特許第6876472号(P6876472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876472
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】再塗装方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/02 20060101AFI20210517BHJP
   E04D 3/00 20060101ALI20210517BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20210517BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20210517BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20210517BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   E04F13/02 B
   E04D3/00 U
   E04G23/02 A
   E04F13/12 C
   B05D7/00 L
   B05D3/12 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-43364(P2017-43364)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-145728(P2018-145728A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 宗平
(72)【発明者】
【氏名】久保 剛
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−092708(JP,A)
【文献】 特開平04−346871(JP,A)
【文献】 特開2008−237965(JP,A)
【文献】 特開昭63−206564(JP,A)
【文献】 特開平10−339039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/02
B05D 3/12
B05D 7/00
E04D 3/00
E04F 13/12
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の建材の透湿性を有する塗料による旧塗装膜の上から透湿性を有する塗料により再塗装する再塗装方法であって、
前記旧塗装膜に、複数の針が突設された孔開け具を用いて、前記複数の針を前記旧塗装膜に突き刺して複数の孔を穿設した後に、前記旧塗装膜の上から上塗り塗装を行って新塗装膜を形成することを特徴とする再塗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の再塗装方法において、
前記建材が金属材料であることを特徴とする再塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、再塗装方法、この再塗装方法に用いる孔開け具、および再塗装方法により再塗装を行った建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の建物において、外壁あるいは屋根などの既設の建材の塗装膜に経年劣化が生じた場合、旧塗装膜の上から、上塗り再塗装を行うことにより外観品質の低下を抑えることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、このような建物の建材に用いる塗料として、透湿性と防水性とを兼ね備えた塗料が知られている(例えば、特許文献2)。この塗料は、シリコン樹脂エマルションと、シリコン樹脂以外の合成樹脂エマルションとを含有するものであり、例えば、アクリルシリコン樹脂エマルションと、シリコン樹脂エマルションと、分散剤と、消泡剤と、成膜助剤と、着色顔料と、体質顔料と、pH調整剤とを配合したものが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−84480号公報
【特許文献2】特開2003−55600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の再塗装では、旧塗装膜の上に、単に新しく上塗りをして新塗装膜を形成するようにしていたため、以下に述べるような問題が生じることがあった。
塗装の際には、塗装膜の下に僅かな空隙部分が生じる場合がある。このような空隙は、作業品質によって生じることもあるが、特に、塗料に骨材を含んで塗装面に凹凸を付けるスタッコ塗装の際に生じやすい。
そして、このように塗装膜の下に空隙部分が存在すると、外気の寒暖差により空隙部分に結露が生じ、この部分が日射などにより温度が上昇した場合に、空隙内の空気および水分が膨張し、塗装膜が外方に膨らんで外観品質が低下するおそれがあった。
【0005】
また、塗料として上記の特許文献2に記載の塗料のように透湿性を有する塗料を用いることで、上記の空隙部分で膨張した空気や水分(水蒸気)が塗装膜を通過して外方に放出され、上記の塗装膜に膨らみが生じる不具合を抑制することができる。
【0006】
しかしながら、上塗りに用いたた塗料が透湿性を備えていても、上記特許文献1に記載のように再塗装を行って、複数の塗装膜を重ねた場合には、塗装膜の厚みが増す分だけ透湿性、通気性が低下する。このため、空隙内の空気、水分が膨張した場合に、塗装膜を通過させることができずに、上記のように塗装膜が膨らむおそれがあった。
【0007】
本開示は、既設建材の再塗装後の外観品質向上を図ることが可能な再塗装方法、この再塗装方法に用いる孔開け具および再塗装方法による新塗装膜を備える建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の再塗装方法は、既設の建材の旧塗装膜の上から再塗装する再塗装方法であって、
前記旧塗装膜に複数の孔を穿設した後に、前記旧塗装膜の上塗り塗装を行って新塗装膜を形成することを特徴とする再塗装方法とした。
【0009】
なお、前記建材が金属材料であってもよい。
また、前記上塗り塗装に用いる塗料が透湿性を有することが好ましい。
また、前記旧塗装膜に複数の孔を開ける際に、複数の針が突設された孔開け具を用いて、前記複数の針を前記旧塗装膜に突き刺して前記孔を穿設することが好ましい。
【0010】
そして、本発明の孔開け具は、把持部と、前記把持部に回転可能に支持された円筒状の回転体と、前記回転体の外周から外径方向に突設された複数の針と、を備えることを特徴とする孔開け具とした。
また、本発明の建物は、建物外表面を形成する建材が、上記再塗装方法により旧塗装膜の上に上塗り塗装された新塗装膜を備えることを特徴とする建物とした。
【発明の効果】
【0011】
本開示の再塗装方法による再塗装を行った建材では、旧塗装膜の下に生じた空隙内の空気および水分が膨張した場合、その空気および気化した水分(水蒸気)は、旧塗膜部分では孔を通過することができる。したがって、旧塗装膜の上に新塗装膜を重ねた場合に、両塗装膜の全厚み分を空気および水蒸気が通過するのと比較して、空気および水蒸気の通過が容易となり、新塗装面が膨らむのを抑制することができる。よって、再塗装後の外観品質を向上できる。
【0012】
また、建材が金属材料である場合、日射などにより建材が高温になり易く、上記の空隙内の空気および水分の膨張が生じやすいため、上記の新塗装面の膨らみ抑制効果およびそれによる外観品質の向上効果がより顕著となる。
また、上塗り塗装に用いる塗料として透湿性を有する塗料を用いた場合、上記の空隙内の空気および水蒸気が新塗装膜を通過しやすく、新塗装面の膨らみ抑制効果およびそれによる外観品質の向上効果を確実に得ることができる。
また、旧塗装膜に複数の孔を開ける際に、孔開け具を用いた場合、複数の孔を同時に設けることができ、孔開け作業性に優れる。
【0013】
そして、本発明の孔開け具は、把持部を把持し、旧塗装膜に沿って回転体を転がしながら移動させるだけで、旧塗装膜に複数の孔を開けることができ、作業性に優れる。
また、本発明の建物は、建物外表面を形成する建材の再塗装後の外観品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1の再塗装方法による再塗装を行う対象である外壁材を示す断面図である。
図2】実施の形態1の再塗装方法により孔開け工程の実施後の既設の建材の状態を示す断面図である。
図3】実施の形態1の再塗装方法により既設の建材の再塗装膜の上に新塗装膜を上塗りした状態を示す断面図である。
図4A】実施の形態1の孔開け具を示す正面図である。
図4B】実施の形態1の孔開け具を示す側面図である。
図5】実施の形態1の再塗装方法との比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の再塗装方法を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
以下に、図面に基づいて実施の形態1の再塗装方法、この再塗装方法に用いる孔開け具、この再塗装方法により再塗装を行ったユニット建物について説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1の再塗装方法により再塗装を行う対象である既設の建材としての外壁材10を示す断面図である。
この外壁材10は、本実施の形態1では、金属材料(例えば、アルミ)により形成されたものである。
【0017】
また、外壁材10は、ユニット建物に用いられたもので、このユニット建物を構築する建物ユニットの製造時に、工場において塗装された工場塗装膜30により覆われている。この工場塗装膜30は、スタッコ玉吹塗装により形成されたもので、骨材21を有した下塗層20に工場塗装膜30を上塗りして形成されている。なお、骨材21としては、大理石、砂などを用いることができる。
【0018】
さらに、既設の外壁材10は、ユニット建物の建築後、再塗装が一度成されており、工場塗装膜30の上に再塗装膜40が設けられている。
なお、この再塗装膜40および工場塗装膜30には、透湿性を有した塗料が用いられている。このような透湿性を有した塗料として、例えば、シリコン系、フッ素系、ポリアミド系、アクリル系のポリウレタン系の塗料が用いることができる。具体的には、特許文献2に記載された塗料や特開昭63−43976号公報、特開平1−281180号公報、特開平2−150475号公報、特開平10−110136号公報、特開平11−92708号公報、特開2002−226763号公報、特開2002−332425号公報に記載された塗料などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0019】
また、上述のスタッコ玉吹塗装により形成された工場塗装膜30には、骨材21による凹凸形状により空隙100が生じている。
この空隙100は、空気の他に寒暖差による結露により内部に水分を含む。そして、この空隙100が、日射を受けるなどして高温になると、空隙100の空気および水分が膨張する場合がある。
【0020】
この場合、工場塗装膜30および再塗装膜40は、透湿性、通気性を有するため、膨張した空気および水分は、水蒸気110となって、図1において矢印に示すように、外気中に放出される。したがって、塗装膜強度が空隙100の膨れ強度を上回る関係(塗装膜強度>膨れ強度)となっており、両塗装膜30,40は、大きな膨れや破損が生じることは無い。なお、外壁材10として金属材料のものを用いているため、空隙100は、より高温になり易く、その内部の空気および水分は、より膨張しやすい。
【0021】
次に、上記の図1に示す既設の建材としての外壁材10を、実施の形態1による再塗装方法により2回目以降の再塗装を行う手順について説明する。
この再塗装方法では、塗装を行う前に孔開け工程を実施する。
図2は、孔開け工程の実施後の既設の建材である外壁材10(塗装対象)を示す断面図である。孔開け工程では、少なくとも、再塗装膜40に複数の孔41を貫通して形成する。この場合、孔41は、工場塗装膜30に達するように開けてもよいし、あるいは、再塗装膜40を完全に貫通しない場合でも、後述の効果を得ることは可能である。
【0022】
ここで、この孔開け工程に用いる孔開け具200を図4A図4Bに基づいて説明する。
この孔開け具200は、把持部210と、ローラ(回転体)220と、針221とを備える。
把持部210は、把持パイプ211と、ローラ支持部212とを備える。
把持パイプ211は、把持しやすい太さの金属製あるいは樹脂製のパイプである。
【0023】
ローラ支持部212は、図示のように一対の支持片212a,212aと、この一対の支持片212a,212aを、離間して対面した状態に支持する支持部212bと、により略逆U字状に形成されている。
そして、把持パイプ211は、支持部212bから略直角に起立状態でその一端が支持部212bに結合されている。
【0024】
ローラ220は、円筒状に形成され、軸方向の両端部が蓋材222により塞がれている。そして、両端の蓋材222が、ローラ支持軸213を中心に回転可能に一対の支持片212a,212aに支持されている。
【0025】
針221は、例えば、鉄やステンレスなどの金属製のものを用いることができ、本実施の形態1では、一般構造用圧延鋼材(SS)のものを用いている。また、針221は、ローラ220の外周から外径方向に突出され、先端がとがった形状に形成されたもので、全体長さ5〜30mm、半径0.5〜3mm程度の範囲の大きさで、軸方向に沿って一定間隔で複数設けられ、かつ、周方向に複数列設けられている。さらに、針221は、図示のように、隣り合う列では、軸方向に沿う方向の位置を異ならせて、周方向に互い違いに配置されている。
【0026】
また、本実施の形態1では、針221として、円柱状の根本部221aの先端面から円錐部221bを立ち上げた形状のものを用いている。根本部221aは、長さ0〜10mm程度、半径1〜3mm程度の範囲の大きさに形成されている。なお、長さ0とは、根本部221aを形成しないものも含むことを意味する。
また、円錐部221bは、長さ5〜30mm程度、半径0.5〜2mm程度の大きさに形成されている。
【0027】
なお、ローラ220は、例えば、直径30〜100mm程度、幅100〜200mm程度の範囲のものを用いるのが好ましい。また、針221は、例えば、100〜500本程度設けるのが好ましい。
【0028】
上述したように、孔開け工程では、図4A図4Bに示す孔開け具200を用いて再塗装膜40を貫通する孔41を開ける。
具体的には、作業者は、把持部210の把持パイプ211を握って、ローラ220を、再塗装膜40に沿って転動させる。これにより、針221が、再塗装膜40に対して略直角に突き刺さり、再塗装膜40を貫通する孔41を複数形成することができる。
【0029】
この孔開け工程を実施した後、図3に示すように、再塗装膜40の上に、塗料を上塗りして新塗装膜50を形成する。なお、新塗装膜50も、透湿性を有した塗料を用いる。また、この塗料としては、上述したシリコン系、フッ素系の塗料を用いることができる。
【0030】
(実施の形態1の作用)
次、実施の形態1の作用を説明する。
実施の形態1の作用の説明する前に、図5に基づいて、孔開け工程を実施せずに再塗装膜40の上から新塗装膜50を形成した場合について説明する。
【0031】
図1に基づいて説明したように、工場塗装膜30の下に、空隙100(図1参照)が生じた場合、外壁材10が日射などにより高温になると、空隙100内の空気や水分が膨張する。特に、外壁材10が金属である場合、より高温になり易く、このような空隙100内の空気、水分の膨張が生じやすい。
【0032】
このように、空隙100の空気や水分が膨張した際に、図5に示すように、塗膜が、工場塗装膜30、再塗装膜40、新塗装膜50と重なってその厚みが増すと、各塗装膜30,40,50のそれぞれが透湿性を有していても、全体での透湿性および通気性が低下する。
このため、図5に示すように、空隙100内が膨張した際に空気や水蒸気110がこの三重の各塗装膜30,40,50を通過できず、外部に放出されない。このため、各塗装膜30,40,50の下に、図5に示すような空気溜まり120が生じ、工場塗装膜30、再塗装膜40、新塗装膜50が膨れ上がる現象が生じ、外観品質が低下する。また、このとき、膨れ強度が塗装膜強度を上回ると(塗装膜強度<膨れ強度)、工場塗装膜30、再塗装膜40、新塗装膜50が破損するおそれもある。
【0033】
それに対し、本実施の形態1では、図3に示すように、空隙100の内部の空気や水分が膨張した場合、その空気や水蒸気110は、再塗装膜40の孔41を通って容易に通過し、新塗装膜50の透湿性に基づいて新塗装膜50を通過して外部に放出される。
すなわち、工場塗装膜30、再塗装膜40、新塗装膜50における通気性、透湿性としては、工場塗装膜30および新塗装膜50をそれぞれ通過可能な透湿性、通気性を有していればよい。このため、図5に示すように、三層の各塗装膜30,40,50が直接に重なったものと比較して、空隙100内の空気および水分を容易に外部に放出することができる。
したがって、塗膜の膨れ上がり現象や破損が生じるのを抑制して、高い外観品質を維持することができる。
【0034】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の再塗装方法の効果を列挙する。
1)実施の形態1の再塗装方法は、
既設の建材としての外壁材10の旧塗装膜としての工場塗装膜30、再塗装膜40の上から再塗装する再塗装方法であって、
旧塗装膜の少なくとも再塗装膜40に複数の孔41を穿設した後に、工場塗装膜30、再塗装膜40の上から上塗り塗装を行って新塗装膜50を形成することを特徴とする。
したがって、旧塗装膜としての工場塗装膜30、再塗装膜40の下の空隙100部分内の空気および水分が膨張した場合、その膨脹空気および膨張水蒸気は、再塗装膜40の部分では孔41を通過することができる。よって、膨張空気および膨張水蒸気により新塗装膜50が膨らむのを抑制することができ、再塗装後の外観品質を向上できる。
【0035】
2)実施の形態1の再塗装方法は、
外壁材10が金属材料であることを特徴とする。
したがって、外壁材10が金属材料である場合、日射などにより高温になり易く、空隙100内の空気および水分が膨張しやすいため、上記の新塗装膜50の膨らみ抑制効果およびそれによる外観品質の向上効果がより顕著となる。
【0036】
3)実施の形態1の再塗装方法は、
新塗装膜50の塗装に用いる塗料が透湿性を有することを特徴とする。
したがって、空隙100内の膨張空気および膨張水蒸気が新塗装膜50を通過しやすく、新塗装膜50の膨らみ抑制効果およびそれによる外観品質の向上効果を確実に得ることができる。
【0037】
4)実施の形態1の再塗装方法は、
旧塗装膜としての工場塗装膜30、再塗装膜40に複数の孔41を開ける際に、複数の針221が突設された孔開け具200を用いて、複数の針221を旧塗装膜としての工場塗装膜30、再塗装膜40に突き刺して孔41を穿設することを特徴とする。
したがって、工場塗装膜30、再塗装膜40に複数の孔41を開ける際に、複数の孔41を同時に形成することができ、孔開け作業性に優れる。
【0038】
5)実施の形態1の孔開け具200は、
把持部210と、
把持部210に回転可能に支持された円筒状のローラ220と、
ローラ220の外周から外径方向に突設された複数の針221と、
を備えることを特徴とする。
したがって、孔開け工程では、作業者は、把持部210を把持し、工場塗装膜30、再塗装膜40に沿ってローラ220を転がしながら移動させるだけで、工場塗装膜30、再塗装膜40に複数の孔41を開けることができ、作業性に優れる。
【0039】
6)実施の形態1のユニット建物Aは、
建物外表面を形成する建材としての外壁材10が、実施の形態1の再塗装方法により旧塗装膜の上に上塗り塗装された新塗装膜50を備えることを特徴とする。
したがって、建物外表面を形成する外壁材10の再塗装後の外観品質を向上できる。
【0040】
以上、本開示の再塗装方法を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0041】
実施の形態では、再塗装は、一度再塗装した再塗装膜の上に、さらに、塗装を行う例を示したが、これに限定されない。例えば、実施の形態において示した、工場塗装膜の上に再塗装を行う際に適用することができる。あるいは、3回以上の再塗装時にも適用することができる。なお、3回以上の再塗装時には、各塗装膜の透湿度が実施の形態と同様の場合には、少なくとも、2層分の塗装膜を確実に貫通するように作業を行うようにする。その場合、針による加圧の強さや、針の長さの設定により調整する。
【0042】
また、実施の形態では、再塗装の対象として、外壁を示したが、これに限定されず屋根などの他の既設の建材にも適用することができる。さらに、既設の建材として、金属製のものを例示したが、塗装を行う建材であれば、金属以外のものにも適用することができる。
【0043】
また、実施の形態では、孔開け具として把持部、回転体、針を備えたものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、針が突設されたものが、平板のような非回転体に複数の針が突設されたものを用いてもよい。また、針の形状も、塗装膜に孔開け可能なものであれば、実施の形態に示した形状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
10 外壁材(建材)
30 工場塗装膜(旧塗装膜)
40 再塗装膜(旧塗装膜)
41 孔
50 新塗装膜
100 空隙
200 孔開け具
210 把持部
220 ローラ(回転体)
221 針
A ユニット建物
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5