(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施の形態における乗物用シート1について説明する。
図1は乗物用シート1の背面図であり、
図2はシートパッド10の背面図である。
図1は、シートバック3のフレーム5が破線で図示され、シートバック3のカバー6の一部(
図1左上側)が破断して図示される。
【0017】
図1に示すように、乗物用シート1は、自動車に搭載されるシートである。なお、乗物用シート1は、自動車に搭載される場合に限らず、鉄道車両や船舶、航空機等に搭載することが可能である。乗物用シート1は、乗員が着座するシートクッション2と、乗員の背凭れとなるシートバック3と、乗員の頭部を支えるヘッドレスト4とを備える。
【0018】
シートバック3は、フレーム5と、フレーム5に支持されるシートパッド10と、シートパッド10に被せられるカバー6とを備える。なお、シートクッション2及びヘッドレスト4も同様に、フレームに支持されたシートパッドにカバーを被せて形成される。フレーム5は、所定の剛性や強度を有する鋼等の金属や合成樹脂から構成される部材である。
【0019】
カバー6は、主にファブリックや合成皮革または皮革等から構成される軟性の部材である。カバー6は、シートパッド10内に埋設されるワイヤやクリップ等にフック等(いずれも図示せず)を引っ掛けて固定される。
【0020】
シートバック3には、背面(
図1紙面手前側)の右上に金属製や合成樹脂製のフック20が設けられる。フック20は、手荷物等を引っ掛けるための部材である。フック20は、背面視において四角枠状の本体部21と、本体部21に収容されるフック部22とを備える。フック部22の下部は、本体部21の下部に回転可能に支持される。本体部21に対してフック部22を回転させることで、本体部21から突出させたフック部22に手荷物等を引っ掛けることができる。
【0021】
図2に示すように、シートパッド10は、弾力性のある軟質ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂製のパッド本体11と、パッド本体11の裏面11b(
図4参照)に一体化される補強材12とを備える。パッド本体11の表面11aにカバー6(
図1参照)が被せられる。シートパッド10の補強材12側がフレーム5(
図1参照)に接触する。
【0022】
補強材12は、フレーム5とシートパッド10との擦れ合いによる異音の発生やシートパッド10の破れ等を抑制するための布状の部材であり、不織布から構成される。なお、補強材12は、不織布から構成される場合に限らず、粗毛布、寒冷紗、フェルト、織編物あるいはこれらの積層複合体等により形成できる。なお、補強材12には、合成樹脂や金属等のワイヤを織り込んだり接着したりしても良い。また、これらの素材や合成樹脂等を用いた成形体を補強材12としても良い。
【0023】
シートパッド10は、着座する乗員側(
図2紙面奥側)に設けられる表部パッド13と、表部パッド13との間にフレーム5(
図4参照)を挟んで配置される裏部パッド14とを備える。裏部パッド14のパッド本体11には、フック20(
図1参照)が設けられる位置に、パッド本体11を表面11aから裏面11bに貫通する略矩形状の貫通孔15が設けられる。
【0024】
補強材12は、貫通孔15を塞ぐ閉塞部16を備える。閉塞部16は、隣接する部位よりも低強度に設定される脆弱部17を備える。脆弱部17は、直線状の第1仮想線18上に設けられる2つの第1脆弱部17aと、直線状の第2仮想線19上に設けられる2つの第2脆弱部17bと、第1仮想線18と第2仮想線19とが交わる位置に設けられる連結部17cとを備える。
【0025】
第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bは、閉塞部16を布厚方向に貫通する部位であり、強度が0である。第1仮想線18と第2仮想線19とは互いに垂直に交わり、第1脆弱部17aと第2脆弱部17bとが十字状に配置される。なお、第1仮想線18及び第2仮想線19は直線状に限らず、第1仮想線18及び第2仮想線19を曲線状に形成することが可能である。
【0026】
閉塞部16は、第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bにより分割される分割部16a,16b,16c,16dを備える。連結部17cは、分割部16a,16b,16c,16dの角同士を連結する部位である。これにより、分割部16a,16b,16c,16dの角がそれぞれ捲れたり折れ曲がったりすることを防止できる。また、連結部17cは、線状の第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bの延長線上の部位なので、分割部16a,16b,16c,16dよりも強度が低い。
【0027】
次に
図3(a)及び
図3(b)を参照して、シートパッド10の製造方法について説明する。
図3(a)はパッド本体11の成形前を示す説明図であり、
図3(b)はパッド本体11の成形後を示す説明図である。なお、
図3(a)及び
図3(b)では、理解を容易にするため、補強材12の布厚を厚くし誇張して図示している(
図4及び
図5も同様)。
【0028】
図3(a)に示すように、シートパッド10は、金型30を用いて製造する。金型30は、下型31と、下型31に回転軸32で回転可能に支持される上型33と、上型33に駆動装置34を介して取り付けられる中子型35とを備える。パッド本体11の貫通孔15に対応する部分には、上型33と中子型35とから互いに向かってそれぞれ挟持部36,37が突出する。上型33から突出する挟持部36の突出量よりも、中子型35から突出する挟持部37の突出量が大きく設定される。
【0029】
駆動装置34は、油圧シリンダやエアシリンダ、電動シリンダ等のアクチュエータである。駆動装置34は、上型33の外側に固定されるシリンダ本体34aと、シリンダ本体34aから突出するロッド34bと、シリンダ本体34aに対してロッド34bを出没させる駆動部(図示せず)とを備える。ロッド34bは、上型33を貫通して先端に中子型35が固定される。
【0030】
シートパッド10を製造するには、金型30に補強材12を保持させる保持工程を行う。保持工程では、まず、下型31と上型33とを開いた状態、且つ、シリンダ本体34aからロッド34bを繰り出させて上型33と中子型35とを離した状態で、中子型35に補強材12を磁石やフック等で保持させる。このとき、挟持部37に補強材12の脆弱部17及びその周囲(閉塞部16)を対向させる。次いで、ロッド34bをシリンダ本体34aに収容して上型33と中子型35とを接触させる。これにより、補強材12の脆弱部17及びその周囲(閉塞部16)が挟持部36,37で挟まれる。
【0031】
連結部17cにより分割部16a,16b,16c,16d(
図2参照)の角が捲れたり折れ曲がったりすることを防止できるので、その捲れや折れ曲がりの確認や直しを省略できる。その結果、挟持部36,37で脆弱部17及びその周囲を挟み易くでき、作業効率を向上できる。
【0032】
保持工程の後は、パッド本体11を成形する成形工程を行う。成形工程では、まず、パッド本体11の材料である発泡原液を下型31に注入する。次いで、下型31に対して上型33を回転軸32を中心に回転させて下型31と上型33とを閉じる。下型31と上型33とを閉じたときに、金型30内に形成される空間がキャビティ38である。
【0033】
次いで、
図3(b)に示すように、キャビティ38内で発泡原液を発泡、硬化させてパッド本体11を成形する。成形工程の後は、下型31と上型33とを開き、シリンダ本体34aからロッド34bを繰り出させて上型33と中子型35とを離し、中子型35から成形体を外す。このようにしてシートパッド10が得られる。
【0034】
下型31により表部パッド13の表面11aが成形され、上型33により裏部パッド14の表面11aが成形され、中子型35により表部パッド13及び裏部パッド14の裏面11bが成形される。発泡原液は不織布製の補強材12に含浸するので、パッド本体11の裏面11bと補強材12とを一体化できる。
【0035】
さらに、キャビティ38内に挟持部36,37が突出するので、挟持部36,37によりパッド本体11に貫通孔15が形成される。その挟持部36,37には、補強材12の脆弱部17及びその周囲が挟まれるので、補強材12によって貫通孔15を塞ぐ閉塞部16が形成される。
【0036】
この場合、金型30から外したシートパッド10の閉塞部16に予め脆弱部17が設けられている。なお、シートパッド10の成形後、カッターナイフ等の工具を用いて、閉塞部16に脆弱部17を設けることは可能である。しかし、補強材12単体に比べて、パッド本体11が一体化された補強材12は寸法が大きくて重く、形状も特定されているので扱い難い。但し、この場合には、閉塞部16の位置が特定されているので、脆弱部17を所定の位置に設け易くできる。
【0037】
これに対し本実施の形態では、パッド本体11と一体化される前の補強材12の所定位置に予め脆弱部17が設けられているので、補強材12の扱いを簡単にでき、補強材12に脆弱部17を設け易くできる。予め脆弱部17を設けた補強材12を挟持部36,37で挟んで、閉塞部16に脆弱部17を設けることで、作業工程を簡素化できる。
【0038】
挟持部36の突出量よりも挟持部37の突出量が大きいので、パッド本体11の厚さ方向(表面11aから裏面11bへ向かう方向)の中央よりも表面11a側に閉塞部16が配置される。さらに、その閉塞部16よりも裏面11b側の貫通孔15の内周面には、閉塞部16に連なる補強材12が一体化される。
【0039】
なお、発泡原液を発泡させてキャビティ38内を充填させるとき、パッド本体11の表部パッド13側から裏部パッド14側へ回り込むように発泡原液が充填される。そのため、挟持部36,37の駆動装置34側に空所が発生し易く、成形不良を生じるおそれがある。但し、本実施の形態では、挟持部36,37に不織布製の補強材12が挟まれるので、その挟まれた補強材12に発泡原液を含浸させながら挟持部36,37の駆動装置34側に発泡原液を早期に回り込ませることができる。その結果、挟持部36,37の駆動装置34側に空所を発生し難くでき、成形不良を抑制できる。なお、補強材12が不織布である場合に限らず、発泡原液を含浸可能な素材から補強材12が構成されれば、同様に成形不良を抑制できる。
【0040】
次に
図4を参照して、フック20が取り付けられる受部材5aについて説明する。
図4はフック20を取り付ける前の乗物用シート1の断面図である。
図4に示すように、フレーム5には、フック20が取り付けられる受部材5aが固定される。受部材5aは、1面が開口した箱状の部材である。受部材5aは、フレーム5に溶接されている。なお、受部材5aがフレーム5に溶接される場合に限らず、受部材5aをフレーム5にボルトや接着剤、ピン、フック等で固定しても良い。
【0041】
受部材5aは、開口した部分の縁が端縁5bである。フレーム5にシートパッド10を組み付けるとき、受部材5aの端縁5b側がパッド本体11の貫通孔15に挿入される。貫通孔15の内周面には、補強材12が一体化されているので、受部材5aと貫通孔15の内周面とが擦れ合って、パッド本体11が削れたり異音が発生したりすることを抑制できる。
【0042】
受部材5aには、端縁5bから離れた底面を貫通して受入部5cが設けられる。この受入部5cに、フック20の本体部21から突出する固定部23が挿入される。受入部5cの寸法に対して固定部23の寸法が僅かに大きく設定されるので、固定部23が受入部5cに圧入されて、フック20が受部材5aに固定される。なお、固定部23が受入部5cに圧入された状態で、本体部21が受部材5aの端縁5bに接触するように本体部21及び受部材5aの寸法が設定される。
【0043】
フック20の本体部21は、固定部23を頂点とした曲面状の曲面部24を有する。フック20が受部材5aに固定されるとき、この曲面部24が受部材5a内に収容される。端縁5bの上下方向および左右方向の対向間隔と、曲面部24の固定部23から離れた側の上下寸法および左右寸法とが略同じに設定される。これにより、受部材5aに本体部21を挿入していくと、端縁5bが曲面部24上を滑るようにして、固定部23を受入部5cに案内できる。その結果、フック20を受部材5aに取り付け易くできる。
【0044】
次に
図4に加え
図5を参照して、シートパッド10を用いた乗物用シート1(シートバック3)の製造方法について説明する。
図5はフック20を取り付けた乗物用シート1の断面図である。
【0045】
図4に示すように、まず、フレーム5にシートパッド10を組み付け、シートパッド10にカバー6を被せる。次いで、カバー6の貫通孔6aにフック20を挿入しつつ、フック20で閉塞部16を押す。これにより、脆弱部17を起点に閉塞部16が破られたり押し広げられたりして、フック20が閉塞部16を貫通する。次いで、
図5に示すように、閉塞部16を貫通したフック20をパッド本体11の貫通孔15に挿入し、フック20を受部材5aに取り付けることで、シートバック3(乗物用シート1)が得られる。
【0046】
このように、閉塞部16が脆弱部17を有するので、閉塞部16を押すことで、脆弱部17を起点に閉塞部16を破ったり押し広げたりして、閉塞部16に孔を容易に設けることができる。これにより、閉塞部16をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。また、閉塞部16を除去しないので、除去した部分のゴミをなくすことができる。
【0047】
さらに、フック20の取付時にフック20で閉塞部16を押して貫通させることができるので、フック20が閉塞部16を貫通する孔を別途設ける工程をなくすことができる。このようにフック20の取付作業と、閉塞部16に孔を設ける工程とを略同時に行うことで、作業工程をより簡素化できる。
【0048】
第1脆弱部17a及び第2脆弱部17b(
図2参照)はそれぞれ線状に設けられるので、その延長線上の閉塞部16を破り易くできる。さらに、互いに交わる第1仮想線18及び第2仮想線19上に第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bが設けられるので、第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bを起点にそれぞれ異なった方向へ閉塞部16を押し広げ易くできる。これらの結果、互いに交わる第1仮想線18及び第2仮想線19上に第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bを設けることで、閉塞部16に設けられる孔を簡易に大きくできる。
【0049】
特に、分割部16a,16b,16c,16d(
図2参照)の角同士を連結する連結部17cが第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bの延長線上に位置するので、分割部16a,16b,16c,16dに比べて連結部17cが破れ易い。この連結部17cが破れると、貫通孔である2つの第1脆弱部17aと2つの第2脆弱部17bとが繋がるので、閉塞部16の中央に大きな孔を形成できる。よって、閉塞部16に設けられる孔をより簡易に大きくできる。
【0050】
矩形状の閉塞部16に第1脆弱部17a及び第2脆弱部17bが十字状に配置されるので、分割部16a,16b,16c,16dは、それぞれ2辺がパッド本体11に支持される。これにより、フック20が閉塞部16を貫通するとき、閉塞部16及び貫通孔15の中央に向かう力を分割部16a,16b,16c,16dからフック20に付与できる。その結果、フック20を受部材5aに取り付け易くできる。
【0051】
受部材5aの受入部5cにフック20の固定部23を圧入して、フック20を受部材5aに取り付けると、フック20の本体部21と受部材5aの端縁5bとの間で閉塞部16が挟まれる。これにより、フック20が貫通した閉塞部16(補強材12)の孔を広げる力が、閉塞部16(補強材12)にかかり難くできるので、フック20が貫通した孔を起点に補強材12(閉塞部16)を破れ難くできる。
【0052】
また、本体部21と端縁5bとで閉塞部16が挟まれるので、パッド本体11とフック20及び受部材5aとを相対移動し難くできる。パッド本体11とフック20及び受部材5aとが相対移動し易い場合には、その相対移動によりパッド本体11の貫通孔15の内周面をフック20及び受部材5aが押して、貫通孔15を起点にパッド本体11が破れるおそれがある。また、パッド本体11とフック20及び受部材5aとの相対移動による擦れ合いによって異音が発生するおそれがある。これに対し本実施の形態では、パッド本体11とフック20及び受部材5aとを相対移動し難くできるので、貫通孔15を起点にパッド本体11を破れ難くできると共に、パッド本体11とフック20及び受部材5aとの擦れ合いによる異音を発生し難くできる。
【0053】
カバー6の貫通孔6aにフック20を挿入してフック20を受部材5aに取り付けると、カバー6の貫通孔6aが貫通孔15よりも小さいので、カバー6の貫通孔6aの周囲がフック20とパッド本体11との間で挟まれる。そのため、カバー6の貫通孔6aの周囲を捲れ難くできるので、外観を良くできる。なお、シートパッド10にカバー6を被せた後に、フック20を受部材5aに取り付けても良い。
【0054】
次に
図6(a)を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、閉塞部16に十字状の脆弱部17が配置される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、閉塞部40にT字状の脆弱部41が設けられる場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(a)は第2実施の形態における閉塞部40の背面図である。
【0055】
図6(a)に示すように、閉塞部40は、閉塞部40を布厚方向に貫通する脆弱部41を備える。脆弱部41は、隣接する部位よりも低強度に設定される部位であり、強度が0である。脆弱部41は、第1仮想線42上に設けられる第1脆弱部44と、第2仮想線43上に設けられる第2脆弱部45とを備える。第1仮想線42と第2仮想線43とは互いに垂直に交わり、第1脆弱部44と第2脆弱部45とがT字状に配置される。第1脆弱部44と第2脆弱部45とは、互いに連続する。
【0056】
T字状に脆弱部41が設けられる第2実施の形態も第1実施の形態と同様に、脆弱部41を起点に閉塞部40を破ったり押し広げたりして、閉塞部40に孔を容易に設けることができる。これにより、閉塞部40をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。
【0057】
閉塞部40は、T字状の第1脆弱部44及び第2脆弱部45により分割される分割部40a,40b,40cを備える。分割部40aは3辺がパッド本体11(
図1参照)に支持されて、分割部40b,40cはそれぞれ2辺がパッド本体11に支持される。これにより、第1実施の形態と同様に、フック20(
図4,5参照)が閉塞部40を貫通するとき、閉塞部40及び貫通孔15の中央に向かう力を分割部40a,40b,40cからフック20に付与できる。その結果、フック20を受部材5a(
図4,5参照)に取り付け易くできる。
【0058】
ここで、第1脆弱部17aと第2脆弱部17bとが連続せず、分割部16a,16b,16c,16dの角同士が連結部17cで連結された第1実施の形態では、連結部17cを破るための力を初めに与える必要があった。これに対して第2実施の形態では、第1脆弱部44と第2脆弱部45とが互いに連続し、分割部40a,40b,40cの角を連結する連結部がない。そのため、連結部を破る力を与える必要がないので、より小さい力で脆弱部41を起点に閉塞部40を押し広げることができる。
【0059】
次に
図6(b)を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、閉塞部16に十字状の脆弱部17が配置される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、閉塞部50にH字状の脆弱部51が設けられる場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(b)は第3実施の形態における閉塞部50の背面図である。
【0060】
図6(b)に示すように、閉塞部50は、隣接する部位よりも低強度に設定されるH字状の脆弱部51を備える。脆弱部51は、第1仮想線52上に設けられる複数の第1脆弱部55と、第2仮想線53上に設けられる複数の第2脆弱部56と、第3仮想線54上に設けられる複数の第3脆弱部57と、複数の第1脆弱部55、第2脆弱部56及び第3脆弱部57の間にそれぞれ配置される複数の連結部58とを備える。
【0061】
第1脆弱部55、第2脆弱部56及び第3脆弱部57は、閉塞部50を布厚方向に貫通する線状の部位であり、強度が0である。第1仮想線52と第3仮想線54とは平行に設けられ、第1仮想線52及び第3仮想線54と第2仮想線53とは互いに垂直に交わる。第1仮想線52と第3仮想線54との間に複数の第2脆弱部56が配置される。
【0062】
閉塞部50は、H字状の脆弱部51により分割される分割部50a,50b,50c,50dを備える。分割部50a,50bはそれぞれ3辺がパッド本体11(
図1参照)に支持されて、分割部50c,50dはそれぞれ1辺がパッド本体11に支持される。
【0063】
連結部58は、分割部50a,50b,50c,50dの対向する辺をそれぞれ互いに連結する部位である。これにより、分割部50a,50b,50c,50dが捲れたり折れ曲がったりすることを防止できる。連結部58は、線状の第1脆弱部55、第2脆弱部56及び第3脆弱部57の延長線上の部位なので、分割部50a,50b,50c,50dよりも低強度である。
【0064】
このように、第1脆弱部55、第2脆弱部56及び第3脆弱部57と連結部58とを交互に破線状に設けたH字状の脆弱部51を有する第3実施の形態も第1実施の形態と同様に、脆弱部51を起点に閉塞部50を破ったり押し広げたりして、閉塞部50に孔を容易に設けることができる。これにより、閉塞部50をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。
【0065】
脆弱部51がH字状に設けられるので、閉塞部50を押して、分割部50a,50b,50c,50dよりも低強度の連結部58が破れると、1辺のみがパッド本体11に支持される分割部50c,50dが開く。これにより、閉塞部50に設けられる孔を第2脆弱部56の両側に大きくあけることができる。即ち、脆弱部51がH字状に設けられることで、少ない力で閉塞部50に設けられる孔を大きくできるので、作業効率を向上できる。
【0066】
また、左右方向の中央に配置される第2脆弱部56の両側に分割部50c,50dが開くので、貫通孔15の内周からの分割部50c,50dの寸法を比較的大きくできる。これにより、分割部50c,50dをフック20(
図5参照)と受部材5a(
図5参照)との間に挟み易くできるので、補強材12をより破れ難くできると共に、パッド本体11(
図5参照)とフック20及び受部材5aとの擦れ合いによる異音をより発生し難くできる。
【0067】
次に
図6(c)を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、直交する2つの仮想線上に脆弱部17が配置される場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、5つの仮想線上に脆弱部61が配置される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(c)は第4実施の形態における閉塞部60の背面図である。
【0068】
図6(c)に示すように、閉塞部60は、隣接する部位よりも低強度に設定される脆弱部61を備える。脆弱部61は、第1仮想線62上に設けられる第1脆弱部67と、第2仮想線63上に設けられる第2脆弱部68と、第3仮想線64上に設けられる第3脆弱部69と、第4仮想線65上に設けられる第4脆弱部70と、第5仮想線66上に設けられる第5脆弱部71と、第1脆弱部67及び第3脆弱部69と第2脆弱部68との間にそれぞれ配置される連結部72と、を備える。
【0069】
第1脆弱部67、第2脆弱部68、第3脆弱部69、第4脆弱部70及び第5脆弱部71は、閉塞部60を布厚方向に貫通する部位であり、強度が0である。第1仮想線62と第3仮想線64とは平行に設けられ、第1仮想線62及び第3仮想線64と第2仮想線63とは互いに垂直に交わる。略矩形状の閉塞部60の各辺に対してそれぞれ第1仮想線62、第2仮想線63及び第3仮想線64が平行に設けられ、第4仮想線65及び第5仮想線66が略矩形状の閉塞部60の対角線上に設けられる。
【0070】
閉塞部60の中央に上下に延びて第2脆弱部68が設けられ、その第2脆弱部68の両端側に第1脆弱部67及び第3脆弱部69が設けられる。第1脆弱部67及び第3脆弱部69の両端に、第4脆弱部70及び第5脆弱部71の端部が連続して設けられる。
【0071】
閉塞部60は、第1脆弱部67、第2脆弱部68、第3脆弱部69、第4脆弱部70及び第5脆弱部71により分割される分割部60a,60b,60c,60dを備える。分割部60a,60b,60c,60dはそれぞれ1辺がパッド本体11(
図1参照)に支持される。
【0072】
連結部72は、分割部60c,60dの角をそれぞれ分割部60a,60bに連結する部位である。これにより、分割部60a,60b,60c,60dが捲れたり折れ曲がったりすることを防止できる。連結部72は、線状の第2脆弱部68の延長線上の部位なので、分割部60a,60b,60c,60dより低強度である。
【0073】
以上のように脆弱部61が設けられる第4実施の形態も第1実施の形態と同様に、脆弱部61を起点に閉塞部60を破ったり押し広げたりして、閉塞部60に孔を容易に設けることができる。これにより、閉塞部60をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。
【0074】
閉塞部60を押して、第2脆弱部68の延長線上の破れ易い連結部72が破れると、1辺のみがパッド本体11に支持される分割部60a,60b,60c,60dが開く。これにより、閉塞部60に設けられる孔を貫通孔15と略同一の大きさにできる。よって、少ない力で閉塞部60に設けられる孔を大きくできるので、作業効率を向上できる。
【0075】
次に
図6(d)を参照して、第5実施の形態について説明する。第1実施の形態では、矩形状の閉塞部16に十字状の脆弱部17が配置される場合について説明した。これに対し第5実施の形態では、矩形状の閉塞部80にX字状の脆弱部81が配置される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(d)は第5実施の形態における閉塞部80の背面図である。
【0076】
図6(d)に示すように、閉塞部80は、隣接する部位よりも低強度に設定される脆弱部81を備える。脆弱部81は、第1仮想線82上に設けられる複数の第1脆弱部84と、第2仮想線83上に設けられる複数の第2脆弱部85と、複数の第1脆弱部84及び第2脆弱部85の間にそれぞれ配置される複数の連結部86とを備える。
【0077】
第1脆弱部84及び第2脆弱部85は、閉塞部80を布厚方向に貫通する円形状の部位であり、強度が0である。第1仮想線82及び第2仮想線83は、略矩形状の閉塞部80の対角線上に設けられる。これにより、略矩形状の閉塞部80に対して第1脆弱部84及び第2脆弱部85がX字状に配置される。
【0078】
閉塞部80は、X字状の脆弱部81により分割される分割部80a,80b,80c,80dを備える。分割部80a,80b,80c,80dはそれぞれ1辺がパッド本体11(
図1参照)に支持される。
【0079】
連結部86は、分割部80a,80b,80c,80dの対向する辺をそれぞれ互いに連結する部位である。これにより、分割部80a,80b,80c,80dが捲れたり折れ曲がったりすることを防止できる。連結部86は、第1脆弱部84及び第2脆弱部85の間の部位なので、第1脆弱部84及び第2脆弱部85を起点に破れ易く、分割部80a,80b,80c,80dよりも低強度である。
【0080】
このように、第1脆弱部84及び第2脆弱部85と連結部86とを交互に破線状に設けたX字状の脆弱部81を有する第5実施の形態も第1実施の形態と同様に、脆弱部81を起点に閉塞部80を破ったり押し広げたりして、閉塞部80に孔を容易に設けることができる。これにより、閉塞部80をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。
【0081】
脆弱部81がX字状に設けられるので、閉塞部80を押して、分割部80a,80b,80c,80dよりも低強度の連結部86が破れると、1辺のみがパッド本体11に支持される分割部80a,80b,80c,80dが開く。これにより、閉塞部80に設けられる孔を貫通孔15と略同一の大きさにできる。よって、少ない力で閉塞部80に設けられる孔を大きくできるので、作業効率を向上できる。
【0082】
次に
図6(e)を参照して、第6実施の形態について説明する。第1実施の形態では、閉塞部16に脆弱部17が線状に設けられる場合について説明した。これに対し第6実施の形態では、閉塞部90に脆弱部91が円形状に設けられる場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(e)は第6実施の形態における閉塞部90の背面図である。
【0083】
図6(e)に示すように、閉塞部90は、中央に円形状の脆弱部91を備える。脆弱部91は不織布から構成され、脆弱部91以外の閉塞部90は織編物から構成される。これにより、脆弱部91は、隣接する部位よりも低強度に設定される。
【0084】
なお、この場合に限らず、例えば、脆弱部91を不織布のみから構成し、脆弱部91以外の閉塞部90を、合成樹脂や金属等のワイヤを織り込んだり接着した不織布から構成する等して、脆弱部91をそれ以外の部位よりも低強度の素材により構成することは可能である。また、脆弱部91と、それ以外の閉塞部90とを同一の素材から構成し、脆弱部91の布厚を隣接する部位(脆弱部91以外の閉塞部90)の布厚よりも薄くすることで、隣接する部位よりも脆弱部91を低強度に設定することが可能である。
【0085】
第6実施の形態では、閉塞部90を押すと、脆弱部91が破け、さらに脆弱部91を起点に閉塞部90が破けたり押し広げられたりして、閉塞部90に孔を容易に設けることができる。これにより、第1実施の形態と同様に、閉塞部90をカッターナイフ等の工具を用いて除去する場合に比べて、作業工程を簡素化できる。
【0086】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、シートパッド10やフレーム5、受部材5a、フック20、閉塞部16,40,50,60,80,90、脆弱部17,41,51,61,81,91等の形状は一例であり、種々の形状を採用することは当然である。例えば、脆弱部91を多角形状や楕円形状、長円形状に形成することが可能である。
【0087】
上記第1実施の形態では、弾力性のある軟質ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂からパッド本体11が構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パッド本体11の材質は適宜変更可能である。発泡合成樹脂以外の他の材質としては、例えば、合成樹脂製等の繊維をウレタン等のバインダで硬化(結合)したもの、合成樹脂製の繊維を熱で溶融して互いに溶着させたもの等が挙げられる。
【0088】
上記第1実施の形態では、シートバック3の背面にフック20を取り付けるための貫通孔15をパッド本体11に設け、その貫通孔15を閉塞部16で塞ぐ場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。アームレストやエアバック等を設けるためにパッド本体11に設けた貫通孔に本発明を適用することは当然可能である。また、シートバック3のパッド本体11の貫通孔に限らず、シートクッション2のパッド本体に設けた貫通孔に本発明を適用することも可能である。なお、シートクッション2のパッド本体の貫通孔としては、例えば、ウォークインレバーやエアバックを設けるための貫通孔が挙げられる。
【0089】
フック20以外を取り付けるための貫通孔以外に本発明を適用した場合にも、貫通孔に挿入する部材(挿入部材)を、パッド本体の表面側から裏面側へ貫通孔に挿入することが好ましい。挿入部材をパッド本体の裏面側から表面側に挿入すると、挿入部材で押されて破れた閉塞部が乗物用シート1の外側へ飛び出して見栄えが悪くなる。これに対して、挿入部材をパッド本体の表面側から裏面側に挿入することで、挿入部材で押されて破れた閉塞部を乗物用シート1の内側へ収容でき、見栄えを良くできる。
【0090】
また、フック20と受部材5aとで閉塞部16を挟むように、挿入部材で押されて破れた閉塞部を、挿入部材と、挿入部材をフレームに固定するための受部材との間で挟むことが可能である。これにより、挟まれた閉塞部やパッド本体を破れ難くできると共に、パッド本体と挿入部材や受部材との擦れ合いによる異音の発生を抑制できる。
【0091】
なお、挿入部材と受部材との間で閉塞部を挟まなく構成することも可能である。この場合には、閉塞部が挿入部材に押されて破れるので、破れた閉塞部で挿入部材を覆うことができる。破れた閉塞部は貫通孔の内周面に対して比較的自由に相対移動できるので、貫通孔の内周面と挿入部材とを擦れ合い難くできる。その結果、貫通孔の内周面と挿入部材との擦れ合いによる異音を抑制できると共に、貫通孔の内周面が削れることを抑制できる。
【0092】
上記各実施の形態では、貫通孔15の全部を閉塞部16,40,50,60,80,90で塞ぐ場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、貫通孔15の少なくとも一部を塞ぐように閉鎖部を設けることは当然可能である。
【0093】
上記第1〜5実施の形態では、複数の仮想線上に脆弱部17,41,51,61,81を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1本の仮想線上に脆弱部を設けることは当然可能である。この場合、直線状の仮想線上に脆弱部を設けた場合には、上記各実施の形態に比べて、脆弱部を起点に閉塞部を破いたり押し広げたりし難い。しかし、U字状や円形状の仮想線上に脆弱部を設けることで、脆弱部を起点に閉塞部を破いたり押し広げたりし易くできる。
【0094】
上記第1実施の形態では、予め脆弱部17を設けた補強材12をパッド本体11に一体化してシートパッド10を成形する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補強材12をパッド本体11に一体化した後に、カッターナイフ等の工具を用いて、閉塞部16に脆弱部17を設けることは当然可能である。
【0095】
上記各実施の形態で説明した脆弱部17,41,51,61,81,91に限らず、脆弱部は隣接する部位よりも低強度に設定されれば良い。脆弱部17,41,51,61,81,91以外の脆弱部としては、例えば、ミシン目や、補強材の表面を凹ませた溝、補強材の内部を除いた中空部分が挙げられる。また、第1脆弱部17a,44,55,67や第2脆弱部17b,45,56,68、第3脆弱部57,69、第4脆弱部70、第5脆弱部71は、
図2、
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)に示す幅(各仮想線に対して垂直な寸法)に限らず、その幅は適宜変更可能である。例えば、幅がほぼ0となる切れ目を、第1脆弱部や第2脆弱部、第3脆弱部、第4脆弱部、第5脆弱部とすることは当然可能である。
【0096】
また、上記各実施の形態のいずれかの一部または全部を、他の実施の形態の一部または全部と組み合わせることは可能である。また、上記各実施の形態のうちの一部の構成を省略することも可能である。例えば、上記第1,2,4実施の形態における脆弱部17,41,61を、上記第3,5実施の形態における脆弱部51,81のように破線状に配置することが可能である。上記第1〜5実施の形態における脆弱部17,41,51,61,81を、上記第6実施の形態における脆弱部91のように隣接する部位よりも低強度の素材で構成したり、布厚を薄くしたりすることが可能である。