマウス、NODマウスおよびNOD/SCIDマウスのすべてがH‐2K
d対立遺伝子を有するため、H‐2K
d対立遺伝子は、抗原特異性TCRマウスの最も多様な利用を可能にする。H‐2K
dハプロタイプのC57BL/6マウスについては、複数の共通遺伝子系統が存在する。最も顕著なものが、B10.D2マウスおよびB6.D2マウスである。このことは、GFPを発現するものを含むC57BL/6マウスのいずれもが、B10.D2またはB6.D2マウスと交配可能であり、すべてのF1後代がH‐2K
d対立遺伝子を有することを意味する。H‐2K
d上に提示されるGFPの免疫優性エピトープが既知であり(GFP
200‐208)、このことは、GFP特異性T細胞のテトラマー/ペンタマー染色による測定検出を可能にする(
図1)。
【0090】
GFP接種の2週後、GFP
200‐208‐H‐2K
dペンタマー+CD8+T細胞を、脾臓から99%を超える純度へFACS分類した。GFP特異性T細胞の核を除核卵母細胞へ移すことによって、SCNTを実行した。SCNTから生じたESCを拡大し、細胞が、再編成されたTCRを担持することを確認した。GFP‐TCR ESCを胚細胞へ注入し、その胚を疑似妊娠雌へ移した。15匹の樹立仔が生まれた。それらすべては、毛色に基づくキメラ現象の明白な証拠を示した。以降の分析によって、各マウスで、T細胞の少なくとも30%が、GFP
200‐208‐H‐2K
dペンタマーに対して特異的であることが分かった(
図1)。また、PCR分析によって、再編成TCRが、Vα1‐J30およびVβ4‐D1‐J1.6‐C1であることが明らかになった(
図2〜4は、αおよびβ鎖のcDNAおよびアミノ酸配列を提供する)。
【実施例2】
【0091】
脾臓でGFPを発現するマウスへのαGFP T細胞の移入は、GFP+脾細胞の死滅を誘発する。
T細胞のGFP特異性死滅能力は、αGFPマウスから特徴づけられた。CD8+T細胞を、αGFPマウスまたは対照マウス(B10D2)から単離し、eFluor670色素で標識し、正常なB10D2マウス、または少数の脾細胞でGFPを発現するマウスへ移入した。マウスにGFPを接種し、その5日後に脾臓を採集し、GFP+細胞の頻度を、蛍光顕微鏡法およびFACSによって記録した(
図6A)。αGFP T細胞を受けたマウスでは、GFP+細胞は、実質的に検知不可能であった。このことは、αGFP T細胞が、GFP発現脾細胞を死滅させたことを示す。重要なことに、GFP発現マウスへ移入されたαGFP T細胞では、eFluor670色素が完全に希釈された(
図6B)が、αGFP T細胞が移入された野生型マウスでは、色素希釈は全くなかった。GFP発現マウスへ移入された野生型CD8+T細胞でも色素希釈は全くなかった。したがって、データは、αGFP T細胞がGFPの存在に応じて増殖し、GFP発現細胞を殺すことを例証している。
【実施例3】
【0092】
MIP‐GFPマウスへのαGFP T細胞の移入は、GFP発現β細胞およびT1Dの死滅を誘発する。
次に、αGFP T細胞が、インシュリン生成β細胞に特異的にGFPを発現するマウス(MIP‐GFPマウス)で、β細胞死滅および糖尿病を誘発させるために使用できるかどうかを判定した。CD8+T細胞を、αGFPマウスまたはB10D2対照から採集し、3x10
6αGFP T細胞を、MIP‐GFPマウスへ移入した。その次の日に、マウスをGFPに対して免疫化した。際立って、6日以内に、GFP特異性T細胞を注入した4匹のマウスはすべて、250mg/dlを超えるグルコース・レベルを有した。このことは、インシュリン・レベルの降下を示す(
図7A)。代わって、対照T細胞を受けたMIP‐GFPマウスのすべては、すべての判定で、正常血糖であった。
【0093】
6日目に、すべてのマウスを殺生し、GFP陽性細胞を計数することによって、β細胞質量を査定した。GFP特異性T細胞を受けGFPで接種を受けたマウスにおいては、GFP陽性細胞は全く発見されなかった。これに対して、対照T細胞を受けたマウスでは、T細胞潜入は全く見られず、GFP発現島の頻度は、無処置のMIP‐GFPマウスに類似していた(
図7B)。これらの結果は、明らかに、αGFP T細胞が、MIP‐GFPマウスへ移入可能であり、GFP発現β細胞を殺し、糖尿病を誘発することを例証している。これは、T1Dの新しい誘導可能な抗原特異性モデルを表す。注釈として、これは、標的島状抗原が視覚化可能な、C57BL/6に基づくT1Dの唯一のモデルで且つ糖尿病の唯一のモデルである。
【0094】
実施例1〜3に対する考察
一般的に用いられるレポーター遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)を認識する最初の抗原特異性TCRマウスが発明された。線虫内のレポーターとしての最初の適用(参照により全文が本文に援用されるChalfie et al., 「Green Fluorescent Protein as a Marker for Gene Expression,」 Science263:802‐805(1994))以来、GFPは、何千もの異なる応用および動物モデルへ用いられるようになり、免疫学者、腫瘍生物学者およびウイルス学者には非常に貴重な技術になっている(参照により全文が本文に援用されるChudakov et al., 「Fluorescent Proteins and their Applications In Imaging Living Cells and Tissues,」 Physiol. Rev.90:1103‐1163(2010))。しかし、GFPは、モデル免疫抗原としては使用されていなかった。以前には想定不可能であったがαGFPマウスで可能になる多くのタイプの研究がある。以下のものは、特に注目に値する。(1)蛍光撮像技術(流動細胞計測法、顕微鏡観察法など)を用いて、抗原を視覚化する能力、および抗原を含む細胞の除去。(2)GFP発現ウイルスおよびGFPマウスを含む既存のGFP試薬の利用性。(3)自己免疫応答をモデル化するための、実質的にどの細胞種においても抗原特異性免疫応答を誘発させる効力。(4)異なるGFP発現病原体および病原体変異体に対する免疫応答を研究できる可能性。および(5)抗原特異性T細胞応答の生細胞撮像研究のために、抗原を視覚化する、また、抗原を提示する細胞をマークする効力。
【0095】
例えば、免疫学には、T細胞が、抗原を提示している特定の標的細胞とどのように相互作用するのかという主要な疑問がある。異なる細胞種でGFPを発現する何百ものマウス・モデルが存在する(ジャクソン実験室(バーハーバー、ME)は、400種類を超えるGFP発現株を販売している)ので、マウスからαGFP T細胞を採集し、GFP発現マウスの一つにそれらを移入し、T細胞に何が起こるのか(例えば、それらは活性化されるのか?除去されるのか、あるいは不活化されるのか?)、および細胞に何が起こるのか(それらは死滅するのか?)を判定できる。標的細胞がGFPを発現するという事実は、それらの査定を特に容易にする。多くの異なるマウスへαGFP細胞を移入できる利点により、免疫学者は、耐性および免疫性を促進する細胞を発見することが可能となり、免疫性または耐性を誘発するための、これらの細胞を標的とするワクチンの開発も可能となる。
【0096】
免疫応答を研究することに加えて、αGFPマウスは、機能欠失研究のための細胞特異性削除の手段として使用できることも提案される。つまり、αGFP T細胞は、機能が未知あるいは完全に分かっていない特定の細胞種内でGFPを発現するマウスへ移入できる。このことは、GFP発現細胞を殺すことになるので、特定の細胞の死滅による結果を理解するための、マウス表現型の査定が可能である。
【0097】
(添付の請求項、要約および図面を含む)本文で説明した特徴のすべて、および/または開示のいずれの方法またはプロセスのステップのすべては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが互いに相容れない組み合わせを除き、上記態様とどのように組み合わせてもよい。